JP2005145799A - ゼオライトの製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】アンモニウムイオン類やアミン類等を有機結晶化調整剤として用いるゼオライトの合成において、有機結晶化調整剤の削減及び結晶化反応の促進が可能な水熱合成法を提供する。
【解決手段】アンモニウムイオン類やアミン類等の有機結晶化調整剤を使用するケイ酸塩鉱物ゼオライトの合成において、従来、原料の混合生成に用いられていたイオン交換水又は蒸留水に替えて、ナトリウムやカリウム等のアルカリ金属塩を電解質として電解して生成したpH10以上の強アルカリ性電解水を用いる、水熱合成によるゼオライトの製造方法。
【効果】製造に要する結晶化時間の短縮と結晶構造の制御を行なうことができる。また、アンモニウムイオン類やアミン類の有機結晶化調整剤を削減でき、人体及び環境に優しい水熱合成法を提供する。
【選択図】なし

Description

本発明は、ゼオライトの製造法に関するものであり、有機結晶化調整剤の使用削減及び結晶化反応の促進を可能としたゼオライトの製造方法に関するものである。更に詳しくは、アルカリ金属塩を電解質とした水溶液を電気分解し、陰極側で得られるpH10以上の強アルカリ性電解水を使用して有機結晶化調整剤の使用削減及び結晶化反応の促進を可能としたゼオライトの製造方法に関するものである。
本発明は、例えば、触媒担体、吸着剤、乾燥剤、脱臭剤、充填剤等として実用化され、例えば、種々の金属を担持させることにより、主に石油化学工業の分野等の触媒として利用され、また、将来有望な環境改善材料、例えば、排水中の窒素化合物又は放射性排水中の放射性物質等の吸着除去剤としても注目されている、ケイ酸化合物のゼオライトの工業的生産の技術分野において、従来法で使用されている有機結晶化調整剤のアミン類などの有機塩基はきわめて有害であり、その取り扱いや、廃液処理に大きな問題があったことを踏まえ、本発明は、この有機結晶化調整剤の使用削減を可能とする新しいゼオライトの合成技術を提供するものとして有用である。
このように、本発明は、ゼオライト合成プロセスにおける有機結晶化調整剤の使用削減により、アンモニウムイオン等又はアミン等の有害物が排出するのを抑えることができる、環境にやさしいゼオライトの製造方法を提供するものとして有用である。
ゼオライトは、アルミノケイ酸塩質の結晶材料であり、結晶中に微細な細孔を持つことを特徴としている。この細孔が、ゼオライトの様々な機能の源となっている。例えば、空気中の酸素と窒素を分離する分子篩機能はゼオライトの細孔に基づくものであり、また、原油から高オクタン価のガソリンを生成させる触媒機能は、ゼオライトの細孔の固体酸性及び形状選択性に基づくものである。これら以外にも、洗剤用のビルダーではイオン交換性、肥料では吸着除放性等の機能が利用されている。更に、環境問題の高まりの中で、環境改善材料としてもゼオライトが注目されており、工場や自動車排ガスの浄化触媒に優れた機能を発揮し、悪臭除去等優れた吸着性を利用した用途が展開されている。このように、広く用途が展開されているゼオライトには、天然物として、また人工物として数多くの種類のものが知られている。
従来、ゼオライトの製造方法には、無機材料の水系原料混合液を、高圧加熱処理して結晶化させることよりなる「水熱合成法」が知られている。また、水熱合成法によるゼオライトの製造において、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド等の嵩高い有機塩基の存在下に反応を進行させることにより、有機塩基を取り巻くようにアルミノケイ酸塩骨格が組み立てられて、ゼオライトが製造されることは良く知られている。 例えば、先行技術文献では、有機ケイ素化合物をテトラメチルアンモニウムヒドロキシド等の鋳型化合物の存在下に100〜300℃の範囲の温度で水熱合成することによりペンタシル構造を有する結晶性シリカ多形体が製造されている(特許文献1)。
また、他の先行文献では、テトラエチルアンモニウム水酸化物等の4級アンモニウムイオンと反応性シリカを含むpH10〜14の混合液を、水熱合成することによりシリカライトが製造されている(特許文献2)。更に、他の先行文献では、有機結晶化調整剤と酸化ケイ素成分とを含むアルカリ性の無機材料混合液から析出した微粒子を分離した後、この微粒子を加熱して結晶化させることによりシリカライト−1が製造されているが、原料は、シリカ源、水、有機結晶化調整剤からなり、シリカ源には二酸化珪素、水には蒸留水又はイオン交換水が用いられる。そして、有機結晶化調整剤には、アンモニウムイオン類、アミン類等の有機塩基が挙げられ、テトラ−n−プロピルアンモニウムヒドロキシド:(C37)4N・OH(TPAOH)等が用いられている(特許文献3)。
有機結晶化調整剤には、既存のゼオライトの合成時間を短縮し、天然には実在しない新規の化合物合成を可能にする作用を有し、ゼオライト製造における有用な原材料の一つである。しかし、有機結晶化調整剤を用いるゼオライトの合成法は、ゼオライト合成の開発及び発展に大きな貢献をしている有用な製造方法ではあるが、アンモニウムイオン類又はアミン類等の有機塩基は、極めて有害で、合成過程での取り扱いや廃液処理工程において、人体の健康被害や環境負荷の増大が発生するばかりか、負荷の減少処理に必要な薬品等に基づくコスト高の問題点があった。そのため、有機結晶化調整剤を使用したゼオライトの合成方法の更なる開発と発展には、有機結晶化調整剤の使用量の削減及び新たな材料への転換が課題となっている。
特開昭59−164617号公報 特開昭54−72795号公報 特開平9−40417号公報
このような状況の中で、本発明者らは、上記従来技術に鑑みて、簡単な製造プロセスにより環境問題が解決できると共に、ゼオライトを効率良く製造することができるゼオライトの新しい製造方法を開発することを目標にして、鋭意研究を積み重ねた結果、アルカリ金属塩を電解質にした水溶液を電気分解し、陰極側で得られるpH10以上の強アルカリ性電解水を使用することにより、人体の健康被害や環境問題を解決し得るとともに、効率良くゼオライトを製造し得ることを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明の目的は、シリカライト−1等のゼオライト合成に用いられている、アンモニウムイオン類、アミン類等の有機結晶化調整剤の使用量を削減することができるゼオライトの製造方法を提供するものである。
また、本発明の目的は、人体への健康被害がなく、周囲環境への環境負荷低減に貢献することができるゼオライトの製造方法を提供することにある。
また、本発明の目的は、結晶化の促進効果を有ることにより、製造時間を短縮することができるゼオライトの製造方法を提供することにある。
更に、本発明の目的は、ゼオライトの結晶構造形成に原子間の距離、角度に変化を生じさせ、材料構造の多様性の可能性を広げるゼオライトの製造方法を提供することにある。
上記課題を解決するための本発明は、以下の技術的手段から構成される。
(1)有機結晶化調整剤の使用削減を可能とするゼオライトの合成方法であって、シリカ源、水、有機結晶化調整剤の各原料を混合し、水熱合成によりケイ酸塩鉱物のゼオライトを合成する工程において、上記水の少なくとも一部にアルカリ性電解水を用いることを特徴とするゼオライトの製造方法。
(2)アルカリ性電解水が、アルカリ金属塩又は水酸化物を電解質とした水溶液を電気分解し、陰極側で得られるpH10以上の強アルカリ性電解水である、(1)に記載のゼオライトの製造方法。
(3)電解質として用いるアルカリ金属塩が、ナトリウム塩又はカリウム塩である、(2)に記載のゼオライトの製造方法。
(4)電解質が、塩化ナトリウム又は塩化カリウムである、(3)に記載のゼオライトの製造方法。
(5)電解質が、水酸化ナトリウム又は水酸化カリウムである、(2)に記載の製造方法。
(6)有機結晶化調整剤が、脂肪族鎖状アンモニウムイオン、例えば、モノ、ジ、トリ及び/又はテトラアルキルアンモニウムイオン(アルキル基は、メチル、エチル、プロピル、ブチル)の少なくとも1種以上から選ばれる、(1)に記載のゼオライトの製造方法。
(7)シリカ源が、二酸化ケイ素、コロイダルシリカ(二酸化ケイ素の水系分散体)、有機アルコキシド(TEOS、TMOS)、カボジルに代表されるヒュームドシリカの少なくとも1種以上から選ばれる、(1)に記載のゼオライトの製造方法。
(8)ゼオライトが、シリカライト−1である、(1)に記載のゼオライトの製造方法。
(9)シリカ源、水、有機結晶化調整剤の各原料を混合し、水熱合成によりケイ酸塩鉱物のゼオライトを製造する方法において、上記水の少なくとも一部に、アルカリ性電解水を用いることにより、有機結晶化調整剤の使用量を削減することを特徴とする、ゼオライト合成プロセスにおける有機結晶化調整剤の削減方法。
(10)アルカリ性電解水が、アルカリ金属塩を電解質とした水溶液を電気分解し、陰極側で得られるpH10以上の強アルカリ性電解水である、(9)に記載のゼオライト合成プロセスにおける有機結晶化調整剤の削減方法。
次に、本発明について更に詳細に説明する。
本発明は、ゼオライトの水熱合成において、アルカリ性電解水を使用することを特徴を有するものであり、例えば、アルカリ性電解水として、ナトリウム、カリウムなどのアルカリ金属の塩化物を電解質として電気分解し、得られたpH10以上の強アルカリ性電解水を使用し、シリカライト−1等のゼオライト合成することにより、有害なアンモニウムイオン類、アミン類等の有機結晶化調整剤の使用量を削減することができる。
本発明のゼオライトの製造に当たっては、従来の水熱合成法を適用することができ、原料の組成や温度等の水熱条件を変えることにより、ゼオライトを構成する三次元結晶構造を目的の用途に相応しい形態にすることができるが、その反応条件は、従来のゼオライトの製造条件が適用することができ、通常は、80〜250℃の温度範囲、好ましくは、180〜200℃で、3〜200時間の反応時間の範囲、好ましくは、24〜80時間内で反応を遂行することによって本発明のゼオライトが得られる。
次に、本発明の、原料、製造工程等について更に説明する。
本発明の、アルカリ電解水とは、例えば、ナトリウム濃度約500mg/L程度のアルカリ水であり、pH約10以上を呈する。更に具体的には、例えば、塩化ナトリウム濃度約0.1%程度の水溶液を、二枚の電極版と中央に隔膜を有する隔膜式電解層により電解を行い、陰極側に生成した水溶液である。電解質としては、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属の塩化物又は水酸化物が好ましくは用いられ、電解質濃度、電解電圧、電流、被電解液の流量等の電解条件は、ゼオライトの製造に適したアルカリ性電解水の仕様に応じて決められるものであるが、電解質濃度は、0.01〜0.05モル/L、電解電圧は3〜20V、電流2〜10A/cmの範囲の条件で、通常は電解が行われる。アルカリ性電解水の製造には、通常の有隔膜装置が使用されるのが一般的であり、2室型有隔膜電解槽、2隔膜3槽型電解槽等の何れの有隔膜装置でも使用が可能である。
本発明のゼオライトの製造に用いられる、シリカ源としては、二酸化ケイ素、コロイダルシリカ(二酸化ケイ素の水系分散体)、有機アルコキシド(TEOS、TM0S)、カボジルに代表されるヒュームドシリカ等が例示される。何れのシリカ源を使用しても、本発明のゼオライトが製造できるが、その中でも、特に、二酸化ケイ素が好ましい。
また、本発明の有機結晶化調整剤としては、アンモニウムイオン類、アミン類等で、結晶調整機能を有する化合物であれば、例外なく使用されるが、例えば、脂肪族鎖状アンモニウムイオン、例えば、モノ、ジ、トリ及び/又はテトラアルキルアンモニウムイオン(アルキル基は、メチル、エチル、プロピル、ブチル)が例示され、その中でも、特に、テトラ−n−プロピルアンモニウムヒドロキシドが好ましい。従来、ゼオライトの水熱合成法における有機結晶化調整剤は、ケイ素源となるケイ素1モルに対し約0.03〜約0.5モルを必要とされていた。一方、本発明においては、製造するゼオライトの種類等に応じて有機結晶化調整剤の使用量は異なるが、ケイ素1モルに対し、約0.18〜約0.27モルの範囲の有機結晶化調整剤を用いて、ゼオライトの水熱合成を遂行することができ、本発明の有機結晶化調整剤の使用量は、従来法の、約50〜約75%の使用量で良く、人体及び環境に有害なアミン類、アンモニウムイオン類等を約25〜約50%削減することができることになる。
例えば、本発明の実施例における実験結果によれば、有機結晶化調整剤を、従来法の50%削減して製造したゼオライト(図5)は、同じ削減率で従来法により製造したゼオライト(図6)と対比すると、本発明により製造したゼオライトの方が、結晶性において優れていることが明らかである。このように、本発明の、アルカリ性電解水を使用した方法が、有機結晶化調整剤の削減効果を有していることが分かる。
また、シリカ源に対する水の割合は、ケイ素1モルに対し30〜40モルの範囲が好ましい。
こうして調製された原料反応混合物には、得られるゼオライトの耐熱性、触媒としての反応選択性等の観点から、ホウ素、ガリウム、チタン、鉄、亜鉛、クロム、錫等の元素をケイ素に対して、3〜5wt%の範囲で添加することにより、生成するゼオライトの特性を好ましく変換することができる。
本発明により、(1)アルカリ性電解水を用いることにより、有機結晶化調整剤の使用量を削減した条件下で、結晶化の促進効果が現われる、(2)代表的な高シリカゼオライトで、触媒担体、吸着剤、脱臭剤、充填剤の材料として用いられている、シリカライト−1が有機結晶化調整剤の削減した条件下で容易に製造できる、(3)人体及び環境に有害な、アンモニウムイオン類、アミン類等の有機結晶化調整剤を、アルカリ性電解水の使用により、削減することができるので、人体の健康被害及び周囲環境への環境負荷を低減することに貢献できる、(4)アルカリ性電解水を用いることにより、シリカライト−1等のゼオライトの結晶構造形成に、原子間の距離、角度に変化を生じさせることが期待され、単に合成時間の短縮化だけではなく、材料構造の多様性の可能性を広げる新しい合成方法を提供することができる、という格別の効果が奏される。
次に、本発明のゼオライトの製造方法を実施例に基づいて具体的に説明するが、本発明は、以下の実施例によって何ら限定されるものではない。
以下、本発明による、シリカライト−1の製造例について説明する。
(1)製造原料
シリカライト−1の製造原料には次の3点を用いた。
1.シリカ源 : 二酸化ケイ素(SiO:商品名CATALOID SI−30(触媒化成工業株式会社製)純度30.5%)
2.水 : 塩化ナトリウム水溶液の隔膜電解において、陰極側で得られるpH10以上の強アルカリ性電解水
3.有機結晶化調整剤 : テトラ−n−プロピルアンモニウムヒドロキシド (C)N・OH(以下、TPAOHとも言う。)
4.沸化水素:HF
これらの4点の原料混合比は、シリカ源1molに対して、水34.35mol、テトラ−n−プロピルアンモニウムヒドロキシド0.36mol、沸化水素0.39molであった。
実施例で使用した強アルカリ性電解水は、塩化ナトリウム濃度0.1%程度の水溶液(原水は、イオン交換水、軟水化処理されたものが良い。)を、二枚の電極板との中間に隔膜を構成する隔膜式電解槽において、電気分解を行なった結果、陰極側に生成された水溶液であり、実施例では、強アルカリ性電解水は、pH12.1、ナトリウム濃度は約500mg/Lであった。
なお、電解質には、ナトリウムやカリウム等のアルカリ金属の塩化物を用いるのが望ましく、電解質濃度0.1〜0.2%の塩化ナトリウムを含んだ溶液を電気分解して生成した電解水を、本発明のゼオライトを製造に利用するのが更に望ましい。電解質濃度、電解の電圧、電流、被電解液の流量などの電解条件は、目的の合成に必要とする強アルカリ性電解水の仕様に応じて決められる。
(2)製造方法
上記の原料の混合方法として、まず、強アルカリ性電解水にシリカ源の二酸化ケイ素を溶解させた。次に、この溶液に、テトラ−n−プロピルアンモニウムヒドロキシド(TPAOH)を混合し、更に、沸化水素を混合してゲル状の合成原料を生成させた。
この合成原料を、テフロン(登録商標)製容器に入れてオートクレーブに収めて、雰囲気温度200℃の下に通常80時間置く方法を用いて、有害なテトラ−n−プロピルアンモニウムヒドロキシドの削減と強アルカリ性電解水の結晶化促進効果を測定するために、本実施例では、結晶化途中段階の水熱合成24時間において、従来の水を使用した場合とその結晶化進行度合いを比較した。
加熱終了後、合成物を容器から取り出し、蒸留水又はイオン交換水で洗浄ろ過した後、乾燥させることによりシリカライト−1を得た。
生成したシリカライト−1を、アルカリ性電解水を使用した場合(実施例)と、イオン交換水を使用した場合(比較例)とで、ゼオライト結晶化の進行度合いを比較、検討した。即ち、テトラ−n−プロピルアンモニウムヒドロキシド(TPAOH)の従来の添加量から、25%、50%及び75%削減した量の有機結晶化調整剤の存在下で、アルカリ性電解水を使用したシリーズ(実施例)、及びイオン交換水を使用したシリーズ(比較例)において同様の実験を行い、各反応生成物を比較検討した。
(3)分析装置
イオン交換水及び電解水の水素イオン濃度(pH)はメトラートレド製MP−125により、イオン交換水及び電解水中のNaはICP発光分光分析により化学分析を行った。粉末X線回折パターンは、マックサイエンス社MXP18を使用し、CuKα線を用いて、0.02°間隔のステップスキャンにより得た。化合物の形状判定には、走査型電子顕微鏡(SEM)を用いた。
(4)試験結果
実施例及び比較例の粉末X線回折測定パターンを図1〜8に示す。テトラ−n−プロピルアンモニウムヒドロキシドの添加量を50パ−セント削減した場合、(図5、図6)イオン交換水を用いる従来法に比べ、強アルカリ水では、結晶化が促進されている。なお、図1〜8中の各所に見られる鋭いピークは結晶面を表す。結晶構造が出来ていないと、ピークが現れず滑らかな曲線となる。
また、図9〜16に示す走査電子顕微鏡SEM画像の観察においても、従来のイオン交換水を用いる方法では、実施例に比べ、シリカライト−1の直方体の結晶構造形成の進行が遅い。SEM画像の比較において、テトラ−n−プロピルアンモニウムヒドロキシド削減率25%の図11と図12では、結晶化した直方体のシリカライト−1結晶体に対する非晶質状のパウダー形状が、従来の方法の方がその割合が大きい。なお、走査電子顕微鏡画像における、パウダー状の形状は、粉末X線回折測定パターンにおける非晶質領域を示す。
以上説明したごとく、X線回折測定パターン及び走査電子顕微鏡SEM画像により、各合成物の結晶度及び構造を判断し、時間の比較を行った結果、従来の蒸留水又はイオン交換水からなる強アルカリ性電解水を用いることにより、水熱合成24時間において、テトラ−n−プロピルアンモニウムヒドロキシドの添加量を50%削減した場合、結晶化度の進展がイオン交換水より優位であることが示された。これにより、本発明のゼオライトの製造方法では、有機結晶化調整剤の添加量を削減することができ、更には、水熱反応によるゼオライトの製造反応を促進し、効率的により短時間で遂行できることが明らかとなった。
以上詳述したように、本発明は、シリカ源、アルカリ性電解水、有機結晶化調整剤を混合して調製した混合液を、水熱合成することにより、有機結晶化調整剤の添加量の削減及び結晶化反応の促進を可能としたゼオライトの製造方法に係るものであり、本発明により、従来用いられてきた有機結晶化調整剤の使用量を削減してゼオライトを合成することができる。本発明のゼオライトの製造方法は、従来の有機結晶化調整剤を多量に使用するゼオライトの製造方法よりも、結晶化の促進効果において優れている利点を有している。また、本発明の方法によれば、代表的な高シリカゼオライトで、触媒担体等として優れた性能を有するシリカライト−1を容易に製造することを可能とするものであって、有害な、アンモニウムイオン類、アミン類等の有機結晶化調整剤を削減することができるので、人体の健康障害及び周囲環境への環境負荷を低減することに貢献する。また、シリカライト−1等のゼオライトの結晶構造形成に、原子間の距離、角度に変化を生じさせることにより新たな構造のゼオライトの製造、又は新たな用途の開発への発展が期待され、単に合成時間の短縮化だけではなく、材料構造の多様性の可能性を広げる新しい合成方法を提供するものであって、産業上の利用価値はきわめて高い。
TPAOHを従来方法と同様の量で添加し、イオン交換水を使用して製造したシリカライト−1のXRD測定結果である。 TPAOHを従来方法と同様の量で添加し、強アルカリ性電解水を使用して製造したシリカライト−1のXRD測定結果である。 TPAOHを従来方法の25%削減して添加し、強イオン交換水を使用して製造した、シリカライト−1のXRD測定結果である。 TPAOHを従来方法の25%削減した量で添加し、強アルカリ性電解水を使用して製造したシリカライト−1のXRD測定結果である。 TPAOHを従来方法の50%削減して添加し、イオン交換水を使用して製造した、シリカライト−1のXRD測定結果である。 TPAOHを従来方法の50%削減して添加し、強アルカリ性電解水を使用して製造した、シリカライト−1のXRD測定結果である。 TPAOHを従来方法の75%削減して添加し、イオン交換水を使用して製造した、シリカライト−1のXRD測定結果である。 TPAOHを従来方法の75%削減して添加し、強アルカリ性電解水を使用して製造した、シリカライト−1のXRD測定結果である。 TPAOHを従来方法と同様の量で添加し、イオン交換水を使用して製造したシリカライト−1のSEM観察結果である。 TPAOHを従来方法と同様の量で添加し、強アルカリ性電解水を使用して製造したシリカライト−1のSEM観察結果である。 TPAOHを従来方法の25%削減した量で添加し、イオン交換水を使用して製造したシリカライト−1のSEM観察結果である。 TPAOHを従来方法の25%削減した量で添加し、強アルカリ性電解水を使用して製造したシリカライト−1のSEM観察結果である。 TPAOHを従来方法の50%削減した量で添加し、イオン交換水を使用して製造したシリカライト−1のSEM観察結果である。 TPAOHを従来方法の50%削減した量で添加し、強アルカリ性電解水を使用して製造したシリカライト−1のSEM観察結果である。 TPAOHを従来方法の75%削減した量で添加し、イオン交換水を使用して製造したシリカライト−1のSEM観察結果である。 TPAOHを従来方法の75%削減した量で添加し、強アルカリ性電解水を使用して製造したシリカライト−1のSEM観察結果である。

Claims (10)

  1. 有機結晶化調整剤の使用削減を可能とするゼオライトの合成方法であって、シリカ源、水、有機結晶化調整剤の各原料を混合し、水熱合成によりケイ酸塩鉱物のゼオライトを合成する工程において、上記水の少なくとも一部にアルカリ性電解水を用いることを特徴とするゼオライトの製造方法。
  2. アルカリ性電解水が、アルカリ金属塩又は水酸化物を電解質とした水溶液を電気分解し、陰極側で得られるpH10以上の強アルカリ性電解水である、請求項1に記載のゼオライトの製造方法。
  3. 電解質として用いるアルカリ金属塩が、ナトリウム塩又はカリウム塩である、請求項2に記載のゼオライトの製造方法。
  4. 電解質が、塩化ナトリウム又は塩化カリウムである、請求項3に記載のゼオライトの製造方法。
  5. 電解質が、水酸化ナトリウム又は水酸化カリウムである、請求項2に記載の製造方法。
  6. 有機結晶化調整剤が、脂肪族鎖状アンモニウムイオンである、請求項1に記載のゼオライトの製造方法。
  7. シリカ源が、二酸化ケイ素、コロイダルシリカ(二酸化ケイ素の水系分散体)、有機アルコキシド(TEOS、TMOS)、カボジルに代表されるヒュームドシリカの少なくとも1種以上から選ばれる、請求項1に記載のゼオライトの製造方法。
  8. ゼオライトが、シリカライト−1である、請求項1に記載のゼオライトの製造方法。
  9. シリカ源、水、有機結晶化調整剤の各原料を混合し、水熱合成によりケイ酸塩鉱物のゼオライトを製造する方法において、上記水の少なくとも一部に、アルカリ性電解水を用いることにより、有機結晶化調整剤の使用量を削減することを特徴とする、ゼオライト合成プロセスにおける有機結晶化調整剤の削減方法。
  10. アルカリ性電解水が、アルカリ金属塩を電解質とした水溶液を電気分解し、陰極側で得られるpH10以上の強アルカリ性電解水である、請求項9に記載のゼオライト合成プロセスにおける有機結晶化調整剤の削減方法。
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