JP2005132840A - アルケニルホスホン酸誘導体の製造方法 - Google Patents

アルケニルホスホン酸誘導体の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】アルケニルホスホン酸誘導体の製造方法
【解決手段】錯体触媒系の存在下にホスホン酸誘導体とアルキンとを反応させることによりアルケニルホスホン酸誘導体を製造する方法において、
この錯体触媒系が
(a)ニッケル、
(b)少なくとも2個の3価のリン原子を有するホスフィンおよび付加的に
(c)1個の3価のリン原子を有するホスフィン
を含有することを特徴とする、アルケニルホスホン酸誘導体の製造方法。
【選択図】なし

Description

本発明は、錯体触媒系の存在下で、ホスホン酸誘導体とアルキンとを反応させることによって、アルケニルホスホン酸誘導体を製造する方法に関する。
ビニルホスホン酸誘導体、特に、ビニルホスホン酸ジアルキルエステルは、ビニルホスホン酸製造のための中間体として、かつ、接着剤および耐燃性プラスチックの製造のための共重合のためのモノマーとして重要である。
これらを製造するための種々の方法が公知である。DE−OS2132962では、酸化エチレンおよび三塩化リンから出発する方法が記載されている。初期反応(initial reaction)生成物 トリス(2−クロロエチル)ホスフィットは、140〜200℃で転位し、ビス(2−クロロエチル)2−クロロエタンホスホネートを形成し、その後に、触媒の存在下でホスゲンと反応させ、2−クロロエタンホスホニルジクロリドおよびビニルホスホニルジクロリドを形成する。使用される触媒は、アミン、ヘテロ環式窒素化合物、ホスフィン、さらには酸化ホスフィンである。
EP032663 A2では、ビニルホスホン酸誘導体を製造するための方法が記載されており、その際、ジアルキル 2−アセトキシエタンホスホネートは、酸性または塩基性触媒の存在下で、切断される。示された塩基性触媒は、第3級アミンおよびホスフィン、アンモニウム塩またはホスホニウム塩、ヘテロ環式化合物およびアミドである。方法の欠点は、ビニルホスホン酸誘導体の混合物の形成である。ジアルキルビニルホスホネートの割合は多くとも23%である。
DE3120437 A1中で記載されたこの方法の改善された変法は、生じる生成物の混合物と、カルボン酸のオルトエステルとを反応させ、ジアルキルビニルホスホネートを形成する。
上記方法の欠点は、生成物混合物の形成、複雑な多工程による合成経路、高い反応温度の使用が必要であること、および塩素化した出発化合物の使用である。多量の副生成物は、特に著しく、工程の経済性を損なう。
アルケニルホスホン酸のジエステルを製造するための他の合成経路は、パラジウム錯体触媒の存在下でのホスホン酸ジエステルに、アルキンを付加することである。この合成経路の利点は、理論量の副生成物または共生成物(coproduct)の形成のない、純粋な付加反応にある。
US5693826およびWO98/46613は、ホスフィンおよびホスフィットをリガンドとして有するパラジウム錯体触媒の存在下で、100℃かまたはそれ未満の温度で添加することを開示している。WO99/67259およびUS6111127は、リガンドとして二座ホスフィンを明記している。前記方法の欠点は、高価な貴金属触媒の使用である。
US3673285では、ジカルボニルビス(トリフェニルホスフィン)ニッケル(0)、ビス(トリス(ヒドロキシメチル)ホスフィン)ニッケル(II)クロリド、ビス(トリ−n−ブチルホスフィン)ニッケル(II)ブロミドおよびテトラカルボニルニッケル(0)から成る群から選択されたニッケル錯体触媒の存在下で、130〜200℃で、ホスホン酸ジエステル上にアルキンを付加して、アルケニルホスホン酸ジエステルを形成することが記載されている。ジエチルホスフィット上へのエチンの付加において、ビス(トリ−n−ビニルホスフィン)ニッケル(II)ブロミドの存在下で、ジエチルビニルホスホネートの収率40%を達成した(例15)。この方法の欠点は、50%をかなり下廻る低い収率、および200℃までの高い反応温度が必要とされることであり、この場合、これは、エチルホスホネートの発熱性分解を引き起こす。
EP−A1−1203773(BASF−AG)は、錯体触媒系の存在下で、ホスホン酸誘導体とアルキンとの反応によって、アルケニルホスホン酸誘導体を製造する方法を記載しており、ここでは(a)ニッケルおよび(b)少なくとも2個の3価のリン原子を有するホスフィンを含有する錯体触媒系を使用する。
この方法の欠点は、少なくとも2個の3価のリン原子を有するホスフィンの必要量である(Niに対して2:1モル)。それというのもこのホスフィンは先ず相応するホスフィンと3価のリン原子とから費用をかけて製造しなければならないためである。
同日付けで出願したBASFの並行特許出願は、錯体触媒系の存在下にホスホン酸誘導体とアルキンとを反応させることによりアルケニルホスホン酸誘導体を製造する方法に関し、この際、この錯体触媒系は(a)ニッケルおよび(b)少なくとも2個の3価のリン原子を有するホスフィンおよび/または(c)1個の3価のリン原子を有するホスフィンを含有し、アルキンの添加を、ホスホン酸誘導体を錯体触媒系と少なくとも1分間接触させた後にはじめて行う。
DE−OS2132962 EP032663 A2 DE3120437 A1 US5693826 WO98/46613 WO99/67259 US6111127 US3673285 EP−A1−1203773
本発明の課題は、アルケニルホスホン酸誘導体の製造方法を見出すことであり、この方法は、従来技術の欠点を有さず、共生成物を形成することなく、200℃をかなり下廻る反応温度で、50%、特に75%をかなり上廻る高い収率を可能とし、かつ、高価な貴金属触媒を使用せずに、EP−A1−1203773に比べて安価な触媒費用を示す。
こうして、
(a)ニッケル、
(b)少なくとも2個の3価のリン原子を有するホスフィンおよび付加的に
(c)1個の3価のリン原子を有するホスフィン
を含有することを特徴とする錯体触媒系の存在下で、ホスホン酸誘導体とアルキンとを反応させることによって、アルケニルホスホン酸誘導体を製造する方法が見出された。
本発明の方法の本質的な特徴は、(a)ニッケルと(b)少なくとも2個の3価のリン原子を有するホスフィンと付加的に(c)1個の3価のリン原子を有するホスフィンを含有する錯体触媒系の存在である。
ニッケル(a)は錯体触媒系中で、特に酸化段階0[=Ni(0)]で存在する。
一般的にいうと、1個の3価のリン原子有するホスフィンはモノホスフィンとして、2個の3価のリン原子を有するホスフィンはジホスフィンとして、3個の3価のリン原子を有するホスフィンはトリホスフィン等として記載される。
一般に、本発明の製造方法において使用される少なくとも2個の3価のリン原子を有するホスフィンは一般式(I)
Figure 2005132840
[式中、R、R、RおよびRは、それぞれ互いに独立して、炭素を含有する有機基であり、かつ、Xは炭素を含有する有機架橋基である]を有する。
ここで、炭素を含有する有機基とは、炭素原子1〜30個を有する、非置換かまたは置換された、脂肪族、芳香族または芳香族脂肪族基であると理解する。この基は、一つまたはそれ以上のヘテロ原子、たとえば、酸素、窒素、硫黄またはリン、たとえば−O−、−S−、−NR−、−CO−、−N=、−PR−および/または−PRを含有していてもよいか、および/または、たとえば、酸素、窒素、硫黄および/またはハロゲンを含有する一つまたはそれ以上の官能性基によって置換されていてもよく、たとえば、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素および/またはシアノ基によって置換されていてもよい(この場合、基Rは同様に炭素を含有する有機基である)。炭素を含有する有機基が、一つまたはそれ以上のヘテロ原子を含有する場合には、さらに、これはヘテロ原子を介して結合していてもよい。したがって、たとえば、エーテル基、チオエーテル基および第3級アミノ基がさらに含まれる。炭素を含有する有機基は一価または多価、たとえば、二価の基であってもよい。
ここで、炭素を含有する有機架橋基とは、炭素原子1〜20個および鎖中に1〜10個の原子を有する、非置換かまたは置換された、脂肪族、芳香族または芳香族脂肪族の二価の基であると理解する。有機架橋基は、一つまたはそれ以上のヘテロ基、たとえば、酸素、窒素、硫黄またはリン、たとえば、−O−、−S−、−NR−、−CO−、−N=、−PR−および/または−PRを有していてもよいか、および/または、たとえば、酸素、窒素、硫黄および/またはハロゲンを含有する一つまたはそれ以上の官能性基によって置換されていてもよく、たとえば、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素および/またはシアノ基により置換されていてもよい(この場合、基Rは同様に炭素を含有する有機基である)。有機架橋基が、一つまたはそれ以上のヘテロ原子を含有する場合には、さらには、ヘテロ原子を介して結合されていてもよい。したがって、たとえば、エーテル基、チオエーテル基および第3級アミノ基もさらに含まれる。
本発明の方法において、基R、R、RおよびRが、それぞれ互いに独立して、
* 非分枝または分枝の、非環式または環式の、非置換かまたは置換された、1〜20個の脂肪族炭素原子を有するアルキル基であり、その際、一つまたはそれ以上のCH−基はヘテロ原子、たとえば、−O−によってか、またはヘテロ原子含有基、たとえば、−CO−または−NR−によって置換されていてもよく、かつ、その際、水素原子の一つまたはそれ以上は、アリール基のような置換基によって置換されていてもよく;
* 非置換かまたは置換された、単環かまたは二環または三環の縮合環を有する芳香族基であり、その際、一つまたはそれ以上の環原子は、ヘテロ原子、たとえば、窒素によって置換されていてもよく、かつ、その際、一つまたはそれ以上の水素原子は、置換基、たとえばアルキル基またはアリール基によって置換されていてよく;
あるいは、RとRが一緒になって、および/またはRとRが一緒になって、
* 鎖中に原子3〜10個を有する、非置換かまたは置換された、脂肪族、芳香族または芳香族脂肪族基を形成する。
好ましい1価の基R、R、RおよびRの例は、メチル、エチル、1−プロピル、2−プロピル(sec−プロピル)、1−ブチル、2−ブチル(sec−ブチル)、2−メチル−1−プロピル(イソブチル)、2−メチル−2−プロピル(tert−ブチル)、1−ペンチル、2−ペンチル、3−ペンチル、2−メチル−2−ブチル(tert−アミル)、1−ヘキシル、2−ヘキシル、3−ヘキシル、2−メチル−2−ペンチル、3−メチル−3−ペンチル、2−メトキシ−2−プロピル、メトキシ、エトキシ、1−プロポキシ、2−プロポキシ(sec−プロポキシ)、1−ブトキシ、2−ブトキシ(sec−ブトキシ)、2−メチル−1−プロポキシ(イソブトキシ)、2−メチル−2−プロポキシ(tert−ブトキシ)、1−ペントキシ、2−ペントキシ、3−ペントキシ、2−メチル−2−ブトキシ(tert−アモキシ)、1−ヘキソキシ、2−ヘキソシキ、3−ヘキソシキ、2−メチル−2−ペントキシ、3−メチル−3−ペントキシ、フェニル、2−メチルフェニル(o−トリル)、3−メチルフェニル(m−トリル)、4−メチルフェニル(p−トリル)、2,6−ジメチルフェニル、2,4−ジメチルフェニル、2,4,6−トリメチルフェニル、2−メトキシフェニル、3−メトキシフェニル、4−メトキシフェニル、2−ピリジル、3−ピリジル、4−ピリジル、3−ピルダジニル、4−ピリダジニル、5−ピリダジニル、2−ピリミジニル、4−ピリミジニル、5−ピリミジニル、2−ピラジニル、2−(1,3,5−トリアジン)イル、1−ナフチル、2−ナフチル、2−キノリル、8−キノリル、1−イソキノリルおよび8−イソキノリルである。
とRが一緒になって、および/またはRとRが一緒になっての好ましい二価の基の例は、1,4−ブチレン、1,4−ジメチル−1,4−ブチレン、1,1,4,4−テトラメチル−1,4−ブチレン、1,4−ジメトキシ−1,4−ブチレン、1,4−ジメチル−1,4−ジメトキシ−1,4−ブチレン、1,5−ペンチレン、1,5−ジメチル−1,5−ペンチレン、1,5−ジメトキシ−1,5−ペンチレン、1,1,5,5−テトラメチル−1,5−ペンチレン、1,5−ジメチル−1,5−ジメトキシ−1,5−ペンチレン、3−オキサ−1,5−ペンチレン、3−オキサ−1,5−ジメチル−1,5−ペンチレン、3−オキサ−1,5−ジメトキシ−1,5−ペンチレン、3−オキサ−1,1,5,5−テトラメチル−1,5−ペンチレン、3−オキサ−1,5−ジメチル−1,5−ジメトキシ−1,5−ペンチレン、
Figure 2005132840
である。
本発明の方法においては、特に好ましくは、式中のR、R、Rおよび/またはRが、それぞれ互いに独立して、非置換かまたは置換されたC〜C12−アルキル基であり、その際、水素、フッ素、塩素、臭素およびヨウ素から成る群からの多くとも一つの原子が、α−炭素と結合しており;および/または、R、R、Rおよび/またはRが、それぞれ互いに独立して、非置換かまたは置換された、環原子6個を有する芳香族基であり、その際、1個、2個または3個の環原子が窒素によって置換されていてもよく;および/または、RとRは一緒になって、および/またはRとRは一緒になって、非置換かまたは置換された、鎖中に4〜7個の原子を有し、かつ炭素原子の合計が30個未満である、脂肪族基、芳香族基または芳香族脂肪族基を形成するホスフィン(I)を使用する。
水素、フッ素、塩素、臭素およびヨウ素から成る群からの多くとも1つの原子が、α−炭素原子に結合している、非置換かまたは置換されたC〜C12−アルキル基は、いわゆるα−炭素原子で分枝したアルキル基である。少なくとも2個の他の炭素原子が、α−炭素原子に結合しているのが有利である。α−炭素原子に結合した第3の原子は好ましくは、水素、炭素またはヘテロ原子、たとえば、酸素、窒素または硫黄である。好ましい例は、2−プロピル(sec−プロピル)、2−ブチル(sec−ブチル)、2−メチル−2−プロピル(tert−ブチル)、2−メチル−2−ブチル(tert−アミル)および2−メトキシ−2−プロピルである。
1個、2個または3個の環原子が、窒素によって置換されていてもよい、環原子6個を有する非置換かまたは置換された芳香族基の好ましい例は、フェニル、2−メチルフェニル(o−トリル)、3−メチルフェニル(m−トリル)、4−メチルフェニル(p−トリル)、2,6−ジメチルフェニル、2,4−ジメチルフェニル、2,4,6−トリメチルフェニルおよび2−ピリジルである。
とRが一緒になって、および/または基RとRが一緒になっての二価の基の好ましい例は、1,1,4,4−テトラメチル−1,4−ブチレン、1,4−ジメチル−1,4−ジメトキシ−1,4−ブチレン、1,1,5,5−テトラメチル−1,5−ペンチレン、1,5−ジメチル−1,5−ジメトキシ−1,5−ペンチレン、1,5−ジメチル−1,5−シクロオクチレン、1,3,5,7−テトラメチル−3,7−ビシクロ[3.3.1]ノニレンおよび4,8,9−トリオキサ−1,3,5,7−テトラメチル−3,7−ビシクロ[3.3.1]ノニレンである。
特に好ましくは、本発明の方法において、基R、R、RおよびRがそれぞれ2−メチル−2−プロピル(tert−ブチル)基であるか、あるいはフェニル基である式(I)のホスフィンを使用する。
本発明の方法は、好ましくは、Xが、鎖中に原子1〜8個、好ましくは2〜4個を有し、かつ、全体で炭素原子20個以下である、非置換かまたは置換された、脂肪族、芳香族または芳香族脂肪族基である、式(I)のホスフィンを用いて実施する。この基において、一つまたはそれ以上のCH−基は、ヘテロ原子、たとえば、−O−、またはヘテロ原子含有基、たとえば−CO−または−NR−によって置換されていてもよいか、および/または、一つはまたはそれ以上の芳香族環原子が、ヘテロ原子、たとえば、窒素によって置換されていてもよい。
好ましい架橋基Xの例は、1,2−エチレン、1,3−プロピレン、1,2−プロピレン、1,4−ブチレン、2−メチル−1,3−プロピレン、1,5−ペンチレン、2,2−ジメチル−1,3−プロピレン、1,6−ヘキシレン、−O−CHCH−O−、−O−CHCHCH−O−、o−フェニレン、o−キシリレン(=o−CH−C−CH−)または2,2’−ビフェニレンである。
本発明の方法において、特に好ましくは、架橋基Xが1,2−エチレン、1,3−プロピレン、1,4−ブチレンまたはo−キシリレン基である、式(I)のホスフィンを用いる。
本発明の方法は、特に好ましくは、基R〜Rが、それぞれ2−メチル−2−プロピル(tert−ブチル)基またはフェニル基であり、Xが1,2−エチレン、1,3−プロピレン、1,4−ブチレンまたはo−キシリレン基である、式(I)のホスフィンを用いて実施する。特に好ましい例は、1,2−ビス(ジ−tert−ブチルホスフィノ)エタン、1,2−ビス(ジフェニルホスフィノ)エタン、1,3−ビス(ジ−tert−ブチルホスフィノ)プロパン、1,3−ビス(ジフェニルホスフィノ)プロパン、1,4−ビス(ジ−tert−ブチルホスフィノ)ブタン、1,4−ビス(ジフェニルホスフィノ)ブタン、ビス(ジ−tert−ブチルホスフィノ)−o−キシレンおよびビス(ジフェニルホスフィノ)−o−キシレン、特に、1,3−ビス(ジ−tert−ブチルホスフィノ)プロパンおよび1,3−ビス(ジフェニルホスフィノ)プロパンである。
ジホスフィンの合成は、一般に公知であり、かつ、たとえば、L.ブランズマら(L. Brandsma et al.)“Application of Transition Metal Catalyst in Organic Synthesis”, Springer−Verlag,Berlin 1997,第6頁〜第9頁に記載されている。
一般に、1個の3価のリン原子を有する付加的なホスフィン(c)は一般式(IV)
Figure 2005132840
[式中、R、R10、R11はそれぞれ互いに独立して炭素原子を有する有機基を表す]のホスフィンである。
炭素を含有する有機基は、炭素原子1〜30個を有する、非置換かまたは置換された、脂肪族、芳香族または芳香族脂肪族基であると理解する。この基は、一つまたはそれ以上のヘテロ原子、たとえば、酸素、窒素、硫黄またはリン、たとえば−O−、−S−、−NR−、−CO−、−N=、−PR−および/または−PRを含有していてもよいか、および/または、たとえば、酸素、窒素、硫黄および/またはハロゲンを含有する一つまたはそれ以上の官能性基によって置換されていてもよく、たとえば、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素および/またはシアノ基によって置換されていてもよい(この場合、基Rは同様に炭素を含有する有機基である)。炭素を含有する有機基が、一つまたはそれ以上のヘテロ原子を含有する場合には、さらに、これはヘテロ原子を介して結合してもよい。したがって、たとえば、エーテル基、チオエーテル基および第3級アミノ基がさらに含まれる。炭素を含有する有機基は一価または多価、たとえば、二価の基であってもよい。
、R10、R11が(R1−4から独立して)、R1−4に関してすでに定義した様な基および群を表すのが有利である。
、R10、R11がC3−6−脂環式、および/または芳香族基、例えばシクロヘキシルまたはフェニルであるのが特に有利である。
一般式(IV)を有するNi−錯体触媒系中の1個の3価のリン原子を有するホスフィン(c)は、有利な実施形においてはトリフェニルホスフィンおよび/またはトリシクロヘキシルホスフィンである。
本発明の方法において、錯体触媒系は、一般には、Ni(0)錯体と両方のホスフィン(b、c)、特に一般式(I)および(IV)の両方のホスフィンとを一緒にすることにより、またはNi(II)化合物、還元剤と両方のホスフィン(b、c)、特に一般式(I)および(IV)の両方のホスフィンとを一緒にすることにより製造される。
また、それぞれのホスホン酸誘導体は還元剤としても作用することが可能であるので、錯体触媒系は、他の還元剤を用いることなく、Ni(II)化合物、両方のホスフィン(b、c)、特に一般式(I)および(IV)の両方のホスフィン、およびホスホン酸誘導体を一緒にすることによっても得られる。
Ni(0)錯体としては、第1の変法の実施の際に反応条件下でホスフィンと反応し、錯体触媒系を形成する全てのNi−錯体が原則的に好適である。好適なNi錯体の例としてはテトラカルボニルニッケル、ビス(シクロオクタ−1,5−ジエン)ニッケルおよび(シクロドデカ−1,5,9−トリエン)ニッケルを挙げることができる。
第2の変法のために必要なNi(II)−化合物は無機または有機の種類または混合した種類のものであってよい。例としては、ニッケル(II)ハロゲン化物(例えばNiCl)、ニッケル(II)スルフェート、ニッケル(II)アセチルアセトネート、1,3−ビス(ジフェニルホスフィノ)プロパンニッケル(II)クロリド、ヘキサアムミンニッケル(II)クロリド、ニッケル(II)ブロミド・ジエチレングリコールジメチルエーテル錯体、ジメチルニッケル(II)−錯体(CHNiL(L=例えば、トリフェニルホスフィン、トリエチルホスフィン、トリブチルホスフィン)およびジメチルニッケル(II)−錯体(CHNiL(L=例えば、テトラメチルエチレンジアミン(TMEDA)、ビス(ジフェニルホスフィノ)プロパン、ビス(ジフェニルホスフィノ)ブタン)を挙げることができる。適した還元剤は、たとえば、元素の亜鉛、トリアルキルホウ素化合物、トリアルキルアルミニウム化合物、ジイソブチルアルミニウムヒドリドおよびホスホン酸誘導体である。
錯体触媒系は、ホスホン酸誘導体の本来のアルケニル化の前に分離した工程で製造することも、あるいはインシトウー(in situ)で、前記の成分を一緒にすることにより製造することもできる。
錯体触媒系の製造の際の温度は一般に30〜120℃、有利に60〜110℃である。
溶剤として、一般には、ホスホン酸誘導体を、反応条件下において液体である場合に限り使用することができる。しかしながら、さらには、錯体触媒系を他の不活性溶剤の存在下で製造することも可能であり、場合によっては有利である。この場合において、アルケニル反応のための溶剤としても使用することができ、かつ、以下に記載されている、同じ溶剤を使用することが好ましい。
本発明の方法において、一般に、錯体触媒系の両方のホスフィン(モル合計)とニッケルとのモル比は、0.5〜6、好ましくは1〜4であり、かつ、特には2.5〜3.5である。
錯体触媒系のニッケルおよびホスホン酸誘導体およびそれから形成される生成物のリンのモル比は、一般には、本発明の方法において、0.01〜10%、好ましくは0.05〜5%および特に好ましくは0.05〜3%である。
ニッケル:(少なくとも2個の3価のリン原子を有するホスフィン):(1個の3価のリン原子を有するホスフィン)のモル比は有利に1:(0.5〜2):(1〜4)、特に有利に1:(1〜1.3):(1.5〜2)である。
本発明の方法は、温度0〜200℃、好ましくは20〜150℃、および特に好ましくは50〜120℃、殊に好ましくは50〜100℃で実施することができる。
一般には、0.01〜5MPa絶対圧(abs)、好ましくは0.05〜2.5MPa絶対圧、特に好ましくは0.05〜0.14MPa絶対圧、殊に好ましくは大気圧で実施する。
本発明の方法は、付加的な溶剤を使用することなく実施される(“溶剤不含”)か、あるいは不活性溶剤の存在下で実施される。本発明において不活性溶剤とは、設定された反応条件下で、使用された化合物と化学的に反応しない溶剤であると理解する。適した不活性溶剤は、たとえば、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、N−メチルピロリドン、N−メチルピペリドン、ジメチルスルホキシド、トルエン、キシレン、グリコールエーテル(たとえば、1,2−ジメトキシエタン(エチレングリコールジメチルエーテル)、ビス(2−メトキシエチル)エーテル(ジエチレングリコールジメチルエーテル)、トリエチレングリコールジメチルエーテルまたはテトラエチレングリコールジメチルエーテル)、ジメチルホルムアミド、ジメチルホルムアニリド、クロロベンゼンおよびこれらの混合物である。不活性溶剤の添加は、たとえば、相対的に高いモル質量かまたは粘性のホスホン酸誘導体を用いる場合か、あるいは反応条件下で固体であるホスホン酸誘導体を用いる場合には有利である。
場合により添加剤として、いわゆるフリーラジカル阻害剤の存在下で、本発明の方法を実施することは有利である。原則として、適しているフリーラジカル阻害剤は、一般には工業的に常用の阻害剤であり、例えば、N,N’−ビス(1−メチルプロピル)−1,4−フェニレンジアミン、2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノールまたは1,2−ジヒドロキシベンゼン(カテコール)である。フリーラジカル阻害剤が使用される場合には、一般には、フリーラジカル阻害剤およびホスホン酸誘導体およびそれから形成される生成物のリンのモル比が、0.01〜10%、好ましくは0.05〜5%、および特に好ましくは0.5〜3%の量である程度で使用される。
本発明の方法で使用されるホスホン酸誘導体は、一般には公知であり、かつ、たとえば、式II
Figure 2005132840
[式中、R、Rはそれぞれ互いに独立して炭素を含有する有機基を表す]を有する。概念“炭素を含有する有機基”の定義のためには式(I)の基RからRまでの定義における記述を示す。
およびRは(R〜Rから独立して)R〜Rに関して前述した基および群に関して定義したものが有利である。
式(II)のホスホン酸誘導体は、一般には、三塩化リンと相応するアルコールおよび/または相応するフェノールとの反応によって製造される。詳細には、たとえば、ウルマンズ エンシクロペディア オブ インダストリアル ケミストリー(Ullmann's Encyclopedia of Industrial Chemistry)、第6版、1999年、Electronic Release, Chapter“Phosphorus Compounds,Organic Phosphites and Hydrogenphosphonates”に記載されている。
本発明の方法において、ホスホン酸誘導体(II)を使用することが好ましく、この場合、これは、基RおよびRが、それぞれ互いに独立して、
* 非分枝かまたは分枝の、非環式かまたは環式の、非置換かまたは置換された、脂肪族炭素原子1〜20個を有するアルキル基であり、その際、CH基の一つまたはそれ以上は、ヘテロ原子、例えば−O−によってか、またはヘテロ原子含有基、たとえば、−CO−または−NR−によって置換されていてもよく、かつ、その際、一つまたはそれ以上の水素原子は、置換基、例えばアリール(例えばフェニル)、アルキル(例えばC〜C10−アルキル)、ヒドロキシアルキル(例えばC〜C10−ヒドロキシアルキル)、ハロゲンアルキル(例えばC〜C10−ハロゲンアルキル)、アセトキシアルキル(例えばアセトキシ−C〜C10−アルキル)によって置換されていてもよく;
* 単環かまたは二環または三環の縮合環を有する、非置換かまたは置換された芳香族基、その際、一つまたはそれ以上の環原子は、ヘテロ原子、たとえば窒素によって置換されていてもよく、かつ、その際、一つまたはそれ以上の水素原子は、置換基、たとえば、アルキル基またはアリール基によって置換されていてもよいか;
または基R5はR6と一緒になって、
* 非分枝かまたは分枝の、非環式かまたは環式の、非置換かまたは置換された、アルキレン鎖中に4〜10個の原子を有する、C〜C20−アルキレン基を形成し、その際、CH2基はさらにヘテロ原子、たとえば、−CO−、−O−または−NR−によって置換されていてもよく、かつ、その際、水素原子の一つまたはそれ以上は、置換基、たとえばアリール基によって置換されていてもよい。
好ましい基RおよびRの例は、
* C〜C12−アルキル、特に好ましくはメチル、エチル、1−プロピル、2−プロピル、1−ブチル、2−ブチル、2−メチル−1−プロピル、2−メチル−2−プロピル、1−ペンチル、1−ヘキシル、1−オクチル、2−エチル−1−ヘキシル、1−デシルおよび1−ドデシルであり;
* C〜C10−アリール、特に好ましくはフェニルであり;
* C〜C10−アルアルキル、特に好ましくはフェニルメチルであり;かつ、
* C〜C10−アルカリール、特に好ましくは、2−メチルフェニル、3−メチルフェニルおよび4−メチルフェニルである。
本発明の方法において使用されるホスホン酸誘導体は、特に好ましくは、ホスホン酸のジメチルエステル、ジエチルエステル、ジプロピルエステル、ジブチルエステル、ジ(2−エチルヘキシル)エステルまたはジフェニルエステルである。
本発明の方法において使用されるべきアルキンは、式(III)
Figure 2005132840
[式中、RおよびRは、それぞれ互いに独立して、水素または炭素を含有する有機基である。また、RおよびRは互いに結合していてもよい]を有する。“炭素を含有する有機基”の用語は、前記のように、式(I)中の基R〜Rの定義において記載されている。
およびRが(R〜Rから独立して)R〜Rに関して前述された基および群を表すのが有利である。
本発明の方法において、基RおよびRが、それぞれ互いに独立して、
* 水素(H);
* 非分枝かまたは分枝の、非環式かまたは環式の、非置換かまたは置換された、脂肪族炭素原子1〜20個を有するアルキル基であり、その際、CH基の一つまたはそれ以上が、ヘテロ原子、たとえば−O−によってか、またはヘテロ原子含有基、たとえば−CO−または−NR−によって置換されていてもよく、かつ、一つまたはそれ以上の水素原子は、置換基、たとえばアリール基によって置換されていてもよく;
* 単環または二環または三環の縮合環を有する非置換かまたは置換された芳香族基であり、その際、一つまたはそれ以上の環原子は、ヘテロ原子、たとえば、窒素によって置換されていてもよく、かつ、一つまたはそれ以上の水素原子は、置換基、たとえばアルキル基またはアリール基によって置換されていてもよい、
アルキン(III)を使用することが好ましい。
好ましい基RおよびRの例は、
* 水素(H);
* C〜C10−アルキル、特に好ましくはメチル、エチル、1−プロピル、1−ブチル、1−ペンチルおよび1−ヘキシル;
* C〜C10−アリール、特に好ましくはフェニル;
* C〜C10−アルアルキル、特に好ましくはフェニルメチル;および
* C〜C10−アルカリール、特に好ましくは2−メチルフェニル、3−メチルフェニルおよび4−メチルフェニル
である。
特に好ましくは、本発明の方法において、アルキンとしてエチンまたはプロピンを使用することである。
本発明の方法においては、ジメチルエテニルホスホネート、ジエチルエテニルホスホネート、ジ−n−プロピルエテニルホスホネートおよびジ−n−ブチルエテニルホスホネートの製造が特に好ましい。
例えばフェニルアセチレンまたは例えば1−オクチンおよびジメチルホスフィットを使用する際に、次の反応式に相当して、アルケニルホスホン酸ジエステルの3種の異性体が反応生成物として生じることがある(R′=フェニルもしくはR′=ヘキシル):
Figure 2005132840
本発明の方法は、バッチ法、半連続法または連続法で実施することができる。
バッチ法で実施する例示的な実施態様において、両方のホスフィン(b、c)、特に式IおよびIVによる両方のホスフィン、Ni錯体(またはNi(II)化合物および還元剤)、ホスホン酸誘導体、場合により溶剤および場合によりフリーラジカル阻害剤を一緒にし、混合し、かつ、反応条件にする。短時間の後に、一般に1〜60分間、有利に5〜30分間の後に、アルキンを反応条件にした反応混合物中に添加する。反応が完了した後に、反応混合物を、好ましくは蒸留による後処理に通し、かつ、所望のアルケニルホスホン酸誘導体を単離する。
半連続的法を実施するための例示的な実施態様において、両方のホスフィン(b、c)、特に式IおよびIVによる両方のホスフィン、Ni錯体(またはNi(II)化合物および還元剤)、ホスホン酸誘導体、場合により溶剤および場合によりフリーラジカル阻害剤を一緒にし、混合し、かつ、反応温度に導く。次いで、有利には反応混合物を短時間、一般に1〜60分間、有利に5〜30分間反応温度に維持した後に、アルキンを望ましい量に達するまで、連続的に供給する。アルキンの添加は、両方のホスフィン(b、c)、ニッケル錯体(またはNi(II)化合物および還元剤)およびリン酸誘導体を一緒にし、混合し、かつ反応条件にした後が、有利である。この供給は、ガス状または液体の形で実施することができる。液体の形で添加される場合には、純粋な、液体アルキンまたは溶剤中の溶液を使用することもできる。アルキンの供給が終了した後に、反応混合物を、さらなる期間に亘って、反応条件下で保持することができる。反応が完了した後に、反応混合物に好ましくは蒸留による後処理を実施し、かつ、所望のアルケニルホスホン酸誘導体を単離する。
連続法を実施するための例示的な実施態様において、両方のホスフィン(b、c)、特に式IおよびIVによる両方のホスフィン、Ni錯体(またはNi(II)化合物および還元剤)、場合により溶剤および場合によりフリーラジカル阻害剤を、一緒にし、混合し、かつ、反応温度に導く。ホスホン酸誘導体およびアルキンを、その後に連続的に、好ましい割合で計量供給する。一般に、ホスホン酸誘導体を、液体の形で添加し、場合により溶剤中に溶かして添加する。供給は、ガス状かまたは液体の形で実施することができる。液体の形で添加する場合には、純粋な、液体アルキンまたは溶剤中の溶液を使用してもよい。液体反応混合物を連続的に除去し、かつ、形成されたアルケニルホスホン酸誘導体を後続の工程、たとえば蒸留または抽出によって単離する。場合により、相対的に高沸点の副生成物も分離除去する。主に未反応のホスホン酸誘導体および場合により使用した溶剤を含有する残留混合物を、場合により再び戻すこともできる。
本発明の方法は、アルケニルホスホン酸誘導体を、高価な貴金属触媒を使用することなく、有利に150℃未満の反応温度で、簡単に入手可能な出発化合物から出発し、一つの合成工程のみで製造することを可能にする。反応が、極めて選択的な付加反応であるために、共生成物(coproducts)は形成されることなく、かつ少量の副生成物のみが形成される。本発明の方法は、EP−A1−1203773より更に安価な触媒費用で、経済的な方法で、50%、特に75%をかなり上廻る高い収率で達成することを可能にする。
実施例1
内部温度計、冷却器およびガス導入管を備える、三頸フラスコ中で、ジメチルホスフィット27.50gをテトラエチレングリコールジメチルエーテル27mlと混合し、アルゴン下に脱気した。Ni(acac) 0.5モル%およびdppp(dppp=1,3−ビス(ジフェニルホスフィノ)プロパン) 0.5モル%およびトリフェニルホスフィン1モル%を添加した後、この反応溶液を100℃に加熱し、引き続きこの温度で10分間撹拌した。その後、アセチレン8 l/hを100℃で、かつ大気圧で1.5時間かけて反応溶液中に導入した。蒸留処理後に、ビニルホスホン酸ジメチルエステルが、収率80%で単離された。
実施例2(比較例)
内部温度計、冷却器およびガス導入管を備える、三頸フラスコ中で、ジメチルホスフィット27.50gをテトラエチレングリコールジメチルエーテル27mlと混合し、アルゴン下に脱気した。Ni(acac) 0.5モル%およびdppp1モル%を添加した後、この反応溶液を100℃に加熱し、引き続きこの温度で10分間撹拌した。その後、アセチレン8 l/hを100℃で、かつ大気圧で1.5時間かけて反応溶液中に導入した。蒸留処理後に、ビニルホスホン酸ジメチルエステルが、収率80%で単離された。

Claims (14)

  1. 錯体触媒系の存在下にホスホン酸誘導体とアルキンとを反応させることによりアルケニルホスホン酸誘導体を製造する方法において、
    この錯体触媒系が
    (a)ニッケル、
    (b)少なくとも2個の3価のリン原子を有するホスフィンおよび付加的に
    (c)1個の3価のリン原子を有するホスフィン
    を含有することを特徴とする、アルケニルホスホン酸誘導体の製造方法。
  2. ニッケル:(少なくとも2個の3価のリン原子を有するホスフィン):(1個の3価のリン原子を有するホスフィン)のモル比が1:(0.5〜2):(1〜4)である、請求項1に記載の方法。
  3. 少なくとも2個の3価のリン原子を有するホスフィン(b)が、一般式(I)
    Figure 2005132840
    [式中、R、R、RおよびRは、それぞれ互いに独立して、炭素を含有する有機基であり、かつ、Xは炭素を含有する有機架橋基である]のホスフィンである、請求項1または2に記載の方法。
  4. ホスフィン(I)において、R、R、Rおよび/またはRがそれぞれ互いに独立して、非置換かまたは置換されたC〜C12−アルキル基であり、その際、水素、フッ素、塩素、臭素およびヨウ素から成る群からの多くとも1個の原子が、α−炭素原子に結合しており;
    および/またはR、R、Rおよび/またはRが、それぞれ互いに独立して、環原子6個を有する、非置換かまたは置換された芳香族基であり、その際、1個、2個または3個の環原子は、窒素によって置換されていてもよく;
    および/またはRはRと一緒になって、および/またはRはRと一緒になって、鎖中に4〜7個の原子を有し、かつ、全体では炭素原子30個以下である、非置換かまたは置換された脂肪族基、芳香族基または芳香族脂肪族基を表す、請求項3に記載の方法。
  5. ホスフィン(I)において、Xが、鎖中に1〜8個の原子を有し、全体では炭素原子20個以下を有する、非置換または置換された、脂肪族、芳香族、または芳香族脂肪族基を表す、請求項3または4に記載の方法。
  6. ホスフィン(I)において、RからRまでが、それぞれ2−メチル−2−プロピル基またはそれぞれフェニル基であり、かつXが1,2−エチレン基、1,3−プロピレン基、1,4−ブチレン基またはo−キシリレン基である、請求項3から5までのいずれか1項に記載の方法。
  7. 1個の三価のリン原子を有するホスフィン(c)が一般式(IV)
    Figure 2005132840
    [式中、R、R10およびR11はそれぞれ互いに独立して炭素を含有する有機基を表す]のホスフィンである、請求項1から6までのいずれか1項記載の方法。
  8. ホスフィン(IV)において、R、R10および/またはR11が互いに独立して、非置換かまたは置換されたC〜C12−アルキル基であり、その際、水素、フッ素、塩素、臭素およびヨウ素から成る群からの多くとも1個の原子が、α−炭素原子に結合しており;
    および/またはR、R10および/またはR11が、それぞれ互いに独立して、環原子6個を有する、非置換かまたは置換された芳香族基であり、その際、1個、2個または3個の環原子は、窒素によって置換されていてもよく;
    および/またはRはR10と一緒になって、鎖中に4〜7個の原子を有し、かつ、全体で炭素原子30個以下である、非置換かまたは置換された脂肪族基、芳香族基または芳香族脂肪族基を形成する、請求項1から7までのいずれか1項に記載の方法。
  9. 錯体触媒系をNi(0)−錯体および両方のホスフィン(b、c)を一緒にすることにより、またはNi(II)−化合物、還元剤および両方のホスフィン(b、c)を一緒にすることにより製造する、請求項1から8までのいずれか1項に記載の方法。
  10. 錯体触媒系のニッケルを、反応すべきホスホン酸誘導体に対して0.01〜10モル%で使用する、請求項1から9までのいずれか1項記載の方法。
  11. 反応を、20〜150℃の温度で、かつ、0.05〜2.5MPa絶対圧の圧力で実施する、請求項1から10までのいずれか1項に記載の方法。
  12. ホスホン酸誘導体として、ホスホン酸のジメチルエステル、ジエチルエステル、ジプロピルエステル、ジブチルエステル、ジ(2−エチルヘキシル)エステルまたはジフェニルエステルを使用する、請求項1から11までのいずれか1項に記載の方法。
  13. アルキンとしてエチンまたはプロピンを使用する、請求項1から12までのいずれか1項に記載の方法。
  14. 相応するホスホン酸ジアルキルエステルとアセチレンとを反応させることにより、ビニルホスホン酸ジアルキルエステルを製造するための請求項1から13までのいずれか1項に記載の方法。
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