JP2005139265A - シリカ系被膜形成用塗布液 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 (A)モノビニルトリアルコキシシランの加水分解生成物、(B)モノビニルトリアルコキシシランの開環重合体物の加水分解生成物、(C)ビストリアルコキシシリルエタンの加水分解生成物、及び(D)1−トリアルコキシシリル−2−ジアルコキシモノアルキルシリルエタンの加水分解生成物からなる群の中から選ばれる少なくとも1種と;及び下記一般式(I)
【化1】
(式中、R1は炭素原子数6〜30のアルキル基、R2は炭素原子数1〜5のアルキル基、XはCH3COO、SO3H、OHのいずれかを示す。)
で表されるアンモニウム塩と;を含有してなるシリカ系被膜形成用塗布液。
【選択図】 なし
Description
ここで、低誘電率の層間絶縁膜材料としては種々の材料が提案されている。例えばCVD材料としてはP−TEOS(プラズマテトラエトキシシラン)、SiOF、SiOC、塗布材料(SOD)としては無機SOG(silicon on glass)材料であるHSQ(hydrogensilsesquioxane)、ポーラスHSQ、有機SOG材料であるMSQ(methylsilsesquioxane)、ポーラスMSQ、有機ポリマー系材料であるポリアリレンエーテル(PAE)などが知られている。これらの層間絶縁膜材料は1.8〜4.1程度の誘電率を達成している。中でも誘電率が4未満の低誘電率材料(Low−K材料)は、微細な銅配線からなる多層配線技術に好適であるとして注目されている。
アルコキシシランの加水分解生成物としては、(A)モノビニルトリアルコキシシランの加水分解生成物、(B)モノビニルトリアルコキシシランの開環重合体物の加水分解生成物、(C)ビストリアルコキシシリルエタンの加水分解生成物、及び(D)1−トリアルコキシシリル−2−ジアルコキシモノアルキルシリルエタンの加水分解生成物からなる群の中から選ばれる少なくとも1種を含むことが好ましい。
(A)モノビニルトリアルコキシシランの加水分解生成物としては、モノビニルトリメトキシシラン、モノビニルトリエトキシシラン、モノビニルトリプロポキシシラン等の加水分解生成物が挙げられる。
(B)モノビニルトリアルコキシシランの開環重合体物の加水分解生成物としては、上記(A)で例示するモノビニルトリアルコキシシランをAIBN等の重合開始剤を用いて開環重合を行い、得られた重合物に通常の加水分解反応を適用し、得ることができる。
(C)ビストリアルコキシシリルエタンの加水分解生成物としては、ビストリメトキシシリルエタン、ビストリエトキシシリルエタン、ビストリプロポキシシリルエタン等の加水分解生成物が挙げられる。
(D)1−トリアルコキシシリル−2−ジアルコキシモノアルキルシリルエタンの加水分解生成物としては、1−トリメトキシシリル−2−ジメトキシモノメチルシリルエタン、1−トリエトキシシリル−2−ジエトキシモノメチルシリルエタン、1−トリプロポキシシリル−2−ジプロポキシモノメチルシリルエタン等の加水分解生成物が挙げられる。
尚、前述の(A)、(B)、(C)、(D)成分の加水分解反応は、通常のアルコキシシランを原料とするシリカ系被膜形成用材料の例を参照できる。
低誘電率を実現する手段としては、ポーラスな被膜を形成することや分極率の低い有機基を導入することが挙げられる。この点Si−R基を有するモノアルキルトリアルコキシシランやジアルキルジアルコキシシランは、前述のポーラス膜の形成や有機基の導入の両方を兼ね備える点で好ましい。さらにテトラアルコキシシランは吸湿性の高い材料であるため、疎水性基を有するモノアルキルトリアルコキシシランやジアルキルジアルコキシシランを配合することにより塗布液の保存安定性が向上する点で好ましい。
本発明に用いられるアンモニウム塩としては、吸湿性が少なく機械的強度に優れるメソポーラス構造を有する被膜を形成可能なものを使用することができる。
ここで、アンモニウム塩としての第4級アンモニウム塩は、水溶液中で大きさや形が極めてよく揃った分子集合体として安定に存在する。これらは条件に応じてさらに空間的に規則配列した液晶相を自己組織的に形成する。つまり前述の分子集合体を高度に規則化したnmオーダーの銭型として利用することにより極めて規則性の高い微細な細孔構造を有するセラミックスが合成できる。このような観点からアンモニウム塩としては、第4級アンモニウム塩を用いることが好ましい。
第4級アンモニウム塩としては、空孔径の制御性や金属層(配線)腐食防止の観点からは、例えば下記一般式(I)
で表されるアンモニウム塩を用いることができる。式(I)中のXはCH3COOであることが好ましい。具体的にはラウリルトリメチルアンモニウムアセテートであることが好ましい。
またアンモニウム塩としては、熱分解温度が200〜300℃のアンモニウム塩を用いることが好ましい。200℃以上とすると被膜形成工程でポーラスな被膜を形成し易くなるからである。300℃以下とすると焼成後の被膜中に残存する前述のアンモニウム塩の量が低減し、被膜の誘電率が低くなるからである。焼成後の被膜中に残存する前述のアンモニウム塩の量が低減し、被膜の誘電率が低くなるからである。
アンモニウム塩は、上記加水分解生成物100質量部に対して20〜150質量部の範囲で配合されることが望ましい。20質量部未満では、前述のアンモニウム塩による効果が得られにくく、所望の低誘電率比が達成できない傾向があるからである。150質量部を超えると被膜表面が曇り易く良質な被膜が得られやすくなる傾向があるからである。
アンモニウム塩の配合方法としては、(1)加水分解生成物を含有する溶液に配合する方法、(2)酸触媒、水、反応溶媒からなる溶液にアンモニウム塩を配合し、これにアルコキシシラン原料を添加し、加水分解反応及び重縮合を行う方法等が挙げられる。
なお、得られた塗布液は、酸性であることが、塗布液の保存安定性が向上する点で好ましい。そのためpHが2〜4になるように、適宜酸成分を配合するなどして調整することが望ましい。pHの調整方法としては従来公知の方法を用いることができる。pHの調整に用いられる酸成分としては上述の有機酸や無機酸が挙げられる。中でも硝酸がハンドリング性がよい点で好ましい。
有機溶剤としては、従来慣用的に使用されている有機溶剤が使用できる。例えば、メチルアルコール、エチルアルコール、プロピルアルコール、ブチルアルコールのような一価アルコール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコールのような多価アルコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテートのような多価アルコール誘導体、酢酸、プロピオン酸のような脂肪酸などを挙げることができる。これらの有機溶剤は、単独で用いてもよいし2種以上組み合わせて用いてもよい。その使用量については、アルコキシシランの1モルに対し、10〜30モル倍量の割合で用いられる。
本発明のシリカ系被膜形成用塗布液の製造方法の実施形態について説明する。
反応溶液中に純水及びアンモニウム塩を配合し溶解する。そして酸成分を配合し攪拌して溶液を調製する。この溶液にアルコキシシランを配合して10〜30℃程度の温度範囲で加水分解及び重縮合反応を行う。その後室温で2日間放置することにより塗布液が調製される。また別の調製方法としてはアルコキシシランの加水分解生成物の溶解した有機溶媒溶液に所定量の酸成分及びアンモニウム塩を配合する方法が挙げられる。
本発明のシリカ系被膜形成用塗布液を用いることによりシリカ系被膜を形成することができる。この場合、シリカ系被膜の形成方法は、例えば、塗布液を半導体基板、ガラス基板、金属板、セラミック基板などの基板上に、スピンナー法、ロールコーター法、浸漬引き上げ法、スプレー法、スクリーン印刷法、刷毛塗り法などで塗布し、溶媒を飛散させるために乾燥させ塗膜を形成する。次いで、250〜500℃の温度で焼成することにより形成される。
尚、本発明においてシリカ系被膜形成用塗布液により形成された「塗膜の誘電率」とは、実施例の欄でより詳しく説明するように、N型Si基板上にシリカ系被膜形成用塗布液をスピン塗布しこれをホットプレード上で80℃、150℃、200℃で各1分間ずつ加熱処理し、最後にN2雰囲気下で350℃の焼成を行って得られた被膜に対して行って得られた被膜の誘電率をいう。
さらに、本発明のシリカ系被膜形成用塗布液によれば、低吸湿性の被膜を形成することができる。そのため、特にLow−Kであることが望まれる銅ダマシンプロセスを利用した多層配線技術に用いられる層間絶縁膜形成用材料として好適に用いられる。アンモニウム塩の配合により配向性のあるポーラス化が実現できるため、機械的強度に優れる被膜となる。
(実施例1)
ブタノール56.13gに純水2.77g、ラウリルトリメチルアンモニウムアセテート4.9gを配合し、溶解した後、硝酸500マイクロリットルを添加した。この溶液に1−トリエトキシシリル−2−ジエトキシモノメチルシリルエタン10.0g(0.032モル)を配合し、室温で2時間の加水分解及び重縮合反応を行った。その後、室温で2日間放置し、pHが3、SiO2換算固形分濃度が6.0質量%の溶液シリカ系被膜形成用塗布液を得た。
(実施例2)
実施例1において用いたラウリルトリメチルアンモニウムアセテートの代わりにラウリルトリメチルアンモニウムのハイドロジェンスルフェートを用いた以外は実施例1と同様にして、pHが3、SiO2換算固形分濃度が6.0質量%のシリカ系被膜形成用塗布液を得た。
(比較例1)
実施例1において用いた1−トリエトキシシリル−2−ジエトキシモノメチルシリルエタン0.032モルの代わりにモノメチルトリメトキシシラン0.065モルを用いた以外は実施例1と同様にして、pHが3、SiO2換算固形分濃度が6.0質量%のシリカ系被膜形成用塗布液を得た。
(比較例2)
実施例1において用いた1−トリエトキシシリル−2−ジエトキシモノメチルシリルエタン0.032モルの代わりにテトラメトキシシラン0.065モルを用いた以外は実施例1と同様にして、pHが3、SiO2換算固形分濃度が6.0質量%のシリカ系被膜形成用塗布液を得た。
(比較例3)
実施例1において、硝酸を配合しなかった以外は実施例1と同様にして、シリカ系被膜形成用塗布液を調製しようとしたところ、テトラメトキシシランとモノメチルトリメトキシシランを配合した後に溶液はゲル化してしまい塗布液の調製はできなかった。
被膜の形成:上記実施例1、2及び比較例1、2で合成したシリカ系被膜形成用塗布液をスピンコート法によりシリコンウェーハ上に塗布し、ホットプレート上で大気中、80℃、1分間の加熱処理を行った。次いで150℃、1分間の加熱処理を行い、更に、200℃、1分間の加熱処理を行った。次いで、窒素雰囲気中、350℃で30分間の加熱処理を行い、膜厚300nmの被膜を形成した。
得られた被膜について以下に記載する基準に従って保存安定性評価、誘電率評価、及び被膜の経時安定性の評価を行った。
保存安定性評価:上記実施例において、室温で2日間放置後、塗布液がゲル化したものを×、ゲル化しなかったものを○として表した。
誘電率評価:誘電率測定装置(製品名「SSM495」、日本SSM社製)を用いて得られた被膜の誘電率を測定した。
被膜の経時安定性評価:被膜形成後、7日間放置した後の被膜の誘電率を、誘電率測定装置(製品名「SSM495」、日本SSM社製)を用いて得られた被膜の誘電率を測定した。
以上の評価結果を表1に示す。
尚、実施例3では実施例2に比較して誘電率が高かった。これは特に定かではないがラウリルトリメチルアンモニウムアセテートより分解温度の高いラウリルトリメチルアンモニウムのハイドロジェンスルフェートを用いたことにより、被膜中にアンモニウム塩が若干残存していたためと考えられる。
また比較例2ではアルキル基を含有せず親水性の性質が強かったため、被膜が大気中の水分を吸着してしまい、誘電率の増加が生じてしまったものと考えられる。
また比較例3,4では塗布液がアルカリ性であったため、液の安定性が損なわれてゲル化現象を生じたものと考えられる。
Claims (7)
- pHが2〜4である請求項1記載のシリカ系被膜形成用塗布液。
- 上記アンモニウム塩の熱分解温度は200〜300℃であることを特徴とする請求項1又は2記載のシリカ系被膜形成用塗布液。
- 前記式(I)中のXはCH3COOである請求項1から3のいずれかに記載のシリカ系被膜形成用塗布液。
- 前記アンモニウム塩は、ラウリルトリメチルアンモニウムアセテートである請求項1から4のいずれかに記載のシリカ系被膜形成用塗布液。
- 前記加水分解生成物100質量部に対して前記アンモニウム塩が20〜150質量部の範囲内で配合されている請求項1から5のいずれかに記載のシリカ系被膜形成用塗布液。
- 被膜の誘電率の最大値が3である請求項1から6のいずれかに記載のシリカ系被膜形成用塗布液。
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2003
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