以下に添付図面を参照しながら,本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお,本明細書及び図面において,実質的に同一の機能構成を有する構成要素については,同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
本発明の実施の形態にかかる回折光学素子の製造方法では,半導体の微細加工技術を利用した一連のプロセスを繰り返すことにより,周期的な階段形状を有する回折光学素子を製造する。一連のプロセスとは,基板にレジスト塗布し,所定のパターンが形成されたマスクを用いてこの基板を露光および現像して,レジスト除去部とレジスト残留部からなるレジストパターンを形成し,このレジストパターンを用いてエッチングするというものである。
なお,回折光学素子には様々な種類があるが,そのうち2つの例の模式図をそれぞれ図1および図2に示す。図1は,回折格子が直線状に一定の格子ピッチで配列された回折光学素子を示す。図1(a)は,その回折光学素子の平面図であり,回折格子の配列状態を直線で示す。図1(b)は,図1(a)の回折光学素子を紙面に垂直な面で切断した場合の断面の部分拡大図である。図1(b)では,各段の幅が等しい周期的な階段形状の構成が示されている。以下では,図1に示す例をリニアグレーティング型の回折光学素子と呼ぶ。図2は,回折格子が円環状に配列され,その格子ピッチは円の中心から外側にいくに従い小さくなる回折光学素子を示す。図2(a)は,その回折光学素子の平面図であり,回折格子の配列状態を円周で示している。図2(b)は,図2(a)に示す回折光学素子を,円の中心を通り紙面に垂直な面で切断した断面図である。図2(c)は,図2(b)の部分拡大図である。図2(b)は,平凸レンズを光軸方向に関して一定の厚さに輪切りにし,その表面形状を保ったまま位相変化が面内で一定となる領域をだるま落とし的に除去させた形状を示す。図2(c)の点線は,図2(b)で表された曲面を示し,図2(c)では,この曲面を近似した周期的な階段形状の構成が示されている。以下では,図2に示す例をフレネルレンズ型の回折光学素子と呼ぶ。以下では,リニアグレーティング型の回折光学素子の製法例を第1〜第4の実施の形態により説明し,フレネルレンズ型の回折光学素子の製法例を第5の実施の形態により説明する。
以下の第1〜第4の実施の形態の説明では,階段形状が形成される周期の幅をP,最終プロセスで形成される階段の幅をL,段差をDとする。周期の幅Pとは,いわゆる格子ピッチPのことであり,図では一点鎖線でその領域を示す。階段の幅は全て等しいものとし,L=P/kとする。ここで,kは段数であり,例えば8段の階段形状の場合はk=8である。また,階段全体の高さをHとしたとき,段差Dは,D=H/(k−1)で表される。また,階段の最上段を1段目として,それから下段にいくに従い2段目,3段目,…と呼んでいる。なお,図で描かれている基板の厚みは必ずしも正確ではない。また,理解を助けるために,エッチング工程を示す図では,エッチングにより溝を形成した領域を矢印で示している。以下の説明では,エッチング部および非エッチング部を数えるとき,格子ピッチP内の連続した領域を1つとして数えている。例えば,エッチング部または非エッチング部が階段の複数の段にわたる領域となっていても,隣接する複数の段にわたるものであり,連続した領域となっていれば,1つのエッチング部または1つの非エッチング部と数える。ここで一例を挙げれば,後述するように,図3(9)に示す工程では,1段目から6段目までが連続してエッチングされない領域となっており,この領域を1つの非エッチング部とみなす。
本発明の第1の実施の形態にかかる回折光学素子の製造方法について,図3,図4を参照しながら説明する。図3は本発明の第1の実施の形態にかかる回折光学素子の製造方法の工程を示す断面図であり,図4は,図3に続く工程を示す断面図である。本実施の形態では,周期的に形成された7段の階段形状を有する,7位相階段状回折光学素子を製造する方法について述べる。図4(10)に最終的に得られる7段の階段形状と,上記のP,L,D,Hを示す。以下の工程では全て,基板としてシリコンを使用し,エッチング工程では,反応性イオンエッチング装置(RIE装置)を用い,エッチングガスとしてSF6を使用して異方性のドライエッチングを行った。また,フォトリソグラフィー工程では,i線ステッパおよび標準的なポジ型レジストを用いた。
図3(1)〜図3(5)は第1プロセスにおける断面図である。まず,図3(1)に示すように,基板1上にレジスト2を塗布する。次に,図3(2)に示すように,マスク101を用いて露光する。マスク101は,格子ピッチPの中に4つの遮光部と3つの開口部を有し,遮光部と開口部のパターン幅はそれぞれLである。次に,現像を行い,図3(3)に示すレジストパターン121を形成する。レジストパターン121のレジスト残留部とレジスト除去部のパターン幅もそれぞれLとなる。次に,レジストパターン121を用いてエッチングを行い,図3(4)で示す溝形状を形成する。この第1プロセスでのエッチング深さDp1はDである。すなわち,2,4,6段目となる領域を深さDエッチングする。1,3,5,7段目はエッチングされない。このように,格子ピッチPの中に4つの非エッチング部と3つのエッチング部がある。次に,レジストパターン121を除去して,図3(5)に示す溝形状を形成する。このようにして,第1プロセスで,幅Lの溝からなる凹凸の周期構造を形成する。
次に第2プロセスに移行する。図3(6)〜図3(10)は第2プロセスにおける断面図である。まず,図3(6)に示すように,第1プロセスで形成された溝形状を有する基板上にレジスト2を塗布する。次に,図3(7)に示すように,マスク102を用いて露光する。マスク102は,格子ピッチPの中に1つずつの遮光部と開口部を有し,遮光部と開口部のパターン幅はそれぞれ6L,Lである。次に,現像を行い,図3(8)に示すレジストパターン122を形成する。レジストパターン122のレジスト残留部とレジスト除去部のパターン幅もそれぞれ6L,Lとなる。次に,レジストパターン122を用いてエッチングを行い,図3(9)に示す溝形状を形成する。この第2プロセスでのエッチング深さDp2は2Dである。すなわち,7段目となる領域を深さ2Dエッチングする。1〜6段目はエッチングされない。このように,格子ピッチPの中に1つの非エッチング部と1つのエッチング部がある。次に,レジストパターン122を除去して,図3(10)に示す溝形状を形成する。
次に第3プロセスに移行する。図4(1)〜図4(5)は第3プロセスにおける断面図である。まず,図4(1)に示すように,第2プロセスで形成された溝形状を有する基板上にレジスト2を塗布する。次に,図4(2)に示すように,マスク103を用いて露光する。マスク103は,格子ピッチPの中に1つずつの遮光部と開口部を有し,遮光部と開口部のパターン幅はそれぞれ4L,3Lである。次に,現像を行い,図4(3)に示すレジストパターン123を形成する。レジストパターン123のレジスト残留部とレジスト除去部のパターン幅もそれぞれ4L,3Lとなる。次に,レジストパターン123を用いてエッチングを行い,図4(4)に示す溝形状を形成する。この第3プロセスでのエッチング深さDp3は2Dである。すなわち,5〜7段目となる領域を深さ2Dエッチングする。1〜4段目はエッチングされない。このように,格子ピッチPの中に1つの非エッチング部と1つのエッチング部がある。次に,レジストパターン123を除去して,図4(5)に示す溝形状を形成する。
次に第4プロセスに移行する。図4(6)〜図4(10)は第4プロセスにおける断面図である。まず,図4(6)に示すように,第3プロセスで形成された溝形状を有する基板上にレジスト2を塗布する。次に,図4(7)に示すように,マスク104を用いて露光する。マスク104は,格子ピッチPの中に1つずつの遮光部と開口部を有し,遮光部と開口部のパターン幅はそれぞれ2L,5Lである。次に,現像を行い,図4(8)に示すレジストパターン124を形成する。レジストパターン124のレジスト残留部とレジスト除去部のパターン幅もそれぞれ2L,5Lとなる。次に,レジストパターン124を用いてエッチングを行い,図4(9)に示す溝形状を形成する。この第4プロセスでのエッチング深さDp4は2Dである。すなわち,3〜7段目となる領域を深さ2Dエッチングする。1,2段目はエッチングされない。このように,格子ピッチPの中に1つの非エッチング部と1つのエッチング部がある。そして,レジストパターン124を除去することにより,図4(10)に示すような,7段の階段形状を有する回折光学素子を得る。
以上のように,本実施の形態の製造方法では,マスクの開口部のパターン幅は,第1,第2,第3,第4プロセスでそれぞれL,L,3L,5Lであり,後工程のパターン幅は前工程のパターン幅以上になっている。第2プロセス以降では,工程が進むにつれパターン幅が大きくなっている。また,図3(7),図4(2),図4(7)に示すように,第2,第3,第4プロセスでは格子ピッチP内の遮光部と開口部との境界は1箇所である。第2,第3,第4プロセスの露光時には,この境界部分の形状が設計値通りになるように露光条件を決めることになるが,境界部分が1箇所のみであるため,この箇所の誤差を最小にするように最適露光条件を設定すればよい。よって,最適露光条件を一つに固定することができ,高精度に所望の溝形状を形成できる。なお,第1プロセスでは遮光部と開口部との境界は複数箇所あるが,レジスト厚は全て同一であるため,何ら問題なく公知の方法で高精度に溝を形成できる。
図14に示すような従来の方法では,格子ピッチP内の遮光部と開口部との境界は複数箇所あり,且つレジスト深さが異なっていたため,全ての箇所を最適にする露光条件を設定することは困難であった。そのため,従来の方法では,露光時間の過不足により,突起の発生や寸法誤差が生じていたが,本実施の形態では,このような問題を解決することができる。よって,本実施の形態によれば,回折光学素子を構成する階段形状を高精度に製造することができる。これにより,回折効率の向上を図ることができる。
実際に,格子ピッチ3.5μm,段の幅0.5μmの7段の回折光学素子を本実施の形態の方法に従って製造した。製造された回折光学素子では,段差のエッジ部に突起は発生せず,またその段の幅は0.47μmとなり,その誤差は約6%であり,精密な回折光学素子を製造することができた。
なお,本発明の実施の形態にかかる7位相階段状回折光学素子の製造方法について上述したが,既製の7位相階段状回折光学素子が本発明を用いて製造されたものかどうかを判別することが可能である。図5(a),図5(b)を参照しながら,2つの判別方法について述べる。図5(a)は上記の本実施の形態の製造方法を用いて,基板上に製造した7位相階段状回折光学素子の段差形状と,製造に使用するマスク101,102,103,104のパターンの相対的な位置関係を示す。図5(b)は特許文献1に記載の方法で製造した従来の7位相階段状回折光学素子の段差形状と,製造に使用するマスク21,22,23のパターンの相対的な位置関係を示す。回折の法則から,回折光の波長λと基板の屈折率nを用いて,Hは下記式(1)のように表すことができ,また,7位相階段状回折光学素子の場合,Dは下記式(2)のように表すことができる。
図5(a)に示すように,本発明の第1の実施の形態の方法で製造した回折光学素子では,基板表面と階段の最も高い部分とが一致している。そして,基板表面Sから階段の最も低い部分までの高低差Haは,下記式(3)のように表すことができる。
一方,図5(b)に示すように,特許文献1の方法で製造した回折光学素子では,基板表面Sと階段の最も高い部分とは一致していない。そして,基板表面から階段の最も低い部分までの高低差Hbは,回折光の波長λと基板の屈折率nを用いて,下記式(4)のように表すことができる。
よって,回折光学素子と基板表面の高低差を測定し,式(3),式(4)を参照することにより,7位相回折光学素子がいずれの製造方法で製造されたかを知ることができる。これが1つ目の判別方法である。
次に2つ目の判別方法について述べる。上述の各プロセスの説明では,マスクパターン101,102,103,104を用いて基板をエッチングする際,そのエッチング深さを段差Dを用いて表した。しかし厳密に言えば,実際のエッチング深さは諸条件により微小の誤差を含み,エッチング工程ごとに異なる。本実施の形態の製造方法によって製造された回折光学素子の階段形状の各段の段差を図5(a)に示すように,最上段の方から順にHa1,Ha2,…,Ha6とすると,下記のようになる。段差とは,その段とその段に隣接する下段との高さの差である。
Ha1=Dp1
Ha2=Dp4−Dp1
Ha3=Dp1
Ha4=Dp3−Dp1
Ha5=Dp1
Ha6=Dp2−Dp1
上記より,
Ha1=Ha3=Ha5=Dp1
であることがわかる。つまり,階段の奇数段目の段差は全てDp1となる。
一方,従来の製造方法による7位相階段状の回折光学素子の階段形状の各段の段差を図5(b)に示すように最上段の方から順にHb1,Hb2,…,Hb6とすると,下記のようになる。
Hb1=Dc2−Dc3
Hb2=Dc3
Hb3=Dc1−(Dc2+Dc3)
Hb4=Dc3
Hb5=Dc2−Dc3
Hb6=Dc3
上記より,
Hb2=Hb4=Hb6=Dc3
であることがわかる。つまり,階段の偶数段目の段差は全てDc3となる。よって,7位相階段状回折光学素子の各段の段差を測定し,上記関係式を参照することにより,7位相回折光学素子がいずれの製造方法で製造されたかを知ることができる。以上のように,製造された7位相の階段状の回折光学素子において,その基板表面と格子の最も低い段との高低差,または格子の各段差を測定することにより,製造された7位相階段状回折光学素子の制作方法に本発明の技術が使用されているかどうかを確認することが可能となる。
次に,本発明の第2の実施の形態にかかる回折光学素子の製造方法について,図6を参照しながら説明する。図6は本発明の第2の実施の形態にかかる回折光学素子の製造方法の工程を示す断面図である。本実施の形態では,周期的に形成された9段の階段形状を有する9位相階段状回折光学素子を製造する方法について述べる。下記説明で用いられる,P,L,Dの定義は第1の実施の形態のものと同様であり,k=9の場合として考えられる。以下の工程では全て,基板としてシリコンを使用し,エッチング工程では,反応性イオンエッチング装置(RIE装置)を用い,エッチングガスとしてSF6を使用して異方性のドライエッチングを行った。また,フォトリソグラフィー工程では,i線ステッパおよび標準的なポジ型レジストを用いた。
第1プロセスでは,まず,第1の実施の形態の図3(1)に示す工程と同様に,基板1上にレジストを塗布する。次に,図6(1)に示すマスク201を用いて露光,現像を行い,図6(1)に示すレジストパターン221を形成する。マスク201は,格子ピッチPの中に5つの遮光部と4つの開口部を有し,遮光部と開口部のパターン幅はそれぞれLである。レジストパターン221のレジスト残留部とレジスト除去部のパターン幅もそれぞれLとなる。次に,レジストパターン221を用いてエッチングを行い,図6(2)に示す溝形状を形成する。すなわち,2,4,6,8段目となる領域を深さDエッチングする。1,3,5,7,9段目はエッチングされない。このように,格子ピッチPの中に5つの非エッチング部と4つのエッチング部がある。次に,レジストパターン221を除去する。このようにして,第1プロセスで,幅Lの溝からなる凹凸の周期構造を形成する。
次に第2プロセスに移行する。まず,第1プロセスで形成された溝形状を有する基板上にレジストを塗布する。次に,図6(3)に示すように,マスク202を用いて露光,現像を行い,図6(3)に示すレジストパターン222を形成する。マスク202は,格子ピッチPの中に1つずつの遮光部と開口部を有し,遮光部と開口部のパターン幅はそれぞれ8L,Lである。レジストパターン222のレジスト残留部とレジスト除去部のパターン幅もそれぞれ8L,Lとなる。次に,レジストパターン222を用いてエッチングを行い,図6(4)に示す溝形状を形成する。すなわち,9段目となる領域を深さ2Dエッチングする。1〜8段目はエッチングされない。このように,格子ピッチPの中に1つの非エッチング部と1つのエッチング部がある。次に,レジストパターン222を除去する。
次に第3プロセスに移行する。まず,第2プロセスで形成された溝形状を有する基板上にレジストを塗布する。次に,図6(5)に示すように,マスク203を用いて露光,現像を行い,図6(5)に示すレジストパターン223を形成する。マスク203は,格子ピッチPの中に2つずつの遮光部と開口部を有し,2つの遮光部のパターン幅は共に2Lであり,2つの開口部のパターン幅は上段側,下段側がそれぞれ2L,3Lである。レジストパターン223のレジスト残留部のパターン幅は2Lとなり,レジスト除去部のパターン幅は上段側,下段側がそれぞれ2L,3Lとなる。次に,レジストパターン223を用いてエッチングを行い,図6(6)に示す溝形状を形成する。すなわち,3,4,7〜9段目となる領域を深さ2Dエッチングする。1,2,5,6段目はエッチングされない。このように,格子ピッチPの中に2つの非エッチング部と2つのエッチング部がある。次に,レジストパターン223を除去する。
次に第4プロセスに移行する。まず,第3プロセスで形成された溝形状を有する基板上にレジストを塗布する。次に,図6(7)に示すように,マスク204を用いて露光,現像を行い,図6(7)に示すレジストパターン224を形成する。マスク204は,格子ピッチPの中に1つずつの遮光部と開口部を有し,遮光部と開口部のパターン幅はそれぞれ4L,5Lである。レジストパターン224のレジスト残留部とレジスト除去部のパターン幅もそれぞれ4L,5Lとなる。次に,レジストパターン224を用いてエッチングを行い,図6(8)に示す溝形状を形成する。すなわち,5〜9段目となる領域を深さ4Dエッチングする。1〜4段目はエッチングされない。このように,格子ピッチPの中に1つの非エッチング部と1つのエッチング部がある。次に,レジストパターン224を除去することにより,9段の階段形状を有する回折光学素子を得る。
本実施の形態の場合も,第1の実施の形態と同様に,回折光学素子を構成する階段形状を高精度に製造することができ,回折効率の向上を図ることができる。実際に,格子ピッチ4.5μm,段の幅0.5μmの9段の回折光学素子を本実施の形態の方法に従って製造した。製造された回折光学素子では,段差のエッジ部に突起は発生せず,またその段の幅は0.48μmとなり,その誤差は約4%であり,精密な回折光学素子を製造することができた。
次に,本発明の第3の実施の形態にかかる回折光学素子の製造方法について,図7を参照しながら説明する。図7は本発明の第3の実施の形態にかかる回折光学素子の製造方法の工程を示す断面図である。本実施の形態では,周期的に形成された8段の階段形状を有する8位相階段状回折光学素子を製造する方法について述べる。下記説明で用いられる,P,L,Dの定義は第1の実施の形態のものと同様であり,k=8の場合として考えられる。以下の工程では全て,基板としてシリコンを使用し,エッチング工程では,反応性イオンエッチング装置(RIE装置)を用い,エッチングガスとしてSF6を使用して異方性のドライエッチングを行った。また,フォトリソグラフィー工程では,i線ステッパおよび標準的なポジ型レジストを用いた。
第1プロセスでは,まず,第1の実施の形態の図3(1)に示す工程と同様に,基板1上にレジストを塗布する。次に,図7(1)に示すマスク301を用いて露光,現像を行い,図7(1)に示すレジストパターン321を形成する。マスク301は,格子ピッチPの中に4つの遮光部と4つの開口部を有し,遮光部と開口部のパターン幅はそれぞれLである。レジストパターン321のレジスト残留部とレジスト除去部のパターン幅もそれぞれLとなる。次に,レジストパターン321を用いてエッチングを行い,図7(2)に示す溝形状を形成する。すなわち,2,4,6,8段目となる領域を深さDエッチングする。1,3,5,7段目はエッチングされない。このように,格子ピッチPの中に4つの非エッチング部と4つのエッチング部がある。次に,レジストパターン321を除去する。このようにして,第1プロセスで,幅Lの溝からなる凹凸の周期構造を形成する。
次に第2プロセスに移行する。まず,第1プロセスで形成された溝形状を有する基板上にレジストを塗布する。次に,図7(3)に示すように,マスク302を用いて露光,現像を行い,図7(3)に示すレジストパターン322を形成する。マスク302は,格子ピッチPの中に1つずつの遮光部と開口部を有し,遮光部と開口部のパターン幅はそれぞれ6L,2Lである。レジストパターン322のレジスト残留部とレジスト除去部のパターン幅もそれぞれ6L,2Lとなる。次に,レジストパターン322を用いてエッチングを行い,図7(4)に示す溝形状を形成する。すなわち,7,8段目となる領域を深さ2Dエッチングする。1〜6段目はエッチングされない。このように,格子ピッチPの中に1つの非エッチング部と1つのエッチング部がある。次に,レジストパターン322を除去する。
次に第3プロセスに移行する。まず,第2プロセスで形成された溝形状を有する基板上にレジストを塗布する。次に,図7(5)に示すように,マスク303を用いて露光,現像を行い,図7(5)に示すレジストパターン323を形成する。マスク303は,格子ピッチPの中に1つずつの遮光部と開口部を有し,遮光部と開口部のパターン幅は共に4Lである。レジストパターン323のレジスト残留部とレジスト除去部のパターン幅も共に4Lとなる。次に,レジストパターン323を用いてエッチングを行い,図7(6)に示す溝形状を形成する。すなわち,5〜8段目となる領域を深さ2Dエッチングする。1〜4段目はエッチングされない。このように,格子ピッチPの中に1つの非エッチング部と1つのエッチング部がある。次に,レジストパターン323を除去する。
次に第4プロセスに移行する。まず,第3プロセスで形成された溝形状を有する基板上にレジストを塗布する。次に,図7(7)に示すように,マスク304を用いて露光,現像を行い,図7(7)に示すレジストパターン324を形成する。マスク304は,格子ピッチPの中に1つずつの遮光部と開口部を有し,遮光部と開口部のパターン幅はそれぞれ2L,6Lである。レジストパターン324のレジスト残留部とレジスト除去部のパターン幅もそれぞれ2L,6Lとなる。次に,レジストパターン324を用いてエッチングを行い,図7(8)に示す溝形状を形成する。すなわち,3〜8段目となる領域を深さ2Dエッチングする。1,2段目はエッチングされない。このように,格子ピッチPの中に1つの非エッチング部と1つのエッチング部がある。次に,レジストパターン324を除去することにより,8段の階段形状を有する回折光学素子を得る。
本実施の形態の場合も,第1の実施の形態と同様に,回折光学素子を構成する階段形状を高精度に製造することができ,回折効率の向上を図ることができる。実際に,格子ピッチ4.0μm,段の幅0.5μmの8段の回折光学素子を本実施の形態の方法に従って製造した。製造された回折光学素子では,段差のエッジ部に突起は発生せず,またその段の幅は0.47μmとなり,その誤差は約6%であり,精密な回折光学素子を製造することができた。
次に,本発明の第4の実施の形態にかかる回折光学素子の製造方法について,図8を参照しながら説明する。図8は本発明の第4の実施の形態にかかる回折光学素子の製造方法の工程を示す断面図である。本実施の形態では,周期的に形成された5段の階段形状を有する5位相階段状回折光学素子を製造する方法について述べる。下記説明で用いられる,P,L,Dの定義は第1の実施の形態のものと同様であり,k=5の場合として考えられる。以下の工程では全て,基板としてシリコンを使用し,エッチング工程では,反応性イオンエッチング装置(RIE装置)を用い,エッチングガスとしてSF6を使用して異方性のドライエッチングを行った。また,フォトリソグラフィー工程では,i線ステッパおよび標準的なポジ型レジストを用いた。
第1プロセスでは,まず,第1の実施の形態の図3(1)に示す工程と同様に,基板1上にレジストを塗布する。次に,図8(1)に示すマスク401を用いて露光,現像を行い,図8(1)に示すレジストパターン421を形成する。マスク401は,格子ピッチPの中に3つの遮光部と2つの開口部を有し,遮光部と開口部のパターン幅はそれぞれLである。レジストパターン421のレジスト残留部とレジスト除去部のパターン幅もそれぞれLとなる。次に,レジストパターン421を用いてエッチングを行い,図8(2)に示す溝形状を形成する。すなわち,2,4段目となる領域を深さDエッチングする。1,3,5段目はエッチングされない。このように,格子ピッチPの中に3つの非エッチング部と2つのエッチング部がある。次に,レジストパターン421を除去する。このようにして,第1プロセスで,幅Lの溝からなる凹凸の周期構造を形成する。
次に第2プロセスに移行する。まず,第1プロセスで形成された溝形状を有する基板上にレジストを塗布する。次に,図8(3)に示すように,マスク402を用いて露光,現像を行い,図8(3)に示すレジストパターン422を形成する。マスク402は,格子ピッチPの中に1つずつの遮光部と開口部を有し,遮光部と開口部のパターン幅はそれぞれ4L,Lである。レジストパターン422のレジスト残留部とレジスト除去部のパターン幅もそれぞれ4L,Lとなる。次に,レジストパターン422を用いてエッチングを行い,図8(4)に示す溝形状を形成する。すなわち,5段目となる領域を深さ2Dエッチングする。1〜4段目はエッチングされない。このように,格子ピッチPの中に1つの非エッチング部と1つのエッチング部がある。次に,レジストパターン422を除去する。
次に第3プロセスに移行する。まず,第2プロセスで形成された溝形状を有する基板上にレジストを塗布する。次に,図8(5)に示すように,マスク403を用いて露光,現像を行い,図8(5)に示すレジストパターン423を形成する。マスク403は,格子ピッチPの中に1つずつの遮光部と開口部を有し,遮光部と開口部のパターン幅はそれぞれ2L,3Lである。レジストパターン423のレジスト残留部とレジスト除去部のパターン幅もそれぞれ2L,3Lとなる。次に,レジストパターン423を用いてエッチングを行い,図7(6)に示す溝形状を形成する。すなわち,3,4,5段目となる領域を深さ2Dエッチングする。1,2段目はエッチングされない。このように,格子ピッチPの中に1つの非エッチング部と1つのエッチング部がある。次に,レジストパターン423を除去することにより,5段の階段形状を有する回折光学素子を得る。本実施の形態の場合も,第1の実施の形態と同様に,回折光学素子を構成する階段形状を高精度に製造することができ,回折効率の向上を図ることができる。
次に,フレネルレンズ型の回折光学素子の製法例について,第5の実施の形態と変形例を用いて説明する。まず,本発明の第5の実施の形態にかかる回折光学素子の製造方法について,図9,図10を参照しながら説明する。図9は,本発明の第5の実施の形態にかかる回折光学素子の製造方法の工程を示す断面図であり,図10は,図9に続く工程を示す断面図である。本実施の形態では,周期的に形成された7段の階段形状を有する,フレネルレンズ型の7位相階段状回折光学素子を製造する方法について述べる。図10(4)に最終的に得られる7段の階段形状を示す。フレネルレンズ型の回折光学素子では,曲面を近似した階段形状を構成することになるため,格子ピッチ内の階段の幅は一定ではなく,近似すべき曲面のカーブが急になるに従い,階段の幅は徐々に狭くなる。本実施の形態は,第1の実施の形態から階段の幅を変更したものとして考えることができる。
以下の第5の実施の形態と変形例の説明では,階段形状が形成される周期の幅をP,段差をDとする。周期の幅Pとは,いわゆる格子ピッチPのことであり,図では一点鎖線でその領域を示す。また,階段の最上段を1段目として,それから下段にいくに従い2段目,3段目,…と呼んでいる。なお,図で描かれている基板の厚みは必ずしも正確ではない。また,理解を助けるために,エッチング工程を示す図では,エッチングにより溝を形成した領域を矢印で示している。エッチング部および非エッチング部の数え方は,第1〜第4の実施の形態と同様である。以下の工程では全て,基板としてシリコンを使用し,エッチング工程では,反応性イオンエッチング装置(RIE装置)を用い,エッチングガスとしてSF6を使用して異方性のドライエッチングを行った。また,フォトリソグラフィー工程では,i線ステッパおよび標準的なポジ型レジストを用いた。
第1プロセスでは,まず,第1の実施の形態の図3(1)に示す工程と同様に,基板1上にレジストを塗布する。次に,図9(1)に示すマスク501を用いて露光,現像を行い,図9(1)に示すレジストパターン521を形成する。マスク501は,格子ピッチPの中に4つの遮光部と3つの開口部を有する。次に,レジストパターン521を用いてエッチングを行い,図9(2)に示す溝形状を形成する。すなわち,2,4,6段目となる領域を深さDエッチングする。1,3,5,7段目はエッチングされない。このように,格子ピッチPの中に4つの非エッチング部と3つのエッチング部がある。次に,レジストパターン521を除去する。このようにして,第1プロセスで,凹凸の周期構造を形成する。
次に第2プロセスに移行する。まず,第1プロセスで形成された溝形状を有する基板上にレジストを塗布する。次に,図9(3)に示すように,マスク502を用いて露光,現像を行い,図9(3)に示すレジストパターン522を形成する。マスク502は,格子ピッチPの中に1つずつの遮光部と開口部を有する。次に,レジストパターン522を用いてエッチングを行い,図9(4)に示す溝形状を形成する。すなわち,7段目となる領域を深さ2Dエッチングする。1〜6段目はエッチングされない。このように,格子ピッチPの中に1つの非エッチング部と1つのエッチング部がある。次に,レジストパターン522を除去する。
次に第3プロセスに移行する。まず,第2プロセスで形成された溝形状を有する基板上にレジストを塗布する。次に,図9(5)に示すように,マスク503を用いて露光,現像を行い,図9(5)に示すレジストパターン523を形成する。マスク503は,格子ピッチPの中に1つずつの遮光部と開口部を有する。次に,レジストパターン523を用いてエッチングを行い,図10(1)に示す溝形状を形成する。すなわち,5〜7段目となる領域を深さ2Dエッチングする。1〜4段目はエッチングされない。このように,格子ピッチPの中に1つの非エッチング部と1つのエッチング部がある。次に,レジストパターン523を除去する。
次に第4プロセスに移行する。まず,第3プロセスで形成された溝形状を有する基板上にレジストを塗布する。次に,図10(2)に示すように,マスク504を用いて露光,現像を行い,図10(2)に示すレジストパターン524を形成する。マスク504は,格子ピッチPの中に1つずつの遮光部と開口部を有する。次に,レジストパターン524を用いてエッチングを行い,図10(3)に示す溝形状を形成する。すなわち,3〜7段目となる領域を深さ2Dエッチングする。1,2段目はエッチングされない。このように,格子ピッチPの中に1つの非エッチング部と1つのエッチング部がある。次に,レジストパターン524を除去することにより,図10(4)に示すような,7段の階段形状を有するフレネルレンズ型の回折光学素子を得る。
本実施の形態の場合も,第1の実施の形態と同様に,回折光学素子を構成する階段形状を高精度に製造することができ,回折効率の向上を図ることができる。特に,本実施の形態では,第1の実施の形態からマスクのパターン幅を変更するだけで,その他は同様にして,所定の曲面を近似した階段形状を有するフレネルレンズ型の回折光学素子を得ることができる。なお,フレネルレンズ型の回折光学素子の製造法は7段の階段形状に限るものではなく,他の段数の場合もマスクのパターン幅を変更するだけで同様に作製可能である。
上記の第1〜第5の実施の形態にかかる製法と,従来の製法における各プロセスでの非エッチング部とエッチング部の数を下表に示す。表中の従来例1および従来例2はそれぞれ,本明細書の背景技術で説明した8段および7段の階段形状の製法によるものである。これら従来例でのエッチング部および非エッチング部の数え方も,第1〜第5の実施の形態と同様である。
上記表1からわかるように,本発明の第1〜第5の実施の形態にかかる製造方法では,階段の段数をkとしたとき,第1プロセスでは,1周期の領域(格子ピッチPの領域)におけるエッチング部の数と非エッチング部の数は,kが偶数の場合はともにk/2であり,kが奇数の場合はそれぞれ(k−1)/2と(k+1)/2であり,第2プロセスでは,1周期の領域におけるエッチング部の数と非エッチング部の数はそれぞれ,1回目のプロセスのものより少ない。特に,第1,第3〜第5の実施の形態にかかる製造方法では,第2プロセス以降では1周期の領域におけるエッチング部の数と非エッチング部の数は共に1つである。逆に,従来の製造方法では,エッチング部および非エッチング部の数は,第1プロセスで1つであり,第2プロセス以降では順に増加している。
エッチング部と非エッチング部の数はそのままレジスト除去部とレジスト残留部の数に相当する。本発明の実施の形態の製法によれば,1周期の領域内のレジスト除去部とレジスト残留部の数は1回目のプロセスで最も多く,後のプロセスではそれより減少する。したがって,レジスト除去部とレジスト残留部の境界の数は,1回目のプロセスで最も多く,後のプロセスではそれより減少する。一般に,後工程になるほど,段ごとのレジスト厚の差が生じ,レジストパターン形状に誤差が発生しやすくなる。誤差はレジスト除去部とレジスト残留部の境界で生じる。以上のことから,本発明の実施の形態の製法によれば,誤差を少なくでき,階段形状を有する回折光学素子を高精度に製造することができる。特に,第1,第3〜第5の実施の形態にかかる製造方法では,段数が増える2回目以降のプロセスで,1周期の領域内の境界は1つになる。よって,レジストパターンの誤差を考慮する箇所は1箇所のみとなり,この箇所で誤差が生じないよう露光条件を決めればいいため,最適な条件を容易に決定することができる。
次に,第5の実施の形態の変形例にかかる回折光学素子の製造方法について,図11を参照しながら説明する。図11は,この変形例にかかる回折光学素子の製造方法の工程を示す断面図である。この変形例は,第5の実施の形態の第1プロセスと第2プロセスの順番を入れ替えて,図10(4)に示す7段の階段形状を有するフレネルレンズ型の回折光学素子を製造する方法に関する。この相違点に着目して説明し,同様な点は一部重複説明を省略する。
第1プロセスでは,まず,第1の実施の形態の図3(1)に示す工程と同様に,基板1上にレジストを塗布する。次に,図11(1)に示すマスク601を用いて露光,現像を行い,図11(1)に示すレジストパターン621を形成する。次に,レジストパターン621を用いてエッチングを行い,図11(2)に示す溝形状を形成する。すなわち,7段目となる領域を深さ2Dエッチングする。最下段の7段目となる領域は,格子ピッチPの中で最も幅が狭い領域である。次に,レジストパターン621を除去する。
次に第2プロセスに移行する。まず,第1プロセスで形成された溝形状を有する基板上にレジストを塗布する。次に,図11(3)に示すように,マスク602を用いて露光,現像を行い,図11(3)に示すレジストパターン622を形成する。次に,レジストパターン622を用いてエッチングを行い,図11(4)に示す溝形状を形成する。すなわち,2,4,6段目となる領域を深さDエッチングする。次に,レジストパターン622を除去する。この時点で基板1に形成された溝形状は,図9(4)に示すものと同じになる。よって,次に,第5の実施の形態の第3プロセスに移行し,以降は同様に図9(5),および図10(1)〜図10(3)を用いて説明したプロセスで作製することにより,本変形例の場合も,図10(4)に示すような,7段の階段形状を有するフレネルレンズ型の回折光学素子を得る。
本変形例は,第1プロセスで最も幅が狭い最下段をエッチング加工する点が特徴である。一般に,後工程に進むにつれて,段差が増し,段ごとのレジスト厚の差が増すため,後工程になるほど,最小パターン幅を高精度に形成するのは難しい。一方,第1プロセスでは,平坦な基板上にレジストが塗布されており,レジスト厚は均一であるから,この状態で高精度に最小パターン幅を形成するのは容易である。本変形例の製法では,この第1プロセスで最小パターン幅となる部分を加工するようにしているため,最小パターン幅を高精度に形成することが容易にできる。
なお,この変形例の方法は,第5の実施の形態の方法の第1プロセスと第2プロセスを入れ替えたものであるから,当然,7段の階段形状に関する第1の実施の形態にも適用可能である。また,5,9段の階段形状に関する第4,第2の実施の形態でも,第1プロセスと第2プロセスを入れ替えることにより,本変形例の方法を採用することができる。さらに,本変形例は,第4,第2の実施の形態のパターン幅を変更して5,9段の階段形状を有するフレネルレンズ型の回折光学素子を得る場合にも適用可能である。
以上,添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明したが,本発明は係る例に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば,特許請求の範囲に記載された範疇内において,各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり,それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
上記第1〜4の実施の形態においては,基板としてSiを使用し,エッチングガスとしてSF6を使用しているが,GaAsやInP,石英など,レンズとして使用可能な素材と,それに対応した異方性エッチングが可能なエッチングガスを用いることも可能である。例えば,基板にSiを使用した場合,エッチングガスとしてC4F8,CBrF3,CF4+O2,Cl2,SiCl4+Cl2,SF6+N2+Ar,BCl2+Cl2+Arが使用可能であり,基板にpoly−Siを使用した場合,エッチングガスとしてCl2,Cl2+HBr,Cl2+O2,CF4+O2,SF6,Cl2+N2,Cl2+HCl,HBr+Cl2+SF6が使用可能であり,基板にSi3N4を使用した場合,エッチングガスとしてCF4,CF4+O2,CF4+H2,CHF3+O2,C2F6,CHF3+O2+CO2,CH2F2+CF4が使用可能であり,基板にSiO2を使用した場合,エッチングガスとしてCF4,C4F8+O2+Ar,C5F8+O2+Ar,C3F6+O2+Ar,C4F8+CO,CHF3+O2,CF4+H2が使用可能であり,基板にAlを使用した場合,エッチングガスとしてBCl3+Cl2,BCl3+CHF3+Cl2,BCl3+CH2+Cl2,B+Br3+Cl2,BCl3+Cl2+N2,SiO4+Cl2が使用可能であり,基板にCuを使用した場合,エッチングガスとしてCl2,SiCl4+Cl2+N2+NH3,SiCl4+Ar+N2,BCl3+SiCl4+N2+Ar,BCl3+N2+Arが使用可能であり,基板にTa2O5を使用した場合,エッチングガスとしてCF4+H2+O2が使用可能であり,基板にTiNを使用した場合,エッチングガスとしてCF4+O2+H2+NH3,C2F6+CO,CH3F+CO2,BC3+Cl2+N2,CF4が使用可能であり,基板にSiOFを使用した場合,エッチングガスとしてCF4+C4F8+CO+Arが使用可能である。
また,上記実施の形態では,マスクのパターンを用いてレジストパターンを形成したが,本発明はこれに限定されるのものではなく,電子ビームで直接描画してレジストパターンを形成する方法を用いてもよい。また,使用するレジストはポジ型に限定されるものではなく,ネガ型レジストを用いることも可能である。この場合,マスクのパターンとしては,前述の各例で示したマスクのパターンに対し,反転したものとなる。また,フォトリソグラフィー工程では,i線ステッパだけでなく,X線リソグラフィー等の別のリソグラフィー方法を用いてもよい。なお,上記フレネルレンズ型の回折光学素子は,例えば,光通信用のレーザコリメータレンズや,フォトダイオード用集光レンズとして応用することが考えられる。