JP2007148279A - 表示装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】表示画面の主視野角方向である正面やや下方向からの視認に対しては、表示画面に表示された情報を良好に視認可能とし、それ以外の方向からの視認に対しては、表示画面の全領域において、表示された情報を視認困難とする表示装置を提供すること。
【解決手段】所望の情報が表示される表示パネル2と、前記表示パネル2に積層して配置された視野角制御パネル1とを備えてなる表示装置において、前記視野角制御パネル1を電極13が形成された一対の透明基板12間に液晶層が封入された液晶表示素子11とし、前記液晶層の液晶17はツイスト角60〜90°のTN液晶とし、その位相差値ΔnLC・dLCを0.4〜0.6μmとする。
【選択図】図1
【解決手段】所望の情報が表示される表示パネル2と、前記表示パネル2に積層して配置された視野角制御パネル1とを備えてなる表示装置において、前記視野角制御パネル1を電極13が形成された一対の透明基板12間に液晶層が封入された液晶表示素子11とし、前記液晶層の液晶17はツイスト角60〜90°のTN液晶とし、その位相差値ΔnLC・dLCを0.4〜0.6μmとする。
【選択図】図1
Description
本発明は、視野角制御パネルを備え、同一の表示画面に、視野角制御によって、所望の情報の視認が良好にできる領域(良好可視領域あるいは可視領域に相当)と、所望の情報の視認が困難な領域(不良可視領域あるいは不可視領域に相当)が形成されるように調整された表示装置に関する。
従来、携帯電話やPDA等に利用されている表示装置は、その画面サイズが大きくなるに従って広視野角化が要求されていた。
しかしながら、携帯電話やPDA等に利用されている表示装置には、メール等のようにセキュリティ性の高い情報が表示される場合が多く、広視野角の表示装置に当該セキュリティ性の高い情報を表示すると、表示画面を覗き見ることのできる位置にいる不特定者から表示を見られてしまう可能性がある。そこで、プライバシー保護の要求からは、視野角を特定の範囲に制御する必要性が高まってきている。
これまでの表示装置の視野角を所定の範囲に限る制御技術の1つとして、所望の情報を表示するための液晶層と前記液晶層を挟む配向膜とを具備し、表示画面に対応する全領域の配向膜を複数の領域に区画するとともに、隣接する前記領域の配向方向を複数の方向とすることで表示装置の視野角を異ならせる構成のものがある。
このように構成された表示装置は、配向膜上の配向処理方向によって液晶表示の視野角が異なることを応用するものであり、特定の方向から表示画面を見たときに一部の領域を、所望の情報の視認が極めて困難な不良可視領域(あるいは前記情報を全く視認することのできない不可視領域)とするようになっている(特許文献1参照)。
この従来技術において、表示画面に対応する全領域の配向膜を複数の領域に区画し、隣接する領域の配向方向を異ならせるようにラビング等の配向処理が行われれば、前記不良可視領域は例えば市松模様に配列されることとなる。
しかしながら、市松模様を構成する各不良可視領域の大きさや濃度にもよるが、例えば、その市松模様に配列された不良可視領域と、表示画面全体に大きく映し出された所望の情報としての1つの物体の画像が重なった場合、前記画像のうち半分が前記市松模様によって部分的に視認不可となるとしても、前記画像の残り半分は前記不良可視領域によっては遮られずに視認可能であるため、前記画像全体のフォルムは容易に判別されてしまう。同様に、市松模様状に配列された不良可視領域と文章が重なった場合、前記文章の半分は不良可視領域によって文字の識別が困難であるとしても、残りの文章の半分は前記市松模様によって遮られずに文字は識別されるので、その文章の内容も、視認可能な文字を断片的に繋げれば容易に想像され、判別されてしまう可能性がある。
例えば、携帯電話機の表示装置を考えれば、該表示装置の使用者は表示画面の正面方向に位置し、不特定者は左右方向、あるいは上方向(例えば、車内の着座者に対し、その前方に立位するような場合)に位置する場合が多い。よって、表示画面に表示された情報を良好に視認できる視野角方向として、正面やや下方方向からの視認のみを確保し、それ以外の方向からの視認に対しては、不特定者が表示画面を視認することを有効に防止し、プライバシーの保護を図る必要がある。
そこで、本発明は、表示画面の主視野角方向である正面やや下方方向からの視認に対しては、表示画面に表示された情報を良好に視認可能とし、それ以外の方向からの視認に対しては、表示画面の全領域において、表示された情報を視認困難とする表示装置を提供することを目的とするものである。
前述した目的を達成するため、本発明の第1の態様の表示装置は、所望の情報が表示される表示パネルと、前記表示パネルに積層して配置された視野角制御パネルとを備えてなる表示装置において、前記視野角制御パネルは電極が形成された一対の透明基板間に液晶層が封入された液晶表示素子であって、前記液晶層の液晶はツイスト角60〜90°のTN液晶であり、その位相差値ΔnLC・dLCが0.4〜0.6μmであることを特徴とする。
本実施の態様によれば、適正な電圧を与えることで、表示画面の正面やや下方向においては良好可視領域が形成され、その他の方向においては視野角制御パネルのダミーパターン表示と表示パネルに表示される情報とが重ねられた不良可視領域が形成され、該表示装置の使用者は良好な表示品位で情報を視認しつつ、プライベートな情報を不特定者の視認から保護することができる。
また、本発明の第2の態様の表示装置は、前記表示パネルは電極が形成された一対の透明基板間に液晶層が配設された液晶表示素子であり、本発明の第3の態様の表示装置は、第2の態様の表示装置において、前記視野角制御パネルおよび表示パネルはそれぞれ視認側および反視認側に偏光板を有していることを特徴とする。
これらの実施の態様によれば、簡単かつ安価に表示装置を構成することができ、また、偏光軸の軸角方向を調整することで、光の振動方向を規制することが可能となる。
そして、本発明の第4の態様の表示装置は、第2の態様の表示装置において、前記視野角制御パネルは前記表示パネルの上位に配置され、視認側には偏光板、反視認側には反射偏光板をそれぞれ有しており、前記表示パネルは視認側および反視認側に偏光板をそれぞれ有していることを特徴とする。
本実施の態様によれば、反射偏光板を配設したことにより、透過表示時においては、前述の第1の態様の効果を得ることができるとともに、外光を利用した反射表示時においては、前記反射偏光板の反射光を利用して不良可視領域を形成し、プライベートな情報を不特定者の視認から保護するとともに、特殊な表示効果(見栄え)を実現することができる。
また、本発明の第5の態様の表示装置は、第1乃至第4の態様の表示装置において、前記表示パネルと前記視野角制御パネルとの間には、光の偏光軸角を所定角度だけ回転誘導する旋光素子が配設されていることを特徴とする。
本実施の態様によれば、旋光素子により、下位に配置された表示パネルまたは視野角制御パネルを透過した光を上位に位置する視野角制御パネルまたは表示パネルへ導くことができる。特に、第3の態様の表示装置においては、下位に配置された表示パネルまたは視野角制御パネルを透過した光を、偏光板による吸光を最小限に抑えた状態で、上位に位置する視野角制御パネルまたは表示パネルへ導くことができ、また、第4の態様の表示装置においては、透過表示時において、下位に配置された表示パネルを透過した光を、反射偏光板による吸光を最小限に抑えた状態で、上位に位置する視野角制御パネルへ導くことができる。よって、表示装置は明るく良好な視認性を得ることができる。
そして、本発明の第6の実施の形態の表示装置は、前記第2乃至第5の態様の表示装置において、前記視野角制御パネルの液晶層と表示パネルの液晶層との間に光拡散層が配設されていることを特徴とする。
本実施の態様によれば、光拡散層が両液晶間を透過する光を拡散するので、前記光路をぼかしてライン状の着色部が視認されにくくし、良好な表示画面の視認性を得ることができる。
本発明によれば、表示画面の主視野角方向である正面やや下方向からの視認に対しては、表示画面に表示された情報を良好に視認可能とし、それ以外の方向からの視認に対しては、表示画面の全領域において、表示された情報を視認困難あるいは視認不可とすることができ、パーソナルな情報を不特定者の視認から保護することが可能となる。
図1は、本発明に係る表示装置の一実施の形態における模式的断面図である。
本実施形態の表示装置は、視野角制御パネル1、表示パネル2およびバックライトユニット3を備え、前記視野角制御パネル1は、前記表示パネル2の視認側に配設されている。また、前記表示パネル2の反視認側にはバックライトユニット3が配設されている。
本実施形態においては、前記視野角制御パネル1として液晶表示素子11を用いる。
前記液晶表示素子11には、主視野角方向においては前記表示パネル2に表示される所望の情報が視認され、主視野角以外の方向においてはダミー表示が視認されるように、外部からの電気信号により透過率および/または色が変化しうる部分が備えられている。
すなわち、本実施形態において、前記視野角制御パネル1を構成する液晶表示素子11は、図2に示すように、間隔を隔ててほぼ平行に配置された2枚の透明基板12(以下、視認側に配置される透明基板12を第1透明基板12a、反視認側に配置された透明基板12を第2透明基板12bという)を有しており、第1透明基板12aおよび第2透明基板12bの内側表面には、それぞれ第1電極13a、第2電極13bが形成され、ダミー表示用のパターン(以下、ダミーパターンという)が形成されている。前記ダミーパターンとしては、例えば、連続して配列された任意の文字(意味のある繋がりとするならば文章)や、同じ模様を連続させて配列させたパターンなどを例示することができる。本実施形態においては、表示パネル2に表示される文字の大きさと略同等とされたひらがなの連続した文章がダミーパターンとして形成されている場合を例として、以下、説明する。
また、前記第1電極13aおよび第2電極13bの上面には、それぞれ各電極間に印加される電圧に応じて液晶分子の配向を制御する第1配向膜14a、第2配向膜14bが形成されている。
そして、前記第1透明基板12aと第2透明基板12bは、第1配向膜14aと第2配向膜14bを対向させて配置され、その間にセルギャップを一定の距離に保つためのスペーサ15を散布した状態で周囲をエポキシ樹脂等からなる周辺シール材16によってシールされている。更に、第1透明基板12a、第2透明基板12bおよび周辺シール材16によって囲繞された空間部には、ツイスト角を60〜90°、好ましくは70°とするTN液晶17が封入され、液晶層とされている。本実施形態において、前記液晶層の位相差値ΔnLC・dLCは0.4〜0.6μmの範囲内となるように調整されている。
なお、前記第1透明基板12aおよび第2透明基板12bとしては、それぞれ透光性の材料、例えばガラス、合成樹脂等を使用することができ、前記第1電極13aおよび第2電極13bとしては、透光性の導電膜、例えばITO等を使用することができる。前記第1配向膜14aおよび第2配向膜14bは、ポリイミドなどの高分子膜からなり、前記第1透明基板12および第2透明基板12の近傍の液晶を配向させるためにラビング処理が施され、配向異方性の膜として形成されている。
また、前記視野角制御パネル1の視認側および反視認側にはそれぞれ、光の振動方向を規制すべく、偏光軸を所定の方向に配置した第1偏光板4a、第2偏光板4bが交差角を前記液晶のツイスト角度〜90°、好ましくは90°となるように配設されている。なお、本文中に用いる「偏光軸」は「透過軸」と同意である。
図3は、本実施形態における視野角制御パネルの光学仕様の説明図である。この図に示すように、本実施形態においては、前記視野角制御パネル1の液晶層には、ツイスト角を70°とするTN液晶17が封入されている。そして、前記第1偏光板4aは、その偏光軸が、視野角制御パネル1の視認側に配設された第1透明基板12aに形成された配向膜14aのラビング方向(実線矢印)である配向軸方向から、視認側から見た反時計回りで80°に位置し、前記第2偏光板4bは、その偏光軸が、視野角制御パネル1の反視認側に配設された第2透明基板12bに形成された配向膜14bのラビング方向(破線矢印)である配向軸方向から、視認側から見た反時計回りで100°に位置するように配置されている。よって、前記第1偏光板4aと第2偏光板4bは、その交差角を90°として配置される。このような軸角度とすることで、電圧印加時における遮光性が非常に良くなり、高コントラストの表示を得ることができる。
なお、本実施形態のように、視野角制御パネル1が表示パネル2の視認側に配設される場合、視野角制御パネル1の反視認側に配設される第2偏光板4bの偏光軸の軸角と表示パネル2の第1偏光板5aの偏光軸の軸角とが一致していればどちらかの偏光板を省略することも可能である。一方の偏光板の配設を省略することにより、偏光板の吸光に伴う輝度の低下を防止することや表示装置の厚さを薄くすることができる。
さらに、前記視野角制御パネル1は前記バックライトユニット3と表示パネル2との間に配設することも可能である。
また、前記表示パネル2は、前記TN型、STN型等のパッシブマトリクス駆動の液晶表示素子11やTFT型のアクティブマトリクス駆動の液晶表示素子11などの公知の液晶表示素子11を用いるものとする。液晶表示素子11の構造については、前述の視野角制御パネル1として用いられる液晶表示素子11と電極13のパターン形状の点において相違するが、その他の構造については略同様であるので説明を省略する。
そして、前記表示パネル2の視認側および反視認側にはそれぞれ、光の振動方向を規制すべく、偏光軸を所定の方向に配置した第1偏光板5a、第2偏光板5bが配設されている。
前記バックライトユニット3は、蛍光管等の光源(図示せず)とこの光源の光を前記表示パネル2方向へ反射させるための導光板(図示せず)などを有する公知のものとし、説明を省略する。
このように構成された本実施形態の表示装置においては、バックライトユニット3の光源を出射された光は表示パネル2の第2偏光板5bと表示パネル2を透過し、前記表示パネル2の第1偏光板5aおよび視野角制御パネル1の第2偏光板4bによって偏光され、視野角制御パネル1の液晶層へ入射する。
そして、視野角制御パネル1の第1電極13aおよび第2電極13bに電圧が印加されていないとき、液晶層中の液晶分子はこの入射する偏光と同じ方向に配向されており、液晶のねじれにしたがって偏光方向は回転していく。
そして、視野角制御パネル1の第1偏光板4aの偏光軸の方向は、視野角制御パネル1の液晶層を透過した光と同じ向きなので、入射した光はそのまま透過することとなる。
また、視野角制御パネル1の第1電極13aおよび第2電極13bに電圧が印加されたとき、正の誘電率異方性を有する液晶分子は、電界と同じ向きに配列方向を変化させる。このとき、入射した光は特に、中間電圧とした場合、特定の方向(例えば視角方向)では液晶の複屈折(位相差)が最も大きくなり、液晶層に入射した光は偏光状態が変化して液晶層から出射することになる。一方、それ以外の大部分の方向では液晶の複屈折が小さいため、液晶層に入射した光はそのままの偏光状態で出射される。図3に示すように、視野角制御パネル1の偏光板4a、4bはへ光軸が直交しているため、視野角から視認すると光は透過するが、それ以外の方向からは遮光されているように見える。
本実施形態の表示パネル2においては、表示パネル2に表示される文字の大きさと略同等とされたひらがなの連続した文章が前記視野角制御パネル1にダミーパターンとして形成されるため、前記視野角制御パネル1の第1電極13aおよび第2電極13bに電圧が印加されたとき、このダミーパターンが視野角制御パネル1に表示される。
そして、このダミーパターンは、表示画面の全領域において、主視野角方向となる正面やや下方からは視認されることはないが、主視野角以外の方向である正面やや下方以外の方向からは視認されるので、表示パネル2に表示される情報と重なって視認されることとなる。
特に、本実施形態においては、前記ダミーパターンをひらがなが配列された文章としたことにより、表示パネル2に表示させる所望の情報が文字情報である場合には、特に、情報としての文字と、ダミーパターンの文字とが重なり合って表示されることにより、不特定者が情報としての文字を視認することも妨害することができる。
ここで、液晶層の液晶17をTN液晶とした本実施形態の前記視野角制御パネル1における前記液晶の位相差値ΔnLC・dLCと、前記第1電極13aおよび第2電極13bに印加される電圧値について説明する。
図4は、視野角制御パネル1の液晶層の液晶17として、ツイスト角を70°、液晶層の位相差値ΔnLC・dLCを0.5μmとし、視野角制御パネル1に配設された第1偏光板4aと第2偏光板4bの交差角を90°とした場合における電圧変化(0V〜7V)と透過率の視野角依存性を示している。また、図5は、前記液晶17として、ツイスト角を90°、前記液晶の位相差値ΔnLC・dLCを0.5μmとし、視野角制御パネル1に配設された第1偏光板4aと第2偏光板4bの交差角を90°とした場合における電圧変化(0V〜7V)と透過率の視野角依存性を示している。
なお、図4及び図5中、同心円とされ、20°間隔で0〜80°まで示された円状のラインは、液晶表示装置の表示面の法線からの傾き角(θ)を示しており、同図の中心点から放射線状に延在し、同図を12分割するラインは、表示装置の表示画面の3時方向を0°と仮定した場合における時計回りの角度(φ)を示す。ここで、透過率は視野角制御パネル1に表示されるダミーパターンの電圧印加部分の透過率である。この透過率が小さくなると電圧印加部分とのコントラストが大きくなり、ダミーパターンを視認しやすくなる。すなわち、透過率が小さい領域は、表示パネル2の表示とダミーパターンが重なり合って表示されることにより、情報を不特定者の視認から保護することができる領域となる。また、図4及び図5中、実線で示されるラインは、透過率を0.2とするラインであり、本実施形態においては、0.2以上の透過率を得られる領域を「良好可視領域」とする。また、長破線で示されるラインは、透過率を0.1とするラインであり、本実施形態においては、0.1以上0.2以下の透過率を得られる領域を「可視領域」とし、0.1以下の透過率を得られる領域を「不良可視領域」とする。さらに、2点鎖線で示されるラインは、透過率を0.05とするラインであり、本実施形態においては、0.05以下のコントラストの領域を「不可視領域」とする。
そして、ツイスト角を70°とした液晶を有する視野角制御パネル1は、図4に示すように、印加電圧を3.0〜4.0Vの範囲内とすることにより、透過率が0.2以上で良好な表示を得られる良好可視領域を、表示画面に対する正面やや下方向(6時方向)の範囲にのみ形成し、その周囲を広く、透過率が0.1以下の不良可視領域、あるいは、透過率が0.05以下の不可視領域として囲うことが可能となる。
携帯電話機などの表示画面を考えれば、該表示装置の使用者は表示画面の正面方向に位置し、不特定者は左右方向、あるいは上方向(例えば、車内の着座者に対し、その前方に立位するような場合)に位置する場合が多いので、図4に示す3.0〜4.0Vの電圧印加時のような視野角依存性を得ることができれば、主視野角方向となる正面やや下方からの視認に対しては、表示画面に表示された情報を良好に視認可能とし、それ以外の方向からの視認に対しては、前記不良可視領域または不可視領域においてダミーパターンを表示パネル2に表示される情報と重ねることにより、前記情報を視認困難(視認不良)とすることができる。よって、プライベートな情報を不特定者の視認から保護することが可能となる。
仮に、印加電圧を3.0Vよりも低くすると、良好可視領域は上下左右方向において広がってしまい、不良可視領域は、殆ど存在しないような状態となるため、携帯電話等の表示画面を不特定者の視認から保護することが期待できず、好ましくない。
また、印加電圧を4.0Vよりも高くすると、良好可視領域が正面やや下方向の極めて限られた狭い領域にのみ形成されることとなり、特定者の視認性や使用感を良好なものとするすることが困難となるため、好ましくない。
さらに、ツイスト角を90°とした液晶を有する視野角制御パネル1においては、図5に示すように、印加電圧を3.0〜3.5Vの範囲内とすることにより、透過率が0.2以上で良好な表示を得られる良好可視領域を、表示画面に対する正面やや下方向(6時方向)の範囲にのみ形成し、その周囲を広く、透過率が0.1以下の不良可視領域、あるいは、透過率が0.05以下の不可視領域として囲うことが可能となる。
仮に、印加電圧を3.0Vよりも低くすると、良好可視領域は上下左右方向において広がってしまい、不良可視領域は、殆ど存在しないような状態となるため、携帯電話等の表示画面を不特定者の視認から保護することが期待できず、好ましくない。
また、印加電圧を3.5Vよりも高くすると、良好可視領域が正面やや下方向の極めて限られた狭い領域にのみ形成されることとなり、特定者の視認性や使用感を良好なものとすることが困難となるため、好ましくない。
以上のように、視野角制御パネル1の液晶層の液晶17として、ツイスト角を70°、液晶層の位相差値ΔnLC・dLCを0.5μmとし、視野角制御パネル1に配設された第1偏光板4aと第2偏光板4bの交差角を90°とされ、前記視野角制御パネル1の電極に印加する電圧を3.0〜3.5Vとされた視野角制御パネル1は、表示画面の正面やや下方向に良好可視領域が形成され、その周囲領域にダミーパターンを表示パネル2に表示される情報と重ね、低透過率および/または着色された表示を行なう不良可視領域が形成され、該表層値の使用者は良好な表示品位で情報を視認しつつ、プライベートな情報を不特定者の視認から保護することができる。
なお、前記電極に印加する電圧は、液晶層を構成する液晶17の特性によっても異なる。
図6は、ネガモードにおけるTN型の液晶表示素子11の電圧無印加状態での透過率を示している。前記液晶としては、ネガモードでは、電圧無印加時にできるだけ低い透過率を示す方が好ましく、ポジモードでは電圧無印加時にできるだけ高い透過率を示す方が好ましいため、液晶の位相差値ΔnLC・dLCは0.4〜0.6μmが良好な範囲といえる。
よって、本実施形態のように、液晶層の液晶として、ツイスト角度を60〜90°、好ましくは70°とする液晶を用い、前記液晶層の位相差値ΔnLC・dLCを0.4μm〜0.6μm、好ましくは0.5μmとすることにより、適正な電圧を与えることで、必ず、本実施形態に示すような視野角制御を行うことができる。
また、本実施形態の表示装置においては、図7に示すように、前述の表示装置において下位に配置された表示パネル2と上位に配置された視野角制御パネル1との間に、前記表示パネル2の視認側に配置された第1偏光板5aの偏光軸の軸角から、視野角制御パネル1の反視認側に配置された第2偏光板4b偏光軸の軸角へ、光の偏光軸角を回転誘導する旋光素子6を配設してもよい。上位に配置する視野角制御パネル1と下位に配置する表示パネル2とは、光学仕様によって、視野角制御パネル1の第2偏光板4bの偏光軸の軸角と表示パネル2の第1偏光板5aの偏光軸の軸角とを一致させることができない場合がある。このような偏光板の軸角の不一致が生じると、バックライトから透過する光が減少し、表示の見栄えに悪影響を及ぼす。このような不具合を防止するために旋光素子6を配置することが好ましい。すなわち、旋光素子6を採用することで。視野角制御パネル1と表示パネル2の組み合わせの自由度が向上する。
また、図3に示す本実施形態では、視野角制御パネル1の第1偏光板4aの偏光軸は3時方向から反時計回りに135°、第2偏光板4bの偏光軸は3時方向から反時計回りに45°の軸角としているが、第1偏光板4aと第2偏光板4bのそれぞれの軸角を共に反時計方向に90°回転させて、第1偏光板4aの偏光軸を3時方向から反時計回りに45°、第2偏光板4bの偏光軸を3時方向から反時計回りに135°の軸角としてもよい。前記旋光素子6としては、例えば、水晶、ピッチ調整により旋光能が可変なコレステリック液晶を用いたセル、位相差値(リタデーション)がλ/2の位相差板などを例示することができる。
例えば、図8に示すように、上位に位置する平行配向モードの視野角制御パネル1の反視認側に配設された第2偏光板4bの角度が45°、下位に位置する表示パネル2の視認側に配設された第1偏光板5aの偏光軸の角度は15°とした場合、その間に、旋光素子6として、位相差値がλ/2の位相差板を30°の角度で配設する。
これにより、下位に位置する表示パネル2を透過した光を偏光板4、5による吸光を最小限に抑えた状態で上位に位置する視野角制御パネル1へ導くことができるので、表示装置は良好な視認性を得ることができる。なお、位相差値がλ/2の位相差板を2枚使用することにより、光の波長差を原因とする表示画面の着色も補正することが可能となる。また、視野角制御パネル1と表示パネル2の位置関係(上位・下位)が逆の場合も同様である。
また、視野角制御パネル1が表示パネル2の視認側に配設される場合、視野角制御パネル1の反視認側に配設される第2偏光板4bとして、偏光軸と吸収軸とを直交させた通常の偏光板ではなく、偏光軸と反射軸とを直交させた反射偏光板4b’を用いることもできる。
図9には、前述の図3に示した視野角制御パネル1における第2偏光板4bを前記反射偏光板4b’に置き換えた場合における視野角制御パネル1の配向膜のラビング方向、反射偏光板4b’の偏光軸および反射軸の軸角方向を示す。前述のように、視野角制御パネル1における第2偏光板4bを前記反射偏光板4b’に置き換える場合においては、反射偏光板4b’をその偏光軸が前記第2偏光板4bの偏光軸と同じ方向となるようにして配置するようにする。
つまり、本実施形態においては、図9に示すように、前記第1偏光板4aは、その偏光軸が、視野角制御パネル1の視認側に配設された第1透明基板12aに形成された配向膜14aのラビング方向(実線矢印)である配向軸方向から、視認側から見た反時計回りで80°に位置し、前記第2偏光板4bは、その偏光軸が、視野角制御パネル1の反視認側に配設された第2透明基板12bに形成された配向膜14bのラビング方向(破線矢印)である配向軸方向から、視認側から見た反時計回りで100°に位置するように配置されている。よって、前記第1偏光板4aと第2偏光板4bは、その交差角を90°として配置されている。なお、図9に示す本実施形態では、視野角制御パネル1の第1偏光板4aの偏光軸は3時方向から反時計回りに135°、第2偏光板4bは3時方向から反時計回りに45°の軸角としているが、第1偏光板4aと第2偏光板4bのそれぞれの軸角を共に反時計回りに90°回転させて、第1偏光板4aの偏光軸を3時方向から45°、第2偏光板4bの偏光軸を3時方向から135°の軸角としてもよい。
このような反射偏光板4b’を有する表示装置においては、前記旋光素子6により、透過表示時においては、下位に配置された表示パネル2を透過した光を、反射偏光板4b’による吸光を最小限に抑えた状態で、上位に位置する視野角制御パネル1へ導くことができるので、明るく良好な視認性を得ることができる。また、外光を利用した反射表示時においては、前記反射偏光板4b’の反射光を利用して不良可視領域を形成し、プライベートな情報を不特定者の視認から保護するとともに、特殊な表示効果(見栄え)を実現することができる。
また、前記視野角制御パネル1の液晶層と表示パネル2の液晶層との間に表面が微細な凹凸により粗面化された光拡散層7を配設してもよい。
例えば、図10に示すように、上位に位置する視野角制御パネル1の反視認側に配設された第2透明基板12bと第2偏光板4bとの間に光拡散層7を配設したり、図11に示すように、上位に位置する視野角制御パネル1の第2偏光板12bの直下に光拡散層7を配設することができる。
これらの構成を備えた表示装置によれば、前記光拡散層7によって両液晶間を透過する光を拡散することができる。すなわち、表示パネル2としてストライプ状のカラーフィルタが形成された液晶表示素子を用い、さらに、図12に示すように、前記視野角制御パネルに形成されたダミーパターンに前記カラーフィルタのストライプと同方向に延びる直線パターン(図12においては「P」の文字のダミーパターンを示す)が形成されている場合、前記ダミーパターンの内外で光の屈折率が異なることを原因として、前記ダミーパターンのアウトライン部分にライン状の着色部(図12中、ハッチで示す)が視認されること(以下、パターン見えという)が懸念される。しかしながら、本実施形態のように光拡散層7を配設することで、両液晶間を透過する光を拡散し、前記光路を暈かすことで、ライン状の着色部を視認されにくくすることができる。
例えば、図10に示す構成を有する本実施形態の表示装置においては、表1に示すように、パターン見えはヘイズ値が10または20のときに発生し、画像ぼけはヘイズ値が60、70、80のときに発生した。よって、前記光拡散層のヘイズ値を30〜50とすることにより、所望の情報の表示状態に画像ぼけが発生せず、しかも、パターン見えが発生しないようにすることができる。
また、図11に示す構成を有する本実施形態の表示装置においては、表2に示すように、パターン見えはヘイズ値が10または20のときに発生し、画像ぼけはヘイズ値が80のときに発生した。よって、前記光拡散層のヘイズ値を30〜70とすることにより、所望の情報の表示状態に画像ぼけが発生せず、しかも、パターン見えが発生しないようにすることができる。
なお、本発明は、前述した実施の形態に限定されるものではなく、必要に応じて種々の変更が可能である。例えば、旋光素子6を視野角制御パネル1と表示パネル2との間に配置した態様において、旋光素子6の両側に偏光板4b、5aを2枚配置したが、偏光板4b、5aのどちらか一方を省略してもよい。偏光板4b、5aの配設を省略することにより、偏光板4b、5aの吸光に伴う透過率の低下を防止することができるとともに表示装置の厚みを薄くすることができる。
1 視野角制御パネル
2 表示パネル
3 バックライトユニット
4 (視野角制御パネルの)偏光板
4’ 反射偏光板
5 (表示パネルの)偏光板
6 旋光素子
7 光拡散層
11 液晶表示素子
12 (視野角制御パネルの)透明基板
13 電極
14 配向膜
15 スペーサ
16 周辺シール材
17 液晶
22 (視野角制御パネルの)透明基板
27 (視野角制御パネルの)液晶
2 表示パネル
3 バックライトユニット
4 (視野角制御パネルの)偏光板
4’ 反射偏光板
5 (表示パネルの)偏光板
6 旋光素子
7 光拡散層
11 液晶表示素子
12 (視野角制御パネルの)透明基板
13 電極
14 配向膜
15 スペーサ
16 周辺シール材
17 液晶
22 (視野角制御パネルの)透明基板
27 (視野角制御パネルの)液晶
Claims (6)
- 所望の情報が表示される表示パネルと、前記表示パネルに積層して配置された視野角制御パネルとを備えてなる表示装置において、
前記視野角制御パネルは電極が形成された一対の透明基板間に液晶層が封入された液晶表示素子であって、前記液晶層の液晶はツイスト角60〜90°のTN液晶であり、その位相差値ΔnLC・dLCが0.4〜0.6μmであることを特徴とする表示装置。 - 前記表示パネルは電極が形成された一対の透明基板間に液晶層が配設された液晶表示素子である請求項1に記載の表示装置。
- 前記視野角制御パネルおよび表示パネルはそれぞれ視認側および反視認側に偏光板を有している請求項2に記載の表示装置。
- 前記視野角制御パネルは前記表示パネルの上位に配置され、視認側に偏光板、反視認側に反射偏光板をそれぞれ有しており、前記表示パネルは視認側および反視認側に偏光板をそれぞれ有している請求項2に記載の表示装置。
- 前記表示パネルと前記視野角制御パネルとの間には、光の偏光軸角を所定角度だけ回転誘導する旋光素子が配設されている請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の表示装置。
- 前記視野角制御パネルの液晶層と表示パネルの液晶層との間には光拡散層が配設されている請求項2乃至請求項5のいずれか1項に記載の表示装置。
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