JP2005148677A - 定着装置 - Google Patents

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利一 土谷
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忍 赤間
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Abstract

【課題】 削れ、スリップを防止。
【解決手段】 可撓性を有するエンドレスベルト状の金属基層上に弾性層および離形層を有する定着スリーブと、定着スリーブ内に配置された発熱手段と、発熱手段の保持部材と、加圧手段と加圧部材と、定着スリーブの内面に当接し温度を検出する少なくとも一つの温度検出手段と、を有する定着装置において、前記定着スリーブの内面粗度が、0.05um≦Ra≦0.5umで有ることを特徴とする定着装置。
【選択図】 図1

Description

本発明は、複写機、レーザービームプリンター(LBPと称す)、プリンター、ファクシミリ、マイクロフィルムリーダプリンター、記録機等の画像形成装置に使用される定着装置に関するものである。さらに詳しくは、電子写真、静電記録、磁気記録等の適時の画像形成プロセス手段により加熱溶融性の樹脂等よりなるトナーを用いて、転写材(紙、印刷紙、転写材シート、エレクトロファックスシート、静電記録シート、OHTシート、光沢紙、光沢フィルムなど)の面に直接転写方式もしくは間接転写方式で目的の画像情報に対応した未定着トナー画像を形成担持させ、該未定着トナー画像を、該画像を担持している転写材面上に永久固着画像として加熱定着処理する方式の定着装置であり、特に、可撓性を有するエンドレスベルト状の金属基層を用いた定着スリーブを使用した定着装置に関するものである。
近年、プリンターや複写機等の画像形成装置におけるカラー化が進んできている。このようなカラー画像形成装置に使用される定着装置としては、定着部材に弾性層を有する熱ローラ定着方式に代わり、定着部材としてベルト状の定着スリーブを用いた、ベルト定着装置が知られている。このようなベルト定着装置において、近年ベルトの基層としてポリイミド等を使用した樹脂ベルトに変わり、金属を使用した金属ベルトを用いたベルト定着装置が使用されるようになってきている。
このようなベルト定着装置に使用される金属ベルトとして、Ni等の電鋳ベルトに対して、低コストな金属ベルトとして塑性加工して製造した金属ベルトが使用されるようになってきている。
特開平10‐319753号公報
しかしながら、このような金属スリーブを使用した定着装置において定着スリーブの内面粗度が粗いと以下のような問題が有った。
1) 定着スリーブ内面が摺擦する個所である、定着スリーブ内面に当接している温度検知手段(サーミスタ等)の表面や、定着ニップ部のヒータ表面などが削れてしまう。
2) 定着スリーブ内面に当接しているサーミスタ表面が削れてしまった場合には、温度検知が正しく行われなくなったり、耐圧(絶縁距離)が低下する問題が有る。定着ニップ部のヒータ表面(ヒータ表面の潤滑層であるポリイミドコーティング層)が削れてしまうと、ニップ部に削れによる磨耗粉等が多量に発生し、このためトルクが重くなり定着スリーブのスリップが発生する問題がある。また、削れ磨耗により基層金属スリーブの肉厚が削れ部で薄くなり強度が低下したり、削れ磨耗位置での摩擦抵抗が削れていない部分よりも高くなるため、金属スリーブの回転が不安定になったりするため、基層金属スリーブのクラック等が発生する問題がある。
3) 定着スリーブ内面粗度が粗いと、発熱源であるヒータ表面との接触熱抵抗が悪くなるため、ヒータから定着スリーブへの伝熱が悪化する。
また、定着スリーブ内面粗度が小さい(鏡面に近い)と、定着ニップ部でのヒータ表面との密着性が高くなるためトルクが重くなりスリップ等が発生する、
問題が有った。
上述の課題を解決するための本発明は、可撓性を有するエンドレスベルト状の金属基層上に弾性層および離形層を有する定着スリーブと、定着スリーブ内に配置された発熱手段と、発熱手段の保持部材と、加圧手段と加圧部材と、定着スリーブの内面に当接し温度を検出する少なくとも一つの温度検出手段と、を有する定着装置において、前記定着スリーブの内面粗度を、0.05um≦Ra≦0.5umとすることを特徴とする。
本発明では、定着スリーブの内面粗度をRa0.5um以下とすることで削れ等を防止できる。また、Raを0.05um以上とすることでトルク上昇を防止しスリップを防止できる。
(実施例1)
図1に本発明の定着装置が使用されるカラー画像形成装置の一例の概略構成図を示す。本実施例では中間転写体方式のインラインカラー画像形成装置を用いている。また、定着装置後に公知の自動両面搬送手段である自動両面機構(不図示)を備えており一度定着した転写材を自動的に表裏を反転させ再給紙搬送させることができる。
図1において、実線で示した部分は、自動両面時の一面目の定着動作を行う転写材の搬送経路であり、点線で示した部分は、前述した自動両面機構による2面目定着時の転写材の反転搬送経路である。
以下に本実施系のカラー画像形成装置の構成について説明する。
本実施例では、感光体ドラム(OPCドラムを本実施例では使用)、帯電手段(不図示)、トナー現像器(不図示)、感光体ドラムのクリーニング手段(クリーニングブレードを本実施例では使用:不図示)等をひとつの容器にまとめた、いわゆるオールインワンCRG2を使用している。イエロー(Y)トナーを使用しているイエローCRG 2Y,マゼンタ(M)トナーを使用しているマゼンタCRG 2M,シアン(C)トナーを使用しているシアンCRG 2C、ブラック(K)トナーを使用しているブラックCRG 2K、の4個のCRGを使用している。
上記4色のトナーCRGに対応した、4個の光学系1が設けられており、光学系(レーザー走査露光光学系を本実施例では使用)より画像データに基づいた走査光が、帯電手段(帯電ローラを本実施例では使用)により一様に帯電された感光体ドラム上を露光することにより、感光体ドラム表面に画像に対応する静電潜像が形成される。現像剤であるトナー(非磁性1成分トナーを本実施例では使用)が静電潜像の形成された感光体ドラム表面に供給される。現像ローラに印加される現像バイアスを、帯電電位と潜像(露光部)電位の間の適切な値に設定することで、負の極性に帯電されたトナーが、感光体ドラム上の静電潜像に選択的に付着される、現像が行われる。
感光体ドラム上に現像された単色トナー画像は、該感光体ドラムと同期して略等速で回転する中間転写体3(中間転写ベルトを本実施例では使用)上へ、一次転写ローラ9に印加されるトナーと逆極性である正極性のバイアスにより1次転写される。一次転写後、感光体上に転写残として残ったトナーは、クリーニング手段(不図示:クリーニングブレードを本実施例では使用)により除去される。
上記工程を中間転写体の回転に同期して、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の各色のCRGに対して順次行い、中間転写体上に各色の1次転写トナー画像を順次重ねて形成していく。単色のみの画像形成時(単色モード)には上記行程は目的の色(例えば黒色)の現像器についてのみ行なわれる。
また、転写材供給部となる転写材カセット13或いは転写材トレイ(MPトレイ)14にセットされた転写材Pは、給送ローラ12により夫々選択的に給送され、2次転写部に所定のタイミングでレジストローラ対8により中間転写体3と2次転写手段10とのニップ部に搬送される。
中間転写体3上に形成された一次転写トナー画像は、2次転写手段10(2次転写ローラを本実施例では使用)に印加されるトナーと逆極性である正極性のバイアスにより転写材P上に一括転写される。
2次転写後中間転写体上に残った2次転写残トナーは、中間転写体のクリーニング手段(クリーニングブレードを本実施例では使用)4により除去される。なお、図中、5は中間転写体3の駆動ローラ、6はテンションローラー、7は2次転写対向ローラである。
中間転写体3として使用している中間転写ベルトとしては、厚さ50μm〜200μm、体積抵抗率108Ωcm〜1016Ωcm程度のPVdF(ポリフッ化ビニリデン)、ポリアミド、ポリイミド、PET(ポリエチレンテレフタレート)、ポリカーボネート等の樹脂フィルムベルトや0.5mm〜2mm厚程度の低抵抗なゴム基層の上に厚さ数十μmの離型性の良い高抵抗な樹脂層を設けたゴムベルト等を用いることが出来る。
本実施例では、高耐久性とクリーニングブレードによるクリーニングが可能なことから厚み50〜75umのポリイミドベルトを使用している。
転写材P上に2次転写されたトナー画像は、定着手段となる定着装置11を通過することで転写材P上に溶融定着され、画像形成装置の出力画像となる。
本発明の第一の実施例における定着装置概略を図2に示す。
定着部材である定着スリーブ25は、本実施例では長さ約230mm、厚み約35um、外径φ24mmの金属(本実施例では、金属の一例としてSUS304を使用)の可撓性を有する円筒状エンドレススリーブを基層27とし、その上に厚み約300umの弾性層(本実施例では、一例として熱伝導率約1.6*10-3 cal/sec cm ℃、テストピース硬度(JIS-A)が約30°のシリコンゴムを弾性体として使用)を設け、更に離形表面層21として厚み約30umのフッ素樹脂チューブ層(本実施例では一例としてテトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルエーテル共重合体の樹脂チューブ(以下PFAチューブと呼ぶ)を使用)を順次形成した定着スリーブを用いている。
定着フィルムの基層としては、耐熱性、高熱伝導性に優れた金属として、SUSの他にNi、Cu,Alの単体や合金等を用いても良い。
定着フィルム内には発熱手段であるセラミックヒータ36が内包されている。本実施例で使用するセラミックヒータ36の一例を図6に示す。窒化アルミなどのセラミック基板28上の定着スリーブと接しない面側(裏面)に、銀パラジウム(AgPd)等の抵抗発熱体34を設け、その上にガラスコートを設け、定着スリーブに接する面には潤滑層としてポリイミド等を約3から10um程度コーティングしたものを使用している。
セラミックヒータ36の定着スリーブとの非当接面側には、発熱手段の温度検出手段としてサーミスタ29が当接されており、該サーミスタにより発熱手段の温度を検知している。
また、定着スリーブの温度検出手段としてサーミスタ291が、定着ニップ出口付近の定着スリーブ内面に当接するように設けられている。サーミスタ291により定着スリーブの温度が検出され、所望の温度になるように発熱手段への通電が制御され定着スリーブの温調動作が行われる。また、発熱手段自体の温度は、サーミスタ29により検出され、過高温になった場合には、発熱手段への通電を緊急停止するなど、検出温度結果により必要な動作を行う。
30はヒータホルダであり、定着スリーブはヒータホルダにより回転自在に支持されている。
また、ヒータホルダに一体的に設けられたセラミックヒータは図示しない加圧機構により加圧部材(加圧ローラを使用)の方向へ本実施例では総圧約196N(約20kgf)の力で押圧されており、これによりヒータホルダに回転自在に支持された定着スリーブが加圧ローラ26に圧接されている。
加圧ローラ26は外径φ13mmの鉄(本実施例では一例としてSUM24Lを使用)製芯金31の上に、厚さ約3.5mmのシリコンゴム弾性層32および、離形表面層33として厚さ約65μmのPFAやFEP(テトラフルオロエチレン・ヘキサフルオロプロピレン共重合体/4フッ化エチレン・6フッ化プロピレン共重合樹脂)などのフッ素樹脂チューブ層(本実施例では、PFAチューブを使用)が順次形成されている。加圧ローラの外径は、略φ20mmである。
加圧ローラの製品硬度は約60度(高分子計器株式会社製硬度計ASKER-Cを用い、総荷重約9.8N(約1kgf)での硬度値)であった。定着ニップ幅は約5.5〜6.5mmで有った。
本実施例では加圧ローラに不図示の駆動手段により回転駆動がかけられ、定着スリーブは従動回転している。
本実施例に用いられるトナーとしては、重合法により製造され、低軟化点物質を5〜30重量%含み、形状係数SF−1が100〜110である実質球形トナー(以下単に重合トナーと称す)を用いている。低軟化点物質としては、ASTMD3418-8に準拠し測定された主体極大ピーク値が40〜90℃を示す化合物である。重合トナーの極大ピーク値温度の測定は、例えばパーキンエルマー社製DSC−7を用いる。装置検出部の温度補正は、インジウムと亜鉛の融点を用い、熱量の補正についてはインジウムの融解熱を用いる。サンプルは、アルミニウム製パンを用い対照用に空パンをセットし、昇温速度10℃/minで測定を行った。具体的には、パラフィンワックス、ポリオレフィン、フィッシャートロピッシュワックス、アミドワックス、高級脂肪酸、エステルワックス及びこれらの誘導体またはこれらのグラフト/ブロック化合物が利用できる。好ましくは、下記の一般構造式で示す炭素数が10以上の長鎖エステル部分を一個以上有するエステルワックスである。具体的なエステルワックスの代表的な化合物の構造式を下記に一般構造式(1)、(2)、及び(3)として示す。
Figure 2005148677
本発明で好ましく用いられるエステルワックスは、硬度0.5〜5.0を有するものである。エステルワックスの硬度は、直径20mmで厚さが5mmの円筒状のサンプルを作成した後、島津製作所製ダイナミック微小硬度計(DUH−200)を用い、ビッカース硬度を測定した値である。測定条件は、0.5gの荷重で負荷速度が9.67mm/secの条件で10μm変位させた後、15秒間保持し、得られた打痕形状を測定しビッカース硬度を求める。本発明に好ましく用いられるエステルワックスの硬度は、0.5〜5.0の値を示す。具体的化合物の例を下記の化学式(1)、(2)、(3)、(4)に示す。
Figure 2005148677
なお、ここでいう形状係数SF−1とは、球状物質の球状の丸さの割合を示す数値であり、球状物質を2次元平面上に投影してできる楕円状の図形の最大長MAXLNGの2乗を図形面積AREAで割って、100π/4を乗じたときの値で表わされる。つまり、形状係数SF−1は次式
Figure 2005148677
で定義されるものである。日立製作所FE−SEM(S−800)を用いトナー像を無作為に100個サンプリングし、その画像情報をインターフェースを介してニコレ社製画像解析装置(Luzex3)に導入し解析を行い上式より算出したものである。
シアントナーは、次のごとくして調整した。高速攪拌装置を備えた21リットル用四つ口フラスコ中にイオン交換水710重量部と0.1モル/リットル−Na3PO4水溶液450重量部を添加し回転数を12000回転に調整し、65℃に加温せしめた。ここに1.0モル/リットル−CaCL2水溶液68重量部を徐々に添加し、微少な難水溶液性分散剤Ca3(PO4)2を含む分散媒系を調整した。一方、分散質系は、
スチレン単量体 165重量部
n-ブチルアクリレート単量体 35重量部
I.ピクメントブルー15:30 14重量部
飽和ポリエステル 10重量部
{テレフタール酸−プロピレンオキサイド変性ビスフェノール A酸価15、ピーク分子量:6000}
サリチル酸金属化合物 2重量部
下記化合物(極大ピーク値59.4℃) 60重量部
Figure 2005148677
上記混合物をアトライターを用い3時間分散させた後、重合開始剤である2、2′−アゾビス(2、4−ジメチルバレロニトリル)10重量部を添加した分散物を分散媒中に投入し回転数を維持しつつ15分間造粒した。その後、高速攪拌器からプロペラ攪拌羽根に攪拌器を変え、内温を80℃に昇温させ50回転で重合を10時間継続させた。重合終了後スリラーを冷却し、希塩酸を添加し分散媒を除去せしめた。更に洗浄し乾燥を行う事でコールターカウンターで測定したシアントナーの重量平均粒径は6.2μmで個数変動係数が27%であり、SF−1が104であった。
同様にして、SF−1が104のイエロートナー、マゼンタトナー及びブラックトナーを製造した。なお、着色剤としては、イエロートナーでは、C.I.ピグメントイエロー17、マゼンタトナーでは、C.I.ピグメントレッド122及びブラックトナーでは、カーボンブラックを用いた。
定着装置11では、加圧ローラが約100mm/sec程度の周速度で回転駆動されると共に、定着ニップ部がトナー画像の定着に適した温度(本実施例では定着スリーブ表面の温度が180℃程度)となるようセラミックヒータへの通電が調整される。
2次転写プロセスまでを終えて未定着トナー画像35をその上に載せた転写材Pは定着ニップ部へ導かれ、該定着ニップ部で加えられる圧力と定着スリーブを介してセラミックヒータから伝えられる熱により未定着トナー画像が熱溶融されて転写材P上に定着画像として定着される。
本実施例の定着装置は、定着スリーブの弾性層を約300umと薄くし、外径をφ24と小さくして定着スリーブ自体の熱容量を小さくしたので、発熱手段として約900W程度の入力を行った場合、ウォームアップタイムを約10秒程度と短くすることができ、いわゆるオンデマンド定着を行うことが可能である。
本実施例で用いられる定着スリーブ基層の金属スリーブは、低コストなものとするため以下のような塑性加工により製造される金属スリーブを使用している。
まず、金属製スリーブの基材である0.1mmから0.5mm程度の金属平板(ブランク)を一般的な深絞り加工にてカップ状の金属製円筒部材へと加工する。その後円筒部材の周りに回転自在なローラ等が押し当つけ、ローラを回転押し当てすると同時に円筒部材を徐々に長手方向へ送り出すことで薄肉化、長手伸長化を行う一般的な絞りスピニング加工や、段階的に内径が小さく形成されたダイスを金属製円筒部材の表面に押し当て回転させながら送り込む加工などの塑性加工により薄肉化、長手伸張化を行い、所定の肉厚、長さの円筒部材を形成し、その後両端をカットすることで、金属スリーブを製造している。
このような塑性加工により製造した金属スリーブにおいては、電鋳法により製造した金属スリーブと異なり塑性加工による影響のため、スリーブ表面、内面等に凹凸を有することが多い。
このような塑性加工にて製造した金属スリーブの内外面の表面粗度を測定した一例を図3に示す。粗さ測定器として、(株)東京精密製のSurfcom 130Aを使用し、図3に示すような条件にてスリーブ内面および外表面の表面粗度を測定した。
表面粗度を測定すると、塑性加工(スピニング加工)による加工ピッチ周期の凹凸が見られる(本実施例では約0.2mm程度のピッチ)。
また塑性加工(スピニング加工)による薄肉化と同時に長手伸長化も行うため、金属スリーブには約 加工ピッチ周期のスパイラル状の凹凸が形成されることになる(図4参照)。
本発明での定着スリーブとしては、基層の金属スリーブ上に弾性層を形成するため、金属スリーブ表面の粗度については特に大きな問題となるようなことは無い。しかし、内面の粗度については粗さのレベルによって問題が発生する。
ここで、本発明人は、内面粗度の異なる金属スリーブを用意し、通紙確認を行った。結果を図7に示す。
通紙確認としては、用紙の一例として、Xerox社の4024 Multipurpose Copy Paper,LTRサイズ,坪量75g/m^2を用い、約10万から15万枚程度 通紙した場合の、定着器トルク、ヒータ表面のPIコートの磨耗状態、スリーブ内面当接サーミスタの磨耗状態を確認した。
ヒータ表面の磨耗状態としては、3um以下の磨耗を○、5um以下の磨耗を△、PIコート層がすべて削れてヒータのセラミック基板が見えてしまっている状態を×とした。またサーミスタの磨耗状態としては、サーミスタ表面のポリイミドテープ等の磨耗が10um以下のものを○、10〜20um程度のものを△、ポリイミドテープが削れ下地部分まで出てしまっているものを×とした。
表面粗度のパラメータとしては、部分的な凹凸の影響よりも全体的な凹凸レベルレベルの方が削れへの影響が大きいため、粗度の比較パラメータとして十点平均粗さ(Rz)の代わりに中心線平均粗さ(Ra)を用いた。
表面粗度の粗い検討サンプル例5では、耐久によりヒータ表面のPIコート層がすべて削れ、また、サーミスタ表面のポリイミドテープが大きく削れてしまっていた。このため定着ニップ部の潤滑層であるPIコート層がすべて削れ下地のセラミック基板表面が出てしまったため金属スリーブ側の磨耗も大きくなり、スリーブのクラックが発生したり、トルクが重くなり定着スリップが発生したりする不具合が発生した。表面粗度の小さい検討サンプル例ではこのような不具合は発生しなかった。
次に、本発明人は、表面粗度の小さい金属スリーブについて確認検討を行った。スリップの確認としては、約100枚の間欠プリント動作にて加圧ローラ温度を上昇させた状態にて、HP(Hewlett Packard)社製のsoft gloss laser paper等の表面が平滑な光沢紙を高湿環境で放置吸湿させた用紙を用いて、スリップの確認を行った。
スリップの発生無しであったものが○、多少通紙が不安定であるがジャム発生無く実用上問題ないレベルを△、スリップ発生しジャム発生となったものを×とした。
検討サンプル例6では、スリーブ内面の表面粗度が小さいため、耐久による磨耗等は少ないものの、定着ニップ部のヒータ表面等との密着性が高くなるためトルクが重くなる。このため定着スリーブの回転負荷が重くなり、吸湿した光沢紙等の平滑紙を通紙した場合、定着スリップが発生し、ジャムとなった。検討サンプル例8等ではこのような不具合は無かった。
したがって、本実施例のように定着スリーブ内面の粗度を0.05um≦Ra≦0.5umとすることにより定着スリーブの内面粗度をRa 0.5um以下とすることで削れ等を防止でき、また、Raを0.05um以上とすることでトルク上昇を防止しスリップを防止することが出来る。
本実施例では、カラー画像形成装置としてインランカラー(タンデム)方式のものについて説明したが、他のカラー画像形成方式のものでも良い。
(実施例2)
本発明に関わる実施例2を以下に説明する。
本実施例では、実施例1と異なりスピニング加工ではなく、しごき加工を行って薄肉化した金属スリーブを使用している。
本実施例の塑性加工では、金属平板(ブランク)を深絞り加工によりカップ状の金属製円筒部材を製造した後、円筒部材を外径の小さいダイスに押し通すことを順次内径の小さいダイスに変えていくことで薄肉化を行うしごき加工法により製造している。このようなしごき加工により製造した金属スリーブには、実施例1で使用したスピニング加工でのスパイラル状凹凸とは異なり、図5のような長手方向に沿ったスジ状凹凸が見られる。
本実施例では、しごき加工により製造した金属スリーブを使用しているためスピニング加工で製造した金属スリーブのようなスパイラル状凹凸が無く、定着スリーブ回転時の長手方向への寄り力を小さくすることが出来、定着スリーブのクラック等の耐久性を向上できる効果が有る。
本発明は電子写真式の複写機やプリンタ等の画像形成装置に搭載する定着装置に限らず、静電記録式等、他の記録方式の画像形成装置に搭載する定着装置にも適用できる。また、画像形成装置に搭載する定着装置に限らず、定着装置単体で用いられるものにも適用できる。
本発明の定着装置が使用されるカラー画像形成装置の一例の概略説明図である。 本発明に係わる実施例1における定着装置の概略構成図である。 定着スリーブの基層である金属スリーブの内外表面の表面粗度測定の一例。 本実施例1で使用しているスピニング加工による金属スリーブの凹凸模様図。 本実施例2で使用しているしごき加工による金属スリーブの凹凸模様図。 本実施例で使用しているセラミックヒータの一例の構成概略図。 定着スリーブ内面の粗度を変えた検討サンプルでの検討結果のまとめの表。
符号の説明
1 光学系(スキャナ)
2 カートリッジ
3 中間転写体
4 クリーナ
5 駆動ローラ
6 テンションローラ
7 2転対向ローラ
8 レジローラ
9 1次転写ローラ
10 2次転写ローラ
11 定着装置
12、12′ 給紙ローラ
13 給紙カセット
14 給紙トレイ
P 転写材
25 定着スリーブ
21 表面離形層
27 エンドレスベルト
28 セラミック基板
29、291 温度検出手段であるサーミスタ
34 抵抗発熱体
26 加圧ローラ
31 芯金
32 弾性層(シリコンゴム層)
33 表面離形層
35 未定着トナー像
36 セラミックヒータ

Claims (3)

  1. 可撓性を有するエンドレスベルト状の金属基層上に弾性層および離形層を有する定着スリーブと、定着スリーブ内に配置された発熱手段と、発熱手段の保持部材と、加圧手段と加圧部材と、定着スリーブの内面に当接し温度を検出する少なくとも一つの温度検出手段と、を有する定着装置において、
    前記定着スリーブの内面粗度が、0.05um≦Ra≦0.5umで有ることを特徴とする定着装置。
  2. 前記発熱手段は、セラミック基板上に抵抗発熱体を設けたものを特徴とする特許請求項1記載の定着装置。
  3. 前記定着スリーブの金属基層は、塑性加工により製造したものであることを特徴とする特許請求項1、2記載の定着装置。
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JP2010060030A (ja) * 2008-09-03 2010-03-18 Dymco:Kk 非付着性耐熱皮膜を有する鋼製のベルトまたはスリ−ブ

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2010060030A (ja) * 2008-09-03 2010-03-18 Dymco:Kk 非付着性耐熱皮膜を有する鋼製のベルトまたはスリ−ブ

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