図1〜図8はこの発明の第1の実施例を示しており、図1は紫外光シャッタ素子の分解斜視図、図2は前記紫外光シャッタ素子の一部分のハッチングを省略した断面図である。
この紫外光シャッタ素子は、図1及び図2のように、液晶層10を挟んで対向する一対の透明基板の互いに対向する内面にそれぞれ、前記液晶層10への電界の印加により透過光の偏光状態を制御する複数の偏光制御部aをマトリックス状に配列形成する電極4,5が設けられた液晶セル1と、前記液晶セル1を挟んで配置された一対の紫外光偏光板13,14とを備えている。
前記液晶セル1は、TFT(薄膜トランジスタ)6をアクティブ素子とするアクティブマトリックス液晶素子であり、一方の基板、例えば図2において上側の基板(以下、上基板と言う)2の内面に一枚膜状の対向電極4を設け、他方の基板、つまり図2において下側の基板(以下、下基板と言う)3の内面に、行方向及び列方向に80μm〜120μmのピッチでマトリックス状に配列する複数の四角形ドット状電極5を設けるとともに、これらのドット状電極5にそれぞれ対応させて複数のTFT6を設け、前記対向電極4と複数のドット状電極5が互い対向する領域により、マトリックス状に配列する複数の偏光制御部aを形成した構成となっている。
なお、図2では前記TFT6を簡略化して示しているが、このTFT6は、前記下基板3の基板面に形成されたゲート電極と、このゲート電極を覆って前記基板面の略全域に設けられた透明なゲート絶縁膜と、このゲート絶縁膜の上に前記ゲート電極と対向させて形成されたi型半導体膜と、このi型半導体膜の両側部の上にn型半導体膜を介して形成されたソース電極及びドレイン電極とからなっている。
また、図2では省略しているが、前記下基板3の内面には、各行のTFT6にゲート信号を供給する複数のゲート配線と、各列のTFT6にデータ信号を供給する複数のデータ配線とが設けられており、前記ゲート配線は、基板3面に前記TFT6のゲート電極と一体に形成されて前記ゲート絶縁膜により覆われ、前記データ配線は、前記ゲート絶縁膜の上に形成されて前記TFT6のドレイン電極に接続されている。
そして、前記ドット状電極5は、前記ゲート絶縁膜の上に形成されており、そのドット状電極5に対応するTFT6のソース電極に接続されている。
また、前記一対の基板2,3の内面にはそれぞれ、前記電極4,5を覆ってポリイミド等からなる水平配向膜7,8が設けられており、これらの基板2,3の対向面は、前記配向膜7,8の膜面をそれぞれ互いに直交する方向にラビングすることにより配向処理されている。
前記一対の基板2,3は、前記複数の偏光制御部aがマトリックス状に配列した偏光制御部配列エリアAを囲む枠状のシール材9を介して接合されており、これらの基板2,3間の前記シール材9で囲まれた領域に液晶層10が設けられている。
前記液晶層10は、誘電異方性が正のネマティック液晶からなっており、その液晶分子は、前記一対の基板2,3の近傍における配向方向を前記配向膜7,8により規定され、一対の基板2,3間において実質的に90°のツイスト角でツイスト配向している。
そして、前記液晶セル1の液晶の屈折率異方性Δnと液晶層厚dとの積Δndの値は、589nmの波長光に対して250nm〜450nmの範囲に設定されている。
なお、前記ドット状電極5及びTFT6が設けられた下基板3は、その行方向の一端縁と列方向の一端縁とに、前記対向電極4が設けられた上基板2の外方に張出すドライバ搭載部3a,3bを有しており、各行のTFT6にゲート信号を供給する図示しない複数のゲート配線は、行方向のドライバ搭載部3aに搭載されたゲート側ドライバ11に接続され、各列のTFT6にデータ信号を供給する図示しない複数のデータ配線は、列方向のドライバ搭載部3bに搭載されたデータ側ドライバ12に接続され、前記対向電極4は、前記シール材9による基板接合部に設けられたクロス接続部と前記ドライバ搭載部3a,3bの一方または両方に形成された対向電極接続配線を介して前記ゲート側及びデータ側ドライバ11,12の一方または両方の基準電位に接続されている。
一方、前記液晶セル1を挟んで配置された一対の紫外光偏光板13,14は、互いに直交する方向に吸収軸13a,14a(図3参照)と透過軸(図示せず)とをもち、入射した紫外光の互いに直交する2つの直線偏光成分のうち、前記吸収軸13a,14aに平行な一方の直線偏光成分を吸収し、他方の直線偏光成分(透過軸に平行な直線偏光成分)を透過させる偏光板である。
図3は、前記液晶セル1の液晶分子配向状態と紫外光偏光板13,14の配置状態を示しており、図において、3:00,6:00,9:00,12:00はそれぞれ、時計における3時,6時,9時,12時の方向を示している。
図3のように、前記液晶セル1の上基板2の近傍における液晶分子配向方向(配向膜7のラビング方向)2aは、3時方向に対し、上側から見て左回りに略45°の方向、下基板3の近傍における液晶分子配向方向(配向膜8のラビング方向)3aは、前記3時方向に対し、上側から見て右回りに略45°の方向にあり、液晶分子は、図にそのツイスト方向を破線矢印で示したように、下基板3から上基板2に向かい、上側から見て右回りに、実質的に90°のツイスト角でツイスト配向している。
そして、前記一対の紫外光偏光板13,14のうち、一方の紫外光偏光板、例えば上側の紫外光偏光板13は、その吸収軸13aを、前記液晶セル1の前記上側紫外光偏光板13が隣接する上基板2の近傍における液晶分子配向方向2aと実質的に平行にして配置され、他方の下側紫外光偏光板14は、その吸収軸14aを、前記上側紫外光偏光板13の吸収軸13aと実質的に直交させて配置されている。
この実施例では、図3のように、上側紫外光偏光板13を、その吸収軸13aを3時方向に対して上側から見て左回りに略45°の方向、つまり前記液晶セル1の上基板2の近傍における液晶分子配向方向2aに対して略0°の方向に向けて配置し、他方の下側紫外光偏光板14を、その吸収軸14aを前記3時方向に対して上側から見て左回りに略135°の方向、つまり前記上側紫外光偏光板13の吸収軸13aに対して略90°の方向に向けて配置している。
前記一対の紫外光偏光板13,14は、紫外帯域の紫外光と、可視帯域の少なくとも一部の波長の可視光に対して、吸収軸13a,14aに平行な一方の直線偏光成分を吸収し、他方の直線偏光成分を透過させる偏光作用を示す偏光板である。
図4〜図7はそれぞれ紫外光偏光板の偏光特性図であり、これらの紫外光偏光板の紫外帯域の偏光波長域は、いずれも300nm〜400nmの範囲である。
図4〜図7において、(a)は波長―透過率特性、(b)は波長―偏光度特性を示しており、各図の(a)において、実線は、1枚の紫外光偏光板の単体での透過率(以下、単体透過率と言う)、破線は、2枚の紫外光偏光板をそれぞれの透過軸を互いに平行にして配置したときの透過率(以下、平行透過率と言う)、一点鎖線は、2枚の紫外光偏光板をそれぞれの透過軸を互いに直交させて配置したときの透過率(以下、直交透過率と言う)である。
これらの紫外光偏光板のうち、図4及び図5に示した偏光特性を有する第1及び第2の紫外光偏光板は、前記紫外帯域の偏光波長域(300nm〜400nm)から可視帯域の略全域にわたる範囲の波長光を偏光させる。
また、図6に示した偏光特性を有する第3の紫外光偏光板は、主に紫外光帯域の波長光に対して偏光作用を示す偏光板であり、前記紫外帯域の偏光波長域(300nm〜400nm)から可視帯域のうちの紫外帯域近くの略450nm以下の帯域にわたる範囲、つまり300nm〜略450nmの範囲の波長光を偏光させる。
さらに、図7に示した偏光特性を有する第4の紫外光偏光板は、紫外光帯域の波長光と可視帯域の中間域の波長光に対して偏光作用を示す偏光板であり、前記紫外帯域の偏光波長域(300nm〜400nm)から可視帯域のうちの紫外帯域近くの略450nm以下の帯域にわたる範囲、つまり300nm〜略450nmの範囲の波長光と、可視帯域内の略550nm〜略600nmの範囲の波長光を偏光させる。
前記第1〜第4の紫外光偏光板の可視帯域の略中間の550nmの波長光に対する偏光特性と、前記紫外帯域の偏光波長域(300nm〜400nm)の略中間の365nmの波長光に対する偏光特性は次の通りである。
[1]第1の紫外光偏光板(図4の特性の偏光板)
可視帯域の550nm波長光に対する偏光特性
単体透過率 42.9%
平行透過率 37.7%
直交透過率 0.02%
偏光度 99.95%
平行/直交透過率比 1000以上
紫外帯域の365nm波長光に対する偏光特性
単体透過率 29.3%
平行透過率 16.8%
直交透過率 0.46%
偏光度 97.30%
平行/直交透過率比 37
[2]第2の紫外光偏光板(図5の特性の偏光板)
可視帯域の550nm波長光に対する偏光特性
単体透過率 33.9%
平行透過率 21.9%
直交透過率 0.01%
偏光度 99.96%
平行/直交透過率比 1000以上
紫外帯域の365nm波長光に対する偏光特性
単体透過率 10.8%
平行透過率 2.3%
直交透過率 0.01%
偏光度 99.56%
平行/直交透過率比 229
[3]第3の紫外光偏光板(図6の特性の偏光板)
可視帯域の550nm波長光に対する偏光特性
単体透過率 84.2%
平行透過率 72.8%
直交透過率 70.6%
偏光度 12.22%
平行/直交透過率比 1.03
紫外帯域の365nm波長光に対する偏光特性
単体透過率 29.2%
平行透過率 17.2%
直交透過率 0.02%
偏光度 99.91%
平行/直交透過率比 1000以上
[4]第4の紫外光偏光板(図7の特性の偏光板)
可視帯域の550nm波長光に対する偏光特性
単体透過率 43.4%
平行透過率 34.9%
直交透過率 3.72%
偏光度 89.87%
平行/直交透過率比 9
紫外帯域の365nm波長光に対する偏光特性
単体透過率 31.6%
平行透過率 20.1%
直交透過率 0.01%
偏光度 99.98%
平行/直交透過率比 1000以上
前記液晶セル1を挟んで配置された一対の紫外光偏光板13,14は、前記第1〜第4の紫外光偏光板のいずれかであり、この実施例では、両方の紫外光偏光板13,14を同じ偏光特性の偏光板としている。
この紫外光シャッタ素子は、例えば、その偏光制御部配列エリアAに対応する面積の出射面を有し、この出射面全体から、紫外帯域及び可視帯域の波長光を出射する面光源(図示せず)に、前記紫外光シャッタ素子の一方の面を対向させて配置され、前記面光源からの出射光のうち、少なくとも紫外光の透過を制御するものであり、前記面光源に対向する一方の面、例えば図1及び図2において上面側から入射した紫外光を、その面側の上側紫外光偏光板13により直線偏光として前記液晶セル1に入射させ、前記液晶セル1のマトリックス状に配列する複数の偏光制御部aを、その電極4,5間への電界の印加による液晶分子の配向状態の変化に応じて偏光状態を制御されて透過した光のうち、他方の下側紫外光偏光板14の吸収軸14aに平行な直線偏光成分の紫外光を、前記下側紫外光偏光板14により吸収し、それと直交する直線偏光成分の紫外光を、前記下側紫外光偏光板14を透過させて他方の面、つまり下面から出射する。
すなわち、前記面光源から出射し、前記紫外光シャッタ素子にその上面側から入射した光(紫外帯域及び可視帯域の波長光)は、前記上側紫外光偏光板13によりその吸収軸13aに平行な直線偏光成分を吸収され、この上側紫外光偏光板13の吸収軸13aと直交する(図示しない透過軸と平行な)直線偏光となって液晶セル1に入射する。
前記液晶セル1に入射する直線偏光は、前記上側紫外光偏光板13の種類に応じた波長範囲の光であり、上側紫外光偏光板13が図4または図5に示した特性の第1または第2の紫外光偏光板であるときは、300nm〜400nmの紫外帯域から可視帯域の全域にわたる波長範囲の直線偏光が液晶セル1に入射し、前記上側紫外光偏光板13が図6に示した特性の第3の紫外光偏光板であるときは、300nm〜略450nmの波長範囲の直線偏光が液晶セル1に入射し、前記上側紫外光偏光板13が図7に示した特性の第4の紫外光偏光板であるときは、300nm〜略450nmの波長範囲と略550nm〜略600nmの範囲範囲の直線偏光が液晶セル1に入射する。
前記液晶セル1に入射した前記直線偏光は、この液晶セル1の複数の偏光制御部aの電極4,5間への印加電界に応じて偏光状態を制御され、液晶分子を初期のツイスト配向状態に配向させるOFF電界を印加された偏光制御部aの液晶層10を透過した光が、実質的に90°旋光された直線偏光となって前記液晶セル1から出射し、液晶分子を基板2,3面に対して実質的に垂直に配向させるON電界を印加された偏光制御部aの液晶層10を透過した光が、ほとんど偏光状態を変えずに液晶セル1への入射光と実質的に同じ直線偏光のまま前記液晶セル1から出射する。
そして、前記液晶セル1から出射した光は、吸収軸14aを前記上側紫外光偏光板13の透過軸13aと実質的に直交させて配置された下側紫外光偏光板14に入射し、その光のうち、前記OFF電界を印加された偏光制御部aからの出射光(液晶層10により実質的に90°旋光された直線偏光)が、前記上側紫外光偏光板13により吸収され、前記ON電界を印加された偏光制御部aからの出射光(液晶層10をほとんど偏光状態を変えずに透過した直線偏光)が、前記下側紫外光偏光板14を透過してその下面から出射する。
このときも、前記下側紫外光偏光板14を透過して出射する直線偏光の波長範囲は、前記下側紫外光偏光板14の種類に応じた波長範囲の光であり、下側紫外光偏光板14が図4または図5に示した特性の第1または第2の紫外光偏光板であるときは、300nm〜400nmの紫外帯域から可視帯域の全域にわたる波長範囲の直線偏光が出射し、前記下側紫外光偏光板14が図6に示した特性の第3の紫外光偏光板であるときは、300nm〜略450nmの波長範囲の直線偏光が出射し、前記下側紫外光偏光板14が図7に示した特性の第4の紫外光偏光板であるときは、300nm〜略450nmの波長範囲と略550nm〜略600nmの範囲範囲の直線偏光が出射する。
この紫外光シャッタ素子は、液晶層10を挟んで対向する一対の基板2,3の対向面に、互いに対向する領域によりマトリックス状に配列する複数の偏光制御部aを形成する電極4,5が設けられ、前記複数の偏光制御部aの電極4,5間への電界の印加によりこれらの偏光制御部aを透過する光の偏光状態を制御する液晶セル1を挟んで、互いに直交する方向に吸収軸13a,14aと透過軸とをもち、入射した紫外光の互いに直交する2つの直線偏光成分のうち、前記吸収軸13a,14aに平行な一方の直線偏光成分を吸収し、他方の直線偏光成分を透過させる一対の紫外光偏光板13,14を配置したものであるため、前記液晶セル1の液晶10を利用して紫外光の透過制御を行なうことができる。
そして、この紫外光シャッタ素子は、一方の紫外光偏光板13により直線偏光とされて液晶セル1に入射した紫外光の偏光状態を、前記液晶セル1のマトリックス状に配列する複数の偏光制御部aにおいて制御し、これらの偏光制御部aを透過した光のうち、他方の紫外光偏光板14の吸収軸14aに平行な直線偏光成分の紫外光を吸収し、それと直交する直線偏光成分の紫外光を他方の面から出射するため、前記マトリックス状に配列する複数の偏光制御部aへの電界の印加により、紫外光の出射パターンを任意に制御することができ、したがって、例えば感光性材料への紫外光の照射制御による光造形等に利用することができる。
なお、この紫外光シャッタ素子は、上記と逆に、前記他方の面を入射面とし、前記一方の面を出射面として使用してもよく、その場合も同じ紫外光透過制御を行なうことができる。
この紫外光シャッタ素子において、前記紫外光偏光板13,14は、上述したような、紫外帯域の紫外光と、可視帯域の少なくとも一部の波長の可視光に対して、吸収軸13a,14aに平行な一方の直線偏光成分を吸収し、他方の直線偏光成分を透過させる偏光作用を示す紫外光偏光板でよく、例えば、紫外帯域から可視帯域の略全域にわたる範囲の波長光に対して偏光作用を示す図4または図5に示した特性の第1または第2の紫外光偏光板を用いることにより、紫外光シャッタ素子の動作を目視によっても確認することができ、また、紫外帯域から可視帯域のうちの紫外帯域近くの帯域にわたる範囲の波長光に対して偏光作用を示す図6に示した特性の第3の紫外光偏光板を用いることにより、紫外光の透過率を高くすることができる。
前記紫外光偏光板13,14は、紫外帯域の紫外光と、可視帯域の中間域の波長の可視光に対して偏光作用を示す図7に示した特性の第4の紫外光偏光板が好ましく、このような紫外光偏光板を用いることにより、紫外光の透過率を高くし、しかも目視による紫外光シャッタ素子の動作確認を行なうことができる。
また、この紫外光シャッタ素子は、前記液晶セル1の液晶層10の液晶分子を、一対の基板2,3間において実質的に90°のツイスト角でツイスト配向させ、前記一対の紫外光偏光板13,14のうち、一方の紫外光偏光板13を、その吸収軸13aを前記液晶セル1の前記一方の紫外光偏光板13が隣接する基板2の近傍における液晶分子配向方向2aと実質的に平行にして配置し、他方の紫外光偏光板14を、その吸収軸14aを前記一方の紫外光偏光板13の吸収軸13aと実質的に直交させて配置したものであるため、透過状態に制御された偏光制御部aに対応する部分から、他の部分に対して充分なコントラストの強度の紫外光を出射することができる。
さらに、この紫外光シャッタ素子では、上述したように、前記液晶セル1のΔndの値を、589nmの波長光に対して250nm〜450nmの範囲に設定しているため、透過状態に制御された偏光制御部aに対応する部分から、他の部分に対してより充分なコントラストの強度の紫外光を出射することができる。
図8は上記実施例の紫外光シャッタ素子の365nm紫外光の観察角―コントラスト特性を示す等コントラスト線図であり、図において、3:00,6:00,9:00,12:00はそれぞれ、時計における3時,6時,9時,12時の方向を示し、破線円は紫外光シャッタ素子の法線に対する出射光の観察角を示している。
この観察角―コントラスト特性は、前記液晶セル1の589nm波長光に対するΔnd値を400nmに設定し、一対の紫外光偏光板13,14をそれぞれ、図7に示した特性(紫外帯域の紫外光と、可視帯域の中間域の波長の可視光に対して偏光作用を示す特性)の第4の紫外光偏光板としたときの特性である。
この紫外光シャッタ素子の正面方向(観察角0°)における透過状態に制御された偏光制御部aに対応する部分(以下、選択部と言う)の透過率は17.5%、他の部分(以下、非選択部と言う)の透過率は0.076%、前記選択部と非選択部のコントラストCR(0°)は230であり、また、6時方向における観察角5°でのコントラストCR6:00(5°)と観察角10°でのコントラストCR6:00(10°)は、CR6:00(5°)=1773、CR6:00(10°)=250、12時方向における観察角5°でのコントラストCR12:00(5°)と観察角10°でのコントラストCR12:00(10°)は、CR12:00(5°)=46、CR12:00(10°)=17である。
このように、この実施例の紫外光シャッタ素子は、前記選択部から、非選択部に対して充分に高いコントラストの紫外光を出射することができる。
なお、上記第1の実施例において、前記液晶セル1の液晶分子のツイスト角は、90°±10°、好ましくは90°±5°の範囲、前記上側紫外光偏光板13の吸収軸13aの向きは、前記液晶セル1の上基板2の近傍における液晶分子配向方向2aに対して0°±10°、好ましくは0°±5°の範囲内、上側紫外光偏光板13と下側紫外光偏光板14の吸収軸13a,14aの交差角は90°±10°、好ましくは90°±5°の範囲内であればよく、このような範囲にすることにより、上記と同等の効果を得ることができる。
上記第1の実施例では、一対の紫外光偏光板13,14を、それぞれの吸収軸13a,14aを図3に示した方向に向けて配置しているが、前記一対の紫外光偏光板13,14は、その一方の紫外光偏光板の吸収軸を前記液晶セル1の前記一方の紫外光偏光板が隣接する基板の近傍における液晶分子配向方向と実質的に直交させるか或いは実質的に平行にし、他方の紫外光偏光板の吸収軸を前記一方の紫外光偏光板の吸収軸と実質的に直交させて配置すればよい。
図9は、この発明の第2の実施例の紫外線シャッタ素子を示す液晶セルの液晶分子配向状態と紫外光偏光板の配置状態図である。なお、この実施例において、液晶セル1の液晶分子配向状態は、上述した第1の実施例と同じであり、また、前記液晶セル1を挟んで配置された一対の紫外光偏光板13,14は、上述した第1〜第4の紫外光偏光板のいずれかであるから、その説明は省略する。
この実施例の紫外光シャッタ素子は、一対の紫外光偏光板13,14のうち、上側紫外光偏光板13を、その吸収軸13aを3時方向に対し上側から見て左回りに略135°の方向、つまり前記液晶セル1の上基板2の近傍における液晶分子配向方向2aに対して略90°の方向に向けて配置し、下側紫外光偏光板14を、その吸収軸14aを前記3時方向に対して上側から見て左回りに略45°の方向、つまり前記上側紫外光偏光板13の吸収軸13aに対して略90°の方向に向けて配置したものである。
図10は前記第2の実施例の紫外光シャッタ素子の365nm紫外光の観察角―コントラスト特性を示す等コントラスト線図であり、この観察角―コントラスト特性は、前記液晶セル1の589nm波長光に対するΔnd値を400nmに設定し、一対の紫外光偏光板13,14をそれぞれ、図7に示した特性(紫外帯域の紫外光と、可視帯域の中間域の波長の可視光に対して偏光作用を示す特性)の第4の紫外光偏光板としたときの特性である。
この紫外光シャッタ素子の正面方向(観察角0°)における選択部(透過状態に制御された偏光制御部aに対応する部分)の透過率は17.5%、非選択部の透過率は0.076%、前記選択部と非選択部のコントラストCR(0°)は230であり、また、6時方向における観察角5°でのコントラストCR6:00(5°)と観察角10°でのコントラストCR6:00(10°)は、CR6:00(5°)=1704、CR6:00(10°)=215、12時方向における観察角5°でのコントラストCR12:00(5°)と観察角10°でのコントラストCR12:00(10°)は、CR12:00(5°)=47、CR12:00(10°)=18である。
このように、前記第2の実施例の紫外光シャッタ素子は、正面方向のコントラストが上述した第1の実施例の紫外光シャッタ素子と略同じであり、また、前記第1の実施例の紫外光シャッタ素子に比べて、12時方向の観察角によるコントラスト低下を改善することができる。
なお、この第2の実施例において、前記上側紫外光偏光板13の吸収軸13aの向きは、前記液晶セル1の上基板2の近傍における液晶分子配向方向2aに対して90°±10°、好ましくは90°±5°の範囲内、上側紫外光偏光板13と下側紫外光偏光板14の吸収軸13a,14aの交差角は90°±10°、好ましくは90°±5°の範囲内であればよく、このような範囲にすることにより、上記と同等の効果を得ることができる。
図11は、この発明の第3の実施例の紫外線シャッタ素子を示す液晶セルの液晶分子配向状態と紫外光偏光板の配置状態図である。なお、この実施例において、液晶セル1の液晶分子配向状態は、上述した第1の実施例と同じであり、また、前記液晶セル1を挟んで配置された一対の紫外光偏光板13,14は、上述した第1〜第4の紫外光偏光板のいずれかであるから、その説明は省略する。
この実施例の紫外光シャッタ素子は、一対の紫外光偏光板13,14のうち、上側紫外光偏光板13を、その吸収軸13aを3時方向に対して上側から見て左回りに略47°の方向、つまり前記液晶セル1の上基板2の近傍における液晶分子配向方向2aに対して略2°の方向に向けて配置し、下側紫外光偏光板14を、その吸収軸14aを前記3時方向に対して上側から見て左回りに略133°の方向、つまり前記上側紫外光偏光板13の吸収軸13aに対して略86°の方向に向けて配置したものである。
図12は前記第3の実施例の紫外光シャッタ素子の365nm紫外光の観察角―コントラスト特性を示す等コントラスト線図であり、この観察角―コントラスト特性は、前記液晶セル1の589nm波長光に対するΔnd値を430nmに設定し、一対の紫外光偏光板13,14をそれぞれ、図7に示した特性(紫外帯域の紫外光と、可視帯域の中間域の波長の可視光に対して偏光作用を示す特性)の第4の紫外光偏光板としたときの特性である。
この紫外光シャッタ素子の正面方向(観察角0°)における選択部(透過状態に制御された偏光制御部aに対応する部分)の透過率は17.5%、非選択部の透過率は0.09%、前記選択部と非選択部のコントラストCR(0°)は199であり、また、6時方向における観察角5°でのコントラストCR6:00(5°)と観察角10°でのコントラストCR6:00(10°)は、CR6:00(5°)=176、CR6:00(10°)=89、12時方向における観察角5°でのコントラストCR12:00(5°)と観察角10°でのコントラストCR12:00(10°)は、CR12:00(5°)=65、CR12:00(10°)=23である。
このように、前記第3の実施例の紫外光シャッタ素子は、上述した第1の実施例の紫外光シャッタ素子に比べて、正面方向及び6時方向のコントラストは若干低下するが、12時方向の観察角―コントラスト特性を大幅に向上させることができる。
なお、この第3の実施例において、前記上側紫外光偏光板13の吸収軸13aの向きは、前記液晶セル1の上基板2の近傍における液晶分子配向方向2aに対して2°±2°、好ましくは2°±1°の範囲内、上側紫外光偏光板13と下側紫外光偏光板14の吸収軸13a,14aの交差角は86°±4°、好ましくは86°±2°の範囲内であればよく、このような範囲にすることにより、上記と同等の効果を得ることができる。
図13は、この発明の第4の実施例の紫外線シャッタ素子を示す液晶セルの液晶分子配向状態と紫外光偏光板の配置状態図である。なお、この実施例において、液晶セル1の液晶分子配向状態は、上述した第1の実施例と同じであり、また、前記液晶セル1を挟んで配置された一対の紫外光偏光板13,14は、上述した第1〜第4の紫外光偏光板のいずれかであるから、その説明は省略する。
この実施例の紫外光シャッタ素子は、一対の紫外光偏光板13,14のうち、上側紫外光偏光板13を、その吸収軸13aを3時方向に対して上側から見て左回りに略137°の方向、つまり前記液晶セル1の上基板2の近傍における液晶分子配向方向2aに対して略92°の方向に向けて配置し、下側紫外光偏光板14を、その吸収軸14aを前記3時方向に対して上側から見て左回りに略47°の方向、つまり前記上側紫外光偏光板13の吸収軸13aに対して略90°の方向に向けて配置したものである。
図14は前記第4の実施例の紫外光シャッタ素子の365nm紫外光の観察角―コントラスト特性を示す等コントラスト線図であり、この観察角―コントラスト特性は、前記液晶セル1の589nm波長光に対するΔnd値を430nmに設定し、一対の紫外光偏光板13,14をそれぞれ、図7に示した特性(紫外帯域の紫外光と、可視帯域の中間域の波長の可視光に対して偏光作用を示す特性)の第4の紫外光偏光板としたときの特性である。
この紫外光シャッタ素子の正面方向(観察角0°)における選択部(透過状態に制御された偏光制御部aに対応する部分)の透過率は17.9%、非選択部の透過率は0.09%、前記選択部と非選択部のコントラストCR(0°)は199であり、また、6時方向における観察角5°でのコントラストCR6:00(5°)と観察角10°でのコントラストCR6:00(10°)は、CR6:00(5°)=162、CR6:00(10°)=73、12時方向における観察角5°でのコントラストCR12:00(5°)と観察角10°でのコントラストCR12:00(10°)は、CR12:00(5°)=65、CR12:00(10°)=24である。
このように、前記第4の実施例の紫外光シャッタ素子は、上述した第1の実施例の紫外光シャッタ素子に比べて、正面方向及び6時方向のコントラストは若干低下するが、12時方向の観察角―コントラストを大幅に向上させることができる。
なお、この第4の実施例において、前記上側紫外光偏光板13の吸収軸13aの向きは、前記液晶セル1の上基板2の近傍における液晶分子配向方向2aに対して92°±2°、好ましくは92°±1°の範囲内、上側紫外光偏光板13と下側紫外光偏光板14の吸収軸13a,14aの交差角は90°±4°、好ましくは90°±2°の範囲内であればよく、このような範囲にすることにより、上記と同等の効果を得ることができる。
図15はこの発明の第5の実施例を示す紫外線シャッタ素子の分解斜視図であり、この実施例の紫外線シャッタ素子は、円盤状の液晶分子をハイブリッド配向させた液晶層により形成された2枚の位相板15,16をさらに備え、これらの位相板15,16を、液晶セル1と一対の紫外光偏光板13,14との間にそれぞれ配置したものである。
なお、この実施例において、前記液晶セル1は上述した第1の実施例のものと同じであり、また、前記液晶セル1を挟んで配置された一対の紫外光偏光板13,14は、上述した第1〜第4の紫外光偏光板のいずれかであるから、その説明は省略する。
前記位相板15,16はそれぞれ、分子形状が円盤状をなし、その円盤の法線方向に分子軸をもつたディスコティック液晶分子をハイブリッド配向させ、その前記液晶分子の配向状態を維持したまま固化させたディスコティック液晶層からなっており、ハイブリッド配向したディスコティック液晶分子の分子軸の平均的な方向に光学軸をもっている。
すなわち、この位相板15,16は、その構造は図示しないが、一対の透明フィルム間にディスコティック液晶を封入し、そのディスコティック液晶分子を、前記フィルム面に対するチルト方向を一方向に揃え、且つ一方のフィルムから他方のフィルムに向かって徐々にチルト角が大きくなるようにハイブリッド配向させた状態でポリマー化させたものであり、そのディスコティック液晶層の分子軸の平均的な方向は、位相板面に対し、前記チルト方向に、液晶層厚の中間付近の液晶分子のチルト角と同程度の傾き角で傾いた方向にある。
図16はこの実施例の紫外線シャッタ素子における液晶セル1の液晶分子配向状態と一対の紫外光偏光板13,14及び前記位相板15,16の配置状態を示している。
図16のように、前記液晶セル1の液晶分子は、上述した第1の実施例と同様に、実質的に90°のツイスト角でツイスト配向しており、また上側紫外光偏光板13は、その吸収軸13aを前記液晶セル1の上基板2の近傍における液晶分子配向方向2aに対して略0°の方向(3時方向に対して上側から見て左回りに略45°の方向)に向けて配置され、下側紫外光偏光板14は、その吸収軸14aを前記上側紫外光偏光板13の吸収軸13aに対して略90°の方向(3時方向に対して上側から見て左回りに略135°の方向)に向けて配置されている。
そして、前記2枚の位相板15,16のうち、前記液晶セル1と上側紫外光偏光板13との間の上側位相板15は、そのディスコティック液晶層の分子軸の平均的な方向(液晶層の光学軸)をこの位相板面に投影した方向(以下、位相板の光学軸と言う)15aを、3時方向に対して上側から見て左回りに略45°の方向、つまり、この上側位相板15と隣接する上側紫外光偏光板13に垂直で且つ前記上側紫外光偏光板13の吸収軸13aを含む面と実質的に平行な方向に向けて配置され、前記液晶セル1と下側紫外光偏光板14との間の下側位相板16は、そのディスコティック液晶層の分子軸の平均的な方向(液晶層の光学軸)をこの位相板面に投影した方向(以下、位相板の光学軸と言う)16aを、前記3時方向に対して上側から見て左回りに略135°の方向、つまり、この下側位相板16と隣接する下側紫外光偏光板14に垂直で且つ前記下側紫外光偏光板14の吸収軸14aを含む面と実質的に平行な方向に向けて配置されている。
この実施例の紫外光シャッタ素子は、液晶分子をハイブリッド配向させたディスコティック液晶層からなる位相板15,16をさらに備え、この位相板15,16を、前記液晶セル1と紫外光偏光板13,14との間に配置しているため、透過状態に制御された偏光制御部aに対応する部分から、広範囲の方向に充分な強度の紫外光を出射することができる。
しかも、この実施例では、2枚の位相板15,16を備え、これらの位相板15,16を、前記液晶セル1と一対の紫外光偏光板13,14との間にそれぞれ配置しているため、紫外光の出射囲をより広くすることができる。
さらに、この実施例では、前記位相板15,16をそれぞれ、その位相板の光学軸15a,16aを、この位相板15,16と隣接する紫外光偏光板13,14に垂直で且つ前記紫外光偏光板13,14の吸収軸13a,14aを含む面と実質的に平行にして配置しているため、より広範囲の方向に充分な強度の紫外光を出射することができる。
図17は前記第5の実施例の紫外光シャッタ素子の365nm紫外光の観察角―コントラスト特性を示す等コントラスト線図であり、この観察角―コントラスト特性は、前記液晶セル1の589nm波長光に対するΔnd値を430nmに設定し、一対の紫外光偏光板13,14をそれぞれ、図7に示した特性(紫外帯域の紫外光と、可視帯域の中間域の波長の可視光に対して偏光作用を示す特性)の第4の紫外光偏光板としたときの特性である。
この紫外光シャッタ素子の正面方向(観察角0°)における選択部(透過状態に制御された偏光制御部aに対応する部分)の透過率は17.9%、前記選択部と非選択部のコントラストCR(0°)は230であり、また、6時方向における観察角10°でのコントラストCR6:00(10°)と、12時方向における観察角10°でのコントラストCR12:00(10°)と、3時方向における観察角10°でのコントラストCR3:00(10°)と、9時方向における観察角10°でのコントラストCR9:00(10°)は、CR6:00(10°)=335、CR12:00(10°)=67、CR3:00(10°)=320、CR9:00(10°)=320である。
このように、前記第5の実施例の紫外光シャッタ素子は、正面方向のコントラストが上述した第1及び第2の実施例の紫外光シャッタ素子と同等であり、また、第1〜第4の実施例の紫外光シャッタ素子に比べて、6時、12時、3時、9時の各方向の観察角―コントラスト特性を大幅に向上させることができるため、広範囲の方向に充分な強度の紫外光を出射することができる。
なお、この第5の実施例において、前記上側紫外光偏光板13の吸収軸13aの向きは、前記液晶セル1の上基板2の近傍における液晶分子配向方向2aに対して0°±10°、好ましくは0°±5°の範囲内、上側紫外光偏光板13と下側紫外光偏光板14の吸収軸13a,14aの交差角は90°±10°、好ましくは90°±5°の範囲内、前記上側位相板15及び下側位相板16の光学軸(ディスコティック液晶層の分子軸の平均的な方向を位相板面に投影した方向)15a,16aはそれぞれ、上側紫外光偏光板13及び下側紫外光偏光板14の吸収軸13aを含む垂直面に対して0°±10°、好ましくは0°±5°の範囲内であればよく、このような範囲にすることにより、上記と同等の効果を得ることができる。
また、上記第5の実施例では、図16に示したように、上側紫外光偏光板13の吸収軸13aを液晶セル1の上基板2の近傍における液晶分子配向方向2aと実質的に平行にしているが、前記上側紫外光偏光板13を、その吸収軸13aを前記液晶セル1の上基板2の近傍における液晶分子配向方向2aと実質的に直交させて配置し、下側紫外光偏光板14を、その吸収軸14aを前記上側紫外光偏光板13の吸収軸13aと実質的に直交させて配置してもよく、その場合も、前記位相板15,16は、その位相板の光学軸15a,16aを、この位相板15,16と隣接する紫外光偏光板13,14の吸収軸13a,14aを含む垂直面と実質的に平行にして配置すればよい。
また、上記実施例の紫外光シャッタ素子は、ディスコティック液晶からなる位相板15,16を備えたものであるが、位相板は、例えば、棒状の液晶分子をハイブリッド配向させたネマティック液晶層からなるものでもよく、また、2枚の位相板の一方を前記ディスコティック液晶層からなる位相板とし、他方を前記ネマティック液晶層からなる位相板としてもよい。
図18は、この発明の第6の実施例の紫外線シャッタ素子を示す液晶セルの液晶分子配向状態と紫外光偏光板及び位相板の配置状態図であり、この実施例の紫外線シャッタ素子は、液晶セル1と前側紫外光偏光板13との間に、前記第5の実施例と同様なディスコティック液晶層からなる位相板15を配置し、前記液晶セル1と下側紫外光偏光板14との間に、棒状の液晶分子をハイブリッド配向させたネマティック液晶層からなる位相板17を配置したものである。
なお、この実施例において、前記液晶セル1は上述した第1の実施例のものと同じであり、また、前記液晶セル1を挟んで配置された一対の紫外光偏光板13,14は、上述した第1〜第4の紫外光偏光板のいずれかであるから、その説明は省略する。
前記液晶セル1と下側紫外光偏光板14との間に配置されたネマティック液晶層からなる位相板17は、その構造は図示しないが、一対の透明フィルム間にネマティック液晶を封入し、その液晶分子を、前記フィルム面に対するチルト方向を一方向に揃え、且つ一方のフィルムから他方のフィルムに向かって徐々にチルト角が大きくなるようにハイブリッド配向させた状態でポリマー化させたものであり、そのネマティック液晶層の分子軸(長軸方向)の平均的な方向は、位相板面に対し、前記チルト方向に、液晶層厚の中間付近の液晶分子のチルト角と同程度の傾き角で傾いた方向にある。
この実施例において、前記液晶セル1の液晶分子は、上述した第1の実施例と同様に、実質的に90°のツイスト角でツイスト配向しており、上側紫外光偏光板13は、その吸収軸13aを前記液晶セル1の上基板2の近傍における液晶分子配向方向2aに対して略90°の方向(3時方向に対して上側から見て左回りに略135°の方向)に向けて配置され、下側紫外光偏光板14は、その吸収軸14aを前記上側紫外光偏光板13の吸収軸13aに対して略90°の方向(3時方向に対して上側から見て左回りに略45°の方向)に向けて配置されている。
そして、前記2枚の位相板15,17のうち、前記液晶セル1と上側紫外光偏光板13との間のディスコティック液晶層からなる上側位相板15は、その光学軸(ディスコティック液晶層の分子軸の平均的な方向を位相板面に投影した方向)15aを、3時方向に対して上側から見て左回りに略135°の方向、つまり、この上側位相板15と隣接する上側紫外光偏光板13に垂直で且つ前記上側紫外光偏光板13の吸収軸13aを含む面と実質的に平行な方向に向けて配置され、前記液晶セル1と下側紫外光偏光板14との間のネマティック液晶層からなる下側位相板17は、そのネマティック液晶層の分子軸の平均的な方向をこの位相板面に投影した方向(以下、位相板の光学軸と言う)17aを、前記3時方向に対して上側から見て右回りに略135°の方向、つまり、この下側位相板17と隣接する下側紫外光偏光板14に垂直で且つ前記下側紫外光偏光板14の吸収軸14aを含む面と実質的に平行な方向に向けて配置されている。
この実施例の紫外光シャッタ素子は、液晶分子をハイブリッド配向させたディスコティック液晶層からなる位相板15と、液晶分子をハイブリッド配向させたネマティック液晶層からなる位相板17とを、前記液晶セル1と紫外光偏光板13,14との間に配置しているため、上記第5の実施例の紫外線シャッタ素子と同様な効果を得ることができる。
図19は前記第6の実施例の紫外光シャッタ素子の365nm紫外光の観察角―コントラスト特性を示す等コントラスト線図であり、この観察角―コントラスト特性は、前記液晶セル1の589nm波長光に対するΔnd値を430nmに設定し、一対の紫外光偏光板13,14をそれぞれ、図7に示した特性(紫外帯域と、可視帯域の中間域の波長光に対して偏光作用を示す特性)の第4の紫外光偏光板としたときの特性である。
この紫外光シャッタ素子の正面方向(観察角0°)における選択部(透過状態に制御された偏光制御部aに対応する部分)の透過率は16.5%、前記選択部と非選択部のコントラストCR(0°)は229であり、また、6時方向における観察角10°でのコントラストCR6:00(10°)と、12時方向における観察角10°でのコントラストCR12:00(10°)と、3時方向における観察角10°でのコントラストCR3:00(10°)と、9時方向における観察角10°でのコントラストCR9:00(10°)は、CR6:00(10°)=114、CR12:00(10°)=44、CR3:00(10°)=446、CR9:00(10°)=446である。
このように、前記第6の実施例の紫外光シャッタ素子は、正面方向のコントラストが上述した第1及び第2の実施例の紫外光シャッタ素子と同等であり、また、上記第5の実施例の紫外光シャッタ素子に比べて、3時及び9時方向の観察角―コントラスト特性を大幅に向上させることができる。
なお、この第6の実施例において、前記上側紫外光偏光板13の吸収軸13aの向きは、前記液晶セル1の上基板2の近傍における液晶分子配向方向2aに対して90°±10°、好ましくは90°±5°の範囲内、上側紫外光偏光板13と下側紫外光偏光板14の吸収軸13a,14aの交差角は90°±10°、好ましくは90°±5°の範囲内、前記上側位相板15の光学軸(ディスコティック液晶層の分子軸の平均的な方向を位相板面に投影した方向)15a及び下側位相板17の光学軸(ネマティック液晶層の分子軸の平均的な方向を位相板面に投影した方向)17aはそれぞれ、上側紫外光偏光板13及び下側紫外光偏光板14の吸収軸13aを含む垂直面に対して0°±10°、好ましくは0°±5°の範囲内であればよく、このような範囲にすることにより、上記と同等の効果を得ることができる。
また、上記第6の実施例では、上側紫外光偏光板13の吸収軸13aを液晶セル1の上基板2の近傍における液晶分子配向方向2aと実質的に直交させているが、前記上側紫外光偏光板13を、その吸収軸13aを前記液晶セル1の上基板2の近傍における液晶分子配向方向2aと実質的に平行にして配置し、下側紫外光偏光板14を、その吸収軸14aを前記上側紫外光偏光板13の吸収軸13aと実質的に直交させて配置してもよく、その場合も、前記位相板15,17は、その位相板の光学軸15a,17aを、この位相板15,17と隣接する紫外光偏光板13,14の吸収軸13a,14aを含む垂直面と実質的に平行にして配置すればよい。
さらに、上記第6の実施例では、液晶セル1と上側紫外光偏光板13との間にディスコティック液晶層からなる位相板15を配置し、前記液晶セル1と下側紫外光偏光板14との間にネマティック液晶層からなる位相板17を配置しているが、それと逆に、液晶セル1と上側紫外光偏光板13との間にネマティック液晶層からなる位相板17を配置し、前記液晶セル1と下側紫外光偏光板14との間にディスコティック液晶層からなるハイブリッド配向位相板15を配置してもよく、その場合も同等の効果を得ることができる。
また、上記第5及び第6の実施例では、2枚の位相板15,16または17を備え、これらの位相板15,16または17を液晶セル1と一対の紫外光偏光板13,14との間にそれぞれ配置しているが、位相板を1枚とし、この1枚の位相板を、前記液晶セル1と一対の紫外光偏光板13,14のいずれか一方との間に配置してもよく、このようにすることにより、透過状態に制御された偏光制御部aに対応する部分から、広範囲の方向に充分な強度の紫外光を出射することができる。
さらに、上記第1〜第6の実施例では、一対の紫外光偏光板13,14を同じ偏光特性の偏光板としているが、これらの紫外光偏光板13,14は、上述した第1〜第4の紫外光偏光板のうち、互いに偏光特性の異なる2枚の偏光板の組合としてもよい。
また、前記液晶セル1は、液晶分子を実質的に90°のツイスト角でツイスト配向させたものに限らず、液晶分子のツイスト角を220°〜260°としたツイスト配向型、液晶分子を一方向に分子長軸を揃えてホモジニアス配向させた非ツイストのホモジニアス配向型、誘電異方性が負のネマティック液晶をその液晶分子を基板面に対して実質的に垂直に配向させた垂直配向型のものでもよい。
さらにまた、前記液晶セル1は、TFTをアクティブ素子とするものに限らず、TFD(薄膜ダイオード)等をアクティブ素子とするアクティブマトリックス液晶セルでもよく、また、一対の基板のいずれか一方の内面に、前記液晶層への横方向電界の印加により透過光の偏光状態を制御する複数の偏光制御部をマトリックス状に配列形成する電極を設けた横電界型の液晶セルでもよい。
1…液晶セル、2,3…基板、4,5…電極、6…TFT、10…液晶層、a…偏光制御部、13,14…紫外光偏光板、13a,14a…吸収軸、15,16…ディスコティック液晶層からなる位相板、15a,16a…光学軸(ディスコティック液晶層の分子軸の平均的な方向を位相板面に投影した方向)、17…ネマティック液晶層からなる位相板、17a…光学軸(ネマティック液晶層の分子軸の平均的な方向を位相板面に投影した方向)。