JP2005137200A - 電気車の制御装置 - Google Patents
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Abstract
すると共に、出力電圧の全域をほぼ連続に制御することにある。
【解決手段】 複数の制御モードにより複数のスイッチング素子を制御し、直流
電圧から可変電圧可変周波数の三相交流相電圧に変換し、その相電圧として正負
2値のパルスを出力する2レベルの電力変換器からの交流出力を電動機に供給し
て電気車を駆動制御する電気車の制御装置において、電気車を低速域から高速域
まで運転するとき、複数の制御モードとしてのパルス幅変調(PWM)制御モー
ドと、非同期過変調制御モードと、1パルス制御モードとを、この順で順次移行
させる手段を備える。
【選択図】 図4
Description
給するPWM(パルス幅変調)インバータの制御技術に関する。
電気鉄道用車輌のインバータでは、図2に示すように、出力電圧基本波周波数
が低いときは出力電圧の大きさと基本波周波数の比を一定に保つ制御を行い(こ
の制御を行う領域を可変電圧可変周波数領域と呼ぶことにする)、出力電圧基本
波周波数が上昇して出力電圧の大きさが最大になると、その最大値電圧を保ちつ
つ周波数制御を行う(この制御を行う領域を定電圧可変周波数領域と呼ぶことに
する)。可変電圧可変周波数領域ではパルス幅変調制御により出力電圧を調整す
るため、出力電圧の半周期を複数の電圧パルスで構成する多パルスモードを用い
る。一方、定電圧可変周波数領域では、電圧利用率を最大限まで高め、装置を小
型化するため、出力電圧の半周期を単一のパルスで構成する1パルスモードを用
いる。
GTOインバータと呼ぶ)では、図3に示すように、出力電圧基本波周波数の上
昇に伴い、その一周期に含まれるパルス数を切換えて徐々に減少させるパルス数
切換え方式の多パルスモードを用いていた。これはGTOサイリスタのスイッチ
ング周波数の上限が数百Hzであるためである。この方式ではパルス数切換えの
際にスイッチング周波数が不連続となるため、パルス数切換えに伴い、磁気騒音
の音色変化が発生し、耳障りであるという問題があった。
また、GTOインバータにおいては、出力電圧の半周期に三個の電圧パルスを
含む3パルスモードと1パルスモードの出力電圧の間には、GTOサイリスタの
最小オフ時間の制限に依存した10%程度の跳躍が存在し、3パルスモードと1
パルスモードの切換え時に電動機の発生トルクに変動が生ずる問題があった。
大きさを零から最大電圧まで制御する2レベルインバータの交流出力を用いて電
気車を駆動する電動機を制御するに際し、2レベルインバータのスイッチング周
波数の大幅な不連続をなくして耳障りな磁気騒音の音色変化をなくすると共に、
多パルスモードと1パルスモードの出力電圧のギャップを小さくし、出力電圧の
全域をほぼ連続に制御することにある。
を制御し、直流電圧から可変電圧可変周波数の三相交流相電圧に変換し、その相
電圧として正負2値のパルスを出力する2レベルの電力変換器からの交流出力を
電動機に供給して電気車を駆動制御する電気車の制御装置において、電気車を低
速域から高速域まで運転するとき、複数の制御モードとしてのパルス幅変調(P
WM)制御モードと、非同期過変調制御モードと、1パルス制御モードとを、こ
の順で順次移行させる手段を備える。
合せにより出力電圧の大きさを零から最大電圧まで制御するインバータの交流出
力を用いて電気車を駆動する電動機を制御するに際し、2レベルインバータの磁
気騒音の不連続な変化をなくすことができると共に、全出力電圧域をほぼ連続に
制御することが可能となる。
また、制御モードに過変調モードを採用することにより、多パルスモードと1
パルスモードの切換時において電流や電気車を駆動する電動機の発生トルクの変
動がなく、スムーズに切換えを行うことのできる2レベルインバータを構成する
ことができる。
ではバイポーラモード(パルス幅変調制御モード),高出力電圧領域では過変調
モード(過変調制御モード),最大出力電圧域では1パルスモード(1パルス制
御モード)で動作する。ここで、多パルスモードは、バイポーラモードと過変調
モードを有する。
図1は、本発明の一実施例を示す構成図であり、電気車駆動用誘導電動機の制
御用変換器として電圧型2レベルインバータを用いた例である。同図において、
6は誘導電動機、5はそれを駆動する2レベル三相PWMインバータ、9はイン
バータの電源となる直流架線、7,8はインバータ直流入力側のフィルタリアク
トル及びコンデンサである。
図1の多パルス発生手段2,1パルス発生手段3,PWMモード選択手段4は、
インバータの出力電圧指令E*と、その周波数指令Fi*を積分器1で積分するこ
とにより求めた各相の出力電圧基本波の位相θx(添字xは相を表す添字を総称
するものとする。即ち、u,v,wのいずれかの相を表す。)に基づきインバー
タの制御信号を発生する。インバータの制御信号のうち、S1x,S2x,Sx
をスイッチング関数と呼び、インバータの正側アームがオンのとき1,負側アー
ムがオンのとき0と定義する。
手段2の一例(一相分)を図5に示す。ここではバイポーラモードと過変調モー
ドのスイッチング関数を同一の手段で発生している。出力電圧指令→変調率変換
手段21では出力電圧指令E*から変調率A、つまり変調波の振幅を求める。搬
送波振幅を1とすると、バイポーラモードでは0≦A≦1、過変調モードではA
>1である。出力電圧基本波の大きさを電圧指令に一致させるため、E*とAを
バイポーラモードでは(数1)、過変調モードでは(数2)で対応させる。
のsinを求める。これに変調率Aを乗じたものが変調波axである。変調波a
xと搬送波周波数(バイポーラモードのスイッチング周波数と等価)Fcをスイ
ッチング関数演算手段24に与え、スイッチング関数S1xを求める。スイッチ
ング関数演算手段24では、振幅1,周波数Fcの三角波である搬送波を発生し、
それと変調波の値を比較してスイッチング関数を発生する。また、三角波を用い
ずに変調波axとパルス間隔から演算によりスイッチング関数を求めてもよい。
関数の波形の一例を図6,図7にそれぞれ示す。
本発明のインバータ装置においては、IGBT,大容量パワートランジスタ等
の数kHzのスイッチングが可能なデバイスをスイッチング素子として用い(こ
こでは総称して以下、IGBTインバータと呼ぶ)、多パルスモードにおいては
変調波と搬送波を非同期とする。
図6に示すバイポーラモードおいては、0≦A≦1であるため、搬送波242
とスイッチング関数243が対応し、また、搬送波242と変調波241とが同
期していない。さらに、図7に示す過変調モードではA>1であるため、Aが1
を越える部分では広幅パルスのスイッチング関数246が得られ、その他の部分
では搬送波245と変調波244との比較に従ったスイッチング関数246が得
られる。また、この過変調モードにおいても搬送波245と変調波244とは非
同期で発生している。前記したように、図においては理解のため搬送波と変調波
との比較によりスイッチング関数を得る方式を示したが、変調波axとパルス間
隔から演算によりスイッチング関数を求めることもできる。
過変調モードでは次に述べる1パルスモードでのスイッチング周波数に徐々に近
づけることができる。この多パルスモードでは、変調波と搬送波が非同期である
ため、搬送波周波数は変調波周波数に比べ充分高くする必要があり、経験的には
10倍程度より高いことが望ましい。
示す。出力電圧の基本波31(振幅はいくらでもよい)の符号が正のときはスイ
ッチング関数S2xの値は1、符号が負のときはS2xの値は0とする。
わせることについて説明する。過変調方式について書かれた文献として、平成3
年電気学会産業応用部門全国大会講演論文集No.106「電圧型3相PWMイン
バータの過変調制御方式」がある。これによると、過変調モードの変調率を極め
て大きくしたものが6ステップインバータの動作、即ち1パルスモードの動作で
あると述べられている。しかしながら、1パルスモードを過変調モードの延長と
いう形で実現(変調率を極めて大きくすることにより1パルスモードを実現)す
ると、以下のような不都合が生ずる。
第一に、過変調モードと1パルスモードが切換わる点がスイッチング周波数に
依存し、任意に設定することができなくなる。第二に、過変調モードの変調波と
搬送波が非同期である場合(以下、非同期PWMと呼ぶ)には、素子のターンオ
ン,ターンオフ時間の影響により過変調モードと1パルスモードの境界付近で変
調波零クロス近傍のパルスが出たり出なかったりする。結果として出力電圧の正
負間にアンバランスが生じ、インバータの負荷電流に低周波の脈動が重畳される
ビート現象が発生する。第三に、過変調モードは、図7に示すように、出力電圧
波形(後述するスイッチング関数の波形と等価)は変調波(出力電圧基本波と等
価)零クロス近傍のパルス間隔が均一となる、つまりパルス発生周期が均一であ
る部分(等間隔パルス)と、変調波ピークを中心とする広幅パルスの部分に分け
られ、過変調モードの等間隔パルスの部分において過変調モードと1パルスモー
ドの切換えが起こり得る。この場合、インバータの負荷電流が乱れ、過電流によ
るスイッチング素子の破壊や電動機の発生トルクの著しい変動が発生することが
ある。
(以下、移行電圧と呼ぶ)と、出力電圧基本波のどの位相で切換えるか(以下、
移行位相と呼ぶ)を管理する。
まず、移行電圧の管理について説明する。移行電圧を設定し、それを境界に過
変調モードと1パルスモードを切換える場合、移行電圧の設定値はできるだけ1
パルスモードの出力電圧、即ち100%に近い値であることが望ましい。過変調
モードの出力電圧の最大値との差が小さいほど、切換時の電動機の発生トルクの
変動が小さくなるからである。
しかしながら、非同期PWMでは、出力電圧の基本波一周期に含まれる個々の
電圧パルスの幅は各周期毎に異なるものとなり、過変調モードで出力電圧が10
0%に近づくにつれて出力電圧基本波の零クロス近傍のパルス数が減少すると、
この影響が顕在化して出力電圧の正負間にアンバランスが生じ、インバータの負
荷電流にビート現象が発生する。この様子の一例を図9に示す。
電流脈動の関係の一例である。図7に示すように、変調波の絶対値が1.0以下
の部分が等間隔パルスに相当するので、平均パルス数は(数3)に示す式で与え
られる。また、電流脈動率は(数4)で定義した。
なければ、ビート現象によるインバータの負荷電流の低周波脈動が極めて大きく
なる。
そこで、移行電圧の設定値は、少なくとも一個以上の電圧パルスを出力電圧基
本波零クロス近傍に確保するような値とする。この値は出力電圧基本波周波数F
i*と多パルスモードの搬送波周波数Fcに依存するので、これらの値から演算に
より求める手段を設けてもよいし、また、出力電圧基本波周波数Fi*の上限か
ら予め計算により求めて設定するのでもよい。
切換える際の出力電圧基本波の位相によって、切換え直後のインバータの負荷電
流や電動機の発生トルクの過渡的な変動の様子が異なる。電流変動の一例を図1
1に示す。同図(a)は、図12に示すように、U相の出力電圧基本波の位相で
0゜で三相一括して切換えた場合で、切換直後に電流に過渡的な変動が見られる。
これに対し、同図(b)は、図13に示すように、U相の出力電圧基本波の位相で
90゜で三相一括して切換えた場合であり、電流の過渡的な変動は殆どない。
電圧基本波の位相(U相基準)と過渡的な電流の変動の関係の例である。ここで、
電流変動率は(数5)で定義する。
る。これは三相のうちいずれかが過変調モードにおいて等間隔パルスのときに過
変調モードと1パルスモードが切換わる場合であり、このときは両モードの混在
による一時的な三相の出力電圧の不平衡が大きくなるために過渡的な電流の変動
も大きくなる。従って、図15に示すように、全ての相が過変調モードにおいて
広幅パルスとなる部分に移行位相を設定することで、過渡的な電流やトルクの変
動を抑制できる。
てが過変調モードの出力電圧が広幅パルスになる区間ができなければならない。
このためには、三相のうち二相の変調波の交点(U相変調波の位相を基準にして、
30゜,90゜,150゜,210゜,270゜,330゜)において、変調波
の絶対値が1.0より大きくなければならない。30゜の場合で考えるとして、
au=Asin30゜>1.0よりA>2、過変調モードでは変調率Aと出力電圧E
*の対応は(数2)で与えられるので、E*>95.6%でなければならない。従
って、三相一括で過変調モードと1パルスモードを切換えるためには移行電圧は
95.6%より大きく、かつ、過変調で出力電圧基本波零クロス近傍に少なくと
も一個の電圧パルスを確保する値となる。
の構成例である。モード選択指令発生手段42では、移行電圧手段41に設定し
た移行電圧Ecと電圧指令E*を比較し、多パルスモードか1パルスモードのい
ずれを選択すべきかを表すモード選択指令Mcを発生する。
ここでは、出力電圧指令E*に基づきモード選択指令Mcを求めることとした
が、出力電圧指令E*は変調率Aと一義的に対応しているため、移行電圧に対応
する変調率Acを予め設定しておき、これと変調率Aを比較してモード選択指令
Mcを発生するとしてもよい。
また、可変電圧可変周波数領域では、出力電圧指令と出力電圧基本波周波数も
一義的に対応するので、移行電圧に対応する出力電圧基本波周波数Ficを予め
設定しておき、これと周波数指令Fi*を比較してモード選択指令Mcを発生し
てもよい。
移行位相管理手段44では、Mcを参照し、モードの切換えが必要な場合は出
力電圧基本波の位相θxと移行位相設定手段43に設定した移行位相θcを比較
し、θxがθcに達していれば、モード選択信号Mを切換える。モード選択スイ
ッチ45,46,47では、モード選択信号Mに従って多パルス発生手段の出力
S1xと1パルス発生手段の出力S2xのいずれかを選択し、スイッチング関数
Sxを決定する。
波の絶対値をとり、三相全て1.0より大きくなっていれば、その時点で全ての
相が過変調の広幅パルスの部分にあることになる。従って、そのような時点で多
パルス発生手段と1パルス発生手段の出力を切換える。
GTOインバータでの10%程度から1〜2%程度にまで小さくして、出力電圧
の大きさを零から最大電圧までほぼ連続に制御し、また、多パルスモードと1パ
ルスモードの切換時において電流や電動機の発生トルクの変動なく、スムーズに
切換えを行うことのできる2レベルインバータを構成することができる。
また、本発明での出力電圧基本波周波数とスイッチング周波数の関係は、図1
7のようになり、図3の従来のインバータの変調方式のような大きな不連続は存
在せず、磁気騒音の不連続な音色変化をなくすことができる。
を零から最大電圧まで制御するインバータの交流出力を用いて電気車を駆動する
電動機を制御し、電気車を駆動制御することに利用可能である。
選択手段、5…2レベル三相PWMインバータ、6…誘導電動機、7…フィルタ
リアクトル、8…平滑コンデンサ、9…直流架線、21…周波数指令→変調波振
幅基準変換手段、22…関数y=sin(x)、23…スイッチング周波数、24…
スイッチング関数演算手段、241,244…変調波ax、242,245…搬
送波c、243,246…スイッチング関数S1x、31…出力電圧基本波、4
1…移行電圧設定手段、42…モード選択指令発生手段、43…移行位相設定手
段、44…移行位相管理手段、45,46,47…モード選択スイッチ
Claims (1)
- 複数の制御モードにより複数のスイッチング素子を制御し、直流電圧から可変
電圧可変周波数の三相交流相電圧に変換し、その相電圧として正負2値のパルス
を出力する2レベルの電力変換器からの交流出力を電動機に供給して電気車を駆
動制御する電気車の制御装置において、
前記電気車を低速域から高速域まで運転するとき、前記複数の制御モードとし
てのパルス幅変調(PWM)制御モードと、非同期過変調制御モードと、1パル
ス制御モードとを、この順で順次移行させる手段を備えることを特徴とする電気
車の制御装置。
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Cited By (3)
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-
2005
- 2005-02-15 JP JP2005037793A patent/JP3747259B2/ja not_active Expired - Lifetime
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WO2013069747A1 (ja) | 2011-11-10 | 2013-05-16 | 三菱重工オートモーティブサーマルシステムズ株式会社 | モータ駆動装置 |
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