JP4470904B2 - 視角制御素子、表示装置、及び電子機器 - Google Patents

視角制御素子、表示装置、及び電子機器 Download PDF

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Description

本発明は、視角制御素子、表示装置、及び電子機器に関するものである。
一般的に、ワードプロセッサやコンピュータ等に備えられた画像表示装置は、画面上に種々の情報を表示するとともに、操作者の操作結果を表示するようになっており、この種の画像表示装置には、表示の明るさ、コントラスト比、視野角の広さ等が要求され、これらの特性が高いほど作業が行いやすく、また作業による疲労を低減することができる。その一方で、近年、作業内容の秘密性が高い場合や、列車、バス等の公共交通機関内等の公共の場所でコンピュータや携帯電話機等を使用する場合に、操作者以外の周囲の人間に対して表示画像を隠蔽する手段を備えた画像表示装置に対する要求が高まっている。このような用途においては、高い表示性能を備えていても、使用する場所が制約されたり、周囲に気を配りながら使用することとなり、使用上の不都合が生じることがある。そこで、表示画像の秘匿性向上を目的として、表示装置の視野角を制限する光学素子やこれを備えた表示装置が提案されている(例えば、特許文献1、非特許文献1参照)。
特開2002―297044号公報 住友スリーエム株式会社、”ライトコントロールフィルム”、[online]、[平成15年2月5日検索]、インターネット、<URL:http://www.mmm.co.jp/display/light>
上記特許文献1に記載の表示装置や、非特許文献1に記載のフィルムでは、液晶パネル等の表示素子の前面に、狭視角の光学フィルムを貼着することで上記視野角の制限を行うようになっている。しかし、これらの光学フィルムを貼着する構成では、常時狭い視野角で作業を行うこととなり、また正面視における表示輝度もやや暗くなるため、表示画像の秘匿性を向上させる代わりに、通常の使用形態における使用感の低下を避けられない。
本発明は、上記課題を解決するために成されたものであって、透過光の輝度を損なうことなく、高い情報秘匿性を得ることができ、かつ情報秘匿性の要否に応じた動的な視角の変更が可能な視角制御素子を提供することを目的としている。
また、本発明は正面視における表示特性を損なうことなく高い情報秘匿性を実現するとともに、情報秘匿性の要否に応じた動的な視角の変更が可能な表示装置を提供することを目的としている。
本発明の視角制御素子は、電気的に制御可能に構成された液晶層と、該液晶層を挟んで両側に設けられた一対の偏光層とを備えることを特徴とする。
この構成によれば、視角制御素子を透過する光の射出角度を、上記液晶層に対して印加する電圧により自在に調整することができるので、係る視角制御素子を表示素子等の表示媒体の前面に配置するならば、その視角範囲を自在に拡大、縮小することが可能である。
本発明の視角制御素子では、前記一対の偏光層の光軸が互いに略平行に配置されていることが好ましい。このような構成とすることで、正面視における高い透過性を保持することが容易になる。
本発明の視角制御素子では、前記液晶層が略180°にツイスト配向した液晶を含んでおり、前記偏光層に隣接する液晶分子が、当該偏光層の光軸と略平行に配向していることが好ましい。このような構成とすることで、前記ツイスト配向液晶を含む液晶層の光学特性を効率的に利用した、良好な視角制御機能を奏する視角制御素子とすることができる。
本発明の視角制御素子は、前記液晶層の配向軸と、前記偏光層の吸収軸とが、略直交して配置されていることを特徴とする。このような構成とすることで、広視角時には全方位で高い透過率が得られ、狭視角時には特定方位の透過率を効果的に低下させることができるので、特に表示素子に配設する視角制限素子として好適な視角制御素子を提供することができる。
本発明の視角制御素子は、前記液晶層の屈折率異方性Δnと、液晶層の厚さdとの積Δndが、1.0(μm)以上であることを特徴とする。液晶層のΔndを上記範囲とすることで、視角制御素子正面方向の透過率を高くすることができ、表示素子の前面に配置した場合に正面視が明るい表示装置を構成することが可能になる。
本発明の視角制御素子は、前記液晶層の屈折率異方性Δnと、液晶層の厚さdとの積Δndが、8.0(μm)以下であることを特徴とする。このような構成とすることで、視角制限時において十分な視角範囲が得られる。また上記液晶層を比較的低電圧で駆動した場合にも、良好に透過光の射出角度を制御することができ、視角制御素子の消費電力を低減できる。
本発明の視角制御素子は、前記液晶層の屈折率異方性Δnと、液晶層の厚さdとの積Δndが、2.0(μm)以上5.0(μm)以下であることを特徴とする。このような範囲とすることで、視角制御素子正面において高い透過率が得られるとともに、低電圧で駆動した場合にも適切に透過光の出射角度を制御できる視角制御素子を提供することができる。
本発明の視角制御素子では、前記一対の偏光層の間に、位相差層が設けられている構成とすることができる。このような構成とすることで、さらなる視角制限機能の向上を実現できる。
本発明の視角制御素子では、前記位相差層が、前記液晶層を挟んで両側にそれぞれ配置されていることが好ましい。前記位相差層をこのように配置するならば、視角制限機能をさらに向上させることができる。
本発明の視角制御素子では、前記位相差層が、自身を透過する光の層厚方向成分に対して主に位相差を付与する光学特性を有していることが好ましい。この構成によれば、当該視角制御素子を表示装置等の前面側に配するに際して、視角特性の対称性等、面方向の位相差を考慮する必要が無くなり、前記表示装置等の光学設計が容易になる。
本発明の表示装置は、先のいずれかに記載の視角制御素子と、表示素子とを備え、前記視角制御素子により前記表示素子の視角を調整可能とされたことを特徴とする。この構成によれば、前記視角制御素子による透過光の射出角度制御機能により、その視角を自在に制御可能な表示装置とすることができる。従って、高い情報秘匿性が必要とされる状況にあっては視角制御素子を狭視角化して第3者に対する情報の隠蔽を効果的に行うことができ、それ以外の状況では視角制御素子を広視角化することで、操作者が良好に視認できる表示が可能な、極めて使い勝手のよい表示装置を提供することができる。
本発明の表示装置は、前記表示素子が液晶表示素子とされ、該液晶表示素子の前面又は背面に前記視角制御素子が配設されていることを特徴とする。この構成によれば、高い情報秘匿性が必要とされる状況にあっては視角制御素子を狭視角化して第3者に対する情報の隠蔽を効果的に行うことができ、それ以外の状況では視角制御素子を広視角化することで、操作者が良好に視認できる表示が可能な、極めて使い勝手のよい液晶表示装置を提供することができる。
本発明の表示装置は、前記視角制御素子の液晶表示素子側の偏光層が、前記液晶表示素子の偏光層として機能することを特徴とする。この構成によれば、別々に用意した視角制御素子と液晶表示素子とを組み合わせて表示装置を構成するのに比して、表示装置を薄型化することができる。また、部品点数を少なくできるので製造コストの低減にも寄与する。
本発明の表示装置は、前記液晶表示素子の視角制御素子配設面に設けられた偏光層の光軸と、該視角制御素子の偏光層の光軸とのずれを調整する旋光手段が、前記液晶表示素子と視角制御素子との間に設けられていることを特徴とする。
この構成によれば、視角制御素子の偏光層の光軸と、液晶表示素子の光軸とがずれている場合にも前記旋光手段により一方の偏光層を透過した光を、他方の偏光層の光軸と平行な偏光方向を有する光に変換して入射させることができるので、視角制御素子と液晶表示素子との間で光の吸収が生じるのを防止でき、明るい表示が得られる表示装置を提供することができる。
本発明の表示装置では、前記旋光手段が、1/2波長板である構成、あるいは前記旋光手段が、ツイスト配向の液晶を有する構成を適用できる。これらの構成により視角制御素子と液晶表示素子との間で光の吸収が生じるのを防止でき、明るい表示が得られる表示装置を提供することができる。
本発明の表示装置は、前記表示素子が、EL表示素子とされ、該EL表示素子と前記視角制御素子との間に円偏光層が設けられており、前記視角制御素子のEL表示素子側の偏光層が、前記円偏光層の一部を成していることを特徴とする。
このような構成とすることで、前記円偏光層に備えられている偏光板を、視角制御素子の偏光層として機能させることができるので、素子の薄型化を容易に実現することができる。また円偏光層の作用によりEL表示素子の鏡面効果を防止することができ、高品質の表示が得られる。
本発明の電子機器は、先に記載の本発明の視角制御素子を備えたことを特徴とする。
また本発明の電子機器は、先に記載の本発明の表示装置を備えたことを特徴とする。
これらの電子機器によれば、先の本発明の視角制御素子又は表示装置を備えたことで、前記視角制御素子の視角制御機能によって情報の視認状態を自在に制御することができるので、第3者に対しては情報の秘匿を容易に行うことができ、操作者に対しては良好な情報視認性を提供することができる。
以下、本発明の実施の形態を、図面を参照して説明するが、以下で参照する各図面においては、図面を見やすくするため、各構成要素の膜厚や寸法の比率などを適宜異ならせて示している。
(第1の実施の形態)
図1(a)は、本発明に係る視角制御素子の基本構成を示す模式断面図であり、図1(b)は、同、構成例を示す模式断面図であり、図2は、同、基本構成を平面的に示す構成図である。図1(a)に示すように、本実施形態の視角制御素子10は、一対の偏光層11,13と、それらに挟まれた液晶層12とを備えた基本構成とされている。また、図2に示すように偏光層11,12の透過軸11p、13pは、互いに平行に配置されており、液晶層12は180°ツイスト配向した液晶から構成されている。そして、偏光層11に隣接する液晶分子の配向方向12r1と、偏光層11の透過軸11pとが互いに平行に配置され、偏光層13に隣接する液晶分子の配向方向12r2と、偏光層13の透過軸13pとが互いに平行に配置されている。また、液晶層12は、その配向状態を電気的に制御可能に構成され、ツイスト配向状態の液晶層12に電界を印加することで、それ以外の配向状態へ移行させることができるようになっている。
本実施形態の視角制御素子10は、例えば図1(b)に示す構成とすることができる。図1(b)に示す視角制御素子20は、互いに対向して配置された一対の基板24,25の間に液晶層12が挟持されており、基板24,25の外面側にそれぞれ偏光板(偏光層)21,23が配設されている。また、基板24の内面側(液晶層12側)に、液晶層12への電圧印加手段としての電極層26、液晶層12の初期配向を規制する配向規制手段としての配向膜27が順次形成され、基板25の内面側(液晶層12側)に、電圧印加手段としての電極層28、配向規制手段としての配向膜29が順次形成されている。
基板24,25には、ガラスやプラスチック等の透光性基板を用いることができ、電極層26,28は、例えばITO等の透明導電材料で構成することができる。配向膜27,29はポリイミド等の有機材料や、酸化珪素等の無機材料で構成することができる。配向膜27,29をポリイミド膜で構成する場合には、それらのラビング方向と、偏光板21,23の透過軸とが平行となるように配置される。
また、偏光板21,23は、基板24,25の内面側(液晶層12側)に偏光層として形成することもでき、偏光板21,23自体を基板として用いて構成することもできる。
上記構成の視角制御素子20では、配向膜27,29により液晶層12が180°ツイストの配向状態に規制されており、電極層26,28間に印加される電圧により液晶層12の配向状態を変化させることで透過光の視角特性を制御することができるようになっている。
本発明者は、上記構成の視角制御素子20により透過光の射出角度制御が可能であることを検証しており、図3及び図4を参照してその検証結果を説明する。
図3、図4は、視角制御素子20の透過率を、測定角度を変えて測定した分布図である。測定方法は、図1(b)に示す視角制御素子20の背面側(図示下面側)に面状光源を配置するとともに、視角制御素子20の図示上方に検出器を配置し、前記面状光源を点灯させた状態で検出器の測定角度(視角制御素子20法線方向を0°とする)を変化させながら、視角制御素子20の透過率を測定した。
また、図3は、図1(b)に示す電極層26,28に電圧を印加していない状態、図4は、前記電極層26,28に電圧を印加して液晶層12の液晶分子を基板24,25にほぼ垂直に配向させた状態でそれぞれ測定を行った結果を示している。また、図3、図4中、符号Aで示す領域が最も透過率が高い領域であり、符号B,C,Dで示す領域は、この順で透過率が低くなっている。
図3に示すように、電極層26,28に電圧を印加していない状態では、視角制御素子20の正面から上下に約60°、左右に約40°の範囲で全方位に渡り高い透過率が得られている。また図4に示す電極層に電圧を印加した状態では、正面から上下方向での透過率分布は、図3とほぼ同様であるが、正面から左右方向の高角側における透過率が図3に示す状態より低下している。これらの分布図から、本実施形態の視角制御素子20では、電極層26,28への電圧印加状態を切り替えることにより、視角制御素子20正面から上下方向での明るさを損なうことなく、左右方向の透過光の射出角度を狭めることができることが分かる。
このように、本実施形態の視角制御素子によれば、射出角度に対する透過率の分布を液晶層への電圧印加状態の調整により自在に拡大、縮小させることができるので、係る視角制御素子を透過させた状態で種々の情報を表示するならば、前記情報を視認できる視角範囲を自在に変化させることができ、第3者に対して効果的に情報を秘匿しつつ、観察者は良好な表示を享受することができる。
尚、上記実施の形態では、偏光層11,13の透過軸11p,13pと、液晶層の偏光層と隣接する液晶分子の配向方向12r1,12r2とが、それぞれ互いに平行である場合について説明したが、視角制御素子の製造上これらの軸や配向方向の配置については、実用上の問題が生じることがなければ、平行配置からずれていても構わない。すなわち、透過率の射出角度範囲の制御性や、素子正面の透過率が著しく損なわれる等の問題が生じない範囲で上記透過軸と液晶分子との配置を調整できる。具体的には、透過軸11pと液晶分子の配向方向12r1との成す角度、及び透過軸13pと液晶分子の配向方向12r2との成す角度は、±5°の範囲内であれば、実用上問題は生じない。また、液晶層12の液晶のツイスト角も、180°±10°の範囲内であれば実用上の問題は生じない。
(第2の実施の形態)
次に、本発明の第2の実施の形態について図5ないし図7を参照して説明する。図5は、本実施形態の視角制御素子の平面構成を示す図である。本実施形態の視角制御素子30の基本構成は、図1(a)に示した第1の実施形態の視角制御素子10と同様であるが、図5に示すように、偏光層11の透過軸11p、偏光層13の透過軸13pが互いに平行に配置され、液晶層12の偏光層11と隣接する液晶分子の配向方向12r1及び偏光層13と隣接する液晶分子の配向方向12r2とは、直交する向きに配置されている。
本実施形態の視角制御素子30の具体的な構成例としては、図1(b)に示す構成を適用することができる。すなわち、図1(b)に示す構成例において、偏光板21,23の透過軸を第1実施形態における配置から90°回転させることで図5に示す基本構成を備えた視角制御素子とすることができる。
本発明者は、本実施形態の構成についても、先の第1実施形態と同様に、視角制御素子の透過率の角度分布を測定しており、その測定方法は第1の実施形態と同様である。図6は、液晶層に電圧が印加されていない状態の測定結果であり、図7は、液晶層に電圧を印加した状態(液晶分子が偏光層11,13に垂直に配向された状態)の測定結果である。また、図6及び図7に示す各領域A〜Dの図6に示すように、偏光層11,13を、隣接する液晶分子の遅相軸と平行に配置した場合にも、液晶層に電圧が印加されていない状態における透過光の射出角度分布は、図3に示す分布と同様に、高透過率の領域Aが広い角度範囲で得られており、図7に示す液晶層に電圧を印加した状態では、高透過率の領域Aが図6に示す分布に比して大幅に狭くなっている。従って、本実施形態の構成を備えた視角制御素子によっても、透過光の視角範囲を自在に拡大、縮小することが可能である。
(第3の実施の形態)
本発明者は、先の実施形態の視角制御素子20において、正面視における表示輝度(透過率)を最適化するために、視角制御素子20の液晶層12を構成する液晶のリタデーションΔndを変化させて、視角制御素子20正面における透過率の測定を行った。図8はその測定結果を示すグラフであり、横軸はΔnd(μm)、縦軸は明るさ(透過率)を示している。図8に示すように、視角制御素子30正面における明るさは、Δndに対して周期的な昇降を繰り返しつつ、徐々に増加する。そして、同図から、Δndを1以上とすれば、視角制御素子正面において十分な明るさが得られることが分かる。また、Δndを2以上とするならば、Δndを変化させても明るさはほとんど変化しなくなるため、正面視明るさの安定性の点で好ましい。
さらに本発明者は、液晶層12のΔndを変化させることによる、先の視角制限効果(液晶層12に電圧を印加することによる狭視角化効果)の変化についても検証している。図9は、Δndが1.0〜8.0(μm)の8種類の液晶層12について、視角制御素子20正面から左右方向における明るさ(透過率)を測定した結果を示すグラフであり、横軸は視角制御素子20正面から左右方向での測定角度を示し、縦軸は明るさ(透過率)を示している。また、測定に際して液晶層12には7Vの電圧を印加している。図9に示すように、本発明に係る視角制御素子20では、液晶層12のΔndを大きくするほど、明るい角度範囲が狭くなり、視角制限効果が大きくなる。その一方で、Δndを大きくするほど、明るさの対称性(0°を中心とする)が損なわれる傾向にあり、特に正の視角側20°〜30°付近で明るさが上昇している。従って、視角制限時において十分な視角を確保し得るΔndの範囲としては8.0μm以下であり、明るさの対称性も得られるΔndの範囲としては5.0μm以下である。
尚、上記明るさの非対称性は、液晶層12のΔndの上昇によって液晶層12の電圧印加に対する配向変化量が小さくなったためである。従って、視角制御素子20の消費電力を考慮する必要がない場合には、液晶層12に対してより高い電圧を印加するようにして、明るさの対称性を確保すれば、5μm以上のΔndを有する液晶を用いた場合にも良好な視角制限効果を得ることができる。
(第4の実施の形態)
次に、本発明の第4の実施形態について図10及び図11を参照して説明する。図10及び図11は、先の実施形態の視角制御素子20を備えた表示装置を示す模式構成図であり、図10は、視角制御素子20を表示素子35aの前面側(観察者O側)に配設した例を示し、図11は、視角制御素子20を表示素子35bの背面側(観察者Oと反対側)に配設した例を示している。
まず、図10に示す表示装置では、表示素子35aの表示光Lを、視角制御素子20を透過させて観察者Oに対して表示を行うようになっている。そして、先の実施形態の視角制御素子20の液晶層12を電気的に制御することにより、表示光Lの射出角度(すなわち視角)を自在に拡大、縮小することができるようになっている。従って、本実施形態の表示装置によれば、視角制御素子20により表示光Lを狭視角化した状態においては、第3者に対する表示情報の秘匿が極めて容易に行え、かつこのような情報の秘匿が必要な状況においては、視角制御素子20による視角制御を行わないようにすることで、良好な視認性が得られるようになっている。
上記表示素子35aとしては、CRT(ブラウン管)表示素子、EL(エレクトロルミネッセンス)表示素子、PDP(プラズマディスプレイパネル)等の発光型の表示素子や、液晶表示素子等の光シャッター型の表示素子を用いることができる。図10に示すように、視角制御素子20を表示素子35a前面に配設する場合には、表示素子35aとして発光型の表示素子、あるいは広視角の液晶表示素子を用いる場合に特に有効である。
次に、図11に示す表示装置では、光源等から供給された光をあらかじめ視角制御素子20で視角制御した後に、表示素子35bに入射させ、観察者Oに対して表示を行うようになっている。本実施形態の場合、表示素子35bとしては、液晶表示素子等の光シャッター型の表示素子を用いる。この構成では、表示素子35bが観察者Oからみて最前面に配置されるため、視差等がなく鮮明な表示が得られるという利点がある。
(第5の実施の形態)
次に、図12及び図13を参照して本発明の第5の実施形態を説明する。図12に示す表示装置は、図示上側から偏光層11、液晶層12、偏光層13a、液晶層36、偏光層38を順次積層した構成を備えている。すなわち、図示上側の偏光層11,13aと、それらの間に挟持された液晶層12とが、先の第1実施形態の視角制御素子10と同等の機能を備えた視角制御素子を構成し、図示下側の偏光層13a、38と、それらの間に挟持された液晶層36とが、液晶表示素子を構成している。従って、前記視角制御素子と液晶表示素子とは、偏光層13aを共有している。尚、本実施形態では、液晶表示素子を液晶層36及びこれを挟持する偏光層38,13aのみからなるものとして模式的に示しているが、実際には、液晶の配向を駆動制御するための配向膜や電極、位相差層等を含むものであるのは勿論である。
上記構成の表示装置は、図示下側(偏光層38外面側)から入射した光源等の光Lを、液晶層36により変調して画像を構成する表示光を生成し、次いで液晶層12に入射した表示光の射出角度(視角)を制御するようになっている。このような構成とすることで、別々の部材として用意した視角制御素子と液晶表示素子とを積層して表示装置を構成する場合に比して、表示装置の薄型化、及び部品点数の削減を実現でき、また偏光層を透過することによる表示光の減衰も抑えることができるため、明るく、薄型の表示装置を低コストで提供することが可能になる。
次に、図13に示す表示装置は、図示上側から偏光層38、液晶層36、偏光層11a、液晶層12、偏光層13を順次積層した構成を備えている。すなわち、図示下側の偏光層11a、13と、それらの間に挟持された液晶層12とが、先の第1実施形態の視角制御素子10と同等の機能を備えた視角制御素子を構成し、図示上側の偏光層38,11aとそれらの間に挟持された液晶層36とが、液晶表示素子を構成している。従って、前記液晶表示素子と視角制御素子とは、偏光層11aを共有している。尚、本実施形態では、液晶表示素子を液晶層36及びこれを挟持する偏光層11a,39のみからなるものとして模式的に示しているが、実際には、液晶の配向を駆動制御するための配向膜や電極、位相差板等を含むものであるのは勿論である。
上記構成の表示装置は、図示下側(偏光層13外面側)から入射した光源等の光Lを、まず液晶層12により射出角度(視角)の制御を行った後、液晶層36に入射させ、係る液晶層36により変調することで表示光を生成して観察者Oに対して表示を行うようになっている。このような構成とした場合にも、別々の部材として用意した視角制御素子と液晶表示素子とを積層して表示装置を構成する場合に比して、表示装置の薄型化、及び部品点数の削減を実現でき、また偏光層を透過することによる表示光の減衰も抑えることができるため、明るく、薄型の表示装置を低コストで提供することが可能になる。
(第6の実施の形態)
次に、本発明の第6の実施形態について図14を参照して説明する。図14にその断面構造を示す本実施形態の表示装置は、表示素子37としてEL表示素子を備えており、このEL表示素子37上に、円偏光層13bと、液晶層12と、偏光層11とを積層配置した視角制御素子を配設した構成を備えている。前記EL表示素子37上に配置された視角制御素子は、その一方の面に円偏光層13bが設けられている以外は、先の第1実施形態の視角制御素子10と同等の機能を備えている。そして、EL表示素子37からの表示光Lを上記視角制御素子に入射させ、係る視角制御素子により視角制御を行った後に観察者Oに到達させることで、表示を行うようになっている。
上記構成の表示装置において、EL表示素子37と液晶層12との間に設けられている円偏光層13bは、EL表示素子の鏡面効果を打ち消す作用を奏し、もって表示装置の視認性を向上させる効果を奏するものである。この円偏光層13bとしては、例えば位相差層と、偏光層とを積層した光学フィルム等を用いることができ、本構成においては、EL表示素子37側に前記位相差層が配置され、液晶層12側に上記偏光層が配置される。
(第7の実施の形態)
次に、本発明の第7の実施形態を図15ないし図17を参照して説明する。図15に断面構造を示す本実施形態の表示装置は、偏光層11,13と、それらの間に挟持された液晶層12とを備えた視角制御素子10と、偏光層38,39と、それらの間に挟持された液晶層36をと備えた液晶表示素子35とが、旋光素子(旋光手段)40を介して積層配置されたものである。本実施形態の表示装置では、視角制御素子10に入射した光源等の光Lを、視角制御素子10により視角制御した後、旋光素子40に入射させる。そして、この旋光素子40により前記光Lの偏光方向を回転させて、液晶表示素子35の偏光層38の透過軸と前記偏光方向を一致させた状態で液晶表示素子35に入射させるようになっている。
従って、本実施形態の表示装置によれば、視角制御素子10を透過した光Lが液晶表示素子35に入射する際に偏光層38による吸収が生じないので、明るい表示が可能である。
本実施形態の表示装置では、視角制御素子10の偏光層の透過軸の方向を、液晶表示素子35の透過軸の方向によらず任意の方向にすることができるため、例えば液晶表示素子35の偏光層38,39の配置を、高コントラストの表示が得られる向きに合わせたとしても、視角制御を行うための視角制御素子10の偏光層11,13の向きを、適切に視角制御が行える方向に合わせることができ、高品質の表示と、優れた視角制御機能とを両立させることができる。
尚、本実施形態では、視角制御素子10を、観察者Oからみて液晶表示素子35の背面側に配置した場合について説明したが、これら視角制御素子10と、液晶表示素子35との位置関係は逆でも構わない。より鮮明な表示を得るためには、本実施形態のように液晶表示素子35を観察者O側に配置する方が好ましいが、視角制御素子10による視角制御が、液晶表示素子35による光変調よりも先に行われるため、高角側での表示がやや暗くなるので、表示の明るさと鮮明さとを勘案して液晶表示素子35と視角制御素子10の配置を決定するのがよい。以下、これらの配置による視角特性の違いを図面を参照して説明する。
図16及び図17は、本実施形態の表示装置の透過率を、測定角度を変えて測定した分布図である。測定方法は、先の第1実施形態と同様である。図16は液晶層12に電圧を印加していない状態、図17は液晶層12に電圧を印加した状態における測定結果である。これらの図に示すように、本実施形態の表示装置においても、液晶層12への電圧印加状態を切り替えることで、広視角、狭視角の表示の切り替えを容易に行うことができる。これに対して、視角制御素子10を液晶表示素子35との前面側(観察者O側)に配置した場合には、図3,4に示すような視角特性が得られるので、図3と図16とを比較すると、電圧無印加状態では、視角制御素子10を液晶表示素子35の前面側に配置した方が、広い視角範囲で明るい表示が得られる。ただし、視角制御素子10を前面側に配置することにより表示の鮮明度は低下する。
本実施形態に係る旋光素子40としては、例えば、面内位相差を有する位相差フィルム、あるいはこの位相差フィルムの積層体により構成される1/2波長板を用いることができる。
また前記旋光素子40は、素子の厚さ方向でねじれ構造を有する液晶を備えたものとすることもできる。この場合には、前記ねじれ構造のツイスト角度は、視角制御素子10の偏光層11の光軸方向と、液晶表示素子35の偏光層38の光軸方向との成す角度とされ、上記液晶のΔnd(μm)は、前記偏光層11、38の光軸どうしの成す角度の1/200より大きくされる。
(第8の実施の形態)
次に、本発明の第8の実施形態を図19ないし図21を参照して説明する。図19に断面構造を示す本実施形態の視角制御素子は、偏光層11,13と、それらの間に挟持された位相差層14,15及び液晶層12とを備えており、先の実施形態と同様に、例えば液晶表示素子20の前面側に配設可能なものである。液晶層12は、180°ツイスト配向した液晶からなり、偏光層11,13の透過軸は互いに平行である。また、液晶層12の偏光層11側の液晶分子は、偏光層11の透過軸と平行に配置され、偏光層13側の液晶分子は、偏光層13の透過軸と平行に配置されている。つまり本実施形態の視角制御素子50は、位相差層14,15を設けた以外は、上記第1の実施形態の視角制御素子と同様の構成を備えている。
上記位相差層14,15としては、特にその面方向に位相差を有しておらず、層厚方向にのみ位相差を有しており、層厚方向の屈折率が面方向の屈折率より小さい位相差フィルム(膜厚方向に光軸を有する位相差フィルム、いわゆるCプレート)を用いることが好ましい。このような位相差層の層厚方向の屈折率を具体的に示すと、位相差フィルムの面方向の屈折率をnx,ny、層厚(鉛直)方向の屈折率をnzとしたときに、層厚方向の位相差が、層厚d×((nx+ny)/2−nz)である。
また、このような位相差フィルムを用いることで、偏光層11,13との光軸合わせが不要になり、製造容易性が向上するという利点も得られる。
また本実施形態では、最も好ましい位相差層14,15の配置形態として、液晶層12を挟んで両側に位相差層14,15をそれぞれ配置した形態を示したが、前記配置形態はこれに限定されるものではない。すなわち、液晶層12と偏光層11との間に単一の位相差層14を設けてもよく、液晶層12と偏光層11との間に2層の位相差層14,15を重ねて配置してもよい。2層以上の位相差層を用いるならば、視角の制限範囲を拡大できるとともに、面方向の位相差を互いに補償して視角特性の対称性を向上させることができる。さらに場合によっては、3層以上の位相差層を設けた形態も適用できる。
上記構成を備えた本実施形態の視角制御素子50では、上記位相差層14,15が設けられていることで、特に視角制限時の視角範囲を狭めることができるようになっている。図20は、本実施形態の視角制御素子50を、先の液晶表示素子20の前面側に配した状態で測定した透過率分布を示す図であり、図21は、第1実施形態に係る視角制御素子10の液晶層のΔndを2.0とした場合の透過率分布を比較のために示す図である。図20及び図21において符号Eを付して示す白抜きの領域は、透過率(明るさ)が正面方向(分布図の中心)の透過率の10%以下となる領域であり、従ってこれらの領域Eでは、背面側の液晶表示素子20の表示内容をほぼ認識できない程度に暗く表示される。
図20及び図21に示した透過率分布の測定方法は、先の第1実施形態と同様であり、測定に際して用いた偏光層14,15は、層厚方向に200nmの位相差を有するCプレートである。2つの透過率分布の比較から明らかなように、偏光層11,12の内側に位相差層14,15を備えた視角制御素子50(図20)を備えた表示装置の方が、先の実施形態の視角制御素子10を備えた表示装置に比して上記領域Eが広くなっており、より広い視角範囲の表示を隠蔽でき、優れた視角制御性を備えていることが分かる。
(電子機器)
図18は、本発明に係る電子機器の一例を示す斜視図である。この図に示す携帯電話1300は、本発明の表示装置を小サイズの表示部1301として備え、複数の操作ボタン1302、受話口1303、及び送話口1304を備えて構成されている。
上記各実施の形態の表示装置は、上記携帯電話に限らず、電子ブック、パーソナルコンピュータ、ディジタルスチルカメラ、液晶テレビ、ビューファインダ型あるいはモニタ直視型のビデオテープレコーダ、カーナビゲーション装置、ページャ、電子手帳、電卓、ワードプロセッサ、ワークステーション、テレビ電話、POS端末、タッチパネルを備えた機器等々の画像表示手段として好適に用いることができ、いずれの電子機器においても、広視角、狭視角の切替を極めて容易に行うことができ、情報秘匿性に優れ、かつ高品質の表示が可能になっている。
図1(a)は、第1実施形態の視角制御素子の基本構成を示す模式断面図、図1(b)は、同、構成例を示す模式断面図。 図2は、同、基本構成を平面的に示す構成図。 図3は、同、視角制御素子の透過率分布を示す図。 図4は、同、視角制御素子の透過率分布を示す図。 図5は、第2実施形態の視角制御素子の平面構成図。 図6は、同、視角制御素子の透過率分布を示す図。 図7は、同、視角制御素子の透過率分布を示す図。 図8は、第3実施形態における視角制御素子の明るさのΔnd依存を示すグラフ。 図9は、同、透過率分布のΔnd依存を示すグラフ。 図10は、第4実施形態の表示装置を示す構成図。 図11は、第4実施形態の表示装置を示す構成図。 図12は、第5実施形態の表示装置を示す構成図。 図13は、第5実施形態の表示装置を示す構成図。 図14は、第6実施形態の表示装置を示す構成図。 図15は、第7実施形態の表示装置を示す構成図。 図16は、同、表示装置の透過率分布を示す図。 図17は、同、表示装置の透過率分布を示す図。 図18は、本発明に係る電子機器の一例を示す斜視図。 図19は、第8実施形態の表示装置を示す構成図。 図20は、同、表示装置の透過率分布を示す図。 図21は、第1実施形態に係る表示装置(Δnd=2.0)における透過率分布を示す図。
符号の説明
10,20,50 視角制御素子、11,13 偏光層、12 液晶層、14,15 位相差層、21 偏光板、35,35a,35b,37 表示素子、40 旋光素子(旋光手段)。

Claims (14)

  1. 電気的に制御可能に構成された液晶層と、該液晶層を挟んで両側に設けられた一対の偏光層とを備え、
    前記一対の偏光層の光軸が互いに略平行に配置され
    前記液晶層が略180°にツイスト配向した液晶を含んでおり、
    前記偏光層に隣接する液晶分子が、当該偏光層の光軸と略直交する方向に配向していることを特徴とする視角制御素子。
  2. 前記液晶層の屈折率異方性Δnと、液晶層の厚さdとの積Δndが、2.0(μm)以上5.0(μm)以下であることを特徴とする請求項1に記載の視角制御素子。
  3. 前記一対の偏光層の間に、位相差層が設けられていることを特徴とする請求項1または2に記載の視角制御素子。
  4. 前記位相差層が、前記液晶層を挟んで両側にそれぞれ配置されていることを特徴とする請求項3に記載の視角制御素子。
  5. 前記位相差層が、自身を透過する光の層厚方向成分に対して主に位相差を付与する光学特性を有していることを特徴とする請求項3又は4に記載の視角制御素子。
  6. 請求項1ないし5のいずれか1項に記載の視角制御素子と、表示素子とを備え、前記視角制御素子により前記表示素子の視角を調整可能とされたことを特徴とする表示装置。
  7. 前記表示素子が液晶表示素子とされ、該液晶表示素子の前面又は背面に前記視角制御素子が配設されていることを特徴とする請求項6に記載の表示装置。
  8. 前記視角制御素子の液晶表示素子側の偏光層が、前記液晶表示素子の偏光層として機能することを特徴とする請求項7に記載の表示装置。
  9. 前記液晶表示素子の視角制御素子配設面に設けられた偏光層の光軸と、該視角制御素子の偏光層の光軸とのずれを調整する旋光手段が、前記液晶表示素子と視角制御素子との間に設けられていることを特徴とする請求項7に記載の表示装置。
  10. 前記旋光手段が、1/2波長板であることを特徴とする請求項9に記載の表示装置。
  11. 前記旋光手段が、ツイスト配向の液晶を有することを特徴とする請求項9に記載の表示装置。
  12. 前記表示素子が、EL表示素子であることを特徴とする請求項6に記載の表示装置。
  13. 請求項1ないし5のいずれか1項に記載の視角制御素子を備えたことを特徴とする電子機器。
  14. 請求項6ないし12のいずれか1項に記載の表示装置を備えたことを特徴とする電子機器。
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