JP2005146441A - 工業用織物 - Google Patents
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Abstract
【構成】 経糸、緯糸によって形成される単層織りまたは多層織りの織物において、4n(nは2≦nを満たす整数)本の経糸と、該経糸と織り合わされる緯糸によって形成され、4m本目(mは1≦m≦nを満たす全ての整数)の経糸組織と4m−2本目の経糸組織及び、4m−1本目の経糸組織と4m−3本目の経糸組織が等しく各2本が同じ緯糸と織り合わされており、且つ下層面側を形成する緯糸の少なくとも半数以上が連続する経糸4本以上の下を通って下層面側に緯糸ロングクリンプを形成する部分を有する緯糸であることを特徴とする工業用織物である。
【選択図】 図1
Description
高速で走行する工業用織物は表面側で物品等を搬送し、マシンと接触する走行面側で摩耗を受け持つことが多い。走行面側ではロール等との摩擦によって織物が次第に摩耗していく現象がみられ、摩耗によって寿命が尽きてしまうことがあるため、工業用織物では耐摩耗性を向上させるために走行面側緯糸ロングクリンプ構造の緯糸摩耗型織物が広く使用されている。特許2609134号公報に開示の製紙用二重織物も、同様な理由から走行面側表面に経糸13本分の緯糸ロングクリンプを形成した組織としている。織物の経糸端部を継ぎ合わせて無端状として縦方向に張力をかけて走行している工業用織物では、経糸に摩耗を受け持たせると経糸が破断しやすくそれにより早期に織物の寿命が尽きてしまうことが多いため、緯糸に摩耗を持たせる緯糸摩耗組織の織物が好ましい。またロール等と点状あるいは短い線状で接触したのでは耐摩耗体積が小さくすぐに摩耗してしまうため、耐摩耗体積を大きくすることも重要である。また、緯糸摩耗型織物とは逆に一部の建材抄造装置等では建材シートの原料の支持性を向上させるために原料載置面を緯糸ロングクリンプとした織物等も使用されている。
このように織物走行方向と交差する側の糸(緯糸)が織物表面にロングクリンプを形成する織物は工業分野で広く使用されており、その用途は非常に多い。
緯糸ロングクリンプ組織の例として1本の緯糸が1本の経糸の上側を通った後、連続した7本の経糸の下側を通って走行面側に経糸7本分のロングクリンプを形成する8シャフトの織物等がある。また、この8シャフトの組織の隣に経糸の配置順序を変えて綾の方向を切り替えた組織を配置した返し綾組織の織物等もある。この返し綾組織の織物は8シャフトの織物であるが織物の一部で経糸8本分以上の緯糸ロングクリンプを形成できる。しかし、同時に長さの短いクリンプも形成されてしまう。これよりもシャフト数を増やせば全体的に緯糸クリンプ長さを長くすることもできるが、シャフト数を増やすということは織物を製織する織機の綜絖枠の配置数を増やすことになり、各織機によって綜絖枠の枚数に上限があるため工業用織物業界では決められた枚数以内の綜絖枠を使って製織するのが常であった。
「1. 経糸、緯糸によって形成される単層織りまたは多層織りの織物において、4n(nは2≦nを満たす整数)本の経糸と、該経糸と織り合わされる緯糸によって形成され、4m本目(mは1≦m≦nを満たす全ての整数)の経糸組織と4m−2本目の経糸組織及び、4m−1本目の経糸組織と4m−3本目の経糸組織が等しく各2本が同じ緯糸と織り合わされており、且つ下層面側を形成する緯糸の少なくとも半数以上が連続する経糸4本以上の下を通って下層面側に緯糸ロングクリンプを形成する部分を有する緯糸であることを特徴とする工業用織物。
2. 下層面側を形成する緯糸の少なくとも半数以上が、1本の緯糸が1本の下層面側の経糸の上を通り、次いで1本の下層面側の経糸の下を通り、次いで1本の下層面側の経糸の上を通り、次いで5本以上の下層面側の経糸の下を通って下層面側に緯糸ロングクリンプを形成する部分を有する組織である、1項に記載された工業用織物。
3. 下層面側を形成する緯糸の少なくとも半数以上が、1本の緯糸が1本の下層面側の経糸の上を通り、次いで1本の下層面側の経糸の下を通り、次いで1本の下層面側の経糸の上を通り、次いで5本以上の下層面側の経糸の下を通って下層面側に緯糸ロングクリンプを形成する組織である、2項に記載された工業用織物。
4. 1項ないし3項のいずれか1項に記載された緯糸組織によって形成される完全組織の隣りに、経糸組織の配置順序を変えた織組織を配置して形成した綾方向が交差する組織を混在させた、工業用織物。
5. 1項ないし4項のいずれか1項に記載された織物が単層構造である、工業用織物。」
に関する。
(a) 4n(nは2≦nを満たす整数)本の経糸と、該経糸と織り合わされる緯糸によって形成される。
(b) 織物の4m本目(mは1≦m≦nを満たす全ての整数)の経糸組織と4m−2本目の2本の経糸組織及び、4m−1本目の組織と4m−3本目の2本の経糸組織が等しい。
(c)下層面側を形成する緯糸の少なくとも半数以上が、経糸4本以上の下を通って下層面側表面に緯糸ロングクリンプを形成する部分を有する。
(b) は織物の組織に関するものであり表1を参考にmとnの関係、及び(b)の詳細について説明する。
nは2以上であり、mは1以上n以下を満たす全ての整数を表す。これよりn=2のとき、mは2と1になる。このとき織物は順に並んだ経糸1〜8によって構成されており、m=2,1を(b)の式に代入すると、m=2のとき8本目の経糸と6本目の経糸組織が等しく2本が同じ緯糸と織り合わされており、その他7本目の経糸と5本目の経糸組織が等しい。そしてm=1のとき4本目の経糸と2本目の経糸組織、3本目の経糸と1本目の経糸組織が等しく、それぞれ2本の経糸が同じ緯糸と織り合わされている。表1に示すようにnが3,4のときも同様であり、nが5以上になっても同様である。
(c)は織物を構成する下層面側を形成する緯糸組織を限定したものであり、該下層面側を形成する緯糸の少なくとも半数以上が、経糸4本以上の下を通って下層面側表面に緯糸ロングクリンプを形成する部分を有する。半数以上とは経糸16本、緯糸8本で構成された織物の場合には4本、またはそれ以上の緯糸が、経糸4本以上の下を通って下層面側表面に緯糸ロングクリンプを形成する部分を有する組織とすればよく、それ以外の緯糸の組織については特に限定されない。また、1本の緯糸が経糸4本以上の下を通って下層面側に緯糸ロングクリンプを形成する部分を複数有する組織としてもよく、例えば経糸4本分以上のロングクリンプを2つ以上形成する組織でもよい。また1本の緯糸が経糸5本分の緯糸クリンプと経糸3本分の緯糸クリンプの両方を形成する組織等も含む。本発明で言う「クリンプ」とは経糸と緯糸が交差したナックルと次のナックルとの間に存在する経糸複数本分の緯糸の浮き、あるいは緯糸複数本分の経糸の浮きをいう。走行面に緯糸のロングクリンプを形成した緯糸に摩耗を請け負わせる構造とすることで耐摩耗性に優れる。
またその作用により両側の経糸ナックルは互いに向かう方向に力が働き、二つの経糸ナックルがくっつき合おうとする。そのため実質的には下層面側組織は経糸5本分のロングクリンプを形成する部分と、経糸2本がくっつき合っている部分が構成される。2本のくっつき合う経糸ナックルにより緯糸を強固に織り込むため緯糸ロングクリンプは走行面側に突出する構造となり摩耗体積が増え耐摩耗性に優れた織物となる。もちろん剛性も向上する。
本発明の織物は上記(a)(b)(c)を満たす構造の織物であればどのような構造であってもよく、多層織物でも単層織物でもよい。例えば1本の経糸が上層面側緯糸と下層面側緯糸を織り込む経糸1重緯糸2重織物や、経糸1重緯糸1重織物、また経糸1重緯糸3重織物等の多重織物でももちろん構わない。
工業用織物としては一般的に、剛性、寸法安定性に優れるポリエステルモノフィラメントを用いるのが好ましく、織物の性質や製織性等から随時選択できる。また、多層織物において耐摩耗性が要求される下層面側を形成する緯糸にはポリエステルモノフィラメントとナイロンモノフィラメントを交互に配置する等、交織するのが剛性を確保しつつ耐摩耗性を向上できるため好ましい。それぞれの線径についても用途や適正に合わせて選択すればよい。
図1、4、6、7、8、9は本発明の実施例の完全組織を示す意匠図である。図1、4、6、7、8は経糸1重、緯糸1重の単層織物であり、図9は経糸1重緯糸2重の多層織物である。図2は図1の緯糸1´の断面図であり図5は図4の意匠図をもとに製織した織物の下層面側の表面写真である。完全組織とは、織物組織の最小の繰り返し単位であって、この完全組織が上下左右につながって織物全体の組織が形成される。意匠図において、経糸はアラビア数字、例えば1、2、3で示した。緯糸はダッシュを付したアラビア数字、例えば1´、2´、3´で示した。単層織物である図1、4、6、7、8においては、○印は経糸が緯糸の下を通り下層面側表面に経糸ナックルを形成していることを示す。そして、多層織物である図9においては、×印は経糸が上層面側緯糸の上側を通り上層面側表面に経糸ナックルを形成していることを示し、○印は経糸が下層面側緯糸の下を通り下層面側表面に経糸ナックルを形成していることを示す。本発明の図9の実施例では意匠図上において便宜上緯糸が上下に重なって配置されているが、実際の織物ではずれて配置されることもある。
次に発明の実施の形態を実施例に基づき図面を参照して説明する。
図1の意匠図に示す実施例1の織物は経糸、緯糸からなる4シャフトの単層織物であり、8本の経糸と4本の緯糸によって構成されている経糸3/1組織の経糸1本おき朱子織組織の織物である。緯糸は下層面側表面に経糸5本分のロングクリンプを形成する組織であり、経糸1と経糸3、経糸2と経糸4、経糸5と経糸7、経糸6と経糸8が同じ組織である。そのため、通常8本の経糸からなる単層織物では8枚の綜絖枠が必要となるが、本発明の織物ではその半分の4枚の綜絖枠で製織できる。
図1の実施例1の織物は製織され図2に示すような緯糸組織となる。図2は意匠図に示した組織をそのまま表した緯糸の断面図である。緯糸1´は経糸1の上、経糸2の下、経糸3の上と順に通り、次いで連続する5本の経糸4、5、6、7、8の下を通って下層面側表面にロングクリンプを形成する。図2を見てわかるように下層面側表面には経糸5本分の緯糸のロングクリンプを形成している。そしてその他の部分は経糸1と経糸3が緯糸1´を下側から織り込み、経糸2は緯糸を上側から織り込んでいる。この部分では経糸2が緯糸1´を上側から織り込む力より、緯糸1´が経糸2を押し上げる力の方が大きいため経糸2が上方向に押し上げられる。そして経糸1と経糸3が緯糸2に向かう力が働き、実際の織物では図3に示すように緯糸1´の下で経糸1と経糸3が互いにくっつき合って配置される。そのため図2に示されている経糸2の下側に存在する緯糸ナックルは実際には図3のように経糸1と経糸3に覆われて下層面側に突出しない構造となる。このように経糸が実質的に2本が接近し合って緯糸を織り込んでいるため織物の剛性が向上し、経糸の織り込みによって下層面側のロングクリンプがさらに突出して耐摩耗面積が増え、耐摩耗性を向上させる効果もある。また図3の経糸ナックルの底辺に沿って引かれた破線aと、緯糸のロングクリンプの底辺に沿って引かれた破線bを見ても明らかなように経糸ナックルよりも緯糸のロングクリンプの方が下層面側に突出しているため経糸が摩耗しにくく織物を長期間使用することができる。
このように本発明の織物は少ない枚数の綜絖枠であっても走行面側にロングクリンプを形成する織物を製織することができ、剛性、耐摩耗性に優れ、且つ同じ線径、配置本数の織物と比較しても十分な通気を得ることができる工業用織物であり、特に脱水機用ろ布、抄紙用織物をはじめとした多くの工業用織物として好適に使用することができる。
図4の意匠図に示す実施例2の織物は経糸、緯糸からなる8シャフトの単層織物であり、16本の経糸と8本の緯糸によって構成されている経糸7/1組織の経糸1本おきの朱子織組織の織物である。緯糸は下層面側表面に経糸13本分のロングクリンプを形成する組織であり、経糸1と経糸3、経糸2と経糸4、経糸5と経糸7、経糸6と経糸8、経糸9と11、経糸10と12、経糸13と15、経糸14と16が同じ組織である。そのため、通常16本の経糸からなる単層織物では16枚の綜絖枠が必要となるが、本発明の織物ではその半分の8枚の綜絖枠で製織できる。
図4の実施例2の織物は下層面側にロングクリンプを形成する組織であり、具体的には緯糸1´は経糸1の上、経糸2の下、経糸3の上と順に通り、次いで連続する13本の経糸4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16の下を通って下層面側表面にロングクリンプを形成する。そして経糸は1サイクルに1回1本の緯糸と織り合わされて7/1組織を形成し、経糸1本おきの朱子織組織とした。図5には図4の意匠図をもとに製織した織物の下層面側表面写真が示されている。上述のように下層面側表面には経糸13本分の緯糸のロングクリンプを形成する部分と2本の経糸が互いに接近し合って緯糸を織り合わせた部分が存在している。このように経糸が実質的に接近し合って緯糸を織り込んでいるため緯糸のロングクリンプが13本と長いが織物に斜め方向のガタが生じることもなく織物の剛性は高い。そして経糸の織り込みによって下層面側のロングクリンプがさらに突出して耐摩耗面積が増え、耐摩耗性が向上する。また経糸ナックルよりも緯糸のロングクリンプの方が下層面側に突出しているため経糸の摩耗も少なく織物を長期間使用することができる。
本発明の織物は少ない枚数の綜絖枠であっても走行面側にロングクリンプを形成する織物を製織することができ、剛性、耐摩耗性に優れ、且つ同じ線径、配置本数の織物と比較しても十分な通気を得ることができる工業用織物であり、特に脱水機用ろ布、抄紙用織物をはじめとした多くの工業用織物として好適に使用することができる。
図6の意匠図に示す実施例3の織物は経糸、緯糸からなる8シャフトの単層織物であり、16本の経糸と8本の緯糸によって構成された経糸6/2組織の経糸1と3、2と4、5と7、6と8、9と11、10と12、13と15、14と16からなる経糸1本おき朱子織組織である。緯糸は下層面側表面に長さの異なるロングクリンプを形成しており、具体的に緯糸1´は経糸6本分のロングクリンプと経糸4本分のクリンプを形成し、緯糸2´は経糸8本分のロングクリンプを緯糸2本分のクリンプを形成する組織であり、経糸1と経糸3、経糸2と経糸4、経糸5と経糸7、経糸6と経糸8、経糸9と11、経糸10と12、経糸13と15、経糸14と16が同じ組織である。そのため、通常16本の経糸からなる単層織物では16枚の綜絖枠が必要となるが、本発明の織物ではその半分の8枚の綜絖枠で製織できる。このように、2種類の緯糸が存在しても経糸組織は1種類のみで構成されている。
図6の実施例3の織物が図4の実施例2の織物と異なる点は、経糸組織が7/1組織ではなく、6/2組織である点で、それによって下層面側表面に長さの異なる2つのロングクリンプが形成され、また2種類の緯糸組織が存在する。このように緯糸組織は下層面側表面に経糸4本分以上のロングクリンプを形成する部分を有していればよく、その他は問わない。本実施例のように経糸2本分の緯糸クリンプを形成する組織であっても何ら構わないが、この短いクリンプはロングクリンプに比べ表面に突出する構造でないため、緯糸の摩耗面積が小さく摩耗の激しいところでの使用は好ましくない。しかし本実施例の織物は実施例2より接結部分が多いため特に剛性を要求される用途で好適である。
図7の意匠図に示す本実施例4の織物は経糸、緯糸からなる4シャフトの単層織物であり、8本の経糸と4本の緯糸によって構成されている経糸2/2組織の経糸1本おきの朱子織組織の織物である。緯糸は下層面側表面に経糸4本分のロングクリンプを形成する部分を有する組織の緯糸と、平織り組織を形成する緯糸からなり、経糸1と経糸3、経糸2と経糸4、経糸5と経糸7、経糸6と経糸8が同じ組織である。そのため、通常8本の経糸からなる単層織物では8枚の綜絖枠が必要となるが、本発明の織物ではその半分の4枚の綜絖枠で製織できる。
図7の実施例4の織物が図1の実施例1の織物と異なる点は、経糸組織が3/1組織ではなく、2/2組織である点であり、それによって2種類の緯糸組織が存在することとなる。緯糸の一方は下層面側表面に経糸4本分の長さのロングクリンプが形成するものであり、もう一方は平織り組織を形成するものである。本発明の織物では織物を構成する緯糸の半数以上が経糸4本分以上のロングクリンプを形成する部分を有する組織であればよいため、本実施例のように平織組織が混在しても構わない。
具体的には緯糸2´はロングクリンプを形成する組織であり、4本の連続する経糸の上側を通った後、4本の連続する経糸の下側を通る組織であり、緯糸1´は平織りを形成している。緯糸2´は下層面側表面に経糸4本分のロングクリンプを形成するものの、経糸も走行面側表面に多く現れているため耐摩耗性の要求されるところでの使用は好ましくないが通気を必要とする用途においては好適である。また場合によっては、緯糸に径の大きい糸と小さい糸を交互に配置してもよい。
図8の意匠図に示す本実施例5の織物は経糸、緯糸からなる8シャフトの単層織物であり、16本の経糸と8本の緯糸によって構成されている経糸7/1組織の経糸1本おき朱子織組織の織物である。本実施例では、図面の左側の経糸1〜16は図4と同じ組織であるが、右側の1〜16では経糸の配置順序を変えて完全組織を形成した。右側の完全組織の経糸1は左側の完全組織の経糸8と同じであり、右側の完全組織は8、7、6、5、4、3、2、1、16、15、14、13、12、11、10、9の順で経糸の配置順序が変わっている。このようにすることで織物の綾方向を変化させた(図8では綾の返しがわかりやすいように一部着色して表示)。返し綾組織の織物の下層面側表面には長さの異なるロングクリンプが形成され、例えば緯糸1´では経糸4〜16、1〜5の下側を通って下層面側表面に経糸18本分のロングクリンプと、経糸9〜16の下側を通って下層面側表面に経糸8本分のロングクリンプを形成する。また緯糸3´では経糸13〜16、1〜12の下側を通って下層面側表面に経糸16本分のロングクリンプと、経糸16、1〜9の下側を通って下層面側表面に経糸10本分のロングクリンプを形成する。このように長さの異なるロングクリンプが形成されるが、図4からもわかるようにもともとのロングクリンプの長さが経糸13本分と長いため、綾を返した組織としても全体的に長いクリンプを形成することができる。また返し綾の織物は使用中の織物の蛇行が生じにくく走行安定性を必要とする用途で好ましい。
そして、経糸は他の実施例と同様に、図8の左側の完全組織において、経糸1と経糸3、経糸2と経糸4、経糸5と経糸7、経糸6と経糸8、経糸9と11、経糸10と12、経糸13と15、経糸14と16が同じ組織であり、右側の完全組織でも同様に2本の経糸組織が同じであり、本発明の織物は8枚の綜絖枠で製織できる。
下層面側表面には経糸4本分以上の緯糸のロングクリンプが形成され、その他の部分では2本の経糸が互いに接近し合って緯糸を織り合わせているため織物に斜め方向のガタが生じることもなく織物の剛性は高い。そして経糸の織り込みによって下層面側のロングクリンプがさらに突出して耐摩耗面積が増え、耐摩耗性が向上する。また経糸ナックルよりも緯糸のロングクリンプの方が下層面側に突出しているため経糸の摩耗も少なく織物を長期間使用することができる。
本発明の実施例の織物は少ない枚数の綜絖枠であっても走行面側にロングクリンプを形成する織物を製織することができ、剛性、耐摩耗性に優れ、且つ同じ線径、配置本数の織物と比較しても十分な通気を得ることができる工業用織物であり、特に脱水機用ろ布、抄紙用織物をはじめとした多くの工業用織物として好適に使用することができる。
図9の意匠図に示す本実施例6の織物は経糸、緯糸からなる16シャフトの2層織物であり、上層面側緯糸と下層面側緯糸が重なって配置された、16本の経糸と8本の上層面側緯糸、8本の下層面側緯糸によって構成される上層面側表面経糸2/5組織、下層面側表面経糸1/7組織の経糸1本おき朱子織組織の織物である。下層面側緯糸は下層面側表面に経糸13本分のロングクリンプを形成する組織であり、経糸1と経糸3、経糸2と経糸4、経糸5と経糸7、経糸6と経糸8、経糸9と11、経糸10と12、経糸13と15、経糸14と16が同じ組織である。
図9の実施例6の織物は下層面側に緯糸のロングクリンプを形成する組織であり、具体的に下層面側緯糸1´は経糸2の上、経糸3の下、経糸4の上と順に通り、次いで連続する13本の経糸5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、1の下を通って下層面側表面にロングクリンプを形成する。そして経糸は1サイクルに1回1本の緯糸と織り合わされて7/1組織を形成し、経糸1本おきの朱子織組織とした。他の実施例と同様に下層面側表面には経糸13本分の緯糸のロングクリンプと2本の経糸が互いに接近し合って緯糸を織り合わせている部分がある。このように経糸が実質的に接近し合って緯糸を織り込んでいるため緯糸のロングクリンプが13本と長いが織物に斜め方向のガタが生じることもなく織物の剛性は高い。そして経糸の織り込みによって下層面側のロングクリンプがさらに突出して耐摩耗面積が増え、耐摩耗性が向上する。また経糸ナックルよりも緯糸のロングクリンプの方が下層面側に突出しているため経糸の摩耗も少なく織物を長期間使用することができる。
本発明の織物は少ない枚数の綜絖枠であっても走行面側にロングクリンプを形成する織物を製織することができ、剛性、耐摩耗性に優れ、且つ同じ線径、配置本数の織物と比較しても十分な通気を得ることができる工業用織物であり、特に脱水機用ろ布、抄紙用織物をはじめとした多くの工業用織物として好適に使用することができる。
1´〜8´:緯糸
Claims (5)
- 経糸、緯糸によって形成される単層織りまたは多層織りの織物において、4n(nは2≦nを満たす整数)本の経糸と、該経糸と織り合わされる緯糸によって形成され、4m本目(mは1≦m≦nを満たす全ての整数)の経糸組織と4m−2本目の経糸組織及び、4m−1本目の経糸組織と4m−3本目の経糸組織が等しく各2本が同じ緯糸と織り合わされており、且つ下層面側を形成する緯糸の少なくとも半数以上が連続する経糸4本以上の下を通って下層面側に緯糸ロングクリンプを形成する部分を有する緯糸であることを特徴とする工業用織物。
- 下層面側を形成する緯糸の少なくとも半数以上が、1本の緯糸が1本の下層面側の経糸の上を通り、次いで1本の下層面側の経糸の下を通り、次いで1本の下層面側の経糸の上を通り、次いで5本以上の下層面側の経糸の下を通って下層面側に緯糸ロングクリンプを形成する部分を有する組織である、請求項1に記載された工業用織物。
- 下層面側を形成する緯糸の少なくとも半数以上が、1本の緯糸が1本の下層面側の経糸の上を通り、次いで1本の下層面側の経糸の下を通り、次いで1本の下層面側の経糸の上を通り、次いで5本以上の下層面側の経糸の下を通って下層面側に緯糸ロングクリンプを形成する組織である、請求項2に記載された工業用織物。
- 請求項1ないし3のいずれか1項に記載された緯糸組織によって形成される完全組織の隣りに、経糸組織の配置順序を変えた織組織を配置して形成した綾方向が交差する組織を混在させた、工業用織物。
- 請求項1ないし4のいずれか1項に記載された織物が単層構造である、工業用織物。
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