JP2005151731A - ブレーキ付き永久磁石電動機 - Google Patents

Abstract

【課題】製作，組立が容易で高い生産性とコスト低減化が図れるように組立構造を改良したブレーキ付き永久磁石電動機を提供する。
【解決手段】鋳鋼製になるブレーキドラム兼用の碗状回転子ヨーク４を主軸１に枢着し、この回転子ヨークの内側に電磁ブレーキ装置６を対向配置するとともに、回転子ヨークの外周面には断面形状がダブテールを呈した磁石保持用の楔形凹溝４ａを定ピッチ間隔で軸方向に形成した上で、該凹溝に側方から台形状の永久磁石を嵌入して回転遠心力を回転子ヨークで受けるようにし、さらに接着剤で所定位置に固定する。
【選択図】 図１

Description

本発明は、エレベータ巻上機などに適用するブレーキ付き永久磁石電動機に関する。

エレベータ用巻上機として、主軸に電動機の回転子ヨークおよびブレーキドラムを兼用する碗状の回転体を枢着し、この回転体の内周面を制動面としてその内側に電磁ブレーキを組み込んだ構成のブレーキ付き電動機が公知である（例えば、特許文献１参照）。
一方、最近では誘導電動機に比べて保守性，制御性，耐環境性に優れ、またインバータ制御により高効率，高出力運転が可能な永久磁石形電動機が巻上機用の駆動電動機を含めて産業用の各種モータに広く採用されている。
この永久磁石電動機は回転子の界磁極として、回転子ヨークの周面に永久磁石を定ピッチ間隔に配置したものであり、回転子ヨークへの永久磁石の取付けには、接着剤による固定，ボルト締結，あるいはヨークに埋設するなどの各種構造が知られている。
特開２０００−２８９９５４号公報

ところで、前記の永久磁石電動機については、製作コスト低減，生産性の向上を図る上からもできるだけ簡易の加工，組立方法で回転子のヨーク周面に永久磁石を位置精度よく配置することが重要な課題となる。かかる点、接着剤で永久磁石を回転子ヨークに固定する方法は強度的に信頼性が低く、またボルト締結する方法は加工，組立に多くの工数を要するほか、ボルト締め力で永久磁石が折損するおそれがある。さらに、回転子ヨークに永久磁石を埋設した構造は高い信頼性が得られるが製作コストが高くなる。
本発明は上記の点に鑑みなされたものであり、その目的は製作，組立が容易で高い生産性とコスト低減化が図れるように組立構造を改良したブレーキ付き永久磁石電動機を提供することにある。

上記目的を達成するために、本発明によれば、鋳鋼製になるブレーキドラム兼用の碗状回転子ヨークを主軸に枢着して、該回転子ヨークの内側に電磁ブレーキを対向配置するとともに、回転子ヨークの外周面には断面形状が楔形を呈した磁石保持用の凹溝を定ピッチ間隔で軸方向に形成した上で、該凹溝に台形状の永久磁石を嵌着して構成する（請求項１）ものとし、さらに回転子ヨークの凹溝内に嵌入した永久磁石を接着剤で固定するようにする（請求項２）。

上記構成のように、回転子ヨークの外周面に断面形状が楔形（例えばダブテール形状）の凹溝を形成し、この凹溝に側方から台形状の永久磁石を嵌着することにより、締結ボルトを用いたり、ヨーク内に埋設したりすることなく、電動機の回転時に各永久磁石に作用する遠心力を楔形凹溝を介して回転子ヨークに分担支持できる。しかも、その製作は簡単な切削加工で寸法精度よく対応でき、また永久磁石を凹溝に嵌入するだけで生産性よく組み立てできる。また、凹溝内への嵌入位置で永久磁石と回転子ヨークとを接着剤で接合することで耐久性，信頼性がより一層向上する。

以下、本発明の実施の形態を図１〜図３に示す実施例に基づいて説明する。
各図において、１は主軸、２は碗状の固定子ヨーク、３は固定子ヨーク２の内周面に設けた電機子、３ａは電機子コイル、４は主軸１に枢着して前記の固定子ヨークの内側に配置した鋳鋼製になるブレーキドラム兼用の碗状回転子ヨーク、５は電機子３に対向して回転子ヨーク４の外周面上に配備した永久磁石（回転子の界磁極）、６は回転子ヨーク４の内周面を制動面としてその内側に設置した電磁ブレーキ、６ａはその制動片、７は電磁ブレーキ６の基台を兼ねた電動機の端板、８，９は軸受である。
ここで、前記の永久磁石５は次のようにして回転子ヨーク４に装着される。すなわち、鋳造品になる回転子ヨーク４の外周面には図２に示すように軸方向に沿って延在する磁石保持用の楔形（ダブテール形）凹溝４ａを、所定ピッチ間隔（図示例は永久磁石５が６極では凹溝のピッチ間隔が６０°）おきに切削加工して形成しておく。なお、この凹溝４ａの横幅は蒲鉾形に成形した永久磁石５の外形サイズに対応し、また永久磁石５は凹溝４ａの形状に対応した断面楔形に成形されている。

そして、回転子ヨーク４に永久磁石５を装着するには、図２で示すように側方から凹溝４ａに嵌入し、あらかじめ塗布しておいた接着剤で固定する。また、必要に応じて永久磁石の底面と凹溝４ａの底面との間の隙間にライナーを介挿して定位置に強固に固定するようにする。なお、制動時に電磁ブレーキ６を作動させると、制動片６ａが回転子ヨーク４の内周面に圧接して制動を掛ける。

本発明の実施例によるブレーキ付き電動機の組立構成図で、(a) は正面図、(b) は(a) の縦断側面図 図１における回転子ヨークに永久磁石を取付ける際の説明図

符号の説明

１ 主軸
２ 固定子ヨーク
３ 電機子
３ａ 電子機コイル
４ 回転子ヨーク
４ａ 楔形凹溝
５ 永久磁石
６ 電磁ブレーキ装置

Claims (2)

1. 回転子磁極に永久磁石を用いたブレーキ付き永久磁石電動機であって、主軸に鋳鋼製になるブレーキドラム兼用の碗状回転子ヨークを枢着し、該回転子ヨークの内側に電磁ブレーキを対向配置するとともに、回転子ヨークの外周面には断面形状が楔形を呈した磁石保持用の凹溝を定ピッチ間隔で軸方向に形成した上で、該凹溝に台形状の永久磁石を嵌着して固定子コイルに対向配置したことを特徴とするブレーキ付き永久磁石電動機。
2. 請求項１に記載の永久磁石電動機において、回転子ヨークの凹溝内に嵌入した永久磁石を接着剤で固定したことを特徴とするブレーキ付き永久磁石電動機。

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