JP2005146644A - 木造建築物の屋根構造およびその施工法 - Google Patents

木造建築物の屋根構造およびその施工法 Download PDF

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Abstract

【課題】木造住宅において小屋裏空間を有効に利用するための安価で施工性の高い小屋組工法を開発する。
【解決手段】地上で作成された屋根トラス部材を桁梁上まで運び上げ、トラス部材ならびに桁上に設けられたダホ等の目印に従って桁上に設置して仮止めおよび接合固定を行なう。その後で断熱材を兼ねるサンドイッチパネル体を屋根下板の要領でトラス部材に接合固定し、もって木造住宅における屋根の小屋組を構築する。サンドイッチパネル体の剛性とトラス部材における構造上有利な形状との両者によって屋根に掛かる負荷に耐え得る構造を形成しつつ、断熱施工と軒天井化粧仕上の手間を省略することが出来る。また高所作業の工程を減らす事により、作業員の安全性を向上させる事が出来る。

【選択図】 図12


Description

本発明は、木造建築物の施工方法であり、詳しくは小屋組をトラス構造と断熱パネルとを併用する事で施工の合理化を図った木造建築物の屋根構造およびその施工に関する方法である。
近年の住宅産業の不況により、木造建築を経済的また合理的に施工する必要性は重要性を増している。低価格住宅を実現する方法の一環として、従来よりも少ない部材によって、あるいはより簡易な手段による住宅施工方法が多くの住宅メーカーにとって必要となって来る。しかし人間生活の場である住宅の条件としては、より少ない部材が用いられた施工方法によって建築されたものでも十分な耐久性を備える事が必須条件となっており、十分な強度を確保出来る構造体を採用するべきである。
木造建築における屋根の構造について、部材を削減する方法が隠されている。軸組構造における小屋組の方式としては、小屋束によって荷重を支持する和小屋方式ならびにトラス上弦材によって荷重を支持する洋小屋方式とがある。前者にはさらに垂木で屋根下張り板を支持する垂木方式、垂木に載せられた母屋で屋根下張り板を支持する母屋方式等の工法がある。
これらの小屋構築方法と比較して、近年注目されている小屋組構築法の一つに、小屋組で三角形を構成するトラス方式がある。力学上有利な構造であるトラス方式によれば、従来の工法と同じ部材の断面積を持ってしてより強い耐荷重性が期待され、小屋組を構成する部材を削減しても十分な強度を持つ小屋組を構築する事が可能であると考えられる。技術思想としては洋小屋の変形と見られるが、我が国で導入されているトラス方式においては、災害が多いという事情を考慮して耐震性等において工夫がなされている。その一例として、小屋組に使用されるトラス形状を形成する部材(例えば特許文献1)がある。
また小屋組に利用されるトラス形状を形成する部材(以下、トラス部材と略称)について木造建築物以外に注目してみると、垂木と屋根用のパネル体が併用された方式(例えば特許文献2)あるいは金具とトラスユニットパネル体とが併用された母屋類似の方式によるもの(例えば特許文献3)等がある。
これらトラス部材を用いた屋根の構築において、構造力学上の観点からトラス方式は材料強度に対して高い強度ならびに剛性を持つため従来の垂木方式あるいは母屋方式といった方式と比較して全般に部材が小さくて済むようになり、建築材料面でのコストダウンが期待される。
特に特許文献3については、利用されるパネル体は施工の前段階において破風板等の化粧板材を設置する箇所および軒天井部分に工夫がなされており、部材の節減ならびに施工手間の軽減に貢献している。
特開2001−152606(第5頁図面1、第5頁図面2) 特開平8−312052(第5頁図面1、第5頁図面4) 特開2003−253802(第6頁図面1)
従来のトラス工法において例えば特許文献1のような垂木方式のトラス部材を使用して小屋組の構築を行なった場合、最も負荷が掛かると考えられるトラス頂上付近が棟木等の長材にて連結固定されていない為、強い負荷が桁行き方向から掛かった場合トラス骨格が転倒し、建築中作業員の安全を脅かすのみならず、施工後に屋根小屋組が倒壊するおそれがある。
例えば特許文献1ならびに特許文献2および特許文献3における屋根については、断熱施工を別に施す必要が生じ、これが作業者の手間を増大させる要因となっている。
例えば特許文献2および特許文献3における屋根については、化粧仕上げがなされている事から、部品点数および部材コストが多くなっている。軒天井への化粧仕上げを行なう理由は、主に美観と耐久性の問題から屋根垂木あるいは母屋といった小屋組部材を屋外へ露出させない為である。軒先に小屋組部材が露出しない構造とする事で、軒天井への化粧作業手間を大幅に削減出来る可能性がある事から、この点に改良の余地がある。
以上の課題を解決するため、目的とする木造建築の小屋組には、骨格となるトラス形状を持つ屋根トラス部材(以下、単にトラス部材)に加えて高い強度と剛性を持つサンドイッチパネル体(以下、単にパネル体と記述)を併用して構築する (請求項1の発明)。
小屋組を構成するトラス部材は、プレカットされた部品を地上にて組み立てられたものとする。部品同士の接合には軸組に用いられるものと同等またはそれ以上の接合力を持つ金具類を使用する(請求項2の発明)。
小屋組の施工手順は、先に軒桁以下の軸組を構築し、地上において組み立てられたトラス部材を軸組の上まで運び上げてから軸組とトラス部材とを接合する(請求項3の発明)。
小屋組を構成するトラス部材については図1記載内容のようにその構成部品に小屋束を有する物と小屋束を有しない物とを用意し、小屋組強度ならびに小屋裏の居住環境を考慮した上で両者の配置箇所を調整する(請求項4の発明)。
トラス部材とこれが接合される軒桁および小屋梁について、図4および5に記載されたように相互の接合面に凹凸を設ける。これらは相互の部材の接合位置目印として機能し、同時に両者の仮止めあるいは接合固定を行なう箇所として利用される(請求項5の発明)。
軸組上に設置されたトラス部材について、図8から10までの記載内容のようにトラス部材同士を棟木ならびに長材によって相互に接続固定する。複数のトラス部材を接続している棟木ならびに長材を設ける事でトラス部材の相互方向に図面9のような鳥居構造(ラーメン構造)を形成させ、この方向に加わる荷重に対しての剛性を得る(請求項6の発明)。
トラス部材の構成部品たる上弦材、あるいは従来の木造建築物における垂木や母屋に相当するような小屋裏躯体を形成する部材は、建築物の屋外に露出させない。本発明における軒出部分に掛かる負荷について、屋根の下板ならびに瓦あるいはルーフィングといった屋根部材の荷重支持は、下張り板として使用されるパネル体ならびにその切欠部に埋め込まれた長材の剛性によって行なう(請求項7の発明)。
図面11記載のようにトラス部材と組み合わせて小屋組を構成するパネル体について、これを構成する芯材としては硬質の樹脂発泡体を利用する。それによりパネル体に剛性と圧縮強度とともに十分な断熱性を持たせる事で、屋根の下板張りと断熱の工程を同時に行なう(請求項8の発明)。
螻羽ならびに軒先へ配置されるパネル体の軒出および螻羽端には、芯材である樹脂発泡体の切欠部を設ける。パネル体が小屋組に固定された後、図10および11に示されるようにこの切り込みにパネル全長よりも長い角材を埋め込む事によって各パネル体の突合せ部分に強固な接合を与える。この接合とパネル体の釘打とを併用し、軒先および螻羽へ配置されたパネル体を小屋組へ固定する。(請求項9の発明)。
螻羽および軒先を修飾する破風板等の化粧板材は一般的な木造建築における垂木の軒先などの小屋組部材ではなく、図15ならびに16の記載内容のように上記のパネル体に埋め込まれた長材に接合固定する(請求項10の発明)。
小屋組に使用されるパネル体の構成部品である面材において、少なくとも室内あるいは軒天井側に配置される面については強度と耐久性とを併せ持つ化粧仕上げ面材を使用する(請求項11の発明)。
小屋組において垂木あるいは母屋を使用せず、トラス部材とパネル体を併用することで荷重を支持する構造となる為、木造建築物における小屋組みが容易になり施工期間が短くなる。また使用される材木等の建材も小型化でき、経済性も高くなる。加えてこの方法による小屋組構造は、局部的に掛かる負荷をパネル体ならびにトラス部材によって全体に分散させ、効率良く軸組に伝達させる強い構造となる(請求項1の発明)。
予めトラス形状を形成させた部材を軒桁の上部まで運び上げ、小屋梁と接合させる工法を採用する事によって高所で行なう作業を削減し、作業員の安全性を向上させると共に精密な作業が出来るようになる。また、施工の手間を従来の工法よりも少なくする事が出来るようになる。(請求項2および3の発明)。
その構成部品に小屋束を有するトラス部材と有しないトラス部材とを使い分ける事で小屋裏空間のデッドスペースを最小限に止めつつ、従来のトラス小屋と比較してさらに強固な構造を構築する事が出来るようになる(請求項4の発明)。
相互の接合面に設けられた凹凸によって、トラス部材と軒桁および小屋梁とは設計の意図する通りに配置する事が出来る。また両者の凹凸を噛み合わせる事により部材の仮止めが出来るため、作業員はトラス部材と軒桁および小屋梁とを直接接合固定する作業において正確な施工を行なう事が出来る(請求項5の発明)
小屋梁に接合されたトラス部材の上に棟木を通し、その下に長材を固定して耐力を持つ構造(例えばラーメン構造)を形成させる事で、小屋組について従来のトラス屋根と比較して水平荷重および垂直荷重に対する耐久力が向上し、施工中および施工後におけるトラス部材の横転を防止する事が出来る(請求項6の発明)。
小屋裏を構築する部材の点数および量を従来の木造建築物と比較して削減出来るようになる。そのため木造建築における材料費が削減でき、経済性も高くなる(請求項7の発明)。
トラス部材と組み合わせて使用されるサンドイッチパネルに予め断熱性を持たせる事で下板張りと断熱工事の工程を同時に行なう事ができるようになり、木造住宅の施工手間と期間を短縮する事が出来る (請求項8の発明)。
螻羽および軒先に配置されたパネル体について、切欠部に埋め込まれた角材とパネル体自身の剛性とにより、従来の屋根下板およびその積載物あるいは短期荷重を支持する上で必要であった垂木ならびに母屋といった小屋組部材の軒出が不要となり、小屋組部材が軒先に出ない屋根を実現し、建築コストを削減する事が出来る(請求項9の発明)。
螻羽および軒先を修飾する破風板等化粧横板を垂木あるいは母屋といった小屋組部材の軒出箇所以外の箇所に接合出来るようになり、前段落に記載された小屋組部材が軒先に出ない屋根を実現する事が出来る(請求項10の発明)。
パネル体を構成する面材部品に、剛性と強度とを併せ持ち耐候性をも有する化粧仕上げ面材を使用する事で、軒天井さらには屋内の屋根天井までが化粧仕上げ不要となり、施工手間の削減につながる(請求項11の発明)。
通常の木造住宅を建築する場合と同様の手法で、軒桁、小屋梁以下の木造躯体部分を構築する。この場合の躯体は原則として軸組工法によって施工されたものが望ましいと考えられる。また目的とする木造住宅の規格については尺モジュール以外にメーターモジュール等で建築されたものが考えられる。木造の軸組を軒桁高まで組み、ボルト等または取付金具等を利用してそれらを接合固定する。軒桁梁については、最終的な壁仕上がりよりも屋根の軒出分だけ出るように工夫する。
軒桁20の上にトラス部材10または11を嵌め込むための凹凸として突起嵌入孔17を掘り、木片を埋めて図4および5記載のような突起18を設ける。突起嵌入孔17および突起18の芯位置は軒桁幅の中央に設定し、その間隔は設計段階において決定されたトラス部材の配置個所に合わせる。突起嵌入孔17および突起18の設置箇所は建築物の設計段階におけるトラス部材の配置数および配置箇所に基づいて任意に決定され得る。
本発明において使用されるトラス部材について説明する。使用されるトラス部材は二本のトラス上弦材12によって小屋束部品15またはトラス芯部品16が挟まれ、それらが躯体接合用の金具ならびにトラス下弦材13ないし下弦材14によって接合されている状態を基本構造とし、トラス下弦材13ならびに小屋束部品15が使用されているものをトラス部材10、トラス下弦材13と14ならびにトラス芯部品16が使用されているものをトラス部材11と表記する。図2はトラス部材10の組み立て例である。トラス部材の形状についてはここに挙げられた二例に留まらず、図1におけるトラス上弦材12が左右非対称の勾配を持つトラス部材あるいはトラス上弦材の勾配が途中で変更されたとなった形状のも事例として有り得る。
図1に記載されたトラス部材10ならびに11を地上にて組み立て、図3に記載されたようにそれらをクレーンその他の道具にて軒桁上まで持ち上げる。トラス部材における軒桁との接合面に設けられた凹部である突起嵌入孔19と、軒桁上に設けられた凸部である突起18との位置合わせを行ない、両者を嵌入させて仮止めする。この様子は図4ならびに5に記載されており、工程はトラス部材一つずつについて行なう。トラス部材10ならびに11の配置箇所は設計計画によって異なって来るが、建築物の壁面に配置されるトラス部材には必ずトラス部材10を配置する。なおトラス部材10および11は構成部品の大きさ上、プレカット済の部品を現場において組み立てる事が望ましいが、施工現場とは別の場所で作成された後で現場に搬入されても良い。
図6記載様に軸組上へ設置されたトラス上弦材12と軒桁20に対し、ボルトあるいは金具等強固な固定力を期待できる取付具を利用して接合する。トラス部材10を軸組と接合する場合は、その構成部品である小屋束部品15と軸組とを金具等を用いて固定する。
トラス部材が接合された軒桁上に、トラス上弦材12の傾斜に合わせて加工された傾斜木片25を挿入し、トラス部材における上弦材の高さによって生じた隙間を埋める。さらに軒桁において、トラス部材からなる小屋組からはみ出した端部に軒桁の寸法に合わせた傾斜木片26を設置固定する。その様子は図7に記載されている。図7のaは斜視図、図7のbは軒桁断面図であり、bについてはトラス上弦材12を破線で表現している。
前段落に説明された作業の主な目的は外壁の仕上げを用意にするためのものであるが、屋根下張り板として使用されるパネル体と小屋組および軸組との接合について確実性を高める事も重要な目的となる。また傾斜木片25については、小屋組を成すトラス部材間に掛かる負荷を分散させ、軸組に伝播させるという副次的効果も期待出来る。図7において示されるように、本発明において使用されるトラス部材には一般的な小屋組における垂木の軒出に相当する部分が存在しない。
図面に記載されたように、軸組に接合されたトラス部材に対してその頂上へ棟木23を架橋して軸組上のトラス部材同士を連結し、釘等を用いてこれらを固定する。別に用意された長材24を二本用意し、これらによって同図面のトラス部材における小屋束部品15またはトラス芯部品16を挟み、接合固定する。詳しくはトラス相互方向の模式図面9およびトラス部材方向からの正面図10に記載されている。図10のaは小屋束部品を含むトラス部材について、bは小屋束部品を含まないトラス部材についてそれぞれ棟木23ならびに長材24と接合させた図である。なお図8ついては長材24の配置を分かり易くする為に本来ある図面手前側のトラス上弦材を省略してある。
この作業によって、図9に記載されたように小屋組に対する水平方向に棟木23と長材24からなる剛構造が形成される事で、施工された小屋裏構造は単なるトラス構造とは異なった物となる。すなわち水平方向に対して局所的に掛かる負荷を分散し、それを軸組に効率良く伝播する事で荷重に強い構造となる。
本発明において使用されるパネル体について説明する。使用されるパネル体は硬質の樹脂発泡体を構造用合板などの面材で挟んで構成された、屋根において十分な断熱性を持つパネル体である。パネル体の形状としては図11に記載された通り、aのように面材27と28との間が完全に樹脂発泡体29にて充填され切欠部を持たないパネル体、bのように一辺に樹脂発泡体の切欠部分が設けられたパネル体、cのように一長辺と一短辺に切欠部が設けられたパネル体があり、屋根において使用される箇所に応じそれぞれ順に屋根面、螻羽または軒先、出隅に配置される。またこのパネル体は小屋組に取り付けられる前段階において、切断あるいは切削等によりトラス小屋組へ接合できるように寸法が調整される。なお同図におけるbのパネル体は一短辺に切欠部を持つように表現されているが、一長辺に切欠部分を持つものも有り得る。
上記のパネル体を構成する面材について、図11に示されるように構造用合板と同等またはそれ以上の強度ならびに剛性を持ちその上で耐候性を兼ね揃える化粧面材28を採用する事で、パネル体の接合作業のみによって断熱工程のみならず屋外の軒天井ならびに屋内の天井仕上げの工程をも同時に行なう事が出来る。
前段落において説明されたパネル体を図12のように配置し、軸組上に設置されたトラス上弦材12ならびに傾斜木片25と接合固定する。軒の出に配置されるパネル体は、傾斜木片26の傾斜部分にも接合される。パネル体のサイズとトラス間隔について、両者の接合を確実にするという観点から、これらの寸法規格は統一されている事が望ましい。なお図面のパネル体配置例は一例であり、軒先や螻羽以外の箇所に配置されるパネル体には図11aに記載されたような切欠部を持たないパネル体を使用し、屋根の断熱層に熱橋が生じないようにする。
パネル体の端部には図11bならびにcのような樹脂発泡体29が充填されていない切欠部30が設けられており、ここに角材31を埋め込む事が出来る。その様子は図面12に記載されているが、さらに詳しくは図13ならびに14において記載されている。図13のように、小屋組と接合されたパネル体に対してその切欠部30へ長材31を複数のパネル体にわたって埋め込み、角材31をパネル体へ接着剤または釘等を利用して接合固定する。この作業によってパネル同士に十分な強度を持つ接合が生じ、パネル自身の強度と合わせて一枚板状の屋根を構築する事が出来る。この工程を行なう事で、軒先および螻羽などの釘打作業を行なう事が困難な箇所に配置されたパネル体においても、パネル体自身の強度ならびに角材31の剛性と強度によって屋根板に掛かる自重や積載荷重、および短期荷重を支持できる構造となる。
上記の角材31には、螻羽および軒先の修飾を行なう破風板あるいは鼻隠し板等の横板32を設置固定するための支持材という目的があり、またそのように作用する。横材はパネル体に設置固定された長材31に対して平行に接合され、釘あるいは金具類によって固定される。その様子は図15ならびに16において記載されている。
通常の木造建築物を建築する場合と同様、基礎を構築した後土台、柱、間柱、梁や桁等の軸組を構築する。本実施例において軸組を構成する部材の幅並びに厚みはそれぞれ105mmならびに120mmである。軸組同士の接合固定にはボルトまたは軸組接合用の取付金具を利用する。
軸組構築の後、軒桁上にトラス部材を嵌め込むための凹凸として突起嵌入孔17を掘り、木片を埋めて図4ならびに5に記載されたような突起18を設ける。突起嵌入孔17および突起18の芯位置は軒桁幅の中央に設定し、その間隔は設計段階において決定されたトラス部材10または11の配置個所に合わせる。また突起嵌入孔17および桁突起18の大きさは本実施例において幅30mm、奥行き30mm、深さ30mmとなっている。
桁突起18の位置は桁上において等間隔に10箇所、それぞれの間隔は突起18の中心を基準に819mmである。軒桁および突起嵌入孔17ならびに突起18の設置箇所数および寸法は一例であり、軒桁におけるトラス部材の配置箇所、あるいは使用されるトラス部材の本数等の要因によって変更が有り得る。また突起嵌入孔17および突起18は軸組の接合強度を損なわない範囲において寸法の変更が出来る。本実施例における突起18を構成する木片の寸法は、縦30mm、横30mm、高さ60mmとなっている。
突起嵌入孔17および突起18を軒桁上に設置する主要な目的は、トラス部材の位置を誘導する為である。他の目的としてはトラス部材と軒桁とを接合固定する際に生じる両者のずれを防止する為の仮止めを行なう事であり、突起18はトラス部材における突起嵌入孔19の大きさと一致する限りにおいて寸法は自由である。
軒桁と接合されるトラス部材について、その構成部品の内訳ならびに組み立て方法を説明する。このトラス部材は二本のトラス上弦材12によって小屋束部品15またはトラス芯部品16が挟まれる構造となっている。トラス部材10は図1のaに記載されたように、躯体接合用のボルトとトラス下弦材13によってトラス上弦材12と小屋束部品15が接合されている。またトラス部材11は図1のbに記載されたように、躯体接合用のボルトとトラス下弦材13ならびに14によってトラス上弦材12とトラス芯部品16が接合されている。トラス部材10ならびに11のいずれにおいても、軸組との接合面には突起18と対応する大きさの突起嵌入孔19が施されており、それらは図1における破線図にて示されている。図2はトラス部材10を例に取った部品の組み立て図であり、トラス部材11についても同様にして組み立てられる。
なおトラス部材10ならびに11における軸組との接合面(図1における破線部と接触するトラス部材の底面)の寸法を、例えば105mm幅の軒桁に対して95mmのように軸組の幅よりも短くする事で、小屋組施工後に室内天井あるいは小屋組空間床板等を設置できる空間を設ける事が出来る。
前段落に記載されたトラス部材10ならびに11を地上にて設計上の本数分組み立て、それらをクレーンその他の道具にて軒桁上まで運び上げる。トラス部材10ならびに11は正しく設けられた軒桁上の突起18にトラス上弦材12の突起嵌入孔19を誘導され、両者の嵌入と仮止めが行なわれる。
トラス部材10および11の配置例として図6を示す。実施例におけるトラス部材10および11の本数ならびに配置箇所は強度的に耐え得る範囲において小屋裏空間を最も広く取った場合の例であり、トラス部材10および11の使用本数ならびに配置箇所は設計段階にて屋根強度や居住環境を考慮する事により異なって来る。例えば同図面上の全てのトラス部材11を10に置き換える事も可能である。
図7に示されたようにトラス間桁上へトラス上弦材12の傾斜寸法ならびにトラス上弦材12と軒桁との接合面寸法に合わせた台形断面を持つ長材木片25を導入し、トラス上弦材12と軒桁20との間に生じる段差を解消する。また軒桁20における妻壁からの出部分においても、長材木片25と同様の台形断面を持つ長材木片26を設置固定する。この目的はトラス上弦材12と軒桁20との間に生じる段差を解消する事で壁の仕上げを容易にし、かつ後述するパネル体を軸組に接合固定する際に満足の得られる接合強度を確保する為である。
軸組に設置されたトラス部材10ならびに11同士をそれらの相互方向に接続する。図8から10までに示されたように各トラス部材の頂点上に棟木23を架橋し、釘等を用いてトラス部材と棟木23とを連結する。妻壁に対する棟木の出は455mmずつ2ヶ所であり、屋根下張り板として使用されるパネル体のクリアーランスを足した寸法に調節される。その後トラス部材10ならびに11へ通された棟木23の下に長材24を2本通し、これらで小屋束15またはトラス芯部材16を挟む事によって、棟木23と長材24とによる図9のようなラーメン構造が形成される。
長材24と小屋束15またはトラス芯部品16との接合方法を以下に説明する。小屋束またはトラス芯部材に設けられた誘導目印と910mm間隔で地上にて長材24に開けられた穴との位置を合わせ、図10に示されるように長材24によって小屋束部品15またはトラス芯部品16を挟み込む要領でボルト等の接合金具を利用して接合固定する。
トラス小屋組に接合される、断熱性を持つパネル体の構造を図11に示す。パネル体は建築用面材27ないし28と、それらに挟まれた断熱材として機能する樹脂発泡体29から構成され、切欠を持たない図10のaに記載のパネル体と、一短辺に長方形断面の切欠部を持つ図10のbに記載のパネル体と、二長辺ならびに一短辺に長方形断面の切欠部を持つ図10のcに記載のパネル体とが用意される。これらのパネル体は、屋根において配置される箇所に応じて切削等により寸法が調整される。
パネル体は切削などにより寸法調整された上でトラス上弦材に配置され、断熱パネル接合専用のビスによってトラス上弦材12ならびに傾斜木片25および26に接合固定される。パネル体のサイズとトラス間隔は統一されており、基本的にパネル体はトラスの骨格上に配置固定される。この配置例では原則としてトラスに対してパネル体を縦張りしている。
パネル体隣接箇所における切欠部30には、切欠部30と同じ形状と寸法の断面を持つパネル長よりも長い切欠部嵌入用角材31を図13に示されたように隙間無く埋め込む。理想的な長材31の長さは910mm以上かつ910mmの倍数とならない大きさである。その理由は角材31を利用する事で、図14のように隣接する軒出上および螻羽上のパネル体同士を接合し、かつ施工時に生じるパネル体の段差等ずれを修正する為であり、なおかつパネル体の短辺が一般的に910mmであると想定されている事による。したがってパネル体の寸法が変更された場合、例に挙げられた数値は当然それに伴って変更される。パネル体切欠部30を通して埋め込まれた角材31により、軒先あるいは螻羽といった屋根端部へ配置接合されたパネル体は自重を支持して負荷に耐える構造となる。
軒先あるいは螻羽へ埋め込まれた角材31は本発明における小屋組で省略された垂木あるいは母屋の代替として、破風板等の化粧横板32を設置固定するための箇所として利用される。化粧横板32の配置方法とその一例は図15ならびに16に記載された通りであり、角材31と破風板等化粧横板32との接合には釘および接合金具類等を利用する。
以上の工程で本発明たる小屋組の施工過程は終了する。その後の作業においては一般的な木造建築物の屋根と同様に防水シートを敷設し、瓦葺きあるいはルーフィングによって目的とする屋根が仕上がる。パネル体の構成部品である面材についてOSB面材等に代表される化粧面材28が利用され、また屋外においては美観を損ねるおそれがある垂木等傾斜材が露出していない事から、本発明の工法については軒天井あるいは屋内の天井について化粧仕上げを必要としない。
小屋組に使用されるトラス部材正面模式図。破線は嵌入孔透視図。 a. 小屋束を有するトラス部材。 b. 小屋束を有しないトラス部材。 トラス部材の構成模式図。斜視図、破線は仮想上の接合箇所を指示。 運び上げられたトラス部材。軸組斜視図。 トラス部材と軸組上突起との接合模式図。斜視図。 トラス部材と軸組上突起との接合部位断面模式図。 軸組に接合されたトラス部材の配置斜視図。 軸組に固定されたトラス上弦材ならびに傾斜木片斜視図。 軸組に固定されたトラス上弦材ならびに傾斜木片。 a. 軒先出部分斜視図。 b. 軒桁上断面図。破線はトラス上弦材12。 トラス部材と棟木および挟み梁との接合、桁方向断面模式図。 トラス部材と棟木および挟み梁との接合。トラス正面模式図。 a. 小屋束を有するトラス部材。 b. 小屋束を有しないトラス部材。 使用されるパネル体。 a. 切欠部を有しないパネル体。 b. 一辺に樹脂発泡体の切欠部を有するパネル体。 c. 一長辺と一短辺に樹脂発泡体の切欠部を有するパネル体。 トラスとパネル体との接合模式図。斜視図。 パネル体切欠部への角材埋め込み斜視図、矢印は長材嵌入方向。 パネル体切欠部に嵌入された長材とパネル体との嵌入斜視図。 螻羽仕上がりの様子。屋根傾斜に対して垂直方向の断面図。 軒先仕上がりの様子。トラス上弦材と平行な断面図。
符号の説明
10.小屋束トラス部材
11.小屋束なしトラス部材
12.トラス上弦材
13.トラス下弦材(小)
14.トラス下弦材(大)
15.小屋束部品
16.トラス芯部品
17.軸組側突起嵌入孔
18.突起
19.傾斜材側突起嵌入孔
20.軒桁
21.小屋梁
22.柱
23.棟木
24.長材
25.桁梁上傾斜木片
26.桁梁の出上傾斜木片
27.屋根下板面材
28.化粧面材
29.樹脂発泡体
30.切欠部
31.切欠部嵌入用角材
32.破風板等化粧横板

Claims (11)

  1. トラス形状を持つ小屋組部材ならびにサンドイッチパネル体のみから主構造が構成された事を特徴とする木造建築物の屋根構造。
  2. 請求項1記載の小屋組部材について、予め地上にて組み立てられたものが使用されている事を特徴とする木造建築物の屋根構造。
  3. 予め構築された木造建築物の軸組と、軒桁上方まで運び上げられた請求項2に記載の小屋組部材とを接続する事で完成した小屋組トラスが形成される事を特徴とする木造建築物の屋根構造。
  4. 小屋組空間の強度と居住環境とが考慮された上で、請求項1および2の小屋組部材についてその構成部品に小屋束となる部品を含む物と含まない物とが使い分けられている事を特徴とする木造建築物の屋根構造。
  5. 請求項1および2の小屋組部材を構成する傾斜材と先に構築された軸組との間に設けられた誘導用の凹凸嵌合により、設計上の意図に従って請求項3の工程について、小屋組部材と軸組との位置合わせならびに接合の仮止めが出来る事を特徴とする木造建築物の小屋組構築方法。
  6. 小屋梁に設置された請求項1および2の小屋組部材同士がその相互方向において棟木を含む複数の長材により連結されている事によって剛性を持つ構造が形成されており、それによって屋根に掛かる荷重を効率良く分散して軸組に伝達できる事を特徴とする木造建築の屋根構造。
  7. 一般的な木造建築における垂木あるいは母屋といった、屋根下板を支持する部材が建築物の屋外に露出していない事を特徴とする請求項1の木造建築の屋根構造。
  8. 請求項1記載のサンドイッチパネル体における芯材として硬質の断熱材を使用する事で、屋根下板張りと屋根断熱の工程を同時に行なう事が出来る事を特徴とする木造建築の屋根構造。
  9. 請求項1ないし8記載のサンドイッチパネル体において、端部には長材埋め込み用の切欠があり、二枚以上のパネルにまたがって埋め込まれた長材によって屋根に敷設されたパネル同士の接合を強固にし、パネルおよび自重ならびに負荷に耐え得る木造建築の屋根構造。
  10. 請求項9に記載のサンドイッチパネル体に取り付けられた長材のみによって破風板および鼻隠し板の固定支持が為されている事を特徴とする木造建築物の屋根構造。
  11. 請求項1記載のサンドイッチパネル体において、構成部品である面材に強度と耐久性を有した化粧面材を用いる事で、屋外の軒天井ならびに室内における天井の化粧仕上げの手間が省略できるよう工夫された点を特徴とする木造建築物の屋根構造。

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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2015086656A (ja) * 2013-11-01 2015-05-07 積水ハウス株式会社 小屋組構造及び住宅
CN112922150A (zh) * 2021-03-25 2021-06-08 沈阳大学 一种预制型钢组合的屋顶结构
CN112922150B (zh) * 2021-03-25 2024-05-31 沈阳大学 一种预制型钢组合的屋顶结构

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