JP2005133105A - 高屈折率膜形成用のスパッタリングターゲットとその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】DCスパッタリング法で高屈折率の透明酸化物膜を形成する際に、スパッタリングにおいてターゲット表面の比抵抗値の変動がなく安定した成膜を行なうことができ、かつ所望の光学特性が得られるスパッタリングターゲットとその効率的な製造方法を提供する。
【解決手段】化学量論的組成より酸素が不足している金属酸化物からなる高屈折率膜形成用スパッタリングターゲットであって、金属酸化物は、ニオブ酸化物(A)とタングステン酸化物(B)を含み、かつタングステン酸化物(B)は、ニオブ酸化物(A)に対して0.5〜5モル%の割合で含有することを特徴とするスパッタリングターゲットなどによって提供する。
【選択図】なし
【解決手段】化学量論的組成より酸素が不足している金属酸化物からなる高屈折率膜形成用スパッタリングターゲットであって、金属酸化物は、ニオブ酸化物(A)とタングステン酸化物(B)を含み、かつタングステン酸化物(B)は、ニオブ酸化物(A)に対して0.5〜5モル%の割合で含有することを特徴とするスパッタリングターゲットなどによって提供する。
【選択図】なし
Description
本発明は、高屈折率膜形成用のスパッタリングターゲットとその製造方法に関し、さらに詳しくは、直流(DC)スパッタリング法で高屈折率の透明酸化物膜を形成する際に、スパッタリングにおいてターゲット表面の比抵抗値の変動がなく安定した成膜を行なうことができ、かつ所望の光学特性が得られるスパッタリングターゲットとその効率的な製造方法に関する。
従来、高屈折率を有する酸化物膜の光学的な応用としては、単層の熱線反射膜及び反射防止膜等があり、さらに、特定の波長の光が選択的に反射又は透過するように設計される多層の反射防止膜、反射増加膜、干渉膜、偏光膜などの多分野にわたっている。また、多層膜の一部に、導電性又は熱線反射性などの各種機能を有する金属膜等を形成して、帯電防止性、熱線反射性、電磁波遮蔽性等の各種機能をもたせた多層膜も提案されている。
多層膜の分光特性は、各層の屈折率と膜厚とをパラメータとして光学的設計される。一般的に、高屈折率膜と低屈折率膜とを組み合わせて用いることによって、より優れた光学特性を実現することができる。例えば、高屈折率(n=2.0以上)膜としては酸化チタン又は酸化ニオブ、低屈折率膜としては酸化珪素が主流であり、これらのスパッタリングターゲットを用いて成膜されていた。
また、高屈折率膜の他の応用として、書き換え可能な相変化型光記録媒体の誘電体膜がある。例えば、一般的な相変化型光記録媒体は、プラスチック基板上に第一誘電体膜、記録膜、第二誘電体膜及び金属反射膜をスパッタリング法で順次積層した構造からなる。ここで、光記録媒体の記録と再生は、基板側から照射するレーザ光の熱により記録膜を結晶相と非晶質相の間で相変化させ、その際の反射率の差を読みとることによって行われる。近年、記録媒体を高密度化するために、用いるレーザ光の波長を、例えば、400nm程度に短波長化する方法が提案されている。この場合、記録膜の相変化に伴う屈折率の変化率が小さくなるので、これを補うため誘電体膜には高屈折率膜が必要となる。
前記誘電体膜用の高屈折率膜としては、例えば、ZnS−SiO2(ZnSとSiO2の混合物)膜(例えば、特許文献1参照。)が知られているが、レーザ光照射の際の加熱によってZnSのS成分が前記金属反射膜と反応して腐食が起こり、光記録媒体の信頼性が損なわれてしまうという問題がある。このため、高屈折率の酸化物膜が検討されている。
以上の高屈折率の酸化物膜及びそれに用いるターゲットとして、種々提案がなされており、代表的なものとしては、以下のようなものが挙げられるが、ターゲットの特性及びスパッタリング法にそれぞれ課題がある。
(1)酸化チタンと酸化ニオブ、又は酸化タンタル若しくは酸化アルミニウムと炭化物あるいは窒化物を添加した保護膜(例えば、特許文献2又は特許文献3参照。)。課題は、前記保護膜が高周波(RF)スパッタリング法を用いて膜形成される場合、成膜速度が著しく遅いので生産性に問題があることである。
(1)酸化チタンと酸化ニオブ、又は酸化タンタル若しくは酸化アルミニウムと炭化物あるいは窒化物を添加した保護膜(例えば、特許文献2又は特許文献3参照。)。課題は、前記保護膜が高周波(RF)スパッタリング法を用いて膜形成される場合、成膜速度が著しく遅いので生産性に問題があることである。
(2)化学論的組成より酸素が不足している金属酸化物からなるスパッタリングターゲットであって、酸化チタン、又はNb、Ta、Mo、W、Zr及びHfからなる群から選ばれる少なくとも1種の金属酸化物を含む(例えば、特許文献4又は特許文献5参照。)。これら化学論的組成より酸素が不足している金属酸化物からなるスパッタリングターゲットは導電性であるので、RFスパッタリングより高成膜速度のDCスパッタリング法にて膜形成を行うことができ、またターゲットの比抵抗値が10Ω・cm以下であるのでスパッタリング時の放電状態が安定に保たれるとしている。課題は、スパッタリング中の加熱、及び膜の透光特性を最適化するために添加される酸素、又はターゲット表面の加工時に生じる摩擦熱の影響により、ターゲット表面の酸化度が変動して比抵抗値が上昇することであった。このため、安定したDCスパッタリングを行うことができないので、所望の光学特性を有する膜を得ることができなかった。
なお、本発明で用いる比抵抗値は、ターゲットの表面を深さ0.1〜0.5mmまで研削し、洗浄乾燥後に四探針法(三菱化学製 MCP−T250)で測定するものである。
以上の状況から、DCスパッタリング法で高屈折率(n=2.0以上)膜を形成する際に、スパッタリングにおいてターゲット表面の比抵抗値の変動がなく安定した成膜を行なうことができ、かつ所望の光学特性を有する膜特性が得られるスパッタリングターゲットが望まれていた。
以上の状況から、DCスパッタリング法で高屈折率(n=2.0以上)膜を形成する際に、スパッタリングにおいてターゲット表面の比抵抗値の変動がなく安定した成膜を行なうことができ、かつ所望の光学特性を有する膜特性が得られるスパッタリングターゲットが望まれていた。
本発明の目的は、上記の従来技術の問題点に鑑み、DCスパッタリング法で高屈折率の透明酸化物膜を形成する際に、スパッタリングにおいてターゲット表面の比抵抗値の変動がなく安定した成膜を行なうことができ、かつ所望の光学特性が得られるスパッタリングターゲットとその効率的な製造方法を提供することにある。
本発明者らは、上記目的を達成するために、化学量論的組成より酸素が不足している高屈折率膜形成用の金属酸化物からなるスパッタリングターゲットについて、鋭意研究を重ねた結果、ニオブ酸化物とタングステン酸化物を含み、かつ特定の含有割合のターゲットを用いてDCスパッタリング法を行ったところ、スパッタリングにおいてターゲット表面の比抵抗値の変動がなく安定した成膜が行え、かつ所望の光学特性を有する膜特性が得られることを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明の第1の発明によれば、化学量論的組成より酸素が不足している金属酸化物からなる高屈折率膜形成用スパッタリングターゲットであって、
前記金属酸化物は、ニオブ酸化物(A)とタングステン酸化物(B)を含み、かつタングステン酸化物(B)が、ニオブ酸化物(A)に対して0.5〜5モル%の割合で含有されることを特徴とするスパッタリングターゲットが提供される。
前記金属酸化物は、ニオブ酸化物(A)とタングステン酸化物(B)を含み、かつタングステン酸化物(B)が、ニオブ酸化物(A)に対して0.5〜5モル%の割合で含有されることを特徴とするスパッタリングターゲットが提供される。
また、本発明の第2の発明によれば、第1の発明において、前記金属酸化物は、ニオブ酸化物(A)の一部に代えて、ニオブ酸化物(A)に対して5〜30モル%のタンタル酸化物及び/又は亜鉛酸化物を含むことを特徴とするスパッタリングターゲットが提供される。
また、本発明の第3の発明によれば、第1又は2の発明において、前記金属酸化物は、ニオブ酸化物(A)の一部に代えて、ニオブ酸化物(A)に対して10〜30モル%の珪素酸化物を含むことを特徴とするスパッタリングターゲットが提供される。
また、本発明の第4の発明によれば、第1〜3のいずれかの発明において、前記ターゲットは、室温での比抵抗値が0.05〜10Ω・cmであり、かつ大気中130℃までの加熱に際して比抵抗変化が起らないことを特徴とするスパッタリングターゲットが提供される。
また、本発明の第5の発明によれば、第1〜3いずれかの発明において、前記ターゲットは、前記金属酸化物からなる焼結体で構成されており、該焼結体の焼結密度が3.3〜5.6g/cm3、平均結晶粒径が1〜10μm、最大空隙径が2μm以下、及び抗折強度が30〜120MPaであることを特徴とするスパッタリングターゲットが提供される。
また、本発明の第6の発明によれば、第1〜5いずれかの発明において、ニオブ酸化物(A)とタングステン酸化物(B)を含む金属酸化物の粉末を用いて、0.133Pa以下の真空下又は66.5KPa以下の不活性ガス雰囲気下で、温度が850〜950℃及び圧力が15〜40MPaの条件でホットプレスして焼結することを特徴とするスパッタリングターゲットの製造方法が提供される。
本発明の高屈折率膜形成用のスパッタリングターゲットは、これを用いてDCスパッタリング法で高屈折率膜を形成する際に、スパッタリングにおいてターゲット表面の比抵抗値の変動がなく安定した成膜を行うことができ、かつ所望の光学特性を有する膜特性を得ることができるスパッタリングターゲットであり、また、その製造方法は、前記ターゲットを効率的に製造する方法であり、その工業的価値は極めて大きい。
以下、本発明の高屈折率膜形成用のスパッタリングターゲットとその製造方法を詳細に説明する。
本発明の高屈折率膜形成用のスパッタリングターゲットは、化学量論的組成より酸素が不足している金属酸化物からなるスパッタリングターゲットであって、金属酸化物は、ニオブ酸化物(A)とタングステン酸化物(B)を含み、かつタングステン酸化物(B)が、ニオブ酸化物(A)に対して0.5〜5モル%の割合で含有される。
本発明の高屈折率膜形成用のスパッタリングターゲットは、化学量論的組成より酸素が不足している金属酸化物からなるスパッタリングターゲットであって、金属酸化物は、ニオブ酸化物(A)とタングステン酸化物(B)を含み、かつタングステン酸化物(B)が、ニオブ酸化物(A)に対して0.5〜5モル%の割合で含有される。
上記ターゲットにおいて、ターゲットは、ニオブ酸化物(A)と所定割合のタングステン酸化物(B)を含み、かつその化学量論的組成より酸素が不足していることが重要な意義を持つ。これによって、前記ターゲットは、その室温での比抵抗値が0.05〜10Ω・cmであり、かつ大気中130℃までの加熱に際して比抵抗変化が起らないので、安定した成膜を行うことができ、また、前記ターゲットは、導電性を有しているのでDCスパッタリング法が用いられ、大面積にわたって透明性の良い高屈折率膜を高速で成膜することができる。
本発明では、ニオブ酸化物(A)に所定割合のタングステン酸化物(B)を添加して、所望の還元雰囲気下で前記ターゲットを得ることで、ターゲットの比抵抗値の熱的安定性が向上する。すなわち、ターゲットを大気中130℃まで加熱しても表面の比抵抗値は変動せず、熱的安定性が向上する。これにより、表面を研削加工して得られたターゲットを用いて、酸素導入して反応性スパッタリングを行なう際にも、スパッタリングに伴なう加熱によるターゲット表面の酸化度の変化が小さく、安定したDCスパッタリングが行なえる。
これに対して、従来の方法による、化学量論的組成より酸素が不足している酸化二オブからなるターゲットでは、加工面の比抵抗値の測定値は10Ω・cm以上を示す場合がある。例えば、Nb2O5粉末をカーボン製のダイスとパンチ内に充填して、0.133Pa以下の真空下1000℃で焼結して得られた酸化二オブ焼結体を用いて、その表面を0.5mm厚さで研削した後、比抵抗値を測定すると、5.9×105Ω・cmが得られる。一方、前記焼結体の破断面の比抵抗値を同様に測定すると、2.1Ω・cmまで大きく低下する。
この原因は、研削砥粒の粒度、砥粒種類、仕上げ粗さ、研削液の吐出量等の研削条件を変えた場合において同様に見られるので、研削時に表面に生じる僅かな摩擦熱(研削熱)によって表面の酸化度が変わるために起こるものと見られる。また、この摩擦熱がターゲット加工に際しての温度上昇に与える影響を調べるために、前記焼結体を大気中で加熱し熱処理後の比抵抗値変化を測定したところ、120℃までは比抵抗値の変化は見られなかったが、130℃に達すると比抵抗値が大幅に上昇することがわかった。
すなわち、ターゲットを大気中130℃まで加熱しても表面の比抵抗値が変化しないことは、ターゲット加工に際しての摩擦熱による温度上昇に対して熱的安定性が向上している証といえる。一方、DCスパッタリング時においても、酸素導入して成膜を進めると徐々に異常放電が多発しはじめる現象が見られるが、これもターゲット表面の温度上昇と酸素導入によって表面の酸化度が上昇することによって起るものと思われる。したがって、上記ターゲットとしては、室温での比抵抗値が10Ω・cm以下であり、かつ大気中130℃までの加熱に際して比抵抗変化が起らないものが好ましい。
上記ターゲットは、タングステン酸化物(B)の含有割合が、ニオブ酸化物(A)に対して0.5〜5モル%であり、好ましくは0.5〜3モル%、より好ましくは1〜2モル%である。すなわち、タングステン酸化物(B)の含有割合が0.5モル%未満では、比抵抗値の熱的安定化の効果は小さくなり、タングステン酸化物(B)の含有割合が5モル%を越えると、室温での比抵抗値が上昇するばかりでなく、得られる膜の透光度が悪化する。
上記ターゲットは、特に限定されるものではなく、必要に応じて、ニオブ酸化物(A)の一部に代えて、ニオブ酸化物(A)に対して5〜30モル%のタンタル酸化物及び/又は亜鉛酸化物を含むことができる。すなわち、ニオブ酸化物(A)の一部をタンタル酸化物で置換することにより透光度の改善を行なうことができる。しかし、タンタル酸化物及び/又は亜鉛酸化物の含有割合が5モル%未満では、透光度の改善効果が少ない。一方、タンタル酸化物の含有割合が30モル%を超えると、ターゲットの比抵抗値は10Ω・cmを越えて、安定したDCスパッタリングができない。また、亜鉛酸化物の含有割合が30モル%を超えると、得られる膜の短波長側の吸収が大きくなりその透光度は悪化する。
ここで、タングステン酸化物(B)の添加割合は、ニオブ酸化物、タンタル酸化物及び亜鉛酸化物の総量に対して0.5〜5モル%であり、好ましくは0.5〜3モル%、より好ましくは1〜2モル%である。
ここで、タングステン酸化物(B)の添加割合は、ニオブ酸化物、タンタル酸化物及び亜鉛酸化物の総量に対して0.5〜5モル%であり、好ましくは0.5〜3モル%、より好ましくは1〜2モル%である。
上記ターゲットは、特に限定されるものではなく、必要に応じて、ニオブ酸化物(A)の一部に代えて、ニオブ酸化物(A)に対して10〜30モル%、より好ましくは15〜20モル%の珪素酸化物を含むことができる。珪素酸化物での置換は、タンタル酸化物及び/又は亜鉛酸化物と同時に行なうこともできる。ここで、珪素酸化物の添加によって、得られる膜の短波長側の透光度は改善される。珪素酸化物の含有割合が10モル%未満では、その効果が小さい。一方、珪素酸化物の含有割合が30モル%を超えると、得られる膜の屈折率が低下し高屈折率(n=2.0以上)が得られない。
ここで、タングステン酸化物(B)の添加割合は、ニオブ酸化物、珪素酸化物、タンタル酸化物及び亜鉛酸化物の総量に対して0.5〜5モル%であり、好ましくは0.5〜3モル%、より好ましくは1〜2モル%である。
ここで、タングステン酸化物(B)の添加割合は、ニオブ酸化物、珪素酸化物、タンタル酸化物及び亜鉛酸化物の総量に対して0.5〜5モル%であり、好ましくは0.5〜3モル%、より好ましくは1〜2モル%である。
上記ターゲットの形態としては、特に限定されるものではなく、各種の焼結法によって得られる焼結体、プラズマ溶射法によって得られる溶射体等の金属酸化物の混合物からなるターゲットが用いられるが、この中で、スパッタリングターゲットとしての所望の機械的特性及び微視的形態を有する焼結体が好ましい。
上記ターゲットは、上記組成の金属酸化物からなる焼結体であるとき、該焼結体の性状としては、特に限定されるものではないが、焼結密度が3.3〜5.6g/cm3、平均結晶粒径が1〜10μm、最大空隙径が2μm以下、及び抗折強度が30〜120MPaであることが好ましい。
すなわち、DCスパッタリングの成膜速度を早めるため投入電力を高めると、ターゲット表面はスパッタリングにともない加熱され温度が上昇する。このとき、ターゲット底面は、通常銅製バッキングプレートを介して冷却されているので、ターゲットの表面と底面の温度差により熱応力が発生し、これによる熱衝撃で状況によっては割れが生じる。この応力に対応して割れを抑制するためには、熱応力に対する抵抗力が大きくなる10μm以下の平均結晶粒径の粒子を、応力が集中して亀裂の起点となる空孔の最大空隙径が2μm以下に小さくなるように焼結密度を3.3g/cm3以上に高めることが重要である。また、初期抗折強度が30Pa以上で熱応力に対する抵抗力が強まる。これらの条件を満足することで、スパッタリング時の割れは改善される。
本発明のターゲットの製造方法は、特に限定されるものではなく、各種の焼結法、プラズマ溶射法等が用いられるが、例えば、上記の焼結密度、平均結晶粒径、最大空隙径及び抗折強度を有する焼結体が得られるホットプレス法が好ましい。ホットプレス法を用いる場合は、特に限定されるものではないが、所定の金属酸化物の粉末を用いて、所定の真空下又は不活性ガス雰囲気下で、所定の温度及び圧力の条件でホットプレスして焼結する。
上記製造方法に用いる金属酸化物粉末の原料としては、ニオブ酸化物粉末及びタングステン酸化物粉末、必要に応じて、タンタル酸化物粉末、亜鉛酸化物粉末及び珪素酸化物粉末を用いる。ニオブ酸化物粉末としては、特に限定されるものではなく、化学量論的組成及び酸素の欠損した化合物を用いることができるが、特に、取り扱いやすくかつ安価であるNb2O5粉末が好ましい。また、タングステン酸化物としては、特に限定されるものではなく、WO2、W2O5、WO3又は他の複酸化物、並びにこれらの混合物を用いることができるが、特に最も取り扱いやすいWO3が好ましい。また、タンタル酸化物粉末及び亜鉛酸化物粉末としては、特に限定されるものではなく、それぞれTa2O5粉末及びZnO粉末が用いられるが、Ta2O5粉末及びZnO粉末の混合物あるいはニオブ酸化物との複合粉末にして用いることができる。また、珪素酸化物粉末としては、特に限定されるものではなく、溶融石英、又は合成体であるSiO2若しくはこれを還元した珪素酸化物粉末を用いることができる。また、上記ニオブ、タングステン、タンタル、亜鉛及び珪素の金属アルコキシドを精製した粉末、水酸化物等を熱分解により調製した粉末を用いることもできる。
上記製造方法に用いる金属酸化物粉末の純度としては、特に限定されるものではなく、99%以上が好ましく、99.9%以上がより好ましい。
上記製造方法に用いる金属酸化物粉末の純度としては、特に限定されるものではなく、99%以上が好ましく、99.9%以上がより好ましい。
上記製造方法において、上記原料粉末は混合された後に焼結される。上記製造方法で用いる混合装置としては、特に限定されるものではなく、Vブレンダ、ボールミル、媒体撹拌ミル、振動ミル等を用いることができるが、この中で、特に、簡便な乾式ボールミルが好ましい。ここで、粉砕用ボールとして直径3〜10mmのZrO2製ボールを用い、回転数100rpm程度で3〜36時間の解砕を行うことが好ましい。解砕時間が短いと混合解砕が不十分となる。また、ボールの充填率は60%程度が好ましい。得られる混合物を乾燥後、−250μmの篩い通しを行い、混合粉末を得る。
次いで、混合粉末はホットプレス(熱間加圧焼結)される。例えば、混合粉末をカーボン、又はBN(窒化ホウ素)等の剥離剤で覆われたカーボン製のダイスとパンチ内に充填し、0.133Pa以下の真空下又は66.5KPa以下の不活性ガス雰囲気下で焼結する。この際の圧力は、特に限定されるものではなく、15〜40MPaが好ましく、25〜30MPaがより好ましい。
また、この際の温度は、特に限定されるものではなく、850〜950℃が好ましい。すなわち、焼結温度が850℃未満では、焼結密度は3.3g/cm3以下と低くなる。一方、950℃を超えると、添加されたタングステン酸化物が飛散するばかりでなく、得られる焼結体の比抵抗値と焼結密度は悪化する。ここで、所定温度までの昇温速度は、5〜20℃/分が好ましい。また、所定温度での保持時間は、0.5〜3時間が好ましい。
以上の上記製造方法によって、スパッタリングにおいてターゲット表面の比抵抗値の変動がなく安定した成膜を行うことができ、かつ所望の光学特性を有する膜特性を得ることができるスパッタリングターゲットが効率的に得られる。
本発明のターゲットを用いるDCスパッタリングにおいて、高屈折率膜は通常50〜150nmの膜厚で成膜される。この際、得られる屈折率はスパッタリング時に導入する酸素分圧で制御される。例えば、酸素分圧が3×10―3〜1×10―2Paになるように酸素導入するとn=2.3以上の屈折率が得られるので好ましい。すなわち、酸素分圧が3×10―3Pa未満では、膜に吸収が生じて透光度が低下する。一方、酸素分圧が1×10―2Paを超えると、成膜速度が大きく低下する。
上記ターゲットを用いて光記録媒体の保護膜を形成する場合には、特に限定されるものではないが、タンタル酸化物、亜鉛酸化物又は珪素酸化物を添加して短波長側の透光度を改善することができる。
以上より明らかなように、本発明のターゲットを用いるDCスパッタリングにおいて、スパッタリング中に添加される酸素分圧及びターゲット表面の加工時の摩擦熱の影響によって、ターゲット表面の比抵抗値が変動することなく安定したDCスパッタリングをおこなうことができる。
以上より明らかなように、本発明のターゲットを用いるDCスパッタリングにおいて、スパッタリング中に添加される酸素分圧及びターゲット表面の加工時の摩擦熱の影響によって、ターゲット表面の比抵抗値が変動することなく安定したDCスパッタリングをおこなうことができる。
以下に、本発明の実施例及び比較例によって本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は、これらの実施例によってなんら限定されるものではない。なお、実施例及び比較例で用いた焼結体の比抵抗値、抗折強度、空隙径、結晶粒径及び焼結密度、並びにスパッタリングで得られた膜の屈折率と透過率の評価方法は、以下の通りである。
(1)焼結体の比抵抗値の測定:焼結体の表面を深さ方向に厚さ0.5mmをGC系砥粒(800番)で研削して洗浄後、大気中130℃で20分間加熱処理を行った。その後、四探針法(三菱化学製 MCP−T250)で測定した。
(2)焼結体の抗折強度の測定:JIS規格R1601に準じて行われ、焼結体から幅10mm、厚さ5mm及び長さ30mmの試験片を10個作製し、3点曲げ強さ試験から抗折強度を測定し、その平均値を求めた。
(3)焼結体の空隙径と平均結晶粒径の測定:焼結体中央を切断し切断面を鏡面研磨後、エッチングを施し、走査型電子顕微鏡観察により空隙径と結晶粒径を測定した。観察箇所は、1試料につき10カ所を行なった。平均結晶粒径は結晶粒径の測定値を平均して求めた。
(1)焼結体の比抵抗値の測定:焼結体の表面を深さ方向に厚さ0.5mmをGC系砥粒(800番)で研削して洗浄後、大気中130℃で20分間加熱処理を行った。その後、四探針法(三菱化学製 MCP−T250)で測定した。
(2)焼結体の抗折強度の測定:JIS規格R1601に準じて行われ、焼結体から幅10mm、厚さ5mm及び長さ30mmの試験片を10個作製し、3点曲げ強さ試験から抗折強度を測定し、その平均値を求めた。
(3)焼結体の空隙径と平均結晶粒径の測定:焼結体中央を切断し切断面を鏡面研磨後、エッチングを施し、走査型電子顕微鏡観察により空隙径と結晶粒径を測定した。観察箇所は、1試料につき10カ所を行なった。平均結晶粒径は結晶粒径の測定値を平均して求めた。
(4)焼結体の焼結密度の測定:焼結体中央を切断して高精度比重計で求めた。
(5)スパッタリングで得られた膜の屈折率測定:エリプソメーター(溝尻光学製)を用いて、波長633nmの光で行った。
(6)スパッタリングで得られた膜の透過率の測定:膜の透過率と反射率を分光光度計(島津製作所製 UV−4000)を用いて波長250〜1000nmの間で測定した。
(7)金属の分析:ICP発光分析法で行った。
(5)スパッタリングで得られた膜の屈折率測定:エリプソメーター(溝尻光学製)を用いて、波長633nmの光で行った。
(6)スパッタリングで得られた膜の透過率の測定:膜の透過率と反射率を分光光度計(島津製作所製 UV−4000)を用いて波長250〜1000nmの間で測定した。
(7)金属の分析:ICP発光分析法で行った。
また、実施例及び比較例では、以下の原料粉末を用いた。
A:Nb2O5粉末(多木化学製、最大粒径5μm)
B:WO3粉末(関東化学製、最大粒径3μm)
C:Ta2O5粉末(多木化学製、最大粒径5μm)
D:SiO2粉末(旭硝子製、最大粒径10μm)
E:ZnO粉末(東邦亜鉛製、最大粒径5μm)
F:Cr2O3粉末(関東化学製、最大粒径3μm)
A:Nb2O5粉末(多木化学製、最大粒径5μm)
B:WO3粉末(関東化学製、最大粒径3μm)
C:Ta2O5粉末(多木化学製、最大粒径5μm)
D:SiO2粉末(旭硝子製、最大粒径10μm)
E:ZnO粉末(東邦亜鉛製、最大粒径5μm)
F:Cr2O3粉末(関東化学製、最大粒径3μm)
(実施例1)
Nb2O5粉末に、所定添加割合の原料を調合して混合し、得られた混合粉末をホットプレスして焼結体を得て、これを加工してスパッタリングターゲットを作製しDCスパッタリングを行ない、得られた膜特性を評価した。
まず、原料調合は、Nb2O5粉末に、Nb2O5粉末に対して1モル%の添加割合でWO3粉末を添加し、これをボールミルに装入して、直径10mmのZrO2製ボールを用いて、回転数100rpmで12時間の解砕処理を行った。
Nb2O5粉末に、所定添加割合の原料を調合して混合し、得られた混合粉末をホットプレスして焼結体を得て、これを加工してスパッタリングターゲットを作製しDCスパッタリングを行ない、得られた膜特性を評価した。
まず、原料調合は、Nb2O5粉末に、Nb2O5粉末に対して1モル%の添加割合でWO3粉末を添加し、これをボールミルに装入して、直径10mmのZrO2製ボールを用いて、回転数100rpmで12時間の解砕処理を行った。
次に、得られた混合粉末をBN(窒化ホウ素)で被覆したカーボン製のダイスとパンチ内に充填し、0.133Pa以下に保たれた真空中で焼結を行った。このとき、30MPaの圧力を加えながら、昇温速度を10℃/分の昇温速度で950℃まで昇温して1時間の焼結を行った。ここで、直径110mmで厚さ6mmの焼結体を2枚得た。焼結体には割れの発生はなかった。その後、焼結体の焼結密度、平均結晶粒径、最大空隙径、比抵抗値及び抗折強度を測定し、X線解析及びWO3の分析を行なった。結果を表1に示す。
次に、焼結体に加工を施して102mmのスパッタリングターゲットを作製し、ガラス(MATUNAMI製 S−1111)上に、直流250W、酸素分圧5×10―3Pa、及びアルゴンガスを含む全圧0.2Paの条件で、膜厚が100nmになるように成膜して、スパッタリングの状況、及び得られた膜の特性を評価した。結果を表2に示す。
(実施例2)
原料調合において、WO3粉末の添加割合がNb2O5粉末に対して5モル%であること以外は実施例1と同様に行ない、焼結体の焼結密度、平均結晶粒径、最大空隙径、比抵抗値及び抗折強度を測定し、X線解析及びWO3の分析を行なった。結果を表1に示す。また、スパッタリングの状況、及び得られた膜の特性を評価した。結果を表2に示す。
原料調合において、WO3粉末の添加割合がNb2O5粉末に対して5モル%であること以外は実施例1と同様に行ない、焼結体の焼結密度、平均結晶粒径、最大空隙径、比抵抗値及び抗折強度を測定し、X線解析及びWO3の分析を行なった。結果を表1に示す。また、スパッタリングの状況、及び得られた膜の特性を評価した。結果を表2に示す。
(実施例3)
焼結において、焼結の温度が900℃であること以外は実施例1と同様に行ない、焼結体の焼結密度、平均結晶粒径、最大空隙径、比抵抗値及び抗折強度を測定し、X線解析及びWO3の分析を行なった。結果を表1に示す。また、スパッタリングの状況、及び得られた膜の特性を評価した。結果を表2に示す。
焼結において、焼結の温度が900℃であること以外は実施例1と同様に行ない、焼結体の焼結密度、平均結晶粒径、最大空隙径、比抵抗値及び抗折強度を測定し、X線解析及びWO3の分析を行なった。結果を表1に示す。また、スパッタリングの状況、及び得られた膜の特性を評価した。結果を表2に示す。
(実施例4)
原料調合において、さらに、Ta2O5粉末を添加し、その添加割合がNb2O5粉末に対して30モル%あること、及びWO3粉末の添加割合がNb2O5粉末とTa2O5粉末の総量に対して1モル%であること以外は実施例1と同様に行ない、焼結体の焼結密度、平均結晶粒径、最大空隙径、比抵抗値及び抗折強度を測定し、X線解析及びWO3の分析を行なった。結果を表1に示す。また、スパッタリングの状況、及び得られた膜の特性を評価した。結果を表2に示す。
原料調合において、さらに、Ta2O5粉末を添加し、その添加割合がNb2O5粉末に対して30モル%あること、及びWO3粉末の添加割合がNb2O5粉末とTa2O5粉末の総量に対して1モル%であること以外は実施例1と同様に行ない、焼結体の焼結密度、平均結晶粒径、最大空隙径、比抵抗値及び抗折強度を測定し、X線解析及びWO3の分析を行なった。結果を表1に示す。また、スパッタリングの状況、及び得られた膜の特性を評価した。結果を表2に示す。
(実施例5)
原料調合において、さらに、SiO2粉末を添加し、その添加割合がNb2O5粉末に対して20モル%あること、及びWO3粉末の添加割合がNb2O5粉末とSiO2粉末の総量に対して1モル%であること以外は実施例1と同様に行ない、焼結体の焼結密度、平均結晶粒径、最大空隙径、比抵抗値及び抗折強度を測定し、X線解析及びWO3の分析を行なった。結果を表1に示す。また、スパッタリングの状況、及び得られた膜の特性を評価した。結果を表2に示す。
原料調合において、さらに、SiO2粉末を添加し、その添加割合がNb2O5粉末に対して20モル%あること、及びWO3粉末の添加割合がNb2O5粉末とSiO2粉末の総量に対して1モル%であること以外は実施例1と同様に行ない、焼結体の焼結密度、平均結晶粒径、最大空隙径、比抵抗値及び抗折強度を測定し、X線解析及びWO3の分析を行なった。結果を表1に示す。また、スパッタリングの状況、及び得られた膜の特性を評価した。結果を表2に示す。
(実施例6)
原料調合において、さらに、ZnO粉末を添加し、その添加割合が20モル%あること、及びWO3粉末の添加割合がNb2O5粉末とZnO粉末の総量に対して1モル%であること以外は実施例1と同様に行ない、焼結体の焼結密度、平均結晶粒径、最大空隙径、比抵抗値及び抗折強度を測定し、X線解析及びWO3の分析を行なった。結果を表1に示す。また、スパッタリングの状況、及び得られた膜の特性を評価した。結果を表2に示す。
原料調合において、さらに、ZnO粉末を添加し、その添加割合が20モル%あること、及びWO3粉末の添加割合がNb2O5粉末とZnO粉末の総量に対して1モル%であること以外は実施例1と同様に行ない、焼結体の焼結密度、平均結晶粒径、最大空隙径、比抵抗値及び抗折強度を測定し、X線解析及びWO3の分析を行なった。結果を表1に示す。また、スパッタリングの状況、及び得られた膜の特性を評価した。結果を表2に示す。
(実施例7)
原料調合において、さらに、ZnO粉末とSiO2粉末の添加を行ない、各々の粉末の添加割合が20モル%あること、及びWO3粉末の添加割合がNb2O5粉末、ZnO粉末及びSiO2粉末の総量に対して1モル%であること以外は実施例1と同様に行ない、焼結体の焼結密度、平均結晶粒径、最大空隙径、比抵抗値及び抗折強度を測定し、X線解析及びWO3の分析を行なった。結果を表1に示す。また、スパッタリングの状況、及び得られた膜の特性を評価した。結果を表2に示す。
原料調合において、さらに、ZnO粉末とSiO2粉末の添加を行ない、各々の粉末の添加割合が20モル%あること、及びWO3粉末の添加割合がNb2O5粉末、ZnO粉末及びSiO2粉末の総量に対して1モル%であること以外は実施例1と同様に行ない、焼結体の焼結密度、平均結晶粒径、最大空隙径、比抵抗値及び抗折強度を測定し、X線解析及びWO3の分析を行なった。結果を表1に示す。また、スパッタリングの状況、及び得られた膜の特性を評価した。結果を表2に示す。
(比較例1)
原料の調合において、Nb2O5粉末のみを用いたこと以外は実施例1と同様に行ない、焼結体の焼結密度、平均結晶粒径、最大空隙径、比抵抗値及び抗折強度を測定し、X線解析を行なった。結果を表1に示す。また、スパッタリングの状況を評価した。結果を表2に示す。なお、焼結体の両表面を研削しないで十分に洗浄後、四探針法にて比抵抗値の測定を行ったところ、比抵抗値は3.6Ω・cmであった。
原料の調合において、Nb2O5粉末のみを用いたこと以外は実施例1と同様に行ない、焼結体の焼結密度、平均結晶粒径、最大空隙径、比抵抗値及び抗折強度を測定し、X線解析を行なった。結果を表1に示す。また、スパッタリングの状況を評価した。結果を表2に示す。なお、焼結体の両表面を研削しないで十分に洗浄後、四探針法にて比抵抗値の測定を行ったところ、比抵抗値は3.6Ω・cmであった。
(比較例2)
原料の調合において、WO3粉末を添加せずに、Cr2O3粉末の添加割合がNb2O5粉末に対して3モル%あること以外は実施例1と同様に行ない、焼結体の焼結密度、平均結晶粒径、最大空隙径、比抵抗値及び抗折強度を測定し、X線解析とCr2O3の分析を行なった。結果を表1に示す。また、スパッタリングの状況を評価した。結果を表2に示す。
原料の調合において、WO3粉末を添加せずに、Cr2O3粉末の添加割合がNb2O5粉末に対して3モル%あること以外は実施例1と同様に行ない、焼結体の焼結密度、平均結晶粒径、最大空隙径、比抵抗値及び抗折強度を測定し、X線解析とCr2O3の分析を行なった。結果を表1に示す。また、スパッタリングの状況を評価した。結果を表2に示す。
(比較例3)
焼結において、焼結の温度が980℃であること以外は実施例1と同様に行なったところ、温度が980℃に達すると、真空度が急激に悪化し1.77Paを越えた。ここで焼結を中断し、冷却後にダイスを観察すると、周囲には粉末が散乱していた。焼結体の特性の評価は不能であったが、WO3の分析を行なった。結果を表1に示す。
焼結において、焼結の温度が980℃であること以外は実施例1と同様に行なったところ、温度が980℃に達すると、真空度が急激に悪化し1.77Paを越えた。ここで焼結を中断し、冷却後にダイスを観察すると、周囲には粉末が散乱していた。焼結体の特性の評価は不能であったが、WO3の分析を行なった。結果を表1に示す。
(比較例4)
原料の調合において、WO3粉末の添加割合がNb2O5粉末に対して10モル%であること以外は実施例1と同様に行ない、焼結体の焼結密度、平均結晶粒径、最大空隙径、比抵抗値及び抗折強度を測定し、X線解析及びWO3の分析を行なった。結果を表1に示す。また、スパッタリングの状況、及び得られた膜の特性を評価した。結果を表2に示す。
原料の調合において、WO3粉末の添加割合がNb2O5粉末に対して10モル%であること以外は実施例1と同様に行ない、焼結体の焼結密度、平均結晶粒径、最大空隙径、比抵抗値及び抗折強度を測定し、X線解析及びWO3の分析を行なった。結果を表1に示す。また、スパッタリングの状況、及び得られた膜の特性を評価した。結果を表2に示す。
表1、表2より、実施例1〜8では、焼結体の組成調合と焼結条件で、本発明に従っているので、DCスパッタリング法で高屈折率膜を形成する際に、スパッタリングにおいてターゲット表面の比抵抗値が10Ω・cm以下で変動がなく安定した成膜を行うことができ、かつ所望の透光度を有する膜特性を得ることができることが分る。これに対して、比較例1〜4では、焼結体の組成調合と焼結条件でこれらの条件に合わないので、安定したスパッタリングが不可能であるか、また透光度によって満足すべき結果が得られないことが分かる。
以上より明らかなように、本発明の高屈折率膜形成用のスパッタリングターゲットとその製造方法は、光応用製品分野で利用される高屈折率膜として利用され、特に相変化型光記録媒体の誘電体膜に好適に用いられる。
Claims (6)
- 化学量論的組成より酸素が不足している金属酸化物からなる高屈折率膜形成用スパッタリングターゲットであって、
前記金属酸化物は、ニオブ酸化物(A)とタングステン酸化物(B)を含み、かつタングステン酸化物(B)が、ニオブ酸化物(A)に対して0.5〜5モル%の割合で含有されることを特徴とするスパッタリングターゲット。 - 前記金属酸化物は、ニオブ酸化物(A)の一部に代えて、ニオブ酸化物(A)に対して5〜30モル%のタンタル酸化物及び/又は亜鉛酸化物を含むことを特徴とする請求項1に記載のスパッタリングターゲット。
- 前記金属酸化物は、ニオブ酸化物(A)の一部に代えて、ニオブ酸化物(A)に対して10〜30モル%の珪素酸化物を含むことを特徴とする請求項1又は2に記載のスパッタリングターゲット。
- 前記ターゲットは、室温での比抵抗値が0.05〜10Ω・cmであり、かつ大気中130℃までの加熱に際して比抵抗変化が起らないことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のスパッタリングターゲット。
- 前記ターゲットは、前記金属酸化物からなる焼結体で構成されており、該焼結体の焼結密度が3.3〜5.6g/cm3、平均結晶粒径が1〜10μm、最大空隙径が2μm以下、及び抗折強度が30〜120MPaであることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のスパッタリングターゲット。
- ニオブ酸化物(A)とタングステン酸化物(B)を含む金属酸化物の粉末を用いて、0.133Pa以下の真空下又は66.5KPa以下の不活性ガス雰囲気下で、温度が850〜950℃及び圧力が15〜40MPaの条件でホットプレスして焼結することを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載のスパッタリングターゲットの製造方法。
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-
2003
- 2003-10-28 JP JP2003366808A patent/JP2005133105A/ja active Pending
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