JP2005148568A - 光学フィルムおよびその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 溶融押出法によるダイラインのない光学フィルム、特にLCDに用いられた場合に問題となるダイラインが無い光学フィルムを提供すること及びその製造方法を提供する。
【解決手段】
非晶性熱可塑性樹脂が溶融押出成形された厚み100μm以下の光学フィルムであって、明度落差の標準偏差が15以下である光学フィルム。または非晶性熱可塑性樹脂が溶融押出成形された厚み100μm以下の光学フィルムであって、明度落差の平均値が40以下である光学フィルム。
【選択図】 なし

Description

本発明は、光学用途や液晶ディスプレー(以下「LCD」と略す。)用途等で使用される光学フィルム及びその製造方法に関する。
近年、光学用途やLCD分野においては、透明性が優れ、表面性のよい光学フィルムが求められており、その製造方法としては、一般に、溶液キャスティング法と溶融押出成形法が用いられている。
溶液キャスティング法は、熱可塑性樹脂を有機溶剤に溶解し、キャストによる流延法によって成形するので、表面性は優れているが、溶剤の乾燥に加熱が必要で時間がかかるため生産性が悪く、乾燥工程を経過しても残留溶剤がフィルム内に残存し、且つ、時間と共に残存溶剤量が変化し光学性能等に悪影響を与えるという欠点があった。
そのため、最近では溶融押出成形で光学フィルムを製造する方法が盛んに研究されている(例えば、特許文献1参照)が、Tダイを使用して押出機により溶融樹脂を押出すと、フィルムの押出方向に沿って連続的に発生する凹凸状線状模様(以下「ダイライン」と称する。)が発生するという欠点があった。
上記ダイラインは、目視により確認できるものもあるが、より明確に確認するには、光をフィルム面に対して垂直若しくは法線方向から30度程度の角度で入射させ、その出射光をスクリーンに投影して観察する。ダイラインは光学フィルムを光ディスクの基板やLCDに使用した場合に大きな障害になる。
上記ダイラインをなくすために、環状オレフィン樹脂を溶融し、溶融状態の環状オレフィン樹脂を剥離強度75N以下のリップ部を有するダイを通して押出し、環状オレフィン樹脂を成形することにより、表面粗さが、最大粗さRt表記で0.3μm以下であるフィルムを得ることが提案されている(例えば、特許文献2参照)。
しかしながら、光学フィルムに必要な特性としては、透過光の緩やかな濃淡よりも急激な濃淡差が問題となる。
すなわち、最大粗さRt表記で0.3μm以下であっても急激な表面形状の変化がみられると、その部分では、透過光が急激な濃淡変化となって現れる。
特開平3−223328号公報 特開2000−280315号公報
本発明が解決しようとする課題は、溶融押出法によるダイラインの無い光学フィルム、特にLCDに用いられた場合に問題となるダイラインが無い光学フィルムを提供すること及びその製造方法を提供することにある。
請求項1記載の発明は、非晶性熱可塑性樹脂が溶融押出成形された厚み100μm以下の光学フィルムであって、明度落差の標準偏差が15以下であることを特徴とする。
明度落差の標準偏差が15以下であると、スクリーンに投影する方法を用いても、目立ったダイラインは視認できなくなるからであり、LCDに用いた場合実用上問題がないからである。
請求項2記載の発明は、非晶性熱可塑性樹脂が溶融押出成形された厚み100μm以下の光学フィルムであって、明度落差の平均値が40以下であることを特徴とする。
明度落差の平均値が40以下であると、全面にダイラインが視認できないようになる。
請求項3記載の発明は、非晶性熱可塑性樹脂が溶融押出成形された厚み100μm以下の光学フィルムであって、明度落差の標準偏差が15以下であり、かつ明度落差の平均値が40以下であることを特徴とする。
明度落差の標準偏差が15以下であり、かつ明度落差の平均値が40以下であれば、目立ったダイラインが視認出来なくなるとともに全面にダイラインが視認出来ないようになるからである。
請求項4記載の発明は、請求項1〜3記載の光学フィルムにおいて、長さが500m以上の長尺フィルムであることを特徴とする。
長尺であるので本光学フィルムを更に貼合、延伸等する次工程が効率的に通常装置で連続プロセスで行えるからである。
請求項5記載の発明は、請求項1〜4のいずれか1項に記載の光学フィルムであって、非晶性熱可塑性樹脂が熱可塑性飽和ノルボルネン系樹脂であることを特徴とする。
熱可塑性飽和ノルボルネン系樹脂であるため、得られる光学フィルムは透明性、耐熱性及び液晶とのマッチング性に優れ、固有複屈折率が低く、光弾性係数が小さいので、光学フィルムとしてより好適に使用される。
請求項6記載の発明は、請求項1〜5のいずれか1項に記載の非晶性熱可塑性樹脂に紫外線吸収剤が添加されて溶融押出成形された厚み100μm以下の光学フィルムであって、波長380nmの光線の透過率が3%以下であることを特徴とする。
耐紫外線性が優れているため、液晶等に用いられる光学フィルムとしてより好適に使用される。
請求項7記載の発明は、Tダイがとりつけられた押出機に非晶性熱可塑性樹脂を供給し溶融押出する請求項1〜5のいずれか1項記載の光学フィルムの製造法であって、Tダイリップエッジ部分に存在する凹部のダイリップの幅方向の長さをA、リップランド方向の長さをBとしたときに、A≦100μm、B≦15μm、且つ、B/A≦0.15の凹部のみが存在するTダイを用いて、溶融押出成形することを特徴とする。
ダイリップの欠陥形状を制限することでダイラインの発生を抑制することができるからである。
請求項8記載の発明は、Tダイがとりつけられた押出機に非晶性熱可塑性樹脂を供給し溶融押出する請求項6項記載の光学フィルムの製造法であって、前記Tダイリップエッジ部分に存在する凹部のダイリップの幅方向の長さをA、リップランド方向の長さをBとしたときに、A≦100μm、B≦15μm、且つ、B/A≦0.15の凹部のみが存在するTダイを用いて、紫外線吸収剤の加熱減量が5重量%となる温度をTとしたときに、押出機における樹脂温度が「非晶性熱可塑性樹脂のガラス転移温度+50℃」〜「T−50℃」の温度範囲で溶融押出成形することを特徴とする。
金型形状によるダイライン発生が抑制されかつ、一般に紫外線吸収剤が含まれる組成物を押出成形する場合、昇華、ブリードアウトによりいわゆる「目ヤニ」現象によりダイラインが発生しやすいが、本温度条件を設定することによりダイラインの発生が抑制されるからである。
以下詳細に本発明を説明する。
本発明における非晶性熱可塑性樹脂とは、透明性の優れた非晶性熱可塑性樹脂であれば、特に限定されず、例えば熱可塑性飽和ノルボルネン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリサルホン系樹脂、ポリエーテルサルホン系樹脂、ポリメタクリル酸メチル系樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂等が挙げられ、これらの非晶性熱可塑性樹脂は単独で用いられてもよいし、2種以上が併用されてもよい。
上記非晶性熱可塑性樹脂の中で、熱可塑性飽和ノルボルネン系樹脂が透明性、耐熱性及び液晶とのマッチング性に優れ、固有複屈折率が低く、光弾性係数が小さいので特に好適に用いられる。
上記熱可塑性飽和ノルボルネン系樹脂は、例えば、(イ)ノルボルネン系モノマーの開環重合体若しくは開環共重合体を、必要に応じてマレイン酸付加、シクロペンタジエン付加等の変性を行った後に、水素添加した樹脂、(ロ)ノルボルネン系モノマーを付加重合させた樹脂、(ハ)ノルボルネン系モノマーとエチレンやα−オレフィン等のオレフィン系モノマーとを付加重合させた樹脂、(ニ)ノルボルネン系モノマーとシクロペンテン、シクロオクテン、5,6−ジヒドロジシクロペンタジエン等の環状オレフィン系モノマーとを付加重合させた樹脂及びこれらの樹脂の変性物等が挙げられる。
上記熱可塑性飽和ノルボルネン系樹脂を構成するノルボルネン系モノマーとしては、例えば、ノルボルネン、5−メチル−2−ノルボルネン、5−エチル−2−ノルボルネン、5−ブチル−2−ノルボルネン、5−エチリデン−2−ノルボルネン、5−メトキシカルボニル−2−ノルボルネン、5,5−ジメチル−2−ノルボルネン、5−シアノ−2−ノルボルネン、5−メチル−5−メトキシカルボニル−2−ノルボルネン、5−フェニル−2−ノルボルネン、5−フェニル−5−メチル−2−ノルボルネン、6−メチル−1,4:5,8−ジメタノ−1,4,4a,5,6,7,8,8a−オクタヒドロナフタレン、6−エチル−1,4:5,8−ジメタノ−1,4,4a,5,6,7,8,8a−オクタヒドロナフタレン、6−エチル−1,4:5,8−エチリデン−1,4,4a,5,6,7,8,8a−オクタヒドロナフタレン、6−クロロ−1,4:5,8−ジメタノ−1,4,4a,5,6,7,8,8a−オクタヒドロナフタレン、6−シアノ−1,4:5,8−ジメタノ−1,4,4a,5,6,7,8,8a−オクタヒドロナフタレン、6−ピリジル−1,4:5,8−ジメタノ−1,4,4a,5,6,7,8,8a−オクタヒドロナフタレン、6−メトキシカルボニル−1,4:5,8−ジメタノ−1,4,4a,5,6,7,8,8a−オクタヒドロナフタレン、1,4−ジメタノ−1,4,4a,4b,5,8,8a,9a−オクタヒドロフルオレン、5,8−メタノ−1,2,3,4,4a,5,8,8a−オクタヒドロ−2,3−シクロペンタジエノナフタレン、4,9:5,8−ジメタノ−3a,4,4a,5,8,8a,9,9a−オクタヒドロ−1H−ベンゾインデン、4,11:5,10:6,9−トリメタノ−3a,4,4a,5,5a,6,9,9a,10,10a,11,11a−ドデカヒドロ−1H−シクロペンタアントラセン、ジシクロペンタジエン、2,3−ジヒドロキシシクロペンタジエン、メタノオクタヒドロフルオレン、ジメタノヒドロオクタフルオレン等が挙げられる。
上記熱可塑性飽和ノルボルネン系樹脂の数平均分子量は、小さくなると機械的強度が低下し、大きくなるとフィルム成形性が低下するので、テトラヒドロフラン溶媒又はシクロヘキサン溶媒によるゲル・パーミエーション・クロマトグラフィで測定して、5000〜40000が好ましく、より好ましくは7000〜35000であり、更に好ましくは8000〜30000である。
上記熱可塑性飽和ノルボルネン系樹脂は、極性基を有さないものとしては日本ゼオン社より商品名「ゼオノア」、極性基を有するものとしてはJSR社より商品名「アートン」として上市されている。
上記非晶性熱可塑性樹脂には、光学フィルムの耐紫外線性を向上させるために、紫外線吸収剤が添加されていることが好ましく、波長380nmの光線の透過率が3%以下になされていることが好ましい。LCD等に用いられた場合により高い信頼性が得られるからである。
上記紫外線吸収剤としては、光学フィルムの成形の際に一般に使用されている紫外線吸収剤であれば特に限定されず、例えば、ベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系、サリチル酸エステル系、シアノアクリレート系等の紫外線吸収剤が挙げられる。
上記紫外線吸収剤の添加量は、光学フィルムの波長380nmの光線の透過率が3%以下になるように適宜決定されればよいが、一般に、非晶性熱可塑性樹脂100重量部に対し、0.2〜10重量部である。
又、上記非晶性熱可塑性樹脂には、更に、光学フィルムの耐熱性、耐候性、平滑性等を向上させるために、フェノール系、リン系などの老化防止剤、フェノール系などの熱劣化防止剤、アミン系などの帯電防止剤、脂肪族アルコールのエステル、多価アルコールの部分エステルなどの滑剤等が添加されても良い。
上記光学フィルムは溶融押出成形により成形されればよく、従来公知の任意の押出成形法が採用されてよい。貼合、延伸等の次工程上長尺であることが好ましく、500m以上の長尺フィルムであることが好ましい。またダイラインのないフィルムを製造するにあたっては請求項7記載の光学フィルムの製造方法で製造されることが好ましい。
本発明において上記光学フィルムは溶融押出成形法で成形されるので、フィルム中に残存溶媒を含まず、時間の経過と共に残存溶剤量が変化し光学性能等に悪影響を与えることがない。
本発明の光学フィルムにおいては明度落差の標準偏差が15及び/または明度落差の平均値が40以下である。以下その測定方法及び意義につき詳述する。
(評価方法)
暗室にて、投影機(光源装置 ウシオ電機社製、型番SX−U1500H)を4mはなれた白色のスクリーンに投影し、その間にスクリーンから1mの位置にフィルムを設置し、CCDカメラ(日本ローパー社製MegaPlus Camera 1.6i 画素数1532×1024)をスクリーンより0.8mの位置に仰角が10°以下となるように設置し、スクリーンに投影されたフィルムの画像を取り込む(図1参照)。スクリーンは特に指定しないが、以下の測定方法を用いて、明度落差の標準偏差が8以下、平均値が30以下であれば特に問題がない。取り込まれた画像が7ピクセルあたり1mmとなるようにフィルムとスクリーン間の距離を調整する。取り込まれた画像の明度が平均1024階調で、フィルム透過光が平均700〜750の間の値となるように光源の光量を調整する。取り込まれた画像はカメラが傾いていることから、取り込まれた画像は上部と下部で、輝度が2%程度異なるが、ここでは、この差を無視する。
取り込んだ画像をTD方向フィルム上の距離にて1cm間隔毎に連続して10箇所選択し、それらの箇所の明度値を以下に示す記号で表示する。(図2参照)。
明度落差とは1mm間隔の間の明度の差であって、1mm間隔内での(明度の最大値)−(明度の最小値)で表される。
明度落差の標準偏差Xは、フィルムにて1mmの間隔での最大値と最小値との差の標準偏差であり、下記計算式にて求められる。
Figure 2005148568
ij=Cij−Bij (i=1,2,・・・,10)(j=1,2,・・・・,1532)
ijはフィルムをセットした状態での明度値であり、Cijはフィルムをセットしていないときの明度の値である。
i=横方向に選択した線の番号
j=横方向の画素の位置
明度落差の平均値Yは、フィルムにて1mmの間隔での最大値と最小値との差の平均値であり、下記計算式にて求められる。
Figure 2005148568
とすると、Yは以下の式にて表される。
Figure 2005148568
上記明度落差の標準偏差Xおよび、明度落差の平均値Yの値にて評価することで、光学フィルムの特性をより正確に評価できる。
これらの評価方法を用いて、明度落差の標準偏差Xが15以上となると、部分的に濃淡の大きいところが視認でき、明度落差の平均値が40以上となると、全面に濃淡が視認できるようになる。
上記範囲外の光学フィルムを例えばLCDに用いると、濃淡差として現れたり、位相差のムラとなって現れ、視認性が劣ってしまう。偏光子保護フィルムとして偏光子と貼り合わせてからあるいは延伸後位相差板として組み合わせてから不具合が発見されると製造上効率が悪い。本発明のフィルムは偏光子保護フィルムとして貼り合わせたり、延伸して位相差板として組み合わせる際、または後に光学的不具合が発見されず不良品を出さない上で意義がある。
次に本発明の製造法につき詳細に説明する。
即ち、請求項7記載の光学フィルムの製造方法は、Tダイリップエッジ部分に存在する凹部のダイリップの幅方向の長さをA、リップランド方向の長さをBとしたときに、A≦100μm、B≦15μm、且つ、B/A≦0.15の凹部のみが存在するTダイを用いて、溶融押出成形することを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項記載の光学フィルムの製造方法である。(図3参照)
上記請求項7記載の光学フィルムの製造方法においては、先ず最初に、ダイスの設置された押出機で非晶性熱可塑性樹脂を溶融し、Tダイからシート状に溶融押出して非晶性熱可塑性樹脂フィルムを形成する。
溶融押出の際に使用するTダイのリップエッジ部分には通常の製法であれば必ず凹部が存在するが、請求項7記載の発明に係るフィルムの製造方法においては、特定の大きさ以下の凹部しか存在しないTダイを使用するところに特徴がある。金型として直径20μm以上のピンホールがない素材を選定し、素材の前処理を0.8s以下の仕上げにするとともに、必要に応じてメッキ処理を施した上で、リップ流路の全幅での高さのバラツキが20μm以下となるように適切に管理された磨き仕上加工を行うことで上記凹部の形状抑制を行うことができる。なお、金型に施す表面処理は特に限定されるものではなく、例えば、金型リップ部分にタングステンカーバイドの溶射処理等が実施可能である。また、メッキ処理は必ずしも必須ではないが、金型の寿命を延ばす効果があるためメッキ層を形成することが好ましく、処理に際しては脱脂、酸化物除去等を行い、メッキ浴組成、電流値、浴温度、メッキ時間等の条件を厳正に管理する必要がある。
即ち、Tダイリップエッジ部分に存在する凹部のダイリップの幅方向の長さをA、リップランド方向の長さをBとしたときに、凹部の大きさはA≦100μm、B≦15μm、且つ、B/A≦0.15である。
Aが大きくなると幅広の凸条が形成され、Bが大きくなると高い凸条が形成され、B/Aが大きくなると幅の狭い鋭角状の凸条が形成されダイラインが出やすくなるので上記範囲に限定されるのであり、より好ましくはA≦80μm、B≦12μm、且つ、B/A≦0.135である。
尚、非晶性熱可塑性樹脂を溶融押出する際の樹脂温度は、押出機の種類、押出量等の条件により適宜決定されればよいが、一般に使用する非晶性熱可塑性樹脂のガラス転移温度+50℃以上であって、非晶性熱可塑性樹脂の分解温度以下が好ましい。
非晶性熱可塑性樹脂に紫外線吸収剤が添加されている場合は、非晶性熱可塑性樹脂の温度が高温になればなるほど紫外線吸収剤が揮散してしまい紫外線吸収剤の添加の効果が低減されると共に、揮散した紫外線吸収剤がTダイのリップエッジに付着してダイラインの原因となるので、以下に記載の製造方法で製造されるのが好ましい。
上記請求項8記載の発明にかかる光学フィルムの製造方法は、Tダイリップエッジ部分に存在する凹部のダイリップの幅方向の長さをA、リップランド方向の長さをBとしたときに、A≦100μm、B≦15μm、且つ、B/A≦0.15の凹部のみが存在するTダイを用いて、紫外線吸収剤の加熱減量が5重量%の温度をT℃としたときに、樹脂温度が「非晶性熱可塑性樹脂のガラス転移温度+50℃」〜「T−50℃」の温度範囲で溶融押出成形することを特徴とする請求項6項記載の光学フィルムの製造方法である。
上記Tダイは、請求項7に記載の発明におけるTダイと同じである。上記請求項8記載の発明に係る光学フィルムの製造方法では、溶融押出成形する際の樹脂温度を、紫外線吸収剤の加熱減量が5重量%の温度をT℃としたときに、「非晶性熱可塑性樹脂のガラス転移温度+50℃」〜「T−50℃」に限定する。
ここで、上記加熱減量が5重量%の温度T℃とは、熱天秤に紫外線吸収剤を供給し、空気中にて10℃/分の速度で昇温し、紫外線吸収剤の重量が5%減少した時の温度をいう。
上記樹脂温度は、「非晶性熱可塑性樹脂のガラス転移温度+50℃」より低い温度では表面性のよい光学フィルムを溶融押出成形することができず、「T−50℃」より高くなると、溶融押出成形時に紫外線吸収剤が揮散して紫外線吸収剤の効果が低下すると共に、揮散した紫外線吸収剤がTダイのリップエッジに付着してダイラインの原因となるので上記範囲に限定されるものであり、好ましくは、「非晶性熱可塑性樹脂のガラス転移温度+50℃」〜「T−70℃」である。
請求項1記載の発明に係る光学フィルムは目立ちやすいダイラインがなく、残存溶媒を含有していないので、光学用途やLCD用途で好適に使用できる。
請求項2記載の発明に係る光学フィルムは極めて優れた表面平滑性を有しており、残存溶媒を含有していないので、光学用途やLCD用途で好適に使用できる。
目立ちやすいダイラインがなく、残存溶媒を含有していないので、光学用途やLCD用途で好適に使用できる。
請求項3記載の発明に係る光学フィルムは、目立ちやすいダイラインがなく、かつ極めて優れた表面平滑性を有しており、残存溶媒を含有していないので、光学用途やLCD用途で好適に使用できる。
請求項4記載の発明に係る光学フィルムは、長さが500m以上の長尺フィルムであるので次工程での作業性がよく切り抜き、貼合、延伸等できると共に、大型画面の光学用途やLCD用途等で好適に使用できる。
請求項5記載の発明に係る光学フィルムは、非晶性熱可塑性樹脂が熱可塑性飽和ノルボルネン系樹脂であるため、透明性、耐熱性及び液晶とのマッチング性に優れ、固有複屈折率が低く、光弾性係数が小さいので光学フィルムとしてより好適に使用される。
請求項6記載の発明に係る光学フィルムは、ダイラインがなく極めて優れた表面平滑性を有しており、残存溶媒を含有していない上に、更に耐紫外線性がより優れており、高耐久性の要求される光学用途やLCD用途等で好適に使用できる。
請求項7記載の発明に係る光学フィルムの製造方法によれは、ダイラインがなく極めて優れた表面平滑性を有しており、残存溶媒を含有していない光学フィルムを容易に製造することができる。
請求項8記載の発明に係る光学フィルムの製造方法によれば、ダイラインがなく極めて優れた表面平滑性を有しており、残存溶媒を含有しておらず、より耐紫外線性の優れた光学フィルムを容易に製造することができる。
又、紫外線吸収剤の揮発物が減少し、Tダイのダイリップ部分に付着、析出し、それが成長することが抑えられるので長時間にわたって、溶融押出成形を継続でき、溶融押出成形の途中に成形を中止し、Tダイのダイリップ部分を掃除する必要がなく、生産性が優れる。
以下、本発明の実施例について説明するが、下記の例に限定されるものではない。
非晶性熱可塑性樹脂として熱可塑性飽和ノルボルネン樹脂(日本ゼオン社製、商品名「ゼオノア#1600」、Tg163℃)を110℃で3時間予備乾燥したものを用いた。
Tダイつき単軸押出機としては(直径100mm L/D=32 リップクリアランス800μm)であって、Tダイは幅1800mmのコートハンガータイプで樹脂流路表面はH−Crメッキが施されたものを用いた。Tダイリップエッジ部分に存在する凹部の大きさは表1に示すようにAは75μm、Bは10μm、A/B=0.133であった。
熱可塑性飽和ノルボルネン樹脂を上記押出機に供給し、表1に示した所定樹脂温度で溶融押出し、引き取り速度20m/分で巻取り、長さ3000m、厚み40±4μmの光学フィルムを得た。
得られた光学フィルムの10m、500m及び2500m部分の位置でサンプルを切り出し明度落差の標準偏差、明度落差の平均値を先述の測定装置で測定し、波長380nmの光線透過率を分光測色計(東京電色社製、商品名「TC−1800」)で測定し、結果を表1に示す。
官能試験
上記サンプルを暗室でフィルム表面を蛍光灯の反射光にて目視観察し、明度落差の標準偏差の下の欄の目視は、はっきりしたダイラインが確認出来るものを×、はっきりしたダイラインが確認出来ないものを○と判断する。明度落差の平均値の下の欄の目視は、全面に細かいダイラインが確認できるものを×、全面に細かいダイラインが確認できないものを○と判断する。結果を表1に示す。
非晶性熱可塑性樹脂として熱可塑性飽和ノルボルネン樹脂(日本ゼオン社製、商品名「ゼオノア#1600」、Tg163℃)を110℃で3時間予備乾燥したものを用いた。
紫外線吸収剤としてベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤(1)(旭電化社製、商品名「LA−31」、5重量%加熱減量温度T=369℃)を用いた。
表1に示した所定量の熱可塑性飽和ノルボルネン樹脂及び紫外線吸収剤を2軸押出機に供給してペレット化した後、上記押出機に供給し、表1に示した所定樹脂温度で溶融押出し、引き取り速度20m/分で巻取り、長さ3000m、厚み40±4μmの光学フィルムを得た。
得られた光学フィルムにつき実施例1と同様に測定し、結果を表1に示した。
非晶性熱可塑性樹脂としてポリサルホン樹脂(帝人アモコエンジニアリングプラスチックス社製、商品名「UDEL3500」、Tg193℃)を用いた以外は実施例2と同様にして成膜し光学測定を行った。結果を表1に示す。
(比較例1)
実施例1と同様にフィルムを溶融押出成膜し評価した。ただし溶融押出の際に使用するTダイのリップエッジ部分に存在する凹部は表1のごとく、幅方向の長さAは85μm、リップランド方向の長さBは20μm、且つ、B/Aが0.235であった。
(比較例2)
紫外線吸収剤としてベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤(2)(旭電化社製、商品名「LA−36」、5重量%加熱減量温度T=258℃)を用いた以外は実施例2と同様にして成膜し光学測定を行った。結果を表1に示す。
Figure 2005148568
表1に示すように明度落差の標準偏差が15以下のものは、目視でも目立つダイラインがなく、明度落差の平均値が40以下のものは表面平滑性に優れており、細かいダイラインもほとんど視認できない。偏光子保護フィルム、延伸フィルムとしてスジのない、品質に優れたフィルムであった。
本発明の光学フィルムはダイラインがないため、より高い表示精度の要求されるLCDの偏光子保護フィルム等として好適に用いることができる。
明度落差の評価方法を表す光学系の模式図である。 取り込んだ画像についての明度落差の測定方法である。 ダイリップの凹部の形状を表す見取り図と、樹脂流路に対して法線方向より見た凹部の拡大部分の図である。
符号の説明
1 光源
2 CCDカメラ
3 フィルム
4 スクリーン

Claims (8)

  1. 非晶性熱可塑性樹脂が溶融押出成形された厚み100μm以下の光学フィルムであって、明度落差の標準偏差が15以下である光学フィルム。
  2. 非晶性熱可塑性樹脂が溶融押出成形された厚み100μm以下の光学フィルムであって、明度落差の平均値が40以下である光学フィルム。
  3. 非晶性熱可塑性樹脂が溶融押出成形された厚み100μm以下の光学フィルムであって、明度落差の標準偏差が15以下であり、かつ明度落差の平均値が40以下である光学フィルム。
  4. 光学フィルムが、長さが500m以上の長尺フィルムである、請求項1〜3のいずれか1項に記載の光学フィルム。
  5. 非晶性熱可塑性樹脂が熱可塑性飽和ノルボルネン系樹脂であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の光学フィルム。
  6. 非晶性熱可塑性樹脂に紫外線吸収剤が添加されて溶融押出成形された厚み100μm以下の光学フィルムであって、波長380nmの光線の透過率が3%以下であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の光学フィルム。
  7. Tダイがとりつけられた押出機に非晶性熱可塑性樹脂を供給し溶融押出する光学フィルムの製造法であって、Tダイリップエッジ部分に存在する凹部のダイリップの幅方向の長さをA、リップランド方向の長さをBとしたときに、A≦100μm、B≦15μm、且つ、B/A≦0.15の凹部のみが存在するTダイを用いて、溶融押出成形することを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項記載の光学フィルムの製造方法。
  8. Tダイがとりつけられた押出機に非晶性熱可塑性樹脂を供給し溶融押出する光学フィルムの製造法であって、Tダイリップエッジ部分に存在する凹部のダイリップの幅方向の長さをA、リップランド方向の長さをBとしたときに、A≦100μm、B≦15μm、且つ、B/A≦0.15の凹部のみが存在するTダイを用いて、紫外線吸収剤の加熱減量が5重量%となる温度をT℃としたときに、押出機における樹脂温度が「非晶性熱可塑性樹脂のガラス転移温度+50℃」〜「T−50℃」の温度範囲で溶融押出成形することを特徴とする請求項6に記載の光学フィルムの製造方法。
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