JP4921740B2 - 液晶表示システムおよび液晶表示システムの使用方法 - Google Patents

液晶表示システムおよび液晶表示システムの使用方法 Download PDF

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Description

この発明は、液晶表示システムおよびこの液晶表示システムの使用方法に関する。
近年、液晶表示装置はノートパソコン、モニター、カーナビゲーション、関数電卓、テレビジョン、携帯電話、電子手帳など様々な分野に応用されている。これら液晶表示装置は、TFT(薄膜トランジスタ)駆動の実現、およびIPS(インプレーンスイッチング)モードやMVA(マルチドメインバーティカルアライン)モード、ワイドビューフィルムを適用することによって、広い視野角特性および高いコントラスト特性を得ている。
また、液晶表示装置は、薄型、軽量および低消費電力の特性を生かし、電子手帳、PDA(パーソナルデジタルアシスタント)、携帯電話等のモバイル電子機器の表示部として広く用いられている。これらモバイル電子機器は屋外で使用する機会が多く、使用状況によっては他人に表示内容を識別されては困る場合がある。このような場合、他人には識別されず、本人(オペレータ)のみ識別可能な表示状態が望ましい。
このような要求に対して、状況に応じて液晶表示装置の視野角を制御することによって指向性を持たせ、本人以外には見えにくくする方法が提案されている。視野角の広狭の切り換えは、例えば着脱可能なルーバーシートを設けることにより行う技術が提案されている(例えば、特許文献1参照)。このルーバーシートは視野角を十分狭くさせるためにシート法線方向に数ミリ程度の遮光層を設けている。このため、ルーバーシートを用いた方法では、光の透過率が低い問題を有している。ルーバーシートの製造工程も複雑で製造コストも高い。また、ルーバーシートに換わる技術として、光拡散機能を利用した光拡散制御素子を液晶表示装置に設けることで視野角を制御する技術も提案されている。
特開2003−58066号公報
上記したように、液晶表示装置に光拡散制御素子を設けることにより、透過率の低下を招くことなく視野角を制御することが可能となる。しかしながら、光拡散制御素子はルーバーシートと同様に視野角を制御する手段である。このため、表示面の法線方向付近からのみ表示画像を識別されるように表示画像の視野角を狭くした場合でも、表示面の法線方向付近であれば本人に限らず、他人も表示画像を識別可能である。表示画像の視野角を狭くしても他人に表示画像を識別されてしまう危険が伴うため、本人のみ識別できる画像表示(完全な秘密保守)は約束されない。
この発明は以上の点に鑑みなされたもので、その目的は、複数人が表示画像を識別できる第1表示モードと、独立偏光子を通した状態でのみ表示画像を識別できる第2表示モードとを切り換えた画像表示が可能な液晶表示装置を備えた液晶表示システムおよびこの液晶表示システムの使用方法を提供することにある。
また、本発明の他の態様に係る液晶表示システムは、
アレイ基板と、前記アレイ基板に隙間を置いて対向配置された対向基板と、前記アレイ基板および対向基板間に挟持された液晶層と、を有した液晶表示パネルと、
前記液晶表示パネルに対向配置された偏光子と、
前記液晶表示パネルおよび偏光子に対して一方側に配置されているとともにこれら液晶表示パネルまたは偏光子から光が入射され、これら液晶表示パネルまたは偏光子と対向した側の反対側に表示面を有し、前記液晶表示パネル若しくは偏光子から入射される光の右旋円偏光を右旋円偏光若しくは直線偏光として出射させるとともに左旋円偏光を反射させ、または、前記液晶表示パネル若しくは偏光子から入射される光の左旋円偏光を左旋円偏光若しくは直線偏光として出射させるとともに右旋円偏光を反射させる偏光制御素子と、を有した液晶表示装置と、
前記表示面を観察する観察者に使用され、前記偏光制御素子から出射される光の右旋円偏光または左旋円偏光を直線偏光として観察者に出射させる独立偏光子と、を具備し、
前記偏光制御素子は、印加電圧を調整することにより出射させる光の有無を制御可能に構成されたことを特徴としている。
また、本発明の他の態様に係る液晶表示システムの使用方法は、
アレイ基板と、前記アレイ基板に隙間を置いて対向配置された対向基板と、前記アレイ基板および対向基板間に狭持された液晶層と、を有した液晶表示パネルと、
前記液晶表示パネルに対向配置された偏光子と、
前記液晶表示パネルおよび偏光子に対して一方側に配置されているとともにこれら液晶表示パネルまたは偏光子から光が入射され、これら液晶表示パネルまたは偏光子と対向した側の反対側に表示面を有し、前記液晶表示パネル若しくは偏光子から入射される光の右旋円偏光を右旋円偏光若しくは直線偏光として出射させるとともに左旋円偏光を反射させ、または、前記液晶表示パネル若しくは偏光子から入射される光の左旋円偏光を左旋円偏光若しくは直線偏光として出射させるとともに右旋円偏光を反射させる偏光制御素子と、を具備した液晶表示装置と、
前記表示面を観察する観察者に使用され、前記偏光制御素子から出射される光の右旋円偏光または左旋円偏光を直線偏光として観察者に出射させる独立偏光子と、を備えた液晶表示システムの使用方法において、
前記偏光制御素子から直線偏光を出射させることにより、前記表示面に表示される表示画像を観察者の目で識別可能にするとともに、前記偏光制御素子から右旋円偏光または左旋円偏光を出射させることにより、前記表示面に表示される表示画像を前記独立偏光子を通した観察者の目でのみ識別可能にすることを特徴としている。
この発明によれば、複数人が表示画像を識別できる第1表示モードと、偏光子を通した状態でのみ表示画像を識別できる第2表示モードとを切り換えた画像表示が可能な液晶表示装置を備えた液晶表示システムおよびこの液晶表示システムの使用方法を提供することができる。
以下、図面を参照しながらこの発明の実施の形態に係る液晶表示システムおよびこの液晶表示システムの使用方法について詳細に説明する。始めに、液晶表示システムについて説明する。
図1に示すように、液晶表示システムは液晶表示装置1およびこの液晶表示装置とは独立した偏光子としての独立偏光子2を備えている。液晶表示装置1は、液晶表示パネル3、偏光子4、偏光制御素子5、バックライトユニット7および駆動部8を備えている。
液晶表示パネル3は、TN(ツイステッドネマティック)モードの液晶表示パネルとして形成されている。液晶表示パネル3は、アレイ基板11、対向基板12、および液晶層13を備えている。アレイ基板11は、透明な絶縁基板としてのガラス基板14と、このガラス基板上に形成された複数の画素電極15と、これら画素電極15を含むガラス基板上に形成された配向膜16と、を有している。また、アレイ基板11は、ガラス基板14上に形成された図示しない各種配線や複数のスイッチング素子として複数のTFT(薄膜トランジスタ)等を有している。
対向基板12は、透明な絶縁基板としてのガラス基板17と、このガラス基板上に形成された共通電極18と、共通電極およびガラス基板上に形成された配向膜19と、を有している。画素電極15および共通電極18は、ITO(インジウム・ティン・オキサイド)等の透明な導電材料により形成されている。配向膜16および配向膜19には、プレチルト角が5°となるようラビングが施されている。
アレイ基板11および対向基板12は、複数のスペーサとして、例えば複数の球状スペーサ21により所定の隙間を保持して対向配置されている。アレイ基板11および対向基板12は、画素電極15および共通電極18が対向しているとともに、画像を表示する表示領域R1を有している。アレイ基板11および対向基板12は、両基板の周縁部(表示領域R1の外側)に配置されたシール材22により互いに接合されている。液晶層13は、アレイ基板11、対向基板12、およびシール材22の間に狭持されている。
液晶層13の層厚は、5.0μmである。液晶層13を構成する液晶材料には、以下に示す特性が得られるよう所定のカイラル材が添加されている。液晶材料の屈折率異方性(Δn)は、590nmの波長に対して0.092である。液晶分子13a(図2ないし図5参照)の捩れ角は90°、ヘリカルピッチは60μmである。液晶分子13aの捩れは左回りである。
表示領域R1内において、アレイ基板11および対向基板12の一方の基板には、図示しない赤色、緑色、および青色の複数の着色層を有したカラーフィルタが配置されている。このため、液晶表示パネル3は、カラー表示が可能である。
偏光子4は、偏光板4aおよびλ/4板4bを有している。この実施の形態において、偏光板4aはアレイ基板11に対向配置され、λ/4板4bは対向基板12に対向配置されている。より詳しくは、偏光板4aはアレイ基板11の外面に貼り付けられ、λ/4板4bは対向基板12の外面に貼り付けられている。
偏光制御素子5は、第1偏光制御素子5a、第2偏光制御素子5bおよび第3偏光制御素子5cを有している。
第1偏光制御素子5aは、λ/4板4bに対向した第1基板31、この第1基板に所定の隙間を保持して対向配置された第2基板32および第1偏光制御液晶層としての第1液晶層33を有している。
第1基板31は、透明な絶縁基板として、例えばポリエステルフィルムやガラスからなる第1シート34と、この第1シート上に配設されているとともにITO等の透明な導電材料により形成された第1電極35と、この第1電極に重なって配設された第1配向膜36とを有している。
第2基板32は、透明な絶縁基板として、例えばポリエステルフィルムやガラスからなる第2シート37と、この第2シート上に配設されているとともにITO等の透明な導電材料により形成された第2電極38と、この第2電極に重なって配設された第2配向膜39とを有している。
第1基板31および第2基板32は、第1配向膜36および第2配向膜39が対面するように対向配置され、複数のスペーサとして、複数の球状スペーサ41により所定の隙間を置いて保持されている。球状スペーサ41は、絶縁材料で形成されている。第1電極35および第2電極38は絶縁状態に維持されている。
第1基板31および第2基板32は、第1電極35および第2電極38が対向した領域であるとともに、これら第1基板および第2基板間に入射される光の偏光状態を制御可能な偏光制御領域R2を有している。この実施の形態において、偏光制御領域R2は、上述した表示領域R1と重なっている。
第1基板31および第2基板32は、第1電極35および第2電極38の周縁部に配置されたシール材42により互いに接合されている。第1液晶層33は、第1基板31、第2基板32およびシール材42の間に狭持されている。第1液晶層33は、例えば、誘電率異方性が正であるコレステリック液晶で形成されている。
次に、上記第1偏光制御素子5aの製造方法について説明する。
用意した第1シート34上に第1電極35を形成し、または第1電極付き第1シートを用意した後、印刷法を用いて第1電極上に第1配向膜36を形成する。その後、第1配向膜36に配向処理としてラビングを施して第1基板31を形成する。一方、第2基板32において、用意した第2シート37上に第2電極38を形成し、または第2電極付き第2シートを用意した後、印刷法を用いて第2電極上に第2配向膜39を形成する。
次いで、第1基板31または第2基板32上に複数の球状スペーサ41を散布した後、第1基板または第2基板周縁部に、例えば熱硬化型のシール材42を塗布する、続いて、シール材42を介して第1基板31および第2基板32を貼り合せ、焼成する。これにより、第1基板31および第2基板32は接合される。その後、第1基板31および第2基板32間に液晶を注入する。注入する際、例えば、真空注入法を用い、シール材42の一部に設けられた図示しない液晶注入口より液晶を注入する。その後、液晶注入口には、例えば紫外線硬化型樹脂からなる図示しない封止材を塗布する。そして、封止材に紫外線を照射することにより、液晶注入口は封止材で封止される。これにより、第1偏光制御素子5aが完成する。
第1液晶層33の層厚d1は、2.79μmである。第1液晶層33を構成する液晶材料には、以下に示す特性が得られるよう所定のカイラル材が添加されている。液晶材料の屈折率異方性(Δn)は、590nmの波長に対して0.23(常光屈折率noは1.50、異常光屈折率neは1.73)である。第1液晶層33の平均屈折率nは1.62である。第1液晶層33の第1液晶分子33a(図2ないし図5参照)の捩れ角は3690°(第1液晶分子が10回転とさらに90°回転)、ヘリカルピッチP1は0.272μmである。第1液晶層33の第1液晶分子33aの捩れは右回りである。
第2偏光制御素子5bは、第2基板32に対向した第3基板51、この第3基板に所定の隙間を保持して対向配置された第4基板52および第2偏光制御液晶層としての第2液晶層53を有している。
第3基板51は、透明な絶縁基板として、例えばポリエステルフィルムやガラスからなる第3シート54と、この第3シート上に配設されているとともにITO等の透明な導電材料により形成された第3電極55と、この第3電極に重なって配設された第3配向膜56とを有している。第3シート54は、第1シート34に対向配置されている。
第4基板52は、透明な絶縁基板として、例えばポリエステルフィルムやガラスからなる第4シート57と、この第4シート上に配設されているとともにITO等の透明な導電材料により形成された第4電極58と、この第4電極に重なって配設された第4配向膜59とを有している。
第3基板51および第4基板52は、第3配向膜56および第4配向膜59が対面するように対向配置され、複数のスペーサとして、複数の球状スペーサ61により所定の隙間を置いて保持されている。球状スペーサ61は、絶縁材料で形成されている。第3電極55および第4電極58は絶縁状態に維持されている。
第3基板51および第4基板52は、第3電極55および第4電極58が対向した領域であるとともに、これら第3基板および第4基板間に入射される光の偏光状態を制御可能な偏光制御領域R2を有している。
第3基板51および第4基板52は、第3電極55および第4電極58の周縁部に配置されたシール材62により互いに接合されている。第2液晶層53は、第3基板51、第4基板52およびシール材62の間に狭持されている。第2液晶層53は、例えば、誘電率異方性が正であるコレステリック液晶で形成されている。第2偏光制御素子5bは、上記第1偏光制御素子5aと同様の製造方法により形成されている。
第2液晶層53の層厚d2は、3.49μmである。第2液晶層53を構成する液晶材料には、以下に示す特性が得られるよう所定のカイラル材が添加されている。液晶材料の屈折率異方性(Δn)は、590nmの波長に対して0.23(常光屈折率noは1.50、異常光屈折率neは1.73)である。第2液晶層53の平均屈折率nは1.62である。第2液晶層53の第2液晶分子53a(図2ないし図5参照)の捩れ角は3690°、ヘリカルピッチP2は0.340μmである。第2液晶層53の第2液晶分子53aの捩れは第1液晶層33と同様右回りである。
第3偏光制御素子5cは、第4基板52に対向した第5基板71、この第5基板に所定の隙間を保持して対向配置された第6基板72および第3偏光制御液晶層としての第3液晶層73を有している。
第5基板71は、透明な絶縁基板として、例えばポリエステルフィルムやガラスからなる第5シート74と、この第5シート上に配設されているとともにITO等の透明な導電材料により形成された第5電極75と、この第5電極に重なって配設された第5配向膜76とを有している。第5シート74は、第4シート57に対向配置されている。
第6基板72は、透明な絶縁基板として、例えばポリエステルフィルムやガラスからなる第6シート77と、この第6シート上に配設されているとともにITO等の透明な導電材料により形成された第6電極78と、この第6電極に重なって配設された第6配向膜79とを有している。第6シート77の外面は表示面Sとして機能する。
第5基板71および第6基板72は、第5配向膜76および第6配向膜79が対面するように対向配置され、複数のスペーサとして、複数の球状スペーサ81により所定の隙間を置いて保持されている。球状スペーサ81は、絶縁材料で形成されている。第5電極75および第6電極78は絶縁状態に維持されている。
第5基板71および第6基板72は、第5電極75および第6電極78が対向した領域であるとともに、これら第5基板および第6基板間に入射される光の偏光状態を制御可能な偏光制御領域R2を有している。
第5基板71および第6基板72は、第5電極75および第6電極78の周縁部に配置されたシール材82により互いに接合されている。第3液晶層73は、第5基板71、第6基板72およびシール材82の間に狭持されている。第3液晶層73は、例えば、誘電率異方性が正であるコレステリック液晶で形成されている。第3偏光制御素子5cは、上記第1偏光制御素子5aと同様の製造方法により形成されている。
第3液晶層73の層厚d3は、3.93μmである。第3液晶層73を構成する液晶材料には、以下に示す特性が得られるよう所定のカイラル材が添加されている。液晶材料の屈折率異方性(Δn)は、590nmの波長に対して0.23(常光屈折率noは1.50、異常光屈折率neは1.73)である。第3液晶層73の平均屈折率nは1.62である。第3液晶層73の第3液晶分子73a(図2ないし図5参照)の捩れ角は3690°、ヘリカルピッチP3は0.383μmである。第3液晶層73の第3液晶分子73aの捩れは第1液晶層33および第2液晶層53と同様右回りである。
バックライトユニット7は、液晶表示パネル3および偏光子4に対して偏光制御素子5と反対側に設けられているとともに、偏光板4aに対向配置されている。バックライトユニット7は、偏光板4aと対向しているとともに導光板を含む導光体7a、この導光体の一側縁に対向配置された光源7bおよび反射板7cを有している。バックライトユニット7は、偏光板4aに向けて光を出射させる。
この実施の形態において、液晶表示装置1は透過型のためバックライトユニット7を設けているが、液晶表示装置は反射型でも良く、この場合はバックライトユニットの替わりに反射板を設ければ良い。なお、反射板は入射される外光を偏光板4aに反射させる機能を有している。
駆動部8は、液晶表示パネル3を駆動して表示状態を制御する。駆動部8は、偏光制御素子5を駆動制御することにより、後述する第1表示モードまたは第2表示モードに切り換えた画像表示を可能とする。
独立偏光子2は、偏光板2aと、この偏光板2aおよび液晶表示装置1の表示面S間に配置されたλ/4板2bとを有している。独立偏光子2は、例えば眼鏡に適用することで観察者に使用される。この実施の形態において、偏光板2aおよびλ/4板2bは互いに貼り合わされて形成されている。独立偏光子2は偏光制御素子5の表示面Sから出射される右旋円偏光または左旋円偏光を直線偏光として観察者に出射させる機能を有している。独立偏光子2は、第2表示モード時に表示面Sを観察する観察者に使用される。後述するが、観察者は、独立偏光子2を通した状態でのみ表示画像を識別することができる。
次に、上記第1液晶層33、第2液晶層53および第3液晶層73を詳細に説明する。
例えば、コレステリック液晶は、液晶分子がらせん状の周期構造となる分子配列を有している。
第1液晶層33の第1液晶分子33aのヘリカルピッチP1は、バックライトユニット7から出射されるとともに液晶表示パネル3の青色の着色層を透過する光の波長に対応している。第1液晶分子33aの捩れは右回りであるため、第1液晶層33は、第1液晶分子33aのらせん軸に平行な方向に入射した光のうち、バックライトユニット7から出射される光の青色の主波長λ1=n・P1・cosθ1(θ1;入射光の入射方向と第1液晶分子33aのらせん軸のなす狭角)を中心とした第1可視光波長領域としての波長幅(波長領域)Δλ1=Δn・P1・cosθ1の光の左回りの円偏光(以下、左旋円偏光と称する)のみ選択的に反射させ、波長幅Δλ1以外(他の波長域)の左旋円偏光および全波長領域の光の右回りの円偏光(以下、右旋円偏光と称する)を透過させる。
ここで、第1偏光制御素子5aは、電界制御型であり、第1電極35および第2電極38間に印加する電圧を調整することにより、出射させる光の有無を制御可能であるとともに、出射させる光が有る場合にはさらに出射させる光の偏光状態を制御可能である。
このため、第1電極35および第2電極38間に電圧を印加していない状態(第1電極および第2電極間に電位差が生じていない状態)では、第1液晶層33の第1液晶分子33aは捩れ角3690°に配列するため、第1偏光制御素子5a(第1液晶層)は、この第1液晶層に入射される光の右旋円偏光および波長幅Δλ1以外の左旋円偏光を出射(透過)させ、また、同じく第1液晶層に入射される光の波長幅Δλ1の左旋円偏光を選択的に反射させる。
一方、第1電極35および第2電極38間に電圧を印加している状態(第1電極および第2電極間に電位差が生じている状態)では、第1液晶層33の第1液晶分子33aは第1基板31平面および第2基板32平面に対して略垂直に配列するため、第1偏光制御素子5a(第1液晶層33)は、この第1液晶層に入射される光の全波長領域の右旋円偏光および左旋円偏光を維持して出射(透過)させる。
第2液晶層53の第2液晶分子53aのヘリカルピッチP2は、バックライトユニット7から出射されるとともに液晶表示パネル3の緑色の着色層を透過する光の波長に対応している。第2液晶分子53aの捩れは右回りであるため、第2液晶層53は、第2液晶分子53aのらせん軸に平行な方向に入射した光のうち、バックライトユニット7から出射される光の緑色の主波長λ2=n・P2・cosθ2(θ2;入射光の入射方向と第2液晶分子53aのらせん軸のなす狭角)を中心とした第2可視光波長領域としての波長幅(波長領域)Δλ2=Δn・P2・cosθ2の光の左旋円偏光のみ選択的に反射させ、波長幅Δλ2以外(他の波長域)の左旋円偏光および全波長領域の光の右旋円偏光を透過させる。
ここで、第2偏光制御素子5bは、電界制御型であり、第3電極55および第4電極58間に印加する電圧を調整することにより、出射させる光の有無を制御可能であるとともに、出射させる光が有る場合にはさらに出射させる光の偏光状態を制御可能である。
このため、第3電極55および第4電極58間に電圧を印加していない状態(第3電極および第4電極間に電位差が生じていない状態)では、第2液晶層53の第2液晶分子53aは捩れ角3690°に配列するため、第2偏光制御素子5b(第2液晶層)は、この第2液晶層に入射される光の右旋円偏光および波長幅Δλ2以外の左旋円偏光を出射(透過)させ、また、同じく第2液晶層に入射される光の波長幅Δλ2の左旋円偏光を選択的に反射させる。
一方、第3電極55および第4電極58間に電圧を印加している状態(第3電極および第4電極間に電位差が生じている状態)では、第2液晶層53の第2液晶分子53aは第3基板51平面および第4基板52平面に対して略垂直に配列するため、第2偏光制御素子5b(第2液晶層53)は、この第2液晶層に入射される光の全波長領域の右旋円偏光および左旋円偏光を維持して出射(透過)させる。
第3液晶層73の第3液晶分子73aのヘリカルピッチP3は、バックライトユニット7から出射されるとともに液晶表示パネル3の赤色の着色層を透過する光の波長に対応している。第3液晶分子73aの捩れは右回りであるため、第3液晶層73は、第3液晶分子73aのらせん軸に平行な方向に入射した光のうち、バックライトユニット7から出射される光の赤色の主波長λ3=n・P3・cosθ3(θ3;入射光の入射方向と第3液晶分子73aのらせん軸のなす狭角)を中心とした第3可視光波長領域としての波長幅(波長領域)Δλ3=Δn・P3・cosθ3の光の左旋円偏光のみ選択的に反射させ、波長幅Δλ3以外(他の波長域)の左旋円偏光および全波長領域の光の右旋円偏光を透過させる。
ここで、第3偏光制御素子5cは、電界制御型であり、第5電極75および第6電極78間に印加する電圧を調整することにより、出射させる光の有無を制御可能であるとともに、出射させる光が有る場合にはさらに出射させる光の偏光状態を制御可能である。
このため、第5電極75および第6電極78間に電圧を印加していない状態(第5電極および第6電極間に電位差が生じていない状態)では、第3液晶層73の第3液晶分子73aは捩れ角3690°に配列するため、第3偏光制御素子5c(第3液晶層)は、この第3液晶層に入射される光の右旋円偏光および波長幅Δλ3以外の左旋円偏光を出射(透過)させ、また、同じく第3液晶層に入射される光の波長幅Δλ3の左旋円偏光を選択的に反射させる。
一方、第5電極75および第6電極78間に電圧を印加している状態(第5電極および第6電極間に電位差が生じている状態)では、第3液晶層73の第3液晶分子73aは第5基板71平面および第6基板72平面に対して略垂直に配列するため、第3偏光制御素子5c(第3液晶層73)は、この第3液晶層に入射される光の全波長領域の右旋円偏光および左旋円偏光を維持して出射(透過)させる。
次に、偏光制御素子5の光学特性について説明する。
上記したように、カラーフィルタを有し、カラー表示が可能な液晶表示パネル3から出射される光の波長域(Δλ)は一般的な液晶材料の屈折率異方性(Δn)および平均屈折率(n)から得られる波長域より広いため、偏光制御素子5は、可視光3原色の赤色、緑色および青色の3波長にそれぞれ対応したピッチを持つ第1偏光制御素子5a、第2偏光制御素子5bおよび第3偏光制御素子5cを有している。これにより、第1偏光制御素子5a、第2偏光制御素子5bおよび第3偏光制御素子5cは、左旋円偏光または右旋円偏光を選択的に反射させることができる。
第1偏光制御素子5aの第1液晶分子33a、第2偏光制御素子5bの第2液晶分子53bおよび第3偏光制御素子5cの第3液晶分子73aはそれぞれ捩れ角3690°に配列する。すなわち、第1偏光制御素子5aではd1/P1>10を満たし、第2偏光制御素子5bではd2/P2>10を満たし、第3偏光制御素子5cでは、d3/P3>10を満たしている。このため、第1偏光制御素子5a、第2偏光制御素子5bおよび第3偏光制御素子5cは、偏光制御素子5に斜め方向(第1基板31平面、第3基板51平面および第3基板71平面のそれぞれの法線方向から傾いた方向)から入射される光の左旋円偏光を選択的に十分に反射させることができる。また、第1偏光制御素子5aの第1液晶分子33a、第2偏光制御素子5bの第2液晶分子53aおよび第3偏光制御素子5cの第3液晶分子73aはそれぞれ捩れ角3690°に配列するため、通常の液晶表示パネル3とラビング方向の共通化を図ることができる。
上述したヘリカルピッチP1、P2、P3は、バックライトユニット7から出射される光の青色の主波長λ1=440nm、緑色の主波長λ2=550nm、赤色の主波長λ3=620nmに対応している。このため、ヘリカルピッチP1、P2、P3は、P1=λ1/n,P2=λ2/n,P3=λ3/nの関係式によって求められている。
この実施の形態において、上述した第1液晶層33の層厚d1、第2液晶層53の層厚d2および第3液晶層73の層厚d3は、d1/P1=10.25,d2/P2=10.25,d3/P3=10.25の関係式を満たすように形成されている。
一般的なバックライト光の赤色、緑色および青色の波長幅(バンド幅)は、20nmないし40nmであるが、この実施の形態での波長幅Δλ1(=Δn・P1)、Δλ2(=Δn・P2)、Δλ3(=Δn・P3)は全てこれより大きくなることが分かる。
次に、バックライトユニット7から出射される光の光路について説明する。
ここで、図2ないし図5に示すように、偏光板4aの透過容易軸の方向は第1方向a1であり、偏光板2aの透過容易軸の方向は第1方向と直交する第2方向a2である。すなわち、偏光板4aおよび偏光板2aはクロスニコル配置されている。λ/4板4bおよびλ/4板2bの光軸の方向は、それぞれ偏光板4aおよび偏光板2aの透過容易軸に対して45°の角度を為すとともに、それらの光軸が互いに直交する方向である。なお、偏光制御素子5に駆動電圧を印加した状態において、第1液晶分子33aの長軸方向、第2液晶分子53aの長軸方向および第3液晶分子73aの長軸方向は、第1方向a1および第2方向a2に直交する第3方向a3にほぼ平行である。
まず、液晶表示パネル3に駆動電圧が印加されているとともに、偏光制御素子5に駆動電圧が印加されていない状態である第1表示モードにおける光路について説明する。
図1および図2に示すように、バックライトユニット7から拡散した光が出射されると、偏光板4aは第1方向a1の偏光(直線偏光)として液晶表示パネル3の液晶層13に出射させる。液晶層13は、第1方向a1の直線偏光を維持し、λ/4板4bに出射させ、このλ/4板4bは右旋円偏光を出射させる。
偏光制御素子5の第1液晶層33、第2液晶層53および第3液晶層73は、λ/4板4bから入射される右旋円偏光を通過させ、第2方向の偏光(直線偏光)として出射させる。上記したことから、観察者は、表示画像を表示面Sの正面方向および斜め方向ともに目で識別することができる表示状態となる。
次に、液晶表示パネル3および偏光制御素子5に駆動電圧が印加されている状態である第2表示モードにおける光路について説明する。
図1および図3に示すように、バックライトユニット7から拡散した光が出射されると、偏光板4aは第1方向a1の偏光(直線偏光)として液晶表示パネル3の液晶層13に出射させる。液晶層13は、第1方向a1の直線偏光を維持し、λ/4板4bに出射させ、このλ/4板4bは右旋円偏光を出射させる。
偏光制御素子5の第1液晶層33、第2液晶層53および第3液晶層73は、λ/4板4bから入射される右旋円偏光を維持して通過させる。λ/4板2bは、第3液晶層73から入射される右旋円偏光を通過させ、第2方向d2の偏光(直線偏光)として偏光板4aに出射させる。このため、偏光板4aからは第2方向d2の直線偏光が出射される。上記したことから、独立偏光子2を使用した特定の観察者のみが表示面Sに表示された表示画像を識別できる表示状態となる。
ここで、本願発明者等は、液晶表示パネル3に駆動電圧が印加されているとともに、偏光制御素子5に駆動電圧が印加されていない状態(0V印加状態)と、液晶表示パネル3および偏光制御素子5に駆動電圧が印加されている状態との2通りの表示モードにおいて、液晶表示装置1を用いて画像を表示し、輝度視角等の表示特性を調査した。
その際、駆動部8は、TFTを介して駆動電圧4Vにて液晶表示パネル3を駆動した。偏光制御素子5に駆動電圧を印加する際、駆動部8は、駆動電圧60Vにて偏光制御素子5を駆動する。このため、第1偏光制御素子5a、第2偏光制御素子5bおよび第3偏光制御素子5cは、それぞれ駆動電圧20Vにて駆動される。また、バックライトユニット7は光を出射した状態とし、液晶表示装置1を照度0lx(ルクス)の環境下に配置した。
まず、図2に示すように、液晶表示パネル3(画素電極15および共通電極18間)に駆動電圧が印加されているとともに、偏光制御素子5(第1電極35および第2電極38間、第3電極55および第4電極58間、第5電極75および第6電極78間)に駆動電圧が印加されていない状態である第1表示モードにおける液晶表示システムの使用方法および液晶表示装置1の表示特性について説明する。
表示面Sに表示された表示画像を観察した場合、観察者は、表示画像を表示面の正面方向および斜め方向ともに目で識別することができる。観察者は独立偏光子2を使用せずに表示画像を識別できる。このため、表示面Sに表示された表示画像は、複数人が識別できる状態となる。また、正面輝度は300cd/mと十分高い値を示した。
次に、図3に示すように、液晶表示パネル3および偏光制御素子5に駆動電圧が印加されている状態である第2表示モードにおける液晶表示システムの使用方法および液晶表示装置1の表示特性について説明する。
表示面Sに表示された表示画像を観察した場合、観察者は、表示画像を表示面の正面方向および斜め方向ともに目で識別することができない。表示面Sに表示された表示画像は、独立偏光子2を通した観察者の目でのみ識別することができる。このため、表示面Sに表示された表示画像は、独立偏光子2を使用した特定の観察者のみ識別できる状態となる。また、正面輝度は500cd/mであり、偏光制御素子5に駆動電圧が印加されていない状態よりも高い値が得られる。
また、本願発明者等は、液晶表示パネル3および偏光制御素子5に駆動電圧が印加されていない状態と、液晶表示パネル3に駆動電圧が印加されていないとともに、偏光制御素子5に駆動電圧が印加されている状態との2通りにおいても、液晶表示装置1を用いて画像を表示し、表示特性を調査した。
図1および図4に示すように、液晶表示パネル3および偏光制御素子5に駆動電圧が印加されていない状態では、偏光制御素子5に左旋円偏光が入射される。左旋円偏光が入射されると、第1液晶層33は青色領域の左旋円偏光を選択的に反射し、第2液晶層53は緑色領域の左旋円偏光を選択的に反射させ、第3液晶層73は赤色領域の左旋円偏光を選択的に反射させる。このため、液晶表示装置1は非表示モードとなり、表示面Sに表示された表示画像を観察した場合、黒色表示となる。
なお、図5に示すように、液晶表示パネル3に駆動電圧が印加されていないとともに、偏光制御素子5に駆動電圧が印加されている状態では、第3液晶層73から光が左旋円偏光として出射される。このため、バックライトユニット7を用いて光を出射させた場合や、反射型の液晶表示装置を用いた場合は、液晶表示装置は非表示状態とならず、白色表示となってしまう。
以上のように構成された、液晶表示システムおよびこの液晶表示システムの使用方法によれば、駆動部8によって偏光制御素子5を駆動制御することによりこの偏光制御素子5は、λ/4板4bから入射される光の右旋円偏光を右旋円偏光または直線偏光として出射させている。
偏光制御素子5に駆動電圧が印加されていない状態である第1表示モードにおいて、偏光制御素子5は、光を第2方向の直線偏光として出射させる。このため、観察者は、表示画像を表示面Sの正面方向および斜め方向ともに目で識別することができる表示状態となる。偏光制御素子5に駆動電圧が印加されている状態である第2表示モードにおいて、偏光制御素子5は、光を右旋円偏光として出射させる。このため、独立偏光子2を使用した特定の観察者のみが表示面Sに表示された表示画像を識別できる表示状態となる。上記したことから、複数人が表示画像を識別できる第1表示モードと、独立偏光子を通した状態でのみ表示画像を識別できる第2表示モードとを切り換えた画像表示が可能な液晶表示システムを得ることができる。これにより、電子手帳、PDA、携帯電話等、公共の場で使用する場合であっても他人に表示画像を識別される(表示内容を覗かれる)心配を排除できる。
第1偏光制御素子5aは、ヘリカルピッチP1と平均屈折率nの積が青色領域であるコレステリック液晶で形成された第1液晶層33を有している。第1液晶分子33aの捩れは右回りである。このため、第1偏光制御素子5aは、青色領域の光の左旋円偏光のみ選択的に反射させる。第2偏光制御素子5bは、ヘリカルピッチP2と平均屈折率nの積が緑色領域であるコレステリック液晶で形成された第2液晶層53を有している。第2液晶分子53aの捩れは右回りである。このため、第2偏光制御素子5bは、緑色領域の光の左旋円偏光のみ選択的に反射させる。
第3偏光制御素子5cは、ヘリカルピッチP3と平均屈折率nの積が赤色領域であるコレステリック液晶で形成された第3液晶層73を有している。第3液晶分子73aの捩れは右回りである。このため、第3偏光制御素子5cは、赤色領域の光の左旋円偏光のみ選択的に反射させる。また、第1液晶分子33a、第2液晶分子53aおよび第3液晶分子73aの捩れ角は3690°である。
このため、偏光制御素子5に斜め方向から光が入射された場合でも、偏光制御素子5は左旋円偏光を十分に反射することができる。このため、黒色表示となる上記非表示モードを得ることができる。また、バックライトユニット7の替わりに反射板を設けた場合でも上記非表示モード時においては黒色表示を得ることができる。
上記した効果は、第1液晶分子33a、第2液晶分子53aおよび第3液晶分子73aのそれぞれの捩れ角を以下のように制御した場合に効果的である。
偏光制御素子5に駆動電圧を印加していない状態で、第1液晶分子33a、第2液晶分子53aおよび第3液晶分子73aのそれぞれの捩れ角3600°以上に配列させて、この偏光制御素子に入射される光の右旋円偏光を直線偏光として出射させるとともに左旋円偏光を反射させる場合である。
なお、この発明は、上述した実施の形態に限定されることなく、この発明の範囲内で種々変形可能である。例えば、図6に示すように、第2基板32および第3基板51は第1共通基板91を有し、それぞれ同一の基板で構成されている。第4基板52および第5基板71は第2共通基板92を有し、それぞれ同一の基板で構成されている。このため、液晶表示装置全体の厚みおよび重量を軽減することができる。
偏光制御素子5は、出射させる光の有無を制御可能であるとともに、前記出射させる光が有る場合にはさらに出射させる光の偏光状態を独立して制御可能な複数の分割領域を有していても良い。
例えば、図7および図8に示すように、偏光制御素子5の第1偏光制御素子5aが、第1分割領域R3、第2分割領域R4、第3分割領域R5および第4分割領域R6を有している場合、第1電極35および第2電極38は、第1分割領域R3ないし第4分割領域R6に重なってそれぞれ分割されている。分割された第1電極35および第2電極38にそれぞれ独立して駆動電圧を印加することができる。
なお、この場合、第2偏光制御素子5bおよび第3偏光制御素子5cも、第1分割領域R3、第2分割領域R4、第3分割領域R5および第4分割領域R6を有している。第3電極55、第4電極58、第5電極75および第6電極78も、第1分割領域R3ないし第4分割領域R6に重なってそれぞれ分割されている。分割された第3電極55および第6電極78にもそれぞれ独立して駆動電圧を印加することができる。これにより、液晶表示装置1の表示面Sに、上記第1表示モードを行う領域と第2表示モードを行う領域とを混在させることができるため、多用な画像表示を行うことができる。
第1液晶分子33a、第2液晶分子53aおよび第3液晶分子73aの捩れは右回りに限らず、全て左周りでも良い。第1液晶分子33a、第2液晶分子53aおよび第3液晶分子73aのそれぞれの捩れ角を以下のように制御した場合に効果的である。
偏光制御素子5に駆動電圧を印加していない状態で、第1液晶分子33a、第2液晶分子53aおよび第3液晶分子73aのそれぞれの捩れ角3600°以上に配列させて、この偏光制御素子に入射される光の左旋円偏光を直線偏光として出射させるとともに左旋円偏光を反射させる場合である。
第1液晶層33はヘリカルピッチP1と平均屈折率nの積が青色領域であるカイラルネマティック液晶で形成され、第2液晶層53はヘリカルピッチP2と平均屈折率nの積が緑色領域であるカイラルネマティック液晶で形成され、第3液晶層73はヘリカルピッチP3と平均屈折率nの積が赤色領域であるカイラルネマティック液晶で形成されても良い。
第1液晶分子33a、第2液晶分子53aおよび第3液晶分子73aの捩れは右回りおよび左回りのどちらかであれば良い。第1液晶分子33a、第2液晶分子53aおよび第3液晶分子73aのそれぞれの捩れ角を以下のように制御した場合でも効果的である。
偏光制御素子5に駆動電圧を印加していないで、第1液晶分子33aを第1基板31平面および第2基板32平面に対して略垂直に配列させ、第2液晶分子53aを第3基板51平面および第4基板52平面に対して略垂直に配列させ、並びに第3液晶分子73aを第5基板71平面および第6基板72平面に対して略垂直に配列させて、この偏光制御素子に入射される光の右旋円偏光若しくは左旋円偏光を偏光状態を維持して出射させ、かつ、偏光制御素子に駆動電圧を印加している状態で、第1液晶分子、第2液晶分子および第3液晶分子のそれぞれを捩れ角3600°以上に配列させて、この偏光制御素子に入射される光の右旋円偏光および左旋円偏光の一方を直線偏光として出射させるとともにこれら右旋円偏光および左旋円偏光の他方を反射させる場合である。
液晶表示パネル3の表示モードは、TNモードに限らず、OCBモード等の他の表示モードであっても良い。λ/4板4bは、偏光板4aおよびアレイ基板11間に配置されても良い。
この発明の実施の形態に係る液晶表示システムの概略構成を示す断面図。 図1に示した液晶表示パネルに駆動電圧が印加されているとともに、偏光制御素子に駆動電圧が印加されていない状態における液晶表示装置の断面構造およびバックライトユニットから出射される光の光路を説明するための図。 図1に示した液晶表示パネルおよび偏光制御素子に駆動電圧が印加されている状態における液晶表示システムの断面構造およびバックライトユニットから出射される光の光路を説明するための図。 図1に示した液晶表示パネルおよび偏光制御素子に駆動電圧が印加されていない状態における液晶表示装置の断面構造およびバックライトユニットから出射される光の光路を説明するための図。 図1に示した液晶表示パネルに駆動電圧が印加されていないとともに、偏光制御素子に駆動電圧が印加されている状態における液晶表示装置の断面構造およびバックライトユニットから出射される光の光路を説明するための図。 上記液晶表示システムの変形例を示す断面図。 上記液晶表示システムの他の変形例を示す第1偏光制御素子の第1基板の平面図。 上記液晶表示システムの他の変形例を示す第1偏光制御素子の第2基板の平面図。
符号の説明
1…液晶表示装置、2…独立偏光子、2a…偏光板、2b…λ/4板、3…液晶表示パネル、4…偏光子、4a…偏光板、4b…λ/4板、5…偏光制御素子、5a…第1偏光制御素子、5b…第2偏光制御素子、5c…第3偏光制御素子、7…バックライトユニット、8…駆動部、11…アレイ基板、12…対向基板、13…液晶層、31…第1基板、32…第2基板、33…第1液晶層、33a…第1液晶分子、35…第1電極、36…第1配向膜、38…第2電極、39…第2配向膜、51…第3基板、52…第4基板、53…第2液晶層、53a…第2液晶分子、55…第3電極、56…第3配向膜、58…第4電極、59…第4配向膜、71…第5基板、72…第6基板、73…第3液晶層、73a…第3液晶分子、75…第5電極、76…第5配向膜、78…第6電極、79…第6配向膜、91…第1共通基板、92…第2共通基板、d1,d2,d3…層厚、n…平均屈折率、P1,P2,P3…ヘリカルピッチ、R3…第1分割領域、R4…第2分割領域、R5…第3分割領域、R6…第4分割領域、S…表示面、Δλ1,Δλ2,Δλ3…波長幅。

Claims (10)

  1. アレイ基板と、前記アレイ基板に隙間を置いて対向配置された対向基板と、前記アレイ基板および対向基板間に挟持された液晶層と、を有した液晶表示パネルと、
    前記液晶表示パネルに対向配置された偏光子と、
    前記液晶表示パネルおよび偏光子に対して一方側に配置されているとともにこれら液晶表示パネルまたは偏光子から光が入射され、これら液晶表示パネルまたは偏光子と対向した側の反対側に表示面を有し、前記液晶表示パネル若しくは偏光子から入射される光の右旋円偏光を右旋円偏光若しくは直線偏光として出射させるとともに左旋円偏光を反射させ、または、前記液晶表示パネル若しくは偏光子から入射される光の左旋円偏光を左旋円偏光若しくは直線偏光として出射させるとともに右旋円偏光を反射させる偏光制御素子と、を有した液晶表示装置と、
    前記表示面を観察する観察者に使用され、前記偏光制御素子から出射される光の右旋円偏光または左旋円偏光を直線偏光として観察者に出射させる独立偏光子と、を具備し、
    前記偏光制御素子は、印加電圧を調整することにより出射させる光の有無を制御可能に構成されたことを特徴とする液晶表示システム。
  2. 前記偏光制御素子は、
    前記対向基板に対向配置され、第1可視光領域の光の右旋円偏光または左旋円偏光を選択的に反射させる第1偏光制御素子と、
    前記第1偏光制御素子に対して前記対向基板の反対側に位置しているとともにこの第1偏光制御素子に対向配置され、第2可視光領域の光の右旋円偏光または左旋円偏光を選択的に反射させる第2偏光制御素子と、
    前記第2偏光制御素子に対して前記第1偏光制御素子の反対側に位置しているとともにこの第2偏光制御素子に対向配置され、第3可視光領域の光の右旋円偏光または左旋円偏光を選択的に反射させる第3偏光制御素子と、を備えていることを特徴とする請求項1に記載の液晶表示システム。
  3. 前記偏光制御素子は、
    前記対向基板に対向配置され、第1電極および前記第1電極に重なった第1配向膜を有した第1基板と、前記第1基板に隙間を置いて対向配置され、かつ、第2電極および前記第2電極に重なった第2配向膜を有した第2基板と、前記第1基板および第2基板間に挟持され、ヘリカルピッチおよび平均屈折率の積が第1可視光領域であるカイラルネマティック液晶またはコレステリック液晶で形成された第1偏光制御液晶層と、を有し、前記第1可視光領域の光の右旋円偏光または左旋円偏光を選択的に反射させる第1偏光制御素子と、
    前記第2基板に対向配置され、第3電極および前記第3電極に重なった第3配向膜を有した第3基板と、前記第3基板に隙間を置いて対向配置され、かつ、第4電極および前記第4電極に重なった第4配向膜を有した第4基板と、前記第3基板および第4基板間に挟持され、ヘリカルピッチおよび平均屈折率の積が第2可視光領域であるカイラルネマティック液晶またはコレステリック液晶で形成された第2偏光制御液晶層と、を有し、前記第2可視光領域の光の右旋円偏光または左旋円偏光を選択的に反射させる第2偏光制御素子と、
    前記第4基板に対向配置され、第5電極および前記第5電極に重なった第5配向膜を有した第5基板と、前記第5基板に隙間を置いて対向配置され、かつ、第6電極および前記第6電極に重なった第6配向膜を有した第6基板と、前記第5基板および第6基板間に挟持され、ヘリカルピッチおよび平均屈折率の積が第3可視光領域であるカイラルネマティック液晶またはコレステリック液晶で形成された第3偏光制御液晶層と、を有し、前記第3可視光領域の光の右旋円偏光または左旋円偏光を選択的に反射させる第3偏光制御素子と、を備えていることを特徴とする請求項1に記載の液晶表示システム。
  4. 前記第1可視光領域は、赤色領域、緑色領域および青色領域のいずれかであり、
    前記第2可視光領域は、前記第1可視光領域と異なる前記赤色領域、緑色領域および青色領域のいずれかであり、
    前記第3可視光波長領域は、前記第1可視光領域および第2可視光領域と異なる前記赤色領域、緑色領域および青色領域のいずれかであることを特徴とする請求項2または3に記載の液晶表示システム。
  5. 前記偏光制御素子は、
    前記第1電極および第2電極間、前記第3電極および第4電極間、並びに前記第5電極および第6電極間にそれぞれ電位差が生じている状態で、前記第1偏光制御液晶層の第1液晶分子を前記第1基板平面および第2基板平面に対して略垂直に配列させ、前記第2偏光制御液晶層の第2液晶分子を前記第3基板平面および第4基板平面に対して略垂直に配列させ、並びに前記第3偏光制御液晶層の第3液晶分子を前記第5基板平面および第6基板平面に対して略垂直に配列させて、この偏光制御素子に入射される光の右旋円偏光若しくは左旋円偏光を偏光状態を維持して出射させ、かつ、前記電位差が生じていない状態で、前記第1液晶分子、第2液晶分子および第3液晶分子のそれぞれを捩れ角3600°以上に配列させて、この偏光制御素子に入射される光の右旋円偏光および左旋円偏光の一方を直線偏光として出射させるとともにこれら右旋円偏光および左旋円偏光の他方を反射させ、または、
    前記電位差が生じていない状態で、前記第1液晶分子を前記第1基板平面および第2基板平面に対して略垂直に配列させ、前記第2液晶分子を前記第3基板平面および第4基板平面に対して略垂直に配列させ、並びに前記第3液晶分子を前記第5基板平面および第6基板平面に対して略垂直に配列させて、この偏光制御素子に入射される光の右旋円偏光若しくは左旋円偏光を偏光状態を維持して出射させ、かつ、前記電位差が生じている状態で、前記第1液晶分子、第2液晶分子および第3液晶分子のそれぞれを捩れ角3600°以上に配列して、この偏光制御素子に入射される光の右旋円偏光および左旋円偏光の一方を直線偏光として出射させるとともにこれら右旋円偏光および左旋円偏光の他方を反射させることを特徴とする請求項3に記載の液晶表示システム。
  6. 前記偏光制御素子は、前記出射させる光が有る場合にはさらに出射させる光の偏光状態を独立して制御可能な複数の分割領域を備え、
    前記第1電極、第2電極、第3電極、第4電極、第5電極および第6電極は、前記複数の分割領域に重なってそれぞれ分割されていることを特徴とする請求項3に記載の液晶表示システム。
  7. 前記第2基板および第3基板は第1共通基板を、前記第4基板および第5基板は第2共通基板をそれぞれ有していることを特徴とする請求項3に記載の液晶表示システム。
  8. 前記液晶表示パネルおよび偏光子に対して前記偏光制御素子と反対側に設けられているとともに、前記液晶表示パネルまたは偏光子に光を出射させるバックライトユニットを備えていることを特徴とする請求項1に記載の液晶表示システム。
  9. 前記液晶表示パネルおよび偏光子に対して前記偏光制御素子と反対側に設けられているとともに、入射される外光を前記液晶表示パネルまたは偏光子に反射させる反射板を備えていることを特徴とする請求項1に記載の液晶表示システム。
  10. アレイ基板と、前記アレイ基板に隙間を置いて対向配置された対向基板と、前記アレイ基板および対向基板間に挟持された液晶層と、を有した液晶表示パネルと、
    前記液晶表示パネルに対向配置された偏光子と、
    前記液晶表示パネルおよび偏光子に対して一方側に配置されているとともにこれら液晶表示パネルまたは偏光子から光が入射され、これら液晶表示パネルまたは偏光子と対向した側の反対側に表示面を有し、前記液晶表示パネル若しくは偏光子から入射される光の右旋円偏光を右旋円偏光若しくは直線偏光として出射させるとともに左旋円偏光を反射させ、または、前記液晶表示パネル若しくは偏光子から入射される光の左旋円偏光を左旋円偏光若しくは直線偏光として出射させるとともに右旋円偏光を反射させる偏光制御素子と、を具備した液晶表示装置と、
    前記表示面を観察する観察者に使用され、前記偏光制御素子から出射される光の右旋円偏光または左旋円偏光を直線偏光として観察者に出射させる独立偏光子と、を備えた液晶表示システムの使用方法において、
    前記偏光制御素子から直線偏光を出射させることにより、前記表示面に表示される表示画像を観察者の目で識別可能にするとともに、前記偏光制御素子から右旋円偏光または左旋円偏光を出射させることにより、前記表示面に表示される表示画像を前記独立偏光子を通した観察者の目でのみ識別可能にすることを特徴とする液晶表示システムの使用方法。
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