JP4447890B2 - 定着装置及び画像形成装置 - Google Patents

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Description

本発明は、弾性層を有する定着フィルムと、前記定着フィルムの非定着面に作用するように設けた発熱手段とを有する定着装置及び該定着装置を適用した複写機、レーザービームプリンター(以下、LBPと称す)、プリンター、ファクシミリ、マイクロフィルムリーダプリンター、記録機等の画像形成装置に関するものである。
さらに詳しくは、電子写真、静電記録、磁気記録等の適時の画像形成プロセス手段により加熱溶融性の樹脂等よりなるトナーを用いて、転写材(紙、印刷紙、転写材シート、エレクトロファックスシート、静電記録シート、OHTシート、光沢紙、光沢フィルムなど)の面に直接転写方式もしくは間接転写方式で目的の画像情報に対応した未定着トナー画像を形成担持させ、該未定着トナー画像を、該画像を担持している転写材面上に永久固着画像として加熱定着処理する方式の定着装置に関するものである。
本発明は、特にカラー画像形成装置に使用される、低コストで立ち上がり時間(いわゆるウォームアップタイム)の短い、カラーオンデマンド定着装置に関するものである。
近年、プリンターや複写機等の画像形成装置におけるカラー化が進んできている。このようなカラー画像形成装置に使用される定着装置としては、定着部材に弾性層を有する熱ローラ定着がよく知られている。このような弾性層を有する定着ローラを使用する定着装置の一例を図4に示す。
定着装置101では、温度調整された定着ローラ102及び加圧ローラ103からなる2本のローラの当接ニップ部104で未定着トナー画像105を載せた転写材Pが通過出来るように構成されている。
未定着トナー画像105がニップ部104を通過する際に、定着ローラ(以下、単にローラと称する)102及び加圧ローラ(以下、単にローラと称する)103により加熱、加圧されて転写材P上に完成画像として定着される。
各々のローラ102,103の表面にはサーミスタ106a,106bが接触しており、該サーミスタ106a,106bにより検知した温度に基づいて各々のローラ102,103の温度調整が行なわれている。
また、各々のローラ102,103は、中央にハロゲンヒータ(以下、単にヒータと称する)107a,107bを備えており、該ヒータ107a,107bから発生する輻射エネルギーを各ローラ102,103内側のアルミ芯金108a,108bで吸収して加熱される。
アルミ芯金108a,108bの周りには厚さ2mmのシリコンゴムからなる弾性層109a,109bが設けられており、更にその外側の各ローラ102,103の表面にはトナーや紙粉等が固着することを防ぐためにPFA(テトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルエーテル共重合体/4フッ化エチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合樹脂)、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン/4フッ化エチレン樹脂)、FEP(テトラフルオロエチレン・ヘキサフルオロプロピレン共重合体/4フッ化エチレン・6フッ化プロピレン共重合樹脂)等の離型性かつ耐熱性の良い樹脂によるコーティング層110a,110bが設けられている。
ニップ部104において、未定着トナーが接する定着部材である定着ローラ側に弾性層を設けている理由は、トナー画像表面をできるだけ均一に定着するためである。しかし、このような弾性層を有する熱ローラ方式の定着装置においては、熱ローラ自体の熱容量が大きくなってしまい、定着ローラ102をトナー画像定着に適した温度までに昇温させるまでに必要な時間(ウォームアップタイム)が長いという問題があった。また、定着部材のコストも高価なものとなっていた。
ウォームアップタイムの短い定着装置として、白黒プリンター等に良く使用されているフィルム定着方式の定着装置がよく知られている。このようなフィルム定着装置の一例を図5に示す。
定着装置201では、薄層の定着フィルム203を介して、ヒータ204を転写材Pに押し当てて加熱するよう構成された定着フィルムユニット202を加熱装置として採用している。
定着フィルム203は、例えば厚さ50μm程度の耐熱性樹脂のエンドレスフィルムを用い、その表面に厚さ10μmの離型層(フッ素樹脂コーティング層など)を形成したものであり、ヒータ204は、セラミック基盤上に抵抗発熱体を形成したものである。ヒータ204に温度検知手段209が当接され、ヒータ204の温度が検知され、不図示の制御手段によりヒータの温度が所望の温度になるように温調制御される。また、定着フィルム203の熱容量を小さくするため、定着フィルム203には弾性層を設けていない。
205は転写材Pを介して定着フィルムユニット202に対向して配置された加圧ローラである。転写材P上の未定着トナー像105は、ニップ部206を通過する際に、熱と圧力を受け、転写材上に完成定着画像として定着される。
このような構成の定着装置201では、定着フィルム203の熱容量が非常に小さくなっているので、ヒータ204に電力を投入した後、短時間でニップ部206をトナー画像の定着可能温度まで昇温させることが可能である。
しかし、このような弾性層を設けていない定着フィルム203を使用しているフィルム定着装置201をカラー画像形成装置の定着装置として使用すると、定着部材である定着フィルム203に弾性層が無いため、転写材Pの表面やトナー層の有無による凹凸やトナー層自体の凹凸などに定着フィルム203の表面が追随出来ず、凸部と凹部で定着部材から加えられる熱に差が出来てしまう。
定着部材と良く接する凸部では該定着部材から良く熱が伝わり、凹部では定着部材からの熱が凸部に比べ伝わりにくい。カラー画像においては複数色のトナー層を重ねて混色させ使用するので、トナー層の凹凸が白黒画像にくらべ大きく、定着部材に弾性層が無い場合、定着後画像の光沢むらが大きくなって画像品質を低下させたり、転写材がOHPシートの場合には、定着後画像を投影した場合、透過性が悪かったりして画像品質の低下があった。
また、転写材や未定着トナー像の凹凸部分に満遍なく良く熱が伝わるようにシリコンオイル等を弾性層を有しない定着部材に塗布すると、コストが高くなったり、定着後画像および転写材がオイルでべとつく問題があった。
そこで、定着フィルムのような、弾性層を有する定着フィルムを図5に示すようなフィルム定着装置に使用することで、低コストなカラーオンデマンド定着装置を構成する定着装置が知られている(例えば、特許第3051085号公報等を参照)。
特許第3051085号公報
しかしながら、従来の定着装置には、つぎのような問題点があった。
定着フィルムの温度を検出することによってのみヒーターの駆動を制御して温調しようとした場合、特に室温状態から定着温度に昇温させる場合等、急速に定着フィルム温度を上昇させる必要がある場合に、定着フィルムを所望の温度にする際に、ヒーターの温度が高くなってしまい、ヒーター保持部材や、ヒーターと定着フィルムの摺動性を確保するためのグリスの劣化等により、長期間の使用で定着器のトルクが大きくなってしまうという不具合が発生してしまっていた。定着器のトルクが大きくなった場合、通紙時に定着器がメディアを搬送できず、定着フィルムが停止してしまい、ジャムになってしまうという問題があった。
上述の課題を解決するための本発明は、弾性層を有するエンドレスフィルムと、前記エンドレスフィルムの内面に接触するヒータと、前記エンドレスフィルムを介して前記ヒータと共に定着ニップ部を形成する加圧ローラと、前記エンドレスフィルムの温度を検出する第1温度検出手段と、前記ヒータへ供給する電力を制御する制御手段と、を有し、前記定着ニップ部でトナー像を担持する記録媒体を挟持搬送しつつトナー像を記録媒体に加熱定着する定着装置において、前記ヒータの温度を検出する第2温度検出手段を有し、前記制御手段が前記ヒータへ供給する電力を制御することにより前記装置を定着可能状態まで立ち上げる立ち上げ期間中、前記第2温度検出手段の検出温度に応じて前記ヒータへ供給する電力を制御した後、前記第1温度検出手段の検出温度に応じて前記ヒータへ供給する電力を制御することにより、前記立ち上げ期間中の前記ヒータの過昇温を抑制することを特徴とする。また本発明の画像形成装置は、記録媒体上に未定着トナー像を形成する画像形成手段と、請求項1に記載の定着装置であって、前記画像形成手段によって記録媒体上に形成された未定着トナー像を定着する定着装置とを有することを特徴とする。
本発明によれば、弾性層を有するエンドレスフィルムを用いているにも拘わらずヒータの過昇温を抑えつつ装置を定着可能状態まで立ち上げることができる。
以下、本発明の実施の一形態を説明する。
(参考例1)
図1に本発明の定着装置を適用したカラー画像形成装置の概略構成図を示す。
本参考例及び後述する本実施例では中間転写体方式のインラインカラー画像形成装置を用いている。また、定着装置後に公知の自動両面搬送手段である自動両面機構(不図示)を備えており、一度定着した転写材を自動的に表裏を反転させ再給紙搬送させることができる。
図1において、実線で示した部分は、自動両面時の一面目の定着動作を行う転写材の搬送経路であり、点線で示した部分は、前述した自動両面機構による2面目定着時の転写材の反転搬送経路である。
以下、本参考例及び本実施例のカラー画像形成装置の構成について説明する。
本参考例及び本実施例では、感光体ドラム(OPCドラムを本参考例及び本実施例では使用)、帯電手段(不図示)、トナー現像器(不図示)、感光体ドラムのクリーニング手段(クリーニングブレードを本参考例及び本実施例では使用:不図示)等をひとつの容器にまとめた、いわゆるオールインワンCRG2を使用している。イエロー(Y)トナーを使用しているイエローCRG 2Y,マゼンタ(M)トナーを使用しているマゼンタCRG 2M,シアン(C)トナーを使用しているシアンCRG 2C、ブラック(CK)トナーを使用しているブラックCRG 2CK、の4個のCRGを使用している。
上記4色のトナーCRGに対応した、4個の光学系1が設けられており、光学系(レーザー走査露光光学系を本参考例及び本実施例では使用)より画像データに基づいた走査光が、帯電手段(帯電ローラを本参考例及び本実施例では使用)により一様に帯電された感光体ドラム上を露光することにより、感光体ドラム表面に画像に対応する静電潜像が形成される。現像剤であるトナー(非磁性1成分トナーを本参考例及び本実施例では使用)が静電潜像の形成された感光体ドラム表面に供給される。現像ローラに印加される現像バイアスを、帯電電位と潜像(露光部)電位の間の適切な値に設定することで、負の極性に帯電されたトナーが、感光体ドラム上の静電潜像に選択的に付着される、現像が行われる。
感光体ドラム上に現像された単色トナー画像は、駆動ローラ5、テンションローラ6、2次転写対向ローラ間に懸回され、感光体ドラムと同期して略等速で回転する中間転写体3(中間転写ベルトを本参考例及び本実施例では使用)上へ、一次転写ローラ9に印加されるトナーと逆極性である正極性のバイアスにより1次転写される。
一次転写後、感光体上に転写残として残ったトナーは、クリーニング手段(不図示:クリーニングブレードを本参考例及び本実施例では使用)4により除去される。
上記工程を中間転写体3の回転に同期して、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(CK)の各色のCRG2Y、2M、2C、2CKに対して順次行い、中間転写体3上に各色の1次転写トナー画像を順次重ねて形成していく。単色のみの画像形成時(単色モード)には上記行程は目的の色(例えば黒色)の現像器についてのみ行なわれる。
また、転写材供給部となる転写材カセット13或いは転写材トレイ(MPトレイ)14にセットされた転写材Pは、給送ローラ12、12´により夫々選択的に給送され、レジストローラ対8により中間転写体3と2次転写手段10との2次転写部であるニップ部に所定のタイミングで搬送される。
中間転写体3上に形成された一次転写トナー画像は、2次転写手段10(2次転写ローラを本参考例及び本実施例では使用)に印加されるトナーと逆極性である正極性のバイアスにより転写材P上に一括転写される。2次転写後、中間転写体上に残った2次転写残トナーは、中間転写体のクリーニング手段(クリーニングブレードを本参考例及び本実施例では使用)4により除去される。
中間転写体3として使用している中間転写ベルトとしては、厚さ50μm〜200μm、体積抵抗率108Ωcm〜1016Ωcm程度のPVdF(ポリフッ化ビニリデン)、ポリアミド、ポリイミド、PET(ポリエチレンテレフタレート)、ポリカーボネート等の樹脂フィルムベルトや0.5mm〜2mm厚程度の低抵抗なゴム基層の上に厚さ数十μmの離型性の良い高抵抗な樹脂層を設けたゴムベルト等を用いることが出来る。本参考例及び本実施例では、高耐久性とクリーニングブレードによるクリーニングが可能なことから厚み50〜75μmのポリイミドベルトを使用している。
転写材P上に2次転写されたトナー画像は、定着手段となる定着装置11を通過することで転写材P上に溶融定着され、画像形成装置の出力画像となる。
図2は図1のカラー画像形成装置に適用された本参考例及び本実施例の定着装置を示す概略図である。定着部材である定着フィルムユニット25は、本参考例及び本実施例では長さ約230mm、厚み50um、外径φ24mmの耐熱性樹脂(ポリイミド樹脂を本参考例及び本実施例では使用)の円筒状エンドレスフィルムを基層27とし、その上に厚み約200μmの弾性層(本参考例及び本実施例では、熱伝導率約1.0×10−3cal/seccm℃のシリコンゴムを弾性体として使用)を設け、更に離形表面層21として厚み約30μmのフッ素樹脂チューブを被覆している。
定着フィルムの基層としては他の耐熱樹脂や金属製のものを用いても良い。定着フィルム内には発熱手段であるセラミックヒータ(アルミナ、窒化アルミなどのセラミック基板28上に抵抗発熱体34を設け、その上にガラスコート35を設けたものを本参考例及び本実施例では使用)が内包されている。
セラミックヒータの定着フィルムとの非当接面側には、発熱手段の温度検出手段としてサーミスタ29が当接されており、該サーミスタにより発熱手段の温度を検知している。
また、定着フィルムの温度検出手段としてサーミスタ291が、定着ニップ出口付近の定着フィルムの内面に当接するように設けられている。サーミスタ291により定着フィルムの温度が検出され、所望の温度になるように発熱手段への通電が制御され定着フィルムの温調動作が行われる。また、発熱手段自体の温度は、サーミスタ29により検出され、過高温になった場合には、発熱手段への通電を緊急停止するなど、検出温度結果により必要な動作を行う。
例えば、サーミスタ291の検出値を基準値と比較回路301で比較し、この比較回路301の出力値によって通電量制御手段302を制御して、交流電源303から発熱手段としての抵抗発熱体34へ供給される交流電力の位相制御を行い、定着フイルムの温度を適正温度に保持する。一方、サーミスタ29の検出値を基準値と比較回路304で比較し、何らかの原因によって過高温になった場合は、比較回路304の出力によって、スイッチング回路305をオフし、抵抗発熱体34への通電を緊急停止する。
定着フィルムはフィルムガイド30により回転自在に支持されている。また、フィルムガイド30に一体的に設けられたセラミックヒータ29は図示しない加圧機構により加圧部材(加圧ローラ26を使用)の方向へ本実施例では総圧約196N(約20kgf)の力で押圧されており、これによりフィルムガイド30に回転自在に支持された定着フィルムが加圧ローラ26に圧接されている。
また、セラミックヒーターが定着フィルムと摺動する面に、摺動製を確保するためのグリスが塗布されている。
加圧ローラ26は外径φ13mmの鉄製芯金31の上に、厚さ3.5mmのシリコンゴム弾性層32および、離形表面層33として厚さ40μmのPFA(テトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルエーテル共重合体)やFEP(テトラフルオロエチレン・ヘキサフルオロプロピレン共重合体/4フッ化エチレン・6フッ化プロピレン共重合樹脂)などのフッ素樹脂チューブ層が順次形成されている。
加圧ローラ26の外径は、略φ20mmである。この加圧ローラ26の製品硬度は約60度(高分子計器株式会社製硬度計ASCKER−Cを用い、総荷重約9.8N(約1kgf)での硬度値)であった。定着ニップ幅は約5.5〜6.5mmであった。
本参考例及び本実施例では加圧ローラ26に不図示の駆動手段により回転駆動がかけられ、定着フィルム25は従動回転している。
本参考例及び本実施例に用いられるトナーとしては、重合法により製造され、低軟化点物質を5〜30重量%含み、形状係数SF−1が100〜110である実質球形トナー(以下、単に重合トナーと称す)を用いている。
低軟化点物質としては、ASTMD3418−8に準拠し測定された主体極大ピーク値が40〜90℃を示す化合物である。重合トナーの極大ピーク値温度の測定は、例えばパーキンエルマー社製DSC−7を用いる。装置検出部の温度補正は、インジウムと亜鉛の融点を用い、熱量の補正についてはインジウムの融解熱を用いる。
サンプルは、アルミニウム製パンを用い対照用に空パンをセットし、昇温速度10℃/minで測定を行った。具体的には、パラフィンワックス、ポリオレフィン、フィッシャートロピッシュワックス、アミドワックス、高級脂肪酸、エステルワックス及びこれらの誘導体またはこれらのグラフト/ブロック化合物が利用できる。好ましくは、下記の一般構造式で示す炭素数が10以上の長鎖エステル部分を一個以上有するエステルワックスである。具体的なエステルワックスの代表的な化合物の構造式を下記に一般構造式1、2、及び3として示す。
Figure 0004447890
本発明で好ましく用いられるエステルワックスは、硬度0.5〜5.0を有するものである。エステルワックスの硬度は、直径20mmで厚さが5mmの円筒状のサンプルを作成した後、島津製作所製ダイナミック微小硬度計(DUH−200)を用い、ビッカース硬度を測定した値である。測定条件は、0.5gの荷重で負荷速度が9.67mm/secの条件で10μm変位させた後、15秒間保持し、得られた打痕形状を測定しビッカース硬度を求める。本発明に好ましく用いられるエステルワックスの硬度は、0.5〜5.0の値を示す。具体的化合物の例を下記の化学式(1)、(2)、(3)、(4)に示す。
Figure 0004447890
なお、ここでいう形状係数SF−1とは、球状物質の球状の丸さの割合を示す数値であり、球状物質を2次元平面上に投影してできる楕円状の図形の最大長MAXLNGの2乗を図形面積AREAで割って、100π/4を乗じたときの値で表わされる。つまり、形状係数SF−1は次式
Figure 0004447890
で定義されるものである。日立製作所FE−SEM(S−800)を用い、トナー像を無作為に100個サンプリングし、その画像情報をインターフェースを介してニコレ社製画像解析装置(Luzex3)に導入し解析を行い上式より算出したものである。
シアントナーは、次のごとくして調整した。高速攪拌装置を備えた21リットル用四つ口フラスコ中にイオン交換水710重量部と0.1モル/リットルのNa3PO4水溶液450重量部を添加し、回転数を12000回転に調整し、65℃に加温せしめた。ここに1.0モル/リットルのCaCL2水溶液68重量部を徐々に添加し、微少な難水溶液性分散剤Ca3(PO4)2を含む分散媒系を調整した。一方、分散質系は、
スチレン単量体 165重量部
n−ブチルアクリレート単量体 35重量部
I.ピクメントブルー15:30 14重量部
飽和ポリエステル 10重量部
[テレフタール酸−プロピレンオキサイド変性ビスフェノール A酸価15、ピーク分子量:6000]
サリチル酸金属化合物 2重量部
下記化合物(極大ピーク値59.4℃) 60重量部
Figure 0004447890
上記混合物をアトライターを用い3時間分散させた後、重合開始剤である2、2’−アゾビス(2、4−ジメチルバレロニトリル)10重量部を添加した分散物を分散媒中に投入し回転数を維持しつつ15分間造粒した。その後、高速攪拌器からプロペラ攪拌羽根に攪拌器を変え、内温を80℃に昇温させ50回転で重合を10時間継続させた。重合終了後スリラーを冷却し、希塩酸を添加し分散媒を除去せしめた。更に洗浄し乾燥を行う事でコールターカウンターで測定したシアントナーの重量平均粒径は6.2μmで個数変動係数が27%であり、SF−1が104であった。同様にして、SF−1が104のイエロートナー、マゼンタトナー及びブラックトナーを製造した。
なお、着色剤としては、イエロートナーでは、C.I.ピグメントイエロー17、マゼンタトナーでは、C.I.ピグメントレッド122及びブラックトナーでは、カーボンブラックを用いた。
定着装置11では、加圧ローラ26が約100mm/sec程度の周速度で回転駆動されると共に、定着ニップ部がトナー画像の定着に適した温度(本参考例及び本実施例では定着フィルム表面の温度が180℃程度)となるようセラミックヒータへの通電が調整される。
2次転写プロセスまでを終えて未定着トナー画像35をその上に載せた転写材Pは定着ニップ部へ導かれ、該定着ニップ部で加えられる圧力と定着フィルムを介してセラミックヒータから伝えられる熱により未定着トナー画像35が熱溶融されて転写材P上に定着画像として定着される。
本参考例及び本実施例の定着装置11は、定着フィルムの弾性層を約200μmと薄くし、外径をφ24と小さくして定着フィルムの熱容量を小さくしたので、発熱手段として約900Wの入力を行った場合、ウォームアップタイムを約10−12秒程度と短くすることができ、いわゆるオンデマンド定着を行うことができた。
本参考例及び本実施例での定着装置11にて、転写材Pを通紙した場合の定着フィルム等の温度変化を次に説明する。
図6に示すグラフ1は、図5のようなフィルム定着装置にて、定着フィルム203に弾性層の無い定着フィルムを使用した場合のグラフである。グラフ中、実線が定着フィルム203の温度を示し、点線が発熱体の温度を示している。記録材Pとして、Xerox社のpremium multipurpose 4024 paper(坪量105g/m2、Letterサイズ)の用紙を通紙した場合の温度変化の部分を示している。この場合は、定着フィルム203に弾性層が無いため、定着フィルムと発熱体の温度差が少ない。
図7に示すグラフ2は、従来例のように、定着フィルム203に弾性層のあるフィルムを用いて、発熱体に当接された温度検出手段で温調制御している場合に転写材Pを通紙した場合のグラフである。この場合、定着フィルム203に弾性層が付いているため、転写材Pにより定着フィルム203の熱が奪われて定着フィルムの温度が低下し、発熱体の温度になるまでに時間がかかる。
発熱体の温度検出手段で温度が低下したのを検出するまでに、定着フィルム203の熱は転写材Pにより奪われていってしまうので、定着フィルムの温度低下を防止することが出来ない。従って、定着フィルム203の温度低下が、最大約40℃と大きくなってしまっている。このため定着性のマージンが少なくなったり、光沢差が生じたりの不具合がある。
図8に示すグラフ3は、本参考例1の場合のグラフである。定着フィルムとして弾性層のある定着フィルムを使用し、定着フィルムの内面に当接された温度検出手段291の検出温度により発熱体の制御を行い温調を行っている。この場合、転写材Pの通紙時の定着フィルムの温度低下をグラフ2の場合よりも早く検出できるため、定着フィルムの温度低下に対しそれほど遅延せずに発熱体の制御を応答性よく行うことが出来るので、定着フィルムの温度低下を少なくおさえることが出来る。本参考例では約10℃以内に押さえることができた。
以上説明したように、本参考例の定着装置においては、従来の、発熱体のみに温度検出手段を設けた定着装置に比べて、温度低下量を約30℃改善することができた。
また、本参考例では、異常高温検知には、定着フィルムの温度検出手段ではなく、発熱体の温度検出手段291の検出温度に基づいて行っている。このとき、異常高温検出温度として約250℃程度を設定している。
異常時に定着フイルムユニット25が停止した状態で、発熱体への通電が行われてしまった場合、定着フィルムの温度検出手段の検出温度により異常高温検知を行おうとしても、定着フィルムの回転が停止しているため、定着フィルムの温度検出手段付近の温度は、発熱体温度を反映しづらく、定着フィルムの温度検出手段の温度上昇勾配は大きくないので、発熱体が過高温になってしまい、熱応力によりヒータが割れたり、高温のためヒータホルダが溶けたり等の不具合が生じてしまう。
本参考例では、定着フィルムの温度検出手段と、発熱体の温度検出手段の、二つの温度検出手段を設け、温調は定着フィルムの温度検出手段の検出温度にもとづき行い、発熱体の温度検出手段の検出温度を用いて発熱体の異常高温検知を行うことで、定着フィルムの回転が停止した状態で発熱体に通電された場合でも、発熱体の温度検出手段により発熱体が過高温になるまえに異常高温検出でき、発熱体への通電を停止するなどの処置を素早く行うことができるため、安全性を確保することができる。
また、カラー画像形成装置としてインランカラー(タンデム)方式のものについて説明したが、他のカラー画像形成方式のものについても同様の効果が得られる。
(参考例2)
参考例2を以下に説明する。参考例2における定着装置の概略構成図を図3に示す。参考例1と同様の部分については、説明を省略する。本参考例では、参考例1と異なり、定着フィルムの温度検出手段291を該定着フィルムの外表面に当接させている。
図9に示すグラフ4は、本参考例2における定着フィルム等の温度低下を示す。本参考例では、定着フィルムの温度検出手段を定着フィルム表面に当接させているため、転写材Pにより定着フィルムの温度低下を、参考例1より応答性よく検出できる。このため、定着フィルムの温度低下を約5℃以内に押さえることができた。
参考例3
本発明に係わる参考例3を以下に説明する。本参考例における定着装置は、参考例1と同様のものを用いるため、説明を省略する。
参考例では、プリント開始時のみ、通常の温調制御に加えて、セラミックヒータに当接した温度検出手段の検出温度をもとに、セラミックヒーターが一定温度を超えないようにした制御を組み合わせ、セラミックヒーターの過昇温を防止する構成であることが異なる。
図10に、本参考例における定着装置の制御方法を説明するフローチャートを示す。本制御において、セラミックヒーターは、定着フィルム温度検出手段の検知結果に基づきフィードバック制御により駆動される。
参考例においては、定着フィルム温度が180℃になるよう制御を行っている。
参考例の制御において、プリント開始時に、定着フィルム検知温度が170℃以下の場合に、セラミックヒーター温度が225℃(第1の所定温度)を超えた際には、セラミックヒーターへの通電をoffし、セラミックヒーター検知温度が220℃(第2の所定温度)を下回ったときに再びセラミックヒーターへの通電制御を再開する制御を行う。
図11に示すグラフ5は、従来の定着装置におけるプリント開始時の、セラミックヒーター裏面と、定着フィルム裏面の温度上昇カーブをモニターしたものである。実線はセラミックヒーター温度、破線は定着フィルム温度を示す。
これによると、プリント開始時には、定着フィルム裏面の検知温度、セラミックヒーターの検知温度ともに急激に上昇し、セラミックヒーター温度が最大250℃まで上昇する。
図12に示すグラフ6は、本参考例の定着装置におけるプリント開始時の、セラミックヒーター裏面と、定着フィルム裏面の温度上昇カーブをモニターしたものである。本グラフにおいても、実線がセラミックヒーター温度、破線が定着フィルム温度を示す。
これによると、プリント開始時に定着フィルム裏面の検知温度、セラミックヒーターの検知温度ともに急激に上昇するものの、セラミックヒーター温度が225°を超えた時点でヒーターへの通電がoffされるため、セラミックヒーターの温度は最大でも230℃にとどまる。
定着フィルム温度は、セラミックヒーターへの通電がoffされても、急激には低下せず、12秒以内に目標温度である180℃に到達する。
図13に示すグラフ7は、従来の定着装置と本参考例の定着装置によりそれぞれ画像を出力し、耐久試験を行った場合の、定着器トルクの上昇速度を示すものである。
これによると、従来の定着装置は、10000〜20000枚程度の通紙で、トルクが初期の2倍程度まで上昇するのに対し、本参考例の定着装置では、ほとんどトルク上昇が起こらない。これは、セラミックヒーター温度が230℃以下に抑えられるため、セラミックヒーター表面のグリスの劣化度合いが、従来の定着装置に比べて小さく、トルクの上昇速度が小さいためである。
(実施例
本発明に係わる実施例を以下に説明する。本発明における定着装置は、参考例1と同様のものを用いるため、説明を省略する。
図14に、本実施例における定着装置の制御方法を説明するフローチャートを示す。本実施例において、セラミックヒーターは、プリント開始後、定着フィルム温度検出手段の検知温度が170℃を超えるまでの間、セラミックヒーター温度検知手段の検知温度に基づき制御される。このとき、セラミックヒーターは、225℃に制御される。
定着フィルム温度検出手段の検知温度が170℃を超えた場合は、通常の、定着フィルム温度に基づく制御に移行する。
本実施例においても、セラミックヒーターの温度が230℃を超えることは無く、耐久試験におけるトルク上昇はほとんど見られなかった。
本発明の定着装置が使用されるカラー画像形成装置の一例の概略説明図である。 本発明に係わる実施例及び参考例における定着装置の概略構成図である。 本発明に係わる実施例及び参考例における定着装置の概略構成図である。 弾性層を有する定着部材を使用した定着装置の一例である従来の熱ローラ定着装置の概略構成図である。 弾性層を有しない定着フィルムを使用した定着装置の一例の概略構成図である。 定着フィルムの温度低下等の説明のグラフ図である。 定着フィルムの温度低下等の説明のグラフ図である。 定着フィルムの温度低下等の説明のグラフ図である。 定着フィルムの温度低下等の説明のグラフ図である。 本発明に係わる参考例の定着装置の制御方法を説明するためのフローチャートである。 従来の定着装置のプリント開始時の発熱体温度プロファイル及び定着フィルム表面の温度プロファイルを説明するグラフ図である。 本発明に係わる参考例における、プリント開始時の発熱体温度プロファイル及び定着フィルム表面の温度プロファイルを説明するグラフ図である。 本発明に係わる参考例における、定着器トルク変化を説明するグラフ図である。 本発明に係わる実施例における、定着装置の制御方法を説明するためのフローチャートである。
1 光学系(スキャナ)
2 カートリッジ
3 中間転写体
4 クリーナ
5 駆動ローラ
6 テンションローラ
7 2転対向ローラ
8 レジローラ
9 1次転写ローラ
10 2次転写ローラ
11 定着装置
12、12’ 給紙ローラ
13 給紙カセット
14 給紙トレイ
P 転写材
25 定着フィルム
21 表面離形層
27 エンドレスベルト
28 セラミック基盤
29、291 温度検出手段であるサーミスタ
34 抵抗発熱体
26 加圧ローラ
31 芯金
32 弾性層(シリコンゴム層)
33 表面離形層
35 未定着トナー像

Claims (2)

  1. 弾性層を有するエンドレスフィルムと、前記エンドレスフィルムの内面に接触するヒータと、前記エンドレスフィルムを介して前記ヒータと共に定着ニップ部を形成する加圧ローラと、前記エンドレスフィルムの温度を検出する第1温度検出手段と、前記ヒータへ供給する電力を制御する制御手段と、を有し、前記定着ニップ部でトナー像を担持する記録媒体を挟持搬送しつつトナー像を記録媒体に加熱定着する定着装置において、
    前記ヒータの温度を検出する第2温度検出手段を有し、前記制御手段が前記ヒータへ供給する電力を制御することにより前記装置を定着可能状態まで立ち上げる立ち上げ期間中、前記第2温度検出手段の検出温度に応じて前記ヒータへ供給する電力を制御した後、前記第1温度検出手段の検出温度に応じて前記ヒータへ供給する電力を制御することにより、前記立ち上げ期間中の前記ヒータの過昇温を抑制することを特徴とする定着装置。
  2. 記録媒体上に未定着トナー像を形成する画像形成手段と、請求項1に記載の定着装置であって、前記画像形成手段によって記録媒体上に形成された未定着トナー像を定着する定着装置とを有することを特徴とする画像形成装置。
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