JP2005136291A - レーザ加工装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】 レーザ光の効率的な増幅を実現しつつ、長寿命で装置の小型化を図ることが可能なレーザ加工装置を提供することを目的とする。
【解決手段】 レーザ媒質は、Nd:YAG結晶よりも光変換効率の高いYb:YAG結晶25であってロッド状の形状だから、Nd:YAGレーザに比べて低いドープ濃度で同一の光強度のレーザ光を出力することができ、低いドープ濃度で済む分だけ発熱量を抑えることができ、比較的小型のヒートシンク26で冷却できる。また、InGaAsを活性層とする半導体レーザ21を用いているから、ここからYb:YAG結晶25の吸収波長に合ったレーザ光と出射して効率良く励起させるとともに、AlGaAsを活性層とする半導体レーザ21を用いた従来構成のようなAlの酸化の心配がなく、長寿命化を図ることができる。
【選択図】 図2
Description
また、AlGaAsを活性層とする半導体レーザは、その活性層に含まれるAl(アルミニウム)の酸化(具体的には、Al層が外部に露出している構造のため酸化する)のために寿命が短い(〜5,000時間)という問題がある。
本構成によれば、Nd:YAG結晶よりも光変換効率の高いYb:YAG結晶(Nd:YAG結晶に比べて、量子欠損が約1/3で、励起状態を維持する維持時間が4倍)を使用しているから、Nd:YAGレーザに比べて低いドープ濃度で同一の光強度のレーザ光を出力することができる。また、低いドープ濃度で済む分だけ発熱量を抑えることができ、比較的小型の冷却手段で冷却することが可能となる。
本構成によれば、冷却手段としてヒートシンクを用いることにより比較的簡単な構成で効率的に冷却することができる。
本構成によれば、冷却手段として冷却ファンを用いる構成としたから、水冷式等の冷却手段を使用する構成に比べて更に小型化を図ることができる。
本発明の実施形態1について、レーザ加工装置としてのガルバノスキャニング式のレーザマーキング装置10を例に挙げて図1ないし図を参照しつつ説明する。
図1は、上記レーザマーキング装置10の全体構成図である。
同図において、符号11は、本発明の「レーザ発生手段」に相当するレーザ発振装置であって、ここから出射されたパルス状のレーザ光L1はガルバノスキャナ20によって向きが変更される。ガルバノスキャナ20は、一対のガルバノミラー20V,20Wを備えており、一方のガルバノミラー20Wは、駆動手段20Yによって縦方向に角度を変移させることができ、他方のガルバノミラー20Vは、駆動手段20Xによって横方向に角度を変移させることができる。これら両ガルバノミラー20V,20Wにより、レーザ光が2方向に向きを変えられ、収束レンズ20Zを介してレーザ光の照射点がワークW上を二次元的に移動する。
次いで、レーザ発振装置11は、励起用レーザ光L2を出射する半導体レーザ21(励起用光源。レーザダイオード:LD)と、ここから出射された励起用レーザ光L2を一端側から受けて光増幅して他端側から出射する増幅手段22とを備えて構成されている。
増幅手段22は、「レーザ媒質の一端側に、半導体レーザからの励起用レーザ光を透過させ、かつ、増幅されたレーザ光を反射させる第1ダイクロイックミラーが配される一方で、他端側に、増幅されたレーザ光の一部を透過させ、かつ前記励起用レーザ光を反射させる第2ダイクロイックミラーが配されて構成され、
前記半導体レーザからの励起用レーザ光が前記第1ダイクロイックミラーを介して前記レーザ媒質に入射することで励起されて放出されたレーザ光を、前記第1及び第2のダイクロイックミラー間で繰り返し反射させて増幅させ、その増幅されたレーザ光を前記第2ダイクロイックミラーを介して出射する構成(構成1)」になっている。
本実施形態の半導体レーザ21は、InGaAs(インジウム・ガリウム・砒素)を活性層とする半導体レーザ素子であり、その具体的構造が図3に示されている。
同図に示すように、半導体レーザ21は、n−GaAs基板51の上に、n−GaAlAs下部クラッド層52、nあるいはi−GaAs下部光導波層53、InGaAs活性層54、nあるいはi−GaAs上部光導波層55、p−GaAlAs上部クラッド層56、p−GaAsコンタクト層57が積層されてなる。そして、p−GaAsコンタクト層57の上面に、絶縁膜58、p側電極が形成されている。また、n−GaAs基板51の下面には、n側電極60が形成されている。このような構造により、半導体レーザ21素子からは、Yb:YAG結晶25にドープされたYbの励起波長(前述したように約940nmまたは970nm)と略同一の波長の励起用レーザ光L2が出射される。なお、Ybは、Ndに比べて吸収波長帯が広いため、温度変化によって半導体レーザ21からの励起用レーザ光l2の波長が多少変化しても、この励起用レーザ光12の入射によってYb:YAG結晶25を励起状態にすることができる。
次に、本実施形態の作用について説明する。
レーザマーキング装置10の図示しない起動用スイッチをオン操作すると、コンソールにて入力された文字等に関する印字情報に基づいてコントローラ30により、ガルバノスキャナ20には座標データ、レーザ発振装置11の半導体レーザ21には起動信号、そしてQスイッチ32には発振信号がそれぞれ与えられる。すると、レーザ発振装置11では、半導体レーザ21が駆動すると共に、Qスイッチ32が前記発振信号に同期してオンオフ動作を開始する。
本実施形態によれば、Nd:YAG結晶よりも光変換効率の高いYb:YAG結晶25(Nd:YAG結晶に比べて、量子欠損が約1/3で、励起状態を維持する維持時間が4倍)を使用しているから、Nd:YAGレーザに比べて低いドープ濃度(例えば1%未満)で同一の光強度のレーザ光を出力することができる。また、低いドープ濃度で済む分だけ発熱量を抑えることができ、比較的小型のヒートシンク26で冷却することが可能となる。
また、本実施形態では、冷却手段としてヒートシンク26を用いることにより比較的簡単な構成で効率的に冷却することができる。
図4は(請求項3の発明に対応する)実施形態2を示す。前記実施形態との相違は、冷却手段の構成にあり、その他の点は前記実施形態1と同様である。従って、実施形態1と同一符号を付して重複する説明を省略し、異なるところのみを次に説明する。
このように冷却手段として冷却ファン40を用いる構成としたから、水冷式等の冷却手段を使用する構成に比べて更に小型化を図ることができる。なお、Yb:YAG結晶25の周囲気体を吸引して外部に放出する冷却ファンを使用する構成であってもよい。
図5は、実施形態3を示す。前記実施形態との相違は、主として冷却手段のところにあり、その他の点は前記実施形態1と同様である。従って、実施形態1と同一符号を付して重複する説明を省略し、異なるところのみを次に説明する。
図5に示すように、本実施形態では、ヒートシンクや冷却ファンを設けず、Yb:YAG結晶25を単に周囲気体に曝した構成になっている。このような構成成であっても、Yb:YAG結晶25はロッド状をなし、周囲気体と接触する面が広く、この周囲気体によってある程度冷却することができる。また、本実施形態では、上記Qスイッチを設けず、レーザ出射口27から連続的なレーザ光L3を出射するようになっている。この場合であっても、Yb:YAG結晶25の発熱を抑えつつ高いレーザ光強度を得ることができる。
図6は、実施形態4を示す。前記実施形態との相違は、増幅手段の構成にあり、その他の点は前記実施形態1と同様である。従って、実施形態1と同一符号を付して重複する説明を省略し、異なるところのみを次に説明する。
同図中、符号71は、上記第1実施形態と同一の構造をなす半導体レーザである。増幅手段72(リングオシレータ)は、複数(本実施形態では6個)のYb:YAG結晶73と複数(本実施形態では6個)の反射ミラー74とを交互に環状に並べた構成になっている。そして、半導体レーザ71からの励起用レーザ光l4の光路上に位置するYb:YAG結晶73aと、半導体レーザ71との間の反射ミラー74aは、ダイクロイックミラーで構成され、半導体レーザ71からの励起用レーザ光L4を透過し、各Yb:YAG結晶73を周回りして増幅されたレーザ光L5を反射するようになっている。また、Yb:YAG結晶73aとレーザ出射口75との間の反射ミラー74bは、一部の光を透過し、残りの光を反射する部分反射ミラーで構成されている。
このような構成であっても、レーザ媒質としてYb:YAG結晶73が使用され、半導体レーザ71は、InGaAsを活性層とする構造なので、上記実施形態1と同様の効果を得ることができる。
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれ、さらに、下記以外にも要旨を逸脱しない範囲内で種々変更して実施することができる。
(1)上記実施形態1において、ヒートシンクに加えて実施形態2の冷却ファンを設けて、冷却効率を向上させるようにしてもよい。
11…レーザ発振装置(レーザ発生手段)
21,71…半導体レーザ
22,72…増幅手段
25,73(73a,73b)…Yb:YAG結晶(レーザ媒質)
26…ヒートシンク(冷却手段)
40…冷却ファン(冷却手段)
54…InGaAs活性層
70…レーザ発生手段
74(74a,74b)…反射ミラー
L1,L3,L5…レーザ光
L2,L4…励起用レーザ光
W…ワーク
Claims (3)
- レーザ発生手段から出射された加工用レーザ光を、所望の加工パターンに基づき加工対象であるワーク上に照射して前記ワークに加工を施すレーザ加工装置であって、
前記レーザ発生手段は、InGaAsを活性層とする半導体レーザと、
レーザ媒質としてYbをドープしてなるロッド状のYAG結晶とを備え、
前記半導体レーザから出射されたレーザ光を励起用レーザ光として前記YAG結晶に入射させることにより、増幅されたレーザ光を前記加工用レーザ光として出射する構成とされるとともに、
前記レーザ光の増幅に伴う前記YAG結晶の温度上昇を抑えるための冷却手段が設けられていることを特徴とするレーザ加工装置。 - 前記冷却手段は、前記YAG結晶の周囲を覆うように配されたヒートシンクを備えて構成されていることを特徴とする請求項1記載のレーザ加工装置。
- 前記冷却手段は、前記YAG結晶に向けて冷気を放出、或いは前記YAG結晶の周囲気体を吸引する冷却ファンを備えて構成されていることを特徴する請求項1または請求項2記載のレーザ加工装置。
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---|---|---|---|---|
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