JP2005131513A - マイクロカプセルの製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 本発明の製造方法は、水溶性界面活性剤を含む水系媒体中に疎水性の芯物質を分散させ、前記分散後の水系媒体に水溶性化合物を添加することにより、前記芯物質の表面に前記殻体を形成させるマイクロカプセルの製造方法において、前記水溶性界面活性剤として一般式(1)で表される特定の化合物(A)を用いるとともに、前記水溶性化合物としてエポキシ基またはエピスルフィド基を有する化合物(B)を用い、前記化合物(A)と化合物(B)とを反応させることにより前記殻体を形成させることを特徴とする。
【選択図】 なし
Description
疎水性物質を芯物質としてマイクロカプセル化する技術としては、コアセルベーション法(相分離法)、融解分解冷却法および粉床法等のいわゆる界面沈積法や、界面重合法、インサイチュ(in−situ)法、液中硬化被膜(被覆)法(オリフィス法)および界面反応法(無機化学反応法)等のいわゆる界面反応法などを挙げることができる。なかでも、カプセル殻体の強度や厚さ制御、および、複数層の殻体の形成等の点においてはコアセルベーション法が好ましい。
そこで、本発明が解決しようとする課題は、カプセル殻体の形成効率やマイクロカプセルの収率が高く工業的生産性に優れ、カプセル殻体の厚み、ひいてはマイクロカプセルの強度を容易に制御することができ、幅広い芯物質の粒径に対応するマイクロカプセル化が可能である、マイクロカプセルの製造方法を提供することにある。
以上の知見に基づき、本発明は完成された。
したがって、本発明にかかるマイクロカプセルの製造方法は、水溶性界面活性剤を含む水系媒体中に疎水性の芯物質を分散させ、前記分散後の水系媒体に水溶性化合物を添加することにより、前記芯物質の表面に前記殻体を形成させるマイクロカプセルの製造方法において、前記水溶性界面活性剤として下記一般式(1):
R1−(CH2−CH2−O−)n−X−R2 (1)
(ただし、R1は炭素数5〜25の脂肪族または芳香族の疎水性基を表し、R2は重量平均分子量が300〜100,000のポリアミン構造またはポリカルボン酸構造を有するポリマー基を表し、nは3〜85の整数を表す。Xは、アミノ基、イミノ基およびカルボキシル基からなる群より選ばれる少なくとも1種の基と反応し得る基に由来し、該反応後に形成される基を表すが、有ってもよいし無くてもよい。)
で表される化合物(A)を用いるとともに、前記水溶性化合物としてエポキシ基および/またはエピスルフィド基を有する化合物(B)を用い、前記化合物(A)と化合物(B)とを反応させることにより前記殻体を形成させることを特徴とする。
本発明の製造方法は、水溶性界面活性剤を含む水系媒体中に疎水性の芯物質を分散させ、該分散後の水系媒体に水溶性化合物を添加することにより、芯物質の表面に殻体を形成させるにあたり、水溶性界面活性剤としては前述した化合物(A)を用いるとともに、水溶性化合物としては前述した化合物(B)を用い、これら化合物(A)と化合物(B)とを反応させることにより殻体を形成させるようにすることが重要である。つまり、本発明においては、水溶性化合物である化合物(B)のみならず、水溶性界面活性剤である化合物(A)も、カプセル殻体の原料化合物となる。
以下、本発明を実施する上でのマイクロカプセルの一般的な製造方法を説明するとともに、本発明の製造方法の特徴についても詳細に説明する。本発明を実施においては、以下に示す以外の技術および条件等は、上記コアセルベーション法によるマイクロカプセルの製造方法において通常採用され得る技術および条件等が適宜適用できる。
本発明の製造方法においては、まず、特定の水溶性界面活性剤を含む水系媒体中に疎水性の芯物質を分散させるようにする。
上記親水性の有機溶剤としては、限定はされないが、例えば、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、n−プロピルアルコール、アリルアルコール等のアルコール類;エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ヘキシレングリコール、ペンタンジオール、ヘキサンジオール、ヘプタンジオール、ジプロピレングリコール等のグリコール類;アセトン、メチルエチルケトン、メチルプロピルケトン等のケトン類;ギ酸メチル、ギ酸エチル、酢酸メチル、アセト酢酸メチル等のエステル類;ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル等のエーテル類;などが好ましく挙げられる。これらは単独で用いても2種以上を併用してもよい。
本発明の製造方法に用い得る疎水性の芯物質としては、実質的に水に不溶性であり、形成されるカプセル殻体とその機能を該する程度に相互作用しないものであれば、限定はされないが、例えば、キシレン、トルエン、ベンゼン、ドデシルベンゼン、ヘキシルベンゼン、フェニルキシリルエタンおよびナフテン系炭化水素などの芳香族炭化水素類;シクロヘキサン、n−ヘキサン、ケロシン、パラフィン系炭化水素などの脂肪族炭化水素類;などが挙げられる。これらは、単独で用いてもよいし、必要に応じ2種以上を併用してもよい。
R1−(CH2−CH2−O−)n−X−R2 (1)
(ただし、R1は炭素数5〜25の脂肪族または芳香族の疎水性基を表し、R2は重量平均分子量が300〜100,000のポリアミン構造またはポリカルボン酸構造を有するポリマー基を表し、nは3〜85の整数を表す。Xは、アミノ基、イミノ基およびカルボキシル基からなる群より選ばれる少なくとも1種の基と反応し得る基に由来し、該結合後に形成される基を表すが、有ってもよいし無くてもよい。)
で表される化合物(A)を用いるようにすることが重要である。該化合物(A)を用いることにより、前述した本発明の課題を容易に解決できる。
上記R1で表される疎水性基の炭素数は5〜25であるが、好ましくは5〜18である。上記炭素数が5未満であると、化合物(A)が十分な界面活性能を発現しないおそれがあり、25を超えると疎水性が高くなり過ぎて化合物(A)の水への溶解性が低下するおそれがある。
上記一般式(1)においては、Xは、アミノ基、イミノ基およびカルボキシル基からなる群より選ばれる少なくとも1種の基と反応(結合反応)し得る基に由来し、該反応(結合反応)後に形成される基を表すが、一般式(1)中に有ってもよいし無くてもよい。ここで、上記アミノ基、イミノ基およびカルボキシル基とは、詳しくは、ポリアミン構造を有するポリマー中に存在し得るアミノ基およびイミノ基、ならびに、ポリカルボン酸構造を有するポリマー中に存在し得るカルボキシル基のことをいうとするが、これらの基からなる群より選ばれる少なくとも1種の基と反応し得る基としては、下記一般式(3)中のX2で表される基が例示できる。上記Xで表される基としては、具体的には、下記構造式(b)で表される基に由来する「−CH2−CH2−S−」や、イソシアネート基に由来する「−NH−CO−」や、オキサゾリン基に由来する「−CO−NH−CH2−CH2−」や、アルデヒド基に由来する「−CH(OH)−」や、カルボキシル基に由来する「−CO−」や、アミノ基に由来する「−NH−」や、イミノ基に由来する「=N−」等が例示できる。
上記一般式(1)で表される化合物(A)の調製方法は、限定はされないが、例えば、ポリアミンまたはポリカルボン酸の水溶液に、撹拌下で、下記一般式(2)や下記一般式(3)で表される化合物を滴下し、反応させることによって得る方法等が好ましい。
(ただし、X1は、下記構造式(a):
R1−(CH2−CH2−O−)n−X2 (3)
(ただし、X2は、下記構造式(b):
上記一般式(2)で表される化合物を、化合物(A)の調製の際に使用した場合は、上記一般式(1)において、Xで表される基は存在しないことになる。一方、上記一般式(3)で表される化合物を使用した場合、上記一般式(1)において、Xで表される基が存在することになる。
本発明の製造方法においては、水溶性界面活性剤として用いる上記化合物(A)は、水系媒体中に疎水性の芯物質を分散させる前から該水系媒体に溶解させておいてもよいし、分散させた後に溶解させてもよく、限定はされない。
上記特定の水溶性化合物としては、エポキシ基またはエピスルフィド基を有する化合物(B)を用いるようにすることが重要である。前述した化合物(A)と、該化合物(B)とを組み合わせて用いることにより、前述した本発明の課題を容易に解決できる。なお、化合物(B)におけるエポキシ基としては、前記構造式(a)で表される基や下記構造式(c):
上記エポキシ基を有する化合物(B)としては、限定はされないが、1分子内に2個以上のエポキシ基を有する水溶性エポキシ化合物が好ましく、例えば、ソルビトールポリグリシジルエステル、ソロビタンポリグリシジルエステル、(ポリ)グリセロールポリグリシジルエステル、ペンタエリスリトールポリグリシジルエステル、トリグリシジルトリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレート、トリメチロールプロパンポリグリシジルエステル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエステル、エチレン,ポリエチレングリコールジグリシジルエステル、プロピレン,ポリプロピレングリコールジグリシジルエステルおよびアジピックアシドジグリシジルエステルなどが挙げられる。これらは、単独で用いても2種以上を併用してもよい。
上記化合物(B)は、水に対する溶解率が30重量%以上であることが好ましく、より好ましくは40重量%以上、さらに好ましくは50重量%以上である。化合物(B)の水に対する溶解率が上記範囲を満たすことにより、化合物(A)との反応が均一かつ速やかに行われ、カプセル殻体の形成が均一かつ速やかになされ、また、カプセル殻体の厚みや強度等の制御性が良好となる等の優れた効果が得られる。一方、上記溶解率が30重量%未満であると、化合物(A)との反応が不均一になり、カプセル殻体の形成も不均一になされるおそれがある。なお、本発明においては、化合物(B)の水に対する溶解率とは、後述する実施例に記載の方法により求められる値であるとする。
上記化合物(B)の水系媒体への添加方法は、限定はされず、一括添加であってもよいし、逐次添加(連続的添加および/または間欠的添加)であってもよい。
上記化合物(A)と化合物(B)との反応温度は、限定はされないが、化合物(A)としてR2がポリアミン構造を有するポリマー基である化合物を使用する場合は、25〜75℃が好ましく、より好ましくは30〜75℃であり、化合物(A)としてR2がポリカルボン酸構造を有するポリマー基である化合物を使用する場合は、40〜95℃が好ましく、より好ましくは45〜90℃である。また、反応時間は、限定はされないが、3〜24時間が好ましく、より好ましくは3〜12時間である。
本発明の製造方法においては、疎水性芯物質を分散させた後の水系媒体に、上記化合物(B)以外に、架橋剤を添加することができる。架橋剤をさらに添加し使用することで、形成されるカプセル殻体の強度をより高めることができ、マイクロカプセル化後の単離や洗浄工程において殻体が崩壊したり損傷を受けたりすることを効果的に抑制できる。上記架橋剤の添加のタイミングは、化合物(B)とともに添加する等、上記化合物(A)と化合物(B)とを反応させる前であってもよいし、あるいは、上記化合物(A)と化合物(B)との反応途中や反応後であってもよく、限定はされない。
本発明の製造方法においては、必要に応じて、上記マイクロカプセルの調製液に、さらに化合物(A)を添加し、さらに化合物(B)を添加して、前述と同様の反応をさせてもよく、こうすることで、一旦形成されたカプセル殻体の上にさらに同様の殻体を形成することができ、結果として、複数層からなる殻体が形成されたマイクロカプセルが得られる。複数層からなる殻体が形成されたマイクロカプセルは、例えば、カプセル殻体の内側と外側とで異なる物性を発現させることができる、あるいは、カプセル殻体本来の性能を保持しながらさらに粘着性や高い親水性や柔軟性等の物性を容易に導入できる等の効果が発揮できる。
上記単離後は、さらに粒度分布のシャープなマイクロカプセルを得るために、マイクロカプセルを分級してもよい。
上記分級は、例えば、湿式による分級方式(湿式分級)を採用することが好ましい。湿式分級とは、マイクロカプセル化により得られた調製液に対してマイクロカプセルの分級を行う方式である。上記調製液に対して分級を行うため湿式分級となる。詳しくは、上記調製液を、そのままでもしくは任意の水系媒体などで希釈して分級処理し、調製液中のマイクロカプセルを所望の粒径や粒度分布を有するものとなるよう分級する方式である。湿式分級は、例えば、ふるい式(フィルター式)、遠心沈降式および自然沈降式等の方式を用いた方法や装置により行うことができる。比較的粒子径の大きいマイクロカプセルに対しては、ふるい式が有効に使用できる。
本発明の製造方法により得られるマイクロカプセルについて、以下に説明する。
得られるマイクロカプセルの形状は、限定されないが、真球状等の粒子状であることが好ましい。
得られるマイクロカプセルの粒子径(体積平均粒子径)は、限定されないが、5〜500μmであることが好ましく、より好ましくは10〜300μm、さらにより好ましくは10〜200μmである。マイクロカプセルの粒子径が5μm未満である場合、芯物質を内包しないマイクロカプセルが生成するおそれがあり、500μmを超えると、通常マイクロカプセルとして要求される物性を保持することができなくなる、または、マイクロカプセルの強度を制御することが困難になるおそれがある。
得られるマイクロカプセルの粒子径や、その変動係数(すなわち粒度分布のシャープさ)は、芯物質として液状物質(例えば油性液等)を用いた場合においては、水系媒体に分散させた液滴の粒子径や粒度分布に大きく依存する。よって、分散条件を適宜調整して行うことによって、所望の粒子径やその変動係数を有するマイクロカプセルを得ることができる。
得られるマイクロカプセルは、例えば、カプセル型接着剤、カプセル型化粧品、マイクロカプセル型磁性体およびマイクロカプセル型蓄熱材等の各種用途や製品に好ましく用いることができるが、これらに限定はされない。
実施例および比較例における、測定方法を以下に示す。
<マイクロカプセルの粒子径>
レーザー回折/散乱式粒度分布測定装置(製品名:LA−910、堀場製作所社製)を用いてマイクロカプセルの体積平均粒子径を測定した。
<マイクロカプセルの殻体(シェル層)の厚さ>
マイクロカプセルの分散体から、粒子径約50μmのマイクロカプセルを任意に10個選択して取り出し、それぞれのカプセル殻体(シェル層)の厚みについて、マイクロスコープ(製品名:パワーハイスコープKH−2700、(株)ハイロックス製)で倍率を2500倍にして測定した。これらの平均値を、得られたマイクロカプセルのカプセル殻体(シェル層)の厚みとした。
マイクロカプセルの強度(カプセル殻体の強度)を、加熱時の殻体の乾燥収縮および芯物質の温度膨張への対応能力の面から評価した。
具体的には、マイクロカプセルの分散体からマイクロカプセルをろ別し、マイクロカプセルのペーストを得て、一旦このペーストを50℃の熱風乾燥機で乾燥した後の重量(重量a)を測定した。その後、110℃で2時間加熱し、さらに同温度で2時間加熱した。初めに2時間加熱した後の重量(重量b1)と、さらに2時間加熱した後(すなわち4時間加熱後))の重量(重量b2)とを測定し、各時点における重量減少率(wt%)を下記式により求めた。
マイクロカプセルの実際の使用時においては、加熱により殻体を十分に乾燥させてから用いるのが一般的であり、また加熱条件下で継続使用することも多いが、この加熱の際には殻体の乾燥収縮や芯物質の温度膨張が生じるため、強度が低い殻体は破損・破壊してしまう。特に、芯物質として液状物質を用いた場合は、上記破損等が生じると該液状物質が漏れ出し蒸発等するため、加熱後のマイクロカプセルの重量は加熱前に比べて大きく減少することになる。そこで、この重量減少率の大小によりマイクロカプセルの強度を評価した。
300mLのビーカーに、試料化合物(例えば、化合物(B)等のエポキシ化合物)25.0gを精秤し、水225gを添加し、マグネチックスターラーで1時間強く撹拌して試料化合物を溶解させる。その後1時間静置し、ビーカーの底部に沈降した未溶解の試料化合物(油状物)を抜き取り、10mL(もしくは5mL)のメスシリンダーに入れ、さらに30分静置後、試料化合物(油状物)の液量(mL)を小数点以下第1位まで読み取り、その値を下記式に代入して、試料化合物の水に対する溶解率(%)を算出する。
水に対する溶解率(%)=100−(A/21)×100
(ただし、Aは、読み取った試料化合物の液量(mL)を表す。)
〔合成例1〕
300mLのセパラブルフラスコに、ポリエチレンイミン(製品名:エポミンSP006(Mw=600)、(株)日本触媒製)14.5gおよび水43.5gを初期仕込みし、その後、撹拌下で、予め調製しておいたエポキシ化合物(ラウリルポリオキシエチレン(n=22)グリシジルエステル、水に対する溶解率:100%)の25wt%水溶液97.2gを10分間かけて滴下した。
〔合成例2〕
合成例1において、ポリエチレンイミン(製品名:エポミンSP006(Mw=600)、(株)日本触媒製)24gおよび水72gを初期仕込みし、その後、撹拌下で、予め調製しておいたエポキシ化合物(ラウリルポリオキシエチレン(n=10)グリシジルエステル、水に対する溶解率:80%)の25wt%水溶液96gを滴下した以外は、合成例1と同様にして、分散性能を有する固形分濃度25wt%の化合物(A2)を得た。
500mLのセパラブルフラスコに、ポリアクリル酸(製品名:アクアリックHL−415(Mw=10,000、45wt%水溶液)、(株)日本触媒製)93.7gおよび水281.1gを初期仕込みし、その後、撹拌下で、予め調製しておいたエポキシ化合物(フェノールポリオキシエチレン(n=5)グリシジルエステル、水に対する溶解率:100%)の25wt%水溶液20gを10分間かけて滴下した。
滴下時の液温を25℃以下に保ちながら滴下したのち、滴下終了後30分間撹拌を続け、その後70℃まで昇温し、同温度で2時間保持したのちに常温まで冷却し、分散性能を有する固形分濃度25wt%の化合物(A3)を得た。
合成例1において、ポリエチレンイミン(製品名:エポミンSP018(Mw=1,800)、(株)日本触媒製)41.9gおよび水125.7gを初期仕込みした以外は、合成例1と同様にして、分散性能を有する固形分濃度25wt%の化合物(A4)を得た。
〔合成例5〕
合成例1において、ポリエチレンイミン(Mw=200)124.2gおよび水124.2gを初期仕込みし、その後、撹拌下で、予め調製しておいたエポキシ化合物(フェノールポリオキシエチレン(n=5)グリシジルエステル、水に対する溶解率:63%)の50wt%水溶液100gを滴下した以外は、合成例1と同様にして、分散性能を有する固形分濃度50wt%の化合物(A5)を得た。
合成例1において、ポリエチレンイミン(Mw=180,000)83.7gおよび水334.8gを初期仕込みし、その後、撹拌下で、予め調製しておいたエポキシ化合物(セリルポリオキシエチレン(n=88)グリシジルエステル、水に対する溶解率:80%)の20wt%水溶液15gを滴下した以外は、合成例1と同様にして、分散性能を有する固形分濃度20wt%の化合物(A6)を得た。
〔実施例1〕
500mL平底セパラブルフラスコに、化合物(A1)40gおよび水60gを仕込み、ディスパー(製品名:ROBOMICS、特殊機化工業社製)での撹拌下で、予め調製しておいたアルキルナフタレン94gにアゾ系の青色オイル染料6gを溶解させた青色疎水性液100gを添加し、その後、撹拌速度を徐々に上げ、800rpmで5分間撹拌し懸濁液を得た。
次いで、60分かけて70℃まで昇温し、同温度を2時間保持し熟成させた。
熟成後、常温に冷却し、マイクロカプセル(1)の分散体を得た。
〔実施例2〕
実施例1において、化合物(A1)の代わりに化合物(A2)を使用し、さらに、エポキシ化合物(化合物(B))の水溶液としてポリグリセロールポリグリシジルエステル(製品名:デナコールEX521、ナガセケムテック(株)製、水に対する溶解率:100%)8gとプロピレン,ポリプロピレングリコールジグリシジルエステル(製品名:デナコールEX920、ナガセケムテック(株)製、水に対する溶解率:100%)8gとを水100gに溶解させた水溶液を使用した以外は、実施例1と同様にして、マイクロカプセル(2)の分散体を得た。
〔実施例3〕
500mL平底セパラブルフラスコに、化合物(A3)40gおよび水60gを仕込み、ディスパー(製品名:ROBOMICS、特殊機化工業社製)での撹拌下で、予め調製しておいたアルキルナフタレン94gにアゾ系の青色オイル染料6gを溶解させた青色疎水性液100gを添加し、その後、撹拌速度を徐々に上げ、800rpmで5分間撹拌し懸濁液を得た。
次いで、化合物(A3)5gを水30gに溶解させた水溶液を5分間滴下し、さらにエポキシ化合物(化合物(B))としてポリグリセロールポリグリシジルエステル(製品名:デナコールEX521、ナガセケムテック(株)製、水に対する溶解率:100%)5gとプロピレン,ポリプロピレングリコールジグリシジルエステル(製品名:デナコールEX920、ナガセケムテック(株)製、水に対する溶解率:100%)10gとを水50gに溶解させた水溶液を10分間滴下した。
熟成後、常温まで冷却し、マイクロカプセル(3)の分散体を得た。
得られたマイクロカプセル(3)の粒子径、シェル層の厚さおよび強度について測定・評価した。これらの結果を表1に示す。また、マイクロスコープ(製品名:パワーハイスコープKH−2700、(株)ハイロックス製)で倍率を2500倍にして観察したところ、マイクロカプセル(3)はシェル層が2層形成されていることが確認できた。
実施例1において、化合物(A1)の代わりに化合物(A4)を使用し、さらに、エポキシ化合物(化合物(B))の水溶液としてソルビトールポリグリシジルエステル(製品名:デナコール614B、ナガセケムテック(株)製、水に対する溶解率:90%)7gとエチレン,ポリエチレングリコールジグリシジルエステル(製品名:デナコールEX841、ナガセケムテック(株)製、水に対する溶解率:100%)10gとを水75gに溶解させた水溶液を使用した以外は、実施例1と同様にして、マイクロカプセル(4)の分散体を得た。
〔比較例1〕
実施例1において、化合物(A1)の代わりに化合物(A5)を使用し、さらに、ディスパーでの撹拌の撹拌速度を2,850rpmまで上げて5分間撹拌した以外は、実施例1と同様にして、マイクロカプセル(c1)の分散体を得た。実施例1と同様の撹拌速度(800rpm)では疎水性液の液滴粒径が所望の大きさ(約60μm)まで十分に小さくならなかったため、撹拌速度を上記のように2,850rpmまで上げて撹拌するようにしたが、およそ所望の液滴粒径にすることはできたものの、十分に安定した懸濁状態(単分散状態)が得られず、結果として、マイクロカプセル(c1)の分散体においては、マイクロカプセルの凝集が多く認められた。
〔比較例2〕
実施例1において、化合物(A1)の代わりに化合物(A6)を使用し、さらに、ディスパーでの撹拌の撹拌速度を500rpmまで上げたところで留め5分間撹拌した以外は、実施例1と同様にして、マイクロカプセル(c2)の分散体を得た。疎水性液の懸濁液の粘度が高く、実施例1と同様の撹拌速度(800rpm)まで上げなくても、上記のように500rpmまで上げたところで所望の液滴粒径(約60μm)にすることができた。
〔比較例3〕
500mL平底セパラブルフラスコに、10wt%ポリビニルアルコール(製品名:PVA205、クラレ(株)製)水溶液10g、10wt%カルボキシメチルセルロース水溶液10gおよび水180を仕込んで均一化したのち、ディスパー(製品名:ROBOMICS、特殊機化工業社製)での撹拌下で、予め調製しておいたアルキルナフタレン144gにアゾ系の青色オイル染料6gを溶解させた青色疎水性液150gを添加し、その後、撹拌速度を徐々に上げ、13,800rpmで5分間撹拌し懸濁液を得た。
希釈した懸濁液の液温を10℃に冷却し、50wt%グルタールアルデヒド水溶液3gおよび37wt%ホルムアルデヒド水溶液3gを添加し、さらに、3,9−ビス(5−アミノぺンチル)−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカン33.1gを60℃に加温溶解し、これにブチルグリシジルエーテル13.0gを20分間滴下し、同温度で2時間反応させて得られた反応物10gを水50gに溶解させた水溶液を滴下した。
熟成後、常温に冷却し、マイクロカプセル(c3)の分散体を得た。
得られたマイクロカプセル(c3)の粒子径、シェル層の厚さおよび強度について測定・評価した。これらの結果を表1に示す。
〔比較例4〕
500mL平底セパラブルフラスコに、カチオン変性ポリアミドエポキシ樹脂(製品名:スミレッズ650SP、住友化学(株)製)の6wt%水溶液200gを仕込み、ディスパー(製品名:ROBOMICS、特殊機化工業社製)での撹拌下で、予め調製しておいた、アルキルナフタレン94gにアゾ系の青色オイル染料6gを溶解させた青色疎水性液100gを添加し、その後、撹拌速度を徐々に上げ、13,800rpmで5分間撹拌し懸濁液を得た。
その後、45℃に昇温し、同温度を3時間保持して熟成させた。
熟成後、常温に冷却し、マイクロカプセル(c4)の分散体を得た。
得られたマイクロカプセル(c4)の粒子径、シェル層の厚さおよび強度について測定・評価した。これらの結果を表1に示す。
〔比較例5〕
実施例1において、エポキシ化合物(化合物(B))として、ポリグリセロールポリグリシジルエステルの代わりに、ソジュームアクリレート/ヒドロキシアクリレート/グリシジルメタクリレートの共重合体(Mw=113,000、水に対する溶解率:35%)を使用した以外は、実施例1と同様にして、マイクロカプセル(c5)の分散体を得た。ところが、マイクロカプセル(c5)の分散体においては、複数の疎水性液の液滴(芯物質)を包含した状態でマイクロカプセル化がなされている粒子が多く認められた。
Claims (6)
- 水溶性界面活性剤を含む水系媒体中に疎水性の芯物質を分散させ、前記分散後の水系媒体に水溶性化合物を添加することにより、前記芯物質の表面に前記殻体を形成させるマイクロカプセルの製造方法において、
前記水溶性界面活性剤として下記一般式(1):
R1−(CH2−CH2−O−)n−X−R2 (1)
(ただし、R1は炭素数5〜25の脂肪族または芳香族の疎水性基を表し、R2は重量平均分子量が300〜100,000のポリアミン構造またはポリカルボン酸構造を有するポリマー基を表し、nは3〜85の整数を表す。Xは、アミノ基、イミノ基およびカルボキシル基からなる群より選ばれる少なくとも1種の基と反応し得る基に由来し、該反応後に形成される基を表すが、有ってもよいし無くてもよい。)
で表される化合物(A)を用いるとともに、前記水溶性化合物としてエポキシ基またはエピスルフィド基を有する化合物(B)を用い、
前記化合物(A)と化合物(B)とを反応させることにより前記殻体を形成させる、
ことを特徴とする、マイクロカプセルの製造方法。 - 前記化合物(B)は水に対する溶解率が50重量%以上の化合物である、請求項1に記載のマイクロカプセルの製造方法。
- 前記化合物(B)は重量平均分子量が300〜100,000の化合物である、請求項1または2に記載のマイクロカプセルの製造方法。
- 前記化合物(A)1重量部に対して前記化合物(B)を0.1〜10重量部添加する、請求項1から3までのいずれかに記載のマイクロカプセルの製造方法。
- 前記芯物質に対する前記化合物(A)の配合割合が5〜50重量%である、請求項1から4までのいずれかに記載のマイクロカプセルの製造方法。
- 前記分散後の水系媒体にさらに架橋剤をも添加する、請求項1から5までのいずれかに記載のマイクロカプセルの製造方法。
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