しかしながら、上記した燃料電池では、隣設する燃料電池セル間に集電部材を介装し、その集電部材の弾性力で、隣設する燃料電池セルの間隔を広げるようにして押圧し、電気的な接続を確保していたため、燃料電池セルを押し広げるような力が作用し、燃料電池セルのマニホールドへの固定部に力が作用し、折損したり、セルスタックが口開きするという問題があった。特に、燃料電池セル間の電気的な接続を確保するため、集電部材の弾性力を強くした場合にはその傾向が強い。
本発明は、燃料電池セル間の集電特性を向上できるとともに、燃料電池セルの折損を防止でき、さらにセルスタックの口開きを防止できる燃料電池を提供することを目的とする。
本発明の燃料電池は、複数の燃料電池セルを所定間隔をおいて立設した状態でマニホールドに固定し、隣設する前記燃料電池セル間に集電部材を介装してなるセルスタックを具備するとともに、前記セルスタックの両側にセルスタック保持部材を設け、該セルスタック保持部材の一端部を、前記マニホールドに設けられた挿入孔に挿入固定してなることを特徴とする。
本発明の燃料電池では、集電部材の弾性力で隣設する燃料電池セルの側面を押し広げるようにして、燃料電池セル間を電気的に接続しているため、燃料電池セル間の電気的な接続を確保できるとともに、セルスタックにおける燃料電池セルの配列方向両側に、一端部が、マニホールドに設けられた挿入孔に挿入固定されたセルスタック保持部材を設けたため、集電部材の弾性力で燃料電池セルの側面を押し広げるようにしたとしても、セルスタック保持部材により燃料電池セルの広がりを阻止して燃料電池セルの変形が抑制され、燃料電池セルの折損を確実に防止できるとともに、セルスタックの口開きが抑制され、これにより集電部材による燃料電池セル間の電気的な接続を長期にわたって維持できる。
さらに、セルスタック保持部材に集電部材の弾性力により大きな力が作用したとしても、セルスタック保持部材の一端部は、マニホールドの側面に螺子等により固定されるのではなく、マニホールドの挿入孔に挿入固定されているので、セルスタック保持部材が強固にマニホールドに固定され、燃料電池セル間の電気的な接続を長期にわたって維持できる。
また、本発明の燃料電池では、燃料電池セルの一端部は、セル支持板に設けられたセル挿入孔に挿入固定されていることを特徴とする。また、燃料電池セルの一端部は、配列した状態で一体的に接合固定され、セル支持板に立設していることを特徴とする。さらに、セル支持板はマニホールドの一部を構成していることを特徴とする。
このような燃料電池では、例えば、セル支持板の挿入孔に燃料電池セルの一端部を挿入固定したり、複数の燃料電池セルの一端部を接合剤を充填して固化し、一体的に接合固定することにより、セルスタックを容易に形成でき、このようなセルスタックのセル支持板をマニホールドの天板とすることにより、燃料電池セルをマニホールドに容易に立設することができる。
また、本発明の燃料電池は、マニホールドの挿入孔は貫通しており、セルスタック保持部材の一端部が挿入孔を貫通していることを特徴とする。このような燃料電池では、セルスタック保持部材の一端部がマニホールドの挿入孔を挿通した状態で固定されているため、セルスタック保持部材の固定をさらに強固にできる。
また、本発明の燃料電池は、セルスタック保持部材及び燃料電池セルの一端部は、絶縁材料によりマニホールドに接合されていることを特徴とする。このような燃料電池では、セルスタック保持部材及び燃料電池セルの一端部をマニホールドに強固に固定できるとともに、例えば、金属や合金等の導電材料からマニホールドを形成したとしても、セルスタック保持部材、燃料電池セルとマニホールドの絶縁性を確実に得ることができる。
さらに、本発明の燃料電池は、セルスタック保持部材は、燃料電池セル側に導電体を有しており、該導電体を介して前記燃料電池セルと電気的に接続されていることを特徴とする。このような燃料電池では、セルスタック保持部材の導電体を介して、セルスタック保持部材に対向して存在する燃料電池セルと電気的に接続されているため、セルスタックからの電流をセルスタック保持部材の導電体から確実に取り出すことができる。
また、本発明の燃料電池は、セルスタック保持部材の導電体はマニホールドの挿入孔を貫通しており、前記導電体の先端部には、電流を引き出すための接続部が設けられていることを特徴とする。このような燃料電池では、マニホールドから燃料電池セルの立設方向と反対側に突出した状態で導電体が露出しており、この導電体の先端部に、例えば接続端子を螺子止めできるような接続部が形成されているため、この接続部を介してセルスタック間の電気的接続を確保したり、外部への取り出し端子とできる。
また、本発明の燃料電池は、セルスタック保持部材は、絶縁体に、導電体を該導電体の燃料電池セル側面が露出するように埋設されていることを特徴とする。このような燃料電池では、燃料電池セルと接続される側だけに導電体が露出しており、他の部分は絶縁体で覆われているため、マニホールドと導電体の絶縁性をさらに向上できる。
さらに、本発明の燃料電池は、マニホールドが導電材料からなるとともに、挿入孔における導電体の燃料電池セル側面には絶縁体が設けられていることを特徴とする。このような燃料電池では、導電体とマニホールドの電気的導通を絶縁体により防止できる。
さらに、本発明の燃料電池は、セルスタックの両端の燃料電池セルとセルスタック保持部材とは、端部側集電部材により電気的に接続されていることを特徴とする。このような燃料電池では、セルスタックからの電流を端部側集電部材を介して引き出すことができる。
また、本発明の燃料電池は、セルスタックの両端の燃料電池セルとセルスタック保持部材とは、端部側集電部材により電気的に接続されており、セルスタック同士の電気的接続を端部側集電部材を介して行うことを特徴とする。このような燃料電池では、セルスタック保持部材を絶縁体としても、端部側集電部材を介してセルスタック同士を電気的に接続できる。
また、本発明の燃料電池は、セルスタック保持部材には、端部側集電部材から電流を取り出すための貫通孔又は凹部が形成されていることを特徴とする。このような燃料電池では、例えば、端部側集電部材に接続された電流引き出し線を、セルスタック保持部材に形成された貫通孔又は凹部を介してセルスタック外に引き出すことができる。
本発明の燃料電池は、端部側集電部材は、接合部のない一体構造であることを特徴とする。このような燃料電池では、端部側集電部材に接合部がないため、接合部での損失を抑えることができ、セルスタックの燃料電池セルにおける発電量を低減することなく引き出すことができる。即ち、端部側集電部材が溶接等により形成されていた場合には、その溶接部では高温(発電中に)で腐食が発生して抵抗が大きくなり、損失が発生し、セルスタックから引き出す電流が小さくなるが、本発明では、端部側集電部材が接合部のない一体物からなるため、損失を最小限に抑制できる。このような観点から、燃料電池セル間の集電部材も接合部のない一体構造体であることが望ましい。
また、端部側集電部材が、燃料電池セルに当接する弾性部と、セルスタック保持部材側に形成された固定部とを具備することを特徴とする。このような燃料電池では、端部側集電部材とセルスタック保持部材とを弾性的に保持できるとともに、端部側集電部材をセルスタック保持部材に固定できる。
さらに、端部側集電部材の固定部は枠体であることを特徴とする。端部側集電部材の枠体には、電流を引き出すための引出部が形成されていることを特徴とする。このような燃料電池では、固定部が枠体であるため、セルスタックから引き出した電流は、端部側集電部材の枠体を介して引出部から最短距離で引き出すことができる。
また、本発明の燃料電池は、引出部は、燃料電池セルの立設方向中央部における枠体に設けられていることを特徴とする。このような燃料電池では、燃料電池セルの立設方向の両端部からの電流が、立設方向中央部の引出部から引き出されるため、燃料電池セルの立設方向の両端部からの電流の電流経路が最短となり、セルスタックからの電流を有効に引き出すことができる。
本発明の燃料電池は、複数のセルスタックに設けられたセルスタック保持部材同士が連結し、前記複数のセルスタックが電気的に接続されていることを特徴とする。このような燃料電池では、隣設するセルスタック同士を、連結したセルスタック保持部材により電気的に接続することができる。
また、本発明の燃料電池は、セルスタック保持部材が燃料電池セルに接合されており、前記セルスタック保持部材を介して電流が取り出されることを特徴とする。このような燃料電池では、燃料電池セルとセルスタック保持部材が強固に接合しているため、セルスタック保持部材とセルスタック間の経時的集電力低下を防止できる。
また、本発明の燃料電池は、セルスタック保持部材が導電性セラミックスからなることを特徴とする。このような燃料電池では、発電中でも導電性を確保できるとともに、高い強度を維持できる。
さらに、本発明の燃料電池は、燃料電池セルが、対向する面に電極とインターコネクタを有しており、セルスタック保持部材と前記電極又は前記インターコネクタとが接合されていることを特徴とする。このような燃料電池では、集電部材を介することなく、電流を直接セルスタック保持部材から引きだすことができる。
また、本発明の燃料電池は、集電部材は板材からなることを特徴とする。このような燃料電池では、板状の集電部材を用いているため、燃料電池セルを押し広げようとする力が大きいため、本発明を好適に用いることができる。
また、板状の集電部材を用いることにより、燃料電池セルの側面とは面接触となり、従来のようなフェルト状の集電部材よりも燃料電池セルに当接する面積が大きくなり、集電特性を向上できる。また、集電部材は板状であるため弾性力も大きく、振動等が生じたとしても燃料電池セルとの十分な接触を長期間確保できる。
さらに、集電部材は板状であるため、高温となった場合でも、従来のフェルト状の集電部材よりも焼結しにくく、燃料電池セルとの十分な接触を長期間確保できる。
また、マニホールドと反対側のセルスタック先端部には、スタック先端保持部材が設けられていることを特徴とする。このような燃料電池では、セルスタックの一方側はマニホールドに固定され、他方側の先端部はスタック先端保持部材により固定されるため、セルスタックの口開きをさらに防止できる。
さらに、スタック先端保持部材は、セルスタック先端部を取り囲む枠体であることを特徴とする。このような燃料電池では、スタック先端保持部材によりセルスタックの口開きを確実に防止できるとともに、枠体であるため重量が軽くなり、セルスタックの倒れを防止できる。
また、スタック先端保持部材には、セルスタックを構成する複数の燃料電池セルの先端部が埋設されており、前記燃料電池セル先端面に開口するガス流路に対応する位置に、連通孔が形成されていることを特徴とする。
このような燃料電池では、セルスタック先端保持部材により、燃料電池セルの先端部におけるクラック発生を防止できる。即ち、例えば、燃料電池セル内のガス通路に燃料ガスを、セル外に空気を供給して発電する場合には、セル内のガス通路内に空気が侵入し、燃料電池セルの燃料極が酸化され、膨張し、セル先端部にクラックが発生する虞があったが、本発明では、燃料電池セルの先端面がスタック先端保持部材内に存在し、上記の例で言えば、燃料ガスがガス通路、セルスタック先端保持部材の連通孔を介してセル外に排出され、空気のガス通路への侵入を抑制でき、燃料電池セルの酸化膨張を抑制し、クラック発生を防止できる。
さらに、マニホールドと反対側のセルスタック保持部材の先端部には、スタック先端保持部材が支持されていることを特徴とする。このような燃料電池では、スタック先端保持部材を確実に保持固定でき、セルスタックの倒れを防止できる。
本発明の燃料電池は、配列された複数の燃料電池セル間に集電部材を介装してなるセルスタックを具備するとともに、該セルスタックにおける前記燃料電池セルの配列方向両側にセルスタック保持部材を設け、該セルスタック保持部材と隣設する前記燃料電池セルとの間に端部側集電部材を介装してなり、該端部側集電部材の一部が、前記セルスタックが収容されるハウジングの外部まで延設されていることを特徴とする。このような燃料電池では、端部側集電部材の一部が、溶接等による接合部がない状態で、ハウジングの外部まで延設されているため、セルスタックから電流を有効に引き出すことができる。
本発明の燃料電池は、配列された複数の燃料電池セル間に集電部材を介装してなるセルスタックを具備するとともに、該セルスタックにおける前記燃料電池セルの配列方向両側にセルスタック保持部材を設け、該セルスタック保持部材と隣設する前記燃料電池セルとの間に端部側集電部材を介装してなり、該端部側集電部材が接合部のない一体構造であることを特徴とする。このような燃料電池では、端部側集電部材に接合部がないため、接合部での損失を抑えることができ、セルスタックの燃料電池セルにおける発電量を低減することなく引き出すことができる。即ち、端部側集電部材が溶接等により形成されていた場合には、その溶接部で高温で腐食が発生して抵抗が大きくなり、損失が発生し、セルスタックから引き出す電流が小さくなるが、本発明では、端部側集電部材が接合部のない一体物からなるため、損失を最小限に抑制でき、セルスタックからの電流を有効に引き出すことができる。
また、集電部材の弾性力で隣設する燃料電池セルの側面を押し広げるようにして、燃料電池セル間を電気的に接続しているため、燃料電池セルの電気的な接続を確保できるとともに、セルスタックにおける燃料電池セルの配列方向両側に、セルスタック保持部材を設けたため、集電部材の弾性力で燃料電池セルの側面を押し広げるようにしたとしても、セルスタック保持部材により燃料電池セルの広がりを阻止して燃料電池セルの変形が抑制され、燃料電池セルの折損を確実に防止できるとともに、セルスタックの口開きが抑制され、これにより集電部材による燃料電池セル間の電気的な接続を長期にわたって維持できる。
また、本発明の燃料電池は、端部側集電部材が、燃料電池セルに当接する弾性部と、セルスタック保持部材側に形成された固定部とを具備することを特徴とする。このような燃料電池では、セルスタックとセルスタック保持部材とを弾性的に保持できるとともに、端部側集電部材をセルスタック保持部材に固定できる。
さらに、端部側集電部材の固定部は枠体であることを特徴とする。端部側集電部材の枠体には、電流を引き出すための引出部が形成されていることを特徴とする。このような燃料電池では、固定部が枠体であるため、セルスタックから引き出した電流は、端部側集電部材の枠体を介して引出部から最短距離で引き出すことができる。
また、本発明の燃料電池は、引出部は、燃料電池セルの長さ方向(立設方向)中央部における枠体に設けられていることを特徴とする。このような燃料電池では、燃料電池セルの長さ方向(立設方向)の両端部からの電流が、長さ方向中央部の引出部から引き出されるため、燃料電池セルの長さ方向の両端部からの電流の電流経路が最短となり、セルスタックからの電流を有効に引き出すことができる。
さらに、本発明の燃料電池は、燃料電池セルがマニホールドに立設してセルスタックが構成されていることを特徴とする。このような燃料電池では、燃料電池セルをマニホールドに立設するため、ガスを燃料電池セル内のガス通路に有効に供給できる。
また、本発明の燃料電池は、マニホールドと反対側のセルスタック先端部には、スタック先端保持部材が設けられていることを特徴とする。このような燃料電池では、セルスタックの一方側はマニホールドに固定され、他方側の先端部はスタック先端保持部材により固定されるため、セルスタックの口開きをさらに防止できる。
さらに、スタック先端保持部材は、セルスタック先端部を取り囲む枠体であることを特徴とする。このような燃料電池では、スタック先端保持部材によりセルスタックの口開きを防止できるとともに、枠体であるため重量が軽くなり、セルスタックの倒れを防止できる。
また、スタック先端保持部材には、セルスタックを構成する複数の燃料電池セルの先端部が埋設されており、前記燃料電池セル先端面に開口するガス流路に対応する位置に、連通孔が形成されていることを特徴とする。
このような燃料電池では、セルスタック先端保持部材により、燃料電池セルの先端部におけるクラック発生を防止できる。即ち、例えば、燃料電池セル内のガス通路に燃料ガスを、セル外に空気を供給して発電する場合には、セル内のガス通路内に空気が侵入し、燃料電池セルの燃料極が酸化され、膨張し、セル先端部にクラックが発生する虞があったが、本発明では、燃料電池セルの先端面がスタック先端保持部材内に存在し、上記の例で言えば、燃料ガスがガス通路、セルスタック先端保持部材の連通孔を介してセル外に排出され、空気のガス通路への侵入を抑制でき、燃料電池セルの酸化膨張を抑制し、クラック発生を防止できる。
さらに、マニホールドと反対側のセルスタック保持部材の先端部には、スタック先端保持部材が支持されていることを特徴とする。このような燃料電池では、スタック先端保持部材を確実に保持固定でき、セルスタックの倒れを防止できる。
また、セルスタック保持部材は絶縁体からなることを特徴とする。このような燃料電池では、セルスタック保持部材と、燃料電池セル、マニホールドとの電気的接続を防止できる。
さらに、本発明の燃料電池は、セルスタック保持部材は導電体からなるとともに、前記セルスタック保持部材と端部側集電部材との間には、絶縁体が介在していることを特徴とする。このような燃料電池では、端部側集電部材とセルスタック保持部材との絶縁性を確保でき、セルスタック保持部材と、燃料電池セル、マニホールドとの電気的接続を防止できる。
また、本発明の燃料電池は、燃料電池セルは中空平板形であり、複数の燃料電池セルが、該燃料電池セルの厚み方向に複数配列してセルスタックが構成されていることを特徴とする。
本発明の燃料電池は、集電部材の弾性力で隣設する燃料電池セルの側面を押し広げるようにして、燃料電池セル間を電気的に接続しているため、燃料電池セルの電気的な接続を確保できるとともに、セルスタックにおける燃料電池セルの配列方向両側に、一端部が、マニホールドに設けられた挿入孔に挿入固定されたセルスタック保持部材を設けたため、集電部材の弾性力で燃料電池セルの側面を押し広げるようにしたとしても、セルスタック保持部材により燃料電池セルの広がりを阻止して燃料電池セルの変形が抑制され、燃料電池セルの折損を確実に防止できるとともに、セルスタックの口開きが抑制され、これにより集電部材による燃料電池セル間の電気的な接続を長期にわたって維持できる。
さらに、セルスタック保持部材に集電部材の弾性力により大きな力が作用したとしても、セルスタック保持部材の一端部は、マニホールドの側面に螺子等により固定されるのではなく、マニホールドの挿入孔に挿入固定されているので、セルスタック保持部材が強固にマニホールドに固定され、燃料電池セル間の電気的な接続を長期にわたって維持できる。
また、本発明の燃料電池は、端部側集電部材の一部が、セルスタックが収容されるハウジングの外部まで延設されているため、溶接等の接合部が存在しない端部側集電部材の一部が、ハウジング外まで引き出され、端部側集電部材における溶接部等の腐食が発生しないため、セルスタックの電流を外部まで有効に引き出すことができる。
さらに、本発明の燃料電池は、端部側集電部材が接合部のない一体構造であるため、端部側集電部材に接合部がなく、接合部での損失を抑えることができ、セルスタックの燃料電池セルにおける発電量を低減することなく引き出すことができる。
以下、本発明の燃料電池を図面を参照して詳述する。
図1及び図2を参照して説明すると、図示の燃料電池は略直方体形状のハウジング2を具備している。このハウジング2の6個の壁面には適宜の断熱材料から形成された断熱壁、即ち上断熱壁4、下断熱壁6、右側断熱壁8、左側断熱壁10、前断熱壁(図示していない)及び後断熱壁(図示していない)が配設されている。ハウジング2内には発電・燃焼室12が規定されている。
前断熱壁及び/又は後断熱壁は着脱自在或いは開閉自在に装着されており、前断熱壁及び/又は後断熱壁を離脱或いは開動せしめることによって発電・燃焼室12内にアクセスすることができる。所望ならば、各断熱壁の外面に金属板製でよい外壁を配設することができる。
ハウジング2内の下端部には下部ガス室14が配置され、上端部には上部ガス室16が配設されている。下部ガス室14は上下方向寸法が比較的小さい直方体形状のケース15内に規定されており、同様に上部ガス室16も上下方向寸法が比較的小さい直方体形状のケース17内に規定されている。ハウジング2内の左右両側部には上下方向に延在する連通ガス室18が配設されている。かかる連通ガス室18は横方向(図1において左右方向)寸法が比較的小さい直方体形状のケース19内に規定されている。
連通ガス室18の各々の上面には前後方向に間隔をおいて3個の連通筒20が付設されており、かかる連通筒20を介して連通ガス室18の各々が上部ガス室16の下面両側部に連通されている。連通ガス室18の各々の下端部内側は下部ガス室14の両側面に直接的に連結されている。
従って、上部ガス室16の両側部は連通ガス室18を介して下部ガス室14の両側部に連通せしめられている。下部ガス室14の上面には横方向(図1において左右方向)に間隔をおいて上方に突出する5個の中空ガス噴出板22が配設されている。かかるガス噴出板22の下端は下部ガス室14内に連通せしめられており、上部にはガス噴出孔(図示していない)が形成されている。
ハウジング2の両側部、更に詳しくは右側断熱壁8の内側及び左側断熱壁10の内側には、全体として平板形状である熱交換器24が配設されている。熱交換器24の各々は実質上鉛直に延在する中空平板形態のケース26から構成されている。
かかるケース26内にはその横方向中間に位置する仕切板28が配設されており、ケース26内は内側に位置する排出路30と外側に位置する流入路32とに区画されている。排出路30内には上下方向に間隔をおいて5枚の仕切壁34及び36が配置されている。更に詳述すると、排出路30内には、その前縁はケース26の前壁(図示していない)から後方に離隔して位置するがその後縁はケース26の後壁(図示していない)に接続されている形態の仕切壁34と、その前縁はケース26の前壁に接続されているがその後縁はケース26の後壁から前方に離隔して位置せしめられている仕切壁36とが交互に配置されており、かくして燃焼ガス排出路30はジグザグ形態にせしめられている。
同様に、流入路32内にも上下方向に間隔をおいて5枚の仕切壁38及び40、即ちその前縁はケース26の前壁(図示していない)から後方に離隔して位置するがその後縁はケース26の後壁(図示していない)に接続されている形態の仕切壁38と、その前縁はケース26の前壁に接続されているがその後縁はケース26の後壁から前方に離隔して位置せしめられている仕切壁40とが交互に配置されており、かくして流入路32もジグザグ形態にせしめられている。
ケース26の内側壁の上端部には排出開口42が形成されており、排出路30は排出開口42を介して発電・燃焼室12と連通せしめられている。図示の実施形態においては、熱交換器24の各々と上記連通ガス室18との間及び連通ガス室18の内面にも断熱部材44及び46が配設されているが、かかる断熱部材44及び46の上端は排出開口42の下縁と実質上同高乃至これより幾分下方に位置せしめられており、排出開口42は断熱部材44及び46の上方に残留せしめられている空間並びに連通ガス室18の上端に配設された3個の連通筒20間の空間を通して発電・燃焼室12に連通せしめられている。
ケース26の上壁における外側部には流入開口48が形成されており、流入路32はかかる流入開口48を介して上部ガス室16に連通せしめられている。熱交換器24の各々の後方には上下方向に細長く延びる二重筒体50(図1にその上端部のみを図示している)が配設されており、かかる二重筒体50は外側筒部材52と内側筒部材54とから構成されている。排出路30の下端部は外側筒部材52と内側筒部材54との間に規定されている排出路の下端部に接続されており、流入路32の下端部は内側筒部材54内に規定されている流入路に接続されている。
而して、図示の燃料電池における上述したとおりの構成は、本出願人の出願にかかる特願2003−295790の明細書及び図面に開示されている燃料電池組立体と実質上同一であるので、上述した構成の詳細については上記特願2003−295790の明細書及び図面に委ね、本明細書においては説明を省略する。
上述した下部ガス室14の上面上には4個の発電ユニット56a、56b、56c及び56dが配置されている。発電ユニット56a、56b、56c及び56dは、夫々、上述したガス噴出板22間に位置せしめられている。図1及び図2と共に、図3を参照して説明を続けると、発電ユニット56aは前後方向(図1において紙面に垂直な方向)に細長く延びる直方体形状の燃料ガスマニホールド58aを具備している。
燃料ガス室59aを規定している燃料ガスマニホールド58aの上面上にはセルスタック60aが装着されている。セルスタック60aは上下方向に細長く延びる直立セル62を燃料ガスマニホールド58aの長手方向(即ち前後方向)に複数個縦列配置して構成されている。図4に明確に図示する如く、セル62の各々は電極支持基板64、内側電極層である燃料極層66、固体電解質層68、外側電極層である酸素極層70、及びインターコネクタ72から構成されている。
電極支持基板64は上下方向に細長く延びる板状片であり、平坦な両面と半円形状の両側面を有する。電極支持基板64にはこれを鉛直方向に貫通する複数個(図示の場合は6個)の燃料ガス通路74が形成されている。セル62の各々は、後述するように、燃料ガスマニホールド58aの上壁(天板)に、例えば耐熱性に優れたガラスによって接合され、セル62の燃料ガス通路74は、燃料ガス室59aに連通せしめられる。
インターコネクタ72は電極支持基板64の片面(図4のセルスタック60aにおいて上面)上に配設されている。燃料極層66は電極支持基板64の他面(図4のセルスタック60aにおいて下面)及び両側面に配設されており、その両端はインターコネクタ72の両端に接合せしめられている。固体電解質層68は燃料極層66の全体を覆うように配設され、その両端はインターコネクタ72の両端に接合せしめられている。酸素極層70は、固体電解質層68の主部上、即ち電極支持基板64の他面を覆う部分上に配置され、電極支持基板板64を挟んでインターコネクタ72に対向して位置せしめられている。
セルスタック60aにおける隣接するセル62間には集電部材76が配設されており、一方のセル62のインターコネクタ72と他方のセル62の酸素極層70とを接続している。セルスタック60aの両端、即ち図4において上端及び下端に位置するセル62の片面及び他面にも、後述するように端部側集電部材109が配設されている。
セル62について更に詳述すると、電極支持基板64は燃料ガスを燃料極層66まで透過させるためにガス透過性であること、そしてまたインターコネクタ72を介して集電するために導電性であることが要求され、かかる要求を満足する多孔質の導電性セラミック(若しくはサーメット)から形成することができる。
燃料極層66及び/又は固体電解質層70との同時焼成により電極支持基板64を製造するためには、鉄属金属成分と特定希土類酸化物とから電極支持基板64を形成することが好ましい。所要ガス透過性を備えるために開気孔率が30%以上、特に35乃至50%の範囲にあるのが好適であり、そしてまたその導電率は300S/cm以上、特に440C/cm以上であるのが好ましい。
燃料極層66は多孔質の導電性セラミック、例えば希土類元素が固溶しているZrO2(安定化ジルコニアを称されている)とNi及び/又はNiOとから形成することができる。
固体電解質層68は、電極間の電子の橋渡しをする電解質としての機能を有していると同時に、燃料ガスと酸素含有ガスとのリークを防止するためにガス遮断性を有するものであることが必要であり、通常、3〜15モル%の希土類元素が固溶したZrO2から形成されている。
酸素極層70は所謂ABO3型のペロブスカイト型酸化物からなる導電セラミックから形成することができる。酸素極層70はガス透過性を有していることが必要であり、開気孔率が20%以上、特に30内50%の範囲にあることが好ましい。
インターコネクタ72は導電性セラミックから形成することができるが、水素ガスでよい燃料ガス及び空気でよい酸素含有ガスと接触するため、耐還元性及び耐酸化性を有することが必要であり、このためにランタンクロマイト系のペロブスカイト型酸化物(LaCrO3系酸化物)が好適に使用される。インターコネクト72は電極支持基板64に形成された燃料ガス通路74を通る燃料ガス及び電極支持基板64の外側を流動する酸素含有ガスのリークを防止するために緻密質でなければならず、93%以上、特に95%以上の相対密度を有していることが望まれる。
集電部材76は弾性を有する金属又は合金から形成された板状或いは金属繊維又は合金繊維から成るフェルトに所要表面処理を加えた部材から構成することができるが、特に板状であることが望ましい。
図1乃至図3を参照して説明を続けると、発電ユニット56aは、セルスタック60aの上方を前後方向に細長く延びる長方体形状(或いは円筒形状)であるのが好都合である改質ケース78aも具備している。改質ケース78aの前端部下面には燃料ガス送給管80aの一端即ち上端が接続されている。
燃料ガス送給管80aは下方に延び、次いで湾曲して後方に延び、燃料ガス送給管80aの他端は上記燃料ガスマニホールド58aの前面に接続されている。改質ケース78aの後面には被改質ガス供給管82aの一端が接続されている。被改質ガス供給管82aは実質上垂直に延び、ハウジング2の後壁(図示していない)を通ってハウジング2外に延出している。
被改質ガス供給管82aは都市ガス等の炭化水素ガスでよい被改質ガス供給源(図示していない)に接続されており、被改質ガス供給管82aを介して改質ケース78aに被改質ガスが供給される。改質ケース78a内には燃料ガスを水素リッチな燃料ガスに改質するための適宜の改質触媒が収容されている。
図示の実施形態においては、改質ケース78aは燃料ガス送給管80aを介して燃料ガスケース58aに接続され、これによって所要位置に保持されているが、所要ならば、図3に二点鎖線で図示する如く、例えば上記被改質ガス供給管82aの下面と燃料ガスマニホールド58aの後端部上面或いは後面との間に適宜の支持部材84aを付設することもできる。
発電ユニット56cは上述した発電ユニット56aと実質上同一である。発電ユニット56b及び56dは、発電ユニット56a及び56cに対して前後方向が逆に配置されていること、従って改質ケース78b及び78dと燃料ガスマニホールド58b及び58dとを接続する燃料ガス送給管(図示していない)が後側に配置され、被改質ガス供給管82b及び82dが改質ケース78b及び78dの前面からハウジング2の前壁(図示していない)を通って延出せしめられていることを除いて発電ユニット56a及び56cと同一である。
発電ユニット56a、56b、56c及び56dの各々は、図1及び図2を参照することによって明確に理解されるとおり、ガス噴射板22間にて下部ガス室14を規定するケース15の上面上に載置され、ボルトの如き適宜の固定手段(図示していない)によって所定位置に固定される。
さらに、本発明の燃料電池では、上記したように、又、図5、6に示すように、複数の燃料電池セル62が所定間隔をおいて立設した状態で、その下端部が燃料ガスマニホールド58に接合固定されており、隣設する燃料電池セル62間には集電部材76を介装してなるセルスタック60を具備している。尚、マニホールド58と記載した場合は、マニホールド58a〜58dを総括する場合である。
そして、セルスタック60の両側にセルスタック保持部材93が設けられ、セルスタック保持部材93の下端部が、燃料ガスマニホールド58に設けられた挿入孔95に挿入固定されている。このセルスタック保持部材93は、図5に示すように、細長い板状であり、下端部がマニホールド58の挿入孔95を貫通し、下方に突出している。有底の挿入孔95であってもよいが、セルスタック保持部材93の下端部を挿入孔95に強固に固定でき、また、後述するように、セルスタック保持部材93の下端部から電流を引き出せるという観点から、挿入孔95は貫通し、セルスタック保持部材93の下端部が挿入孔95を挿通していることが望ましい。
尚、図2、図3では、セルスタック保持部材93の記載を省略し、図2、図3、図5では、集電部材を省略した。
セル62の下端部は、セル支持板97に設けられたセル挿入孔99に挿入され、固定されており、このセル支持板97が、燃料ガスマニホールド58の天板を構成している。この場合には構造を簡略化でき、製造が容易となる。尚、燃料ガスマニホールド58の上面にセル支持板を固定してもよい。この場合には、燃料ガスマニホールド内のガス気密性を高めることができる。この場合、燃料ガスマニホールドの天板には貫通孔が形成されており、この貫通孔とセルの燃料ガス通路74とが連通している。
尚、複数の燃料電池セルを一列に配列させ、この状態で下端部を一体的に接合固定し、セルをセル支持板に立設させてもよい。この場合には、例えば、複数の整列した燃料電池セルの下端部を型枠内に収容し、この型枠内にガラスペースを流し込み、加熱硬化させ、型枠を除去することにより作製できるため、セルスタックを容易に形成できる。
セルスタック保持部材93及び燃料電池セル62は、ガラス、セラミック等の絶縁材料により燃料ガスマニホールド58の挿入孔95,99内に接合固定されている。接合は、セルスタック保持部材93及び燃料電池セル62を挿入孔95,99に挿入した状態で、その隙間に、ガラスペースト等を充填し、加熱することにより作製できる。
セルスタック保持部材93は、図6及び図7に示すように、燃料電池セル62(セルスタック60)側に導電体101を有しており、該導電体101を介して燃料電池セル62と電気的に接続されている。即ち、セルスタック保持部材93は、導電体101を、セラミックからなる絶縁体103に、燃料電池セル側面が露出するように埋設して構成されており、セルスタック保持部材93の導電体101は燃料ガスマニホールド58の挿入孔95を挿通しており、導電体101の先端部には、セルスタック同士を電気的に接続したり、電流を引き出すための接続部105が設けられている。尚、セルスタック保持部材93は一体的に形成する必要はなく、導電体101のセル側面を除いて絶縁体で被覆して形成してもよい。
この接続部105は、図7(c)に示すように、セルスタック保持部材93の底面に、電流を取り出すためのケーブル端子を螺子止め可能に形成して構成されている。接続部105は、図8に示すように、導電体101の側面に、電流を引き出すためのケーブル端子106を螺子止め可能にして構成してもよい。接続部105にケーブル端子106をボルト等により螺着することにより、複数のセルスタックに設けられたセルスタック保持部材93同士を電気的に接続したり、電流を外部に引き出している。尚、図5,6ではセル支持板97をマニホールド本体58aの開口部に嵌め込んで形成したが、図8に示すように、セル支持坂97をマニホールド本体58aの上面に配置してもよい。この場合、セル支持坂97、マニホールド本体58aに挿入孔95を形成する。
燃料ガスマニホールド58は金属、合金等の導電材料から構成されており、挿通孔95部分における導電体101の燃料電池セル側面には絶縁体107が設けられている。
セルスタック60の両端の燃料電池セル62とセルスタック保持部材93とは、端部側集電部材109により電気的に接続されている。即ち、セルスタック保持部材93の導電体101と燃料電池セル62との間には、端部側集電部材109が介装されている。
以上のように構成された燃料電池においては、被改質ガスが被改質ガス供給管(図2に2本の被改質ガス供給管82b及び828dを図示し、図3に1本の被改質ガス供給管82aを図示している)を介して改質ケース78a、78b、78c及び78dに供給され、改質ケース78a、78b、78c及び78d内において水素リッチな燃料ガスに改質された後に、燃料ガス送給管(図2に2本の燃料ガス送給管80a及び80cを図示している)を通して燃料ガスケース58a、58b、58c及び58d内に規定されている燃料ガス室59a、59b、59c及び59dに供給され、次いでセルスタック60a、60b、60c及び60dに供給される。
一方、空気でよい酸素含有ガスは二重筒体50の内側筒部材54内に規定されている流入路を通して熱交換器24の流入路32に供給され、次いで上部ガス室16及び連通ガス室18を通して下部ガス室14に供給され、そしてガス噴出板22の噴出孔からセルスタック60a、60b、60c及び60dに向けて噴射される。
セルスタック60a、60b、60c及び60dの各々においては、酸素極において、
1/2O2+2e−→O2−(固体電解質)
の電極反応が生成され、燃料極において、
O2−(固体電解質)+H2→H2O+2e−
の電極反応が生成されて発電される。
発電に使用されることなくセルスタック60a、60b、60c及び60dから上方に流動した燃料ガス及び酸素含有ガスは、起動時に発電・燃焼室12内に配設されている点火手段(図示していない)によって点火されて燃焼される。周知の如く、セルスタック60a、60b、60c及び60dにおける発電に起因して、そしてまた燃料ガスと酸素含有ガスとの燃焼に起因して発電・燃焼室12内は例えば1000℃程度の高温になる。改質ケース78a、78b、78c及び78dは発電・燃焼室12内に配設され、セルスタック60a、60b、60c及び60dの直ぐ上方に位置せしめられており、燃焼炎によって直接的にも加熱され、かくして発電・燃焼室12内に生成される高温が被改質ガスの改質に効果的に利用される。
発電・燃焼室12内に生成された燃焼ガスは熱交換器24に形成されている排出開口42から排出路30に流入し、ジグザグ状に延在する排出路30を流動した後に二重筒体50の外側筒部材52と内側筒部材54との間に規定されている排出路を通して排出される。燃焼ガスが二重筒体50における排出路を流動する際には、二重筒体50における流入路を酸素含有ガスが流動し、燃焼ガスと酸素含有ガスとの間で熱交換が行われる。
そしてまた、燃焼ガスが熱交換器24の排出路30をジグザグ状に流動せしめられる際には、酸素含有ガスが熱交換器24の流入路32をジグザグ状に流動せしめられる。かくして燃焼ガスと酸素含有ガスとの間で効果的に熱交換されて酸素含有ガスが余熱される。酸素含有ガスは上部ガス室16、連通ガス室18及び下部ガス室14を通る際にも発電・燃焼室12内の高温によって加熱される。
長期間に渡って発電を遂行することによってセルスタック60a、60b、60c及び60dの一部或いは全部が劣化した場合には、ハウジング2の前壁(図示していない)或いは後壁(図示していない)を離脱或いは開動せしめ、発電ユニット56a、56b、56c及び56dの一部或いは全部をハウジング2内から取り出す。
そして、発電ユニット56a、56b、56c及び56dの一部或いは全部を新しいものに交換して、或いは発電ユニット56a、56b、56c及び56dの一部或いは全部におけるセルスタック60a、60b、60c及び60dのみを新しいものに交換して、再びハウジング2内の所要位置に装着すればよい。発電ユニット56a、56b、56c及び56dの一部或いは全部における改質ケース78a、78b、78c及び78d内に収容されている改質触媒を交換することが必要な場合にも、発電ユニット56a、56b、56c及び56dの一部或いは全部をハウジング2内から取り出し、発電ユニット56a、56b、56c及び56dの一部或いは全部における改質ケース78a、78b、78c及び78d自体を新しいものに或いは改質ケース78a、78b、78c及び78d内の改質触媒のみを新しいものに交換すればよい。
改質ケース78a、78b、78c及び78d内の改質触媒の交換を充分容易に遂行し得るようになすために、所望ならば改質ケース78a、78b、78c及び78dの一部を開閉自在な扉にせしめることができる。
そして、本発明の燃料電池では、バネ性を有する板状集電部材76が燃料電池セル62間を押し広げるようにして対向する燃料電池セル62の平坦な側面間を機械的に接続することにより、燃料電池セル62とは面接触となり、従来のようなフェルト状の集電部材よりも燃料電池セル62に当接する面積が大きくなり、集電特性を向上できる。また、集電部材76は板状であるため弾性力も大きく、振動等が生じたとしても燃料電池セル62との十分な接触を長期間確保できる。
また、集電部材76は板状であるため、ハウジング2内が高温となった場合でも、従来のフェルト状の集電部材よりも焼結しにくく、また、燃料電池セル62との十分な接触を長期間確保できる。さらに、集電部材76が板状であるため、一方の燃料電池セル62のインターコネクタ72と他方の燃料電池セル62の酸素側電極70との間に板状集電部材76を容易にかつ確実に介装できる。
さらに、セルスタック60における燃料電池セル62の配列方向両側に、一端部が、燃料ガスマニホールド58に設けられた挿入孔95に挿入固定されたセルスタック保持部材93が設けられているため、集電部材76の弾性力で燃料電池セル62の側面を押し広げるような力が作用したとしても、セルスタック保持部材93によりセル62の倒れを防止し、セル62の広がりを阻止してセル62の変形が抑制され、セル62の折損を確実に防止できるとともに、セルスタック60の口開きが抑制され、これにより集電部材76によるセル62間の電気的な接続を長期にわたって維持できる。また、セルスタック保持部材93に集電部材76の弾性力により大きな力が作用したとしても、セルスタック保持部材93の一端部は、マニホールド58の側面に螺子等により固定されるのではなく、マニホールド58の挿入孔95に挿入固定されているので、セルスタック保持部材93が強固にマニホールド58に固定され、セル62間の電気的な接続を長期にわたって維持できる。
以上、添付図面を参照して本発明の好適実施形態について詳細に説明したが、本発明はかかる実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲を逸脱することなく種々の変形乃至修正が可能であることは多言するまでもない。例えば、特定の熱交換器を備えた略直方体のハウジングを備えた燃料電池に関連せしめて本発明を説明したが、本出願人の出願にかかる特願2000−292234の明細書及び図面に開示されている多重筒状体から構成されたハウジングの如き他の適宜の形態のハウジングを備えた燃料電池にも本発明を適用することができる。
また、上記形態では、図4に示したような扁平状で、複数の燃料ガス通過孔74を有する燃料電池セル62を用いて説明したが、燃料電池セルは燃料ガス通路が一つであっても良く、燃料電池セルの形状は円筒等、特に限定されるものではない。
さらに、上記例では、燃料電池セル62を直列に接続した例について説明したが、並列接続しても良いことは勿論である。また、燃料側電極66を内側電極としたが、酸素側電極68を内側電極としても良い。
また、本発明では、図7に示すように、セルスタック保持部材93を導電体101と絶縁体103から構成した例について説明したが、例えば、セルスタック保持部材を金属や合金等の導電材料で構成してもよい。この場合にはセルスタック保持部材の構成を簡略できる。
さらに、図9(a)に示すように、端部側集電部材109に電流を取り出すためのケーブルを接続し、燃料電池セル62とセルスタック保持部材93との間から引き出し、セルスタック同士の電気的接続や外部への引き出しを端部側集電部材109を介して行うこともできる。この場合、セルスタック保持部材93は絶縁体であってもよいし、導電体であってもよいが、他の部材との導通を阻止するという観点から絶縁体であることが望ましい。
上記したように、端部側集電部材109から電流を引き出す場合には、図9(b)に示すように、セルスタック保持部材93に貫通孔111を、図9(c)(d)に示すように、凹部113を形成し、端部側集電部材109に接続されたケーブルを貫通孔111や凹部113を通過させて、電流を取り出すこともできる。
また、図10に示すように、隣設するセルスタックに設けられたセルスタック保持部材同士を連結せしめ、電気的に接続してもよい。この場合、コ字状のセルスタック保持部材115を用いることが望ましい。そして、セルスタック保持部材115は、導電体からなる必要はなく、絶縁体に導電部材を形成してもよい。
さらに、本発明では、セルスタック保持部材を導電性材料から構成し、このセルスタック保持部材を燃料電池セルの電極、インターコネクタに接合し、セルスタック保持部材を介して直接電流を取り出すこともできる。この場合、セルスタック保持部材は導電性セラミックスや金属、合金から形成できる。また、セルスタック保持部材を多孔質とすることにより、電極へのガス供給を良好とすることができる。
図11は、本発明の他の形態を示すもので、この形態では、マニホールド58のセル配列方向に対向する側面にはセルスタック保持部材121が螺子等で固定されており、セルスタック60の両端のセル62とセルスタック保持部材121との間には、端部側集電部材109が配置されている。この端部側集電部材109は、溶接等の接合部がない一体物から構成されており、その引出部がハウジング2の外部まで延設されている。
即ち、端部側集電部材109は、図12に示すように、燃料電池セル62に当接する弾性部109aと、セルスタック保持部材121側に形成された枠状の固定部109bとから構成されている。端部側集電部材109の枠状の固定部109bには、電流を引き出すための引出部109cが形成されており、弾性部109a、固定部109b、引出部109cは、接合部のない一体構造物からなり、例えば、導電性板材に切り込みを形成し、弾性部を形成する集電片をく字状に折曲し、図11(b)に示すように、その平坦部に燃料電池セル62の平坦部が当接するように形成されている。端部側集電部材109はK字状に形成されている。固定部109bは、格子状に形成された枠状であり、その格子部分がセルスタック保持部材121の内面側に全体的に当接するように構成されている。
また、固定部109bの一方側端部には、図12(a)に示したように、引出部109cが一体的に設けられている。尚、引出部109は、図11(a)、図12(b)に示すように、燃料電池セル62の立設方向中央部における固定部109bに設けられていることが望ましい。これにより、燃料電池セル62の立設方向の両端部からの電流の電流経路が最短となり、セルスタック60からの電流を有効に最短距離で引き出すことができる。尚、図11(a)では、端部側集電部材109及び燃料電池セル62間の集電部材は簡略化して記載した。
さらに、マニホールド58と反対側のセルスタック60先端部、即ち、セルスタック60の上端部には、セルスタック先端部を取り囲む枠体からなるスタック先端保持部材92が設けられている。このスタック先端保持部材92は、図11(c)に示すように、断面L字状であり、その内側面に燃料電池セル62の幅方向両端部の上端面が、燃料電池セル62のガス通路を閉塞しないように当接し、絶縁性無機材料で固定されている。また、セルスタック保持部材121の上端面も、スタック先端保持部材92の内側面に当接し、これにより、セルスタック先端保持部材92がセルスタック保持部材121に支持固定されている。また、セルスタック60の下端側はマニホールド58に固定され、上端側はスタック先端保持部材92により固定されるため、セルスタック60の口開きを防止でき、また、スタック先端保持部材92がセルスタック保持部材121にも支持されているので、スタック先端保持部材92を確実に保持固定でき、セルを保持固定できる。
図13(a)は、図11の変形例を示すもので、この燃料電池では、図11とは、セルスタック保持部材121が枠体からなるスタック先端保持部材92から離れており、セルスタック保持部材121間にスタック先端保持部材92が配置されている点が異なる以外は、図11と同一である。尚、セルスタック保持部材121がスタック先端保持部材92の外側側面に当接していても良い。この場合には、セルスタック保持部材121によりスタック先端保持部材92の移動が阻止され、燃料電池セル62の折損が抑制できる。
また、図11では、セルスタック保持部材121が絶縁体からなる場合について説明したが、図13(b)(c)は、セルスタック保持部材121が導電体からなる場合であり、この場合には、端部側集電部材109とセルスタック保持部材121との間に絶縁体151を介装することが望ましい。これにより、セルスタック保持部材121と端部側集電部材109との絶縁を確保することができ、セルスタック保持部材121を介して、スタック先端保持部材92やマニホールド58への導通を確実に防止できる。尚、セルスタック保持部材121によるスタック先端保持部材92の支持固定に関して、図13(b)は図11(a)に対応し、図13(c)は図13(a)に対応する。
図11、図13は、セルスタック保持部材121をマニホールドの対向する側面に螺子等で固定した場合について説明したが、図14は図5〜図10に示したようにセルスタック保持部材121をマニホールド58の挿入孔に挿入固定した場合である。この場合には、上記したように、セルスタック保持部材131を強固にマニホールド58に固定できる。
尚、図14(a)は枠体からなるスタック先端保持部材92内に、セルスタック保持部材131の先端が挿入され、スタック先端保持部材92が保持固定されている状態で、図11(a)に対応し、図14(b)は、セルスタック保持部材131が枠体からなるスタック先端保持部材92の外側に離れている状態で、図13(a)に対応する。
さらに、図14(c)は枠体からなるスタック先端保持部材92内に、導電性のセルスタック保持部材131の先端が挿入され、スタック先端保持部材92が保持固定されており、セルスタック保持部材131と端部集電部材109との間には、絶縁体151が介装されている状態で、図13(b)に対応し、図14(d)は、セルスタック保持部材131が枠体からなる導電性のスタック先端保持部材92の外側に離れており、セルスタック保持部材131と端部集電部材109との間には、絶縁体151が介装されている状態で、図13(c)に対応する。
図15は、絶縁性のセルスタック保持部材141の下端はマニホールド58に支持されておらず、マニホールド58の上端面から所定間隔をおいて離間している場合であり、図15(a)は、枠体からなるスタック先端保持部材92内に、セルスタック保持部材141の先端部が挿入されている状態で、図11(a)に対応し、図15(b)は、枠体からなるスタック先端保持部材92内に、導電性のセルスタック保持部材141が挿入されている状態で、図13(b)に対応する。この燃料電池では、セルスタック保持部材141と端部側集電部材109との間には絶縁体151が介装されている。このような燃料電池でも、上記と同様の作用効果を有する。
図16(a)は、図11(a)の変形例を示すもので、この燃料電池では、平板状のスタック先端保持部材192を用いたもので、図17(a)に示すように、スタック先端保持部材192の厚さ方向の半分程度まで、燃料電池セル62の上端部が挿入されるセル挿入孔192aが、スタック先端保持部材192の下面に形成されており、セル挿入孔192aの上端には係止部192bが形成され、その上部には凹部192cが形成され、前記係止部192bによりセル62の挿入量が規定されている。セルスタック保持部材121の先端部は、図17(c)(d)に示すように、スタック先端保持部材192の挿入孔に挿入固定されている。セル62とセルスタック保持部材の先端部は、スタック先端保持部材192に絶縁性無機材料で固定されている。
これにより、燃料電池セル62の先端部がスタック先端保持部材192に埋設され、燃料電池セル62内の燃料ガスは、凹部192cを介してセル外に排出される。また、燃料電池セル外の空気の燃料電池セル62内への侵入を抑制でき、燃料電池セル62におけるクラック発生を抑制できる。
図16(b)は、図16(a)の変形例を示すもので、この燃料電池では、セルスタック保持部材121が枠体からなるスタック先端保持部材192の外側に離れている状態を示すものであり、図16(c)は、図16(a)の変形例を示すもので、この燃料電池では、導電性のセルスタック保持部材121を用い、端部側集電部材109とセルスタック保持部材121との間には絶縁体151が介装されたものであり、図16(d)は、図16(b)の変形例を示すもので、この燃料電池では、導電性のセルスタック保持部材121を用い、端部側集電部材109とセルスタック保持部材121との間には絶縁体151が介装されたものである。尚、図17(a)、(b)は、図16(b)、(d)におけるセルとスタック先端保持部材192との固定を示すものである。
図18は、図5〜図10に示したようにセルスタック保持部材131をマニホールド58の挿入孔に挿入固定した場合である。この場合には、上記したように、セルスタック保持部材131を強固にマニホールド58に固定できる。
尚、図18(a)は板状のスタック先端保持部材92内に、セルスタック保持部材131の先端が挿入され、スタック先端保持部材192が保持固定されている状態で、図16(a)に対応し、図18(b)は、セルスタック保持部材131がセルスタック先端保持部材192の外側に離れている状態で、図16(b)に対応し、図18(c)は導電性のセルスタック保持部材131を用い、セルスタック保持部材131と端部側集電部材109との間に絶縁体151を介装した状態で、図16(c)に対応し、、図18(d)は、導電性のセルスタック保持部材131がセルスタック先端保持部材192と離れており、セルスタック保持部材131と端部側集電部材109との間に絶縁体151を介装した状態で、図16(d)に対応するものである。
図19は、絶縁性のセルスタック保持部材141の下端はマニホールド58に支持されておらず、マニホールド58の上端面から所定間隔をおいて離間している場合であり、図19(a)は、板状のスタック先端保持部材192の挿入孔内に、セルスタック保持部材141の先端部が挿入されている状態で、図16(a)に対応し、図19(b)は、板状のスタック先端保持部材192の挿入孔内に、導電性のセルスタック保持部材141の上端部が挿入されている状態で、図16(c)に対応する。このような燃料電池でも、上記と同様の作用効果を有する。
尚、図1〜10に示す形態で、図11〜19に示す端部側集電部材を用いてもよいことは勿論である。また、上記形態では、中空ガス噴出板18により空気を供給する場合について説明したが、本発明では、空気を上部ガス室に連通する複数の空気導入管を、セルスタック間に配置し、上部ガス室から下方に向けて噴出するようにしてもよい。
さらに、上記形態では、マニホールドの挿入孔にセルスタック保持部材の下端部を挿入固定する場合について記載したが、このセルスタック保持部材として、燃料電池セル、もしくは表面に電極が形成されていない燃料電池セルを用いてもよい。この場合、燃料電池セルの内部のガス流路は、マニホールドと連通しており、セルスタック保持部材間の燃料電池セルと同様にガスが通過する。従って、例えば、燃料電池セルが酸化、還元で変形するとしても、セルスタック保持部材として用いる燃料電池セルも同様に変形するため、燃料電池セルにおける応力発生を抑制できる。