JP2005143343A - 細胞培養装置および細胞培養方法 - Google Patents

細胞培養装置および細胞培養方法 Download PDF

Info

Publication number
JP2005143343A
JP2005143343A JP2003382974A JP2003382974A JP2005143343A JP 2005143343 A JP2005143343 A JP 2005143343A JP 2003382974 A JP2003382974 A JP 2003382974A JP 2003382974 A JP2003382974 A JP 2003382974A JP 2005143343 A JP2005143343 A JP 2005143343A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
cell culture
cells
substrate
membrane body
culture device
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2003382974A
Other languages
English (en)
Inventor
Osamu Suzuki
治 鈴木
Toshio Fukuda
敏男 福田
Fumito Arai
史人 新井
Masanori Nakamura
雅典 中村
Ryutaro Kamijo
竜太郎 上條
Takenobu Katagiri
岳信 片桐
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
JGC Corp
Original Assignee
JGC Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by JGC Corp filed Critical JGC Corp
Priority to JP2003382974A priority Critical patent/JP2005143343A/ja
Publication of JP2005143343A publication Critical patent/JP2005143343A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • Apparatus Associated With Microorganisms And Enzymes (AREA)
  • Micro-Organisms Or Cultivation Processes Thereof (AREA)

Abstract

【課題】 臓器・器官の機能を有する再生組織となるように未分化な細胞の分化を促進する細胞培養装置および細胞培養方法を提供する。
【解決手段】 表面に溝15などの所定の孔が形成された基板11の表面に、細胞を保持する膜体12を接合し、溝15と膜体12とから形成された空隙内の気体をシリンジなどの排気手段で排気して溝15の位置における膜体12を歪ませ、これにより膜体12上に保持された細胞に歪勾配が与えられた条件下で培養を行う。
【選択図】 図1

Description

本発明は、再生組織を構築するための細胞培養装置および培養方法に関する。さらに詳しくは、生体内の環境へ近づけた状態で細胞を培養し、これにより分化を促進して臓器・器官の機能を有する組織を構築し、人体の欠損組織を再生する再生医療用材料、薬理効果を検証するスクリーニング用材料、臓器・器官の機能を研究する研究用材料などを提供するための細胞培養装置および培養方法に関する。
近年、細胞の培養や組織の再構築により臓器・器官の治療を行う再生医療の技術が急速に発展してきている。
この再生医療へのアプローチとして、再生医工学(Tissue Engineering)による技術が注目されている。この技術は、組織の機能を再生するための細胞と、細胞が分化・増殖するための足場(Scaffold)となる担体と、細胞の分化・増殖を制御する成長因子(growth
factor)等を主要な構成要素として組織再生を行うことを基礎としている。
この再生医工学の技術により組織再生を行う一つの手段として、生体内(in vivo)へ
細胞を移植して組織を再生する方法がある。この生体内での再生方法では、患者の組織欠損部分に、移植細胞と、移植細胞を担持する担体と、成長因子とを与えることにより欠損した組織を再生する。
一方、もう一つの手段として、生体外(in vitro)で、担体に捲種した細胞を成長因子の存在下で培養して組織様の構造を形成した後に、患者の体内へこれを移植して組織を再生する方法がある。このように生体外で組織構造を形成する技術は、所望の機能をもつ組織を再生医療用材料として提供する道を開き、さらには薬理効果を検証するスクリーニング用材料、組織の機能を研究する研究用材料等を与えるなど、目的とする機能をもった組織を大量生産することも可能な手段として期待される。
現在、例えば表皮、真皮、軟骨といった器官に適用される比較的小型の組織では、このような生体外での培養技術が提案されており、例えば特許文献1に開示されている、回転する培養室内で細胞培養を行う技術や、あるいは特許文献2等に開示されている、高分子担体を用いた培養技術などが提案されている。
こうした手法を用いた生体外での培養により実際に機能をもった組織が得られており、中には再生医療の実用化レベルへ達している技術もある。
米国特許第5,155,034号明細書 米国特許第5,858,721号明細書
しかしながら、実際に得られているこのような組織は上記したようなごく一部の小型組織のものに限られているのが現状であり、例えば肝臓、膵臓、腎臓といった主要臓器の機能を有する、さらに大型の三次元的な組織を構築するには至っていない。
このような組織を再生するためには、細胞の多様な分化を促進する必要がある。実際の生体内では、細胞に対して、細胞レベルで勾配をもった歪刺激、流体による圧力、せん断刺激などが与えられることによって、与えられた刺激に応じた遺伝子が活性化され、結果
として異なる分化が促進されて組織が形成されることが知られている。しかし現状の細胞培養装置では、細胞を培養する際に、個々の細胞へ細胞レベルで勾配を有する培養条件が与えられた条件下ではなく、個々の細胞に対する環境が均一である条件下で培養を行うのが一般的である。
未分化な細胞を分化させて所望の組織を効率よく再生する技術は再生医療の基本的な要素技術であり、現状では成長因子により分化を促進しているが、細胞培養に供したすべての細胞が分化に至るわけではなく、分化の効率向上が求められている。
本発明は、上記した従来技術の問題点を解決するために為されたものであり、臓器・器官の機能を有する再生組織となるように未分化な細胞の分化を促進する細胞培養装置および細胞培養方法を提供することを目的としている。
本発明の細胞培養装置は、表面に孔が形成された基板と、
前記基板の表面に接合された、細胞を保持する膜体と、
前記孔と膜体とから形成された空隙内の気体を排気して前記孔の位置における膜体を歪ませ、これにより膜体上に保持された細胞に歪勾配を与える排気手段とを備えることを特徴とする。
上記の本発明において、前記孔が複数形成されていることが好ましく、これらの複数の孔の形状がそれぞれ異なることが好ましい。例えば、これらの複数の孔を溝状とし、その短手方向の幅がそれぞれ異なるように形成することができる。また、前記基板の表面を底壁とした容器を形成するように側壁を設け、前記容器内に培地を収容することが好ましい。
上記した装置を用いた本発明の細胞培養方法は、前記膜体上に細胞を保持し、前記孔と膜体とから形成された空隙内の気体を前記排気手段により排気して前記孔の位置における膜体を歪ませ、これにより前記膜体上に保持された細胞に歪勾配が与えられた条件下で培養を行うことを特徴とする。
また、本発明の細胞装置は、前記基板上に、
それぞれ組成が異なる培地が送液される複数の流路と、
前記複数の流路と一方の端部で連通し、該端部から前記各培地を送液することにより幅方向に組成勾配を有する培地の流れを生成する単一流路とが設けられ、
前記単一流路が、前記基板の表面に形成された孔と、前記膜体を介して重なるように配置されていることを特徴とする。
上記の本発明において、前記基板の表面に形成された孔が溝状であり、短手方向の幅がそれぞれ異なるように形成された複数の溝が略並列に配置されるとともに、前記単一流路が、その流れ方向が前記各溝の長手方向と略直交方向となるように配置することが好ましい。また、前記単一流路を形成する溝が表面に設けられた流路形成板が、この溝と、前記基板の表面に形成された孔とが前記膜体を介して重なるように前記基板上に接合されていることが好ましい。
上記した装置を用いた本発明の細胞培養方法は、前記膜体上に細胞を保持し、前記溝と膜体とから形成された空隙内の気体を前記排気手段により排気して前記溝の位置における膜体を歪ませ、これにより前記膜体上に保持された細胞に歪勾配を与えるとともに、
前記複数の流路から、それぞれ組成が異なる培地を前記単一流路へ送液して、前記単一流路に、幅方向に組成勾配を有する培地の流れを生成し、これにより前記膜体上に保持さ
れた細胞に培地の組成勾配が与えられた条件下で培養を行うことを特徴とする。
本発明の細胞培養装置および培養方法によれば、実際に生体内で組織が形成される環境と同じく、細胞に与えられる刺激が細胞レベルで勾配をもった条件下で培養を行っているため、多様な分化が促進され、臓器・器官の少なくとも一部の機能を有する様々な組織を再生、構築することが可能となる。
こうして得られた再生組織は、生体内に包埋して生体内の欠損組織を再生するために用いることができ、細胞組織医薬品、細胞組織医療用具などの再生医療用材料が提供される。
また、in vitroで化合物の薬理効果をスクリーニングするスクリーニング用材料が提供される。
さらに、臓器・器官の機能を研究する研究用材料が提供される。
以下、図面を参照しながら本発明を詳細に説明する。図1は、本発明の一実施形態による細胞培養装置を説明する図、図2は、図1の装置が備えている、培養容器が形成された基板の上面図である。
図1、2に示したように、本実施形態の細胞培養装置10では、培養チップを構成する基板11に、培地17が収容される4つの培養容器(培養皿)14が形成されている。基板11は、例えばポリジメチルシロキサン(PDMS)エラストマーなどのポリマーを材料として作製され、その培養容器14の底側に位置する表面には複数の長尺の溝15、15…が形成され、並列に配置されている。
また、この培養容器14の底面にはこれらの溝15、15…を覆うように膜体12が接合されている。この膜体12もPDMSなどのポリマーからなり、培養を行う細胞は膜体12上に捲種される。
長尺の溝15、15…と膜体12とから形成された空隙の一端は閉止され、その他端にはシリコンチューブ19が接続され、このシリコンチューブ19を介してシリンジ13へ連通している。各培養容器14、14…において溝15、15…と膜体12とから形成されたそれぞれの空隙に接続された4本のシリコンチューブ19、19…は、基板11内に埋設されたジョイント18で一本のシリコンチューブ19に統合されてシリンジ13へ接続される。
溝15、15…と膜体12とから形成された空隙は、シリンジ13を駆動して空隙内を排気することにより減圧される。これによって、膜体12は、溝15の位置において圧力差で溝15の底部側へ引き込まれ、各溝15、15…に沿って歪み、凹状の窪みが形成される。これにより、この位置に保持された細胞には力学的な歪が与えられる。そして、本実施形態では各溝15、15…の短手方向の幅がそれぞれ異なるように形成されているため、膜体12に与えられる歪が各溝15、15…ごとに異なり、その結果として各溝15、15…の位置で細胞に対して与えられる歪も異なっている。これによって、膜体12上に一面に保持された細胞全体として勾配をもった歪が与えられた条件下で培養を行っている。
図3(a)、(b)は、膜体12に保持された細胞にこのような歪勾配が与えられる様
子を説明する図であり、基板11に並列に形成された溝15の長尺方向に対する垂直断面の概略を示している。シリンジ13により排気が行われる前では、図3(a)に示したように、細胞20が保持された膜体12は平坦な状態であるが、シリンジ13により溝15と膜体12とから形成された空隙内の空気を排気すると、図3(b)に示したように、膜体12は溝15の位置において凹状に歪む。これによって、溝15の位置においてこの凹状に歪んだ膜体12上に保持された細胞20には力学的な歪が与えられる。
そして、同図の3つの溝15に示されるように、各溝15、15…はその短手方向の幅がそれぞれ異なっているため、溝15の位置においてこの凹状に歪んだ膜体12上に保持された細胞20に与えられる歪も、各溝15、15…ごとに異なり、全体として細胞20には歪勾配が与えられている。
このようにして与えられた歪み刺激に基づいて、膜体12上に保持された細胞のイオンチャンネルが開放され、細胞内のセカンドメッセンジャーによる情報伝達を介して、結果として与えられた刺激に対応した遺伝子が活性化され、未分化な細胞の分化が促進される。
本実施形態では、上述したように基板11の表面に形成された複数の溝15、15…を並列に配置するとともに、その短手方向の幅をそれぞれ異なるようにして幅に依存した量の歪みによる歪勾配を生成したが、膜体12上の細胞に対して与える歪に勾配をもたせるためには、本実施形態のように溝形状に限定されることはなく、この代わりに、例えば丸形状、四角形状、多角形状、ハニカム形状などのような孔を基板表面に形成してもよい。あらゆる孔形状が公知のリソグラフィー技術により形成可能である。
このような基板表面に形成された孔と膜体とから形成された空隙内の空気を排気することにより当該孔上の位置で膜体を凹状に歪ませて膜体上の細胞に歪を付与する。ここで、「歪勾配」の与え方としては、
(1)単一の孔上における膜体の歪みに沿って、各細胞ごとに異なる歪みが与えられることによる歪勾配
(2)基板表面に形状がそれぞれ異なる複数の孔(本実施形態では溝15の幅)を形成し、この孔を単位として、各孔ごとに細胞に対して異なる歪みが与えられることによる歪勾配
の2通りがある。例えば、図3(b)では、一つの溝15の溝幅に沿って並んだ各細胞への歪が勾配を有するとともに、一つの溝15を単位として、その幅がそれぞれ異なる複数の溝15、15…によって溝15ごとに細胞に与えられる歪が勾配を有している。
このように、単一もしくは複数の孔に基づいて細胞に歪勾配を与えることができるが、孔上の膜体に保持されている細胞に対して、例えば1個もしくは数個単位で細胞に与えられる歪が変化するように、細胞レベルで歪勾配を与えることが必要であり、ここで「勾配」とは一定増加率での増加、一定減少率での減少の際の、一定の変化率に限定されるものではなく、周期的あるいはランダムに細胞へ与えられる歪が変化する際の種々の変化率パターンを含むものである。
基板表面に形成する孔のサイズは、歪勾配により得られる本発明の効果の点から、細胞の種類によっても異なるが、例えば、細胞1個が数μm径の例であれば、細胞が数個並ぶことを想定した数十μm幅から、数十個並ぶことを想定した数百μmから数mm程度までの幅を有することが好ましい。
基板11に形成される溝15の幅は、通常は数十μm〜数mmであり、膜体12の表面には、例えば図3に示したように、骨形成の際におけるリン酸第8カルシウム(OCP)
のような適切な担体21を被覆して、担体上に細胞を接着するようにしてもよい。例えば、骨芽細胞の場合では、そのサイズが約10μm程度であり、一例として、溝15の幅を100μmとして幅方向へ10個の細胞が並ぶようにする。
培養容器14が形成された基板11は、マイクロデバイスにおける公知の技術を利用して作製することができる。以下にその一例として、図1のように基板の表面に短手方向の幅がそれぞれ異なる複数の溝を形成した培養容器の作製について図5〜8を参照しながら説明する。
先ず、シリコンウエハにダイサーで溝を掘り、所定の溝幅および深さの複数の溝が所定間隔で形成されたシリコン鋳型を作製する。図5に示したように、この溝53、53…が形成されたシリコン鋳型51を容器52に嵌め込み、次いで容器52へ硬化剤を混合した未架橋のPDMS54を流し込んで、硬化させることにより型取りする。
図6(a)、(b)に示したように、得られたPDMSの型55には溝53に対応した凸部56が形成されている。次いで、図6(c)に示したようにこの凸部56からドリルで貫通孔57を穿孔し、この貫通孔57にハンダ58を通して凸部56側からこのハンダ58をシリコンチューブ19の端部に挿入しておく。型55の表面は、後でこの型55により形成する基板を剥離し易くするように、親水化処理を施しておく。このシリコンチューブ19と繋いだ型55を4つ作製する。
図7(a)、(b)に示したように、側部59aと底部59bとからなる紙製容器の底部59bに、得られた4つの型55を載置し、それぞれの型55からのシリコンチューブ19をジョイント18へ繋いで1本のチューブとして紙製容器外へ引き出しておく。次いで、PDMS61を紙製容器へ流し込み、硬化させる。
PDMS61を硬化させた後、型55が上側となるように紙製容器ごと裏返してから紙製容器と型55とを取り外し、ハンダ58を抜き出して図8に示した基板11を得る。この基板11表面における型55を取り外した4つの位置に、溝15、15…を覆うようにPDMSの薄膜シート12を貼付して4つの培養容器14を構成する。
基板11、培養容器14および溝15のサイズとしては、本発明の効果が得られる範囲内で特に限定されないが、一例としては、基板の縦横の長さが120mm、高さが25mm、培養容器14の縦横の長さが40mm、側壁16の高さが10mmであり、培養容器14の底面に形成された4本の溝15の溝深さが100μm、短手方向の幅がそれぞれ200μm、300μm、400μm、500μm、溝間隔が1mmのものが上述の方法で作製できる。
また、本発明の細胞装置に用いる基板の作製には、上述したポリジメチルシロキサン(PDMS)を用いることが、密着性がよく微細な隙間のシールが容易であること、透明で蛍光観察可能なこと、タンパクや細胞に対して無害であることなどから好ましいが、この他、他のシリコーン樹脂、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)、ガラスなどが使用可能であり、特に限定されない。
溝15と膜体12とからなる空隙内の気体をシリコンチューブ19などを介して排気する排気手段としては、シリンジなどのポンプが用いられ、本実施形態では、図1に示したように排気制御部として圧力センサ31、圧力センサ31の増幅器32、シリンジ13を駆動するモータ/駆動回路33、PIC34、およびスイッチングレギュレータ35を備え、排気によって膜体12に与えられる歪み量を、圧力をモニタしながら制御している。
この他、溝15と膜体12とからなる空隙内の圧力を制御する具体的な方式としては、DCモータ、ACモータ、超音波モータなどの電動モータとリニアガイドによる駆動、リニアアクチュエータによる駆動、形状記憶合金による駆動、または圧電アクチュエータによる駆動でシリンジの圧力フィードバック制御を行う方式;表示盤を設けた圧力センサを目視してシリンジを所定重量の重りなどで手動調整する方式;ポンプにより自動または手動で圧力制御する方式;マイクロポンプもしくはマイクロシリンジ、マイクロバルブ、マイクロ圧力センサのようなマイクロデバイスをインキュベーションチャンバ内に設けて圧力フィードバック制御を行う方式などが挙げられる。これらと同時に、基板11を光学顕微鏡ステージ上に載置して基板11の上方から対物レンズで細胞をモニタリングしながら圧力制御するようにしてもよい。
本発明の装置による細胞培養は、細胞が膜体12上に接着した後に排気手段で溝15と膜体12からなる空隙内を減圧して膜体12を歪ませ、培地の供給下、インキュベーションチャンバ内で行われる。培養する細胞は、得ようとする組織に応じて適宜選択される。例えば、組織幹細胞およびこれから分化した細胞(前駆細胞、芽細胞など)を用いることができる。
組織幹細胞としては、間葉系幹細胞、肝幹細胞、膵幹細胞、神経幹細胞、上皮幹細胞などを用いることができる。
間葉系幹細胞から分化した細胞としては、線維芽細胞、骨芽細胞、軟骨細胞、内皮細胞、靭帯芽細胞、腱芽細胞、心筋細胞、脂肪細胞、神経細胞、肝細胞などを用いることができる。
この他、皮膚、肝臓、膵臓などの器官に由来する繊維芽細胞など、分化・増殖能をもつあらゆる細胞を目的に応じて用いることができ、これらは必要に応じて組み合わせて用いられる。また、目的に応じて同種自己細胞、同種他家細胞および異種細胞のいずれであってもよく、間質細胞で分化・増殖を支持したり、実質細胞を併用してもよい。
培地は、バッチ式で交換するか、あるいはフレッシュな培地を連続で供給しながら培養を行う。培養条件は細胞の種類等に応じて適宜設定され、通常はpH7.1〜7.4、温度36.5〜37.2℃、CO2濃度4.8〜5.2%の条件下で、24時間〜30日間
培養を行う。
このように、生体内の条件に対応した、歪勾配が与えられた環境下で培養を行っているため、所定の機能を発現するように分化が促進されるとともに、細胞外マトリックスの形成、成長因子の分泌など、細胞自身の組織形成能により自発的に機能をもった組織が形成されていく。すなわち、目的とする組織に応じて最適な歪条件を与えるように制御することで、組織内での異なる分化、異なる増殖速度を誘導することができ、複雑な構造をもった主要臓器などの組織であっても、生体の臓器・器官がもつ機能が発現された組織を構築することができる。
本発明によれば、様々な型の細胞の分化・増殖を制御することができ、臓器・器官の少なくとも一部の機能を有する様々な再生組織を提供することができる。このような組織としては、例えば、心臓弁、心筋、肝臓、膵臓、小腸、腎臓、副腎、膀胱、胃腸管脂肪組織、神経組織、粘膜上皮、内皮、平滑筋、食道、脂肪組織、骨、軟骨、靭帯、皮膚、血管などの循環器系等の少なくとも一部の機能を有する組織を挙げることができるがこれらに限定されるものではない。
図4(a)は、本発明の他の実施形態による細胞培養装置を説明する部分上面図である
。前述した実施形態では、溝が形成された基板表面を底壁とした容器を形成するように側壁が設けられ、この容器内に培地を収容するようにしたが、本実施形態では、基板11上に組成勾配を有する培地の流れを生成する流路が設けられ、細胞に対して歪勾配とともに必要に応じて培地組成の勾配が与えられた条件下で培養するようにしている。
すなわち、図4(a)は基板11上に培地の流路が形成された様子について、基板11の上方からその構成を示したものであり、基板11上には、組成がそれぞれ異なる培地が送液される流路41a、41bおよび41cと、これらの流路と一方の端部で連通する広幅の単一流路42が設けられている。
この広幅の流路42は、その内部を通過する培地の流れが、基板11の表面に並列に形成された長尺の溝15、15・・・の長手方向と直交するように配置されている。図4(b)は、溝15、15・・・の長手方向と直交する面による部分断面図、図4(c)は、流路42の流路と直交する面による部分断面図である。このように、単一流路42は、流路を形成する溝が表面に設けられた流路形成板44を、膜体12を介して基板11と接合することにより形成されている。この流路形成板44は、PDMSなどのポリマーで形成され、流路41a、41bおよび41cと単一流路42とを形成する溝は、マイクロデバイスの作製方法として従来知られている技術により作製可能である。
流路41a、41bおよび41cは、それぞれシリンジポンプに連通し、組成がそれぞれ異なる培地が供給される。例えば、培地内における成長因子の濃度、種類またはこれらの両方が異なるように調製されたそれぞれの培地が各流路41a、41bおよび41cから供給され、流路42へ流入する。このような成長因子としては、例えばトンラスフォーミング成長因子(TGF)、骨形成因子(BMP)、肝細胞成長因子(HGF)、神経成長因子(NGF)、上皮成長因子(EGF)、内皮成長因子(ECGF)、血小板由来成長因子(PDGF)、インシュリン、インシュリン様成長因子(IGF)、線維芽細胞成長因子(FGF)、血管内皮増殖因子(VEGF)、コロニー刺激因子、エリスロポイエチン、トランスフェリン、インターロイキン、およびインターフェロン等が挙げられる。
この流路42の幅は、例えば数十〜数百μm程度であり、流入した各培地は流れ方向と垂直な流路幅方向へは完全に拡散せずに、層流的な流れを生成して流路42内を流れて行き、その端部から分岐した複数の流路43a,43b,43c…へ流出する。したがって、流路42の底面を構成する膜体12へ保持された細胞は、流路幅方向に成長因子の濃度または種類の勾配を有する培地の流れの中で培養される。
このように本実施形態では、生体内の条件に対応して、歪勾配とともに培地組成勾配の存在下で培養を行っているため、所定の機能を発現するように分化が促進されるとともに、細胞外マトリックスの形成、成長因子の分泌など、細胞自身の組織形成能により自発的に機能をもった組織が形成されていく。そして、このような歪勾配と培地組成勾配が最適化することにより、効率よく分化が促進され、最終的には臓器・器官の機能を有する組織を構築することが可能である。
また、本実施形態では、上述したように基板11の表面に複数の溝15、15…を並列に配置するようにしたが、前述したように膜体12上の細胞に対して与える歪に勾配をもたせるためには、本実施形態のように溝形状に限定されることはなく、この代わりに、前述したような各種孔を基板表面に形成してもよい。
以下、実施例により本発明を説明するが、本発明はこの実施例に何ら限定されるものではない。
膜体上の担体材料として第8リン酸カルシウム(OCP)をコーティングし、骨形成系の細胞(Stromal cell−2, ST2)を捲種して、前述した装置を用いて培養を行った。PDMS基板上に溝幅がそれぞれ200μm、300μm、400μm、500μmの計4本の溝が並列に形成され、その上にOCPがコーティングされた膜体が接合された培養容器の膜体上に、3×104個/cm2の密度でST2細胞を捲種した。ST2がOCPに接着した後、シリンジポンプにより溝内の排気を行うことにより、膜体に、溝に沿った凹部が形成された。次いで、培地の供給下、インキュベーションチャンバ内で、通常の条件に準じて培養を行った。
所定時間培養を行った後、骨形成系の分化マーカーであるアルカリフォスファターゼ(ALP)活性を染色により観察した。膜体上を顕微鏡で観察した写真を図9(a)、(b)に示す。なお、図9(b)はDAPI染色像であり、輝点は細胞を示す。このように、溝に沿ってALP活性が見出され、適切な溝幅による歪みの条件によって分化が促進されていることが確認された。
図1は、本発明の一実施形態による細胞培養装置を説明する図である。 図2は、図1の装置が備えている、培養容器が形成された基板の上面図である。 図3(a)、(b)は、膜体に保持された細胞に歪勾配が与えられる様子を説明する図であり、図3(a)はシリンジによる排気が行われる前、図3(b)はシリンジによる排気が行われた後の様子を示している。 図4(a)は、本発明の他の実施形態による細胞培養装置を説明する部分上面図、図4(b)は、基板に形成された溝の長手方向と直交する面による部分断面図、図4(c)は、単一流路の流れ方向と直交する面による部分断面図である。 図5は、PDMSの型の作製を説明する図である。 図6(a)〜(c)は、得られたPDMSの型を示す図であり、図6(a)は上面図、図6(b)は断面図、図6(c)は型へシリコンチューブを繋いだ様子を示した図である。 図7(a)、(b)は、基板を形成する様子を示した図であり、図7(a)は上面図、図(b)は断面図である。 図8は、培養容器が形成された基板の上面図である。 図9(a)、(b)は、本発明の装置により培養した骨形成系細胞のALP活性を顕微鏡で観察した写真である。
符号の説明
10…細胞培養装置
11…基板
12…膜体
13…シリンジ
14…培養容器
15…溝
16…側壁
17…培地
18…ジョイント
19…シリコンチューブ
20…細胞
21…担体
31…圧力センサ
32…増幅器
33…モータ/駆動回路
34…PIC
35…スイッチングレギュレータ
41a,41b,41c…流入路
42…単一流路
43a,43b,43c…流出路
44…流路形成板
51…シリコン鋳型
52…容器
53…溝
54…PDMS
55…型
56…凸部
57…貫通孔
58…ハンダ
59a…紙製容器側部
59b…紙製容器底部
61…PDMS

Claims (11)

  1. 表面に孔が形成された基板と、
    前記基板の表面に接合された、細胞を保持する膜体と、
    前記孔と膜体とから形成された空隙内の気体を排気して前記孔の位置における膜体を歪ませ、これにより膜体上に保持された細胞に歪勾配を与える排気手段とを備えることを特徴とする細胞培養装置。
  2. 前記孔が複数形成されていることを特徴とする請求項1に記載の細胞培養装置。
  3. 前記複数の孔の形状がそれぞれ異なることを特徴とする請求項2に記載の細胞培養装置。
  4. 前記複数の孔が溝状であり、これらの溝の短手方向の幅がそれぞれ異なるように形成されていることを特徴とする請求項3に記載の細胞培養装置。
  5. 前記基板の表面を底壁とした容器を形成するように側壁が設けられ、前記容器内に培地を収容するようにしたことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の細胞培養装置。
  6. 前記基板上に、
    それぞれ組成が異なる培地が送液される複数の流路と、
    前記複数の流路と一方の端部で連通し、該端部から前記各培地を送液することにより幅方向に組成勾配を有する培地の流れを生成する単一流路とが設けられ、
    前記単一流路が、前記基板の表面に形成された孔と、前記膜体を介して重なるように配置されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の細胞培養装置。
  7. 前記基板の表面に形成された孔が溝状であり、短手方向の幅がそれぞれ異なるように形成された複数の溝が略並列に配置されるとともに、
    前記単一流路が、その流れ方向が前記各溝の長手方向と略直交方向となるように配置されていることを特徴とする請求項5に記載の細胞培養装置。
  8. 前記単一流路を形成する溝が表面に設けられた流路形成板が、この溝と、前記基板の表面に形成された孔とが前記膜体を介して重なるように前記基板上に接合されていることを特徴とする請求項5に記載の細胞培養装置。
  9. 前記膜体の表面に、前記細胞を保持する担体が被覆されていることを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の細胞培養装置。
  10. 前記膜体上に細胞を保持し、前記孔と膜体とから形成された空隙内の気体を前記排気手段により排気して前記孔の位置における膜体を歪ませ、これにより前記膜体上に保持された細胞に歪勾配が与えられた条件下で培養を行うことを特徴とする請求項1〜9のいずれかに記載の装置を用いた細胞培養方法。
  11. 前記膜体上に細胞を保持し、前記孔と膜体とから形成された空隙内の気体を前記排気手段により排気して前記孔の位置における膜体を歪ませ、これにより前記膜体上に保持された細胞に歪勾配を与えるとともに、
    前記複数の流路から、それぞれ組成が異なる培地を前記単一流路へ送液して、前記単一流路に、幅方向に組成勾配を有する培地の流れを生成し、これにより前記膜体上に保持された細胞に培地の組成勾配が与えられた条件下で培養を行うことを特徴とする請求項6〜8のいずれかに記載の装置を用いた細胞培養方法。
JP2003382974A 2003-11-12 2003-11-12 細胞培養装置および細胞培養方法 Pending JP2005143343A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2003382974A JP2005143343A (ja) 2003-11-12 2003-11-12 細胞培養装置および細胞培養方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2003382974A JP2005143343A (ja) 2003-11-12 2003-11-12 細胞培養装置および細胞培養方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2005143343A true JP2005143343A (ja) 2005-06-09

Family

ID=34691878

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2003382974A Pending JP2005143343A (ja) 2003-11-12 2003-11-12 細胞培養装置および細胞培養方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2005143343A (ja)

Cited By (9)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2006109748A (ja) * 2004-10-14 2006-04-27 Onchip Cellomics Consortium 細胞培養支持体および細胞培養法
WO2008007525A1 (en) 2006-07-10 2008-01-17 Takagi Industrial Co., Ltd. Cell or tissue cultivation apparatus and method of cultivation
WO2008007527A1 (en) 2006-07-10 2008-01-17 Takagi Industrial Co., Ltd. Method of cultivating cell or tissue
JP2010000020A (ja) * 2008-06-19 2010-01-07 Covalent Materials Corp 細胞培養担体
JP2010081823A (ja) * 2008-09-30 2010-04-15 Covalent Materials Corp 細胞培養装置
JP2011193758A (ja) * 2010-03-18 2011-10-06 National Institute Of Advanced Industrial Science & Technology 薬剤感受性試験用バイオチップ
JP2014516582A (ja) * 2011-06-15 2014-07-17 ザ チャールズ スターク ドレイパー ラボラトリー インク 生体模倣環境において細胞を培養するためのデバイスおよび方法
US9657261B2 (en) 2011-06-15 2017-05-23 The Charles Stark Draper Laboratory, Inc. Systems, methods, and devices relating to a biomimetic cellularized nephron unit
JP2019518443A (ja) * 2016-05-11 2019-07-04 ユニヴェルシテ グルノーブル アルプ 細胞共培養チップ及びその製造に関するプロセス

Cited By (14)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2006109748A (ja) * 2004-10-14 2006-04-27 Onchip Cellomics Consortium 細胞培養支持体および細胞培養法
JP4587370B2 (ja) * 2004-10-14 2010-11-24 一般社団法人オンチップ・セロミクス・コンソーシアム 細胞培養支持体および細胞培養法
US8431401B2 (en) 2006-07-10 2013-04-30 Takagi Industrial Co., Ltd. Method of cultivating cell or tissue
WO2008007525A1 (en) 2006-07-10 2008-01-17 Takagi Industrial Co., Ltd. Cell or tissue cultivation apparatus and method of cultivation
WO2008007527A1 (en) 2006-07-10 2008-01-17 Takagi Industrial Co., Ltd. Method of cultivating cell or tissue
US9670450B2 (en) 2006-07-10 2017-06-06 Purpose Company Limited Cell or tissue cultivation apparatus and method of cultivation
US9005958B2 (en) 2006-07-10 2015-04-14 Purpose Company Limited Cell or tissue cultivation apparatus and method of cultivation
JP2010000020A (ja) * 2008-06-19 2010-01-07 Covalent Materials Corp 細胞培養担体
JP2010081823A (ja) * 2008-09-30 2010-04-15 Covalent Materials Corp 細胞培養装置
JP2011193758A (ja) * 2010-03-18 2011-10-06 National Institute Of Advanced Industrial Science & Technology 薬剤感受性試験用バイオチップ
JP2014516582A (ja) * 2011-06-15 2014-07-17 ザ チャールズ スターク ドレイパー ラボラトリー インク 生体模倣環境において細胞を培養するためのデバイスおよび方法
US9657261B2 (en) 2011-06-15 2017-05-23 The Charles Stark Draper Laboratory, Inc. Systems, methods, and devices relating to a biomimetic cellularized nephron unit
JP2019518443A (ja) * 2016-05-11 2019-07-04 ユニヴェルシテ グルノーブル アルプ 細胞共培養チップ及びその製造に関するプロセス
US11857958B2 (en) 2016-05-11 2024-01-02 Universite Grenoble Alpes Cell co-culture chip and process for the production thereof

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US10231820B2 (en) Fabrication of vascularized tissue using microfabricated two-dimensional molds
US9217129B2 (en) Oscillating cell culture bioreactor
US8097456B2 (en) Nanotopographic compositions and methods for cellular organization in tissue engineered structures
US7960166B2 (en) Microfabricated compositions and processes for engineering tissues containing multiple cell types
Hannachi et al. Cell sheet technology and cell patterning for biofabrication
US20060229735A1 (en) Device for tissue engineering
JP6690001B2 (ja) 細胞組織の製造方法、及び多孔フィルム
EP2600913A1 (en) Microfabricated scaffold structures
US20060018838A1 (en) Vacsularized tissue for transplantation
JP2005500860A (ja) 細胞のインビトロ増殖のための方法および装置
JP2005143343A (ja) 細胞培養装置および細胞培養方法
Allahyari et al. Engineering cell–substrate interactions on porous membranes for microphysiological systems
JP6452304B2 (ja) 細胞シート培養基材、細胞シート培養基材複合物、及び細胞シート/培養基材複合の製造方法
JP2004329122A (ja) 細胞培養装置および培養方法
WO2020262656A1 (ja) マイクロ流体デバイス及びその製造方法、並びに立体組織の培養方法
Talaie The effect of architecture and shear stress on endothelialization of 3D printed vascular networks
Zhang A Microfluidic Approach to Tissue Vascularization
Sivarapatna Vascular tissue regeneration using endothelial cells derived from human induced pluripotent stem cells
Hieu et al. Investigation of Endothelial Network Formation Under Different Medium Conditions with Cell Sheet Engineering
de Melo Pereira A soft lithography method for patterning calcium phosphate ceramics

Legal Events

Date Code Title Description
RD04 Notification of resignation of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7424

Effective date: 20060906

RD04 Notification of resignation of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7424

Effective date: 20060906

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A821

Effective date: 20061012

A711 Notification of change in applicant

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A711

Effective date: 20061012

RD02 Notification of acceptance of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7422

Effective date: 20061012

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A821

Effective date: 20061012