JP2005104056A - インクジェット記録方法及びそれに用いるインクジェット記録用紙 - Google Patents
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Abstract
【課題】 本発明の目的は、光やオゾンガス等による褪色が抑制され、画像濃度が高く、インク吸収速度に優れ、ブロンジングが生じにくく、加えてプリント後の色調変動が少ないインクジェット記録方法及びそれに用いるインクジェット記録用紙を提供することである。
【解決手段】 下記一般式(1)または一般式(2)で表される染料を含有したインクを、空隙型のインク吸収層を有するインクジェット記録用紙に射出して画像を形成するインクジェット記録方法であって、該インクジェット記録用紙のインク吸収層が、分子量200以下である下記一般式(I)で表される化合物を含有することを特徴とするインクジェット記録方法。
【化1】
【化2】
【化3】
【選択図】 なし
【解決手段】 下記一般式(1)または一般式(2)で表される染料を含有したインクを、空隙型のインク吸収層を有するインクジェット記録用紙に射出して画像を形成するインクジェット記録方法であって、該インクジェット記録用紙のインク吸収層が、分子量200以下である下記一般式(I)で表される化合物を含有することを特徴とするインクジェット記録方法。
【化1】
【化2】
【化3】
【選択図】 なし
Description
本発明は、高画質で耐候性に優れ、かつプリント後の色変動が小さいインクジェット記録方法とそれに用いるインクジェット記録用紙に関する。
近年、インクジェット記録材料は、急速にその画質向上が図られ、写真画質に迫りつつある。特に、写真画質に匹敵する画質をインクジェット記録で達成するために、インクジェット記録用紙(以下、単に記録用紙ともいう)の面からもその改良が進んでおり、高平滑性の支持体上に微粒子と親水性ポリマーからなる微小な空隙層を設けた空隙型の記録用紙は、高い光沢を有し、鮮やかな発色を示し、インク吸収性及び乾燥性に優れていることから、最も写真画質に近いものの一つになりつつある。特に、非吸水性支持体を使用した場合は、吸水性支持体に見られるようなプリント後のコックリング、いわゆる「しわ」の発生がなく、高平滑な表面を維持できるため、より高品位なプリントを得ることができる。
インクジェット記録は、一般に、水溶性染料インクを用いる場合と顔料インクを用いる場合とに大きく分けられる。顔料インクは、画像の耐久性が高いが、画像様に光沢が変化しやすく、その結果、写真画質に近いプリントを得にくく、一方、水溶性染料インクを用いると、画像の鮮明性が高く、かつ均一な表面光沢を有する写真画質に匹敵するカラープリントが得られる。
しかしながら、この水溶性染料は親水性が高いため、滲みが発生したり耐水性が劣るという欠点を有している。すなわち、画像記録後に、高湿下で長期間保存したり、プリント面上に水滴が付着した場合、染料が滲みやすい特性を有している。この問題を解決するため、一般には、カチオン性物質のような染料固着性物質を多孔質層中に添加しておくことが行われている。例えば、カチオン性ポリマーを用いてアニオン性の染料と結合させ、強固に不動化する方法が好ましく用いられている。このようなカチオン性ポリマーとしては、4級アンモニウム塩の重合物等があげられ、例えば、「インクジェットプリンター技術と材料」(株式会社シーエムシー発行 1998年7月)や特開平9−193532号に記載されている。また、水溶性の多価金属イオンを予めインクジェット記録用紙中に添加しておき、インクジェット記録時に染料を凝集固着させて不動化させる方法も提案されている。しかしながら、かかるカチオン性ポリマーや水溶性多価金属イオンの添加により、滲み耐性や耐水性を高めれば、染料が凝集して表面で凝集しやすくなり、その結果として、画像表面が金属光沢状のブロンジング現象を起こしやすくなる。このブロンジング現象は、一般にプリントを高湿状態で保管した場合に起きやすくなる。
ところで、染料インクは基本的に光褪色が起こりやすく、看板やポスターのように、ある期間の掲示を行う場合には、表面にラミネート処理等を施さなければ、直ぐに褪色してしまうという問題があった。また近年大気中に微量に含まれるオゾンガスによるインクジェット記録画像の褪色が問題になっている。特に、インク吸収層が無機微粒子とバインダーで構成された空隙型記録材料において非常に顕著な退色現象が認められる。光褪色やオゾンガスによる褪色の程度は染料を定着させるカチオン性ポリマーの種類や定着位置によって変化することが知られている。画像濃度を高めるためには染料をインク吸収層の表面近くに定着するのが有利であるが、光やオゾンガスによる褪色が劣化する傾向となり、画像濃度と保存性を両立するのが困難であった。
また、染料インクを用いて空隙型記録材料にプリントした場合、プリント直後から数時間の間で色調変動が起こるという問題が知られている。このことは印刷物を作成する過程で使用されるカラープルーフに、インクジェット記録材料を適用する場合には由々しき問題であって、どの時点で観察するかによって色の良し悪しの判断が変わってしまう。
上記課題に対し、特定のマゼンタ染料を含むマゼンタインク、及び特定のシアン染料を含有するインクを用いたインクジェット記録方法が開示されている(例えば、特許文献1参照。)。これらのインクを用いることにより、画像保存性が向上することが記載されている。しかし上記のような問題点の解決、すなわち画像濃度と保存性の両立、ブロンジングや色調変動の低減については言及されておらず、課題として残されたままであった。
特開2003−221534号公報
本発明は、上記課題に鑑みなされたものであり、その目的は、オゾンガス等の有害ガスや光による褪色が抑制され、画像濃度が高く、インク吸収速度にすぐれ、ブロンジングが生じにくく、加えてプリント後の色調変動が少ないインクジェット記録方法及びそれに用いるインクジェット記録用紙を提供することである。
本発明の上記目的は、以下の構成により達成される。
(請求項1)
下記一般式(1)または一般式(2)で表される染料を含有したインクを、空隙型のインク吸収層を有するインクジェット記録用紙に射出して画像を形成するインクジェット記録方法であって、該インクジェット記録用紙のインク吸収層が、分子量200以下である下記一般式(I)で表される化合物を含有することを特徴とするインクジェット記録方法。
(請求項1)
下記一般式(1)または一般式(2)で表される染料を含有したインクを、空隙型のインク吸収層を有するインクジェット記録用紙に射出して画像を形成するインクジェット記録方法であって、該インクジェット記録用紙のインク吸収層が、分子量200以下である下記一般式(I)で表される化合物を含有することを特徴とするインクジェット記録方法。
〔式中、Z1は、ハメットの置換基定数σp値が0.20以上の電子吸引性基を表す。Z2は、水素原子、脂肪族基、芳香族基または複素環基を表す。R1、R2は、各々独立して、水素原子、ハロゲン原子、脂肪族基、芳香族基、複素環基、シアノ基、カルボキシル基、カルバモイル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、複素環オキシカルボニル基、アシル基、ヒドロキシ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、複素環オキシ基、シリルオキシ基、アシルオキシ基、カルバモイルオキシ基、アルコキシカルボニルオキシ基、アリールオキシカルボニルオキシ基、アミノ基、アシルアミノ基、ウレイド基、スルファモイルアミノ基、アルコキシカルボニルアミノ基、アリールオキシカルボニルアミノ基、アルキルもしくはアリールスルホニルアミノ基、複素環スルホニルアミノ基、ニトロ基、アルキル及びアリールチオ基、アルキルもしくはアリールスルホニル基、複素環スルホニル基、アルキルもしくはアリールスルフィニル基、複素環スルフィニル基、スルファモイル基、スルホ基または複素環チオ基を表す。R3、R4は、各々独立に、水素原子、脂肪族基、芳香族基、複素環基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、カルバモイル基、スルホニル基またはスルファモイル基を表す。R5、R6は、各々独立に、水素原子、脂肪族基、芳香族基、複素環基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、カルバモイル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基またはスルファモイル基を表す。Qは、水素原子、脂肪族基、芳香族基または複素環基を表す。〕
〔式中、X11〜X14はそれぞれ独立に−SO−Z、−SO2−Z、−SO2NR1R2、−CONR1R2または−CO2R1を表す。Zはそれぞれ独立に置換もしくは無置換のアルキル基、置換もしくは無置換のシクロアルキル基、置換もしくは無置換のアルケニル基、置換もしくは無置換のアラルキル基、置換もしくは無置換のアリール基、置換もしくは無置換の複素環基を表す。R1、R2はそれぞれ独立に、水素原子、置換もしくは無置換のアルキル基、置換もしくは無置換のシクロアルキル基、置換もしくは無置換のアルケニル基、置換もしくは無置換のアラルキル基、置換もしくは無置換のアリール基、置換もしくは無置換の複素環基を表す。Y11〜Y18はそれぞれ独立に、一価の置換基を表す。a11〜a14は、それぞれX11〜X14の置換基数を表し、a11〜a14はそれぞれ独立に1または2を表す。Mは水素原子、金属原子またはその酸化物、水酸化物もしくはハロゲン化物である。〕
〔式中、R1は水素原子、置換もしくは非置換のアルキル基、アルケニル基、アリール基、アシル基、ヘテロアリール基、複素環基、NR4R5、またはOR6を表す。R2〜R6は、それぞれR1と同義である。また、R1とR2、R1とR3とがお互いに結合して環を形成しても良い。Xは酸素原子またはNHを表す。〕
(請求項2)
少なくとも1つのインクが前記一般式(1)で表される染料を含有し、かつ少なくとも1つのインクが前記一般式(2)で表される染料を含有するインクセットを用いて画像を形成することを特徴とする請求項1に記載のインクジェット記録方法。
(請求項3)
少なくとも1つのインクが、下記一般式(3)または(4)で表される染料を含有するインクセットを用いて画像を形成することを特徴とする請求項1または2に記載のインクジェット記録方法。
(請求項2)
少なくとも1つのインクが前記一般式(1)で表される染料を含有し、かつ少なくとも1つのインクが前記一般式(2)で表される染料を含有するインクセットを用いて画像を形成することを特徴とする請求項1に記載のインクジェット記録方法。
(請求項3)
少なくとも1つのインクが、下記一般式(3)または(4)で表される染料を含有するインクセットを用いて画像を形成することを特徴とする請求項1または2に記載のインクジェット記録方法。
〔式中、R1、R2及びR3は、各々独立して、水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、アルキル基、シクロアルキル基、アラルキル基、アリール基、アルキルチオ基、アリールチオ基またはイオン性親水性基を表す。R4は、下記複素環基群1から選ばれる置換されていてもよい複素環基を表す。〕
〔式中、R5は、水素原子、シアノ基、アルキル基、シクロアルキル基、アラルキル基、アリール基、アルキルチオ基、アリールチオ基またはイオン性親水性基を表す。Zaは、−N=、−NH−、または−C(R11)=を表す。Zb及びZcは、各々独立して、−N=または−C(R11)=を表す。ここで、R11は水素原子または非金属置換基を表す。R6は、下記複素環基群2から選ばれる置換されていてもよい複素環基を表す。〕
(請求項4)
前記インクが、少なくとも水、色材及び水溶性有機溶剤を含有する水性インクであることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のインクジェット記録方法。
(請求項5)
前記インクが含有する色材が、全て水溶性染料であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のインクジェット記録方法。
(請求項6)
前記インクジェット記録用紙が、非吸水性支持体上に無機微粒子とポリビニルアルコールを含有するインク吸収層を有することを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載のインクジェット記録方法。
(請求項7)
前記インクジェット記録用紙が、非吸水性支持体上に2層以上のインク吸収層を有し、該非吸水性支持体から最も遠い位置にある該インク吸収層が、カチオン性ポリマーを含有することを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載のインクジェット記録方法。
(請求項8)
前記インクジェット記録用紙が、4級アミンからなるカチオン性ポリマーを含有するインク吸収層を有することを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載のインクジェット記録方法。
(請求項9)
前記一般式(I)で表される化合物が、尿素または尿素誘導体であることを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載のインクジェット記録方法。
(請求項10)
請求項1〜9のいずれか1項に記載のインクジェット記録方法に用いられることを特徴とするインクジェット記録用紙。
前記インクが、少なくとも水、色材及び水溶性有機溶剤を含有する水性インクであることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のインクジェット記録方法。
(請求項5)
前記インクが含有する色材が、全て水溶性染料であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のインクジェット記録方法。
(請求項6)
前記インクジェット記録用紙が、非吸水性支持体上に無機微粒子とポリビニルアルコールを含有するインク吸収層を有することを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載のインクジェット記録方法。
(請求項7)
前記インクジェット記録用紙が、非吸水性支持体上に2層以上のインク吸収層を有し、該非吸水性支持体から最も遠い位置にある該インク吸収層が、カチオン性ポリマーを含有することを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載のインクジェット記録方法。
(請求項8)
前記インクジェット記録用紙が、4級アミンからなるカチオン性ポリマーを含有するインク吸収層を有することを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載のインクジェット記録方法。
(請求項9)
前記一般式(I)で表される化合物が、尿素または尿素誘導体であることを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載のインクジェット記録方法。
(請求項10)
請求項1〜9のいずれか1項に記載のインクジェット記録方法に用いられることを特徴とするインクジェット記録用紙。
本発明によれば、オゾンガス等の有害ガスや光による褪色が抑制され、画像濃度が高くかつインク吸収速度にすぐれ、ブロンジングが生じにくく、さらにプリント後の色調変動が少ないインクジェット記録方法及びそれに用いるインクジェット記録用紙を提供することができる。
以下、本発明を実施するための最良の形態について詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
本発明者らは、上記課題に対して鋭意検討を行った結果、多孔質インク吸収層に前記一般式(I)で表される化合物、好ましくは尿素または尿素誘導体を含むインクジェット記録用紙に、前記一般式(1)または一般式(2)で表される染料を含むインクを用いてインクジェット記録を行うことにより、解決がなされることを見出し、本発明に至った次第である。
インクジェット記録方法において、一般に、空隙型の記録用紙に染料インクを射出して高い濃度を得るためには、染料をインク吸収層の表面に近いところに定着する必要がある。それは空隙型インク吸収層が本質的に不透明であるため、表面から深い位置に存在する色素は画像濃度に寄与しないからである。そのため、従来からインク吸収層の表面近くに染料を定着させる工夫がなされており、例えば、染料定着剤であるカチオン性ポリマーをインク吸収層の表面近くに存在させることもその一つであった。しかし、表面近くに染料を定着させた場合、染料分子が直接外気に触れやすくなるためガス褪色や光褪色(酸素が影響するといわれている)が起きやすくなるという問題があった。また、染料が表面近くに留まるためか、ブロンジングが発生し易くなるという問題があった。
本発明で用いるインクに含まれる一般式(1)または(2)で表される染料は、オゾンガスや光に対する堅牢性が改良されたものであり、上記のようにインク吸収層の表面近くに存在させても、光やオゾンガス等によって大きく褪色することはない。しかし、これらの染料は、その構造的特徴によりインク吸収層表面に留まり易く、また凝集し易い傾向が見られ、従来の染料よりブロンジングが発生しやすかった。
本発明者らは、インク吸収層に前記一般式(I)で表される化合物を含有させることによってこの問題を解決できることを見出した。すなわち、本発明のインクジェット記録用紙はインク吸収性が向上しており、本発明に係る染料をインク吸収層表面で凝集させることなく、適度にインク吸収層内部に引き込むことによりブロンジングが改良されたものと考えられる。なお、このとき画像濃度の低下は見られなかった。したがって、本発明のインクジェット記録方法を用いることにより、画像濃度と画像保存性を両立し、かつブロンジングのない高品位画像を得ることが可能となった。
また、もう一つの効果として、本発明のインクジェット記録方法で得られたプリントの色調変動が小さいことを見出した。色調変動は、プリント後の染料の定着状態や皮膜の透明度が変化することが原因と考えられる。本発明の効果が得られる理由については推測の域を出ないが、一般式(I)で表される化合物の添加によってインク吸収速度が速くなったこと、また一般式(1)または(2)で表される染料の定着速度が速いことのため、速やかに色素が定着されることが一つの理由として考えられる。
以下、本発明を詳細に説明する。
はじめに、本発明に係るインクについて説明する。
本発明のインクは、色材として染料を含有するものであって、通常は4色以上のインクを有することが好ましい。インクの色数は、特に制限が無いが、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックを含有することが好ましく、上記に加えて淡色シアンインク、淡色マゼンタインクを用いることが更に好ましい。また、淡色黒インク(グレーインク)や濃色イエローインクを使用することも好ましい。淡色インクや濃色インクを用いずにブルー、レッド、グリーン、オレンジ、バイオレット等のいわゆる特色を使用することも可能である。
本発明に係るインクにおいては、前記一般式(1)で表される染料を含有することを1つの特徴とする。
以下、前記一般式(1)で表されるマゼンタ染料について説明する。
前記一般式(1)において、Z1はハメットの置換基定数σp値が0.20以上の電子吸引性基を表す。Z1はσp値が0.30以上の電子吸引基であることが好ましく、σp値が0.45以上の電子吸引基であることが更に好ましく、σp値が0.6以上の電子吸引基であることが特に好ましい。
好ましい具体的な置換基については後述する電子吸引性置換基を挙げることができるが、中でも、炭素数2〜12のアシル基、炭素数2〜12のアルキルオキシカルボニル基、ニトロ基、シアノ基、炭素数1〜12のアルキルスルホニル基、炭素数6〜18のアリールスルホニル基、炭素数1〜12のカルバモイル基及び炭素数1〜12のハロゲン化アルキル基が好ましい。特に好ましいものは、シアノ基、炭素数1〜12のアルキルスルホニル基、炭素数6〜18のアリールスルホニル基であり、最も好ましいものはシアノ基である。
前記一般式(1)において、R1、R2は、各々独立して、水素原子、ハロゲン原子、脂肪族基、芳香族基、複素環基、シアノ基、カルボキシル基、カルバモイル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、複素環オキシカルボニル基、アシル基、ヒドロキシ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、複素環オキシ基、シリルオキシ基、アシルオキシ基、カルバモイルオキシ基、アルコキシカルボニルオキシ基、アリールオキシカルボニルオキシ基、アミノ基、アシルアミノ基、ウレイド基、スルファモイルアミノ基、アルコキシカルボニルアミノ基、アリールオキシカルボニルアミノ基、アルキルもしくはアリールスルホニルアミノ基、複素環スルホニルアミノ基、ニトロ基、アルキル及びアリールチオ基、アルキルもしくはアリールスルホニル基、複素環スルホニル基、アルキルもしくはアリールスルフィニル基、複素環スルフィニル基、スルファモイル基、スルホ基または複素環チオ基を表す。
前記一般式(1)において、R3、R4は各々独立に水素原子、脂肪族基、芳香族基、複素環基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、カルバモイル基、アルキルもしくはアリールスルホニル基、またはスルファモイル基を表す。中でも水素原子、芳香族基、複素環基、アシル基、アルキル及びアリールスルホニル基が好ましく、水素原子、芳香族基、複素環基が特に好ましい。
前記一般式(1)において、R5、R6は、各々独立に、水素原子、脂肪族基、芳香族基、複素環基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、カルバモイル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基またはスルファモイル基を表す。
前記一般式(1)において、Z2は水素原子、脂肪族基、芳香族基または複素環基を表す。Qは水素原子、脂肪族基、芳香族基または複素環基を表す。中でもQは5〜8員環を形成するのに必要な非金属原子群からなる基が好ましい。また、この5〜8員環は置換されていてもよいし、飽和環であっても不飽和結合を有していてもよい。その中でも特に芳香族基、複素環基が好ましい。好ましい非金属原子としては、窒素原子、酸素原子、イオウ原子または炭素原子が挙げられる。そのような環構造の具体例としては、例えば、ベンゼン環、シクロペンタン環、シクロヘキサン環、シクロヘプタン環、シクロオクタン環、シクロヘキセン環、ピリジン環、ピリミジン環、ピラジン環、ピリダジン環、トリアジン環、イミダゾール環,ベンゾイミダゾール環、オキサゾール環、ベンゾオキサゾール環、チアゾール環、ベンゾチアゾール環、オキサン環、スルホラン環及びチアン環等が挙げらる。
上記説明した一般式(1)における各基は、更に置換基を有していても良い。これらの各基が更に置換基を有する場合、該置換基としては、水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、脂肪族基、芳香族基、ヒドロキシ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アシルオキシ基、複素環オキシ基、アミノ基(複素環アミノ基、アニリノ基を含む)、アシルアミノ基、ウレイド基、スルフアモイルアミノ基、アルコキシカルボニルアミノ基、アリールオキシカルボニルアミノ基、アルキルもしくはアリールチオ基、または複素環チオ基等やイオン性親水性基が挙げられる。
ここで、本発明でいうハメットの置換基定数σp値について説明する。
ハメット則は、ベンゼン誘導体の反応または平衡に及ぼす置換基の影響を定量的に論ずるために1935年にL.P.Hammettにより提唱された経験則であるが、これは今日広く妥当性が認められている。ハメット則に求められた置換基定数には、σp値とσm値があり、これらの値は多くの一般的な成書に見出すことができるが、例えば、J.A.Dean編、「Lange’s Handbook of Chemistry」第12版、1979年(Mc Graw−Hill)や「化学の領域」増刊、122号、96〜103頁、1979年(南光堂)に詳しく記載されている。尚、本発明において各置換基をハメットの置換基定数σpにより限定したり、説明したりするが、これは上記の成書で見出せる、文献既知の値がある置換基にのみ限定されるという意味ではなく、その値が文献未知であってもハメット則に基づいて測定した場合、その範囲内に包まれるであろう置換基をも含むことはいうまでもない。また、本発明の一般式(1)の中には、ベンゼン誘導体ではない物も含まれるがが、置換基の電子効果を示す尺度として、置換位置に関係なくσp値を使用する。本発明においては、σp値をこのような意味で使用する。
ハメット置換基定数σp値が0.60以上の電子吸引性基としては、シアノ基、ニトロ基、アルキルスルホニル基(例えば、メタンスルホニル基)、アリールスルホニル基(例えば、ベンゼンスルホニル基)を例として挙げることができる。ハメットσp値が0.45以上の電子吸引性基としては、上記に加えアシル基(例えば、アセチル基)、アルコキシカルボニル基(例えば、ドデシルオキシカルボニル基)、アリールオキシカルボニル基(例えば、m−クロロフェノキシカルボニル基)、アルキルスルフィニル基(例えば、n−プロピルスルフィニル基)、アリールスルフィニル基(例えば、フェニルスルフィニル基)、スルファモイル基(例えば、N−エチルスルファモイル基、N,N−ジメチルスルファモイル基)、ハロゲン化アルキル基(例えば、トリフロロメチル基)を挙げることができる。
ハメット置換基定数σp値が0.30以上の電子吸引性基としては、上記に加え、アシルオキシ基(例えば、アセトキシ基)、カルバモイル基(例えば、N−エチルカルバモイル基、N,N−ジブチルカルバモイル基)、ハロゲン化アルコキシ基(例えば、トリフロロメチルオキシ基)、ハロゲン化アリールオキシ基(例えば、ペンタフロロフェニルオキシ基)、スルホニルオキシ基(例えば、メチルスルホニルオキシ基)、ハロゲン化アルキルチオ基(例えば、ジフロロメチルチオ基)、2つ以上のσp値が0.15以上の電子吸引性基で置換されたアリール基(例えば、2,4−ジニトロフェニル基、ペンタクロロフェニル基)、及び複素環(例えば、2−ベンゾオキサゾリル基、2−ベンゾチアゾリル基、1−フェニルー2−ベンズイミダゾリル基)を挙げることができる。σp値が0.20以上の電子吸引性基の具体例としては、上記に加え、ハロゲン原子がなどが挙げられる。
以下に、本発明に係る前記一般式(1)で表される具体的なマゼンタ染料の化合物例を挙げるが、これらに限定されるものではない。
上記一般式(1)で表される具体的なマゼンタ染料の化合物例の中でも、例示化合物M−2が特に好ましい。
また、本発明に係るインクにおいては、前記一般式(2)で表されるシアン染料を含有することを1つの特徴とする。
前記一般式(2)において、a11〜a14はそれぞれ独立に1または2の整数を表し、特に好ましいのは4≦a11+a12+a13+a14≦6であり、その中でも特に好ましいのはa11=a12=a13=a14=1のときである。
X11〜X14は、それぞれ全く同じ置換基であっても良く、あるいは、例えば、X11〜X14が全て−SO2−Zであるが、各Zは互いに異なるものを含む場合のように、同じ種類の置換基であるが、部分的に互いに異なる置換基であっても良く、あるいは、例えば、−SO2−Zと−SO2NR1R2が同時に置換した場合のように、互いに異なる置換基を含んでいても良い。
一般式(2)で表されるフタロシアニン染料の中でも、特に好ましい置換基の組み合わせは、以下の通りである。
X11〜X14としては、それぞれ独立に−SO−Z、−SO2−Z、−SO2NR1R2、または−CONR1R2が好ましく、特に−SO2−Z、または−SO2NR1R2が好ましく、−SO2−Zが最も好ましい。
Zはそれぞれ独立に、置換もしくは無置換のアルキル基、置換もしくは無置換のアリール基、置換もしくは無置換の複素環基が好ましく、その中でも置換アルキル基、置換アリール基、置換複素環基が最も好ましい。特に染料の溶解性やインク安定性を高めるという理由から、置換基中に不斉炭素を有する場合(ラセミ体での使用)が好ましい。また、会合性を高め堅牢性を向上させるという理由から、水酸基、エーテル基、エステル基、シアノ基、アミド基、スルホンアミド基が置換基中に有する場合が好ましい。
R1、R2はそれぞれ独立に、水素原子、置換もしくは無置換のアルキル基、置換もしくは無置換のアリール基、置換もしくは無置換の複素環基が好ましく、その中でも水素原子、置換アルキル基、置換アリール基、置換複素環基が最も好ましい。ただしR1、R2が共に水素原子であることは好ましくない。特に染料の溶解性やインク安定性を高めるという理由から、置換基中に不斉炭素を有する場合(ラセミ体での使用)が好ましい。また、会合性を高め堅牢性を向上させるという理由から、水酸基、エーテル基、エステル基、シアノ基、アミド基、スルホンアミド基が置換基中に有する場合が好ましい。
Y11〜Y18は、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基、シアノ基、アルコキシ基、アミド基、ウレイド基、スルホンアミド基、カルバモイル基、スルファモイル基、アルコキシカルボニル基、カルボキシル基、及びスルホ基が好ましく、特に水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、カルボキシル基、及びスルホ基が好ましく、水素原子が最も好ましい。a11〜a14はそれぞれ独立に1または2であることが好ましく、特に全てが1であることが好ましい。Mは、水素原子、金属元素またはその酸化物、水酸化物、又はハロゲン化物を表し、特にCu、Ni、Zn、Alが好ましく、なかでも特に特にCuが最も好ましい。
前記一般式(2)で表される化合物の好ましい置換基の組み合わせについては、種々の置換基の少なくとも1つが前記の好ましい基である化合物が好ましく、より多くの種々の置換基が前記好ましい基である化合物がより好ましく、全ての置換基が前記好ましい基である化合物が最も好ましい。
本発明に係るフタロシアニン染料の化学構造としては、スルフィニル基、スルホニル基、スルファモイル基のような電子吸引性基を、フタロシアニンの4つの各ベンゼン環に少なくとも一つずつ、フタロシアニン骨格全体の置換基のσp値の合計で1.6以上となるように導入することが好ましい。
ハメットの置換基定数σp値について前述と同義である。
前記一般式(2)で表されるフタロシアニン系染料類縁体混合物を、置換位置に基づいて以下の三種類に分類して定義する。
(1)β−位置換型:2及びまたは3位、6及びまたは7位、10及びまたは11位、14及びまたは15位に特定の置換基を有するフタロシアニン染料。
(2)α−位置換型:1及びまたは4位、5及びまたは8位、9及びまたは12位、13及びまたは16位に特定の置換基を有するフタロシアニン染料。
(3)α,β−位混合置換型:1〜16位に規則性なく、特定の置換基を有するフタロシアニン染料。
本発明に用いられるフタロシアニン誘導体は、例えば、白井−小林共著、(株)アイピーシー発行「フタロシアニン−化学と機能−」(P.1〜62)、C.C.Leznoff−A.B.P.Lever共著、VCH発行‘Phthalocyanines−Properties and Applications’(P.1〜54)等に記載、引用もしくはこれらに類似の方法を組み合わせて合成することができる。
本発明に係る一般式(2)で表されるフタロシアニン化合物は、例えば、下記式で表されるフタロニトリル誘導体(化合物P)またはジイミノイソインドリン誘導体(化合物Q)を一般式(2−1)で表される金属誘導体と反応させるか、或いは4−スルホフタロニトリル誘導体(化合物R)と一般式(2−1)で表される金属誘導体を反応させて得られるテトラスルホフタロシアニン化合物から誘導することができる。
上記各式中、Xpは上記一般式(2)におけるX11〜X14のいずれか1つに相当する。Yq,Yq′はそれぞれ上記一般式(2)におけるY11〜Y18のいずれか1つに相当する。
一般式(2−1):M−(Y)d
一般式(2−1)において、Mは前記一般式(2)のMと同一であり、Yはハロゲン原子、酢酸陰イオン、アセチルアセトネート、酸素などの1価又は2価の配位子を示し、dは1〜4の整数である。
一般式(2−1)において、Mは前記一般式(2)のMと同一であり、Yはハロゲン原子、酢酸陰イオン、アセチルアセトネート、酸素などの1価又は2価の配位子を示し、dは1〜4の整数である。
得られる前記一般式(2)で表されるフタロシアニン化合物は、通常、Xpの各置換位置における異性体である下記一般式(a)−1〜(a)−4で表される化合物の混合物、すなわちβ−位置換型となっている。
上記合成法において、Xpとして全て同一のものを使用すればX11、X12、X13及びX14が全く同じ置換基であるβ位置置換型フタロシアニン染料を得ることができる。一方、Xpとして異なるものを組み合わせて使用すれば、同じ種類の置換基であるが部分的に互いに異なる置換基をもつ染料や、あるいは、互いに異なる種類の置換基をもつ染料を合成することができる。一般式(2)の染料の中でも互いに異なる電子吸引性置換基を持つこれらの染料は、染料の溶解性、会合性、インクの経時安定性などを調整できる為、特に好ましい。
本発明に係る一般式(2)で表されるフタロシアニン染料は、特開2001−226275号、同2001−96610号、同2001−47013号、同2001−193638号に記載の方法により合成することができる。また、出発物質、染料中間体及び合成ル−トについてはこれらにより限定されるものでない。
以下に、本発明に係る前記一般式(2)で表される具体的なシアン染料の化合物例を挙げるが、これらに限定されるものではない。
また、本発明のインクジェット記録用インクセットでは、少なくとも1色のインクが、前記一般式(3)または前記一般式(4)で表されるイエロー染料を含有することが好ましい。
前記一般式(3)、(4)において、R1、R2、R3及びR5は、各々独立して、水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、アルキル基、シクロアルキル基、アラルキル基、アリール基、アルキルチオ基、アリールチオ基、またはイオン性親水性基を表す。R1、R2、R3及びR5が表すアルキル基には、置換基を有するアルキル基及び無置換のアルキル基が含まれる。該アルキル基としては、炭素原子数が1〜12のアルキル基が好ましい。置換基の例には、ヒドロキシル基、アルコキシ基、シアノ基、ハロゲン原子、及びイオン性親水性基が含まれる。アルキル基の例には、メチル、エチル、ブチル、イソプロピル、t−ブチル、ヒドロキシエチル、メトキシエチル、シアノエチル、トリフルオロメチル、3−スルホプロピル、及び4−スルホブチルが含まれる。
R1、R2、R3及びR5が表すシクロアルキル基には、置換基を有するシクロアルキル基及び無置換のシクロアルキル基が含まれる。シクロアルキル基としては、炭素原子数が5〜12のシクロアルキル基が好ましい。置換基の例にはイオン性親水性基が含まれる。シクロアルキル基の例には、シクロヘキシルが含まれる。
R1、R2、R3及びR5が表すアラルキル基には、置換基を有するアラルキル基及び無置換のアラルキル基が含まれる。アラルキル基としては、炭素原子数が7〜12のアラルキル基が好ましい。アラルキル基の例には、ベンジル、及び2−フェネチルが含まれる。
R1、R2、R3及びR5が表すアリール基には、置換基を有するアリール基及び無置換のアリール基が含まれる。アリール基としては、炭素原子数が7〜12のアリール基が好ましい。置換基の例には、アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子、アルキルアミノ基が含まれる。アリール基の例には、フェニル、p−トリル、p−メトキシフェニル、o−クロロフェニル、及びm−(3−スルホプロピルアミノ)フェニルが含まれる。
R1、R2、R3及びR5が表すアルキルチオ基には、置換基を有するアルキルチオ基及び無置換のアルキルチオ基が含まれる。アルキルチオ基としては、炭素原子数が1〜12のアルキルチオ基が好ましい。アルキルチオ基の例には、メチルチオ及びエチルチオが含まれる。
R1、R2、R3及びR5が表すアリールチオ基には、置換基を有するアリールチオ基及び無置換のアリールチオ基が含まれる。アリールチオ基としては、炭素原子数が6〜12のアリールチオ基が好ましい。置換基の例には、アルキル基が含まれる。アリールチオ基の例には、フェニルチオ基及びp−トリルチオが含まれる。
R1、R2、R3及びR5が表すイオン性親水性基を表す場合には、スルホ基、ホスホノ基、カルボキシル基及び4級アンモニウムが含まれる。中でも、スルホ基及びカルボキシル基が好ましく、スルホ基が特に好ましい。カルボキシル基及びスルホ基は塩の状態であってもよく、塩を形成する対イオンの例には、アルカリ金属イオン(例、ナトリウムイオン、カリウムイオン)、アンモニウムイオン、及び有機カチオン(例、テトラメチルグアニジウムイオン)が含まれる。
一般式(4)において、Zaは、−N=、−NH−、または−C(R11)=を表し、Zb及びZcは、各々独立して、−N=または−C(R11)=を表し、R11は水素原子または非金属置換基を表す。R11が表す非金属置換基としては、シアノ基、シクロアルキル基、アラルキル基、アリール基、アルキルチオ基、アリールチオ基、またはイオン性親水性基が好ましい。置換基の各々は、前記R1が表す各々の置換基と同義であり、好ましい例も同様である。一般式(4)に含まれる2つの5員環からなる複素環の骨格例を下記に示す。
一般式(3)において、R4は複素環基の群1から選ばれる置換されていてもよい複素環基を表す。置換基としては、イオン性親水性基、炭素原子数が1〜12のアルキル基、アリール基、アルキルまたはアリールチオ基、ハロゲン原子、シアノ基、スルファモイル基、スルホンアミノ基、カルバモイル基、及びアシルアミノ基等が含まれ、アルキル基及びアリール基等はさらに置換基を有していてもよい。群1に示す複素環基の中でも、1,2,4−チアジアゾール、1,3,4−チアジアゾール、及びイミダゾールが好ましい。
一般式(4)において、R6は、複素環基の群2から選ばれる置換されていてもよい複素環基を表す。置換基としては、イオン性親水性基、炭素原子数が1〜12のアルキル基、アリール基、アルキルまたはアリールチオ基、ハロゲン原子、シアノ基、スルファモイル基、スルホンアミノ基、カルバモイル基及びアシルアミノ基等が含まれ、アルキル基及びアリール基はさらに置換基を有していてもよい。前記複素環基群2の中でも、1,2,4−チアジアゾール、1,3,4−チアジアゾール、イミダゾール、ベンゾチアゾール及びベンゾオキサゾールが好ましい。
以下に、本発明に係る前記一般式(3)または一般式(4)で表される具体的なイエロー染料の化合物例を挙げるが、これらに限定されるものではない。
本発明に用いる染料が油溶性染料の場合は、該油溶性染料を高沸点有機溶剤中に溶解させ、水性媒体中に乳化分散させることによって調製することができる。
本発明に係るインクには、上記の各一般式で表される染料の他に、他の染料を用いることができるが、本発明において、インクに用いられる色材の全てが水溶性染料であることが好ましい。
染料としては、例えば、アゾ染料、メチン染料、アゾメチン染料、キサンテン染料、キノン染料、フタロシアニン染料、トリフェニルメタン染料、ジフェニルメタン染料等を挙げることができ、具体的染料は、「染色ノート第21版」(出版;色染社)等に記載されている。
また、本発明においては、必要に応じて顔料を用いることもでき、従来公知の有色有機あるいは有色無機顔料を用いることができる。例えば、アゾレーキ、不溶性アゾ顔料、縮合アゾ顔料、キレートアゾ顔料等のアゾ顔料や、フタロシアニン顔料、ペリレン及びペリレン顔料、アントラキノン顔料、キナクリドン顔料、ジオキサンジン顔料、チオインジゴ顔料、イソインドリノン顔料、キノフタロニ顔料等の多環式顔料や、塩基性染料型レーキ、酸性染料型レーキ等の染料レーキや、ニトロ顔料、ニトロソ顔料、アニリンブラック、昼光蛍光顔料等の有機顔料、カーボンブラック等の無機顔料が挙げられる。
本発明に係るインクで使用する染料は、実質的に水溶性または水分散性のものであることが好ましく、具体的には20℃における染料の水への溶解度または分散濃度が2.0質量%上であることが好ましく、より好ましくは5.0質量%以上である。
本発明に係るインクで用いる溶媒としては、水性液媒体が好ましく用いられ、前記水性液媒体としては、水及び水溶性有機溶剤等の混合溶媒が更に好ましく用いられる。好ましく用いられる水溶性有機溶剤の例としては、アルコール類(例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、イソブタノール、セカンダリーブタノール、ターシャリーブタノール)、多価アルコール類(例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、ブチレングリコール、ヘキサンジオール、ペンタンジオール、グリセリン、ヘキサントリオール、チオジグリコール)、多価アルコールエーテル類(例えば、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノフェニルエーテル、プロピレングリコールモノフェニルエーテル)、アミン類(例えば、エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、N−メチルジエタノールアミン、N−エチルジエタノールアミン、モルホリン、N−エチルモルホリン、エチレンジアミン、ジエチレンジアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ポリエチレンイミン、ペンタメチルジエチレントリアミン、テトラメチルプロピレンジアミン)、アミド類(例えば、ホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド等)、複素環類(例えば、2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、シクロヘキシルピロリドン、2−オキサゾリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン等)、スルホキシド類(例えば、ジメチルスルホキシド)等が挙げられる。特に好ましくは、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、グリセリン、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、2−ピロリドンである。各インクには共通する溶剤を使用することが好ましい。
本発明に係るインクには、表面張力の調整その他のために界面活性剤を使用することができる。本発明に係るインクに好ましく使用される界面活性剤としては、アルキル硫酸塩、アルキルエステル硫酸塩、ジアルキルスルホコハク酸塩類、アルキルナフタレンスルホン酸塩類、アルキルリン酸塩、ポリオキシアルキレンアルキルエーテルリン酸塩、脂肪酸塩類等のアニオン性界面活性剤、ポリオキシエチレンアルキルエーテル類、ポリオキシアルキレンアルキルフェニルエーテル類、アセチレングリコール類、ポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレンブロックコポリマー類等のノニオン性界面活性剤、グリセリンエステル、ソルビタンエステル、ポリオキシエチレン脂肪酸アミド、アミンオキシド等の活性剤、アルキルアミン塩類、第四級アンモニウム塩類等のカチオン性界面活性剤が挙げられる。中でも好ましくはノニオン活性剤であり、特に好ましくはアセチレングリコール類、ポリオキシエチレンアルキルエーテル類、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル類である。複数の界面活性剤を併用することも可能である。
本発明に係るインクでは、上記説明した以外に、必要に応じて、出射安定性、プリントヘッドやインクカートリッジ適合性、保存安定性、画像保存性、その他の諸性能向上の目的に応じて、公知の各種添加剤、例えば、粘度調整剤、比抵抗調整剤、皮膜形成剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、退色防止剤、防ばい剤、防錆剤等を適宜選択して用いることができ、例えば、流動パラフィン、ジオクチルフタレート、トリクレジルホスフェート、シリコンオイル等の油滴微粒子、特開昭57−74193号、同57−87988号及び同62−261476号に記載の紫外線吸収剤、特開昭57−74192号、同57−87989号、同60−72785号、同61−146591号、特開平1−95091号及び同3−13376号等に記載されている退色防止剤、特開昭59−42993号、同59−52689号、同62−280069号、同61−242871号及び特開平4−219266号等に記載されている蛍光増白剤等を挙げることができる。特に好ましい添加剤としては尿素、トリエタノールアミンが挙げられる。
本発明に係るインクは、20℃における粘度が1.5〜5.0mPa・sであることが好ましく、2.0〜3.5mPa・sであることがさらに好ましい。またインクの表面張力は20〜45mN/mであることが好ましく、30〜40mN/mであることが更に好ましく、30〜35mN/mであることが特に好ましい。
次いで、本発明のインクジェット記録用紙について説明する。
本発明のインクジェット記録用紙においては、支持体上に、空隙型のインク吸収層を有し、該インク吸収層が分子量が200以下である前記一般式(I)で表される化合物を含有することが特徴である。
また、本発明のインクジェット記録用紙においては、インク吸収層が非吸水性支持体上に無機微粒子とポリビニルアルコールを含有することが好ましく、またインクジェット記録用紙が、非吸水性支持体上に2層以上のインク吸収層を有し、該非吸水性支持体から最も遠い位置にある該インク吸収層が、カチオン性ポリマーを含有することが好ましく、またインクジェット記録用紙が、4級アミンからなるカチオン性ポリマーを含有するインク吸収層を有することが好ましい。
以下、本発明に係る分子量が200以下である前記一般式(I)で表される化合物について説明する。
前記一般式(I)において、R1は水素原子、置換もしくは非置換のアルキル基(例えば、メチル基、エチル基、イソプロピル基、t−ブチル基、ヘキシル基、ドデシル基、シクロアルキル基等)、置換もしくは非置換のアルケニル基(例えば、プロペニル基、ブテニル基、ノネニル基等)、置換もしくは非置換のアリール基(例えば、フェニル基等)、置換もしくは非置換のアシル基(例えば、アセチル基、プロピオニル基、ブタノイル基、ヘキサノイル基、シクロヘキサノイル基、ベンゾイル基、ピリジノイル基等)、置換もしくは非置換のヘテロアリール基(例えば、トリアゾール基、イミダゾール基、ピリジン基、フラン基、チオフェン基等)、置換もしくは非置換の複素環基(例えば、ピリジル基、チアゾリル基、オキサゾリル基、イミダゾリル基、フリル基、ピロリル基、ピラジニル基、ピリミジニル基、ピリダジニル基、セレナゾリル基、スリホラニル基、ピペリジニル基、ピラゾリル基、テトラゾリル基等)、NR4R5、またはOR6を表す。また、R1とR2、R1とR3とがお互いに結合して環を形成しても良い。Xは酸素原子またはNHを表す。
本発明においては、前記一般式(I)で表される化合物は、アルコール性水酸基を有しないことが、本発明の目的効果を発揮させる観点から好ましい。
前記一般式(I)において、分子量は200以下であることが特徴であり、また水素原子を除く原子数が15以下であることが好ましく、また水溶性であることが、添加容易性の観点から好ましい。
以下に、本発明に係る一般式(I)で表される化合物例を列挙するが、本発明はこれらにのみ限定されるものではない。
本発明に係る一般式(I)で表される化合物は、当業者が公知の方法に従って容易に合成することができ、また市販品として入手することもできる。
本発明のインクジェット記録用紙においては、前記一般式(I)で表される化合物の中でも、尿素またはその誘導体であることが好ましく、尿素誘導体は基本的には、尿素のアミノ基の水素原子を、他の官能基で修飾された構造を有する。その修飾基は1つでも複数でもよく、複数の修飾基が互いに連結して環をなしていてもよい。本発明で用いることのできる尿素及び尿素誘導体としては、尿素、アルキル尿素、例えば、メチル尿素、エチル尿素、N,N′−ジメチル尿素、エチレン尿素、N,N′−ジヒドロキシエチル尿素等が好ましく、その中でも、特に尿素が好ましい。
本発明においては、前記一般式(I)で表される化合物、その中でも、特に尿素誘導体とポリビニルアルコールの質量比が0.02以上、1.0以下になるように用いることが好ましく、さらに好ましくは0.05以上、0.5以下である。なお、支持体上に複数のインク吸収層を設けた場合には、前記一般式(I)で表される化合物の総量とポリビニルアルコール総量の質量比とする。前記一般式(I)で表される化合物とポリビニルアルコールの質量比が0.02以上であれば、本発明の効果を十分に発現することができ、また1.0以下であれば、ひび割れの劣化、滲みの劣化、ステインの発生等を防ぐことができる。
本発明のインクジェット記録用紙は、支持体上に親水性バインダーと無機微粒子を含有する多孔質インク吸収層を形成する水溶性塗布液を塗布し、空隙を有するインク吸収層を形成したものである。本発明に係るインク吸収層は、主に無機微粒子と親水性バインダーから形成される。インク吸収層を形成する無機微粒子としては、例えば、軽質炭酸カルシウム、重質炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、カオリン、クレー、タルク、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、二酸化チタン、酸化亜鉛、水酸化亜鉛、硫化亜鉛、炭酸亜鉛、ハイドロタルサイト、珪酸アルミニウム、ケイソウ土、珪酸カルシウム、珪酸マグネシウム、合成非晶質シリカ、コロイダルシリカ、アルミナ、コロイダルアルミナ、擬ベーマイト、水酸化アルミニウム、リトポン、ゼオライト、水酸化マグネシウム等の白色無機顔料を挙げることができる。上記無機微粒子は1次粒子のまま用いても、また2次凝集粒子を形成した状態で使用することもできる。
本発明においては、インクジェット記録用紙で高品位なプリントを得る観点から、無機微粒子として、シリカまたはアルミナが好ましく、更にアルミナ、擬ベーマイト、コロイダルシリカ、もしくは気相法により合成された微粒子シリカ等が好ましく、気相法で合成された微粒子シリカが特に好ましい。この気相法で合成されたシリカは、表面がアルミニウムで修飾されたものであってもく、気相法シリカのアルミニウム含有率は、シリカに対して質量比で0.05〜5%のものが好ましい。
上記無機微粒子の粒径は、いかなる粒径のものも用いることができるが、平均粒径が1μm以下であることが好ましい。1μmを越えると光沢性、または発色性が低下しやすく、そのため200nm以下が好ましい。更に100nm以下のシリカが最も好ましい。粒径の下限は特に限定されないが、無機微粒子の製造上の観点から、概ね3nm以上、特に5nm以上が好ましい。
上記無機微粒子の平均粒径は、インク吸収層の断面や表面を電子顕微鏡で観察し、100個の任意の粒子の粒径を求めて、その単純平均値(個数平均)として求められる。ここで、個々の粒径は、その投影面積に等しい円を仮定した時の直径で表したものである。
上記無機微粒子は、1次粒子のままで或いは2次粒子もしくはそれ以上の高次凝集粒子で多孔質皮膜に存在していてもいが、上記平均粒径は、電子顕微鏡で観察した時にインク吸収層中で独立の粒子を形成しているものの粒径をいう。
上記無機微粒子の平均1次粒子径は、多孔質膜中で観測される平均粒径以下である必要があり、無機微粒子の1次粒子径としては100nm以下のものが好ましく、より好ましくは30nm以下、最も好ましくは4〜20nmの微粒子である。
上記無機微粒子の水溶性塗布液における含有量は、5〜40質量%であり、特に7〜30質量%が好ましい。上記無機微粒子は、十分なインク吸収性があり、皮膜のひび割れ等が少ないインク吸収層を形成する必要があり、インク吸収層中には、5〜50g/m2の付き量になることが好ましい。更に、10〜25g/m2になることが特に好ましい。
インク吸収層に含有される親水性バインダーとしては、特に制限は無く、従来公知の親水性バインダーを用いることができ、例えばゼラチン、ポリビニルピロリドン、ポリエチレンオキサイド、ポリアクリルアミド、ポリビニルアルコール等を用いることができるが、本発明のインクジェット記録用紙においては、親水性バインダーとして、ポリビニルアルコールが特に好ましい。
ポリビニルアルコールは、無機微粒子と相互作用を有しており、無機微粒子に対する保持力が特に高く、更に吸湿性の湿度依存性が比較的小さなポリマーであり、塗布乾燥時の収縮応力が比較的小さいため、塗布乾燥時のひび割れに対する適性が優れる。本発明に好ましく用いられるポリビニルアルコールとしては、ポリ酢酸ビニルを加水分解して得られる通常のポリビニルアルコールの他に、末端をカチオン変性したポリビニルアルコールやアニオン性基を有するアニオン変性ポリビニルアルコール等の変性ポリビニルアルコールも含まれる。
ポリ酢酸ビニルを加水分解して得られるポリビニルアルコールは、平均重合度が300以上のものが好ましく用いられ、特に平均重合度が1,000〜5,000のものが好ましく用いられ、ケン化度は70〜100%のものが好ましく、80〜99.8%のものが特に好ましい。
カチオン変性ポリビニルアルコールとしては、例えば、特開昭61−10483号に記載されるような、第1〜3級アミノ基や第4級アミノ基を上記ポリビニルアルコールの主鎖または側鎖中に有するポリビニルアルコールであり、これらはカチオン性基を有するエチレン性不飽和単量体と酢酸ビニルとの共重合体をケン化することにより得られる。
カチオン性基を有するエチレン性不飽和単量体としては、例えばトリメチル−(2−アクリルアミド−2,2−ジメチルエチル)アンモニウムクロライド、トリメチル−(3−アクリルアミド−3,3−ジメチルプロピル)アンモニウムクロライド、N−ビニルイミダゾール、N−メチルビニルイミダゾール、N−(3−ジメチルアミノプロピル)メタクリルアミド、ヒドロキシエチルトリメチルアンモニウムクロライド、トリメチル−(3−メタクリルアミドプロピル)アンモニウムクロライド等が挙げられる。
カチオン変性ポリビニルアルコールのカチオン変性基含有単量体の比率は、酢酸ビニルに対して0.1〜10モル%、好ましくは0.2〜5モル%である。
アニオン変性ポリビニルアルコールとしては、例えば特開平1−206088号に記載されているアニオン性基を有するポリビニルアルコール、特開昭61−237681号及び同63−307979号に記載されているビニルアルコールと水溶性基を有するビニル化合物との共重合体、及び特開平7−285265号に記載されている水溶性基を有する変性ポリビニルアルコールが挙げられる。
また、ノニオン変性ポリビニルアルコールとしては、例えば特開平7−9758号に記載されているポリアルキレンオキサイド基をビニルアルコールの一部に付加したポリビニルアルコール誘導体、特開平8−25795号に記載されている疎水性基を有するビニル化合物とビニルアルコールとのブロック共重合体等が挙げられる。
ポリビニルアルコールは、重合度や変性の種類の違いなど、2種類以上を併用することもできる。特に、重合度が2,000以上のポリビニルアルコールを使用する場合には、予め無機微粒子に対して0.05〜10質量%、好ましくは0.1〜5質量%添加してから、重合度が2,000以上のポリビニルアルコールを添加すると、著しい増粘が無く好ましい。
インク吸収層の親水性バインダーに対する無機微粒子の比率は、質量比で2〜20倍であることが好ましい。質量比が2倍以上であれば、十分な空隙率の多孔質膜が得られ、十分な空隙容量を得やすくなり、維持できる親水性バインダーによるインクジェット記録時の膨潤によって空隙を塞ぐ状況を招かず、高インク吸収速度を維持できる要因となる。一方、この比率が20倍以下であれば、インク吸収層を厚膜で塗布した際、ひび割れが生じにくくなる。特に好ましい親水性バインダーに対する無機微粒子の比率は2.5〜12倍、最も好ましくは3〜10倍である。
本発明のインクジェット記録用紙には、記録後の保存による画像の滲みを防止する目的でカチオン性ポリマーを用いることが好ましい。更に、非吸水性支持体上に2層以上のインク吸収層を有し、該非吸水性支持体から最も遠い位置にある該インク吸収層が、カチオン性ポリマーを含有することが好ましい。
カチオン性ポリマーの例としては、ポリエチレンイミン、ポリアリルアミン、ポリビニルアミン、ジシアンジアミドポリアルキレンポリアミン縮合物、ポリアルキレンポリアミンジシアンジアミドアンモニウム塩縮合物、ジシアンジアミドホルマリン縮合物、エピクロルヒドリン・ジアルキルアミン付加重合物、ジアリルジメチルアンモニウムクロライド重合物、ジアリルジメチルアンモニウムクロライド・SO2共重合物、ポリビニルイミダゾール、ビニルピロリドン・ビニルイミダゾール共重合物、ポリビニルピリジン、ポリアミジン、キトサン、カチオン化澱粉、ビニルベンジルトリメチルアンモニウムクロライド重合物、(2−メタクロイルオキシエチル)トリメチルアンモニウムクロライド重合物、ジメチルアミノエチルメタクリレート重合物、等が挙げられ、特に4級アミンからなるカチオン性ポリマーが好ましい。
また、化学工業時報平成10年8月15,25日に述べられるカチオン性ポリマー、三洋化成工業株式会社発行「高分子薬剤入門」に述べられる高分子染料固着剤が例として挙げられる。
本発明で好ましく用いられるカチオン性ポリマーとして、ポリアミドポリアミン−エピハロヒドリン樹脂が挙げられ、前記化合物と併用することで、皮膜が膨潤するのを防ぎ、インク吸収性や褪色防止効果が更に向上する。
ポリアミドポリアミン−エピハロヒドリン樹脂の中でも、特にポリアミドポリアミン−エピクロルヒドリン樹脂が好ましい。ポリアミドポリアミン−エピハロヒドリン樹脂の使用量は、塗布液中の無機微粒子や水溶性樹脂の量によって変り得るが、記録媒体にした時にインク吸収層中に0.01〜1.0g/m2であることが好ましく、0.01〜0.5g/m2であることがより好ましい。0.01g/m2未満ではインク吸収性及び褪色を改善する効果が少なく、1.0g/m2を越えると塗布乾燥時にクラックが発生するなどの故障が生じることがあ
る。
る。
ポリアミドポリアミン−エピクロルヒドリン樹脂は、エポキシ化ポリアミド樹脂とも呼ばれ、下記式で示される構造を有する化合物である。
前記式中、nは重合度を表す。前記重合度としては、500〜10000が好ましい。前記重合度が、500未満であると人体に害を与える可能性が考えられ、10000を越えると安定性に欠けることがある。
本発明に用いられるポリアミドポリアミン−エピハロヒドリン樹脂の製造方法としては、例えば特開平6−1842に記載された方法が挙げられる。
前記ポリアミドポリアミン−エピハロヒドリン樹脂としては、1種単独で使用してもよいし、異なる重合度のものを混合して併用してもよい。また、前記ポリアミドポリアミン−エピクロルヒドリン樹脂は、適宜合成したものでもよいし、市販品を用いてもよい。
本発明のインクジェット記録用紙は、多孔質インク吸収層を形成する水溶性バインダーの硬膜剤を添加することが好ましい。
本発明で用いることのできる硬化剤としては、水溶性バインダーと硬化反応を起こすものであれば特に制限は無いが、ホウ酸及びその塩が好ましいが、その他にも公知のものが使用でき、一般的には水溶性バインダーと反応し得る基を有する化合物或いは水溶性バインダーが有する異なる基同士の反応を促進するような化合物であり、水溶性バインダーの種類に応じて適宜選択して用いられる。硬化剤の具体例としては、例えば、エポキシ系硬化剤(ジグリシジルエチルエーテル、エチレングリコールジグリシジルエーテル、1,4−ブタンジオールジグリシジルエーテル、1,6−ジグリシジルシクロヘキサン、N,N−ジグリシジル−4−グリシジルオキシアニリン、ソルビトールポリグリシジルエーテル、グリセロールポリグリシジルエーテル等)、アルデヒド系硬化剤(ホルムアルデヒド、グリオキザール等)、活性ハロゲン系硬化剤(2,4−ジクロロ−4−ヒドロキシ−1,3,5−s−トリアジン等)、活性ビニル系化合物(1,3,5−トリスアクリロイル−ヘキサヒドロ−s−トリアジン、ビスビニルスルホニルメチルエーテル等)、アルミニウム明礬等が挙げられる。
ホウ酸またはその塩とは、硼素原子を中心原子とする酸素酸及びその塩のことをいい、具体的には、オルトホウ酸、二ホウ酸、メタホウ酸、四ホウ酸、五ホウ酸及び八ホウ酸及びそれらの塩が挙げられる。
硬化剤としての硼素原子を有するホウ酸及びその塩は、単独の水溶液でも、また、2種以上を混合して使用してもい。特に好ましいのはホウ酸とホウ砂の混合水溶液である。
ホウ酸とホウ砂の水溶液は、それぞれ比較的希薄水溶液でしか添加することができないが両者を混合することで濃厚な水溶液にすることができ、塗布液を濃縮化することができる。また、添加する水溶液のpHを比較的自由にコントロールすることができる利点がある。上記硬化剤の総使用量は、上記水溶性バインダー1g当たり1〜600mgが好ましい。
本発明のインクジェット記録用紙においては、多価金属化合物を用いることができる。
本発明で用いることのできる多価金属化合物は、例えば、アルミニウム、カルシウム、マグネシウム、亜鉛、鉄、ストロンチウム、バリウム、ニッケル、銅、スカンジウム、ガリウム、インジウム、チタン、ジルコニウム、スズ、鉛などの金属化合物を挙げることができ、また多価金属化合物は多価金属塩であってもよい。中でもマグネシウム、アルミニウム、ジルコニウム、カルシウム、亜鉛からなる化合物は無色の為好ましく、多価金属化合物がジルコニウム原子、アルミニウム原子またはマグネシウム原子を含む化合物であることが更に好ましく、多価金属化合物がジルコニウム原子を含む化合物であることが特に好ましい。
本発明で用いることのできるジルコニウム原子、アルミニウム原子またはマグネシウム原子を含む化合物(但し、酸化ジルコニウム及び酸化アルミニウムは除く)は、その化合物自身は水溶性であっても非水溶性であっても良いが、インク吸収層の所望の位置に均一に添加できるものであることが好ましい。
また、本発明で用いることのできるジルコニウム原子、アルミニウム原子またはマグネシウム原子を含む化合物は、無機酸や有機酸の単塩および複塩、有機金属化合物、金属錯体などのいずれであっても良いが、インク吸収層の所望の位置に均一に添加できるものが好ましい。
本発明のインクジェット記録用紙においては、前記多価金属化合物と共に、アミノ酸を併せて用いることができる。
本発明でいうアミノ酸とは、同一分子内にアミノ基とカルボキシル基を有する化合物であり、α−、β−、γ−などいずれのタイプのアミノ酸でもよい。アミノ酸には光学異性体が存在するものもあるが、本発明においては光学異性体による効果の差はなく、いずれの異性体も単独であるいはラセミ体で使用することができる。アミノ酸の詳しい解説は、化学大辞典1縮刷版(共立出版;昭和35年発行)268頁〜270頁の記載を参照することができる。
本発明に用いる支持体は、従来インクジェット記録用紙用として公知のものを適宜使用でき、吸水性支持体であってもいが、非吸水性支持体であることが好ましい。
本発明で用いることのできる吸水性支持体としては、例えば一般の紙、布、木材等を有するシートや板等を挙げることができるが、特に紙は基材自身の吸水性に優れかつコスト的にも優れるために最も好ましい。紙支持体としては、LBKP、NBKP等の化学パルプ、GP、CGP、RMP、TMP、CTMP、CMP、PGW等の機械パルプ、DIP等の古紙パルプ等の木材パルプを主原料としたものが使用可能である。また、必要に応じて合成パルプ、合成繊維、無機繊維等の各種繊維状物質も原料として適宜使用することができる。
上記紙支持体中には必要に応じて、サイズ剤、顔料、紙力増強剤、定着剤等、蛍光増白剤、湿潤紙力剤、カチオン化剤等の従来公知の各種添加剤を添加することができる。
紙支持体は前記の木材パルプなどの繊維状物質と各種添加剤を混合し、長網抄紙機、円網抄紙機、ツインワイヤー抄紙機等の各種抄紙機で製造することができる。また、必要に応じて抄紙段階または抄紙機にスターチ、ポリビニルアルコール等でサイズプレス処理したり、各種コート処理したり、カレンダー処理したりすることもできる。
本発明のインクジェット記録用で用いる支持体としては、特に非吸水性支持体が好ましい。本発明で好ましく用いることのできる非吸水性支持体には、透明支持体または不透明支持体がある。透明支持体としてはポリエステル系樹脂、ジアセテート系樹脂、トリアテセート系樹脂、アクリル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリイミド系樹脂、セロハン、セルロイド等の材料を有するフィルム等が挙げられ、中でもOHPとして使用された時の輻射熱に耐える性質のものが好ましく、ポリエチレンテレフタレートが特に好ましい。このような透明な支持体の厚さとしては、50μm〜200μmが好ましい。
また、不透明支持体としては、例えば、基紙の少なくとも一方に白色顔料等を添加したポリオレフィン樹脂被覆層を有する樹脂被覆紙(いわゆるRCペーパー)、ポリエチレンテレフタレートに硫酸バリウム等の白色顔料を添加してなるいわゆるホワイトペットが好ましい。
前記各種支持体とインク吸収層の接着強度を大きくする等の目的で、インク吸収層の塗布に先立って、支持体にコロナ放電処理や下引処理等を行うことが好ましい。更に、本発明のインクジェット記録用紙は必ずしも無色である必要は無く、着色された記録シートであってもい。
本発明のインクジェット記録用紙では原紙支持体の両面をポリエチレンでラミネートした紙支持体を用いることが、記録画像が写真画質に近く、しかも低コストで高品質の画像が得られるために特に好ましい。そのようなポリエチレンでラミネートした紙支持体について以下に説明する。
紙支持体に用いられる原紙は木材パルプを主原料とし、必要に応じて木材パルプに加えてポリプロピレンなどの合成パルプ或いはナイロンやポリエステルなどの合成繊維を用いて抄紙される。木材パルプとしてはLBKP、LBSP、NBKP、NBSP、LDP、NDP、LUKP、NUKPのいずれも用いることができるが短繊維分の多いLBKP、NBSP、LBSP、NDP、LDPをより多く用いることが好ましい。但し、LBSP及びまたはLDPの比率は10質量%〜70質量%が好ましい。
上記パルプは不純物の少ない化学パルプ(硫酸塩パルプや亜硫酸塩パルプ)が好ましく用いられ、また、漂白処理を行って白色度を向上させたパルプも有用である。
原紙中には、高級脂肪酸、アルキルケテンダイマー等のサイズ剤、炭酸カルシウム、タルク、酸化チタンなどの白色顔料、スターチ、ポリアクリルアミド、ポリビニルアルコール等の紙力増強剤、蛍光増白剤、ポリエチレングリコール類等の水分保持剤、分散剤、4級アンモニウム等の柔軟化剤などを適宜添加することができる。
抄紙に使用するパルプの濾水度はCSFの規定で200〜500mlが好ましく、また、叩解後の繊維長がJIS−P−8207に規定される24メッシュ残分の質量%と42メッシュ残分の質量%との和が30〜70%が好ましい。尚、4メッシュ残分の質量%は20質量%以下であることが好ましい。
原紙の坪量は30〜250gが好ましく、特に50〜200gが好ましい。原紙の厚さは40〜250μmが好ましい。
原紙は抄紙段階または抄紙後にカレンダー処理して高平滑性を与えることもできる。原紙密度は0.7〜1.2g/cm3(JIS−P−8118)が一般的である。更に原紙剛度はJIS−P−8143に規定される条件で20〜200gが好ましい。
原紙表面には表面サイズ剤を塗布してもく、表面サイズ剤としては前記原紙中添加できるサイズと同様のサイズ剤を使用できる。
原紙のpHはJIS−P−8113で規定された熱水抽出法により測定された場合、5〜9であることが好ましい。
原紙表面及び裏面を被覆するポリエチレンは、主として低密度のポリエチレン(LDPE)及び/または高密度のポリエチレン(HDPE)であるが他のLLDPEやポリプロピレン等も一部使用することができる。
特にインク吸収層側のポリエチレン層は写真用印画紙で広く行われているようにルチルまたはアナターゼ型の酸化チタンをポリエチレン中に添加し、不透明度及び白色度を改良したものが好ましい。酸化チタン含有量はポリエチレンに対して通常3質量%〜20質量%、好ましくは4質量%〜13質量%である。
ポリエチレン被覆紙は光沢紙として用いることも、また、ポリエチレンを原紙表面上に溶融押し出してコーティングする際にいわゆる型付け処理を行って通常の写真印画紙で得られるようなマット面や絹目面を形成したものも本発明で使用できる。
上記ポリエチレン被覆紙においては紙中の含水率を3質量%〜10質量%に保持するのが特に好ましい。
本発明のインクジェット記録用紙には、各種の添加剤を添加することができる。例えば、ポリスチレン、ポリアクリル酸エステル類、ポリメタクリル酸エステル類、ポリアクリルアミド類、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、またはこれらの共重合体、またはメラミン樹脂等の有機ラテックス微粒子、カチオンまたはノニオンの各種界面活性剤、特開昭57−74193号、同57−87988号及び同62−261476号に記載の紫外線吸収剤、特開昭57−74192号、同57−87989号、同60−72785号、同61−146591号、特開平1−95091号及び同3−13376号等に記載されている褪色防止剤、特開昭59−42993号、同59−52689号、同62−280069号、同61−242871号及び特開平4−219266号等に記載されている蛍光増白剤、硫酸、リン酸、クエン酸、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸カリウム等のpH調整剤、消泡剤、防腐剤、増粘剤、帯電防止剤、マット剤等の公知の各種添加剤を含有させることもできる。
次に、本発明のインクジェット記録用紙の製造方法について説明する。
インクジェット記録用紙の製造方法としては、インク吸収層を含む各構成層を、各々単独に或いは同時に、公知の塗布方式から適宜選択して、支持体上に塗布、乾燥して製造することができる。塗布方式としては、例えば、ロールコーティング法、ロッドバーコーティング法、エアナイフコーティング法、スプレーコーティング法、カーテン塗布方法、或いは米国特許第2,761,419号、同第2,761,791号公報に記載のホッパーを使用するスライドビード塗布方法、エクストルージョンコート法等が好ましく用いられる。
同時重層塗布を行う際の各塗布液の粘度としては、スライドビード塗布方式を用いる場合には、5〜100mPa・sの範囲が好ましく、更に好ましくは10〜50mPa・sの範囲である。また、カーテン塗布方式を用いる場合には、5〜1200mPa・sの範囲が好ましく、更に好ましくは25〜500mPa・sの範囲である。
また、塗布液の15℃における粘度としては、100mPa・s以上が好ましく、100〜30,000mPa・sがより好ましく、更に好ましくは3,000〜30,000mPa・sであり、最も好ましいのは10,000〜30,000mPa・sである。
塗布及び乾燥方法としては、塗布液を30℃以上に加温して、同時重層塗布を行った後、形成した塗膜の温度を1〜15℃に一旦冷却し、10℃以上で乾燥することが好ましい。塗布液調製時、塗布時及び乾燥時おいて、表層に含まれる熱可塑性樹脂が製膜しないように、該熱可塑性樹脂のTg以下の温度で塗布液の調製、塗布、乾燥することが好ましい。より好ましくは、乾燥条件として、湿球温度5〜50℃、膜面温度10〜50℃の範囲の条件で行うことである。また、塗布直後の冷却方式としては、形成された塗膜均一性の観点から、水平セット方式で行うことが好ましい。
また、その製造過程で35℃以上、70℃以下の条件で24時間以上、60日以下保存する工程を有することが好ましい。
加温条件は、35℃以上、70℃以下の条件で24時間以上、60日以下保存する条件であれば特に制限は無いが、好ましい例としては、例えば、36℃で3日〜4週間、40℃で2日〜2週間、或いは55℃で1〜7日間である。この熱処理を施すことにより、水溶性バインダーの硬化反応の促進、或いは水溶性バインダーの結晶化を促進することができ、その結果、好ましいインク吸収性を達成することができる。
本発明のインクジェット記録方法に使用するインクジェットヘッドは、オンデマンド方式でもコンティニュアス方式でも構わない。また、吐出方式としては、電気−機械変換方式(例えば、シングルキャビティー型、ダブルキャビティー型、ベンダー型、ピストン型、シェアーモード型、シェアードウォール型等)、電気−熱変換方式(例えば、サーマルインクジェット型、バブルジェット(R)型等)、静電吸引方式(例えば、電解制御型、スリットジェット型等)などを具体的な例として挙げることができるが、いずれの吐出方式を用いても構わない。
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
実施例1
《染料インクの調製》
〔イエローインクY1の調製〕
イエロー染料(例示化合物Y−1) 3.0質量%
ジエチレングリコール 8.0質量%
グリセリン 9.0質量%
トリエチレングリコールモノブチルエーテル 9.0質量%
オルフィンE1010(日信化学製、ノニオン界面活性剤) 1.0質量%
トリエタノールアミン 0.1質量%
プロキセルGXL(バイエル社製) 0.1質量%
水で全量を100質量%に仕上げて、イエローインクY1を調製した。
《染料インクの調製》
〔イエローインクY1の調製〕
イエロー染料(例示化合物Y−1) 3.0質量%
ジエチレングリコール 8.0質量%
グリセリン 9.0質量%
トリエチレングリコールモノブチルエーテル 9.0質量%
オルフィンE1010(日信化学製、ノニオン界面活性剤) 1.0質量%
トリエタノールアミン 0.1質量%
プロキセルGXL(バイエル社製) 0.1質量%
水で全量を100質量%に仕上げて、イエローインクY1を調製した。
〔その他の各色染料インクの調製〕
上記イエローインクY1の調製において、染料の種類及び添加量を表1に記載の様に変更した以外は同様にして、イエローインクY2〜Y4、濃色イエローインクDY1、DY2、マゼンタインクM1〜M4、淡色マゼンタインクLM1〜LM3、シアンインクC1〜C4、淡色シアンインクLC1〜LC3、ブラックインクK1、K2を調製した。
上記イエローインクY1の調製において、染料の種類及び添加量を表1に記載の様に変更した以外は同様にして、イエローインクY2〜Y4、濃色イエローインクDY1、DY2、マゼンタインクM1〜M4、淡色マゼンタインクLM1〜LM3、シアンインクC1〜C4、淡色シアンインクLC1〜LC3、ブラックインクK1、K2を調製した。
《インクセット1〜9の調製》
上記調製した各色染料インクと、セイコーエプソン社製PM−980Cプリンター用の各色純正インクとを、表2に記載の様に組み合わせてインクセット1〜9を調製した。
上記調製した各色染料インクと、セイコーエプソン社製PM−980Cプリンター用の各色純正インクとを、表2に記載の様に組み合わせてインクセット1〜9を調製した。
なお、表2に記載の略称は以下の通りである。
*1:セイコーエプソン社製PM−980Cプリンター用の純正イエローインク
*2:セイコーエプソン社製PM−980Cプリンター用の純正ダークイエローインク
*3:セイコーエプソン社製PM−980Cプリンター用の純正ライトマゼンタインク
*4:セイコーエプソン社製PM−980Cプリンター用の純正マゼンタインク
*5:セイコーエプソン社製PM−980Cプリンター用の純正ライトシアンインク
*6:セイコーエプソン社製PM−980Cプリンター用の純正シアンインク
*7:セイコーエプソン社製PM−980Cプリンター用の純正ブラックインク
*2:セイコーエプソン社製PM−980Cプリンター用の純正ダークイエローインク
*3:セイコーエプソン社製PM−980Cプリンター用の純正ライトマゼンタインク
*4:セイコーエプソン社製PM−980Cプリンター用の純正マゼンタインク
*5:セイコーエプソン社製PM−980Cプリンター用の純正ライトシアンインク
*6:セイコーエプソン社製PM−980Cプリンター用の純正シアンインク
*7:セイコーエプソン社製PM−980Cプリンター用の純正ブラックインク
《記録用紙の作製》
[記録用紙1の作製]
〔支持体の作製〕
木材パルプ(LBKP/NBSP=50/50)100質量部に対して、ポリアクリルアミドを1質量部、灰分(タルク)を4質量、カチオン化澱粉を2質量部、ポリアミドエピクロロヒドリン樹脂を0.5質量部、及び種々の添加量のアルキルケテンダイマー(サイズ剤)を含有するスラリー液を調製し、長網抄紙機で坪量が170g/m2になるように基紙を抄造した。これにカレンダー処理した後、7質量%のアナターゼ型酸化チタンおよび少量の色調調整剤を含有する密度0.92の低密度ポリエチレン樹脂を320℃で厚さ28μmになるように溶融押し出しコーティング法で基紙の片面を被覆し、鏡面クーリングローラーで直後に冷却した。次いで、反対側の面を密度0.96の高密度ポリエチレン/密度0.92の低密度ポリエチレン=70/30の混合した溶融物を同様に溶融押し出し法で、厚さが32μmになるように被覆した。
[記録用紙1の作製]
〔支持体の作製〕
木材パルプ(LBKP/NBSP=50/50)100質量部に対して、ポリアクリルアミドを1質量部、灰分(タルク)を4質量、カチオン化澱粉を2質量部、ポリアミドエピクロロヒドリン樹脂を0.5質量部、及び種々の添加量のアルキルケテンダイマー(サイズ剤)を含有するスラリー液を調製し、長網抄紙機で坪量が170g/m2になるように基紙を抄造した。これにカレンダー処理した後、7質量%のアナターゼ型酸化チタンおよび少量の色調調整剤を含有する密度0.92の低密度ポリエチレン樹脂を320℃で厚さ28μmになるように溶融押し出しコーティング法で基紙の片面を被覆し、鏡面クーリングローラーで直後に冷却した。次いで、反対側の面を密度0.96の高密度ポリエチレン/密度0.92の低密度ポリエチレン=70/30の混合した溶融物を同様に溶融押し出し法で、厚さが32μmになるように被覆した。
インク吸収層を設ける側の面の60度光沢度は56%、中心線平均粗さRaは0.12μmであった。
この支持体の酸化チタン含有層側に、コロナ放電した後、ゼラチン0.05g/m2を下引き層として塗布した。
一方反対側には、平均粒径約1.0μmのシリカ微粒子(マット剤)と少量のカチオン性ポリマー(導電剤)を含有するスチレン/アクリル系エマルジョンを、乾燥膜厚が約0.5μmになるように塗布して、インク吸収層を塗布するための支持体を作製した。
バック面側は、光沢度が約18%、中心線平均粗さRaが約4.5μm、ベック平滑度は160〜200秒であった。
このようにして得られた支持体の基紙の含水率は7.0〜7.2%であった。
また、この支持体の不透明度は96.5%、白さは、L*=95.2、a*=0.56、b*=−4.35であった。
〔インク吸収層塗布液の調製〕
下記の手順に従って、下記の組成からなるインク吸収層用塗布液を調製した。
下記の手順に従って、下記の組成からなるインク吸収層用塗布液を調製した。
(酸化チタン分散液1の調製)
平均粒径が約0.25μmの酸化チタン20kg(石原産業製:W−10)を、pH=7.5のトリポリリン酸ナトリウムを150g、ポリビニルアルコール(クラレ株式会社製:PVA235)を500g、カチオンポリマー(P−1)を150g及びサンノブコ株式会社の消泡剤SN381を10g含有する水溶液90Lに添加し、高圧ホモジナイザー(三和工業株式会社製)で分散した後、全量を100Lに仕上げて均一な酸化チタン分散液1を得た。
平均粒径が約0.25μmの酸化チタン20kg(石原産業製:W−10)を、pH=7.5のトリポリリン酸ナトリウムを150g、ポリビニルアルコール(クラレ株式会社製:PVA235)を500g、カチオンポリマー(P−1)を150g及びサンノブコ株式会社の消泡剤SN381を10g含有する水溶液90Lに添加し、高圧ホモジナイザー(三和工業株式会社製)で分散した後、全量を100Lに仕上げて均一な酸化チタン分散液1を得た。
(シリカ分散液1の調製)
水 71L
ホウ酸 0.27kg
ほう砂 0.24kg
エタノール 2.2L
カチオン性ポリマー(P−1)25%水溶液 17L
退色防止剤(AF1 *1)10%水溶液 8.5L
蛍光増白剤水溶液(*2) 0.1L
全量を純水で100Lに仕上げた。
水 71L
ホウ酸 0.27kg
ほう砂 0.24kg
エタノール 2.2L
カチオン性ポリマー(P−1)25%水溶液 17L
退色防止剤(AF1 *1)10%水溶液 8.5L
蛍光増白剤水溶液(*2) 0.1L
全量を純水で100Lに仕上げた。
無機微粒子として、気相法シリカ(平均一次粒子径 約12nm)を50kg用意し、これに上記添加剤を添加した後、特開2002−47454号公報の実施例5に記載された分散方法により分散してシリカ分散液1を得た。
*1:退色防止剤(AF−1) HO−N(C2H4SO3Na)2
*2:チバ・スペシャリティーケミカルズ社製、UVITEX NFW LIQUID
(シリカ分散液2の調製)
上記シリカ分散液1の調製において、カチオン性ポリマー(P−1)を、カチオン性ポリマー(P−2)に変更した以外は同様にして、シリカ分散液2を調製した。
*2:チバ・スペシャリティーケミカルズ社製、UVITEX NFW LIQUID
(シリカ分散液2の調製)
上記シリカ分散液1の調製において、カチオン性ポリマー(P−1)を、カチオン性ポリマー(P−2)に変更した以外は同様にして、シリカ分散液2を調製した。
(インク吸収層塗布液の調製)
第1層、第2層、第3層及び第4層の各インク吸収層用塗布液を、以下の手順で調製した。
第1層、第2層、第3層及び第4層の各インク吸収層用塗布液を、以下の手順で調製した。
〈第1層用塗布液〉
シリカ分散液1の610mlに、40℃で攪拌しながら以下の添加剤を順次混合した。
シリカ分散液1の610mlに、40℃で攪拌しながら以下の添加剤を順次混合した。
ポリビニルアルコール(クラレ工業株式会社製:PVA235)の5%水溶液
220ml
ポリビニルアルコール(クラレ工業株式会社製:PVA245)の5%水溶液
80ml
酸化チタン分散液 30ml
ポリブタジエン分散液(平均粒径約0.5μm、固形分濃度40%) 15ml
界面活性剤(SF1)5%水溶液 1.5ml
純水で全量を1000mlに仕上げた。
220ml
ポリビニルアルコール(クラレ工業株式会社製:PVA245)の5%水溶液
80ml
酸化チタン分散液 30ml
ポリブタジエン分散液(平均粒径約0.5μm、固形分濃度40%) 15ml
界面活性剤(SF1)5%水溶液 1.5ml
純水で全量を1000mlに仕上げた。
〈第2層用塗布液〉
シリカ分散液1の630mlに、40℃で攪拌しながら以下の添加剤を順次混合した。
シリカ分散液1の630mlに、40℃で攪拌しながら以下の添加剤を順次混合した。
ポリビニルアルコール(クラレ工業株式会社製:PVA235)の5%水溶液
180ml
ポリビニルアルコール(クラレ工業株式会社製:PVA245)の5%水溶液
80ml
ポリブタジエン分散液(平均粒径約0.5μm、固形分濃度40%) 15ml
純水で全量を1000mlに仕上げた。
180ml
ポリビニルアルコール(クラレ工業株式会社製:PVA245)の5%水溶液
80ml
ポリブタジエン分散液(平均粒径約0.5μm、固形分濃度40%) 15ml
純水で全量を1000mlに仕上げた。
〈第3層用塗布液〉
シリカ分散液2の650mlに、40℃で攪拌しながら以下の添加剤を順次混合した。
ポリビニルアルコール(クラレ工業株式会社製:PVA235)の5%水溶液
180ml
ポリビニルアルコール(クラレ工業株式会社製:PVA245)の5%水溶液
80ml
純水で全量を1000mlに仕上げた。
シリカ分散液2の650mlに、40℃で攪拌しながら以下の添加剤を順次混合した。
ポリビニルアルコール(クラレ工業株式会社製:PVA235)の5%水溶液
180ml
ポリビニルアルコール(クラレ工業株式会社製:PVA245)の5%水溶液
80ml
純水で全量を1000mlに仕上げた。
〈第4層用塗布液〉
シリカ分散液2の650mlに、40℃で攪拌しながら以下の添加剤を順次混合した。
シリカ分散液2の650mlに、40℃で攪拌しながら以下の添加剤を順次混合した。
ポリビニルアルコール(クラレ工業株式会社製:PVA235)の5%水溶液
180ml
ポリビニルアルコール(クラレ工業株式会社製:PVA245)の5%水溶液
80ml
サポニン50%水溶液 4ml
界面活性剤(SF1)5%水溶液 6ml
純水で全量を1000mlに仕上げた。
180ml
ポリビニルアルコール(クラレ工業株式会社製:PVA245)の5%水溶液
80ml
サポニン50%水溶液 4ml
界面活性剤(SF1)5%水溶液 6ml
純水で全量を1000mlに仕上げた。
上記のようにして調製した各塗布液を、20μmの捕集可能なフィルターで2段ろ過した。
上記各塗布液は、いずれも40℃において30〜80mPa・s、15℃において30000〜100000mPa.sの粘度特性を示した。
(塗布)
このようにして得られた各塗布液を、上記作製したポリオレフィンで両面を被覆した支持体の表側に、第1層(35μm)、第2層(45μm)、第3層(45μm)、第4層(40μm)の順になるように各層を同時塗布した。なお、各層のかっこ内の数値は、それぞれの湿潤膜厚を示す。塗布は、各塗布液を40℃で4層式カーテンコーターを用い、塗布幅:約1.5m、塗布速度:100m/分で同時塗布を行った。
このようにして得られた各塗布液を、上記作製したポリオレフィンで両面を被覆した支持体の表側に、第1層(35μm)、第2層(45μm)、第3層(45μm)、第4層(40μm)の順になるように各層を同時塗布した。なお、各層のかっこ内の数値は、それぞれの湿潤膜厚を示す。塗布は、各塗布液を40℃で4層式カーテンコーターを用い、塗布幅:約1.5m、塗布速度:100m/分で同時塗布を行った。
塗布直後に8℃に保持した冷却ゾーンで20秒間冷却した後、20〜30℃、相対湿度20%以下で30秒間、60℃、相対湿度20%以下で120秒間、55℃、相対湿度20%以下で60秒間、各々の乾燥風を吹き付けて乾燥した。恒率乾燥域における皮膜温度は8〜30℃であり、減率乾燥域で皮膜温度が徐々に上昇した後、23℃、相対湿度40〜60%の調湿ゾーンで調湿してロール状に巻き取って記録用紙1を得た。得られた記録用紙1は、次いでロール状のまま40℃で5日間加温保管した後、所定のサイズに断裁した。
[記録用紙2の作製]
上記記録用紙1の作製において、第1層〜第4層の各塗布液に、それぞれ10%尿素水溶液を10ml添加した以外は同様にして、記録用紙2を作製した。
上記記録用紙1の作製において、第1層〜第4層の各塗布液に、それぞれ10%尿素水溶液を10ml添加した以外は同様にして、記録用紙2を作製した。
《インクジェット画像記録及び評価》
上記調製した各インクセットを、セイコーエプソン社製のPM−980Cプリンターの各インクカートリッジにそれぞれ装填してプリント可能な状態とし、用紙設定をPM写真用紙の設定として、インクセットと記録用紙を表3に記載の組み合わせで、各記録用紙上に画像印字を行って、プリント1〜18を作成した。
上記調製した各インクセットを、セイコーエプソン社製のPM−980Cプリンターの各インクカートリッジにそれぞれ装填してプリント可能な状態とし、用紙設定をPM写真用紙の設定として、インクセットと記録用紙を表3に記載の組み合わせで、各記録用紙上に画像印字を行って、プリント1〜18を作成した。
以上のようにして作成した各プリントについて、下記の評価を行った。
(画像濃度の評価)
上記インクジェットプリンターで、各記録用紙上に、シアン、マゼンタ、イエローのベタ画像をプリントし、その各色画像の反射濃度を測定した。なお、反射濃度は光学濃度計(X−Rite社製938分光濃度計)を用いて測定し、下記の基準に従って画像濃度の評価を行った。
上記インクジェットプリンターで、各記録用紙上に、シアン、マゼンタ、イエローのベタ画像をプリントし、その各色画像の反射濃度を測定した。なお、反射濃度は光学濃度計(X−Rite社製938分光濃度計)を用いて測定し、下記の基準に従って画像濃度の評価を行った。
A:画像濃度が、1.6以上
B:画像濃度が、1.4以上1.6未満
C:画像濃度が、1.2以上1.4未満
D:画像濃度が、1.2未満
(ブロンジング耐性の評価)
上記インクジェットプリンターで、各記録用紙上に黒のベタ画像をプリントし、23℃、相対湿度80%の雰囲気下で1週間保存した後、プリント画像のブロンジングの発生状態を目視観察し、下記の基準に従ってブロンジング耐性を評価した。
B:画像濃度が、1.4以上1.6未満
C:画像濃度が、1.2以上1.4未満
D:画像濃度が、1.2未満
(ブロンジング耐性の評価)
上記インクジェットプリンターで、各記録用紙上に黒のベタ画像をプリントし、23℃、相対湿度80%の雰囲気下で1週間保存した後、プリント画像のブロンジングの発生状態を目視観察し、下記の基準に従ってブロンジング耐性を評価した。
A:ブロンジングが認められない
B:わずかにブロンジングが認められるが問題ない
C:一部でブロンジングが認められるが実用上問題ない
D:ブロンジングが激しく認められる
(耐光性の評価)
上記インクジェットプリンターで、各記録用紙上に、シアン、マゼンタ、イエローのベタ画像をプリントし、各ベタ画像の濃度約1.0の画像サンプルを、キセノン・フェードメーターを用いて、70000ルクスで、100時間照射した後、各色画像の反射濃度残存率(照射後の反射濃度/照射前の反射濃度×100%)を測定し、下記の基準に従って耐光性の評価を行った。なお、反射濃度は光学濃度計(X−Rite社製938分光濃度計)を用いて測定した
A:反射濃度残存率が90%以上
B:反射濃度残存率が89%〜80%
C:反射濃度残存率が79%〜70%
D:反射濃度残存率が69%以下
(オゾン褪色耐性の評価)
上記インクジェットプリンターで、各記録用紙上に、シアン、マゼンタ、イエローのベタ画像をプリントし、各ベタ画像の濃度約1.0の画像サンプルを、オゾン試験機(スガ試験機械(株)社製オゾンウェザーメーターOMS−H)を用いて、オゾン濃度2ppmで24時間曝露した。暴露した後、反射濃度残存率(暴露後の反射濃度/暴露前の反射濃度×100%)を測定し、下記の基準に従ってオゾン褪色耐性を評価した。
B:わずかにブロンジングが認められるが問題ない
C:一部でブロンジングが認められるが実用上問題ない
D:ブロンジングが激しく認められる
(耐光性の評価)
上記インクジェットプリンターで、各記録用紙上に、シアン、マゼンタ、イエローのベタ画像をプリントし、各ベタ画像の濃度約1.0の画像サンプルを、キセノン・フェードメーターを用いて、70000ルクスで、100時間照射した後、各色画像の反射濃度残存率(照射後の反射濃度/照射前の反射濃度×100%)を測定し、下記の基準に従って耐光性の評価を行った。なお、反射濃度は光学濃度計(X−Rite社製938分光濃度計)を用いて測定した
A:反射濃度残存率が90%以上
B:反射濃度残存率が89%〜80%
C:反射濃度残存率が79%〜70%
D:反射濃度残存率が69%以下
(オゾン褪色耐性の評価)
上記インクジェットプリンターで、各記録用紙上に、シアン、マゼンタ、イエローのベタ画像をプリントし、各ベタ画像の濃度約1.0の画像サンプルを、オゾン試験機(スガ試験機械(株)社製オゾンウェザーメーターOMS−H)を用いて、オゾン濃度2ppmで24時間曝露した。暴露した後、反射濃度残存率(暴露後の反射濃度/暴露前の反射濃度×100%)を測定し、下記の基準に従ってオゾン褪色耐性を評価した。
A:反射濃度残存率が90%以上
B:反射濃度残存率が89%〜80%
C:反射濃度残存率が79%〜70%
D:反射濃度残存率が69%以下
(色調変動耐性の評価)
上記インクジェットプリンターで、各記録用紙上に、シアン、マゼンタ、イエローの濃度約1.0の各ベタ画像サンプルと、黒、青、緑、赤の各ベタ画像をそれぞれ濃度約1.0になるようにプリントした(黒はB、G、Rとも濃度約1.0、青はマゼンタ、シアン濃度が約1.0、緑はイエロー、シアン濃度が約1.0、赤はイエロー、マゼンタ濃度が約1.0)。
B:反射濃度残存率が89%〜80%
C:反射濃度残存率が79%〜70%
D:反射濃度残存率が69%以下
(色調変動耐性の評価)
上記インクジェットプリンターで、各記録用紙上に、シアン、マゼンタ、イエローの濃度約1.0の各ベタ画像サンプルと、黒、青、緑、赤の各ベタ画像をそれぞれ濃度約1.0になるようにプリントした(黒はB、G、Rとも濃度約1.0、青はマゼンタ、シアン濃度が約1.0、緑はイエロー、シアン濃度が約1.0、赤はイエロー、マゼンタ濃度が約1.0)。
各画像について、プリントした5分後に測色(L*a*b*を測定)を行い、室温に8時間放置した後、再び測色を行った。特性値の測定は、X−Rite社製938分光濃度計を用いて行った。5分後の測定値と8時間後の測定値から色差ΔE(L*、a*、b*の差の二乗和の平方根)を計算した。各色ベタプリントのΔEの最大値(ΔEmax)から下記の基準に従って色調変動の評価を行った。
A:ΔEmaxが1.0未満
B:ΔEmaxが1.0以上、2.0未満
C:ΔEmaxが2.0以上、4.0未満
D:ΔEmaxが4.0以上
以上により得られた結果を、表3に示す。
B:ΔEmaxが1.0以上、2.0未満
C:ΔEmaxが2.0以上、4.0未満
D:ΔEmaxが4.0以上
以上により得られた結果を、表3に示す。
表3の結果から明らかなように、本発明に係る染料を含有したインクを用いて比較の記録用紙1にプリントすると、画像濃度、耐光性、オゾン褪色耐性は向上するが、ブロンジング耐性や色調変動耐性は、比較のインクに比べてむしろ劣化する傾向にある(プリント2〜9)。これに対し、記録材料1に替えて本発明の記録用紙2を用いると、画像濃度、耐光性、オゾン褪色耐性に優れた結果を示すと共に、ブロンジング耐性や色調変動耐性が改良され、高品質のプリントが得られれれることが分かる(プリント11〜18)。
実施例2
《記録用紙の作製》
実施例1に記載の記録用紙2の作製において、尿素に代えて、本発明に係る一般式(I)で表される化合物である例示化合物2を、第1層〜第4層の塗布液に、塗布液1Lあたり1g添加した以外は同様にして記録用紙3を作製した。
《記録用紙の作製》
実施例1に記載の記録用紙2の作製において、尿素に代えて、本発明に係る一般式(I)で表される化合物である例示化合物2を、第1層〜第4層の塗布液に、塗布液1Lあたり1g添加した以外は同様にして記録用紙3を作製した。
更に、例示化合物2に代えて、例示化合物14、28、39、50をそれぞれ用いた以外は同様にして記録材料4〜7を作製した。
《インクジェット画像記録及び評価》
これら記録用紙3〜7と実施例1で作製した記録用紙2に、実施例1で調製したインクセット6を用いて、実施例1に記載の方法と同様にして画像形成を行い、プリント19〜23を作成した。
これら記録用紙3〜7と実施例1で作製した記録用紙2に、実施例1で調製したインクセット6を用いて、実施例1に記載の方法と同様にして画像形成を行い、プリント19〜23を作成した。
これらの各プリントについて、実施例1に記載の方法と同様にして、画像濃度、ブロンジング耐性、耐光性、オゾン褪色耐性、色調変動耐性の評価を行い、得られた結果を表4に示す。
表4の結果より明らかなように、尿素に代えて、本発明に係る一般式(I)で表される化合物を用いた本発明の記録用紙を用いて作成したプリントは、実施例1の結果と同様に、画像濃度、耐光性、オゾン褪色耐性に優れた結果を示すと共に、ブロンジング耐性や色調変動耐性が改良され、高品質のプリントが得られれれることを確認することができた。
実施例3
《記録用紙の作製》
実施例1に記載のシリカ分散液2の調製において、カチオンポリマー(P−2)をポリアリルアミン(MW=10000)に変更した以外は同様にしてシリカ分散液3を調製した。同じく、実施例1に記載のシリカ分散液2の調製において、カチオンポリマー(P−2)をポリアミンポリアミドエピクロルヒドリンに変更した以外は同様にしてシリカ分散液4を調製した。
《記録用紙の作製》
実施例1に記載のシリカ分散液2の調製において、カチオンポリマー(P−2)をポリアリルアミン(MW=10000)に変更した以外は同様にしてシリカ分散液3を調製した。同じく、実施例1に記載のシリカ分散液2の調製において、カチオンポリマー(P−2)をポリアミンポリアミドエピクロルヒドリンに変更した以外は同様にしてシリカ分散液4を調製した。
実施例1に記載の記録用紙2の作製において、第3層用塗布液、第4層用塗布液に用いるシリカ分散液2を、上記で調製したシリカ分散液3に変更した以外は同様にして、記録用紙8を作製した。また、同じく第3層用塗布液、第4層用塗布液のシリカ分散液2を上記調製したシリカ分散液4に変更した以外は同様にして、記録用紙9を作製した。
記録用紙2は、4級アミン構造を有するカチオンポリマー(P−2)を、インク吸収層の表面を形成する第4層に含有するのに対し、ここで作製した記録用紙8、9の最表層(第4層)に含まれるカチオン性ポリマーは、4級アミン構造を含有しないことを特徴とする。
《インクジェット画像記録及び評価》
上記作製した記録用紙8、9に、実施例1で調製したインクセット1、6を用いて、実施例1に記載の方法と同様にして画像形成を行い、プリント24〜27を作成した。
上記作製した記録用紙8、9に、実施例1で調製したインクセット1、6を用いて、実施例1に記載の方法と同様にして画像形成を行い、プリント24〜27を作成した。
これらの各プリントについて、実施例1に記載の方法と同様にして、画像濃度、ブロンジング耐性、耐光性、オゾン褪色耐性、色調変動耐性の各評価と、下記の方法に従って滲み耐性の評価を併せて行い、得られた結果を表5に示す。
(にじみ耐性の評価)
M(マゼンタ)の約0.3mm幅のラインを印字し、温度23℃、湿度80%の条件で1週間保存し、ラインの線幅をマイクロデンシトメーターで測定して線幅の広がり率(元の線幅に対する保存後の線幅の比率)を求め、以下の基準に従って評価した。
M(マゼンタ)の約0.3mm幅のラインを印字し、温度23℃、湿度80%の条件で1週間保存し、ラインの線幅をマイクロデンシトメーターで測定して線幅の広がり率(元の線幅に対する保存後の線幅の比率)を求め、以下の基準に従って評価した。
A:線幅広がり率が、1.1未満
B:線幅広がり率が、1.1以上、1.2未満
C:線幅広がり率が、1.2以上、1.3未満
D:線幅広がり率が、1.3以上
なお、表5に記載の*1はポリアリルアミンを、*2はポリアミンポリアミドエピクロルヒドリンを表す。
B:線幅広がり率が、1.1以上、1.2未満
C:線幅広がり率が、1.2以上、1.3未満
D:線幅広がり率が、1.3以上
なお、表5に記載の*1はポリアリルアミンを、*2はポリアミンポリアミドエピクロルヒドリンを表す。
表5の結果より明らかなように、最表層(第4層)に含まれるカチオン性ポリマーが4級アミン構造を有するもの(記録用紙2)であっても、それ以外(記録用紙8、9)であっても、本発明に係るインクセット6を用いて画像形成することにより、画像濃度、耐光性、オゾン褪色耐性の改良が得られる。その中でも、特に、最表層に含まれるカチオン性ポリマーが4級アミン構造を有する記録用紙2が、より高い画像濃度が得られ、滲み耐性の点で優れていることが分かる。
本発明においては、最表層に4級アミンからなるカチオン性ポリマーを含有するインク吸収層を有する記録用紙を用いることがより好ましいことが分かる。
Claims (10)
- 下記一般式(1)または一般式(2)で表される染料を含有したインクを、空隙型のインク吸収層を有するインクジェット記録用紙に射出して画像を形成するインクジェット記録方法であって、該インクジェット記録用紙のインク吸収層が、分子量200以下である下記一般式(I)で表される化合物を含有することを特徴とするインクジェット記録方法。
- 少なくとも1つのインクが前記一般式(1)で表される染料を含有し、かつ少なくとも1つのインクが前記一般式(2)で表される染料を含有するインクセットを用いて画像を形成することを特徴とする請求項1に記載のインクジェット記録方法。
- 少なくとも1つのインクが、下記一般式(3)または(4)で表される染料を含有するインクセットを用いて画像を形成することを特徴とする請求項1または2に記載のインクジェット記録方法。
- 前記インクが、少なくとも水、色材及び水溶性有機溶剤を含有する水性インクであることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のインクジェット記録方法。
- 前記インクが含有する色材が、全て水溶性染料であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のインクジェット記録方法。
- 前記インクジェット記録用紙が、非吸水性支持体上に無機微粒子とポリビニルアルコールを含有するインク吸収層を有することを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載のインクジェット記録方法。
- 前記インクジェット記録用紙が、非吸水性支持体上に2層以上のインク吸収層を有し、該非吸水性支持体から最も遠い位置にある該インク吸収層が、カチオン性ポリマーを含有することを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載のインクジェット記録方法。
- 前記インクジェット記録用紙が、4級アミンからなるカチオン性ポリマーを含有するインク吸収層を有することを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載のインクジェット記録方法。
- 前記一般式(I)で表される化合物が、尿素または尿素誘導体であることを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載のインクジェット記録方法。
- 請求項1〜9のいずれか1項に記載のインクジェット記録方法に用いられることを特徴とするインクジェット記録用紙。
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JP2003342944A JP2005104056A (ja) | 2003-10-01 | 2003-10-01 | インクジェット記録方法及びそれに用いるインクジェット記録用紙 |
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Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2007177008A (ja) * | 2005-12-27 | 2007-07-12 | Konica Minolta Holdings Inc | インクジェット用インク、インクジェット用インクセット、及びインクジェット記録方法 |
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2003
- 2003-10-01 JP JP2003342944A patent/JP2005104056A/ja active Pending
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