JP2005144871A - ポリプロピレン系樹脂積層発泡シートおよび成形体 - Google Patents

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Abstract

【課題】
本発明の目的は、簡便なプロセスにより、軽量性、耐熱性、剛性、断熱性、耐寒脆性に優れたポリプロピレン系樹脂積層発泡シートを提供することにある。
【解決手段】
密度100〜500kg/m3、厚さ1〜5mmのポリプロピレン系樹脂押出発泡シートに非発泡層を積層してなるポリプロピレン系樹脂積層発泡シートであって、前記非発泡層を、共役ジエン化合物を主体とする重合体を水素添加してなる水添ジエン系重合体ゴム1〜30重量部を含有するポリプロピレン系樹脂組成物とすることにより、上記特性を有するポリプロピレン系樹脂積層発泡シートが得られる。
【選択図】 なし



Description

本発明は、ポリプロピレン系樹脂積層発泡シートに関する。更に詳しくは、軽量性、耐熱性、断熱性、剛性および耐寒脆性に優れることから、食品容器用途に好適なポリプロピレン系樹脂積層発泡シートに関する。
熱可塑性樹脂からなる発泡シートは、一般に軽量で、断熱性や外部応力への緩衝性が良好であり、また真空成形などの加熱二次成形により容易に成形体を得ることができるため、ポリスチレン系樹脂やポリエチレン系樹脂を中心に、緩衝材や食品容器、断熱材、自動車用部材などの用途で幅広く利用されている。
しかしながら、食品容器などに広く用いられているポリスチレン系樹脂発泡シートは、基材のポリスチレン系樹脂の性質上耐熱性や耐油性に劣る欠点を有している。
一方、耐熱性や耐油性に優れたポリプロピレン系樹脂は、溶融時の粘度および抗張力が低いため押出発泡シートをうることが困難とされていたが、近年、ポリプロピレン系樹脂に放射線を照射することにより長鎖分岐を導入せしめた樹脂を使用する方法(例えば、特許文献1)やポリプロピレン系樹脂を共役ジエン化合物およびラジカル重合開始剤との反応により改質された樹脂を使用する方法(例えば、特許文献2)などにより、発泡シートを製造しうることが見出された。
しかしながら、ポリプロピレン系樹脂は、低温での耐衝撃性、すなわち耐寒脆性に劣る為、冷凍食品容器に用いられた場合、輸送時または調理時の落下の衝撃で容器が破損しやすいという問題があった。
このような耐寒脆性を向上させる方法として、ポリプロピレン系樹脂発泡体に特定のアイゾット衝撃値を有するポリオレフィン系樹脂からなる樹脂層を積層する方法(特許文献3参照)がある。しかしながら、樹脂層にポリエチレンを多く含有させるために接着層を設ける必要があり、製造方法が煩雑になる他、積層発泡シートの重量が増加する問題があった。
特許第2521388号公報 特開平11−228726 特開2002−59521
本発明の目的は、接着層を使用しない簡便なプロセスにより、非発泡層の接着性および耐寒脆性に優れたポリプロピレン系樹脂積層発泡シートを提供することにある。
本発明者は、かかる課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、共役ジエン化合物を主体とする重合体を水素添加してなる水添ジエン系重合体ゴムを含有するポリプロピレン系樹脂からなる非発泡層を、ポリプロピレン系樹脂押出発泡シートに積層することにより、非発泡層の接着性および耐寒脆性を改善することができることを見出し、本発明に至った。
すなわち、本発明は、
密度100〜500kg/m3、厚さ1〜5mmのポリプロピレン系樹脂押出発泡シートに非発泡層を積層してなるポリプロピレン系樹脂積層発泡シートであって、非発泡層が共役ジエン化合物を主体とする重合体を水素添加してなる水添ジエン系重合体ゴムを含有するポリプロピレン系樹脂組成物からなることを特徴とする、ポリプロピレン系樹脂積層発泡シート(請求項1)、
水添ジエン系重合体ゴムが、1,2−ビニル結合および3,4−ビニル結合を30%未満含む共役ジエン化合物を主体とする重合体ブロック(a)および、1,2−ビニル結合および3,4−ビニル結合を30%以上含む共役ジエン化合物を主体とする重合体ブロック(b)とからなるブロック共重合体を水素添加してなるものであることを特徴とする、請求項1記載のポリプロピレン系樹脂積層発泡シート(請求項2)、
非発泡層を構成するポリプロピレン系樹脂組成物中の水添ジエン系重合体ゴム含有量が、1〜30重量部であることを特徴とする、請求項1または2に記載のポリプロピレン系樹脂積層発泡シート(請求項3)、
ポリプロピレン系樹脂押出発泡シートが、前記水添ジエン系重合体ゴムを含有するポリプロピレン系樹脂組成物からなることを特徴とする、請求項1または2に記載のポリプロピレン系樹脂発泡シート(請求項4)、
ポリプロピレン系樹脂押出発泡シートを構成するポリプロピレン系樹脂組成物中の水添ジエン系重合体ゴム含有量が、1〜30重量部であることを特徴とする、請求項1〜4のいずれかに記載のポリプロピレン系樹脂積層発泡シート(請求項5)、および
請求項1〜3いずれかに記載のポリプロピレン系樹脂積層発泡シートを加熱成形して得られる成形体(請求項6)に関する。
本発明のポリプロピレン系樹脂積層発泡シートは、接着層を使用しなくとも非発泡層の接着性に優れ、軽量性、耐熱性、剛性、断熱性および耐寒脆性に優れることから、成形体を冷凍食品容器として好適に使用することができる。
本発明のポリプロピレン系樹脂押出積層シートは、ポリプロピレン系樹脂押出発泡シートに、特定の水添ジエン系重合体ゴムを含有するポリプロピレン系樹脂組成物からなる非発泡層を、積層したものである。
本発明においては、前記非発泡層を形成するポリプロピレン系樹脂組成物に水添ジエン系重合体ゴムを含有させることにより、ポリプロピレン系樹脂積層発泡シートの耐寒脆性が向上する。
本発明における非発泡層に使用されるポリプロピレン系樹脂としては、プロピレンの単独重合体、または、他のα−オレフィンとのブロック共重合体およびランダム共重合体であって、結晶性の重合体があげられる。プロピレンの共重合体としては、プロピレンを75重量%以上、特に90重量%以上含有しているものが、ポリプロピレン系樹脂の特徴である結晶性、剛性、耐薬品性などが保持されている点で好ましい。共重合可能なα−オレフィンとしては、エチレン、ブテン−1、イソブテン、ペンテン−1、3−メチル−ブテン−1、ヘキセン−1、4−メチル−ペンテン−1、3,4−ジメチル−ブテン−1、ヘプテン−1、3−メチル−ヘキセン−1、オクテン−1、デセン−1などの1種または2種以上が挙げられる。これらのうち、エチレン、ブテン−1が安価という点で好ましい。
本発明における非発泡層に使用されるポリプロピレン系樹脂のメルトフローレートとしては、0.5〜12g/10分であることが、ポリプロピレン系樹脂押出発泡シートへの積層が容易という点で好ましい。なお、本発明でのメルトフローレート(MFR)は、ASTM D1238に準拠し、230℃および2.16kg荷重の条件で測定した値である。
本発明において使用される水添ジエン系重合体ゴムは、1,2−ビニル結合および3,4−ビニル結合を30%未満含む共役ジエン化合物を主体とする重合体ブロック(a)および、1,2−ビニル結合および3,4−ビニル結合を30%以上含む共役ジエン化合物を主体とする重合体ブロック(b)とからなるブロック共重合体を水素添加してなるものが好ましい。
水添ジエン系重合体ゴムを構成する共役ジエン化合物の具体例としては、例えば、ブタジエン、イソプレン、ピペリレン、2,3−ジメチルブタジエン、1,1,4,4,−テトラメチルブタジエンなどがあげられ、これらは単独または2以上を組み合わせて用いることができる。これらのうち、ブタジエンおよびイソプレンが、安価で取り扱いやすく、反応が均一に進みやすい点から、特に好ましい。
前記共役ジエン化合物の重合体ブロックには、該共役ジエン化合物および共重合可能な単量体を、例えば、塩化ビニル、塩化ビニリデン、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、アクリルアミド、メタクリルアミド、酢酸ビニル、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、アクリル酸金属塩、メタクリル酸金属塩、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸ステアリルなどのアクリル酸エステル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸ステアリルなどのメタクリル酸エステルなどを共重合併用してもよい。
なお、前記共役ジエン化合物における1,2−ビニル結合および3,4−ビニル結合とは、下記の式(1)または(2)で示される側鎖に二重結合を有する構造である。ここで、R〜Rは、Hまたは炭素数1〜4のアルキル基を示す。
Figure 2005144871
Figure 2005144871
ちなみに、共役ジエン化合物におけるそれ以外の結合としては、次式(3)で示される主鎖に二重結合を有する2,3−ビニル結合がある。
Figure 2005144871
水添ジエン系重合体ゴムを構成する重合体ブロック(a)における水素添加前の共役ジエン化合物の1,2−ビニル結合および3,4−ビニル結合の含有量は、30%未満が好ましく、20%未満がより好ましい。重合体ブロック(a)における水素添加前の1,2−結合および3,4−ビニル結合の含有量が30%以上では、ペレットがブロッキングしやすい傾向がある。
また、水添ジエン系重合体ゴムを構成するブロック(b)における水素添加前の共役ジエン化合物の1,2−ビニル結合および3,4−ビニル結合の含有量は、30%以上が好ましく、60%以上がより好ましい。重合体ブロック(b)における1,2−ビニル結合および3,4−ビニル結合の含有量が30%未満では、得られる積層発泡シートの耐寒脆性が十分でなくなる傾向がある。
本発明での水添ジエン系重合体ゴムにおける重合体ブロック(a)の比率は、重合体ブロック(a)および(b)の合計量を100重量%とした場合、3〜97重量%が好ましく、10〜40重量%がより好ましい。重合体ブロック(a)の比率が3重量%未満では、ペレットがブロッキングしやすい傾向がある。また、重合体ブロック(a)の比率が97重量%を越えると、得られる積層発泡シートの耐寒脆性が劣る場合がある。
本発明で用いられる水添ジエン系重合体ゴムは、1,2−ビニル結合および3,4−ビニル結合を30%未満含む共役ジエンを主体とする重合体ブロック(a)および、1,2−ビニル結合および3,4−ビニル結合を30%以上含む共役ジエンを主体とする重合体ブロック(b)をそれぞれ少なくとも1つ有するブロック共重合体を水素添加してなる水添ジエン系共重合体であり、例えば、a−b、a−b−a、b−a−b−a、a−b−a−b−a、b−a−b−a−b、(a−b)n−X、または(a−b−a)n−X等の構造を有する。なお、式中のaおよびbは、該重合体ブロック(a)および(b)ブロックを表し、nは2〜4の整数、Xはカップリング剤残基を表す。
水添ジエン系重合体ゴムは、上記の構造を有するものであれば、その製造方法を制限するものではない。例えば、特公昭40−23798号公報、特開平3−72512号公報等に記載された方法により、リチウム触媒を用いて不活性溶媒中で合成することができる。水素添加の方法としては、例えば、特公昭42−8704号公報、特公昭43−6636号公報、特開昭60−220147号公報、特開昭61−33132号公報あるいは特開昭62−207303号公報の方法があげられる。その際の共役ジエン化合物に由来する脂肪族二重結合は、少なくとも80%、好ましくは90%以上が水素添加される。また、ビニル芳香族化合物を共重合する場合、ビニル芳香族化合物の20%未満、好ましくは10%未満が水素添加されるように選択される。上記水素添加ブロック共重合体の水素添加率については、赤外線分光分析や核磁気共鳴分析により容易に知ることができる。
該水添ジエン系重合体ゴムの数平均分子量は、3万〜70万が好ましく、8万〜30万がさらに好ましい。数平均分子量が3万未満では、得られる水添ジエン系重合体ゴムペレットがブロッキングしやすく取り扱い作業性が難しくなる他、積層発泡シートの耐寒脆性を得にくい傾向がある。また、数平均分子量が70万を越えると、押出機中でのポリプロピレン系樹脂との混合が困難となり、非発泡層の形成が難しくなる傾向がある。
本発明において使用される水添ジエン系重合体ゴムは、エチレン−プロピレンラバー(以下、「EPR」と称す)などのエラストマーに比較して、耐寒脆性の改良効果が高く、多量の添加を必要としないことから、コストの点で優れる。
本発明の非発泡層を形成するポリプロピレン系樹脂組成物に含有される水添ジエン系重合体ゴム量は、ポリプロピレン系樹脂組成物全体を100重量部に対して1〜30重量部が好ましく、5〜25重量部がより好ましい。水添ジエン系重合体ゴム含有量が1重量部未満では、積層発泡シートの耐寒脆性が十分でない傾向があり、30重量部を超えると耐熱性が低下する場合がある。
本発明における非発泡層の厚みは、軽量性、剛性、耐寒脆性の点から、20〜150μmが好ましく、50〜100μmがより好ましい。非発泡ポリプロピレン系樹脂層の厚みが20μm未満の場合は、発泡シートの耐寒脆性を補強する効果が十分でなくなる傾向がある。非発泡ポリプロピレン系樹脂層の厚みが150μmを超えると、発泡シートの耐寒脆性は向上するものの、軽量性、コストの点で好ましくない。
本発明におけるポリプロピレン系樹脂押出発泡シートの製造に使用されるポリプロピレン系樹脂としては、プロピレンの単独重合体、または、他のα−オレフィンとのブロック共重合体およびランダム共重合体であって、結晶性の重合体が挙げられる。他のα−オレフィンとの共重合体としては、プロピレンを75重量%以上、とくに90重量%以上含有しているものが、ポリプロピレン系樹脂の特徴である結晶性、剛性、耐薬品性などが保持されている点で好ましい。共重合可能なα−オレフィンとしては、エチレン、ブテン−1、イソブテン、ペンテン−1、3−メチル−ブテン−1、ヘキセン−1、4−メチル−ペンテン−1、3,4−ジメチル−ブテン−1、ヘプテン−1、3−メチル−ヘキセン−1、オクテン−1、デセン−1などの1種または2種以上が挙げられる。これらのうち、エチレン、ブテン−1が安価という点で好ましい。
また、本発明におけるポリプロピレン系樹脂押出発泡シートに使用されるポリプロピレン系樹脂に特に制限はないが、製造時の発泡倍率、気泡径および独立気泡径の制御がを容易点から、230℃で測定したメルトテンションが5g以上、さらには7g以上であるのが好ましい。230℃で測定したメルトテンションが5gより小さい場合、発泡時のセル形成において十分な溶融張力がないため、セル膜を形成することが容易でなく、セルが破泡しやすくなる傾向がある。なお、メルトテンション値は、東洋精機製メルトテンションテスターを用い、230℃に加熱したポリプロピレン系樹脂を、口径1mm、長さ10mmおよび流入角45゜のオリフィスから1m/minの速度でストランドを押出し、該押出物を、張力検出用プーリーを通過させて1m/minの速度から加速させながら巻き取り、該押出物が切断される際のテンション値を測定した値である。
このようなポリプロピレン系樹脂としては、例えば、直鎖状のポリプロピレン系樹脂に放射線を照射する方法、または、直鎖状のポリプロピレン系樹脂、ラジカル重合開始剤およびイソプレンやブタジエンなどの共役ジエン化合物を溶融混合する方法などにより得られる、分岐構造あるいは高分子量成分を含有するポリプロピレン系樹脂が挙げられる。これらの中では直鎖状ポリプロピレン樹脂、ラジカル重合開始剤および共役ジエン化合物を溶融混合して得られる改質ポリプロピレン系樹脂が、安価に製造できることから、好ましい。
本発明におけるポリプロピレン系樹脂押出発泡シートの製造に使用されるポリプロピレン系樹脂の形状、大きさには、制限はなく、ペレット状でもよい。
本発明においては、前記ポリプロピレン系樹脂押出発泡シートに、前記非発泡層を形成するポリプロピレン系樹脂組成物に含有される水添ジエン系重合体ゴムを、含有させることにより、ポリプロピレン系樹脂積層発泡シートの耐寒脆性がさらに向上する。
本発明におけるポリプロピレン系樹脂押出発泡シートへの前記水添ジエン系重合体ゴムの含有量は、ポリプロピレン系樹脂組成物を100重量部として場合、1〜30重量部が好ましく、5〜25重量部がより好ましい。ポリプロピレン系樹脂押出発泡シートへの前記水添ジエン系重合体ゴム含有量が1重量部未満では、発泡シートの耐寒脆性が十分でない傾向があり、30重量部を超えると耐熱性が低下する場合がある。
また、本発明の効果を損なわない範囲で、前記ポリプロピレン系樹脂押出発泡シートに使用されるポリプロピレン系樹脂組成物は、前記水添ジエン系重合体ゴム以外に、ポリエチレン、ポリ−1−ブテン、ポリ−4−メチル−1−ペンテン、エチレン−環状オレフィン共重合体などの他の樹脂を含有させてもよい。
本発明におけるポリプロピレン系樹脂押出発泡シートに使用されるポリプロピレン系樹脂組成物に、水添ジエン系重合体ゴム以外の樹脂を含有させる際には、ポリプロピレン系樹脂の含有量は、耐熱性、耐溶剤性などのポリプロピレン系樹脂の特徴が損なわれにくいことから、ポリプロピレン系樹脂組成物を100重量部とした場合、60重量部以上であることが好ましい。
本発明におけるポリプロピレン系樹脂押出発泡シートで使用する発泡剤としては、例えばプロパン、ブタン、イソブタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタンなどの脂肪族炭化水素類、シクロブタン、シクロペンタン、シクロヘキサンなどの脂環式炭化水素類、クロロジフルオロメタン、ジクロロメタン、ジクロロフルオロメタン、ジクロロジフルオロメタン、トリクロロフルオロメタン、クロロエタン、ジクロロトリフルオロエタン、ジクロロテトラフルオロエタン、トリクロロトリフルオロエタン、テトラクロロジフルオロエタン、パーフルオロシクロブタンなどのハロゲン化炭化水素類、窒素、炭酸ガス、空気などの無機ガスがあげられる。これらは単独または2種以上混合して使用してよい。
発泡剤の添加量は、発泡剤の種類および所望の発泡シート密度によって選択されるが、一般に、ポリプロピレン系樹脂組成物100重量部に対して0.5〜10重量部が好ましい。
また、本発明におけるポリプロピレン系樹脂押出発泡シートに使用されるポリプロピレン系樹脂組成物には、発泡シートの気泡径を適宜の大きさにコントロールするために、必要に応じて、例えば重炭酸ソーダとクエン酸の混合物のような化学発泡剤やタルクなどの物理発泡造核剤を併用してもよい。必要に応じて用いられるこれらの添加量は、一般に、ポリプロピレン系樹脂組成物100重量部に対して、0.01〜5重量部が好ましい。
さらに、本発明におけるポリプロピレン系樹脂押出発泡シートに使用されるポリプロピレン系樹脂組成物には、必要に応じて、本発明の効果を損なわない範囲で、酸化防止剤、金属不活性剤、燐系加工安定剤、紫外線吸収剤、紫外線安定剤、蛍光増白剤、金属石鹸、制酸吸着剤などの安定剤、架橋剤、連鎖移動剤、核剤、滑剤、可塑剤、充填材、強化材、顔料、染料、難燃剤、帯電防止剤などの添加剤を使用してもよい。
本発明におけるポリプロピレン系樹脂押出発泡シートの密度は、100〜500kg/m3が好ましく、110〜200kg/m3がより好ましい。ポリプロピレン系樹脂押出発泡シートの密度が、100kg/m3より小さい場合は剛性に劣る傾向があり、500kg/m3より大きい場合には断熱性に劣る傾向がある。
本発明におけるポリプロピレン系樹脂押出発泡シートの厚みは1〜5mmが好ましく、1.3〜2.5mmがより好ましい。ポリプロピレン系樹脂押出発泡シートの厚みが1mmより小さい場合は剛性に劣る傾向があり、5mmより大きい場合には二次成形性に劣る傾向がある。
本発明において、ポリプロピレン系樹脂押出発泡シートに非発泡層を積層する方法に制限はない。例えば、発泡シートを作製した後に、別途作製した非発泡フィルムを加熱または接着剤を用いてラミネートしてもよいし、発泡シート上に直接Tダイから非発泡フィルムを押し出してラミネートしてもよく、さらには、共押出により押出発泡時に非発泡層を同時に形成しても良い。これらのうち、発泡シートを作製した後に、発泡シート上に直接Tダイから非発泡フィルムを押出してラミネートする方法が、簡便で、かつ、押出発泡シートと非発泡層の接着性が良好となりやすいことから好ましい。
本発明における非発泡層は、ポリプロピレン系樹脂を基材とするために、ポリプロピレン系樹脂発泡シートとの接着性が良好であり、ポリエチレン系樹脂を非発泡層とする場合のように、接着層を使用する必要がない。
本発明における発泡シートは、プラグ成形、真空成形、圧空成形などの二次成形性に優れることから、厚みムラの少ない、外観美麗な成形体を得ることができる。二次成形の例としては、プラグ成形、マッチド・モールド成形、ストレート成形、ドレープ成形、プラグアシスト成形、プラグアシスト・リバースドロー成形、エアスリップ成形、スナップバック成形、リバースドロー成形、フリードローイング成形、プラグ・アンド・リッジ成形、リッジ成形などの方法があげられる。なお、前記二次成形は、発泡シートを予備加熱した後に成形するものであるが、予備加熱の際に発泡シートの二次発泡などにより、密度や厚みが変化する場合がある。
次に、本発明を実施例に基づき詳細に説明するが、本発明はかかる実施例に制限されるものではない。
実施例および比較例において、得られた発泡シートに関する各種の評価は、以下の方法により行った。
1)押出発泡シート厚み:幅方向に10点厚みを測定し、平均値を求めた。
2)押出発泡シートの密度:JIS−K6767に準じて測定した。
3)耐寒脆性:積層発泡シートを50×50mmに切り出し、−20℃にて24時間以上冷却した後に、23℃に空調された室内にて3秒以内に、JIS K5400(衝撃変形法試験機B法)にて測定し、JIS K7211に準拠して衝撃強度(J)を求め、以下の基準により評価した。
○:衝撃強度が0.6J以上
×:衝撃強度が0.6J未満
4)非発泡層の接着性:積層発泡シートを540×540mm角に切り出して内寸500×500mmの枠に固定し、雰囲気温度200℃に温度調節した加熱炉に55秒挿入した後、取り出した。加熱後の積層発泡シートの非発泡樹脂層を観察し、以下の基準に従い評価を行った。
○:非発泡樹脂層または積層フィルムの剥離(火膨れ)が認められない。
×:非発泡樹脂層または積層フィルムの剥離(火膨れ)が認められる。
また、実施例及び比較例には、以下の樹脂及びゴムを使用した。
PP−1:プロピレン単独重合体(三井住友ポリオレフィン(株)製、J103WB;メルトフローレート3g/10分)
HDR−1:1,2−および3,4−ビニル結合量12%のブタジエンからなる重合体ブロック(a)40重量%および、1,2−および3,4−ビニル結合量75%のブタジエンからなる重合体ブロック(b)60重量%からなる水添ジエン系重合体ゴム(水素添加率98%、数平均分子量20万)
HDR−2:1,2−および3,4−ビニル結合量12%のブタジエンからなる重合体ブロック(a)30重量%および、1,2−および3,4−ビニル結合量70%のイソプレンからなる重合体ブロック(b)70重量%からなる水添ジエン系重合体ゴム(水素添加率97%、数平均分子量22万)
HDR−3:1,2−および3,4−ビニル結合量11%のブタジエンからなる水添ジエン系重合体ゴム(水素添加率99%、数平均分子量18万)
EPR:エチレン含有量80重量%のエチレン・プロピレン共重合体(三井化学(株)製、タフマーP0680;メルトフローレート0.7g/10分)。
(実施例1)
PP−1・100重量部に対して、ラジカル重合開始剤としてt−ブチルパーオキシベンゾエート0.25重量部を配合し、リボンブレンダーを用いて5分間混合攪拌した。この混合物を、44mmφ二軸押出機(L/D=38)のホッパーから50kg/時間で供給し、途中に設けた導入部より定量ポンプを用いてイソプレンモノマーを0.25Kg/時間の速度で供給し、ストランドを水冷、細断することにより、メルトテンション13.5gの改質ポリプロピレン系樹脂を得た。
得られた改質ポリプロピレン系樹脂85重量部と、水添ジエン重合体ゴムとしてHDR−1を15重量部および気泡核形成剤(三協化成社製、セルマイク417)0.15重量部を、リボンブレンダーで撹拌混合した配合物を115mmφ単軸−150mmφ単軸からなるタンデム型押出機に供給し、シリンダ温度200℃に設定した第1段押出機(115mmφ)にて溶融させた後、発泡剤としてイソリッチブタン(イソブタン85重量%およびノルマルブタン15重量%からなる)を前記樹脂組成物100重量部に対し1.7重量部圧入混合し、シリンダ温度151℃に設定した第2段押出機(150mmφ)中で冷却し、サーキュラーダイ(口径225mm)より大気圧下に吐出し、670mmφの冷却筒にて成形しながら引き取りつつ、内部に空気を吹き付けて延伸・冷却し、これをカッターで2枚に切り分けることにより1050mm幅の押出発泡シートを得た。得られた押出発泡シートの密度は151kg/m3であり、厚さは1.8mmだった。
PP−1・80重量部および水添ジエン重合体ゴムとしてHDR−1を20重量部をリボンブレンダーにて撹拌混合した配合物を、押出ラミネート設備の単軸押出機に供給してTダイからフィルム状に押出し、前記押出発泡シートを繰り出して、2本のロール間で圧着しながら引取ることにより、非発泡層の厚みが100μmの積層発泡シートを得た。得られた積層発泡シートの評価結果を表2に示す。
前記積層発泡シートを、発泡シート用単発成形機(トーコー社製 VAS−66−45T)を用い、上金型を雌型、下金型を雄型に用いたマッチド・モールド成形(金型クリアランス1.5mm)にて容器寸法210mm×180mm×H30mmの角型形状容器を用いた。
(実施例2)
押出発泡シート製造時の原料の配合比を表1のように変更した以外は、実施例1と同様にして、密度154kg/m3、厚み1.8mmの押出発泡シートを得た。さらに、押出ラミネートにおける非発泡層の原料の配合比を表1に変更して非発泡層の厚みを70μmとした以外は、実施例1と同様にして積層発泡シートを得た。その評価結果を表2に示す。
(実施例3)
押出発泡シート製造時の水添ジエンゴム重合体の種類をを表1のように変更した以外は、実施例1と同様にして、密度156kg/m3、厚み1.7mmの押出発泡シートを得た。さらに、押出ラミネートにおける非発泡層の原料の配合比を表1のように変更した以外は、実施例1と同様にして積層発泡シートを得た。その評価結果を表2に示す。
(実施例4)
押出ラミネートにおける非発泡層の原料の配合比を表1に変更した以外は、実施例1と同様にして積層発泡シートを得た。その評価結果を表2に示す。
(比較例1)
実施例1の押出発泡シートについて耐寒脆性評価を行った。その評価結果を表2に示す。
(比較例2)
非発泡層に水添ジエン重合体ゴムを配合しない他は、実施例1と同様にして積層発泡シートを得た。その評価結果を表2に示す。
(比較例3)
非発泡層に、水添ジエン重合体ゴムの代わりにEPRを配合した他は、実施例1と同様にして積層発泡シートを得た。その評価結果を表2に示す。
Figure 2005144871
Figure 2005144871
実施例の積層発泡シートは、特に接着層を設ける必要もなく、非発泡層の接着性は良好であり、耐寒脆性も良好であった。一方、非発泡層を積層しない比較例1や、非発泡層に水添ジエン重合体ゴム成分を含有しない比較例2、さらには水添ジエン系重合体ゴム以外のゴムを使用した比較例3の積層発泡シートは、耐寒脆性に劣るものであった。

Claims (6)

  1. 密度100〜500kg/m3、厚さ1〜5mmのポリプロピレン系樹脂押出発泡シートの非発泡層を積層してなるポリプロピレン系樹脂積層発泡シートであって、非発泡層が、共役ジエン化合物を主体とする重合体を水素添加してなる水添ジエン系重合体ゴムを含有するポリプロピレン系樹脂組成物からなることを特徴とする、ポリプロピレン系樹脂積層発泡シート。
  2. 水添ジエン系重合体ゴムが、1,2−ビニル結合および3,4−ビニル結合を30%未満含む共役ジエン化合物を主体とする重合体ブロック(a)および、1,2−ビニル結合および3,4−ビニル結合を30%以上含む共役ジエン化合物を主体とする重合体ブロック(b)とからなるブロック共重合体を水素添加してなるものであることを特徴とする、請求項1記載のポリプロピレン系樹脂積層発泡シート。
  3. 非発泡層を構成するポリプロピレン系樹脂組成物中の水添ジエン系重合体ゴム含有量が、1〜30重量部であることを特徴とする、請求項1または2に記載のポリプロピレン系樹脂積層発泡シート。
  4. ポリプロピレン系樹脂押出発泡シートが、前記水添ジエン系重合体ゴムを含有するポリプロピレン系樹脂組成物からなることを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載のポリプロピレン系樹脂発泡シート。
  5. ポリプロピレン系樹脂押出発泡シートを構成するポリプロピレン系樹脂組成物中の水添ジエン系重合体ゴム含有量が、1〜30重量部であることを特徴とする、請求項1〜4のいずれかに記載のポリプロピレン系樹脂積層発泡シート。
  6. 請求項1〜5のいずれかに記載のポリプロピレン系樹脂積層発泡シートを加熱成形して得られる成形体。
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