JP2005142043A - 粉体、粉体の製造方法および粉体から形成される固体電解質型燃料電池用電極 - Google Patents
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Abstract
【課題】 収率よく製造可能なネットワーク構造を有する粉体およびその製造方法並びに同粉体から形成される固体電解質型燃料電池用電極材料を提供すること。
【解決手段】 母粒子として、表面に多数の筋状の凹部11が形成されたNiO1+α30を利用する。次に、NiO1+α30をYSZ原料から形成したYSZゾルに添加し同YSZゾルを所定時間攪拌する。次に、所定時間攪拌したYSZゾルから凹部31にYSZ原料が充填されたNiO1+α30を原料粒子として回収して乾燥する。次に、回収した原料粒子を1200℃にて1時間仮焼処理しNiO32の表面にYSZ20の相を析出させてネットワーク構造を形成してなる粉体Bを製造する。そして、製造した粉体Bをスクリーン印刷によって固体電解質上に塗布して適当な温度で焼成し、さらに還元して粉体Aを作製することによりSOFCの燃料極を形成する。
【選択図】 図1
【解決手段】 母粒子として、表面に多数の筋状の凹部11が形成されたNiO1+α30を利用する。次に、NiO1+α30をYSZ原料から形成したYSZゾルに添加し同YSZゾルを所定時間攪拌する。次に、所定時間攪拌したYSZゾルから凹部31にYSZ原料が充填されたNiO1+α30を原料粒子として回収して乾燥する。次に、回収した原料粒子を1200℃にて1時間仮焼処理しNiO32の表面にYSZ20の相を析出させてネットワーク構造を形成してなる粉体Bを製造する。そして、製造した粉体Bをスクリーン印刷によって固体電解質上に塗布して適当な温度で焼成し、さらに還元して粉体Aを作製することによりSOFCの燃料極を形成する。
【選択図】 図1
Description
本発明は、表面にネットワーク構造を形成した粉体およびその製造方法並びに同粉体から形成される固体電解質型燃料電池用電極に関する。
従来から、例えば、特許文献1に示すように、ネットワーク構造を有する導電性材料(粉体)は知られている。この従来のネットワーク構造を有する導電性材料は、ニッケルとセリア系混合導電性粒子との体積比が50:50となる出発原料(原料溶液)を作製し、噴霧熱分解法を用いて作製される。このように作製された導電性材料は、ニッケルがセリア系混合導電性粒子に囲い込まれたミクロ構造を有するようになっている。そして、このように作製された導電性材料は、8mol%イットリア安定化ジルコニアのディスク上に焼き付けられて、多孔構造を有する固体電解質型燃料電池(以下、SOFC(Solid Oxide Fuel Cell)という)の燃料極を形成するようになっている。
ところで、上記従来の導電性材料は、出発原料を溶液(原料溶液)とし、噴霧熱分解法によって作製される。このため、ニッケルとセリア系混合導電性粒子とが原料溶液から析出するため、その析出形態を制御できない場合がある。このため、ニッケルおよびセリア系混合導電性粒子が不規則に析出して、所望のネットワーク構造が形成できない場合がある。
また、上記従来の導電性材料は、原料溶液から噴霧熱分解法によって作製されるため、導電性材料の収率が低下する。すなわち、噴霧熱分解法では、原料溶液を超音波振動子によってミストとし、同ミストをキャリアガスにより、電気炉によって所定の温度勾配となるように加熱された石英管に導入する。このため、石英管内部に乾燥・熱分解処理された導電性材料が残りやすく、作製された導電性材料の回収が困難であるために収率が低下する。
さらに、上記従来の導電性材料は、原料溶液のミストから粒子を析出させて作製されるため、析出した粒子の粒径が小さくなる場合がある。このため、上記従来の導電性材料のみで燃料極を形成した際には、燃料ガスを導通するための通孔が十分に確保できない可能性がある。したがって、電極反応が主に行われる三相界面(電極/電解質/気相)を十分に形成するためには、例えば、造孔剤などの添加が必要となる場合がある。
本発明は、上記した課題を解決するためになされたものであり、その目的は、収率よく製造可能なネットワーク構造を有する粉体およびその製造方法、並びに、同粉体から形成される固体電解質型燃料電池用電極材料を提供することにある。
本発明の特徴は、粉体を、表面に多数の筋状の凹部を有する母粒子と、前記母粒子の凹部にて析出して、前記母粒子の表面にネットワーク構造を形成する異材とから構成したことにある。
この場合、前記母粒子は金属粒子であり、前記析出相は電解質であるとよい。また、前記金属粒子は、Ni,Cu,Fe,Ptから選択される少なくとも1種類の金属粒子を含み、前記電解質は、イットリウムによって安定化されたイットリア安定化ジルコニウムであるとよい。また、前記金属粒子と前記電解質との重量比は、90:10から40:60の範囲にあるとよい。
また、これらの場合、上記粉体を素材として固体電解質型燃料電池用電極を形成するとよい。この場合、前記金属粒子の表面に析出した析出相は、隣接する金属粒子の析出相のうちの少なくとも一つに繋がるネットワーク構造を有するとよい。
また、本発明を他の観点から捉えると、本発明の他の特徴は、粉体を製造する製造方法を、表面に多数の筋状の凹部が形成された母粒子を、ゾルとした異材の溶液中に添加して所定時間攪拌し、同攪拌後、前記母粒子の凹部に前記異材が充填された原料粒子を回収して乾燥し、この原料粒子を所定温度にて加熱処理して前記母粒子の凹部に前記異材を析出させて、前記析出相が母粒子の表面にネットワーク構造を形成してなる粉体を製造するようにしたことにある。
この場合、前記母粒子は金属粒子であり、前記析出相は電解質であるとよい。また、前記金属粒子は、Ni,Cu,Fe,Ptから選択される少なくとも1種類の金属粒子を含み、前記電解質は、イットリウムによって安定化されたイットリア安定化ジルコニウムであるとよい。また、前記金属粒子と前記電解質との重量比は、90:10から40:60の範囲にあるとよい。
また、上記粉体の製造方法によって製造された粉体を素材として固体電解質型燃料電池を形成するとよい。この場合、前記金属粒子の表面に析出した析出相は、隣接する金属粒子の析出相のうちの少なくとも一つに繋がるネットワーク構造を有するとよい。
これらによれば、母粒子の表面に形成された凹部に異材を充填して析出することにより母粒子の表面にネットワーク構造を形成することができる。このため、母粒子の凹部に選択的に異材を析出させることができて、所望のネットワーク構造を形成することができる。
また、ゾルとした異材の溶液に母粒子を添加して攪拌し、回収した母粒子を加熱処理することにより、母粒子の表面に異材の析出相からなるネットワーク構造が形成された粉体とすることができる。このため、母粒子の表面に確実に異材を析出させることができ、極めて微細なネットワーク構造を形成することができる。また、母粒子を固体のまま添加して攪拌することができるとともに、攪拌後には、異材を充填した母粒子を固体のまま回収することができる。そして、回収した母粒子を、固体のまま加熱処理することができる。したがって、母粒子が固体のまま粉体が形成されるため、その回収が極めて容易とすることができて、粉体の収率を大幅に向上することができる。
また、母粒子の凹部に異材を充填することによりネットワーク構造を形成することができるため、母粒子の硬度に因らずにネットワーク構造を形成することができる。すなわち、母粒子の表面に異材を埋め込んでネットワーク構造を形成する場合には、母粒子の硬度が異材の硬度よりも小さい必要がある。ところで、母粒子の凹部に異材を充填することによりネットワーク構造を形成することができるため、母粒子が、例えば、金属酸化物(セラミックス)であっても、母粒子の表面に極めて容易にネットワーク構造を形成することができる。
また、母粒子を導電性を有する金属粒子とし、析出相を電解質とした粉体から固体電解質型燃料電池用電極を形成することにより、良好な特性を有する固体電解質型燃料電池用電極とすることができる。すなわち、金属粒子が固体のまま粉体を製造することができるため、粉体の粒径を適宜設定することができて、気体が導通するための通孔を有する多孔構造とすることができる。また、微細なネットワーク構造を金属粒子の表面に形成することができるため、主に電極反応が行われる反応サイトを増やすことができる。このため、固体電解質型燃料電池用電極においては、気体(例えば、燃料ガス)が前記通孔を導通することにより、三相界面における電極反応の効率を向上することができる。
また、金属粒子をNi,Cu,Fe,Ptから選択される少なくとも1種類とし、電解質をイットリア安定化ジルコニウムとすることにより、導電性が極めて良好な固体電解質型燃料電池用電極とすることができる。また、金属粒子と電解質との重量比を90:10から40:60の範囲とすることにより、金属粒子の凹部にて析出相を確実にかつ必要十分に析出させることができて、微細なネットワーク構造を形成することができる。これによっても、三相界面における電極反応の効率を向上することができる。また、ネットワーク構造を有して隣接する金属粒子同士が電極内で互いに繋がってネットワーク構造を形成することにより、固体電解質型燃料電池用電極は、導電性を極めて良好に保つことができて、燃料電池の発電効率を向上することができる。
以下に、本発明の実施形態を図面を用いて説明する。図1(a)は、本発明に係る導電性を有する粉体Aを概略的に示している。この粉体Aは、ニッケル10(以下、単にNi10という)と、Ni10の表面に網目構造(ネットワーク構造)を形成するイットリア安定化ジルコニウム20(以下、単にYSZ20という)とから構成されている。
Ni10は、図2に示す過酸化ニッケルNiO1+α30(住友金属鉱山株式会社製 純度99.9%)を出発原料とし、還元ガス雰囲気中にて1200℃で1時間加熱還元されることにより作製される。NiO1+α30は、8μm〜30μmの粒度分布を有しており、その平均粒径は、10μmである。そして、NiO1+α30は、その表面に多数の凹部31を有しており、凹部11は、粒径の10%〜25%程度の深さを有している。
YSZ20は、ジルコニア(Zr2O)の高温安定相(立方晶)を室温にまで保つためにイットリア(Y2O3)を添加したものである。このため、YSZ20は、ジルコニアゾル(第一稀元素化学工業株式会社製 品名:ZSL−20N %ZrO2=20.22 比重:1.217)と硝酸イットリウム(硝酸イットリウム6水和物 純度99.9%)とを出発原料として形成される。なお、以下の説明において、ジルコニアゾルと硝酸イットリウムとを併せてYSZ原料という。
次に、粉体Aの作製について、以下に詳細に説明する。まず、NiO1+α30とYSZ原料との攪拌について説明する。NiO1+α30とYSZ原料とを攪拌するにあたり、YSZ原料を適当な溶媒(例えば、純水)に分散させた溶液(以下、この溶液をYSZゾルという)を作製しておく。具体的に説明すると、ジルコニアゾルに添加する硝酸イットリウムを秤量する。ここで、添加する硝酸イットリウムの量は、YSZ原料から最終的にYSZ20が形成された際に、ジルコニア(Zr2O)に含有されるイットリア(Y2O3)の含有量が8mol%となるように秤量される。そして、秤量したYSZ原料を溶媒中に投入して、YSZゾルを作製しておく。
このように作製されたYSZゾルに対して、NiO1+α30を添加して攪拌する。これを具体的に説明する。YSZ原料に添加されるNiO1+α30の添加量は、NiO1+α30とYSZ原料との重量比が90:10〜40:60となるように秤量される。このように秤量されることにより、最終的に粉体Aを生成した際のNi10とYSZ20との重量比も90:10〜40:60とすることができる。そして、より好ましくは、NiO1+α30とYSZ原料との重量比が50:50となるように秤量される。このNiO1+α30とYSZ原料との重量比について以下に説明する。
添加するNiO1+α30の重量比が90を超えると、YSZ原料の重量比が相対的に小さくなって、YSZ原料の絶対量が不足した状態となる。このため、NiO1+α30の表面(詳しくは、NiO1+α30の凹部31)にYSZ20のネットワーク構造が良好に形成(充填)されない。一方、添加するNiO1+α30の重量比が40よりも小さくなると、YSZ原料の重量比が相対的に大きくなって、YSZ原料の絶対量が余った状態となる。このため、NiO1+α30の表面全体をYSZ20が覆うため、YSZ20のネットワーク構造が良好に形成されない。
また、NiO1+α30とYSZ原料との重量比が、上記重量比範囲内であれば、YSZ原料がNiO1+α30の凹部31内に充填されて、NiO1+α30の表面にYSZ20のネットワーク構造が良好に形成される。特に、NiO1+α30とYSZ原料との重量比が50:50のときには、YSZ原料が凹部31内に十分に充填されるため、NiO1+α30の表面にYSZ20の良好なネットワーク構造が形成される。
上記のようにNiO1+α30を秤量してYSZゾルに添加した後、同YSZゾルを室温にて24時間、ボールミルを利用して攪拌する。これにより、NiO1+α30とYSZ原料とが互いに均一に混合されるとともに、NiO1+α30の凹部31にYSZ原料が充填される。また、ボールミルを利用して攪拌することにより、NiO1+α30の凝集を解くことができて、NiO1+α30の凹部31へのYSZ原料の充填を促進することができる。なお、YSZゾルを攪拌するときには、YSZゾルのペーハー(pH)を3.4付近に保った状態で攪拌される。
次に、上記のように攪拌したYSZゾルを乾燥する。具体的に説明すると、まず、攪拌したYSZゾルをテフロン(登録商標)製のボールが入ったガラスフラスコに移し、90℃に設定されたロータリーエバポレータを利用して、YSZゾルの溶媒を除去する。続いて、溶媒を除去したYSZゾルすなわち凹部31にYSZ原料が充填されたNiO1+α30(以下、本明細書においては、原料粒子ともいう)を乾燥炉に移し、60℃にて24時間乾燥する。これにより、凹部31にYSZ原料が充填されたNiO1+α30すなわち原料粒子を回収することができる。このとき、原料粒子は、ガラスフラスコ内から直接回収することができるため、最終生成物である粉体Aの収率を良好に確保することができる。そして、回収した原料粒子を乳鉢に移し、解砕して粉末にする。
次に、粉末とされた原料粒子を、1200℃にて1時間仮焼して、図1(b)に示すように、粉体Aの前駆体である粉体Bを生成する。これについて、図3(a)から(d)を用いて説明する。図3(a)は、凹部31にYSZ原料が充填されたままのNiO1+α30(以下、この状態を初期状態という)を示している。初期状態から、800℃にて1時間仮焼すると、図3(b)に示すように、YSZ原料の一部がYSZ20となって形成される。この状態においては、形成されたYSZ20が、未だ点々と孤立した状態で形成されており、NiO1+α30の表面にネットワーク構造を形成していない。なお、YSZ20が形成されたか否かは、図示しないエネルギー分散型X線分析装置(EDX:Energy Dispersive X-ray Fluorescence Spectrometer)などを利用して、元素分析することにより確認する。
また、初期状態から、1000℃にて1時間仮焼すると、図3(c)に示すように、YSZ原料の大部分がYSZ20となって形成される。この状態においては、NiO1+α30の表面に存在するYSZ原料がYSZ20となるため、部分的にネットワーク構造が形成されている。さらに、初期状態から、1200℃にて1時間仮焼すると、図3(d)に示すように、形成されたYSZ20の粒子が互いに接触して、NiO1+α30の表面にネットワーク構造を形成する。この状態においては、YSZ原料のほぼ全量が粒径の小さなYSZ20として形成されており、形成されたYSZ20の粒子がNiO1+α30の凹部31に沿ってネットワーク構造を形成している。
このように、原料粒子は、1200℃にて1時間仮焼されることにより、YSZ20がNiO1+α30の凹部31に良好に析出する。この原料粒子の粉末は、1200℃にて1時間仮焼した後、冷却される。そして、得られた粉末を乳鉢に移して、さらに解砕することにより、粉体Bを生成する。ここで、原料粒子を仮焼することにより、NiO1+α30は安定化されて、NiO32となる。したがって、粉体Bは、図1(b)に示すように、NiO32の表面にてYSZ20が網目状に析出し、ネットワーク構造を有している。
また、上記のように作製した粉体Bは、燃料電池の固体電解質(例えば、8mol%YSZ)の表面に焼成することにより、SOFCの燃料極として成形される。すなわち、粉体Bを適量の結合剤(例えば、ポリエチレングリコールなど)および溶剤(例えば、エタノール)とよく混合して、ペースト状とする。そして、ペースト状の粉体Bを、例えば、スクリーン印刷により固体電解質表面に塗布する。続いて、エタノールを蒸発させた後に適当な温度で焼成してさらに還元することにより、粉体BのNiO32がNi10に還元されて粉体Aとなり、SOFCの燃料極を形成する。
このように、粉体Aを用いて形成した燃料極は、図4に示すように、多孔構造を有するとともに、粉体Aに形成された微細なネットワーク構造が互いに連結した状態に形成される。このため、燃料極に燃料ガス(例えば、水素ガス)が供給されると、多孔構造により供給された燃料ガス(例えば、水素ガス)が効率よく燃料極内に導入され、また、固体電解質に加えて燃料極におけるNi10、YSZ20および空孔部分の界面が増大することにより有効な反応サイトが増える。
すなわち、燃料極のYSZ20には、固体電解質を介して、図示しない空気極から酸素イオン(O2−)が供給される。そして、多孔構造により、Ni10、YSZ20および空孔部分の界面に導入された燃料ガス(例えば、水素ガス)が接触すると、同界面上にて、H2+O2−→H2O+2e−なる反応が生じる。この反応による電子(e−)は、Ni10のネットワーク構造を介して、外部回路に効率よく供給される。そして、この燃料極は、多孔構造とYSZ20による微細なネットワーク構造とを維持して形成されるため、電極反応が主に行われる三相界面(電極/電解質/気相)が十分に維持される。このため、SOFCの発電性能を大幅に向上することができる。
以上の説明からも理解できるように、本実施形態によれば、母粒子の出発原料であるNiO1+α30の表面に形成された凹部31に電解質としてのYSZ原料を充填してYSZ20の相を選択的に析出させることにより、母粒子としてのNi10の表面に微細なネットワーク構造を確実に形成することができる。また、NiO1+α30の凹部31を細かく形成した場合には、極めて微細なネットワーク構造を形成することができる。
また、YSZゾルにNiO1+α30を添加して攪拌し、回収したNiO1+α30を仮焼(加熱)処理することにより、YSZ20の相がNiO32およびNi10の表面にネットワーク構造を形成することができる。このため、出発原料を固体とすることができるとともに、攪拌後には、例えば、攪拌容器からYSZ原料を充填したNiO1+α30を回収することができる。このため、最終生成物である粉体Aの収率を大幅に向上することができる。
また、出発原料を固体とすることができるため、粉体Aおよび粉体Bの粒径を適宜設定することができる。これにより、粉体Bを焼成・還元して粉体Aとし、固体電解質型燃料電池の燃料極を形成した場合には、通孔を適当に有する多孔構造を得ることができる。このため、燃料極においては、燃料ガス(例えば、水素ガス)が前記通孔を導通することにより、三相界面における電極反応の効率を向上することができる。
また、固体電解質型燃料電池の燃料極は、YSZ20によるネットワーク構造を有するNi10同士が繋がって、燃料極の内部でさらにネットワーク構造を形成することにより、燃料極は、導電性を極めて良好とすることができて、燃料電池の発電効率を向上することができる。
上記実施形態においては、母粒子としてNi10を採用して実施したが、その他の材料、例えば、Cu,Fe,Ptおよびその他の金属粒子を採用して実施可能であることはいうまでもない。この場合においても、前記金属粒子の表面に凹部が形成されていれば、上記実施形態と同様に、母粒子(金属粒子)の表面に極めて容易にかつ確実にネットワーク構造を形成することができる。このため、これらの材料によって形成される燃料極は、良好な導電性を有し、燃料極の電極性能および燃料電池の発電効率を向上することができる。
さらに、本発明は、上記実施形態に限定されることなく、本発明の目的を逸脱しない限り、種々の変形が可能である。例えば、用途に応じて、母粒子として凹部を有する種々の金属酸化物(アルミナなどのセラミックス)を採用することも可能である。この場合においても、金属酸化物の硬度に依存することなく、異材を充填することができる。そして、異材が充填された金属酸化物を例えば焼成することにより、母粒子の表面にネットワーク構造を極めて容易に形成することができて好適である。
10…Ni、20…YSZ、30…NiO1+α、31…凹部、32…NiO
Claims (12)
- 表面に多数の筋状の凹部を有する母粒子と、
前記母粒子の凹部にて析出して、前記母粒子の表面にネットワーク構造を形成する異材とから構成されることを特徴とする粉体。 - 前記母粒子は金属粒子であり、前記析出相は電解質である請求項1に記載した粉体。
- 前記金属粒子は、Ni,Cu,Fe,Ptから選択される少なくとも1種類の金属粒子であり、前記電解質は、イットリウムによって安定化されたイットリア安定化ジルコニウムである請求項2に記載した粉体。
- 前記金属粒子と前記電解質との重量比は、90:10から40:60の範囲にある請求項2ないし請求項3のうちのいずれか一つに記載した粉体。
- 請求項1ないし請求項4のうちのいずれか一つに記載した粉体を素材とする固体電解質型燃料電池用電極。
- 前記金属粒子の凹部に析出した析出相は、
隣接する金属粒子の析出相のうちの少なくとも一つに繋がるネットワーク構造を有する請求項5に記載した固体電解質型燃料電池用電極。 - 表面に多数の筋状の凹部が形成された母粒子を、ゾルとした異材の溶液中に添加して所定時間攪拌し、
同攪拌後、前記母粒子の凹部に前記異材が充填された原料粒子を回収して乾燥し、
この原料粒子を所定温度にて加熱処理して前記母粒子の凹部に前記異材を析出させて、前記析出相が母粒子の表面にネットワーク構造を形成してなる粉体を製造する粉体の製造方法。 - 前記母粒子は金属粒子であり、前記析出相は電解質である請求項7に記載した粉体の製造方法。
- 前記金属粒子は、Ni,Cu,Fe,Ptから選択される少なくとも1種類の金属粒子を含み、前記電解質は、イットリウムによって安定化されたイットリア安定化ジルコニウムである請求項8に記載した粉体の製造方法。
- 前記金属粒子と前記電解質との重量比は、90:10から40:60の範囲にある請求項2ないし請求項3のうちのいずれか一つに記載した粉体の製造方法。
- 請求項7ないし請求項10のうちのいずれか一つに記載した粉体の製造方法によって製造した粉体を素材とする固体電解質型燃料電池用電極。
- 前記金属粒子の表面に析出した析出相は、
隣接する金属粒子の析出相のうちの少なくとも一つに繋がるネットワーク構造を有する請求項11に記載した固体電解質型燃料電池用電極。
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- 2003-11-07 JP JP2003377859A patent/JP2005142043A/ja active Pending
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