JP2005146354A - 高速曲げ変形時のエネルギ吸収量の高い衝突補強部品 - Google Patents
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Abstract
【課題】 現行使用されているプレス機能力の増強と新しい機能を付与することを必要とせずに、また、プレス材にアルミメッキ処理することを必要とせずに、既存のプレス機、軟窒化処理設備を用い、かつ表面処理していない鋼板を用いて製造することができる安価な高速曲げ変形時のエネルギ吸収量の高い衝突補強部品を提供する。
【解決手段】 鋼板をプレス加工した後、軟窒化処理を施してなる部材であって、上記加工品の板厚方向に硬度分布を有し、板厚中心部硬度:Hv≧160、最表層部硬度:600≦Hv≦1200を満たすとともに、表層から0.2mmでの位置における硬度:Hv≧400となるような硬度分布を有することを特徴とする高速曲げ変形時のエネルギ吸収量の高い衝突補強部品。
【選択図】 図2
【解決手段】 鋼板をプレス加工した後、軟窒化処理を施してなる部材であって、上記加工品の板厚方向に硬度分布を有し、板厚中心部硬度:Hv≧160、最表層部硬度:600≦Hv≦1200を満たすとともに、表層から0.2mmでの位置における硬度:Hv≧400となるような硬度分布を有することを特徴とする高速曲げ変形時のエネルギ吸収量の高い衝突補強部品。
【選択図】 図2
Description
本発明は、自動車用部品の中でもとくに最近の衝突安全性確保のために必要とされるリンフォース等の衝突補強部品に関するものである。
自動車用部品の中でもとくに最近の衝突安全性確保のために必要とされるリンフォース等の補強部品には、高速曲げ変形時のエネルギ吸収量が高いことが要求される。このような要求に答える補強部品の製造技術として、特開2002−102980号公報(特許文献1)に開示されているように、比較的炭素量を多く含有する鋼で、プレス成形と焼入れを同時に実施するホットスタンピングにより、ドアインパクトビーム等への部品を製作する技術がある。
詳述すると、成形前に鋼板をオーステナイト域まで加熱し、金型内での冷却によりマルテンサイトに変態させ、所定の強度を得るものである。したがって、この方法には高温まで加熱されることにより表面にスケールが生じる問題がある。一方、それを回避・抑制するためアルミメッキ材による対応も取られているが、その分素材コストも大幅にかかる。また、新たな設備導入を余儀なくされるものである。
従って、本発明の課題は現行使用されているプレス機能力の増強と新しい機能を付与することを必要とせずに、また、プレス材にアルミメッキ処理することを必要とせずに、既存のプレス機、軟窒化処理設備を用い、かつ表面処理していない鋼板を用いて製造することができる安価な高速曲げ変形時のエネルギ吸収量の高い衝突補強部品を提供するものである。
本発明者らは、上記課題を解決するために表1に示すような成分を有する鋼を真空溶解炉にて溶製した。とくに窒化物を形成する元素を種々添加し、これらの鋼を実験室規模で熱間圧延を行った。その際の熱延条件として、加熱温度:1100℃、仕上温度:930℃とし、仕上圧延後は10℃/s程度の冷却速度で室温まで冷却した。これらの熱延板を使用し、図1に示すような部品1を作製し、軟窒化処理を施してから落重試験による高速曲げ変形における10mm変形時の吸収エネルギ及び最高荷重で評価した。なお、図1は、部品形状の説明図であり、図1(a)は斜視図であり、図1(b)は断面図を示す。
また、軟窒化処理後の鋼板板厚方向の硬度分布を図2に示す。また、各部品での変形抵抗の比較として、曲げ変形時における最大荷重を調査した結果を表2に示す。その結果、添加される元素の種類とその添加量により、表面での最高硬さと板厚方向の硬度分布からエネルギ吸収量及び最高荷重(10mm変位まで)が異なることが見出された。また、図2、表2にはホットスタンプにより製造した部材での特性(図2、表2の6)も示した。 以上の知見をもとに、高速曲げ曲げ変形時のエネルギ吸収量の高い衝突補強部品確立したもので、本発明の要旨とするところは、以下の通りである。
(1)鋼板をプレス加工した後、軟窒化処理を施してなる部材であって、上記加工品の板厚方向に硬度分布を有し、板厚中心部硬度:Hv≧160、最表層部硬度:600≦Hv≦1200を満たすとともに、表層から0.2mmでの位置における硬度:Hv≧400となるような硬度分布を有することを特徴とする高速曲げ変形時のエネルギ吸収量の高い衝突補強部品。
(2)鋼板が、重量比で、C:0.001〜0.05%、Si:0.08〜0.5%、Mn:0.1〜0.5%、P:0.035%以下、S:0.03%以下、Al:0.015〜1%、Ti:0.03〜0.5%、N:0.005%以下、Cu:0.8〜2%、Ni:0.5×(Cu)〜1.5%、O:0.004%以下を含み、さらに、V:0.2%以下、Cr:0.2〜1.5%のうち1種または2種を含有し、残部がFe及び不可避的不純物からなる鋼板であることを特徴とする上記(1)に記載の高速曲げ変形時のエネルギ吸収量の高い衝突補強部品。
(3)鋼板が、重量比で、B:0.0003〜0.003%を含有する鋼板であることを特徴とする上記(2)に記載の高速曲げ変形時のエネルギ吸収量の高い衝突補強部品である。
(3)鋼板が、重量比で、B:0.0003〜0.003%を含有する鋼板であることを特徴とする上記(2)に記載の高速曲げ変形時のエネルギ吸収量の高い衝突補強部品である。
本発明の高速曲げ変形時のエネルギ吸収量の高い衝突補強部品は現行使用されているプレス機能力の増強と新しい機能を付与することを必要とせずに、また、プレス材にアルミメッキ処理することを必要とせずに、既存のプレス機、軟窒化処理設備を用い、かつ表面処理していない鋼板を用いて製造することができるものであるから、高速曲げ変形時のエネルギ吸収量の高い衝突補強部品を安価に提供できる。
まず、この発明におけるプレス素材となる鋼板の成分組成の限定理由について述べる。Cは、0.001〜0.005%とする。本発明では、窒化物形成元素であるVやCrが添加されるが、これらの元素は同時に炭化物も形成するため、過度に添加されると、それらの析出により延性の低下を招くと同時に、窒化処理における窒化深さが十分に確保されなくなるため、上限を0.005%とする。一方、あまり下げすぎると脱炭のためのコストが高くなるので、0.001%を下限とした。
Siは、本発明において重要な役割を果たす元素の1つである。過度の添加は延性を劣化させるため0.5%を上限とする。一方、製鋼段階での精錬時に酸化物を形成し、スラグ中に取り込まれることでとくにSi系の酸化物を減少させる効果があることから、0.08%以上添加するものとする。この効果により伸びフランジ性及び穴拡げ性を大幅に改善することができる。
Mnは、鋼中のSと反応し、MnSを形成することにより鋼を製造する際の高温での割れを防止する役割をはたす。そのためには、0.1%以上の添加が必要である。しかし、0.5%を超えると延性を劣化させるため、これを上限とする。
Pは、その添加量の増加により鋼板の強度を高めることができる。しかし、本発明では、積極的に活用すべき元素ではない。そのため、延性の劣化を考慮し、0.035%を上限とする。
Pは、その添加量の増加により鋼板の強度を高めることができる。しかし、本発明では、積極的に活用すべき元素ではない。そのため、延性の劣化を考慮し、0.035%を上限とする。
Sもその含有量が多いほど鋼の延性を低下させる。また、鋼板製造時の高温での加工時に生じる割れ発生の原因にもなることから、できるだけ少ない方が好ましいため0.03%を上限とした。
Alは、V、Crが添加された鋼の延性低下を防止するのに有効な元素である。その効果を発揮させるには0.015%以上の添加が必要である。一方、その添加に伴い、窒化によって鋼中に侵入するNと反応し、AlNを形成することによって表面硬度を向上させる役割がある。しかし、過剰に添加されると延性低下を招くばかりでなく、軟窒化処理により最表層部のみ硬くなりすぎるため、1%を上限とする。
Alは、V、Crが添加された鋼の延性低下を防止するのに有効な元素である。その効果を発揮させるには0.015%以上の添加が必要である。一方、その添加に伴い、窒化によって鋼中に侵入するNと反応し、AlNを形成することによって表面硬度を向上させる役割がある。しかし、過剰に添加されると延性低下を招くばかりでなく、軟窒化処理により最表層部のみ硬くなりすぎるため、1%を上限とする。
Tiは、鋼中のC及びNと析出物を形成し、固溶C及び固溶Nを低減させることにより延性が確保できる。また、後述するVやCrに軟窒化後の硬度上昇作用を持たせるために必要な元素である。また、C及びNと結合し、鋼中に固溶状態で残存するTiも、軟窒化により窒化物を形成し、表面付近の硬度を上昇させる効果がある。そのため、その効果を発揮させるためには0.03%以上必要である。しかし、0.5%を超えて添加されると延性を大きく低下させるため、これを上限とする。
Nは、上述と同様の理由からTi量との関係で極力低い方が良い。そのため、上限を0.005%とするが、好ましくは0.003%以下とする。
Bは、母材の焼入れ性を確保と、部品に応じて二次加工性が必要となる場合に、その確保を目的に添加される。0.0003%未満ではその効果が不十分であり、0.003%を超えると硬質化するため加工性の劣化が懸念されることから、これを上限とする。
Bは、母材の焼入れ性を確保と、部品に応じて二次加工性が必要となる場合に、その確保を目的に添加される。0.0003%未満ではその効果が不十分であり、0.003%を超えると硬質化するため加工性の劣化が懸念されることから、これを上限とする。
Cuは、本発明が対象とする軟窒化処理において、鋼の硬度を上げるのに必要な元素である。この元素を添加することにより、軟窒化時の表面及び表面近傍への窒素の拡散による硬度上昇だけでなく、ε−Cuの析出により板厚方向中心部の硬度を上げることができる。そのためには0.8%以上の添加が必要である。しかし、過度の添加はその効果が飽和するため、2%を上限とする。
Niは、Cuを添加する本発明にとってはその添加が必須となる。その理由は、熱間圧延時に生じるCu起因の脆化割れを回避することである。その効果を発揮させるには、重量比でCuの0.5倍以上の添加が必要である。しかし、1.5%を超えると延性の低下につながるため、これを上限とする。
本発明においては、Oを規定することも重要である。特にプレス成形性の中でも伸びフランジ性及び穴拡げ性の改善には、鋼中に形成される酸化物の量を極力低くすることが重要である。そのため、0.004%以下とする。好ましくは、0.003%以下が良い。
本発明においては、Oを規定することも重要である。特にプレス成形性の中でも伸びフランジ性及び穴拡げ性の改善には、鋼中に形成される酸化物の量を極力低くすることが重要である。そのため、0.004%以下とする。好ましくは、0.003%以下が良い。
V及びCrは、Alと同様に軟窒化処理により窒化物を形成し、表面近傍を硬化させることができる。本発明では、C量を低く規定し、Tiの添加により固溶Cを極めて低く抑えていることから、添加されたV及びCrについては、それらの大部分が固溶状態で鋼中に存在している。そのため、窒化処理により表面近傍に窒化物を形成するとともに、板厚方向にクラスター状の窒化物が形成されることにより所定の硬度分布を形成させることができる。
なお、これら元素の添加量により、表面近傍の硬度及び板厚方向の硬度分布が変化することから、それぞれの添加量が規定される。すなわち、Vについては過剰に添加されると表層部近傍のみの硬度が高くなりすぎ、板厚方向の硬度分布が不適当となるため、本発明が対象とするような部材に必要な硬度分布が得られなくなることから0.2%を上限とする。一方、Crについても同様の理由から下限を0.2%、上限を1.5%とする。
また、スクラップの利用による微量のSnの混入は、本発明における効果を何ら損なうものではない。
また、スクラップの利用による微量のSnの混入は、本発明における効果を何ら損なうものではない。
本発明において熱延条件についてはとくに規定しないが、仕上圧延はAr3変態点以上の温度域で実施する必要がある。この温度よりも低い温度で圧延されると組織が不均一となり、熱延板の延性が劣化する。また、冷延材としては加工時に生じる肌荒れの原因になる。仕上圧延に続く冷却及び巻取り温度については、熱延板段階での強度を極力低く抑えておく方が好ましい。そのため、熱延板段階でCuの析出を回避する必要があることから、冷却速度(CR)≧20℃/s、巻取温度≦500℃とする方が好ましい。この条件よりも冷却速度が遅い場合や巻取温度が高い場合には、熱延板にε−Cuが析出し、熱延板強度が上がるため加工性が劣化するばかりでなく、後に続く冷延工程での冷延負荷が高くなる。
冷間圧延の条件についても本発明においてはとくに規定されるものではないが、再結晶を十分に生じさせるためには50%以上の圧下率を取ることが好ましい。これより低い圧下率で冷延されると、そのあとに続く連続焼鈍工程で再結晶が起こりにくく、バルジングによる粒成長が生じ、プレス加工時の肌荒れの原因となるため好ましくない。また、焼鈍温度は再結晶温度以上の温度域で実施する必要があるが、変態点を超えると、延性やr値といった材質が劣化し、加工性が悪くなるため900℃を上限とする。さらに再結晶工程に続く過時効条件も、引張強度で490MPa以下として加工性を確保するためには、ε−Cuの析出を抑制するために400℃以下としなくてはならない。
さらに、部品への成形後、軟窒化処理等により熱処理が実施される。その際の軟窒化条件はとくに規定されるものではないが、例えば、CO+H2+N2+NH3の混合ガスを使用して実施されるものである。また、添加される窒化元素の種類とその添加量により、形成される窒化層の硬度及び硬度が上昇する厚みが異なる。本発明においては、表面硬化層硬度がビッカース硬度(Hv)600以上あり、さらに曲げ変形時のエネルギ吸収量を確保するためには、Hv≧400以上となる有効深さとして0.2mm以上が得られることが必要であり、そのために軟窒化を実施する際の温度と時間、窒化雰囲気を調整する。
一方、中心層の硬度Hvが160よりも小さくなると、十分な吸収エネルギが得られないため、これを下限とする。また、最表層部硬度Hvが1200よりも大きくなると、曲げ変形時に表面に割れが生じ、十分な吸収エネルギが得られないことが懸念されることから、これを上限とする。
以下、本発明について実施例によって具体的に説明する。
(実施例1)
0.0025C−0.1Si−0.15Mn−0.007P−0.002S−0.033Al−0.035Ti−0.0034N−0.0005B−1.1Cu−0.52Ni−1Cr−0.0025Oを含む鋼を転炉出鋼し、連続鋳造にてスラブとした。熱延は、1050℃で加熱後、表3に示す条件で熱間圧延を終了し、1.4mmの熱延板とした。得られた熱延板の材質については、JIS Z 2201に記載の5号試験片に加工し、JIS Z 2241に記載の試験方法にしたがって引張試験を行った。また、穴拡げ性の調査も同時に実施し、直径10mm(d0)の穴を打ち抜き、60度の円錐ポンチを使用してバリが外側になるようにその穴を押し広げ、割れが板厚を貫通した時点での穴径(d)を測定し、d/d0で評価した。
(実施例1)
0.0025C−0.1Si−0.15Mn−0.007P−0.002S−0.033Al−0.035Ti−0.0034N−0.0005B−1.1Cu−0.52Ni−1Cr−0.0025Oを含む鋼を転炉出鋼し、連続鋳造にてスラブとした。熱延は、1050℃で加熱後、表3に示す条件で熱間圧延を終了し、1.4mmの熱延板とした。得られた熱延板の材質については、JIS Z 2201に記載の5号試験片に加工し、JIS Z 2241に記載の試験方法にしたがって引張試験を行った。また、穴拡げ性の調査も同時に実施し、直径10mm(d0)の穴を打ち抜き、60度の円錐ポンチを使用してバリが外側になるようにその穴を押し広げ、割れが板厚を貫通した時点での穴径(d)を測定し、d/d0で評価した。
得られた熱延板を用いて図1に示したような部材1に成形後、軟窒化処理としてCO+H2+N2+NH3の混合ガス中で570℃×3hの熱処理を施した。得られた結果を同表に示す。本発明の方法に従った条件1、2及び3では、延性が高く穴拡げ性も良好である。しかし、冷却速度が低く外れた条件4と、巻取温度が高く外れた条件6では、熱延板にε−Cuの析出に起因し、延性が低い。また、仕上温度がAr3変態点より低い条件5では、熱延板組織が不均一であることに起因し、延性及び穴拡げ性が劣化している。なお、成形したハット部材については落重試験による曲げ試験を実施し、10mm変形時におけるエネルギ吸収量を調査し、同表に示した。いずれもエネルギ吸収量は800J程度得られている。
(実施例2)
表4に示す種々の鋼を転炉出鋼し、連続鋳造でスラブとした。熱延は1150〜1250℃で加熱後、粗圧延及び仕上圧延を実施して、表5に示すような板厚の熱延板を製造した。なお、仕上圧延はいずれもAr3変態点以上の温度域で終了した。仕上圧延後の冷却速度は本発明の範囲内となるよう、冷却ゾーンにおける水量を調整し、同表に示すような温度で巻取を行った。得られた熱延板については、実施例1と同様に、引張試験による材質評価と穴拡げ性評価を実施した。また、部材によるエネルギ吸収特性についても実施例1と同様に実施した。これらの結果をあわせて表5に示す。
表4に示す種々の鋼を転炉出鋼し、連続鋳造でスラブとした。熱延は1150〜1250℃で加熱後、粗圧延及び仕上圧延を実施して、表5に示すような板厚の熱延板を製造した。なお、仕上圧延はいずれもAr3変態点以上の温度域で終了した。仕上圧延後の冷却速度は本発明の範囲内となるよう、冷却ゾーンにおける水量を調整し、同表に示すような温度で巻取を行った。得られた熱延板については、実施例1と同様に、引張試験による材質評価と穴拡げ性評価を実施した。また、部材によるエネルギ吸収特性についても実施例1と同様に実施した。これらの結果をあわせて表5に示す。
本発明に従ったA、B、C、D、E、F、G及びH鋼では、延性及び穴拡げ性に優れた鋼板が得られている。一方、C量が高く外れたI鋼では、炭化物が多く析出していることに起因し、延性が低い。Si量が低く外れたJ鋼、S量が高く外れたK鋼、Al量が高く外れたL鋼、さらにO量が高く外れたN鋼では、鋼中にA系及びB系を中心とした介在物が形成されるため穴拡げ性が低い。また、Ni量が低く外れたM鋼は熱間圧延時に割れが生じ、とくに表面にヘゲ状の疵が生じた。
また、本発明の方法に従って得られた熱延板と、L、O及びP鋼については、軟窒化特性を評価するために600℃で7時間(雰囲気:CO+H2+N2+NH3)の熱処理によるガス軟窒化処理を施し、実施例1と同様に10mm変形時のエネルギ吸収量を調査した。結果を表5に示す。本発明に従ったA、B、C、D、E、F、G及びH鋼では、800J程度のエネルギ吸収量を示すが、L、O及びP鋼では、表面硬化層硬度は十分得られているものの、硬化層深さが不足していることから、エネルギ吸収量が少ない。
(実施例3)
実施例2におけるB及びF鋼の熱延板をさらに60%の圧下率で冷延材とし、表6に示すような条件で連続焼鈍を実施した。また、本発明の範囲に従ったNo.1、2、3、4、6、7及び8では、優れた延性と穴拡げ性が得られている。一方、過時効温度が高く外れたNo.5では、ε−Cuの析出に起因し、強度が高くなるため延性が低いことから、加工性の劣化が懸念される。また、焼鈍温度が高く外れたNo.9では、組織が不均一となるため延性が劣化している。また、No.2及び7について、570℃で3時間の軟窒化処理(雰囲気:CO+H2+N2+NH3)を実施し、実施例1及び2と同様に落重試験によるエネルギ吸収量を調査した。いずれも800J程度のエネルギ吸収量を示した。
実施例2におけるB及びF鋼の熱延板をさらに60%の圧下率で冷延材とし、表6に示すような条件で連続焼鈍を実施した。また、本発明の範囲に従ったNo.1、2、3、4、6、7及び8では、優れた延性と穴拡げ性が得られている。一方、過時効温度が高く外れたNo.5では、ε−Cuの析出に起因し、強度が高くなるため延性が低いことから、加工性の劣化が懸念される。また、焼鈍温度が高く外れたNo.9では、組織が不均一となるため延性が劣化している。また、No.2及び7について、570℃で3時間の軟窒化処理(雰囲気:CO+H2+N2+NH3)を実施し、実施例1及び2と同様に落重試験によるエネルギ吸収量を調査した。いずれも800J程度のエネルギ吸収量を示した。
本発明の安価な高速曲げ変形時のエネルギ吸収量の高い衝突補強部品は、自動車用補強部材として使用でき有用である。
1 部材
特許出願人 新日本製鉄株式会社
代理人 弁理士 椎 名 彊 他1
特許出願人 新日本製鉄株式会社
代理人 弁理士 椎 名 彊 他1
Claims (3)
- 鋼板をプレス加工した後、軟窒化処理を施してなる部品であって、上記加工品の板厚方向に硬度分布を有し、板厚中心部硬度:Hv≧160、最表層部硬度:600≦Hv≦1200を満たすとともに、表層から0.2mmでの位置における硬度:Hv≧400となるような硬度分布を有することを特徴とする高速曲げ変形時のエネルギ吸収量の高い衝突補強部品。
- 鋼板が、重量比で、C:0.001〜0.05%、Si:0.08〜0.5%、Mn:0.1〜0.5%、P:0.035%以下、S:0.03%以下、Al:0.015〜1%、Ti:0.03〜0.5%、N:0.005%以下、Cu:0.8〜2%、Ni:0.5×(Cu)〜1.5%、O:0.004%以下を含み、さらに、V:0.2%以下、Cr:0.2〜1.5%のうち1種または2種を含有し、残部がFe及び不可避的不純物からなる鋼板であることを特徴とする請求項1に記載の高速曲げ変形時のエネルギ吸収量の高い衝突補強部品。
- 鋼板が、重量比で、B:0.0003〜0.003%を含有する鋼板であることを特徴とする請求項2に記載の高速曲げ変形時のエネルギ吸収量の高い衝突補強部品。
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-
2003
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