JP2005141998A - リチウム/二硫化鉄一次電池 - Google Patents
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Abstract
【課題】 リチウム/二硫化鉄一次電池の保存時における開路電圧上昇を抑制できるようにする。
【解決手段】 リチウム/二硫化鉄一次電池は、正極集電体上に正極合剤層が形成されてなる正極2と、リチウムを負極活物質とする負極3と、有機溶媒に電解質を溶解させてなる電解液とを備える。そして、有機溶媒は、アルキルアミド溶媒を少なくとも含んでいる。これにより、リチウム/二硫化鉄一次電池の保存時における開路電圧上昇を抑制することができる。よって、長期保存後においても、1.5V級一次電池などとの互換性を保持することができる。
【選択図】 図1
【解決手段】 リチウム/二硫化鉄一次電池は、正極集電体上に正極合剤層が形成されてなる正極2と、リチウムを負極活物質とする負極3と、有機溶媒に電解質を溶解させてなる電解液とを備える。そして、有機溶媒は、アルキルアミド溶媒を少なくとも含んでいる。これにより、リチウム/二硫化鉄一次電池の保存時における開路電圧上昇を抑制することができる。よって、長期保存後においても、1.5V級一次電池などとの互換性を保持することができる。
【選択図】 図1
Description
この発明は、二硫化鉄を正極活物質とする正極と、リチウムを負極活物質とする負極と、電解液とを備えるリチウム/二硫化鉄一次電池に関する。
現在、市販されている1.5V級一次電池には、水溶液を電解液に用いるマンガン電池、アルカリマンガン電池、酸化銀電池、空気電池、ニッケル/亜鉛電池、および有機溶媒を電解液に用いるリチウム/二硫化鉄一次電池などがある。
これらの電池の中でも、リチウム/二硫化鉄一次電池は、近年、特に注目されている電池である。このリチウム/二硫化鉄一次電池は、高い理論容量を示す材料から構成されている。すなわち、正極活物質として用いられる二硫化鉄、負極活物質として用いられるリチウムは、それぞれ、約894mAh/g、約3863mAh/gの理論容量を有する。また、リチウム/二硫化鉄一次電池は、電池が高容量であるばかりではなく、負荷特性、低温特性といった電池特性の面においても優れた特性を有しており、他の1.5V級一次電池とは一線を隔する、極めて優れた電池である。
ところで、このリチウム/二硫化鉄一次電池では、初期の開路電圧(OCV)は1.7〜1.8V付近であり、平均放電電圧は1.3〜1.6V付近である。このため、リチウム/二硫化鉄一次電池は、他の1.5V級一次電池と互換性を有する、つまり、他の1.5V級一次電池を使用可能な機器であれば、リチウム/二硫化鉄一次電池も使用することができる。
しかしながら、リチウム/二硫化鉄一次電池は、長期間の保存により電池の開路電圧が次第に上昇し、場合によっては2Vを超えてしまうという欠点を有している。開路電圧が上昇した状態にあるリチウム/二硫化鉄一次電池を機器に使用した場合には、機器側の保護回路により電源が入らない、つまり他の1.5V級一次電池との互換性が失われてしまう、といった問題が生じてしまう。
この問題を解決すべく、よう化カリウム、トリフルオロメタンスルホン酸カリウムといったカリウム塩を電解液溶媒中に添加することにより、長期保存による開路電圧の上昇を抑制することができる電池が提案されている(特許文献1参照)。これらの添加剤は、正極活物質に対して何らかの作用を及ぼすものと考えられている。
特表平11−507761号公報
しかしながら、上述の電池では、カリウム塩に対する電解液の溶解力が非常に小さいため、カリウム塩を極微量(0.001〜0.05mol/l)しか電解液中に添加することができない。そのため、カリウム塩の添加によって、十分な抑制効果を得ることができない。
したがって、この発明の目的は、保存時における開路電圧の上昇を抑制することができるリチウム/二硫化鉄一次電池を提供することにある。
上記課題を解決するために、この発明は、二硫化鉄を正極活物質とする正極と、
リチウムを負極活物質とする負極と、
有機溶媒に電解液を溶解してなる電解液と
を備えたリチウム/二硫化鉄一次電池において、
有機溶媒が、下記一般式(2)で示されるアルキルアミド溶媒を含むことを特徴とするリチウム/二硫化鉄一次電池である。
(但し、R1〜R3は水素基または直鎖のアルキル基を示す。)
リチウムを負極活物質とする負極と、
有機溶媒に電解液を溶解してなる電解液と
を備えたリチウム/二硫化鉄一次電池において、
有機溶媒が、下記一般式(2)で示されるアルキルアミド溶媒を含むことを特徴とするリチウム/二硫化鉄一次電池である。
この発明では、アルキルアミド溶媒は、典型的には、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、N,N−ジメチルアセトアミド(DMA)およびN,N−ジエチルホルムアミド(DEF)からなる群より選ばれた1種以上の溶媒からなる。アルキルアミド溶媒の組成は、有機溶媒全体の5容量%以上100容量%以下であることが好ましい。
この発明では、有機溶媒が、典型的には、アルキルアミド溶媒と鎖状エーテル溶媒とから構成されている。鎖状エーテル溶媒は、典型的には、1,2-ジメトキシエタン(DME)である。鎖状エーテル溶媒の組成は、有機溶媒全体の95容量%以下であることが好ましい。
この発明では、有機溶媒は、典型的には、アルキルアミド溶媒と環状エーテル溶媒とから構成されている。環状エーテル溶媒は、典型的には、1,3−ジオキソラン(DOL)、4−メチル-1,3-ジオキソラン(4MeDOL)、テトラヒドロフラン(THF)および2−メチルテトラヒドロフラン(2MeTHF)からなる群より選ばれた少なくとも1種以上の溶媒からなる。環状エーテル溶媒の組成は、有機溶媒全体の95容量%以下であることが好ましい。
この発明では、有機溶媒が、典型的には、アルキルアミド溶媒と鎖状カルボン酸エステル溶媒とから構成される。鎖状カルボン酸エステル溶媒は、典型的には、メチルプロピオネート(MP)である。鎖状カルボン酸エステル溶媒の組成は、有機溶媒全体の95容量%以下であることが好ましい。
この発明では、有機溶媒が、典型的には、アルキルアミド溶媒と鎖状炭酸エステル溶媒とから構成される。状炭酸エステル溶媒は、典型的には、エチルメチルカーボネート(EMC)およびジエチルカーボネート(DEC)からなる群より選ばれた1種以上の溶媒からなる。鎖状炭酸エステル溶媒の組成は、有機溶媒全体の95容量%以下であることが好ましい。
この発明では、有機溶媒が、典型的には、アルキルアミド溶媒と、鎖状エーテル溶媒、環状エーテル溶媒、鎖状カルボン酸エステル溶媒および鎖状炭酸エステル溶媒からなる群より選ばれた少なくとも2種以上の混合溶媒とからなる。混合溶媒の組成は、有機溶媒全体の95容量%以下であることが好ましい。
この発明では、電解液中にカリウム塩を添加することが好ましい。カリウム塩が、典型的には、ふっ化カリウム(KF)、塩化カリウム(KCl)、臭化カリウム(KBr)、ヨウ化カリウム(KI)およびトリフルオロメタンスルホン酸カリウム(KCF3SO3)からなる群より選ばれた少なくとも1種以上からなる。
この発明では、有機溶媒に対するカリウム塩の濃度は、0.05mol/l以上0.5mol/l以下であることが好ましい。有機溶媒に対するカリウム塩の濃度は、0.05mol/l以上0.3mol/l以下であることがより好ましい。アルキルアミド溶媒に対するカリウム塩の濃度は、1.0mol/l以下であることが好ましい。アルキルアミド溶媒に対するカリウム塩の濃度は、0.6mol/l以下であることがより好ましい。
この発明によれば、リチウム/二硫化鉄一次電池が、二硫化鉄を正極活物質とする正極と、リチウムを負極活物質とする負極と、有機溶媒に電解液を溶解してなる電解液とを備え、有機溶媒がアルキルアミド溶媒を含むため、リチウム/二硫化鉄一次電池の保存時における開路電圧の上昇を抑制することができる。
以上説明したように、請求項1に係る発明よれば、リチウム/二硫化鉄一次電池の保存時における開路電圧の上昇を抑制することができ、これにより、高品質なリチウム/二硫化鉄一次電池を実現することができる。
請求項18に係る発明によれば、有機溶媒にカリウム塩が添加されているため、リチウム/二硫化鉄一次電池の保存時における開路電圧の上昇を抑制することができ、これにより、より高品質なリチウム/二硫化鉄一次電池を実現することができる。
請求項20および21に係る発明よれば、静電容量の劣化を抑制し、且つ、保存中における開路電圧の上昇を抑制することができ、これにより、より高品質なリチウム/二硫化鉄一次電池を実現することができる。
以下、この発明の一実施形態について図面を参照しながら説明する。なお、以下の実施形態の全図においては、同一または対応する部分には同一の符号を付す。
図1に、この発明の一実施形態によるリチウム/二硫化鉄一次電池の構成の一例を示す。このリチウム/二硫化鉄一次電池は、いわゆる円筒型と言われるものであり、ほぼ中空円柱状の電池缶1の内部に、巻回電極体13を有している。この巻回電極体13は、正極活物質を有する帯状の正極2と負極活物質を有する帯状の負極3とが、イオン透過性を有するセパレータ4を介して多数回巻回されてなる。
電池缶1は、例えばニッケルメッキが施された鉄(Fe)により構成されており、一端部が閉鎖され、他端部が開放されている。また、電池缶1の内部には、巻回電極体13を挟み込むように周面に対して垂直に一対の絶縁板5,6がそれぞれ配置されている。
電池缶1の開放端部には、電池蓋7と、この電池蓋7の内側に設けられた安全弁8および熱感抵抗素子(Positive Temperature Coefficient;PTC素子)9とが、封口ガスケット10を介してかしめられることにより取り付けられており、電池缶1の内部は密閉されている。電池蓋7は、例えば電池缶1と同様の材料により構成されている。安全弁8は、熱感抵抗素子9を介して電池蓋7と電気的に接続されており、内部短絡又は外部からの加熱等により電池の内圧が一定以上となった場合に電池蓋7と巻回電極体13との電気的接続を切断する、いわゆる電流遮断機構を備えている。熱感抵抗素子9は、温度が上昇すると抵抗値の増大により電流を制限し、大電流による異常な発熱を防止するものであり、例えば、チタン酸バリウム系半導体セラミックスにより構成されている。封口ガスケット10は、例えば絶縁材料により構成されており、表面にはアスファルトが塗布されている。
巻回電極体13の正極2には、アルミニウム(Al)等よりなる正極リード11が接続されており、負極3にはニッケル等よりなる負極リード12が接続されている。正極リード11は、安全弁8に溶接されることにより電池蓋7と電気的に接続されている。負極リード12は電池缶1に溶接され電気的に接続されている。
また、正極2と負極3との間のセパレータ4には、非水電解質として例えば非水電解液が含浸されている。セパレータ4は、正極2と負極3との間に配されることによりこれらの物理的接触を防ぐとともに、孔中に非水電解液を保持すること、すなわちセパレータ4が非水電解液を吸収することにより、放電時にリチウムイオンを通過させるものである。
<正極2>
正極2は、帯状の形状を有する正極集電体と、この正極集電体の両面に形成された正極合剤層とからなる。正極集電体は、例えば、アルミニウム箔、ニッケル箔あるいはステンレス箔などの金属箔である。
正極2は、帯状の形状を有する正極集電体と、この正極集電体の両面に形成された正極合剤層とからなる。正極集電体は、例えば、アルミニウム箔、ニッケル箔あるいはステンレス箔などの金属箔である。
正極合剤層は、正極活物質である二硫化鉄と、添加剤であるハロゲン化カリウムと、導電剤と、結着剤とからなる。正極活物質である二硫化鉄は、主に自然界に存在する黄鉄鉱(pyrite)を粉砕したものが用いられるが、化学合成、例えば、塩化第一鉄(FeCl2)を硫化水素(H2S)中にて焼成して得られる二硫化鉄なども使用可能である。
導電剤は、正極活物質に適量混合して導電性を付与できるものであれば特に制限はされず、例えば、グラファイト、カーボンブラックなどの炭素粉末が挙げられる。結着剤としては、公知の結着剤を用いることができ、例えばポリフッ化ビニル(PVF)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリテトラフルオロエチレンなどのフッ素系樹脂が挙げられる。
<負極3>
負極3は、帯状の形状を有する金属箔からなる。この負極活物質でもある金属箔の材料としては、リチウム金属またはリチウムにアルミなどの合金元素を添加したリチウム合金などが挙げられる。
負極3は、帯状の形状を有する金属箔からなる。この負極活物質でもある金属箔の材料としては、リチウム金属またはリチウムにアルミなどの合金元素を添加したリチウム合金などが挙げられる。
<電解液>
電解液としては、電解質およびカリウム塩を有機溶媒に溶解させてなるものが用いられる。有機溶媒は、下記一般式(3)で示されるアルキルアミド溶媒を少なくとも含んでいる。
(但し、R1〜R3は水素基または直鎖のアルキル基を示す。)
電解液としては、電解質およびカリウム塩を有機溶媒に溶解させてなるものが用いられる。有機溶媒は、下記一般式(3)で示されるアルキルアミド溶媒を少なくとも含んでいる。
有機溶媒は、例えば、アルキルアミド溶媒と、鎖状エーテル溶媒、環状エーテル溶媒、鎖状カルボン酸エステル溶媒および鎖状炭酸エステル溶媒とからなる群より選ばれた少なくとも1種以上の溶媒とからなる混合溶媒である。具体的には、アルキルアミド溶媒は、アルキルアミド溶媒と、鎖状エーテル溶媒、環状エーテル溶媒、鎖状カルボン酸エステル溶媒または鎖状炭酸エステル溶媒とからなる混合溶媒、もしくは、アルキルアミド溶媒と、鎖状エーテル溶媒、環状エーテル溶媒、鎖状カルボン酸エステル溶媒および鎖状炭酸エステル溶媒からなる群より選ばれた2種以上の溶媒とからなる混合溶媒である。
アルキルアミド溶媒は、例えば、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、N,N−ジメチルアセトアミド(DMA)およびN,N−ジエチルホルムアミド(DEF)からなる群より選ばれた少なくとも1種以上の溶媒からなる。
鎖状エーテル溶媒は、例えば、1,2-ジメトキシエタン(DME)である。環状エーテル溶媒は、例えば、1,3−ジオキソラン(DOL)、4−メチル-1,3-ジオキソラン(4MeDOL)、テトラヒドロフラン(THF)および2−メチルテトラヒドロフラン(2MeTHF)からなる群より選ばれた少なくとも1種以上の溶媒からなる。鎖状カルボン酸エステル溶媒は、例えば、メチルプロピオネート(MP)である。鎖状炭酸エステル溶媒は、例えば、エチルメチルカーボネート(EMC)およびジエチルカーボネート(DEC)からなる群より選ばれた少なくとも1種以上の溶媒からなる。
電解質としては、リチウム塩が用いられる。このリチウム塩としては、例えば、過塩素酸リチウム(LiClO4)、六フッ化りん酸リチウム(LiPF6)、四フッ化ホウ酸リチウム(LiBF4)、トリフルオロメタンスルホン酸リチウム(CF3SO3Li)、よう化リチウム(LiI)等が挙げられる。
カリウム塩は、例えば、ふっ化カリウム(KF)、塩化カリウム(KCl)、臭化カリウム(KBr)、ヨウ化カリウム(KI)およびトリフルオロメタンスルホン酸カリウム(KCF3SO3)からなる群より選ばれた少なくとも1種以上の塩からなる。具体的には、ふっ化カリウム(KF)、塩化カリウム(KCl)、臭化カリウム(KBr)、ヨウ化カリウム(KI)またはトリフルオロメタンスルホン酸カリウムの(KCF3SO3)、もしくは、ふっ化カリウム(KF)、塩化カリウム(KCl)、臭化カリウム(KBr)、ヨウ化カリウム(KI)およびトリフルオロメタンスルホン酸カリウム(KCF3SO3)からなる群より選ばれた2種以上の塩からなる。
有機溶媒全体に対するカリウム塩の濃度は、好ましくは0.05〜0.5mol/lの範囲である。より好ましくは0.05〜0.3mol/lの範囲である。0.05mol/l未満であると、開路電圧の上昇を抑制する効果が十分ではない。
加えて、有機溶媒中に含まれるアルキルアミド溶媒に対しては,カリウム塩の濃度は、好ましくは1.0mol/l以下の範囲である。より好ましくは0.6mol/l以下の範囲である。1.0mol/lより大きいと、放電容量が劣化する傾向がある。
<セパレータ>
セパレータとしては、例えば、ポリプロピレン、ポリエチレンといったポリオレフィン系の微多孔性フィルム等が使用可能である。
セパレータとしては、例えば、ポリプロピレン、ポリエチレンといったポリオレフィン系の微多孔性フィルム等が使用可能である。
次に、この発明の一実施形態によるリチウム/二硫化鉄一次電池の製造方法について説明する。
まず、例えば、正極活物質、結着剤および導電剤を混合して正極合剤を調整し、この正極合剤をN−メチル−2−プロリドンなどの溶剤に分散してペースト状の正極合剤スラリーとする。この正極合剤スラリーを正極集電体上に塗布して乾燥させた後、ローラプレス機などにより圧縮成型して正極合剤層を形成する。これにより、正極2が作製される。また、必要に応じて、添加剤を正極合剤に添加するようにしてもよい。
まず、例えば、正極活物質、結着剤および導電剤を混合して正極合剤を調整し、この正極合剤をN−メチル−2−プロリドンなどの溶剤に分散してペースト状の正極合剤スラリーとする。この正極合剤スラリーを正極集電体上に塗布して乾燥させた後、ローラプレス機などにより圧縮成型して正極合剤層を形成する。これにより、正極2が作製される。また、必要に応じて、添加剤を正極合剤に添加するようにしてもよい。
次に、上述のようにして得られた帯状の正極2と、帯状の形状を有する負極3と、帯状の形状を有するセパレータ3とを、例えば正極2、セパレータ4、負極3、セパレータ4の順に積層し、長手方向に多数回巻き回して、巻回電極体13を作製する。
次に、底部に絶縁板6が予め挿入され、内側に例えばニッケルメッキが予め施され電池缶1に、巻回電極体13を収納する。そして、巻回型電極体13の上面に絶縁板6を配設する。その後、負極3の集電をとるために、例えばニッケルからなる負極リード12の一端を負極3に取り付け、他端を電池缶1に溶接する。これにより、電池缶1は負極3と導通をもつことになり、外部負極となる。また、正極2の集電をとるために、例えばアルミニウムからなる正極リード11の一端を正極2に取り付け、他端を安全弁8を介して電池蓋7と電気的に接続する。これにより、電池蓋7は正極2と導通をもつこととなり、外部正極となる。
そして、この電池缶1の中に、電解質を有機溶媒に溶解させて調整した電解液を注入した後に、アスファルトを塗布したガスケット10を介して電池缶1をかしめる。これにより、電池蓋7が固定された円筒型のリチウム/二硫化鉄一次電池が作製される。
この発明の一実施形態によれば以下の効果を得ることができる。
リチウム/二硫化鉄一次電池は、正極集電体上に正極合剤層が形成されてなる正極2と、リチウムを負極活物質とする負極3と、有機溶媒に電解質を溶解させてなる電解液とを備える。そして、有機溶媒は、アルキルアミド溶媒を少なくとも含んでいる。これにより、リチウム/二硫化鉄一次電池の保存時における開路電圧上昇を抑制することができる。よって、長期保存後においても、1.5V級一次電池などとの互換性を保持することができる。
リチウム/二硫化鉄一次電池は、正極集電体上に正極合剤層が形成されてなる正極2と、リチウムを負極活物質とする負極3と、有機溶媒に電解質を溶解させてなる電解液とを備える。そして、有機溶媒は、アルキルアミド溶媒を少なくとも含んでいる。これにより、リチウム/二硫化鉄一次電池の保存時における開路電圧上昇を抑制することができる。よって、長期保存後においても、1.5V級一次電池などとの互換性を保持することができる。
また、本発明者の検討結果によれば、上述した溶媒種/溶媒組成の有機電解液は、少なくとも約−20℃〜65℃の間で凝固もしくは蒸発することなく安定に存在することができる。したがって、この一実施形態のリチウム/二硫化鉄一次電池は、一般の使用環境下として考えられる低温時(約0〜−10℃)の放電特性や、高温保存時(約50〜60℃)の安全性を十分に確保することができる。
また、有機電解液溶媒として広く用いられている溶媒には、上記溶媒系の他に、エチレンカーボネート(EC)、プロピレンカーボネート(PC)、ブチレンカーボネート(BC)といった環状炭酸エステルや、γ-ブチロラクトン(GBL)、γ-バレロラクトン(GVL)などの環状カルボン酸エステルがあるが、これらの溶媒系は、本電池系の負極であるリチウム金属、もしくは、リチウムにアルミニウムなどの合金元素を添加したリチウム合金の表面状で開環重合しやすく、その結果、放電特性に悪影響をきたしてしまう。このため、これらの有機溶媒系よりも、上述した溶媒種/溶媒組成の有機溶媒を用いることが好ましい。
また、電解液中に添加するヨウ化カリウム(KI)、トリフルオロメタンスルホン酸カリウム(KCF3SO3)といったカリウム塩については、特表平11−507761号公報に同様の効果が記されているが、この公報に記載された発明では、上述のカリウム塩に対する電解液の溶解力が低い。そのため、カリウム塩の添加効果が見込まれるものの、比較的少量(0.001〜0.05mol/l)しか電解液中に添加できていない。この点、この発明の一実施形態では、溶媒のルイス酸性を示すドナー数値が大きく、上述のカリウム塩に対して溶解性の大きいアルキルアミド溶媒を電解液溶媒の主成分としているため、電解液中に十分量のカリウム塩を溶解させることができる。つまり、添加剤であるカリウム塩を、上述の条件を満たす様に添加することで、均一な電解液を作製することが可能であり、保存時の開路電圧の上昇を抑制することができる。
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。
有機溶媒の組成に関する検討
はじめに、アルキルアミド溶媒であるN,N−ジメチルホルムアミド(DMF)と、鎖状エーテル溶媒である1,2−ジメトキシエタン(DME)とからなる混合溶媒を用いた実施例1〜13のリチウム/二硫化鉄一次電池を作製した。表1に、実施例1〜13および比較例1のリチウム/二硫化鉄一次電池における混合溶媒の組成を示す。
はじめに、アルキルアミド溶媒であるN,N−ジメチルホルムアミド(DMF)と、鎖状エーテル溶媒である1,2−ジメトキシエタン(DME)とからなる混合溶媒を用いた実施例1〜13のリチウム/二硫化鉄一次電池を作製した。表1に、実施例1〜13および比較例1のリチウム/二硫化鉄一次電池における混合溶媒の組成を示す。
<実施例1>
まず、正極活物質である二硫化鉄98.0重量%と、導電剤である炭素粉末1.0重量%と、結着剤1.0重量%(乾燥重量)とを混合し、溶剤であるN−メチル−2−ピロリドン(NMP)に十分に分散させて正極合剤スラリーとした。なお、正極活物質である二硫化鉄としては、同和鉱業株式会社製『HG−PPC#250』を使用した。また、炭素粉末としては、電気化学工業株式会社製『デンカブラックHS−100(粉末状)』を、結着剤としては、日本ゼオン株式会社製『BM−500B』を使用した。
まず、正極活物質である二硫化鉄98.0重量%と、導電剤である炭素粉末1.0重量%と、結着剤1.0重量%(乾燥重量)とを混合し、溶剤であるN−メチル−2−ピロリドン(NMP)に十分に分散させて正極合剤スラリーとした。なお、正極活物質である二硫化鉄としては、同和鉱業株式会社製『HG−PPC#250』を使用した。また、炭素粉末としては、電気化学工業株式会社製『デンカブラックHS−100(粉末状)』を、結着剤としては、日本ゼオン株式会社製『BM−500B』を使用した。
次に、正極合剤スラリーを正極集電体の両面に塗布し、温度120℃で2時間乾燥させてNMPを揮発させた後、一定圧力で圧縮成型して帯状の正極2を作製した。なお、正極集電体としては厚さ20μmの帯状のアルミニウム箔を用いた。また、乾燥後正極合剤分重量は1.75gであり、正極容量は約1530mAhであった。
次に、以上のようにして作製された帯状の正極2と、厚さ150μmの金属リチウム負極3とを、正極2、セパレータ4、負極3、セパレータ4の順に積層してから多数回巻回し、外径9mmの巻回電極体13を作製した。
次に、以上のようにして得られた巻回電極体13を、ニッケルメッキを施した鉄製の電池缶1に収納した。そして、巻回電極体13の上下両面に絶縁板5,6を配設し、アルミニウム製の正極リード11を正極集電体から導出して電池蓋7に、ニッケル製の負極リード12を負極集電体から導出して電池缶1に溶接した。
次に、アルキルアミド溶媒であるN,N−ジメチルホルムアミド(DMF)1.0容量%と、鎖状エーテル溶媒である1,2−ジメトキシエタン(DME)99.0容量%とを混合した。そして、この混合溶媒によう化リチウム(LiI)を添加して、モル濃度1.0mol/lの電解液を作製した。その後、この電解液を、巻回電極体13が収納された電池缶1の中に注入した。
次に、アスファルトが表面に塗布された絶縁封口ガスケット10を介して電池缶1をかしめることにより、電流遮断機構を有する安全弁8、PTC素子9および電池蓋7を固定して電池内の気密性を保持させた。これにより、直径約10mm、高さ約44mmを有する円筒型のリチウム/二硫化鉄一次電池が作製された。
<実施例2〜13、比較例1>
アルキルアミド溶媒であるN,N−ジメチルホルムアミド(DMF)と、鎖状エーテル溶媒である1,2−ジメトキシエタン(DME)とを、表1に示す容量組成で混合する以外はすべて実施例1と同様にして、実施例2〜13および比較例1のリチウム/二硫化鉄一次電池を得た。
アルキルアミド溶媒であるN,N−ジメチルホルムアミド(DMF)と、鎖状エーテル溶媒である1,2−ジメトキシエタン(DME)とを、表1に示す容量組成で混合する以外はすべて実施例1と同様にして、実施例2〜13および比較例1のリチウム/二硫化鉄一次電池を得た。
次に、アルキルアミド溶媒であるN,N−ジメチルホルムアミド(DMF)と、環状エーテル溶媒である1,3−ジオキソラン(DOL)とからなる混合溶媒を用いた実施例14〜26のリチウム/二硫化鉄一次電池を作製した。表2に、実施例14〜26および比較例2のリチウム/二硫化鉄一次電池における混合溶媒の組成を示す。
<実施例14>
アルキルアミド溶媒であるN,N−ジメチルホルムアミド(DMF)1.0容量%と、鎖状エーテル溶媒である1,2−ジメトキシエタン(DME)99.0容量%とからなる混合溶媒に代えて、アルキルアミド溶媒であるN,N−ジメチルホルムアミド(DMF)1.0容量%と、環状エーテル溶媒である1,3−ジオキソラン(DOL)99.0容量%とからなる混合溶媒を用いる以外はすべて実施例1と同様にしてリチウム/二硫化鉄一次電池を得た。
アルキルアミド溶媒であるN,N−ジメチルホルムアミド(DMF)1.0容量%と、鎖状エーテル溶媒である1,2−ジメトキシエタン(DME)99.0容量%とからなる混合溶媒に代えて、アルキルアミド溶媒であるN,N−ジメチルホルムアミド(DMF)1.0容量%と、環状エーテル溶媒である1,3−ジオキソラン(DOL)99.0容量%とからなる混合溶媒を用いる以外はすべて実施例1と同様にしてリチウム/二硫化鉄一次電池を得た。
<実施例15〜26、比較例2>
アルキルアミド溶媒であるN,N−ジメチルホルムアミド(DMF)と、環状エーテル溶媒である1,3−ジオキソラン(DOL)とを、表2に示す容量組成で混合する以外はすべて実施例14と同様にして、実施例15〜26および比較例2のリチウム/二硫化鉄一次電池を得た。
アルキルアミド溶媒であるN,N−ジメチルホルムアミド(DMF)と、環状エーテル溶媒である1,3−ジオキソラン(DOL)とを、表2に示す容量組成で混合する以外はすべて実施例14と同様にして、実施例15〜26および比較例2のリチウム/二硫化鉄一次電池を得た。
次に、アルキルアミド溶媒であるN,N−ジメチルホルムアミド(DMF)と、鎖状カルボン酸エステル溶媒であるメチルプロピオネート(MP)とからなる混合溶媒を用いた実施例27〜39のリチウム/二硫化鉄一次電池を作製した。表3に、実施例27〜39および比較例3のリチウム/二硫化鉄一次電池における混合溶媒の組成を示す。
<実施例27>
アルキルアミド溶媒であるN,N−ジメチルホルムアミド(DMF)1.0容量%と、鎖状エーテル溶媒である1,2−ジメトキシエタン(DME)99.0容量%とからなる混合溶媒に代えて、アルキルアミド溶媒であるN,N−ジメチルホルムアミド(DMF)1.0容量%と、鎖状カルボン酸エステル溶媒であるメチルプロピオネート(MP)99.0容量%とからなる混合溶媒を用いる以外はすべて実施例1と同様にしてリチウム/二硫化鉄一次電池を得た。
アルキルアミド溶媒であるN,N−ジメチルホルムアミド(DMF)1.0容量%と、鎖状エーテル溶媒である1,2−ジメトキシエタン(DME)99.0容量%とからなる混合溶媒に代えて、アルキルアミド溶媒であるN,N−ジメチルホルムアミド(DMF)1.0容量%と、鎖状カルボン酸エステル溶媒であるメチルプロピオネート(MP)99.0容量%とからなる混合溶媒を用いる以外はすべて実施例1と同様にしてリチウム/二硫化鉄一次電池を得た。
<実施例28〜39、比較例3>
アルキルアミド溶媒であるN,N−ジメチルホルムアミド(DMF)と、鎖状カルボン酸エステル溶媒であるメチルプロピオネート(MP)とを、表3に示す容量組成で混合する以外はすべて実施例27と同様にして、実施例28〜39および比較例3のリチウム/二硫化鉄一次電池を得た。
アルキルアミド溶媒であるN,N−ジメチルホルムアミド(DMF)と、鎖状カルボン酸エステル溶媒であるメチルプロピオネート(MP)とを、表3に示す容量組成で混合する以外はすべて実施例27と同様にして、実施例28〜39および比較例3のリチウム/二硫化鉄一次電池を得た。
次に、アルキルアミド溶媒であるN,N−ジメチルホルムアミド(DMF)と、鎖状炭酸エステル溶媒であるエチルメチルカーボネート(EMC)とからなる混合溶媒を用いた実施例40〜52のリチウム/二硫化鉄一次電池を作製した。表4に、実施例40〜52および比較例4のリチウム/二硫化鉄一次電池における混合溶媒の組成を示す。
<実施例40>
アルキルアミド溶媒であるN,N−ジメチルホルムアミド(DMF)1.0容量%と、鎖状エーテル溶媒である1,2−ジメトキシエタン(DME)99.0容量%とからなる混合溶媒に代えて、アルキルアミド溶媒であるN,N−ジメチルホルムアミド(DMF)1.0容量%と、鎖状炭酸エステル溶媒であるエチルメチルカーボネート(EMC)99.0容量%とからなる混合溶媒を用いる以外はすべて実施例1と同様にしてリチウム/二硫化鉄一次電池を得た。
アルキルアミド溶媒であるN,N−ジメチルホルムアミド(DMF)1.0容量%と、鎖状エーテル溶媒である1,2−ジメトキシエタン(DME)99.0容量%とからなる混合溶媒に代えて、アルキルアミド溶媒であるN,N−ジメチルホルムアミド(DMF)1.0容量%と、鎖状炭酸エステル溶媒であるエチルメチルカーボネート(EMC)99.0容量%とからなる混合溶媒を用いる以外はすべて実施例1と同様にしてリチウム/二硫化鉄一次電池を得た。
<実施例41〜52、比較例4>
アルキルアミド溶媒であるN,N−ジメチルホルムアミド(DMF)と、鎖状炭酸エステル溶媒であるエチルメチルカーボネート(EMC)とを、表4に示す容量組成で混合する以外はすべて実施例40と同様にして、実施例41〜52および比較例4のリチウム/二硫化鉄一次電池を得た。
アルキルアミド溶媒であるN,N−ジメチルホルムアミド(DMF)と、鎖状炭酸エステル溶媒であるエチルメチルカーボネート(EMC)とを、表4に示す容量組成で混合する以外はすべて実施例40と同様にして、実施例41〜52および比較例4のリチウム/二硫化鉄一次電池を得た。
次に、上述のようにして得られた実施例1〜52および比較例1〜4のリチウム/二硫化鉄一次電池を100mAの定電流で1.5時間(150mAh)の条件で予備放電した。リチウム/二硫化鉄電池系では作製直後の開路電圧は2V以上と高いため、上述のように予備放電と呼ばれる工程により電池容量の10%程度を放電させて電位を降下させるのが一般的である。
その後、丸1日(24時間)経過した後に、各実施例および比較例のリチウム/二硫化鉄一次電池を100mAの定電流で電池電圧が0.5Vになるまで本放電を行い、放電容量を測定した。表5および図2は、実施例1〜13および比較例1のリチウム/二硫化鉄一次電池における放電容量の測定結果を示す。表6および図3は、実施例14〜26および比較例2のリチウム/二硫化鉄一次電池における放電容量の測定結果を示す。表7および図4は、実施例27〜39および比較例3におけるリチウム/二硫化鉄一次電池の放電容量の測定結果を示す。表8および図5は、実施例40〜52および比較例4におけるリチウム/二硫化鉄一次電池の放電容量の測定結果を示す。なお、図2,3,4および5では、縦軸が放電容量(mAh)であり、横軸がN,N−ジメチルホルムアミド(DMF)の組成(容量%)である。
また、予備放電後の実施例1〜52および従来例1〜4のリチウム/二硫化鉄一次電池を温度60℃の環境下に300時間保存し、この保存中および保存後における開路電圧を測定した。
図6,7,8および9は、それぞれ、実施例1〜13および比較例1、実施例14〜26および比較例2、実施例27〜39および比較例3、実施例40〜52および比較例4のリチウム/二硫化鉄一次電池の保存中における開路電圧の変化を示す。なお、図6,7,8および9では、縦軸が開路電圧(V)であり、横軸が時間(h)である。
表9および図10に、実施例1〜13および比較例1のリチウム/二硫化鉄一次電池の保存後における開路電圧の測定結果を示す。表10および図11に、実施例14〜26および比較例2のリチウム/二硫化鉄一次電池の保存後における開路電圧の測定結果を示す。表11および図12に、実施例27〜39および比較例3のリチウム/二硫化鉄一次電池の保存後における開路電圧の測定結果を示す。表12および図13に、実施例40〜52および比較例4のリチウム/二硫化鉄一次電池の保存後における開路電圧の測定結果を示す。なお、図10,11,12および13では、縦軸が開路電圧(V)であり、横軸がN,N−ジメチルホルムアミド(DMF)の組成(容量%)である。
表5〜8および図2〜5より、実施例1〜52および比較例1〜4のリチウム/二硫化鉄一次電池の放電容量は、ほぼ同一であることが分かる。すなわち、リチウム/二硫化鉄一次電池の放電容量は、電解液に含まれるN,N−ジメチルホルムアミド(DMF)の組成により変化しないことが分かる。
図6〜9より、温度60℃の環境下に保存中の開路電圧の増加は、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)の組成が大きいほど抑制されることが分かる。
表9〜12および図10〜13より、0〜5.0容量%までの領域において、温度60℃の環境下に300時間保持後の開路電圧値は著しく減少するのに対して、5.0〜100.0容量%の領域では、この開路電圧値は徐々に減少し、2.0V以下に抑制されていることが分かる。
なお、便宜上、図示および説明を省略するが、上述の実施例1〜52で用いた以外の有機溶媒を用いた場合にも、上述の実施例1〜52と同様の傾向が得られた。すなわち、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)と、4−メチル-1,3-ジオキソラン(4MeDOL)、テトラヒドロフラン(THF)または2−メチルテトラヒドロフラン(2MeTHF)とからなる混合溶媒、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、4−メチル-1,3-ジオキソラン(4MeDOL)、テトラヒドロフラン(THF)および2−メチルテトラヒドロフラン(2MeTHF)とからなる混合溶媒などを用いた場合にも上述の実施例1〜52と同様の傾向が得られた。また、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)とジエチルカーボネート(DEC)とからなる混合溶媒を用いた場合にも上述の実施例1〜52と同様の傾向が得られた。さらに、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)と、1,2-ジメトキシエタン(DME)と、1,3−ジオキソラン(DOL)と、メチルプロピオネート(MP)と、エチルメチルカーボネート(EMC)とを混合した混合溶媒などを用いた場合にも上述の実施例1〜52と同様の傾向が得られた。
以上の結果より、放電容量の劣化を抑制するためには、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)の組成は、電解液溶媒全体の5.0〜100容量%の範囲にすることが好ましいことが分かる。すなわち、アルキルアミド溶媒の組成は、電解液溶媒全体の5.0〜100容量%の範囲にすることが好ましいことが分かる。
アルキルアミド溶媒の組成に関する検討
次に、アルキルアミド溶媒(DMF/DMA/DEF混合溶媒)の組成に関する検討を行った。表13は、実施例53〜78および比較例5,6のリチウム/二硫化鉄一次電池におけるアルキルアミド溶媒の組成を示す。
次に、アルキルアミド溶媒(DMF/DMA/DEF混合溶媒)の組成に関する検討を行った。表13は、実施例53〜78および比較例5,6のリチウム/二硫化鉄一次電池におけるアルキルアミド溶媒の組成を示す。
<実施例53>
アルキルアミド溶媒であるN,N−ジメチルホルムアミド(DMF)1.0容量%と、鎖状エーテル溶媒である1,2−ジメトキシエタン(DME)99.0容量%とからなる混合溶媒に代えて、1,2−ジメトキシエタン(DME)23.0容量%と、1,3−ジオキソラン(DOL)24.0容量%と、メチルプロピオネート(MP)23.0容量%と、エチルメチルカーボネート(EMC)29.0容量%と、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)0.5容量%と、N,N−ジメチルアセトアミド(DMA)0.5容量%と、N,N−ジエチルホルムアミド(DEF)0容量%とからなる混合溶媒を用いる以外はすべて実施例1と同様にしてリチウム/二硫化鉄一次電池を得た。
アルキルアミド溶媒であるN,N−ジメチルホルムアミド(DMF)1.0容量%と、鎖状エーテル溶媒である1,2−ジメトキシエタン(DME)99.0容量%とからなる混合溶媒に代えて、1,2−ジメトキシエタン(DME)23.0容量%と、1,3−ジオキソラン(DOL)24.0容量%と、メチルプロピオネート(MP)23.0容量%と、エチルメチルカーボネート(EMC)29.0容量%と、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)0.5容量%と、N,N−ジメチルアセトアミド(DMA)0.5容量%と、N,N−ジエチルホルムアミド(DEF)0容量%とからなる混合溶媒を用いる以外はすべて実施例1と同様にしてリチウム/二硫化鉄一次電池を得た。
<実施例53〜78、比較例5,6>
1,2−ジメトキシエタン(DME)と、1,3−ジオキソラン(DOL)と、メチルプロピオネート(MP)と、エチルメチルカーボネート(EMC)と、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)と、N,N−ジメチルアセトアミド(DMA)と、N,N−ジエチルホルムアミド(DEF)とを、表13に示す容量組成で混合する以外はすべて実施例53と同様にして、実施例53〜78および比較例5,6のリチウム/二硫化鉄一次電池を得た。
1,2−ジメトキシエタン(DME)と、1,3−ジオキソラン(DOL)と、メチルプロピオネート(MP)と、エチルメチルカーボネート(EMC)と、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)と、N,N−ジメチルアセトアミド(DMA)と、N,N−ジエチルホルムアミド(DEF)とを、表13に示す容量組成で混合する以外はすべて実施例53と同様にして、実施例53〜78および比較例5,6のリチウム/二硫化鉄一次電池を得た。
次に、上述のようにして得られた実施例53〜78および比較例5,6のリチウム/二硫化鉄一次電池を100mAの定電流で1.5時間(150mAh)の条件で予備放電した。リチウム/二硫化鉄電池系では作製直後の開路電圧は2V以上と高いため、上述のように予備放電と呼ばれる工程により電池容量の10%程度を放電させて電位を降下させるのが一般的である。
その後、丸1日(24時間)経過した後に、各実施例および比較例のリチウム/二硫化鉄一次電池を100mAの定電流で電池電圧が0.5Vになるまで本放電を行い、放電容量を測定した。表14および図14は、実施例53〜78および比較例5,6のリチウム/二硫化鉄一次電池における放電容量の測定結果を示す。図14において、縦軸が放電容量(mAh)であり、横軸がアルキルアミド溶媒の組成(容量%)である。
また、予備放電後の実施例53〜78および従来例5,6のリチウム/二硫化鉄一次電池を温度60℃の環境下に300時間保存し、この保存中および保存後における開路電圧を測定した。
表15および図15に、実施例53〜78および比較例5,6のリチウム/二硫化鉄一次電池保存後における開路電圧の測定結果を示す。なお、図15では、縦軸が開路電圧(V)であり、横軸がアルキルアミド溶媒の組成(容量%)である。
表14および図14より、実施例53〜78および比較例5,6のリチウム/二硫化鉄一次電池の放電容量は、ほぼ同一であることが分かる。すなわち、リチウム/二硫化鉄一次電池の放電容量は、アルキルアミド溶媒の組成によって、ほとんど変化しないことが分かる。
表15および図15より、0〜5.0容量%までの領域において、環境試験後における開路電圧値は著しく減少するのに対して、5.0〜100.0容量%の領域では、環境試験後における開路電圧値は徐々に減少し、2.0V以下に抑制されていることが分かる。
なお、便宜上、図示および説明を省略するが、上述の実施例53〜78で用いた以外の有機溶媒を用いた場合にも、上述の実施例53〜78と同様の傾向が得られた。すなわち、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)とN,N−ジメチルアセトアミド(DMA)とからなるアルキルアミド溶媒、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)とN,N−ジエチルホルムアミド(DEF)とからなるアルキルアミド溶媒、N,N−ジメチルアセトアミド(DMA)とN,N−ジエチルホルムアミド(DEF)とからなる混合溶媒などを用いた場合にも上述の実施例53〜78と同様の傾向が得られた。また、アルキルアミド溶媒に混合する溶媒を変えた場合にも、上述の実施例53〜78と同様の傾向が得られた。
以上の結果より、放電容量の劣化を抑制するためには、2種以上のアルキルアミド溶媒が電解液に含まれている場合であっても、アルキルアミド溶媒の組成は、電解液溶媒全体の5.0容量%〜100容量%の範囲にすることが好ましいことが分かる。
カリウム塩の添加量に関する検討
次に、1種のカリウム塩を電解液中に添加した場合について、電解液中におけるカリウム塩の添加量に関する検討を行った。表16に、電解液中に添加されたカリウム塩の濃度を示す。
次に、1種のカリウム塩を電解液中に添加した場合について、電解液中におけるカリウム塩の添加量に関する検討を行った。表16に、電解液中に添加されたカリウム塩の濃度を示す。
<実施例79>
アルキルアミド溶媒であるN,N−ジメチルホルムアミド(DMF)1.0容量%と、鎖状エーテル溶媒である1,2−ジメトキシエタン(DME)99.0容量%とからなる混合溶媒に代えて、1,2−ジメトキシエタン(DME)12.5容量%と、1,3−ジオキソラン(DOL)12.5容量%と、メチルプロピオネート(MP)12.5容量%と、エチルメチルカーボネート(EMC)12.5容量%と、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)16.5容量%と、N,N−ジメチルアセトアミド(DMA)16.5容量%と、N,N−ジエチルホルムアミド(DEF)17.0容量%とからなる混合溶媒を用いる以外はすべて実施例1と同様にしてリチウム/二硫化鉄一次電池を得た。
アルキルアミド溶媒であるN,N−ジメチルホルムアミド(DMF)1.0容量%と、鎖状エーテル溶媒である1,2−ジメトキシエタン(DME)99.0容量%とからなる混合溶媒に代えて、1,2−ジメトキシエタン(DME)12.5容量%と、1,3−ジオキソラン(DOL)12.5容量%と、メチルプロピオネート(MP)12.5容量%と、エチルメチルカーボネート(EMC)12.5容量%と、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)16.5容量%と、N,N−ジメチルアセトアミド(DMA)16.5容量%と、N,N−ジエチルホルムアミド(DEF)17.0容量%とからなる混合溶媒を用いる以外はすべて実施例1と同様にしてリチウム/二硫化鉄一次電池を得た。
<実施例80〜92>
添加剤であるヨウ化カリウム(KI)を電解液に添加して、有機溶媒全体に対するモル濃度を表16に示す値とする以外はすべて実施例79と同様にして、実施例80〜92のリチウム/二硫化鉄一次電池を得た。
添加剤であるヨウ化カリウム(KI)を電解液に添加して、有機溶媒全体に対するモル濃度を表16に示す値とする以外はすべて実施例79と同様にして、実施例80〜92のリチウム/二硫化鉄一次電池を得た。
次に、上述のようにして得られた実施例79〜92のリチウム/二硫化鉄一次電池を100mAの定電流で1.5時間(150mAh)の条件で予備放電した。リチウム/二硫化鉄電池系では作製直後の開路電圧は2V以上と高いため、上述のように予備放電と呼ばれる工程により電池容量の10%程度を放電させて電位を降下させるのが一般的である。
その後、丸1日(24時間)経過した後に、各実施例のリチウム/二硫化鉄一次電池を100mAの定電流で電池電圧が0.5Vになるまで本放電を行い、放電容量を測定した。表17および図16は、実施例79〜92のリチウム/二硫化鉄一次電池における放電容量の測定結果を示す。
また、予備放電後の実施例79〜92のリチウム/二硫化鉄一次電池を温度60℃の環境下に300時間保存し、この保存中および保存後における開路電圧を測定した。
図17は、実施例79〜92のリチウム/二硫化鉄一次電池の保存中における開路電圧の変化を示す。なお、図17では、縦軸が開路電圧(V)であり、横軸が時間(h)である。
表18および図18に、実施例79〜92のリチウム/二硫化鉄一次電池の保存後における開路電圧の測定結果を示す。なお、図18では、縦軸が開路電圧(V)であり、横軸がカリウム塩のモル濃度(mol/l)である。
表17および図16より、電解液中のKI濃度が0.3mol/lまでは、放電容量はほぼ一定であるのに対して、0.3mol/lを越えると放電容量が徐々に低下し始め、0.5mol/lを越えると著しく低下することが分かる。
したがって、放電容量の著しい劣化を抑制するためには、有機溶媒に対するKIの濃度を0.5mol/l以下とすることが好ましいことが分かる。また、十分に高い放電容量を得るためには、有機溶媒に対するKIの濃度を0.3mol/l以下とすることが好ましいことが分かる。すなわち、電気容量の劣化を抑制するためには、有機溶媒に対するKI濃度は、0.5mol/l以下であることが好ましく、0.3mol/l以下であることがより好ましいことが分かる。また、この有機溶媒全体に対するKI濃度をアルキルアミド溶媒に対するKI濃度に換算すると、表16に示すように、アルキルアミド溶媒に対するKI濃度は、1.0mol/l以下であることが好ましく、0.6mol/lであることがより好ましいことが分かる。
なお、0.3mol/lを越えると放電容量が徐々に低下し始めるのは、電解液中のKI濃度が大きすぎると、放電に伴うリチウムイオンの移動を阻害する傾向があるためであると考えられる。また、0.5mol/lを越えると放電容量が著しく低下するのは、電池内でヨウ化カリウム(KI)の結晶が析出し、内部短絡を起こしたためであると考えられる。
表18および図17,18より、予備放電後の60℃保存時における開路電圧の上昇は、電解液中のKI濃度が0.05mol/lを超えると、その効果が如実に現れ始め、電解液中のKI濃度が大きいほど抑制されていることが分かる。しかしながら、図17に示すように、電解液中のKI濃度が0.5mol/lを超えると、60℃保存時の開路電圧は乱れた挙動を示している。これは、上述の放電試験の場合と同様、電池が内部短絡を起こしている際によく見られる現象であり、過剰に存在するヨウ化カリウム(KI)が電池内部で析出し、それがセパレータ4を破損したためであると考えられる。
また、図18より、開路電圧は、0.1mol/lまでは著しく低下し、0.1mol/lから濃度0.5mol/lまではほぼ一定であり、0.5mol/lを越えると著しく低下することが分かる。
なお、本発明者が行った予備試験の結果、電解液中にヨウ化カリウム(KI)を溶解する場合、電解液中のアルキルアミド溶媒に対して、ヨウ化カリウム(KI)の濃度が少なくとも1.0mol/l以下であれば、ヨウ化カリウム(KI)の析出が起こらないことが確認されている。実施例80〜92で使用した電解液中のKI濃度は、0.02〜0.55mol/lの範囲であるが、この有機溶媒全体に対するKI濃度をアルキルアミド溶媒に対するKI濃度に換算すると、表16に示すように、アルキルアミド溶媒に対するKI濃度は、0.04〜1.10mol/lの範囲である。すなわち、この範囲においてKI濃度が1.0mol/lを超えるのは実施例92である。
なお、便宜上、図示および説明を省略するが、上述の実施例79〜92で用いた以外のカリウム塩を用いた場合にも、上述の実施例79〜92と同様の傾向が得られた。すなわち、フッ化カリウム(KF)、塩化カリウム(KCl)、臭化カリウム(KBr)またはトリフルオロメタンスルホン酸カリウム(KCF3SO3)を用いた場合にも同様の結果が得られた。また、実施例79〜92と異なる組成を有する有機溶媒とを用いた場合においても、実施例79〜92と同様の傾向が得られた。
したがって、上述の予備試験の結果と併せて考えると、保存中における回路電圧の上昇を抑制するためには、電解液に添加されるKI濃度は、有機溶媒全体に対して0.05〜0.5mol/lの範囲であることが好ましく、アルキルアミド溶媒に対しては1.0mol/l以下であることが好ましいことが分かる。
上述の検討により、放電容量および回路電圧の劣化を抑制するためには、有機溶媒全体に対するヨウ化カリウム(KI)の濃度は、0.05〜0.5mol/lの範囲であることが好ましく、0.05〜0.3mol/lの範囲であることがより好ましいことが分かる。また、アルキルアミド溶媒に対するヨウ化カリウム(KI)の濃度は、1.0mol/l以下であることが好ましく、0.6mol/l以下であることがより好ましいことが分かる。
2種以上のカリウム塩の添加量に関する検討
次に、2種以上のカリウム塩を電解液中に添加した場合について、電解液中におけるカリウム塩の添加量に関する検討を行った。表19に、電解液中に添加された各カリウム塩の濃度を示す。
次に、2種以上のカリウム塩を電解液中に添加した場合について、電解液中におけるカリウム塩の添加量に関する検討を行った。表19に、電解液中に添加された各カリウム塩の濃度を示す。
<実施例93>
アルキルアミド溶媒であるN,N−ジメチルホルムアミド(DMF)1.0容量%と、鎖状エーテル溶媒である1,2−ジメトキシエタン(DME)99.0容量%とからなる混合溶媒に代えて、1,2−ジメトキシエタン(DME)12.5重量%と、1,3−ジオキソラン(DOL)12.5重量%と、メチルプロピオネート(MP)12.5重量%と、エチルメチルカーボネート(EMC)12.5重量%と、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)16.5重量%と、N,N−ジメチルアセトアミド(DMA)16.5重量%と、N,N−ジエチルホルムアミド(DEF)17.0重量%とからなる混合溶媒を用いる以外はすべて実施例1と同様にしてリチウム/二硫化鉄一次電池を得た。
アルキルアミド溶媒であるN,N−ジメチルホルムアミド(DMF)1.0容量%と、鎖状エーテル溶媒である1,2−ジメトキシエタン(DME)99.0容量%とからなる混合溶媒に代えて、1,2−ジメトキシエタン(DME)12.5重量%と、1,3−ジオキソラン(DOL)12.5重量%と、メチルプロピオネート(MP)12.5重量%と、エチルメチルカーボネート(EMC)12.5重量%と、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)16.5重量%と、N,N−ジメチルアセトアミド(DMA)16.5重量%と、N,N−ジエチルホルムアミド(DEF)17.0重量%とからなる混合溶媒を用いる以外はすべて実施例1と同様にしてリチウム/二硫化鉄一次電池を得た。
<実施例94〜106>
添加剤であるフッ化カリウム(KF)、塩化カリウム(KCl)、臭化カリウム(KBr)、ヨウ化カリウム(KI)およびトリフルオロメタンスルホン酸カリウム(KCF3SO3)を電解液に添加して、有機溶媒全体に対するモル濃度を表19に示す値とする以外はすべて実施例93と同様にして、実施例94〜106のリチウム/二硫化鉄一次電池を得た。
添加剤であるフッ化カリウム(KF)、塩化カリウム(KCl)、臭化カリウム(KBr)、ヨウ化カリウム(KI)およびトリフルオロメタンスルホン酸カリウム(KCF3SO3)を電解液に添加して、有機溶媒全体に対するモル濃度を表19に示す値とする以外はすべて実施例93と同様にして、実施例94〜106のリチウム/二硫化鉄一次電池を得た。
次に、上述のようにして得られた実施例94〜106のリチウム/二硫化鉄一次電池を100mAの定電流で1.5時間(150mAh)の条件で予備放電した。リチウム/二硫化鉄電池系では作製直後の開路電圧は2V以上と高いため、上述のように予備放電と呼ばれる工程により電池容量の10%程度を放電させて電位を降下させるのが一般的である。
その後、丸1日(24時間)経過した後に、各実施例のリチウム/二硫化鉄一次電池を100mAの定電流で電池電圧が0.5Vになるまで本放電を行い、放電容量を測定した。表20および図19は、実施例93〜106のリチウム/二硫化鉄一次電池における放電容量の測定結果を示す。なお、図19では、縦軸が放電容量(mAh)であり、横軸がカリウム複合塩濃度(mol/l)である。
また、予備放電後の実施例93〜106のリチウム/二硫化鉄一次電池を温度60℃の環境下に300時間保存し、この保存中および保存後における開路電圧を測定した。
図20は、実施例93〜106のリチウム/二硫化鉄一次電池の保存中における開路電圧の変化を示す。なお、図20では、縦軸が開路電圧(V)であり、横軸が時間(h)である。
表21および図21に、実施例93〜106のリチウム/二硫化鉄一次電池保存後における開路電圧の測定結果を示す。なお、図21では、縦軸が開路電圧(V)であり、横軸がカリウム複合塩濃度(mol/l)である。
表20および図19より、放電容量に関しては、実施例79〜92と同様の傾向であることが分かる。すなわち、電解液中のカリウム複合塩濃度が0.3mol/lまでは、放電容量はほぼ一定であるのに対して、0.3mol/lを越えると放電容量は徐々に低下し始め、0.5mol/lを越えると著しく低下することが分かる。
したがって、放電容量の著しい劣化を抑制するためには、有機溶媒に対するKIの濃度を0.5mol/l以下とすることが好ましいことが分かる。また、十分に高い放電容量を得るためには、有機溶媒に対するKIの濃度を0.3mol/l以下とすることが好ましいことが分かる。すなわち、電気容量の劣化を抑制するためには、有機溶媒に対するKI濃度は、0.5mol/l以下であることが好ましく、0.3mol/l以下であることがより好ましいことが分かる。また、この有機溶媒全体に対するKI濃度をアルキルアミド溶媒に対するKI濃度に換算すると、表19に示すように、アルキルアミド溶媒に対するKI濃度は、1.0mol/l以下であることが好ましく、0.6mol/lであることがより好ましいことが分かる。
なお、0.3mol/lを越えると放電容量が徐々に低下し始めるのは、電解液中のKI濃度が大きすぎると、放電に伴うリチウムイオンの移動を阻害する傾向があるためであると考えられる。また、0.5mol/lを越えると放電容量が著しく低下するのは、電池内でヨウ化カリウム(KI)の結晶が析出し、内部短絡を起こしたためであると考えられる。
表21、図20および図21より、予備放電後の60℃保存時における開路電圧の変化に関しても、実施例79〜92と同様の傾向であることが分かる。すなわち、電解液中のカリウム複合塩濃度が0.05mol/lを超えると、その効果が如実に現れ始め、電解液中のカリウム複合塩濃度が大きいほど、その上昇が抑制され、電解液中のカリウム複合塩濃度が0.5mol/lを超えると、60℃保存時の開路電圧は乱れた挙動を示す。実施例93〜106で使用した電解液中のカリウム複合塩濃度は0.02〜0.55mol/lであるが、この有機溶媒全体に対するカリウム複合塩濃度をアルキルアミド溶媒に対するカリウム複合塩濃度に換算すると、表19に示すように、アルキルアミド溶媒に対するカリウム複合塩濃度は、0.04〜1.1mol/lの範囲である。すなわち、この範囲においてカリウム複合塩濃度が1mol/lを超えるのは実施例106である。
また、図21より、開路電圧は、0.1mol/lまでは著しく低下し、0.1mol/lから濃度0.5mol/lまではほぼ一定であり、0.5mol/lを越えると著しく低下することが分かる。
したがって、保存中における回路電圧の上昇を抑制するためには、電解液に添加される複合カリウム塩濃度は、有機溶媒全体に対して0.05〜0.5mol/lの範囲であることが好ましく、アルキルアミド溶媒に対して1.0mol/l以下であることが好ましいことが分かる。
なお、便宜上、図示および説明を省略するが、上述の実施例93〜106で用いた以外のカリウム複合塩を用いた場合にも、上述の実施例93〜106と同様の傾向が得られた。
上述の検討により、放電容量および開路電圧の劣化を抑制するためには、有機溶媒全体に対する複合カリウム塩濃度は、0.05〜0.5mol/lの範囲であることが好ましく、0.05〜0.3mol/lの範囲であることがより好ましいことが分かる。また、アルキルアミド溶媒に対する複合カリウム塩濃度は、1.0mol/l以下であることが好ましく、0.6mol/l以下の範囲であることがより好ましいことが分かる。
以上、この発明の一実施形態について具体的に説明したが、この発明は、上述の一実施形態に限定されるものではなく、この発明の技術的思想に基づく各種の変形が可能である。
例えば、上述の一実施形態において挙げた数値はあくまでも例に過ぎず、必要に応じてこれと異なる数値を用いてもよい。
また、上述の一実施形態では、円筒型のリチウム/二硫化一次電池に対してこの発明を適用した例について示したが、この発明はこの形状の電池に限定されるものではない。例えば、この発明は、偏平型(コイン型)など他の形状のリチウム/二硫化一次電池に対しても適用可能である。
1 電池缶
2 正極
3 負極
4 セパレータ
5 絶縁板
6 絶縁板
7 電池蓋
8 安全弁
9 PTC素子
10 封口ガスケット
11 正極リード
12 負極リード
13 巻回電極体
2 正極
3 負極
4 セパレータ
5 絶縁板
6 絶縁板
7 電池蓋
8 安全弁
9 PTC素子
10 封口ガスケット
11 正極リード
12 負極リード
13 巻回電極体
Claims (21)
- 上記アルキルアミド溶媒は、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、N,N−ジメチルアセトアミド(DMA)およびN,N−ジエチルホルムアミド(DEF)からなる群より選ばれた1種以上の溶媒からなることを特徴とする請求項1記載のリチウム/二硫化鉄一次電池。
- 上記アルキルアミド溶媒の組成が、上記有機溶媒全体の5容量%以上100容量%以下であることを特徴とする請求項1記載のリチウム/二硫化鉄一次電池。
- 上記有機溶媒が、上記アルキルアミド溶媒と鎖状エーテル溶媒とから構成されていることを特徴とする請求項1記載のリチウム/二硫化鉄一次電池。
- 上記鎖状エーテル溶媒は、1,2-ジメトキシエタン(DME)であることを特徴とする請求項4記載のリチウム/二硫化鉄一次電池。
- 上記鎖状エーテル溶媒の組成が、上記有機溶媒全体の95容量%以下であることを特徴とする請求項4記載のリチウム/二硫化鉄一次電池。
- 上記有機溶媒が、上記アルキルアミド溶媒と環状エーテル溶媒とから構成されていることを特徴とする請求項1記載のリチウム/二硫化鉄一次電池。
- 上記環状エーテル溶媒は、1,3−ジオキソラン(DOL)、4−メチル-1,3-ジオキソラン(4MeDOL)、テトラヒドロフラン(THF)および2−メチルテトラヒドロフラン(2MeTHF)からなる群より選ばれた少なくとも1種以上の溶媒からなることを特徴とする請求項7記載のリチウム/二硫化鉄一次電池。
- 上記環状エーテル溶媒の組成が、上記有機溶媒全体の95容量%以下であることを特徴とする請求項7記載のリチウム/二硫化鉄一次電池。
- 上記有機溶媒が、上記アルキルアミド溶媒と鎖状カルボン酸エステル溶媒とから構成されることを特徴とする請求項1記載のリチウム/二硫化鉄一次電池。
- 上記鎖状カルボン酸エステル溶媒は、メチルプロピオネート(MP)であることを特徴とする請求項10記載のリチウム/二硫化鉄一次電池。
- 上記鎖状カルボン酸エステル溶媒の組成が、上記有機溶媒全体の95容量%以下であることを特徴とする請求項10記載のリチウム/二硫化鉄一次電池。
- 上記有機溶媒が、上記アルキルアミド溶媒と鎖状炭酸エステル溶媒とから構成されることを特徴とする請求項1記載のリチウム/二硫化鉄一次電池。
- 上記鎖状炭酸エステル溶媒は、エチルメチルカーボネート(EMC)およびジエチルカーボネート(DEC)からなる群より選ばれた1種以上の溶媒からなることを特徴とする請求項13記載のリチウム/二硫化鉄一次電池。
- 上記鎖状炭酸エステル溶媒の組成が、上記有機溶媒全体の95容量%以下であることを特徴とする請求項13記載のリチウム/二硫化鉄一次電池。
- 上記有機溶媒が、アルキルアミド溶媒と、鎖状エーテル溶媒、環状エーテル溶媒、鎖状カルボン酸エステル溶媒および鎖状炭酸エステル溶媒からなる群より選ばれた少なくとも2種以上の混合溶媒とからなることを特徴とする請求項1記載のリチウム/二硫化鉄一次電池。
- 上記混合溶媒の組成が、上記有機溶媒全体の95容量%以下であることを特徴とする請求項16記載のリチウム/二硫化鉄一次電池。
- 上記電解液中にカリウム塩が添加されていることを特徴とする請求項1記載のリチウム/二硫化鉄一次電池。
- 上記カリウム塩が、ふっ化カリウム(KF)、塩化カリウム(KCl)、臭化カリウム(KBr)、ヨウ化カリウム(KI)およびトリフルオロメタンスルホン酸カリウム(KCF3SO3)からなる群より選ばれた少なくとも1種以上からなることを特徴とする請求項18記載のリチウム/二硫化鉄一次電池。
- 上記有機溶媒に対する上記カリウム塩の濃度が0.05mol/l以上0.5mol/l以下であることを特徴とする請求項18記載のリチウム/二硫化鉄一次電池。
- 上記アルキルアミド溶媒に対する上記カリウム塩の濃度が1.0mol/l以下であることを特徴とする請求項18記載のリチウム/二硫化鉄一次電池。
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