JP2005140595A - 電波時計及びその時刻修正方法 - Google Patents
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Abstract
本発明が解決しようとする問題点は、時刻修正時に時間のとびが発生するようなことがなく、連続した時刻表示を行いながら該表示時刻を標準時刻に精度よく追従させることを可能とすると共にアナログ時計に対しても機構に無理をかけることなく標準時刻追従を実施できる時刻修正方法及びその機能を備えた装置を提供することである。
【解決手段】
本発明の時刻修正方法は、定期的に標準時の時刻信号を受信する機能を備えた時計において、前回受信時から今回受信時の間に当該時計の歩進量を検知して標準時との歩進誤差を算出すると共に、今回受信時における時刻表示誤差を検出して所定の修正期間で標準時に到達する修正クロックを算出し、修正期間の間は当該修正クロックによって歩進させ、修正期間終了後は前記歩進誤差を補正した補正クロックにて歩進させるようにした。
【選択図】 図2
Description
そこで、本出願人は先に特許文献2の発明を提示し特許出願した。これは、標準時刻より進めるクロックと標準時刻より遅らせる2種類のクロックを生成するクロック信号生成手段と、該クロック信号生成手段により生成されたクロック信号に基づいて時刻出力を行う計時手段と、外部で生成された標準時刻情報を取得する標準時刻情報取得手段と、該標準時刻情報取得手段による標準時刻の取得時に前記計時手段が出力する時刻の標準時刻に対する進み・遅れを検出する誤差検出手段と、該誤差検出手段の検出結果に応じて誤差を打消す方向のクロックを切替選択するクロック周期選択手段を備えたものであり、表示時刻が常にある誤差範囲内に収まっていると共にその表示時刻情報から標準時刻が補間法を用いて算出できるものである。したがって、この時刻修正方法は前述したこの種の測定装置において求められる「常に正しい時刻を割り出すことが出来る状態を堅持しておく」という必要条件を満たすものであるが、標準時により近い表示をさせたいという時計としての本来的な要求には十分に応えるものではなかった。
また、本発明の時刻修正機能付き時計は、定期的に標準時の時刻信号を受信する手段と、時計を駆動するためのパルスを発振するための自励発振装置と、前記発振装置の信号により単位時間のパルスを得るための分周比可変な分周器と、受信した標準時と前回受信した標準時の間に自励発振装置から発生したパルスの総数をカウントするカウンタと、このカウンタの値から前記発振装置の発振周波数を算出して単位時間パルスを得るための分周比を決定すると共に、所定の修正期間で標準時に到達する修正クロックパルスを算出する演算手段とを備えたものであって、前記修正期間で時刻表示を標準時に合わせ、その後は標準時に合わせた前記単位時間パルスで歩進させるようにした。
本発明の時刻修正機能付き時計は、上記のような構成を採るものであるから、時刻修正時に時間のとびが発生するようなことがなく、連続した時刻表示を行いながら該表示時刻を標準時刻に精度よく追従させることを可能とする時計を、従来のクオーツ時計の構成を大きく変えることなく演算手段の機能とその結果の処理によって実現させることができる。また、常に自励発振器の周波数を測定し、測定した周波数に最適な分周比で分周して単位時刻信号をつくりだすので、非常に誤差の少ない時刻情報を得ることができ、かつ、経年変化の影響を受けることがない。修正時刻の受信に失敗しても、また標準電波の停止があった際にも修正周期の複数倍のパルスカウンターを備えておけば問題なく修正動作を実行することができる。
更にこの時刻修正方式を少なくとも時針と分針とを備えたアナログ時計に適用した場合にはその機械的部分を一切変更する必要がなく、そのメカニズムに対して無理をかけることなく標準時刻追従を実施させることができる。
今、校正時刻Tnが受信されたとし、前回の校正時刻Tn-1から今回の校正時刻Tnを受信するまでの間に本時計の自励発振装置から出力されたパルス信号のパルス総数SNをカウンタで数えておく。そうすると、自励発振装置の発振周波数のこの期間の平均値はSN/(Tn-Tn-1)[Hz]であったことになる。この周波数をf[Hz]とすると、次の校正時刻Tn+1に達するまでの間、自励発振装置の平均発振周波数は大きな変動はないものと予測され、f[Hz]に近いものと推測できるであろう。自励発振装置の発振周波数が推定できれば、本時計の単位時刻を得るための最適な分周器の分周比を計算により決定することができる。すなわち本時計の単位時間をUT秒としたとき、発振周波数f[Hz]の信号から単位時間UT秒の周期のパルス信号を得るためには、分周比Rの値はR0=f×UTとなり、分周器の分周比をその値R0に設定すれば標準時に即した歩進を確保することができる。
そこで、本発明ではその飛び現象を発生させない方法を提示する。すなわち、本発明が採用する方法は一気にズレ分を修正することなくある修正期間を設け、目標時間TO後に本時計の表示時刻が正しい時刻を表示するように可変分周器の分周比を調整するものである。たとえば、校正時刻Tnに、本時計の表示時刻がTn’であり、自励発振装置の発振周波数がf[Hz]であったとすると、修正期間TOの間に、自励発振装置からはf×TO個のパルスが出力されるのであるが、修正期間の終了時刻Tn+TOの時点で本時計の表示時刻がTn+TOとなるようにするためには、本時計において、単位時間パルスの数として、(Tn+TO-Tn’)/UT個が必要となる。そのため、この修正期間における可変分周器の分周比Rの値をRC=UT×f×(TO)/(Tn+To-Tn’)として修正クロックを作って歩進させれば、本時計の表示時刻は時刻Tn+TOの時点で、過去の誤差の積算値である時刻の表示ズレは修正され、標準時刻Tn+TOに近い時刻が表示されることになる。そして、その後は分周比Rの値をR0=f×UTに設定することにより、標準時に即した歩進で順次時刻が表示される。本発明におけるこれらの時刻の関係は、図1に示されるとおりである。
説明を簡単にするため時刻の表示は秒単位とする。ある標準時Tnが10,000秒のとき、校正時刻の受信があり、そのときの本時計の表示時刻が9,998秒で、パルスの総数カウンタの値SNが9,977,778であったとする。この値は前回の校正時刻と今回の校正時刻間、すなわち1,000秒間に自励発振装置から出力されたパルスの総数であり、この間の自励発振装置の発振周波数fは、パルス総数SNを1,000で割った9,977Hz(小数点以下切捨て)と推定できる。したがって、この周波数から1秒の単位時間を得るには分周器の分周比Rを9,977に設定すればよい。標準時Tn(10,000秒)での本時計の表示時刻Tn’は9,988秒であり2秒遅れている。表示時刻修正期間TO(100秒)後、すなわち、標準時刻10,100秒の時点で本時計の表示時刻も10,100秒となるようにしたい。そのための分周比RCは、前述の通りRC=UT×f×(TO)/(Tn+To-Tn’)で計算でき、小数点以下を切捨てて9781の値を得る。この分周比9781で分周して得た修正クロックパルスで時計を歩進させると、100秒後に標準時に極めて近い時刻を表示することができる。その後、分周比を9977で分周して得た補正クロックパルスで時計を歩進させて標準時に極めて近い表示を持続することができる。
また、外部から入力される正確な時刻とその時刻における本発明の時計の表示時刻、分周器の分周比を変更した本時計の表示時刻と分周比を記録しておくことにより、これらのデータを用いて補間計算することにより、誤差を含んでいた過去の本時計の表示時刻をある程度の精度で割り出し補正することが可能となる。この機能は、物理量の時間的変化を観察する測定装置における測定時刻の精度を高めることに有効である。なお、この補間計算については、特許文献2に詳しく述べられている。
本実施例では、校正時刻の間隔を1時間(3,600秒)とし、校正時刻受信装置6は、標準電波を正常に受信できたときは、標準時の毎時の立ち上がりに制御器5にパルスcを送出する。JJYの標準電波の受信、及び時刻読み出し等の技術は従来技術を利用するものとし、ここでは校正時刻受信装置6の詳細な説明は省略する。また、表示時刻の修正時間を30分(1,800秒)とする。
分周器3は、分周比Rが可変な分周器であり、発振回路の出力パルスの周波数を1/Rに分周して、1秒間隔の単位時間パルスaを出力する。分周比のRは制御器5から設定される。このような分周比が可変な分周器は従来技術で実現できる。
制御器5は、レジスタ、AND回路、OR回路などのデジタル回路で構成することも可能であるが、回路が複雑になる。そこで、マイクロコンピュータなどのコンピュータを利用するのが簡便である。制御器5に入力される信号は、校正時刻受信装置6からの校正時刻に送出されるパルスcと時刻表示装置4から送られてくる表示時刻の毎時30分を示すパルスdである。これらの信号は制御器内のコンピュータの割込み信号とする。標準電波が正常に受信できる状態では、パルスcとパルスdは、それぞれ1時間間隔で発生するが、発生するタイミングはそれぞれ30分ずれている。
SN:校正時刻におけるカウンタ7の値を納格する変数
DS:校正時刻における時刻表示装置4の秒表示の値を納格する変数
R0:水晶発振回路推定周波数を納格する変数で、R0の値は、単位時間を得るための分周比となる。
N:パルスdの割込みごとに+1が加算される変数、すなわち、その値は表示時刻の毎時30分に+1が加算、校正時刻では前回の校正時刻から今回の校正時刻までの間の時間を示す。水晶発振周波数を推定した後、0にクリアされる。
FG: 表示時刻修正中を示すフラグで、1のとき修正中を示す。
(1) カウンタ7の値を読み取り、変数SNにその値を格納する。
(2) カウンタ7にリセット・パルスを送り、カウンタ7の値を0にクリアする。
(3) 時刻表示装置4から秒表示の値を読みとり、変数DSにその値を格納する。DSの値(秒表示)は、標準電波の停止などで校正機能が実行されない最大の時間を36時間としており、水晶振動子の誤差は1日24時間で±2秒であるから、56、57、58、59、0、1、2、3、4のいずれかである。
(4) 水晶発振周波数fを計算する。この計算は、 SN/(3,600×N)
で行われ、小数点以下は切り捨てられその計算結果が変数R0に格納される。Nは変数Nに格納されている値であり、前回の校正時間から今回の校正時間までの時間を示している。3,600×NはN時間の秒単位の値である。変数Nはパルスdで1が加算され、この周波数の計算後0にクリアされる。
(5) 変数Nを0にクリアする。
(6) 変数DSの値が0となるときはこの割り込み処理はここで終了する。
(7) 変数DSの値が0でないときは修正時間の間に表示時刻を修正するための分周比を計算する。この分周比は、UT×f×(TO)/(Tn+TO-Tn')で計算できる。UTは単位時間でここでは1秒、TOは表示時刻の修正期間の時間でここでは1,800秒、Tn-Tn'は、校正時刻Tnとそのときの表示時刻Tn'の差であり、ここでは−4(56)、−3(57)、−2(58)、−1(59)、0(0)、1(1)、2(2)、3(3)、4(4)のいずれかとなる。なお、カッコ内の数は時刻表示装置4から読み出される変数DSに格納されている秒表示の値である。これらの値からTO/(Tn+TO-Tn')を計算すると次のようになる。
ここで、TO/ (Tn+TO-Tn')をkとおくと、(Tn+TO)秒後に表示時刻が標準時に近い時刻を示すための分周比はf×kである。fの値は上記(4)で計算し変数R0に格納されている。したがって、R0の値×kを計算すると表示時刻修正のための分周比が求められる。コンピュータ内に上で計算した値をDSの値とそれに対するkの値の対応表として表1のような形で格納しておく。そして、変数DSを読み出し、それに対応するkと変数R0の値との積を計算し、その整数部分を分周器の分周比として分周器に設定する。
(8) 時刻修正中フラグFGを1に設定する。
(9) 割込み処理を終了する。
(1) 変数Nの値に+1を加算する。
(2) もし、時刻修正中フラグFGが1であれば変数R0の値を分周器の分周比として設定する。
(3) 時刻修正中フラグFGを0にクリアする。
(4) 割込み処理を終了する。
以上の構成で標準時に追従する時計を実現することができる。
これらのプログラムで使用する変数名は次の通りである。
TIME_D: 時計の表示時刻
TIME_C: 校正時刻
TIME_CO:前回の校正時刻
TIME_CI:校正時刻の時間間隔
TIME_O:表示時刻の修正完了時刻
TIME_OI:表示時刻修正時間
TIME_CS:校正作業開始時刻
TIME_CE:校正失敗判定時刻
f :自励発振装置の推定周波数
UT :時計の単位時間
R :分周比
RC :時刻修正時の分周比
RO :時刻修正終了後の分周比
CN :単位時間を得るためのカウンタ
SN :fを計算するためのカウンタ
・表示時刻の更新 (TIME_D=TIME_D+UT)
・表示時刻TIME_Dと表示時刻の修正完了時刻TIME_Oを比較して一致していれば、分周比Rの値をRO(=f×UT)に変更する。
・表示時刻TIME_Dと校正作業開始時刻TIME_CSを比較して一致していれば、校正時刻受信装置4に今回の校正時刻TIME_Cと校正作業開始信号を制御信号CNTLに出力し、校正作業中フラグFOCをオンし、標準時刻を受信するはずの期間終了時刻としての校正失敗判定時刻TIME_CEを設定する。
・表示時刻TIME_Dと校正失敗判定時刻TIME_CEを比較して一致していれば、校正時刻受信装置4に校正作業中止信号を制御信号CNTLに出力し、今回の校正時刻TIME_CにTIME_CIを加算して、今回の校正時刻TIME_Cを更新し、同じく校正作業開始時刻TIME_CSも更新する。
時刻TIME_Cに時刻校正時刻を受信すると、自励発振装置の周波数fは、前回の校正時刻TIME_OとカウンタSNから時間(TIME_C-TIME_CO)における平均値として、
f=SN/( TIME_C-TIME_CO)
で計算できる。次回の校正時刻まで、自励発振装置の発振周波数がこの周波数fであるとみなしても実際上そんなに大きな狂いとなることはない。
とすればよい。そして、計算したRCを分周器の分周比Rに設定する。分周器の分周比をRCに設定すると、この修正クロックパルスの歩進により時刻TIME_Oで、時計の表示時刻もTIME_Oに近い時刻を表示することが期待できる。時刻TIME_O後は、分周器の分周比をRO=f×UTに設定変更し、標準時に対応した補正クロックパルスの歩進とする。現在の校正時刻TIME_Cは、変数TIME_CO(前回の校正時刻)に代入して保存し、次回の校正時刻を変数TIME_Cに設定する。設定される値は、現在のTIME_Cに校正時刻の時間間隔TIME_CIを加算したものである。
2 発振回路 b 発振回路からの出力信号
3 分周器 (実施例2では割り込み信号となる)
4 時刻表示装置 c 校正時刻からの割り込み信号
5 制御器 d 表示時刻毎30分を示す割込み信号
6 校正時刻受信装置 t 校正時刻情報
7 カウンタ
8 コンピュータ
Claims (4)
- 定期的に標準時の時刻信号を受信する機能を備えた時計において、前回受信時から今回受信時の間に当該時計の歩進量を検知して標準時との歩進誤差を算出すると共に、今回受信時における時刻表示誤差を検出して所定の修正期間で標準時に到達する修正クロックを算出し、修正期間の間は当該修正クロックによって歩進させ、修正期間終了後は前記歩進誤差を補正した補正クロックにて歩進させるようにした時刻修正方法。
- 定期的に標準時の時刻信号を受信する手段と、時計を駆動するためのパルスを発振するための自励発振装置と、前記発振装置の信号により単位時間のパルスを得るための分周比可変な分周器と、受信した標準時と前回受信した標準時の間に自励発振装置から発生したパルスの総数をカウントするカウンタと、このカウンタの値から前記発振装置の発振周波数を算出して単位時間パルスを得るための分周比を決定すると共に、表示時刻が所定の修正期間で標準時に到達する修正クロックを算出する演算手段とを備えたものであって、前記修正期間で時刻表示を標準時に合わせ、その後は標準時に合わせた前記単位時間パルスで歩進させる時刻修正機能付き電波時計。
- パルスの総数をカウントするカウンタは標準電波がメンテナンス時に停止される期間を越える容量を備えたものである請求項2に記載の時刻修正機能付き電波時計。
- 少なくとも時針と分針とを備えたアナログ時計である請求項2または3に記載の時刻修正機能付き電波時計。
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