JP2005139986A - ガソリン自着火エンジンの燃焼制御方法 - Google Patents

ガソリン自着火エンジンの燃焼制御方法 Download PDF

Info

Publication number
JP2005139986A
JP2005139986A JP2003376518A JP2003376518A JP2005139986A JP 2005139986 A JP2005139986 A JP 2005139986A JP 2003376518 A JP2003376518 A JP 2003376518A JP 2003376518 A JP2003376518 A JP 2003376518A JP 2005139986 A JP2005139986 A JP 2005139986A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
crank angle
fuel injection
injection amount
engine
ignition
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2003376518A
Other languages
English (en)
Inventor
Hideyuki Nishida
秀之 西田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Toyota Motor Corp
Original Assignee
Toyota Motor Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Toyota Motor Corp filed Critical Toyota Motor Corp
Priority to JP2003376518A priority Critical patent/JP2005139986A/ja
Publication of JP2005139986A publication Critical patent/JP2005139986A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • Electrical Control Of Air Or Fuel Supplied To Internal-Combustion Engine (AREA)
  • Combined Controls Of Internal Combustion Engines (AREA)

Abstract

【課題】 予混合圧縮自着火燃焼において、燃焼時期の制御精度を向上する。
【解決手段】 エンジンを自着火運転する際に、各シリンダの筒内圧力を計測し、この値に基づいて熱発生量が最大となる着火クランク角を求める。そして、この着火クランク角が、燃焼時期の目標クランク角に近づくよう、両者の偏差Δθに応じて、燃料噴射量を補正する。つまり、着火クランク角が目標クランク角よりも遅角側にある場合には、燃料噴射量を増大させ、進角側にある場合には、燃料噴射量を低減させる。こうすることで、燃焼時期を精度良く目標クランク角に合わせることが可能となる。
【選択図】 図2

Description

本発明は、ガソリン自着火エンジンにおいて、自着火による燃焼時期を制御する方法に関する。
内燃機関の燃焼方式として、近年、通常のガソリンエンジンのような「予混合火花点火燃焼方式」や、通常のディーゼルエンジンのような「拡散燃焼方式」に代わる、新たな燃焼方式が模索されている。このような新たな燃焼方式の1つとして、燃焼室内に予め混合気を形成しておき、これを圧縮して自着火させる「予混合圧縮自着火燃焼方式」がある。予混合圧縮自着火燃焼方式(以下、単に「自着火」と称する)は、超リーン混合気を高圧縮比で圧縮し、一気に自着火燃焼させて短時間に燃焼を完了させる燃焼方式であり、原理的には、排気中に含まれる大気汚染物質の量と燃料消費量とを同時に、しかも大幅に低減することが可能と考えられている。
ガソリンエンジンを円滑、効率的に運転するためには、エンジンの回転数および負荷に応じて、燃焼時期を制御する必要がある。適正なタイミングよりも燃焼時期が早い場合には、騒音、トルクショック、効率低下などの弊害を招くおそれがある。燃焼時期が遅い場合には、失火、効率低下などの弊害を招くおそれがある。自着火の場合には、燃料の噴射量または空燃比、シリンダ内の圧縮比、温度などが燃焼時期に影響を与え得る。例えば、特許文献1では、シリンダ内の圧力、即ち筒内圧力の上昇率の最大値などに基づいて、燃料噴射量または噴射時期を制御することで、燃焼時期を制御する技術が開示されている。
特開2001−323832号公報
しかし、従来の方法では、自着火における燃焼時期の制御精度に改善の余地があった。筒内圧力は、混合気の燃焼と、ピストンの上下運動による圧縮・膨張の双方から影響を受ける。従って、筒内圧力の上昇率の最大値は、必ずしも実際の燃焼時期に一致するとは限らず、これをパラメータとしても燃焼時期の制御精度は不十分であった。本発明は、かかる課題に鑑み、自着火における燃焼時期の制御精度の向上を図ることを目的とする。
本発明のエンジンシステムは、ガソリンを圧縮自着火によってシリンダ内で燃焼させ、クランクシャフトから回転動力を出力可能なエンジンと、エンジンの運転を制御するエンジン制御装置を有する。エンジン制御装置は、シリンダ内の圧力である筒内圧に基づき、燃焼による熱発生率が最大となる着火クランク角を求める。そして、こうして求められた着火クランク角と、予め設定された目標クランク角との偏差に応じて燃料噴射量をフィードバック制御する。熱発生率は、燃焼による影響を顕著に受けるパラメータであるため、本発明は、この値を用いることにより、燃焼時期を精度良く検出することが可能となる。
熱発生率は、種々の方法で求めることができる。例えば、筒内圧を用いた次式(1)によって算出してもよい。
dQ/dθ={κ・P・(dV/dθ)+V(dP/dθ)}/(κ−1) ...(1)
ここで、
dQ/dθ...熱発生率;
P...筒内圧;
θ...クランク角;
V...実筒内容積;
κ...混合気の比熱比
燃料噴射量は、着火クランク角が目標クランク角よりも遅角している場合には燃料噴射量を増大させ、進角している場合には燃料噴射量を減少させるよう制御することにより、燃焼時期を目標クランク角に近づけることができる。燃料噴射量に対する増減量は、固定値であってもよいし、着火クランク角と目標クランク角の偏差に応じて決定してもよい。
燃料噴射量の制御は、エンジンの回転数および負荷に応じて定められた標準の燃料噴射量を求めた上で、着火クランク角と目標クランク角の偏差に応じてこの値を補正するようにしてもよい。補正は、例えば、偏差に応じて予め設定された補正量を用いる方法を採ることができる。補正量は、標準の燃料噴射量に乗じる補正係数の形で与えても良いし、標準の燃料噴射量に対する燃料変化量として与えても良い。
補正量は、種々の設定が可能であり、例えば、偏差に応じて不連続的、段階的に変化するよう設定してもよい。また、補正量は、予め設定された上下限の範囲内で、偏差に応じて単調関数となるよう設定してもよい。単調関数としておけば、偏差に応じて滑らかに燃料噴射量を変化させることができ、着火クランク角を目標クランク角近傍に収束させることが可能となる。また、単調関数に上下限を設定しておくことにより、偏差が大きい場合に補正量が過大となり、失火や極端なトルクショックなどの弊害が生じることを回避できる。
補正量には、偏差の絶対値が所定値よりも小さい範囲で、不感帯を設けても良い。こうすることで、偏差が比較的小さい範囲では、燃料噴射量が一定値に保たれるため、制御遅れなどに起因する燃料噴射量の変動を抑制することができる。
絶対値同一となる2つの偏差における補正量を比較した場合に、偏差に対する燃料増加量が偏差に対する燃料減少量の絶対値よりも大きくなるよう補正量を設定してもよい。つまり、燃料噴射量が標準値よりも多い側に偏るよう制御してもよい。こうすることにより、燃料不足に伴う失火の可能性を抑制することができ、エンジンを安定的に運転させることが可能となる。
本発明において、目標クランク角は、固定値としてもよいし、エンジンの回転数および負荷に応じて設定可能としてもよい。前者では、制御が容易となる利点があり、後者では、エンジンの出力効率をより向上させることができる利点がある。例えば、回転数が大きい程、目標クランク角を遅角側に移行させたり、負荷が大きい程、目標クランク角を遅角側に移行させたりする設定を用いることができる。
本発明は、可変サイクルエンジンに適用してもよい。この場合、目標クランク角を、エンジンの運転サイクルに応じて設定してもよい。例えば、2サイクル運転と4サイクル運転が可能なエンジンでは、2サイクル運転時に比べて4サイクル運転時は目標クランク角が進角側に来るような設定を適用することができる。一般に、4サイクル運転時には、シリンダ内の残留ガスの温度が低くなり、失火を招きやすい傾向にある。このように進角側に設定しておけば燃料噴射量が相対的に増えるため、失火の可能性を抑制することができる。
可変サイクルエンジンでは、目標クランク角のみならず、補正量も運転サイクルに応じて変更してもよい。例えば、2サイクル運転と4サイクル運転が可能なエンジンでは、4サイクル運転時は、2サイクル運転時よりも、偏差に応じた燃料噴射量の変動幅を抑える設定とすることができる。
上述した燃料噴射量の制御結果を記憶しておき、その記憶内容を以後の制御に反映可能としてもよい。こうすることで、制御結果を学習させることができ、制御の応答性を向上させることができる。学習内容は、例えば、エンジンの回転数、負荷に応じて設定される領域ごとに記憶することが好ましい。また、学習は常に行う必要はなく、エンジンが安定的に運転されている状態にある場合など、所定の条件下でのみ行うようにしてもよい。
本発明のエンジンシステムは、必ずしも上述の全ての特徴を備えている必要はなく、一部を省略したり、適宜、組み合わせて適用してもよい。また、本発明は、上述したエンジンシステムとしての構成の他、エンジンの制御装置、エンジンの制御方法として構成することもできる。
A.装置構成:
図1は実施例としてのエンジン100の構成を概念的に示した説明図である。エンジン100のシリンダブロック140には、上部にシリンダヘッド130が固定されており、内部には中空円筒形のシリンダ142が形成されている。このシリンダ142内には上下に摺動するピストン144が設けられている。ピストン144は、コネクティングロッド146を介してクランクシャフト148に接続されており、クランクシャフト148には、クランク角度を検出するクランク角センサ32が取り付けられている。
燃焼室は、シリンダ142、ピストン144、シリンダヘッド130で形成される。各燃焼室には、燃焼室の内圧、即ち筒内圧を測定するための筒内圧センサ36が設けられている。
シリンダヘッド130には、吸入空気が流入する吸気ポート133の開口部を開閉する吸気弁132と、排気が流出する排気ポート135の開口部を開閉する排気弁134と、点火プラグ136とが設けられている。本実施例では、エンジン100の回転数および負荷に基づいて定まる運転領域に応じて、自着火と火花点火とを使い分けるが、全運転領域で自着火を適用する場合には、点火プラグ136を省略してもよい。
吸気弁132および排気弁134は、開閉タイミングが可変な可変動弁系を構成する。つまり、電動アクチュエータ162,164は、任意のタイミングでそれぞれの吸気弁132および排気弁134を開閉することが可能である。電動アクチュエータの代わりに、油圧アクチュエータやカム機構などの他の種類の可変動弁機構によって吸気弁132および排気弁134を駆動してもよい。
シリンダヘッド130には、燃料噴射弁82が設けられている。燃料噴射弁82は、燃料タンク86から燃料ポンプ84によって供給された燃料を、吸気ポート133に噴射する。本発明は、燃料噴射弁82は、吸気ポート133内に設けたポート噴射型にも適用可能である。
吸気ポート133には吸気管12が接続されており、排気ポート135には排気管16が接続されている。排気管16には、排気を浄化するための触媒26と、過給器50のタービン52とが設けられている。吸気管12には、過給器50のコンプレッサ54が設けられている。排気によってタービン52が回転するとコンプレッサ54が回転し、エアクリーナ20からの空気を吸気ポート133に圧送する。コンプレッサ54の下流側には空気を冷却するためのインタークーラ62、吸気時の圧力波を緩和させるためのサージタンク60、および電動アクチュエータ24によって駆動されるスロットル弁22が設けられている。
エンジン100の動作は、エンジン制御ユニット(以下、ECU)300によって制御されている。ECU300は、エンジン回転速度Neやアクセル開度θac、筒内圧Psを検出し、これらに基づいてスロットル弁22の開度、点火プラグ136の点火タイミング、燃料噴射量などを制御する。エンジン回転速度Neはクランク角センサ32によって検出され、アクセル開度θacはアクセルペダルに内蔵されたアクセル開度センサ34によって検出される。また、筒内圧Psは、前述のとおり、筒内圧センサ36によって検出される。
B.燃焼時期の制御:
図2は燃焼時期の制御原理を示す説明図である。図の上方には、自着火運転時のクランク角に対する筒内圧Pの変化を示し、図の下方には、熱発生率dQ/dθを示した。クランク角θに応じて、シリンダ142の実容積Vが決まるため、熱発生率dQ/dθは先に示した式(1)に基づいて求めることができる。
筒内圧Pは、ピストン144の上下運動による圧縮と、燃料の燃焼の双方に応じて変化し、上死点TDCよりも若干遅角側のクランク角θpで最大値となる。これに対し、熱発生率は、クランク角θpよりも若干進角側のクランク角θqで最大値となる。熱発生率は、主として燃焼によって影響を受けるため、この値が最大値となるクランク角は自着火の燃焼時期に対応していることになる。
自着火における燃焼時期は、一般に次の傾向がある。空燃比A/Fがリッチになる程、進角側Fに移行し、リーンになる程、遅角側Bに移行する。従って、吸気量が一定であれば、燃料噴射量が増大する程、進角側Fに移行し、減少する程、遅角側Bに移行する。また、シリンダ142の実圧縮比が高くなるほど進角側Fに移行し、低くなるほど遅角側Bに移行する。更に、シリンダ142内の温度(以下、筒内温度と称する)が高い程、進角側Fに移行し、低いほど遅角側Bに移行する。
本実施例では、燃焼時期を表すパラメータとして熱発生率が最大となるクランク角θq(以下、「着火クランク角」と呼ぶ)を用い、この角度が、目標の燃焼時期、即ち目標クランク角に近づくよう、燃料噴射量を制御する。即ち、着火クランク角が、目標クランク角よりも遅角側にある時には、燃料噴射量を増大させることによって燃焼時期を進角側に移行させる。逆に、着火クランク角が、目標クランク角よりも進角側にある時は、燃料噴射量を減少させることによって燃焼時期を遅角側に移行させる。
C.制御マップ:
図3は実施例における制御マップの一覧を示す説明図である。ECU300が内部のROMに記憶しているマップであり、ECU300内のCPU301は、これらのマップを参照しながらエンジン100の運転制御を実行する。
サイクルマップ302は、エンジン100の回転数および負荷に応じて、運転サイクルを決定するためのマップである。本実施例では、図示する通り、領域Iでは4サイクルの火花点火;領域IIでは2サイクルの自着火;領域IIIでは4サイクルの自着火;領域IVでは4サイクルの火花点火を用いるものとした。全運転領域で、燃焼方式および運転サイクルを統一しても構わない。
燃料噴射量マップ303、吸気量マップ304、バルブ制御マップ305は、回転数、負荷、運転サイクル、燃焼方式に応じて、それぞれ燃料噴射量、吸気量バルブの開閉タイミングの標準値を与えるマップである。
本実施例では、燃料噴射量マップ303で与えられる標準値を、燃焼時期に応じて補正することで、燃料噴射量を制御する。この補正には、着火時期マップ307、補正係数マップ308、学習マップ306が使用される。
着火時期マップ307は、自着火運転されている場合の目標クランク角を与える。本実施例では、図示する通り、エンジンの回転数、および吸気管圧力に応じて設定される領域ごとに目標クランク角を与える形式とした。吸気管圧力はエンジン負荷に相当するパラメータである。図中の各領域中の値は、ATDC(deg)、即ち上死点を基準とし、遅角側を正としてクランク角を表している。図示する通り、回転数が高くなる程、また負荷が増大する程、目標クランク角が遅角側に移行する設定となっている。4サイクルのマップは、図示を省略したが、目標クランク角が、各領域で2サイクルよりも進角側となるよう設定されている。一般に4サイクル運転時には、シリンダ内の残留ガス温度が低くなる傾向にあるため、このように進角側で燃料噴射量が比較的多めになるよう設定しておくことにより、失火の可能性を抑制することができる。
補正係数マップ308は、燃料噴射量の標準値に乗じる補正係数Kを与えるマップである。2サイクルに対する設定値を実線で示し、4サイクルに対する設定値を一点鎖線で示した。この補正係数Kは、着火クランク角θqと目標クランク角θtgtとの偏差Δθ(=着火クランク角θq−目標クランク角θtgt)に応じて与えられる。補正係数マップ308に代えて、燃料噴射量に加減する補正量を与えるマップを用いても良い。
図示する通り、「偏差Δθ<−5度」の時は、「補正係数K<1.0」が用いられる。つまり、燃焼時期が目標クランク角よりも十分に進角側にある時は、燃料噴射量は標準値よりも少なくなる。逆に、「偏差Δθ>5度」の時は、「補正係数K>1.0」が用いられる。つまり、燃焼時期が目標クランク角よりも十分に遅角側にある時は、燃料噴射量は標準値よりも多くなる。偏差の絶対値が5度以下の範囲は「補正係数K=1.0」の不感帯となっており、標準の燃料噴射量が適用される。この不感帯を設けることにより、偏差が微少な場合に、制御遅れに起因して燃料噴射量が変動するのを抑制することができる。
4サイクルについても、2サイクルと同様、偏差Δθ>5度の範囲、偏差Δθ<−5度の範囲、偏差の絶対値が5度以下の範囲に分けて補正係数Kが設定されている。但し、4サイクルの自着火可能な条件は、2サイクルよりも厳しく自着火可能な負荷範囲が狭いため、補正係数の変動範囲は2サイクルよりも狭く設定した。
学習テーブル306は、燃料噴射量の制御結果として得られる補正係数を、記憶するテーブルである。本実施例では、着火時期マップ307と同様、回転数、吸気管圧力で設定される領域ごとに補正係数を記憶するものとした。CPU301は、ある領域における燃焼時期の制御を開始する時点で、学習テーブル306を参照し、補正係数の初期値を設定する。こうすることにより、従前の制御結果を制御処理に反映させることができ、燃焼時期を速やかに目標クランク角に近づけることが可能となる。
D.運転制御処理:
図4は運転制御処理のフローチャートである。ECU300が、エンジン100の運転中に繰り返し実行する処理である。
この処理が開始されると、ECU300は、まず制御パラメータを入力する(ステップS10)。制御パラメータとは、運転制御に使用される種々のパラメータを意味しており、例えば、エンジン100の回転数、負荷、筒内圧力P、クランク角θなどが含まれる。
次に、ECU300は、サイクルマップ302を参照して、運転モードを決定する(ステップS11)。全運転領域で運転モードが統一されている場合には、この処理を省略しても構わない。
次に、ECU300は、クランク角ごとに熱発生率dQ/dθを求める(ステップS12)。熱発生率は、筒内圧力に基づき、先に説明した式(1)で算出することができる。この結果、先に、図2に示したようなカーブを特定することができる。この処理は、例えば、サイクルごとに行っても良いし、数サイクル分の平均値を求めるようにしてもよい。制御の安定性という観点からは、後者の方が好ましい。ECU300は、また、上述の算出結果に基づき、熱発生率が最大となるクランク角、即ち着火クランク角θqを求める(ステップS13)。次に、ECU300は、着火時期マップ307を参照して、目標クランク角θtgtを設定する(ステップS14)。
ECU300は、次に、学習テーブル306または補正係数マップ308を参照して、補正係数Kを設定する(ステップS15)。例えば、学習テーブル306に含まれる各運転領域をまたがってエンジンの運転状態が変化した時や、自着火の燃焼時期の制御を新たに開始する時には、ECU300は、学習テーブル306を参照し、補正係数Kの初期値を取得する。学習テーブルは必ずしも参照する必要はなく、予め設定された一定値を初期値として用いても良い。既に、燃焼時期の制御が継続的に行われている場合には、ECU300は、補正係数マップ308を参照して、補正係数Kを設定する。先に説明した通り、補正係数Kは、燃料噴射量を補正することで、着火クランク角θqを目標クランク角θtgtに近づくように設定されることになる。
また、ECU300は、燃料噴射量マップ303を参照して、燃料噴射量の標準値τ0を設定する(ステップS16)。そして、この標準値τ0に補正係数Kを乗じて、燃料噴射量τを設定する(ステップS17)。この結果、着火クランク角θqが目標クランク角θtgtよりも遅角側にある時は、燃料噴射量は標準値よりも増大し、進角側にある時は、燃料噴射量は標準値よりも減少することになる。
ECU300は、学習条件が成立する場合には(ステップS18)、設定された補正係数で学習テーブル306を更新する(ステップS19)。学習条件は、種々の設定が可能であるが、本実施例では、学習テーブル内の一定領域で10サイクル以上の運転が継続されたことを条件とした。
ECU300は、更に、バルブ制御マップ305を参照して、吸気弁および排気弁の開閉タイミングを設定し(ステップS20)、これらの設定に基づいて、燃料噴射量および可変動弁系の制御を実行する(ステップS21)。
本実施例では、主として自着火運転時の制御処理を説明した。火花点火運転時には、図4中のステップS12、S13、S15、S17〜S19を省略しても良い。
E.燃焼時期制御による効果:
図5は本実施例の制御による効果を示す説明図である。着火クランク角θq、即ち燃焼時期の時間的な変化を模式的に示した。実線C2は、本実施例の制御を適用した場合の変化を示し、破線C1は適用しない場合の変化を示す。
図示する通り、最初は、燃焼時期が、目標クランク角θtgtよりも遅角側にずれており、時刻Tsにおいて、本実施例の制御を開始したとする。図3、4で説明した補正係数Kを用いて燃料噴射量を制御する結果、燃焼時期は、図示する通り、目標クランク角θtgt付近に移行する。本実施例では、図3に示した通り、補正係数Kは、不感帯を挟んで不連続的に3段階に変化する設定となっている。この設定により、着火クランク角θqは、目標クランク角θtgtを挟んで振動する。
図の下方に、制御開始前の状態a、制御開始後の状態b、cについて、筒内圧Pおよび熱発生率dQ/dθを示した。図示する通り、筒内圧Pは、いずれの状態でも、目標クランク角θtgtからずれている。熱発生率は、状態aでは、目標クランク角から大きく遅角しているものの、状態b、cでは、目標クランク角に接近していることが分かる。制御時には、上述の振動の結果、目標クランク角θtgtは、状態b、cの間に存在することになる。
以上で説明した実施例のエンジンによれば、熱発生率をパラメータとして燃料噴射量を制御することにより、自着火における燃焼時期を目標クランク角に精度良く制御することができる。この結果、複数のシリンダを有するエンジンにおいては、燃焼時期についてのシリンダ間のばらつきも抑制される。
F1.第1変形例:
図6は第1変形例としての補正係数の設定を示す説明図である。変形例では、2サイクルに対しては、補正係数Kは、実線2stで示す通り、偏差Δθの絶対値が5度以下となる範囲では連続的に変化する設定となっている。補正係数Kの変動範囲は、上限値ULおよび下限値LLに規制されている。このように上下限値を設けることにより、補正量が過大または過小となることを回避でき、エンジンの安定的な運転が保証される。
4サイクルに対しては、補正係数Kは、一点鎖線4stで示す通り、偏差Δθの絶対値が5度以下となる範囲では連続的に変化する。但し、補正係数の変動範囲は、2サイクル時よりも狭く、連続的に変化する領域での傾きも2サイクルより小さい。
補正係数Kは、必ずしも直線的に変化させる必要はなく、破線2stcに示すように、3次元関数的に変化する設定としても構わない。このように補正係数Kは、種々の設定が可能であるが、制御の安定性という観点から、単調増加関数に従って変化させることが好ましい。
図7は第1変形例における燃焼時期の変化を示す説明図である。変形例の設定によれば、図示する通り、時刻Tsで制御を開始すると、燃焼時期を比較的速やかに目標クランク角θtgtに収束させることができる。
F2.第2変形例:
図8は第2変形例としての補正係数の設定を示す説明図である。実線2stは2サイクルに対する設定を示し、一点鎖線4stは4サイクルに対数する設定を示した。第2変形例の設定では、「|上限値UL1−1.0|>|下限値LL1−1.0|」という設定となっている。つまり、燃料噴射量を増大させる傾向が強くなるよう、補正係数Kが設定されている。
図9は第2変形例における燃焼時期の変化を示す説明図である。第2変形例では、実施例と同様、補正係数Kが不連続的に変化する設定となっているため、燃焼時期は、一定の範囲で振動するようになる。但し、第2変形例では、燃料噴射量を増大させる傾向が強いため、振動の中心は、目標クランク角θtgtよりも進角側にずれる。つまり、平均して、目標クランク角θtgtからの遅れ量DLよりも、進み量DRの方が大きい状態となる。このような偏りは生じるものの、第2変形例では、燃料噴射量が過小となり、失火が生じる可能性を抑制することができる利点がある。
F3.第3変形例:
図10は第3変形例としての補正係数の設定を示す説明図である。補正係数Kは、第2変形例のように燃料増加傾向を強めるとともに、第1変形例のように連続的に変化する設定とした。偏差Δθ=0の時に補正係数K=1となるよう設定したため、区間A(−5<偏差Δθ<0)における傾きは、区間B(0<偏差Δθ<5)における傾きよりも小さくなっている。区間Aよりも区間Bを広くし、両区間における傾きが同じとなるような設定としてもよい。
図11は第3変形例における燃焼時期の変化を示す説明図である。第3変形例によれば、図示する通り、燃焼時期は、振動しながら目標クランク角θtgtに収束する。振動は、第2変形例と同様、目標クランク角θtgtからの遅れ量DLよりも、進み量DRの方が大きい状態となる。
F4.その他の変形例:
本実施例は、上述した変形例に限らず、種々の変形例を構成することができる。本実施例では、燃料噴射量のみによって燃焼時期を制御する場合を例示した。燃焼時期の制御には、更に、バルブ開閉時期の制御を併せて適用してもよい。
例えば、2サイクルにおいては、吸気バルブの閉じタイミングを進角側に移行させることにより、実圧縮比を向上させることができ、燃焼時期を進角側に移行させることができる。また、吸気バルブと排気バルブの双方が開いている掃気期間を短くするように開閉タイミングを調整することにより、シリンダ内の残留ガスを増大させることができ、燃焼時期を進角側に移行させることができる。
4サイクルでも同様に、吸気バルブの閉じタイミングを進角側に移行させたり、吸気バルブと排気バルブの双方が開いているオーバラップ期間を減らすことにより、燃焼時期を進角側に移行させることができる。
従って、燃料噴射量に併せて、バルブタイミングを調整することにより、幅広い範囲で燃焼時期を変更させることが可能となる。例えば、燃焼時期が目標クランク角となるよう燃料噴射量を設定した後、バルブタイミングを制御して微調整を図るようにしてもよい。逆に、バルブタイミングを設定した後、燃料噴射量で燃焼時期を微調整するようにしてもよい。燃焼時期が目標クランク角となるよう、燃料噴射量とバルブタイミングの双方を統合的に制御するようにしてもよい。
以上、本発明の種々の実施例について説明したが、本発明はこれらの実施例に限定されず、その趣旨を逸脱しない範囲で種々の構成を採ることができることはいうまでもない。例えば、図中に示した種々の値は、例示に過ぎず、任意に設定可能である。本実施例では、CPU301がソフトウェアに従って制御を実施する例を示したが、ハードウェア的に制御を実現しても構わない。
実施例としてのエンジン100の構成を概念的に示した説明図である。 燃焼時期の制御原理を示す説明図である。 実施例における制御マップの一覧を示す説明図である。 運転制御処理のフローチャートである。 本実施例の制御による効果を示す説明図である。 第1変形例としての補正係数の設定を示す説明図である。 第1変形例における燃焼時期の変化を示す説明図である。 第2変形例としての補正係数の設定を示す説明図である。 第2変形例における燃焼時期の変化を示す説明図である。 第3変形例としての補正係数の設定を示す説明図である。 第3変形例における燃焼時期の変化を示す説明図である。
符号の説明
12...吸気管
16...排気管
20...エアクリーナ
22...スロットル弁
24...電動アクチュエータ
26...触媒
32...クランク角センサ
34...アクセル開度センサ
36...筒内圧センサ
50...過給器
52...タービン
54...コンプレッサ
60...サージタンク
62...インタークーラ
82...燃料噴射弁
84...燃料ポンプ
86...燃料タンク
100...エンジン
130...シリンダヘッド
132...吸気弁
133...吸気ポート
134...排気弁
135...排気ポート
136...点火プラグ
140...シリンダブロック
142...シリンダ
144...ピストン
146...コネクティングロッド
148...クランクシャフト
162,164...電動アクチュエータ
300...ECU
301...CPU
302...サイクルマップ
303...燃料噴射量マップ
304...吸気量マップ
305...バルブ制御マップ
306...学習テーブル
306...学習マップ
307...着火時期マップ
308...補正係数マップ

Claims (12)

  1. エンジンシステムであって、
    ガソリンを圧縮自着火によってシリンダ内で燃焼させ、クランクシャフトから回転動力を出力可能なエンジンと、
    該エンジンの運転を制御するエンジン制御装置とを備え、
    前記エンジン制御装置は、
    前記シリンダ内の圧力である筒内圧に基づき、前記燃焼による熱発生率が最大となる着火クランク角を求める着火クランク角算出部と、
    該着火クランク角と、予め設定された目標クランク角との偏差に応じて燃料噴射量を制御する燃料噴射量制御部とを備えるエンジンシステム。
  2. 請求項1記載のエンジンシステムであって、
    前記燃料噴射量制御部は、前記着火クランク角が前記目標クランク角よりも遅角している場合には燃料噴射量を増大させ、進角している場合には燃料噴射量を減少させるエンジンシステム。
  3. 請求項1記載のエンジンシステムであって、
    前記エンジンの回転数および負荷に応じて定められた標準の燃料噴射量を求める標準燃料噴射量設定部を備え、
    前記燃料噴射量制御部は、前記着火クランク角と目標クランク角の偏差に応じて、前記燃料噴射量を補正するエンジンシステム。
  4. 請求項3記載のエンジンシステムであって、
    前記燃料噴射量の補正量は、予め設定された上下限の範囲内で、前記偏差に応じて単調関数で設定されているエンジンシステム。
  5. 請求項1〜4いずれか記載のエンジンシステムであって、
    前記燃料噴射量制御部による制御には、前記偏差の絶対値が所定値よりも小さい範囲で不感帯が設けられているエンジンシステム。
  6. 請求項1〜5いずれか記載のエンジンシステムであって、
    前記燃料噴射量制御部は、前記偏差に対する燃料増加量が前記偏差に対する燃料減少量の絶対値よりも大きくなる条件下で前記制御を実行するエンジンシステム。
  7. 請求項1〜6いずれか記載のエンジンシステムであって、
    前記燃料噴射量制御部は、前記目標クランク角を、前記エンジンの回転数および負荷に応じて設定するエンジンシステム。
  8. 請求項1〜7いずれか記載のエンジンシステムであって、
    前記エンジンは、可変サイクルエンジンであり、
    前記燃料噴射量制御部は、前記目標クランク角を、前記エンジンの運転サイクルに応じて設定するエンジンシステム。
  9. 請求項8記載のエンジンシステムであって、
    前記エンジンは、2サイクル運転と4サイクル運転が可能であり、
    前記燃料噴射量制御部は、2サイクル運転時に比べて4サイクル運転時は進角側に来るよう前記目標クランク角を設定するエンジンシステム。
  10. 請求項1〜9いずれか記載のエンジンシステムであって、
    前記エンジンは、2サイクル運転と4サイクル運転が可能であり、
    前記燃料噴射量制御部は、2サイクル運転時に比べて4サイクル運転時は、前記偏差に応じた燃料噴射量の変動幅を抑えた条件下で前記制御を実行するエンジンシステム。
  11. 請求項1〜10いずれか記載のエンジンシステムであって、
    前記燃料噴射量制御部による前記燃料噴射量の制御結果を記憶する記憶部を備え、
    前記燃料噴射量制御部は、前記記憶部の記憶内容を反映して、前記制御を行うエンジンシステム。
  12. ガソリンを圧縮自着火によってシリンダ内で燃焼させ、クランクシャフトから回転動力を出力可能なエンジンの運転を制御する制御方法であって、
    前記シリンダ内の圧力である筒内圧に基づき、前記燃焼による熱発生率が最大となる着火クランク角を求める着火クランク角算出工程と、
    該着火クランク角と、予め設定された目標クランク角との偏差に応じて燃料噴射量を制御する燃料噴射量制御工程とを備える制御方法。
JP2003376518A 2003-11-06 2003-11-06 ガソリン自着火エンジンの燃焼制御方法 Pending JP2005139986A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2003376518A JP2005139986A (ja) 2003-11-06 2003-11-06 ガソリン自着火エンジンの燃焼制御方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2003376518A JP2005139986A (ja) 2003-11-06 2003-11-06 ガソリン自着火エンジンの燃焼制御方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2005139986A true JP2005139986A (ja) 2005-06-02

Family

ID=34687524

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2003376518A Pending JP2005139986A (ja) 2003-11-06 2003-11-06 ガソリン自着火エンジンの燃焼制御方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2005139986A (ja)

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2007016777A (ja) * 2005-06-06 2007-01-25 Toyota Industries Corp 予混合圧縮自着火式内燃機関
JP2010014078A (ja) * 2008-07-07 2010-01-21 Nissan Motor Co Ltd 予混合圧縮着火エンジンの燃焼制御装置
JP2010169046A (ja) * 2009-01-26 2010-08-05 Nissan Motor Co Ltd 内燃機関の燃料噴射制御装置および方法
JP2018145891A (ja) * 2017-03-06 2018-09-20 マツダ株式会社 往復動ピストンエンジン

Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2007016777A (ja) * 2005-06-06 2007-01-25 Toyota Industries Corp 予混合圧縮自着火式内燃機関
JP4561694B2 (ja) * 2005-06-06 2010-10-13 株式会社豊田自動織機 予混合圧縮自着火式内燃機関
JP2010014078A (ja) * 2008-07-07 2010-01-21 Nissan Motor Co Ltd 予混合圧縮着火エンジンの燃焼制御装置
JP2010169046A (ja) * 2009-01-26 2010-08-05 Nissan Motor Co Ltd 内燃機関の燃料噴射制御装置および方法
JP2018145891A (ja) * 2017-03-06 2018-09-20 マツダ株式会社 往復動ピストンエンジン

Similar Documents

Publication Publication Date Title
KR100284523B1 (ko) 통내 분사형 불꽃 점화식 내연엔진의 제어장치
US7370616B2 (en) Method for transition between controlled auto-ignition and spark ignition modes in direct fuel injection engines
US7367313B2 (en) Speed transient control methods for direct-injection engines with controlled auto-ignition combustion
JP3772891B2 (ja) エンジンの始動装置
JP4412025B2 (ja) エンジンの始動装置
US6990934B2 (en) Internal combustion engine having variable compression ratio mechanism and control method therefor
JP4407581B2 (ja) 気体燃料エンジン
JP2005083277A (ja) 火花点火内燃機関の制御装置
JP6669124B2 (ja) 内燃機関
JP6180466B2 (ja) 内燃機関の燃料噴射制御装置
JP4792454B2 (ja) 内燃機関の点火時期制御装置
JP2011241756A (ja) 内燃機関の制御装置
JP5885767B2 (ja) 内燃機関の制御装置
JP4710788B2 (ja) 内燃機関の制御装置
JP2017227155A (ja) 内燃機関の制御装置
JP3292152B2 (ja) 内燃機関の燃料噴射制御装置
JP2000192846A (ja) 内燃機関の燃焼制御装置
JP4395726B2 (ja) エンジンの始動装置
JP2005139986A (ja) ガソリン自着火エンジンの燃焼制御方法
JP2010185440A (ja) 内燃機関
JP6117631B2 (ja) 内燃機関の制御装置
WO2009096072A1 (ja) 内燃機関の制御装置
JP2006257999A (ja) 内燃機関
JP2005139985A (ja) ガソリン自着火エンジンの燃焼制御方法
JP4534968B2 (ja) 内燃機関の制御装置

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Effective date: 20060607

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

A977 Report on retrieval

Effective date: 20070413

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20070424

A02 Decision of refusal

Effective date: 20070828

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02