JP2005135801A - 処理装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】 誘電体窓及びその周辺部材の損傷を抑制し、長時間安定処理を提供する。
【解決手段】 マイクロ波発生源から供給されるマイクロ波によって被処理基体にプラズマ処理を施す処理装置であって、前記マイクロ波発生源から供給される前記マイクロ波を前記処理室に透過すると共に前記処理室の隔壁として機能する誘電体窓と、前記誘電体窓と前記処理室とを封止する封止部とを有し、前記誘電体窓は、前記被処理基体に対向する側に段差を有することを特徴とする処理装置を提供する。
【選択図】 図2

Description

本発明は、一般には、処理装置及び方法に係り、特に、マイクロ波プラズマ処理装置に関する。
マイクロ波をプラズマ生起用の励起源として使用するマイクロ波プラズマ処理装置としては、CVD装置、エッチング装置、アッシング装置、表面改質装置等が知られている。かかるマイクロ波プラズマ処理装置を使用した被処理基体の処理においては、典型的に、処理室内に処理用ガスを導入し、処理室の外部に設けられたマイクロ波供給装置からマイクロ波を誘電体窓を介して処理室に供給してプラズマを発生させ、ガスを励起、解離、反応させ、処理室内に配された被処理基体を表面処理する。誘電体窓及びその周辺に設けられたOリングは処理室を減圧又は真空環境に維持する。マイクロ波プラズマ処理装置の例としては、近年、マイクロ波の均一で効率的な導入装置として複数のスロットがH面に形成された無終端環状導波管を用いた装置も提案されている(例えば、特許文献1及び2)。
特許第2886752号公報明細書 特許第2925535号公報明細書
しかしながら、かかるマイクロ波プラズマ処理装置においては、誘電体窓の表面を伝播するマイクロ波表面波が、誘電体窓周辺のOリングなどの真空シール部まで到達して誘電体窓及び/又は真空シール部を熱変形させたり、変形により処理室の減圧環境を破壊したりするという問題を引き起こしていた。また、マイクロ波及び/又は処理ガスのラジカルが、Oリング及び/又はその周辺の部材を表面処理(例えば、スパッタ、ラジカルとOリングの反応)し、それらの損傷を招いたり、交換頻度を増加させたりするなどの問題も引き起こしていた。
そこで、本発明は、かかる従来の問題を解決し、誘電体窓及びその周辺部材の損傷を抑制し、長時間安定処理を提供することができるプラズマ処理装置を提供することを例示的目的とする。
本発明の一側面としての処理装置は、マイクロ波発生源から供給されるマイクロ波によって被処理基体にプラズマ処理を施す処理装置であって、前記マイクロ波発生源から供給される前記マイクロ波を前記処理室に透過すると共に前記処理室の隔壁として機能する誘電体窓と、前記誘電体窓と前記処理室とを封止する封止部とを有し、前記誘電体窓は、前記被処理基体に対向する側に段差を有することを特徴とする。
前記段差は、例えば、前記マイクロ波の前記誘電体窓内の波長の1/8以上の高さを有する。前記段差は、前記マイクロ波を透過する部分よりも前記封止部によって封止される部分の方が厚くなるように形成されることが好ましい。
本発明の別の側面としての処理装置は、マイクロ波発生源から供給されるマイクロ波によって被処理基体にプラズマ処理を施す処理装置であって、前記マイクロ波発生源から供給される前記マイクロ波を前記処理室に透過すると共に前記処理室の隔壁として機能する誘電体窓と、前記誘電体窓と前記処理室とを封止する封止部と、前記誘電体窓は、マイクロ波表面波から前記封止部を保護する保護手段を有することを特徴とする。
本発明の更なる目的又はその他の特徴は、以下、添付図面を参照して説明される好ましい実施例によって明らかにされるであろう。
本発明によれば、誘電体窓及びその周辺部材の損傷を抑制し、長時間安定処理を提供することができるプラズマ処理装置を提供することができる。
以下、本発明の一実施例としてのマイクロ波プラズマ処理装置(以下、単に、「処理装置」という。)100を添付図面を参照して詳細に説明する。ここで、図1は、処理装置100の概略断面図である。処理装置100は、同図に示すように、図示しないマイクロ波発生源に接続され、プラズマ処理室101、被処理基体102、支持体(又は載置台)103、温調部104、ガス導入部105、排気路106、誘電体窓107、マイクロ波供給手段108を有し、被処理体102に対してプラズマ処理を施す。
マイクロ波発生源は、例えば、マグネトロンからなり、例えば、2.45GHzのマイクロ波を発生する。但し、本発明は、0.8GHz乃至20GHzの範囲からマイクロ波周波数を適宜選択することができる。マイクロ波は、その後、図示しないモード変換器によりTM、TE又はTEMモードなどに変換されて導波管を伝搬する。マイクロ波の導波経路には、アイソレーターやインピーダンス整合器などが設けられる。アイソレーターは、反射されたマイクロ波がマイクロ波発生源に戻ることを防止し、そのような反射波を吸収する。インピーダンス整合器は、マイクロ波発生源から負荷に供給される進行波と負荷により反射されてマイクロ波発生源に戻ろうとする反射波のそれぞれの強度と位相を検知するパワーメータを有し、マイクロ波発生源と負荷側とのマッチングをとる機能を果たすものであって、4Eチューナ、EHチューナやスタブチューナ等から構成される。
プラズマ処理室101は、被処理基体102を収納して真空又は減圧環境下で被処理基体102にプラズマ処理を施す真空容器である。なお、図1においては、被処理基体102を図示しないロードロック室との間で受け渡すためのゲートバルブなどは省略されている。
被処理基体102は、半導体であっても、導電性のものであっても、あるいは電気絶縁性のものであってもよい。導電性基体としては、Fe,Ni,Cr,Al,Mo,Au,Nb,Ta,V,Ti,Pt,Pbなどの金属またはこれらの合金、例えば真鍮、ステンレス鋼などが挙げられる。絶縁性基体としては、SiO系の石英や各種ガラス、Si,NaCl,KCl,LiF,CaF,BaF,Al,AlN,MgOなどの無機物、ポリエチレン,ポリエステル,ポリカーボネート,セルロースアセテート,ポリプロピレン,ポリ塩化ビニル,ポリ塩化ビニリデン、ポリスチレン、ポリアミド、ポリイミドなどの有機物のフィルム、窓などが挙げられる。
被処理基体102は、支持体103に載置される。必要があれば、支持体103は高さ調節が可能に構成されてもよい。支持体103は、プラズマ処理室101に収納され、被処理基体102を支持する。
温調部104は、ヒーターなどから構成され、例えば、200℃以上400℃以下の処理に適した温度に制御される。温調部104は、例えば、支持体103の温度を測定する温度計と、温度計が測定した温度が所定の温度になるように、例えば、温調部としてのヒーター線への図示しない電源からの通電を制御する制御部とを有する。
ガス導入部105は、プラズマ処理室101の周辺に設けられ、プラズマ処理用のガスをプラズマ処理室101に供給する。ガス導入部105は、ガス供給手段の一部であり、ガス供給手段は、ガス供給源と、バルブと、マスフローコントローラと、これらを接続するガス導入管を含み、マイクロ波により励起されて所定のプラズマを得るための処理ガスや放電ガスを供給する。プラズマの迅速な着火のために少なくとも着火時にXeやAr、Heなどの希ガスを添加してもよい。希ガスは反応性がないので被処理基体102に悪影響せず、また、電離しやすいのでマイクロ波投入時のプラズマ着火速度を上昇することができる。
ガス導入部105の向きは、 ガスが誘電体窓107近傍に発生するプラズマ領域を経由した後中央付近に十分に供給されてから被処理基体102の表面を中央から周辺に向かって流れるように、誘電体窓107に向けてガスを吹き付けられる構造を有することが最適である。
CVD法により基板上に薄膜を形成する場合に用いられるガスとしては、一般に公知のガスが使用できる。
a−Si、poly−Si、SiCなどのSi系半導体薄膜を形成する場合の原料ガスとしては、SiH,Siなどの無機シラン類、テトラエチルシラン(TES)、テトラメチルシラン(TMS)、ジメチルシラン(DMS)、ジメチルジフルオロシラン(DMDFS)、ジメチルジクロルシラン(DMDCS)などの有機シラン類、SiF、Si、Si、SiHF、SiH、SiCl、SiCl、SiHCl、SiHCl、SiHCl、SiClなどのハロゲン化シラン類等、常温常圧でガス状態であるものまたは容易にガス化し得るものが挙げられる。また、この場合のSi原料ガスと混合して導入してもよい添加ガスまたはキャリアガスとしては、H、He、Ne、Ar、Kr、Xe、Rnが挙げられる。
Si ,SiOなどのSi化合物系薄膜を形成する場合の原料としては、SiH、Siなどの無機シラン類、テトラエトキシシラン(TEOS)、テトラメトキシシラン(TMOS)、オクタメチルシクロテトラシラン(OMCTS)、ジメチルジフルオロシラン(DMDFS)、ジメチルジクロルシラン(DMDCS)などの有機シラン類、SiF、Si、Si、SiHF、SiH、SiCl、SiCl、SiHCl、SiHCl、SiHCl、SiClなどのハロゲン化シラン類等、常温常圧でガス状態であるものまたは容易にガス化し得るものが挙げられる。また、この場合の同時に導入する窒素原料ガスまたは酸素原料ガスとしては、N、NH、N、ヘキサメチルジシラザン(HMDS)、O、O、HO、NO、NO、NOなどが挙げられる。
Al、W、Mo、Ti、Taなどの金属薄膜を形成する原料としては、トリメチルアルミニウム(TMAl)、トリエチルアルミニウム(TEAl)、トリイソブチルアルミニウム(TIBAl)、ジメチルアルミニウムハイドライド(DMAlH)、タングステンカルボニル(W(CO))、モリブデンカルボニル(Mo(CO))、トリメチルガリウム(TMGa)、トリエチルガリウム(TEGa)などの有機金属、AlCl、WF、TiCl、TaClなどのハロゲン化金属等が挙げられる。また、この場合のSi原料ガスと混合して導入してもよい添加ガスまたはキャリアガスとしては、H、He、Ne、Ar、Kr、Xe、Rnが挙げられる。
Al、AlN、Ta、TiO、TiN、WOなどの金属化合物薄膜を形成する場合の原料としては、トリメチルアルミニウム(TMAl)、トリエチルアルミニウム(TEAl)、トリイソブチルアルミニウム(TIBAl)、ジメチルアルミニウムハイドライド(DMAlH)、タングステンカルボニル(W(CO))、モリブデンカルボニル(Mo(CO))、トリメチルガリウム(TMGa)、トリエチルガリウム(TEGa)などの有機金属、AlCl、WF、TiCl、TaClなどのハロゲン化金属等が挙げられる。また、この場合の同時に導入する酸素原料ガスまたは窒素原料ガスとしては、O、O、HO、NO、NO、NO、N、NH、N、ヘキサメチルジシラザン(HMDS)などが挙げられる。
被処理基体102の表面をエッチングするエッチング用ガスとしては、F、CF、CH、C、C、C、CFCl、SF、NF、Cl、CCl、CHCl、CClなどが挙げられる。フォトレジストなど被処理基体102の表面上の有機成分をアッシング除去するアッシング用ガスとしては、O、O、HO、NO、NO、NO、Hなどが挙げられる。
被処理基体102を表面改質する場合、使用するガスを適宜選択することにより、例えば基体もしくは表面層としてSi、Al、Ti、Zn、Taなどを使用してこれら基体もしくは表面層の酸化処理あるいは窒化処理さらにはB、As、Pなどのドーピング処理等が可能である。更に本発明において採用する成膜技術はクリーニング方法にも適用できる。その場合酸化物あるいは有機物や重金属などのクリーニングに使用することもできる。
被処理基体102を酸化表面処理する酸化性ガスとしては、O、O、HO、NO、NO、NOなどが挙げられ、被処理基体102を窒化表面処理する窒化性ガスとしては、N、NH、N、ヘキサメチルジシラザン(HMDS)などが挙げられる。
被処理基体102の表面の有機物をクリーニングする場合、またはフォトレジストなど被処理基体102の表面上の有機成分をアッシング除去する場合の処理用ガス導入口105から導入するクリーニング/アッシング用ガスとしては、O、O、HO、NO、NO、NO、Hなどが挙げられる。また、基体表面の無機物をクリーニングする場合の処理用ガス導入口105から導入するクリーニング用ガスとしては、F、CF、CH、C、C、CFCl、SF、NFなどが挙げられる。
排気路又は排気管106は、典型的にプラズマ処理室101の底部に設けられ、図示しない真空ポンプに接続されている。排気路106は、図示しない圧力調整弁、圧力計、真空ポンプ及び制御部と共に圧力調節機構を構成する。即ち、図示しない制御部は、真空ポンプを運転しながら、プラズマ処理室101の圧力を検出する圧力計が所定の値になるように、プラズマ処理室101の圧力を弁の開き具合で調整する圧力調整弁(例えば、VAT製の圧力調整機能付きゲートバルブやMKS製排気スロットバルブ)を制御することによって調節する。この結果、排気路106を介して、プラズマ処理室101の内部圧力を処理に適した圧力に制御する。圧力は、好ましくは、13mPa乃至1330Paの範囲、より好ましくは、665mPaから665Paの範囲が適当である。真空ポンプは、例えば、ターボ分子ポンプ(TMP)により構成され、図示しないコンダクタンスバルブなどの圧力調整バルブを介してプラズマ処理室101に接続されている。
誘電体窓107は、マイクロ波発生源から供給されるマイクロ波をプラズマ処理室101に透過すると共にプラズマ処理室101の隔壁として機能する。誘電体窓107は、図2に示すように、特徴的に、被処理基体102に対向する側に段差107cを有する。ここで、図2は、誘電体窓107の形状を示すための処理装置100の部分拡大断面図である。
本実施形態では、誘電体窓107の周辺部107bがマイクロ波を導入する導入部107aよりも盛り上がった断面凹型であるが、本発明は、誘電体窓107が周辺部107bよりも導入部107aが盛り上がった断面凸型であってもよい。但し、導入部107aが薄い方が透過率が高くなるので断面凹型が好ましい。更に、段差107cは、誘電体窓107内の波長の1/8以上であることが好ましい。これよりも低いとマイクロ波表面波が段差の高い方に及ぶからである。図2は、段差107cが階段状断面を有することを示しているが、段差107cの数、傾斜角度、形状(例えば、段差が曲線状の断面を有するなど)は問わない。段差107cは、後述するように、表面波から封止部を保護する保護手段として機能する。なお、本発明はかかる保護手段を段差に限定するものではなく、広く、誘電体窓107がかかる保護手段を有すれば足りる。
スロット付平板状マイクロ波供給手段108は、マイクロ波を誘電体窓107を介してプラズマ処理室101に導入する機能を有し、スロット付無終端環状導波管でも、同軸導入平板マルチスロットアンテナでも、マイクロ波を平板状に供給できるものであれば適用可能である。本発明のマイクロ波プラズマ処理装置に用いられる平板状マイクロ波供給手段108の材質は、導電体であれば使用可能であるが、マイクロ波の伝搬ロスをできるだけ抑えるため、導電率の高いAl、Cu、 Ag/CuメッキしたSUSなどが最適である。
例えば、スロット付平板状マイクロ波供給手段108がスロット付無終端環状導波管である場合、冷却水路とスロットアンテナが設けられている。スロットアンテナは誘電体窓107表面の真空側に干渉による表面定在波を形成する。スロットアンテナは、例えば、半径方向のスロット、円周方向に沿ったスロット、略T字形状の同心円状又は螺旋状に配置された多数のスロット、又は、Vの字形状の一対のスロットを4対有する金属製の円板である。なお、被処理基体102面内において、ばらつきのない均一な処理を全面に渡って行うためには、被処理基体102上において面内均一性の良好な活性種が供給されることが重要である。スロットアンテナは少なくとも一本以上のスロットを配置することで、大面積に渡ってプラズマを生成させることが可能となり、プラズマ強度・均一性の制御も容易になる。
処理装置100は、図2に示すように、プラズマ処理室101と誘電体窓107との間を封止するOリング121を更に有する。
以下、処理装置100の動作について説明する。まず、図示しない真空ポンプを介してプラズマ処理室101内を真空排気する。続いて、ガス供給手段の図示しないバルブが開口され、マスフローコントローラを介して処理ガスが所定の流量でガス導入部105からプラズマ処理室101に導入される。次に図示しない圧力調整弁を調整し、プラズマ処理室101内を所定の圧力に保持する。また、マイクロ波発生源よりマイクロ波を、マイクロ波供給手段、誘電体窓107を介してプラズマ処理室101に供給し、プラズマ処理室101内でプラズマを発生させる。マイクロ波供給手段内に導入されたマイクロ波は、自由空間よりも長い管内波長をもって伝搬し、スロットから誘電体窓108を介してプラズマ処理室101に導入され、誘電体窓107の表面を表面波として伝搬する。この表面波は、隣接するスロット間で干渉し、表面定在波を形成する。この表面定在波の電界により高密度プラズマを生成する。プラズマ生成域の電子密度が高いので処理ガスを効率良く解離できる。また、電界が誘電体近傍に局在するので、電子温度はプラズマ生成域から離れると急速に低下するため、デバイスへのダメージも抑制できる。プラズマ中の活性種は、被処理基体102近辺に拡散等で輸送され、被処理基体102の表面に到達する。
成膜処理の場合、使用するガスを適宜選択することによりSi、SiO、SiOF,Ta、TiO、TiN、Al、AlN、MgFなどの絶縁膜、a−Si、poly−Si、SiC、GaAsなどの半導体膜、Al、W、Mo、Ti、Taなどの金属膜等、各種の堆積膜を効率よく形成することが可能である。
プラズマ処理におけるシール面118の状態を図2を参照して説明する。同図において、112は表面波、114はプラズマ、122は誘電体窓107とプラズマ処理室101との隙間である。なお、図1及び図2は、作図の便宜上、プラズマ処理室101その他の部材に関して相互に一致しない形状を含んでいる。
従来は、段差107cが存在せず、誘電体窓107の下面は平坦であったため、誘電体窓の底面を伝播する表面波が、Oリングなどのシール部まで到達して誘電体窓及び/又は真空シール部を熱変形させたり、変形により処理室の減圧環境を破壊したりするという問題を引き起こしていた。また、マイクロ波及び/又は処理ガスのラジカルが、Oリング及び/又はその周辺の部材を表面処理(例えば、スパッタ、ラジカルとOリングの反応)し、それらの損傷を招いたり、交換頻度を増加させたりするなどの問題も引き起こしていた。
これに対して、本実施形態によれば、表面波112はプラズマ114中を伝播できず、誘電体窓107の表面を伝播し、誘電体窓107の周辺へも到達する。しかし、真空シール面118は表面波112の伝播中心116から充分ずらしてあるので、隙間122での放電やOリング121などの部材の損傷は低減され、長時間安定処理が可能になる。なお、誘電体窓107の誘電率は、高い方が表面波112が隙間222に伝播しやすくなるので、4以上の場合に特に有効である。
処理装置100において、より低圧で処理するために、磁界発生手段を用いても良い。本発明のプラズマ処理装置及び処理方法において用いられる磁界としては、スロットの幅方向に発生する電界に垂直な磁界であれば適用可能である。磁界発生手段としては、コイル以外でも、永久磁石でも使用可能である。コイルを用いる場合には過熱防止のため水冷機構や空冷など他の冷却手段を用いてもよい。
以下、マイクロ波プラズマ処理装置100の具体的な適用例を説明するが、本発明はこれらの例に限定されるものではない。
処理装置100の一例として、窒化アルミニウム製誘電体窓とスロット付無終端環状導波管を用いた例を図3を用いて説明する。301は円筒形状のプラズマ処理室、302は被処理基体、303は基体302の支持体、304は基板温度調整手段、305はプラズマ処理室301の周辺に設けられたプラズマ処理用ガス導入手段、306は排気、307は誘電体窓、308はマイクロ波を誘電体窓307を介してプラズマ処理室301に導入するためのスロット付無終端環状導波管である。
誘電体窓307の材質は窒化アルミニウムで、中央厚み10mm、周辺厚み17mmのものを用いた。使用した窒化アルミニウムの誘電率は9.8で、マイクロ波の窓内波長λdは39.1mmであるので、窓の段差7mmはλd/8よりも大きくなっている。誘電体窓107は、プラズマ生成領域に直接曝されるため、熱伝導率が低い材料を用いた場合、誘電体窓107の過昇温により間接的に被処理基体102の過剰な温度上昇を招く恐れがある。誘電体窓107の材料として、熱伝導率が70W/m・K以上の窒化アルミなどを用いることでプラズマ照射中も誘電体窓107の温度を300℃以下に抑えることができ、被処理基体102の過熱による処理効率の低下を回避することができる。
スロット付無終端環状導波管308は、TE10モードで、内壁断面の寸法が27mm×96mm(管内波長158.8mm)、導波管の中心径が151.6mm(一周長は管内波長の3倍)のものを用いた。スロット付無終端環状導波管308の材質は、マイクロ波の伝搬損失を抑えるため、すべてAl合金を用いている。スロット付無終端環状導波管308のH面には、マイクロ波をプラズマ処理室301へ導入するためのスロットが形成されている。スロットは、長さ40mm,幅4mmの矩形で、中心直径が151.6mmの位置に、放射状に60°間隔で6本形成されている。スロット付無終端環状導波管308には、4Eチューナ、方向性結合器、アイソレーター、2.45GHzの周波数を持つマイクロ波電源(不図示)が順に接続されている。
プラズマ処理は以下のようにして行なう。排気系(不図示)を介してプラズマ処理室301内を真空排気する。続いて処理用ガスをプラズマ処理室301の周辺に設けられたガス導入手段305を介して所定の流量でプラズマ処理室301内に導入する。次に排気系(不図示)に設けられたコンダクタンスバルブ(不図示)を調整し、プラズマ処理室301内を所定の圧力に保持する。マイクロ波電源(不図示)より所望の電力をスロット付無終端環状導波管308を介し誘電体窓307を透過してプラズマ処理室301内に供給する。表面波はプラズマ中に伝播できず、誘電体窓307表面を伝播し周辺へも到達するが、真空シール面は表面波の伝播中心から充分ずらしてあるので、隙間での放電やOリングなどの部材の損傷は低減され、長時間安定処理が可能になる。周辺から導入された処理用ガスは、発生した高密度プラズマにより励起・イオン化・反応して活性化し、支持体303上に載置された被処理基体302の表面を高速かつ高品質に処理する。
処理装置100の他の一例として、アルミナ窓と同軸導入マルチスロットアンテナとを使用した例を図4を用いて説明する。401は円筒形状のプラズマ処理室、402は被処理基体、403は基体402の支持体、404は基板温度調整手段、405はプラズマ処理室401の周辺に設けられたプラズマ処理用ガス導入手段、406は排気、407は誘電体窓、408はマイクロ波を誘電体窓407を透してプラズマ処理室401に導入するための同軸導入マルチスロットアンテナである。
誘電体窓407の材質はアルミナで、中央部の厚みは10mm、周辺部の厚み16mmのものを用いた。使用したアルミナの誘電率は9.8で、マイクロ波の窓内波長λdは39.1mmであるので、窓の段差6mmはλd/8よりも大きくなっている。同軸導入スロットアンテナ408はマイクロ波電力を給電する中心軸とアンテナ円板上に配された多数のスロットから構成される。同軸導入マルチスロットアンテナ408の材質は、マイクロ波の伝搬損失を抑えるため、中心軸はCuを、アンテナ円板はAlを用いている。スロットの形状は、長さ12mm、幅1mmの矩形のものが12mm間隔の同心円状に、円の接線方向に無数に形成されている。同軸導入マルチスロットアンテナ408には、4Eチューナ、方向性結合器、アイソレーター、2.45GHzの周波数を持つマイクロ波電源(不図示)が順に接続されている。
プラズマ処理は以下のようにして行なう。排気系(不図示)を介してプラズマ処理室401内を真空排気する。続いて処理用ガスをプラズマ処理室401の周辺に設けられたガス導入手段405を介して所定の流量でプラズマ処理室401内に導入する。次に排気系(不図示)に設けられたコンダクタンスバルブ(不図示)を調整し、プラズマ処理室401内を所定の圧力に保持する。マイクロ波電源(不図示)より所望の電力を無終端環状導波管408を介してプラズマ処理室401内に供給する。表面波はプラズマ中に伝播できず、誘電体窓407表面を伝播し周辺へも到達するが、真空シール面は表面波の伝播中心から充分ずらしてあるので、隙間での放電やOリングなどの部材の損傷は低減され、長時間安定処理が可能になる。周辺から導入された処理用ガスは、発生した高密度プラズマにより励起・イオン化・反応して活性化し、支持体403上に載置された被処理基体402の表面を高速かつ高品質に処理する。
第3図に示した処理装置を使用し、半導体素子ゲート酸化膜の表面窒化処理を行った。基体302としては、1.4nm酸化膜付きφ8”P型単結晶シリコン基板(面方位〈100〉,抵抗率10Ωcm)を使用した。まず、シリコン基板302を基体支持台303上に設置した後、排気系(不図示)を介してプラズマ処理室301内を真空排気し、10−5Paの値まで減圧させた。続いてヒーター304に通電し、シリコン基板302を300℃に加熱し、該基板をこの温度に保持した。プラズマ処理用ガス導入口305を介して窒素ガスを300sccmの流量で処理室301内に導入した。ついで、排気系(不図示)に設けられたコンダクタンスバルブ(不図示)を調整し、処理室301内を0.133Paに保持した。ついで、2.45GHzのマイクロ波電源(不図示)より1.0kWの電力をスロット付無終端環状導波管308を介して供給した。かくして、プラズマ処理室301内にプラズマを発生させた。この際、プラズマ処理用ガス導入口305を介して導入された窒素ガスはプラズマ処理室301内で励起、分解されてNイオンやNラジカルなどの活性種となり、シリコン基板302の方向に輸送され、酸化シリコン膜の表面を0.8nm程度の深さまで窒化した。
処理後、窒化速度,均一性,耐圧,リーク電流などの膜質について評価した。窒化速度は0.3nmの深さで約11%/min,酸化膜換算膜厚均一性は±2.8%,耐圧は9.8MV/cm,リーク電流は2.1μA/cm2で良好であった。
第4図に示した処理装置を使用し、シリコン基板の直接酸化による半導体素子ゲート絶縁用酸化シリコン膜の形成を行った。基体402としては、φ8”P型単結晶シリコン基板(面方位〈100〉,抵抗率10Ωcm)を使用した。まず、シリコン基板402を基体支持体403上に設置した。排気系(不図示)を介してプラズマ処理室401内を真空排気し、10−5Paの値まで減圧させた。続いてヒーター404に通電し、シリコン基板402を450℃に加熱し、該基板をこの温度に保持した。プラズマ処理用ガス導入口405を介して酸素ガスを200sccmの流量でプラズマ処理室401に導入した、ついで、排気系(不図示)に設けられたコンダクタンスバルブ(不図示)を調整し、プラズマ処理室401内を6.65Paに保持した。ついで、2.45GHzのマイクロ波電源より1.0kWの電力を同軸導入マルチスロットアンテナ403を介してプラズマ処理室401内に供給した。かくして、プラズマ処理室401内にプラズマを発生させた。プラズマ処理用ガス導入口405を介して導入された酸素ガスはプラズマ処理室401内で励起、分解されて活性種となり、シリコン基板402の方向に輸送され、シリコン基板402表面が1.2nm程度酸化された。
処理後、酸化速度、均一性,耐圧、リーク電流、及びフラットバンドシフトについて評価した。酸化速度は0.8nm/min、均一性は±2.7%、耐圧は9.1MV/cm、リーク電流は3.0μA/cm2、ΔVfbは0.2Vと良好であった。
第4図に示した処理装置を使用し、半導体素子ゲート絶縁用酸化タンタル膜の形成を行った。基体402としては、φ8”P型単結晶シリコン基板(面方位〈100〉,抵抗率10Ωcm)を使用した。まず、シリコン基板402を基体支持体403上に設置した。排気系(不図示)を介してプラズマ処理室401内を真空排気し、10−5Paの値まで減圧させた。続いてヒーター404に通電し、シリコン基板402を300℃に加熱し、基板をこの温度に保持した。プラズマ処理用ガス導入口405を介して酸素ガスを200sccmの流量で、また、TEOTガスを10sccmの流量で処理室401内に導入した。ついで、排気系(不図示)に設けられたコンダクタンスバルブ(不図示)を調整し、プラズマ処理室401内を50mTorrに保持した。ついで、2.45GHzのマイクロ波電源より2.0kWの電力を同軸導入マルチスロットアンテナ403を介してプラズマ処理室401内に供給した。かくして、プラズマ処理室401内にプラズマを発生させた。プラズマ処理用ガス導入口405を介して導入された酸素ガスはプラズマ処理室401内で励起、分解されて活性種となり、シリコン基板402の方向に輸送され、TEOTガスと反応し、酸化タンタル膜がシリコン基板402上に5nmの厚さで形成された。
処理後、成膜速度、均一性、耐圧、リーク電流、及びフラットバンドシフトについて評価した。成膜速度は2.3nm/min、均一性は±3.1%、耐圧は7.3MV/cm、リーク電流は4.6μA/cm2、ΔVfbは0.1Vと良好であった。
第3図に示した処理装置を使用し、半導体素子層間絶縁用低誘電率有機膜のエッチングを行った。基体302としては、MOSキャパシタと1層目配線を形成した上に低誘電率有機膜としてポリアリールエーテル膜が0.4μm厚形成されたφ8”P型単結晶シリコン基板(面方位〈100〉,抵抗率10Ωcm)を使用した。まず、シリコン基板302を基体支持台303上に設置した後、排気系(不図示)を介してエッチング室301内を真空排気し、10−5Paの値まで減圧させた。プラズマ処理用ガス導入口305を介してNHを100sccmの流量でプラズマ処理室301内に導入した。ついで、排気系(不図示)に設けられたコンダクタンスバルブ(不図示)を調整し、プラズマ処理室301内を5mTorrの圧力に保持した。ついで、400kHzの高周波印加手段を介して100Wの電力を基板支持体302に印加するとともに、2.45GHzのマイクロ波電源より2.0kWの電力をスロット付無終端環状導波管303を介してプラズマ処理室301内に供給した。かくして、プラズマ処理室301内にプラズマを発生させた。プラズマ処理用ガス導入口305を介して導入されたNHガスはプラズマ処理室301内で励起、分解されて活性種となり、シリコン基板302の方向に輸送され、自己バイアスによって加速されたイオンによってポリアリールエーテル膜がエッチングされた。クーラ307により基板温度は10℃までしか上昇しなかった。
エッチング後、エッチング速度、選択比、及びエッチング形状について評価した。エッチング速度と均一性、対ポリシリコン選択比は310nm/min、±4.2%、12と良好で、エッチング形状もほぼ垂直で、マイクロローディング効果も少ないことが確認された。
第3図に示したマイクロ波プラズマ処理装置を使用し、半導体素子ゲート電極間ポリシリコン膜のエッチングを行った。基体302としては、最上部にポリシリコン膜が形成されたφ8”P型単結晶シリコン基板(面方位〈100〉,抵抗率10Ωcm)を使用した。まず、シリコン基板302を基体支持台303上に設置した後、排気系(不図示)を介してプラズマ処理室301内を真空排気し、10−5Paの値まで減圧させた。プラズマ処理用ガス導入口305を介してCFガスを300sccm、酸素を20sccmの流量でプラズマ処理室301内に導入した。ついで、排気系(不図示)に設けられたコンダクタンスバルブ(不図示)を調整し、プラズマ処理室301内を266mPaの圧力に保持した。ついで、400kHzの高周波電源(不図示)からの高周波電力300Wを基板支持体303に印加するとともに、2.45GHzのマイクロ波電源より2.0kWの電力をスロット付無終端環状導波管303を介してプラズマ処理室301内に供給した。かくして、プラズマ処理室301内にプラズマを発生させた。プラズマ処理用ガス導入口305を介して導入されたCFガス及び酸素はプラズマ処理室301内で励起、分解されて活性種となり、シリコン基板302の方向に輸送され、自己バイアスにより加速されたイオンによりポリシリコン膜がエッチングされた。クーラ304により、基板温度は80℃までしか上昇しなかった。
エッチング後、エッチング速度、均一性、選択比、及びエッチング形状について評価した。エッチング形状は、エッチングされたポリシリコン膜の断面を走査型電子顕微鏡(SEM)で観測し、評価した。エッチング速度と均一性、対SiO選択比はそれぞれ850nm/min、±3.7%、24と良好で、エッチング形状も垂直で、マイクロローディング効果も少ないことが確認された。
第3図に示した処理装置を使用し、フォトレジストのアッシングを行った。基体302としては、ゲート電極をエッチングした直後のφ8”シリコン基板を使用した。まず、シリコン基板302を基体支持体303上に設置した後、ヒーター304を用いて200℃まで加熱し、排気系(不図示)を介してプラズマ処理室301内を真空排気し、10−2Paまで減圧させた。プラズマ処理用ガス導入口305を介して酸素ガスを2slmの流量でプラズマ処理室301内に導入した。ついで、排気系(不図示)に設けられたコンダクタンスバルブ(不図示)を調整し、処理室301内を133Paに保持した。プラズマ処理室301内に、2.45GHzのマイクロ波電源より2.5kWの電力をスロット付無終端環状導波管308を介して供給した。かくして、プラズマ処理室301内にプラズマを発生させた。この際、プラズマ処理用ガス導入口305を介して導入された酸素ガスはプラズマ処理室301内で励起、分解、反応してオゾンとなり、シリコン基板302の方向に輸送され、基板302上のフォトレジストを酸化し、気化・除去された。
アッシング後、アッシング速度と均一性、基板表面電荷密度などについて評価した。得られたアッシング速度と均一性は、7.5μm/min±4.2%、表面電荷密度も0.5×1011cm−2と良好であった。
本発明のマイクロ波プラズマ処理装置の概略断面図である。 図1に示すマイクロ波プラズマ処理装置の誘電体窓の形状を示す概略部分拡大図である。 図1に示すマイクロ波プラズマ処理装置がスロット付無終端環状導波管と窒化アルミニウム窓を使用する例を示す概略断面図である。 図1に示すマイクロ波プラズマ処理装置が同軸導入マルチスロットアンテナとアルミナ窓を使用する例を示す概略断面図である。
符号の説明
100 処理装置
101、301、401 プラズマ処理室
102、302、402 被処理基体
107、307、407 誘電体窓
121 Oリング

Claims (4)

  1. マイクロ波発生源から供給されるマイクロ波によって被処理基体にプラズマ処理を施す処理装置であって、
    前記マイクロ波発生源から供給される前記マイクロ波を前記処理室に透過すると共に前記処理室の隔壁として機能する誘電体窓と、
    前記誘電体窓と前記処理室とを封止する封止部とを有し、
    前記誘電体窓は、前記被処理基体に対向する側に段差を有することを特徴とする処理装置。
  2. 前記段差は、前記マイクロ波の前記誘電体窓内の波長の1/8以上の高さを有することを特徴とする請求項1記載の処理装置。
  3. 前記段差は、前記マイクロ波を透過する部分よりも前記封止部によって封止される部分の方が厚くなるように形成されることを特徴とする請求項1記載の処理装置。
  4. マイクロ波発生源から供給されるマイクロ波によって被処理基体にプラズマ処理を施す処理装置であって、
    前記マイクロ波発生源から供給される前記マイクロ波を前記処理室に透過すると共に前記処理室の隔壁として機能する誘電体窓と、
    前記誘電体窓と前記処理室とを封止する封止部と、
    前記誘電体窓は、マイクロ波表面波から前記封止部を保護する保護手段を有することを特徴とする処理装置。
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