JP2005146558A - 建築物 - Google Patents
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Abstract
【課題】 軸組構成部材の周囲の断熱性を向上させることにより、省エネルギー性および居住性を向上させることができる軸組構造の建築物を提供する。
【解決手段】 土台1、柱2および梁4等の軸組構成部材2により構築された軸組Jと、前記軸組Jに取り付けられた断熱壁10とを有する建築物であって、前記断熱壁10は、面材11および該面材の一面側に配置された断熱材層14を有するとともに該面材11の縁部の前記一面を前記軸組構成部材2の外周面に取り付けることにより前記軸組Jに取り付けられ、前記軸組構成部材2の前記外周面側には、該軸組構成部材2を挟んで隣接する前記断熱壁10の間の領域を覆う断熱部材20が設けられている
【選択図】 図2
【解決手段】 土台1、柱2および梁4等の軸組構成部材2により構築された軸組Jと、前記軸組Jに取り付けられた断熱壁10とを有する建築物であって、前記断熱壁10は、面材11および該面材の一面側に配置された断熱材層14を有するとともに該面材11の縁部の前記一面を前記軸組構成部材2の外周面に取り付けることにより前記軸組Jに取り付けられ、前記軸組構成部材2の前記外周面側には、該軸組構成部材2を挟んで隣接する前記断熱壁10の間の領域を覆う断熱部材20が設けられている
【選択図】 図2
Description
本発明は、建築物に関し、冷暖房に要するエネルギーを節約することができる建築物に関する。
土台、柱、梁、桁等(以下、軸組構成部材と言う。)に面材を付加した軸組構造は、耐震性の高い構造であり、このような工法が、近年、多くの建築物に採用されている。例えば、特許文献1には、図8に示すように、面材40と、面材40の内面(室内側の面)に形成された木枠41およびウレタン等の断熱材43からなる断熱材層から構成された断熱パネルPが記載されている。木枠41の端面には、可撓性を有する気密材44が、面材40の内面には弾性を有する帯状のスポンジ等からなる気密材45がそれぞれ取り付けられている。このような断熱パネルPは、図9に示すように、木枠41を室外側から軸組内に嵌め込み、軸組構成部材である梁46の側面に木枠41の周囲の気密材44を当接させ、面材40の室内側の面に取り付けた気密材45を梁46の室外側の面(上面)に当接させて釘47等で固定することにより取付けられる。
しかしながら、上記のような隔壁構造を有する建築物においては、木製である軸組構成部材や木枠41の断熱性が断熱パネルPの断熱材よりも低いので、この部分が冷熱橋部と言われる低断熱性部となって熱が逃げ、その結果、省エネルギー性が低下するだけでなく、部屋内の温度が不均一となって居住性が低下する。
そこで、近年、断熱材を軸組構成部材の外側に貼付する外貼り工法の採用が考慮されている。しかしながら、この構造では、軸組構成部材越しに外装材を止め付けるため、外装材が地震によって剥がれ落ちる可能性がある。そして、そのような剥落を避けるために取付強度を高めるようにすると施工コストが高くなってしまうという不利点がある。
本発明は、前記事情に鑑みて為されたもので、軸組構造を有する建築物において、軸組構成部材の周囲の断熱性を向上させることにより、低コストで効果的に省エネルギー性および居住性を向上させることができる建築物を提供することを目的とする。
前記目的を達成するために、請求項1に記載の建築物は、土台、柱および梁等の軸組構成部材により構築された軸組と、前記軸組に取り付けられた断熱壁とを有する建築物であって、前記断熱壁は、面材および該面材の一面側に配置された断熱材層を有するとともに該面材の縁部の前記一面を前記軸組構成部材の外周面に取り付けることにより前記軸組に取り付けられ、前記軸組構成部材の前記外周面側には、該軸組構成部材を挟んで隣接する前記断熱壁の間の領域を覆う断熱部材が設けられていることを特徴とする。
断熱部材は、例えば、軸組構成部材の長手方向に沿って延びる長尺部材として構成され、例えば、ビーズ法ポリスチレンフォーム(ESP)、押し出し法ポリスチレンフォーム(XPS)、ウレタン、フェノール等の発泡断熱材、またはグラスウール、ロックウール等の繊維系断熱材から構成される。面材は、例えば、OSB(オリエンティッド・ストランド・ボード)、合板、あるいはMDF(ミディアム・デンシティ・ファイバーボード)等から構成されている。
請求項2に記載の建築物は、請求項1請求項に記載の発明において、前記断熱部材は、前記隣接する断熱壁の各断熱材層の端部間の距離以上の幅を有することを特徴とする。
断熱部材を、軸組構成部材周りの領域の断熱性能の分布に対応した厚さ分布を持つように構成してもよい。
断熱部材を、軸組構成部材周りの領域の断熱性能の分布に対応した厚さ分布を持つように構成してもよい。
請求項3に記載の建築物は、請求項1または請求項2に記載の発明において、前記断熱壁は、予め前記面材と前記断熱材層が一体に形成された断熱パネルであることを特徴とする。
断熱壁を、面材を軸組に取り付けた後にこれにグラスウール等の断熱材を貼付するなどして構成してもよい。
断熱壁を、面材を軸組に取り付けた後にこれにグラスウール等の断熱材を貼付するなどして構成してもよい。
請求項4に記載の建築物は、土台、柱および梁等の軸組構成部材により構築された軸組と、前記軸組構成部材の間に構築された断熱壁とを有する建築物であって、前記軸組構成部材の外周面側には、該軸組構成部材を挟んで隣接する前記断熱壁の間の領域を覆う断熱部材が設けられていることを特徴とする。断熱壁を構築する方法は、面材を用いない在来の方法であってもよい。
請求項1に記載の発明によれば、軸組構成部材の周囲の領域に断熱パネルの断熱材層と同等の断熱性能を有する断熱部材が局所的に配されているので、軸組構造における構成部材周りの低断熱性部の断熱性能を簡単な構造によって低コストで補うことができ、建築物の省エネルギー性および居住性を向上させることができる。
請求項2に記載の発明によれば、断熱部材が隣接する断熱壁の各断熱材層の端部間の距離以上の幅を有するので、各断熱材層の端部間の領域を完全に覆うことができ、この領域の断熱性能を高いレベルに維持することができる。
請求項3に記載の発明によれば、軸組構造と断熱パネルを組み合わせた工法の弱点であった軸組構成部材周りの低断熱性部の断熱性を簡単な構造によって低コストで補うことができる。
請求項4に記載の発明によれば、軸組構成部材の周囲の領域に高い断熱性能を有する断熱部材が局所的に配されているので、軸組構造における軸組構成部材周りの低断熱性部の断熱性能を簡単な構造によって低コストで補うことができ、建築物の省エネルギー性および居住性を向上させることができる。
図1は、この発明の実施の形態の建築物の全体の構造を示す断面図であり、軸組構成部材である土台1、柱2(図2参照)、梁4等によって枠状の軸組Jが構成されている。この軸組Jには、建築物の外壁部6、屋根7、天井8、床9、間仕切り10等をそれぞれ構成するパネルが取り付けられている。
図2は、柱2と外壁パネル(断熱壁)10の取付部の構造を示す断面図である。外壁パネル10の構造は、図8に示した断熱パネルと構造と基本的に同じである。面材11は壁材としての強度を備えた例えばOSB(オリエンティッド・ストランド・ボード)、合板、あるいはMDF(ミディアム・デンシティ・ファイバーボード)等から構成されている。枠体12は、木材または樹脂材から形成され、縦横の枠や補強材を釘等の固定具で相互に固定することにより組み立てられる。枠体12には、OSB、合板、MDF、紙、樹脂あるいは布等からなる薄板13が貼付され、枠体12、面材11および薄板13により囲まれる空間内に断熱材層14が構成されている。断熱材層14の材料としては、ビーズ法ポリスチレンフォーム(ESP)、押し出し法ポリスチレンフォーム(XPS)、ウレタン、フェノール等の発泡断熱材、またはグラスウール、ロックウール等の繊維系断熱材等が挙げられ、用途や目的に沿って適宜に選択される。
枠体12の外周面には、可撓弾性を有する軟質塩化ビニル樹脂等の軟質樹脂製のひれ部を有する気密材15が取り付けられている。また、図8の場合と同様に、面材11には、ゴムの発泡体あるいはポリ塩化ビニルやウレタン樹脂の発泡体等でなる気密材(図示略)が接着により取り付けられている。このような外壁パネル10は、面材11の縁部内面(室内側)側を枠体12の外面(室外側)に当接させ、釘16等の固定具によって固定されている。このように構築された枠体12の内面(室内側の面)には、石膏ボードのような内壁材17が取り付けられている。
また、柱2の外面側には、柱2を挟んで隣接する外壁パネル10の間の低断熱性部を覆う断熱部材20が設けられている。低断熱性部は、隣接する外壁パネル10の断熱材層14の端部の間の領域を指すもので、図2において紙面に直交する方向、すなわち、柱2や梁4等の軸組構成部材に沿って延びている。この断熱部材20は、内部に空気層を含むような断熱性の高い材料から構成されている。材料としては、外壁パネル10の断熱材層14と同様の素材を用いることができ、ビーズ法ポリスチレンフォーム(ESP)、押し出し法ポリスチレンフォーム(XPS)、ウレタン、フェノール等の発泡断熱材、またはグラスウール、ロックウール等の繊維系断熱材等が挙げられる。
断熱部材20は、幅が、隣接する外壁パネル10の断熱材層14の端部の間の距離と等しいか、これより大きいことが望ましいが、これより小さくても所定の断熱効果を得ることができる。また、断熱部材20の厚さは、この部分の断熱性能が、外壁パネル10の断熱材層14の性能と等しくなるような厚さに設定することが望ましいが、これに限られるものではない。また、断熱部材20の(図2において紙面に直交する方向の)長さは、隣接する外壁パネル10の端部に形成される低断熱性部の全長に等しいかこれより長いことが望ましいが、これに限定されるものではない。
断熱部材20は、間に面材11を挟み、軸組構成部材2の表面に釘22によって固定する。図示のように、釘22が面材11を貫通するように、釘穴21は幅方向の中央を外れた位置に形成するのが好ましく、その場合には、長手方向において左右交互に設けるとよい。なお、断熱部材20の固定方法は、釘22やねじのような固定具の他、接着剤等適宜の手段が採用可能である。
外壁パネル10の外面には、建築物の外装材30の内面が接するように設けられており、断熱部材20は、外装材30と外壁パネル10の間に断熱用の空間を形成する通気胴縁の役割も果たしている。
外壁パネル10の外面には、建築物の外装材30の内面が接するように設けられており、断熱部材20は、外装材30と外壁パネル10の間に断熱用の空間を形成する通気胴縁の役割も果たしている。
このように構成された断熱壁構造を有する建築物においては、軸組構成部材2の周囲の領域に外壁パネル10の断熱材層14と同等の断熱性能を有する断熱部材20が局所的に配されているので、軸組構造と外壁パネル10を組み合わせた施工性、耐震性に優れた工法の弱点であった軸組構成部材2周りの低断熱性部の断熱性を簡単な構造によって低コストで補うことができる。この実施の形態においては、断熱部材20は外壁パネル10と外装材30との間に介在して断熱用の空間を形成する役割を持つ。
図3は、梁4と小屋パネル(断熱壁)10aの取付部の構造を示す断面図である。なお、小屋は、建築物の上部に設ける断熱用の空間を言い、小屋パネル10a
は屋根7との間に小屋を形成するためのパネルである。小屋パネル10aの構成は、先の外壁パネル10の場合と基本的に同じである。
は屋根7との間に小屋を形成するためのパネルである。小屋パネル10aの構成は、先の外壁パネル10の場合と基本的に同じである。
梁4の外面側には、先の実施の形態と同様に、断熱部材20aが設けられている。断熱部材20aの形状、素材、性能も基本的に先の実施の形態と同じであるが、幅方向端部に一対の肉厚の突条部23が設けられ、それにより中央に溝が形成されている。肉厚の部分は、小屋パネル10aと梁(軸組構成部材)4との境界部の断熱性の特に低い領域に対応して設けられている。このように、断熱部材20aを、軸組構成部材4周りの領域の断熱性能の分布に対応した厚さ分布を持つように構成することにより、断熱性能の不均一さを改善し、省エネルギー効果をより高め、また均一な温度分布を得て居住性を高めることができる。断熱部材20aの梁4に面する側の面の中央部には、隣接する面材11,11の間の隙間に嵌入して位置決めを行う突条部24が設けられている。もちろん、このような構成の断熱部材20aを先の実施の形態の軸組構成部材2の周りに設けることもできる。
図4および図5は、それぞれ図3の実施の形態の断熱部材の形状を改良した他の実施の形態を示すもので、それぞれ(a)は室外(上部)方向から見た平面図、(b)は断面図、(c)は側面図であり、(a),(c)では長さ方向を省略している。図4の実施の形態の断熱部材20bでは、基本的な形状は図3の実施の形態と同様であるが、梁4に面する側の面が、中央部から左右縁部に向かうに従い図において下降するように微少角度傾斜している。このように構成することにより、断熱部材20bを釘等で固定すると、傾斜面が開くように変形し、その反発力によって傾斜面全体が面材11を梁4の方向に押圧する作用をする。図5の断熱部材20cは、基本的に図3または図4の実施の形態と同様の構成で、肉厚がより大きく設定されているものである。
図6および図7は、それぞれ図2の実施の形態の断熱部材の形状を改良した他の実施の形態を示すもので、それぞれ(a)は室外方向から見た正面図、(b)は断面図、(c)は側面図であり、(a),(c)では長さ方向を省略している。図6の実施の形態の断熱部材20dでは、基本的な形状は図3の実施の形態と同様であるが、先に説明したような断熱性素材の内部に種類の異なる材料からなる部材を包含して形成されている。この実施の形態では、断熱部材20dの幅方向中央部に、長手方向に沿って木製等の補強材25が埋設されており、釘を補強材25を通して打ち込むことにより、断熱部材20dを強固に固定することができる。図7の断熱部材20eは、同様に、木製等の補強材26の左右に断熱性素材からなる断熱部材片27を接着剤等により貼付することにより構成されている。
なお、上記の実施の形態では、断熱壁として、予めパネル状に構成された断熱パネルを用いたが、この発明はそれに限定されるものではなく、軸組を構築した後に面材を取り付け、その後に面材の内面にグラスウール等の繊維状の断熱材を貼付して断熱壁を構築する工法、あるいは、面材を用いない在来軸組工法に採用してもよい。この場合、柱や梁の縦横に延びる軸組構成部材だけでなく、筋交いのような斜めに延びる軸組構成部材について本発明の断熱部材を取り付けるようにしてもよい。
2 柱(軸組構成部材)
4 梁(軸組構成部材)
10 外壁パネル(断熱壁)
10a 小屋パネル(断熱壁)
11 面材
14 断熱材層
20 断熱部材
20a 断熱部材
20b 断熱部材
20c 断熱部材
20d 断熱部材
20e 断熱部材
J 軸組
4 梁(軸組構成部材)
10 外壁パネル(断熱壁)
10a 小屋パネル(断熱壁)
11 面材
14 断熱材層
20 断熱部材
20a 断熱部材
20b 断熱部材
20c 断熱部材
20d 断熱部材
20e 断熱部材
J 軸組
Claims (4)
- 土台、柱および梁等の軸組構成部材により構築された軸組と、前記軸組に取り付けられた断熱壁とを有する建築物であって、
前記断熱壁は、面材および該面材の一面側に配置された断熱材層を有するとともに該面材の縁部の前記一面を前記軸組構成部材の外周面に取り付けることにより前記軸組に取り付けられ、
前記軸組構成部材の前記外周面側には、該軸組構成部材を挟んで隣接する前記断熱壁の間の領域を覆う断熱部材が設けられていることを特徴とする建築物。 - 前記断熱部材は、前記隣接する断熱壁の各断熱材層の端部間の距離以上の幅を有することを特徴とする請求項1に記載の建築物。
- 前記断熱壁は、予め前記面材と前記断熱材層が一体に形成された断熱パネルであることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の建築物。
- 土台、柱および梁等の軸組構成部材により構築された軸組と、前記軸組構成部材の間に構築された断熱壁とを有する建築物であって、
前記軸組構成部材の外周面側には、該軸組構成部材を挟んで隣接する前記断熱壁の間の領域を覆う断熱部材が設けられていることを特徴とする建築物。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2003382255A JP2005146558A (ja) | 2003-11-12 | 2003-11-12 | 建築物 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2003382255A JP2005146558A (ja) | 2003-11-12 | 2003-11-12 | 建築物 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2005146558A true JP2005146558A (ja) | 2005-06-09 |
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Family Applications (1)
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---|---|---|---|
JP2003382255A Pending JP2005146558A (ja) | 2003-11-12 | 2003-11-12 | 建築物 |
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2003
- 2003-11-12 JP JP2003382255A patent/JP2005146558A/ja active Pending
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