JP2005129686A - 半導体発光素子 - Google Patents

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山根  真
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Abstract

【課題】発光波長が互いに異なる複数のレーザをモノリシック構造で形成することにより、使用材料を低減でき、素子サイズを小型化でき、組立工数を削減できる半導体発光素子を提供する。
【解決手段】半導体単結晶からなるn型基板101と、n型基板101の裏面に設けられたn電極119と、n型基板101の表面上に形成されたn型クラッド層103と、その上に形成された電流層104と、その上に積層形成された発光層105,108と、その上に形成された電流層107と、その上に形成されたp型クラッド層113と、その上に形成されたp型コンタクト層114と、p型コンタクト層114上に設けられた電極115,116とを備え、p型コンタクト層114からn型クラッド層103の表面まで形成されて、発光層105,108および電流層104,107を仕切る絶縁層111を設けたことを特徴とする半導体発光素子。
【選択図】 図1

Description

本発明は、4元系化合物半導体や窒化ガリウム系化合物半導体等によって構成された半導体発光素子に関する。特に、可視レーザ(600〜680[nm]),赤外レーザ(700〜800[nm])を1素子上に形成した2波長半導体レーザ素子、青色レーザ(450〜490[nm]),緑色レーザ(500〜540[nm]),赤色レーザ(620〜660[nm])を1素子上に形成した3波長半導体レーザ素子、青紫レーザ(400〜450[nm]),可視赤色レーザ(600〜680[nm]),赤外レーザ(700〜800[nm])を1素子上に形成した3波長半導体レーザ素子等、1素子上に複数の波長を有するレーザをモノリシックに形成した半導体発光素子に関する。
近年、InGaAlPを用いた4元系可視レーザと、GaAlAsを用いた赤外レーザとが併用して使用される場合が増えている。このため、発光波長が互いに異なる複数の半導体発光素子を1パッケージに並列載置したものがある。さらに、従来の半導体発光素子には、発光波長が互いに異なる複数の半導体発光構造を、同じ1つの半導体基板に並列載置して、1つの半導体発光素子としたものがある(例えば特許文献1参照)。
特開平11−121806号公報(図3(a))
しかしながら、上記従来の半導体発光素子には、使用材料の低減、素子サイズの小型化、組立工数の削減等についての課題があった。
本発明は、このような従来の課題を解決するためになされたものであり、発光波長が互いに異なる複数のレーザをモノリシック構造で形成することにより、使用材料を低減でき、素子サイズを小型化でき、組立工数を削減できる半導体発光素子を提供することを目的とするものである。
上記目的を達成するために、本発明の半導体発光素子は、
半導体単結晶からなる第1導電型基板と、
前記第1導電型基板の裏面に設けられた第1の電極と、
前記第1導電型基板の表面上に形成された第1導電型クラッド層と、
前記第1導電型クラッド層上に形成された第1の電流層と、
前記第1の電流層上に積層形成されたn(nは2以上の整数)個の発光層と、
前記n個の発光層上に形成された第2の電流層と、
前記第2の電流層上に形成された第2導電型クラッド層と、
前記第2導電型クラッド層上に形成された第2導電型コンタクト層と、
前記第2導電型コンタクト層上に設けられたn個の第2の電極と
を備え、
第2導電型コンタクト層から第1導電型クラッド層の表面まで形成されて、前記n個の発光層および前記両電流層をn個の領域に仕切る(n−1)個の絶縁層を設けことを特徴とする。
本発明の半導体発光素子によれば、モノリシック構造で発光波長が互いに異なる複数のレーザを1素子上に形成できるので、使用材料を低減でき、素子サイズを小型化でき、組立工数を削減できるという効果がある。
実施の形態1
図1は本発明の実施の形態1である1素子2波長の半導体レーザ素子の基本的な構成を示す正面図である。また、図2は図1の本発明の実施の形態1の半導体レーザ素子においてのp電極の配置を示す上面図である。
図1において、実施の形態1の半導体レーザ素子は、基板101と、n型クラッド層103と、第1の電流層104と、第1の発光層(または第1の活性層)105と、第1の光ガイド層106と、第2の発光層(または第2の活性層)108と、第2の電流層107と、第2の光ガイド層109と、p型クラッド層113と、p型コンタクト層114と、p電極115,116と、n電極119と、絶縁層111とを備えた構成である。
[基板101,n型クラッド層103]
基板101は、n型のGaAs(n−GaAs)からなり、1.43[eV]のバンドギャップエネルギーを有する。このn型基板101の表面上には、例えば、n型のIn0.09Ga0.91Pからなり、2.21[eV]のバンドギャップエネルギーを有するクラッド層103が形成される。
[第1の電流層104,第1の発光層105]
n型クラッド層103の表面上には、例えば、(In0.5Ga0.5)0.95Al0.05Pからなり、1.86[eV]のバンドギャップエネルギーを有する第1の電流層104が形成される。第1の電流層104の表面上には、例えば、(In0.5Ga0.5)0.87Al0.13Pからなり、1.91[eV]のバンドギャップエネルギーを有し、可視赤色のレーザ光(波長600〜680[nm])を発光する第1の発光層(または第1の活性層)105が形成される。
[第1の光ガイド層106]
A部の第1の電流層104および第1の発光層105にAlイオンを打ち込み、(In0.5Ga0.5)0.74Al0.26Pからなり、2.0[eV]のバンドギャップエネルギーを有する第1の光ガイド層106(厚さ約40〜80[nm])が形成される。より具体的には、注入物質であるAlを含むソーズガスをアーク放電によりプラズマ化させた後、質量分析器により注入物質イオンを分離し、このイオンを(In0.5Ga0.5)0.95Al0.05Pからなる第1の電流層104、(In0.5Ga0.5)0.87Al0.13Pからなる第1の発光層105に加速電圧10〜120[keV]で打ち込む。注入エネルギーにより不純物分布の深さを約40〜80[nm]、イオン電流により添加不純物量(ドーズ量)を2×1015[atoms/cm]以上に制御する。その後、加熱により打ち込こんだイオンを活性化させる。
[第2の発光層108]
第1の発光層105の上部には、例えば、Ga0.79Al0.21Asからなり、1.59[eV]のバンドギャップエネルギーを有し、赤外のレーザ光(波長700〜800[nm])を発光する第2の発光層(または第2の活性層)108が形成される。
第1の発光層105と第2の発光層108間の距離は、10〜70[Å]で構成されており、第1の発光層105と第2の発光層108の間には、バリア層は設けられていない。
[第2の電流層107]
第2の発光層108の表面上には、例えば、Ga0.86Al0.14Asからなり、1.54[eV]のバンドギャップエネルギーを有する第2の電流層107が形成される。
[第2の光ガイド層109]
第2の発光層108、第2の電流層107のB部の領域に、Alイオンを打ち込み、Ga0.26Al0.74Asからなり、2.0[eV]のバンドギャップエネルギーを有する第2の光ガイド層109(厚さ約40〜80[nm])を形成する。より具体的には、注入物質であるAlを含むソーズガスをアーク放電によりプラズマ化させた後、質量分析器により注入物質イオンを分離し、このイオンを第2の電流層107、第2の発光層108に加速電圧10〜120[keV]で打ち込む。注入エネルギーにより不純物分布の深さを約40〜80[nm]、イオン電流により添加不純物量(ドーズ量)を2×1015[atoms/cm]以上に制御する。その後、加熱により打ち込こんだイオンを活性化させる。
[p型クラッド層113,p型コンタクト層114]
A部の第2の電流層107およびB部の第2の光ガイド層109の表面上には、例えば、p型のIn0.09Ga0.91Pからなり、2.21[eV]のバンドギャップエネルギーを有するクラッド層113が形成されている。p型クラッド層113の表面上には、例えば、p型のGaAs(p−GaAs)からなり、1.43[eV]のバンドギャップエネルギーを有するコンタクト層114が形成されている。
n型クラッド層103,第1の電流層104,第1の発光層105,第2の発光層108,第2の電流層107,p型クラッド層113,p型コンタクト層114は、有機金属気相成長法(以下、MOCVD法という)等により順次形成される。
[p電極115,116,n電極119]
図2にも示すように、A部のp型コンタクト層114の表面上には、Auからなるp電極115、B部のp型コンタクト層114の表面上には、Auからなるp電極116が、それぞれ形成されている。基板101の裏面には、Au等からなるn電極119が形成されている。ここで、p電極115,116およびn電極119は、スパッタリング法等により、p電極115,116についてはp型コンタクト層114の表面上にAuからなる金属膜を、n電極119についてはn型GaAs基板101の裏面上にAu等からなる金属膜を、それぞれ形成したものである。
[絶縁層111]
A部の領域とB部の領域の境界(残された第1の発光層105と残された第2の発光層108との境界)には、p型コンタクト層114からn型クラッド層103の上面(表面)まで、ICP(Inductively Coupled Plasama)エッチングを用いてビアホールが形成され、このビアホールには、絶縁層111が形成される。さらに詳しくは、電離度が高いプラズマではイオン対中性ラジカルの比が大きくなるためイオン主体のエッチングとなり、高アスペクト比の微細加工(上記ビアホールの形成)が可能となる。この後、CVD法等により、SiO2またはSiNx等による絶縁層111を上記第1の発光層105と上記第2の発光層108との間に形成し、それぞれの発光層を電気的および光学的に分離する。このため、A部の領域とB部の領域とは、お互いに電気的・光学的クロストークなどの影響がなくなる。
上記構成において、n型クラッド層103の屈折率は2.95、第1の電流層104の屈折率は3.17、第1の発光層105の屈折率は3.15、第1の光ガイド層106の屈折率3.14、第2の発光層108の屈折率は3.58、第2の電流層107の屈折率は3.58、第2の光ガイド層109の屈折率3.13、p型クラッド層113の屈折率は2.95、p型コンタクト層114の屈折率は3.59である。
[実施の形態1のA部の動作]
この実施の形態1の半導体レーザ素子のA部においては、第2の電流層107が電流集中層として作用することに特徴がある。
図1の実施の形態1の半導体レーザ素子のA部において、p電極115とn電極119の間の印加電圧(駆動電圧)を、第2の電流層107のバンドギャップエネルギー(1.54[eV])に相当する電圧まで除々に上げていくと、n型クラッド層103(バンドギャップエネルギー2.21[eV]),第1の光ガイド層106(バンドギャップエネルギー2.0[eV]),第2の発光層108(バンドギャップエネルギー1.59[eV]),第2の電流層107(バンドギャップエネルギー1.54[eV]),p型クラッド層113(バンドギャップエネルギー2.21[eV])の内で、第2の電流層107のバンドギャップエネルギーが最も小さいため、n型クラッド層103からp側に流れる電子は、第2の電流層107の伝導帯に流れ込み、p型コンタクト層114からn側に流れる正孔は、第2の電流層107の価電子帯に流れ込む。
ここで、両電極115,119間には、第2の電流層107のバンドギャップエネルギー(1.54[eV])に相当する電圧が印加されており、第2の発光層108のバンドギャップエネルギー(1.59[eV])に相当する電圧は印加されていないが、第2の電流層107は、バンドギャップエネルギーが最も小さい層であるため、p電極115から注入された電流は、第2の発光層108に接する第2の電流層107に集中して流れようとする(電流集中作用)。従って、p電極115から注入された電流が第2の電流層107に無駄なく流れるようになるため、この第2の電流層107に接して形成されている第2の発光層108の電流密度が増加することになる。従って、しきい値電流が低減されることになり、駆動電圧を、第2の発光層108のバンドギャップエネルギー(1.59[eV])に相当する電圧よりも低減することができる。その結果、第2の電流層107のみならず、第2の発光層108の伝導帯にも電子が流れ込む。
第2の発光層108および第2の電流層107の伝導帯に流れ込んだ電子は、p電極115の方へと引っ張られるが、第2の電流層107から見てp側に形成されたp型クラッド層113のバンドギャップエネルギー(2.21[eV])は、第2の発光層108のバンドギャップエネルギー(1.59[eV])および第2の電流層107のバンドギャップエネルギー(1.54[eV])よりも十分に大きいため、このp型クラッド層113がキャリア(ここでは電子)閉じ込め層として作用し、その結果、電子は第2の発光層108および第2の電流層107の伝導帯内に閉じ込められる。
一方、第2の電流層107の価電子帯に流れ込んだ正孔は、n電極119の方へと引っ張られるが、第2の電流層107から見てn側に形成されている第2の発光層108のバンドギャップエネルギー(1.59[eV])は、第2の電流層107のバンドギャップエネルギー(1.54[eV])と比較して0.05[eV]しか大きくないため、第2の発光層108は第2の電流層107のキャリア(ここでは正孔)閉じ込め層として作用することができず、その結果、正孔は、第2の発光層108の価電子帯内に流れ込み、第2の電流層107の価電子帯内には閉じ込められない。
第2の発光層108の価電子帯に流れ込んだ正孔は、n電極119の方へ引っ張られるが、第2の発光層108のn側に形成された第1の光ガイド層106のバンドギャップエネルギー(2.0[eV])は、第2の発光層108のバンドギャップエネルギー(1.59[eV])よりも十分に大きいため、この第1の光ガイド層106がキャリア(ここでは正孔)閉じ込め層として作用し、その結果、正孔は第2の発光層108の価電子帯内に閉じ込められる。
このように、第2の電流層107の価電子帯には正孔は閉じ込められていないため、第2の電流層107内では電子と正孔の有効な再結合が行われず、第2の電流層107において発光は起こらないが、第2の発光層108の伝導帯には電子が、価電子帯には正孔が、それぞれ閉じ込められているため、第2の発光層108において電子と正孔の有効な再結合が行われ、赤外光(例えば、波長700〜800[nm])のレーザ光が発せられる。
[実施の形態1のB部の動作]
この実施の形態1の半導体レーザ素子のB部においては、第1の電流層104が電流集中層として作用することに特徴がある。
図1の実施の形態1の半導体レーザ素子のB部において、p電極116とn電極119の間の印加電圧(駆動電圧)を、第1の電流層104のバンドギャップエネルギー(1.86[eV])に相当する電圧まで除々に上げていくと、n型クラッド層103(バンドギャップエネルギー2.21[eV]),第1の電流層104(バンドギャップエネルギー1.86[eV]),第1の発光層105(バンドギャップエネルギー1.91[eV]),第2の光ガイド層109(バンドギャップエネルギー2.0[eV]),p型クラッド層113(バンドギャップエネルギー2.21[eV])の内で、第1の電流層104のバンドギャップエネルギーが最も小さいため、n型のクラッド層103側からp側に流れる電子は、第1の電流層104の伝導帯に流れ込み、p型コンタクト層114からn側に流れる正孔は、第1の電流層104の価電子帯に流れ込む。
ここで、両電極116,119間には、第1の電流層104のバンドギャップエネルギー(1.86[eV])に相当する電圧が印加されており、第1の発光層105のバンドギャップエネルギー(1.91[eV])に相当する電圧は印加されていないが、第1の電流層104は、バンドギャップエネルギーが最も小さい層であるため、p電極116から注入された電流は、第1の発光層105に接する第1の電流層104に集中して流れようとする(電流集中作用)。従って、p電極116から注入された電流が第1の電流層104に無駄なく流れるようになるため、この第1の電流層104に接して形成されている第1の発光層105の電流密度が増加することになる。従って、しきい値電流が低減されることになり、駆動電圧を、第1の発光層105のバンドギャップエネルギー(1.91[eV])に相当する電圧よりも低減することができる。その結果、第1の電流層104のみならず、第1の発光層105の価電子帯にも正孔が流れ込む。
第1の電流層104の伝導帯に流れ込んだ電子は、p電極116の方へと引っ張られるが、第1の電流層104から見てp側に形成された第1の発光層105のバンドギャップエネルギー(1.91[eV])は、第1の電流層104のバンドギャップエネルギー(1.86[eV])と比較して0.05[eV]しか大きくないため、この第1の発光層105はキャリア(ここでは電子)閉じ込め層として作用することができず、その結果、電子は、第1の発光層105の伝導帯内に流れ込み、第1の電流層104の伝導帯内には閉じ込められない。
第1の発光層105の伝導帯に流れ込んだ電子は、p電極116の方へ引っ張られるが、第1の発光層105のp側に形成された第2の光ガイド層109のバンドギャップエネルギー(2.0[eV])は、第1の発光層105のバンドギャップエネルギー(1.86[eV])よりも十分に大きいため、この第2の光ガイド層109がキャリア(ここでは電子)閉じ込め層として作用し、その結果、電子は第1の発光層105の伝導帯内に閉じ込められる。
一方、第1の発光層105および第1の電流層104の価電子帯に流れ込んだ正孔は、n電極119の方へと引っ張られるが、第1の電流層104から見てn側に形成されているn型クラッド層103のバンドギャップエネルギー(2.21[eV])は、第1の発光層105のバンドギャップエネルギー(1.91[eV])および第1の電流層104のバンドギャップエネルギー(1.86[eV])よりも十分に大きいため、このn型クラッド層103は第1の電流層104のキャリア(ここでは正孔)閉じ込め層として作用し、その結果、正孔は第1の発光層105および第1の電流層104の価電子帯内に閉じ込められる。
このように、第1の電流層104の伝導帯には電子は閉じ込められていないため、第1の電流層104内では電子と正孔の有効な再結合が行われず、第1の電流層104において発光は起こらないが、第1の発光層105の伝導帯には電子が、価電子帯に正孔が、それぞれ閉じ込められているため、第1の発光層105において電子と正孔の有効な再結合が行われ、赤色光(例えば、波長600〜700[nm])のレーザ光が発せられる。
以上のように実施の形態1によれば、第2の電流層107は、バンドギャップエネルギーが最も小さい(1.54[eV])ため、p電極115から注入された電流は、第2の発光層108に接する第2の電流層107に集中して流れようとする(電流集中作用)。従って、p電極115から注入された電流が第2の電流層107に無駄なく流れるようになるため、この第2の電流層107に接して形成されている第2の発光層108の電流密度が増加することになり、結果として、しきい値電流の低減が実現され、駆動電圧を、第2の発光層108のバンドギャップエネルギー(1.59[eV])に相当する電圧よりも低減することができる。
同様に、第1の電流層104は、バンドギャップエネルギーが最も小さい(1.86[eV])ため、p電極116から注入された電流は、第1の発光層105に接する第1の電流層104に集中して流れようとする(電流集中作用)。従って、p電極116から注入された電流が第1の電流層104に無駄なく流れる様になるため、この第1の電流層104に接して形成されている第1の発光層105の電流密度が増加することになり、結果として、しきい値電流の低減が実現され、駆動電圧を、第1の発光層105のバンドギャップエネルギー(1.91[eV])に相当する電圧よりも低減することができる。
つまり、この実施の形態1では、第2の発光層108と第2の電流層107の間にバリア層を設けることなく、これら第2の発光層108と第2の電流層107が直接接する構成となっており、第2の発光層108および第2の電流層107はバンドギャップエネルギーの大きな第1の光ガイド層106とp型クラッド層113とにより挟まれているため、第2の発光層108と第2の電流層107の内でより大きいバンドギャップエネルギーを有する第2の発光層108のバンドギャップエネルギー(1.59[eV])に相当する電圧を両電極115,119間に印加しさえすれば、第2の発光層108により赤外光の発光が可能になる。
同様に、第1の発光層105と第1の電流層104の間にバリア層を設けることなく、これら第1の発光層105と第1の電流層104が直接接する構成となっており、第1の発光層105および第1の電流層104は、バンドギャップエネルギーの大きなn型クラッド層103とp型クラッド層113とにより挟まれているため、第1の発光層105と第1の電流層104の内でより大きいバンドギャップエネルギーを有する第1の発光層105のバンドギャップエネルギー(1.91[eV])に相当する電圧を両電極116,119間に印加しさえすれば、第1の発光層105により赤色光の発光が可能になる。
さらに、この実施の形態1では、第2の電流層107の上記電流集中作用により、p電極115から注入された電流が無駄なく流れるため、第2の発光層108の電流密度が増加することになり、しきい値電流が低減される。従って、駆動電圧を、第2の発光層108のバンドギャップエネルギー(1.59[eV])に相当する電圧よりもさらに低減することが可能となる。
同様に、第1の電流層104の上記電流集中作用により、p電極116から注入された電流が無駄なく流れるため、第1の発光層105の電流密度が増加することになり、しきい値電流が低減される。従って、駆動電圧を、第1の発光層105のバンドギャップエネルギー(1.91[eV])に相当する電圧よりもさらに低減することが可能となる。
また、この実施の形態1では、第2の発光層108(屈折率3.58)と第2の電流層107(屈折率3.58)の屈折率の同じであるため、第2の発光層108による発光は第2の電流層107に広がり、その結果、発光が円状となり、レーザビームの近円化が可能となる。
同様に、第1の発光層105(屈折率3.15)と第1の電流層104(屈折率3.17)の屈折率の差が小さいため、第1の発光層105による発光は第1の電流層104に広がり、その結果、発光が円状となり、レーザビームの近円化が可能となる。
また、この実施の形態1では、第2の発光層108よりもバンドギャップエネルギーの小さい第2の電流層107を第2の発光層108の上層に設け、p電極115から注入された電流を第2の電流層107に集中させる構成としてため、第2の発光層108に直接電流が集中するのを防止することができるとともに、第2の電流層107は発光しないため、第2の発光層108の寿命改善を図ることができる。
同様に、第1の発光層105よりもバンドギャップエネルギーの小さい第1の電流層104を第1の発光層105の下層に設け、p電極116から注入された電流を第1の電流層104に集中させる構成としているため、第1の発光層105に直接電流が集中するのを防止することができるとともに、第1の電流層104は発光しないため、第1の発光層105の寿命改善を図ることができる。
また、この実施の形態1では、第1の電流層104および第2の電流層105の形成位置を制御することにより、第1の発光層105および第2の発光層108の発光位置を制御することができる。
また、この実施の形態1では、SiO2等による絶縁層111の屈折率が1.42であって、n型クラッド層103の上層に形成されたいずれの層の屈折率よりも小さいため、A部,B部で発光された光は、絶縁層111により反射される。従って、A部,B部は、絶縁層111により電気的および光学的に分離される。このため、A部,B部は、互いに電気的および光学的に独立し、クロストークなどの影響がなくなるため、1素子サイズに2波長レーザ部(A部,B部)を形成しても、A部,B部をそれぞれ独自に駆動できる。これにより、例えばA部,B部間の発光部間隔が約100[μm]と互いに近接している場合においても、第1の電流層104、第2の電流層107により、それぞれ独自に、しきい値電流の低減、駆動電圧の低減、発光層の寿命改善、発光層の光出力の制御、ビーム形状の近円化ができるため、高出力化ができる。
また、この実施の形態1では、絶縁層111の形成位置を制御することにより、第1の発光層105および第2の発光層108の発光位置を制御することができる。
なお、上記実施の形態1では、第2の発光層108と第2の電流層107のバンドギャップエネルギーの差を0.05[eV]としたが、このバンドギャップエネルギーの差は、第2の電流層107において発光が起こらない範囲、つまり第2の発光層108が第2の電流層107のキャリア閉じ込め層として作用しない0.3[eV]未満となるように適宜設定できる。
同様に、第1の発光層105と第1の電流層104のバンドギャップエネルギーの差を0.05[eV]としたが、このバンドギャップエネルギーの差は、第2の電流層107において発光が起こらない範囲、つまり第2の発光層108が第2の電流層107のキャリア閉じ込め層として作用しない0.3[eV]未満となるように適宜設定できる。
上記実施の形態1では、第2の電流層107を構成する半導体化合物の組成をGa0.86Al0.14Asとしたが、第2の発光層108と第2の電流層107のバンドギャップエネルギーの差が0.3[eV]未満となる範囲内で、第2の電流層107を構成するGaAlAsの組成比を変えることにより、しきい値電流を制御することができるため、結果として、第2の発光層108による光の出力を制御することができる。
同様に、上記実施の形態1では、第1の電流層104を構成する半導体化合物の組成を(In0.5Ga0.5)0.95Al0.05Pとしたが、第1の発光層105と第1の電流層104のバンドギャップエネルギーの差が0.3[eV]未満となる範囲内で、第1の電流層104を構成するInGaAlPの組成比を変えることにより、しきい値電流を制御することができるため、結果として、第1の発光層105による光の出力を制御することができる。
ここで、第2の発光層108による光の出力を上げた場合であっても、光ガイド層としての第2の電流層107によりレーザの円形状態は保たれるため、レーザビームの形状は広がることなく電流層の効果と相まって高出力化が可能となる。
同様に、第1の発光層105による光の出力を上げた場合であっても、光ガイド層としての第1の電流層104によりレーザの円形状態は保たれるため、レーザビームの形状は広がることなく電流層の効果と相まって高出力化が可能となる。
これは、以下に説明する他の全ての実施の形態においても同様であり、電流層が1つの発光層と接している場合には、この電流層と発光層のバンドギャップエネルギーの差が0.3[eV]未満となるようにすれば、発光層は電流層のキャリア閉じ込め層として作用しないため、電流層は発光しないことになる。
実施の形態1の変形例1
図3は上記実施の形態1の変形例1である1素子2波長の半導体レーザ素子の基本的な構成を示す正面図であり、上記図1または図2と同様のものには同じ符号を付してある。
図3には、p型コンタクト層(上記図1のp型コンタクト層114に相当),pクラッド層(上記図1のp型クラッド層113に相当)にプロトンまたはWをイオン打ち込みして高抵抗層を形成し、電流狭窄層110を形成した半導体レーザ素子の例を示す。図3の電流狭窄層110においては、光吸収がないため実屈折率ガイド型構造を実現でき、レーザビームの近円化を行った場合であっても、第1の電流層(上記図1の第1の電流層104に相当)、第2の電流層107(上記図1の第2の電流層107に相当)によるしきい値電流の低減効果と相まって、低い動作電流で高出力のレーザ光を得ることができる。
実施の形態1の変形例2
図4は上記実施の形態1の変形例2である1素子2波長の半導体レーザ素子の基本的な構成を示す正面図であり、上記図1または図2と同様のものには同じ符号を付してある。
図4の半導体レーザ素子では、p型クラッド層(上記図1のp型クラッド層113に相当)の上にSiO2等によるエッチングマスクを形成し、このエッチングマスクにより上記p型クラッド層をメサエッチングして、底辺が3[μm]の略台形の対称な光閉じ込め構造をA部,B部にそれぞれ形成する。エッチングマスクを残した状態でエッチングマスクの上から、例えば、n型のGaNからなり、3.4[eV]のバンドギャップエネルギーを有するn型電流狭窄層510を形成し、エッチングマスクを取り去った後、上記p型クラッド層の上およびn型電流狭窄層510の上に、例えば、p型のGaNからなり、3.4[eV]のバンドギャップエネルギーを有するp型コンタクト層(上記図1のp型コンタクト層114に相当)をMOCVD法等により形成する。上記p型コンタクト層の上には、Auからなるp電極115,116が形成されており、基板(上記図1の基板101に相当)の裏面には、Au等からなる(上記図1のn電極119に相当)が形成されている。
図3,図4の半導体レーザ素子では、電流狭窄層110,510のピッチを制御することによりそれぞれの部分で発光するレーザ光の寸法間隔を精度よく管理でき、電流層の厚さにより発光ビームの上下方向寸法が制御でき、電流狭窄層の間隔により発光ビームの左右方向寸法が制御できるため、発光ビームをより近円化できる。
また、図4の半導体レーザ素子では、それぞれの光閉じ込め構造の形成位置を制御することにより、それぞれの発光位置を制御することができる。
実施の形態2
図5は本発明の実施の形態2である1素子3波長の半導体レーザ素子の基本的な構成を示す正面図である。また、図6は図5の実施の形態2の半導体レーザ素子においてのp電極の配置を示す上面図である。
図5において、実施の形態2の半導体レーザ素子は、基板201と、n型コンタクト層202と、n型クラッド層203と、第1の電流層204と、第1の発光層(または第1の活性層)205と、第1の光ガイド層206と、第2の電流層207と、第2の発光層(または第2の活性層)208と、第2の光ガイド層209と、第3の発光層(または第3の活性層)210と、第3の電流層211と、第3の光ガイド層212と、p型クラッド層213と、p型コンタクト層214と、p電極215,216,218と、n電極219と、第1の絶縁層217と、第2の絶縁層220とを備えた構成である。
[基板201,n型コンタクト層202,n型クラッド層203]
基板201は、n−GaAsからなり、1.43[eV]のバンドギャップエネルギーを有する。このn型基板201の表面上には、n型のGaN(n−GaN)からなるコンタクト層202が形成されている。n型コンタクト層202の表面上には、n型のGaAlN(n−GaAlN)からなるクラッド層203(例えば、Ga0.09Al0.91Nからなり、2.21[eV]のバンドギャップエネルギーを有するクラッド層203)が形成されている。
[第1の電流層204,第1の発光層205]
n型クラッド層203の表面上には、例えば、In0.49Ga0.51Nからなり、2.65[eV]のバンドギャップエネルギーを有する第1の電流層204が形成される。第1の電流層204の表面上には、例えば、In0.5Ga0.5Nからなり、2.7[eV]のバンドギャップエネルギーを有し、青色のレーザ光(波長450〜490[nm])を発光する第1の発光層(または第1の活性層)205が形成される。
[第1の光ガイド層206]
D部の第1の電流層204にIn,Alイオンを打ち込み、またC部の第1の電流層204および第1の発光層(または第1の活性層)205にAlイオンを打ち込み、In0.48Ga0.48Al0.04Nからなり、2.8[eV]のバンドギャップエネルギーを有する第1の光ガイド層206が形成される。
[第2の電流層207]
D部の第1の発光層205にInイオンを打ち込み、In0.69Ga0.31Nからなり、2.35[eV]のバンドギャップエネルギーを有する第2の電流層207が形成される。
[第2の発光層208]
E部の第1の発光層(または第1の活性層)205、D部の第2の電流層207、およびC部の第1の光ガイド層206の表面上には、In0.66Ga0.34Nからなり、2.4[eV]のバンドギャップエネルギーを有し、緑色のレーザ光(波長500〜540[nm])を発光する第2の発光層(または第2の活性層)208が形成される。
[第2の光ガイド層209]
C部およびE部の第2の発光層208にIn,Alイオンを打ち込み、In0.59Ga0.3Al0.11Nからなり、2.8[eV]のバンドギャップエネルギーを有する第2の光ガイド層209(厚さ約40〜80[nm])が形成される。
[第3の発光層210,第3の電流層211]
C部およびE部の第2の光ガイド層209、D部の第2の発光層208の表面上には、In0.44Ga0.44Al0.12Pからなり、1.91[eV]のバンドギャップエネルギーを有し、赤色のレーザ光(波長620〜660[nm])を発光する第3の発光層(または第3の活性層)210が形成される。第3の発光層210の表面上には、(In0.5Ga0.5)0.95Al0.05Pからなり、1.86[eV]のバンドギャップエネルギーを有する第3の電流層211が形成される。
[第3の光ガイド層212]
D部およびE部の第3の発光層210および第3の電流層211にAlイオンを打ち込み、In0.37Ga0.37Al0.26Pからなり、2.0[eV]のバンドギャップエネルギーを有する第3の光ガイド層212(厚さ約40〜80[nm])が形成される。より具体的には、注入物質であるAlを含むソーズガスをアーク放電によりプラズマ化させた後、質量分析器により注入物質イオンを分離し、このイオンを第3の発光層210、第3の電流層211に加速電圧10〜120[keV]で打ち込む。注入エネルギーにより不純物分布の深さを約40〜80[nm]、イオン電流により添加不純物量(ドーズ量)を2×1015[atoms/cm]以上に制御する。その後、加熱により打ち込こんだイオンを活性化させる。
[p型クラッド層213,p型コンタクト層214]
C部の第3の電流層211、D部およびE部の第3の光ガイド層212の表面上には、例えば、Ga0.82Al0.18Nからなり、3.9[eV]のバンドギャップエネルギーを有するp型クラッド層213が形成されている。p型クラッド層213の表面上には、例えば、p型のGaN(p−GaN)からなるコンタクト層214が形成されている。
n型コンタクト層202,n型クラッド層203,第1の電流層204,第1の発光層205,第2の発光層208,第3の発光層210,第3の電流層211,p型クラッド層213,p型コンタクト層214は、MOCVD法等により順次形成される。
[p電極215,216,218,n電極119]
p型コンタクト層214の表面上には、図6に示すように、Auからなるp電極215,216,218が、それぞれ形成されている。基板201の裏面には、Al等からなるn電極219が形成されている。ここで、p電極215,216,218およびn電極219は、スパッタリング法等により、p電極215,216,218についてはp型コンタクト層214の表面上にAuからなる金属膜を、n電極219についてはn型GaAs基板201の裏面上にAu等からなる金属膜を、それぞれ形成したものである。
[絶縁層217,220]
C部の領域とD部の領域の境界(残された第3の発光層210と残された第2の発光層208の境界)には、p型コンタクト層214からn型クラッド層203の上面(表面)まで、ICPエッチングを用いてビアホールが形成され、このビアホールには、絶縁層217が形成される。D部の領域とE部の領域の境界(残された第2の発光層208と第1の発光層205の境界)には、p型コンタクト層214からn型クラッド層203の上面(表面)まで、ICPエッチングを用いてビアホールが形成され、このビアホールには、絶縁層220が形成される。さらに詳しくは、電離度が高いプラズマではイオン対中性ラジカルの比が大きくなるためイオン主体のエッチングとなり、高アスペクト比の微細加工(上記ビアホールの形成)が可能となる。この後、CVD法等により、SiO2またはSiNx等による絶縁層217,220を、上記第3の発光層210と上記第2の発光層208との間,上記第2の発光層208と上記第1の発光層205との間にそれぞれ形成し、それぞれの発光層を電気的および光学的に分離する。このため、C部の領域とD部の領域とE部の領域とは、お互いに電気的・光学的クロストークなどの影響がなくなる。
上記構成において、n型コンタクト層202の屈折率は2.67、n型クラッド層203の屈折率は2.74、第1の電流層204の屈折率は2.85、第1の発光層205の屈折率は2.86、第1の光ガイド層の206の屈折率は2.84、第2の電流層207の屈折率は2.93、第2の発光層208の屈折率は2.92、第2の光ガイド層の212の屈折率は2.92、第3の発光層210の屈折率は3.15、第3の電流層211の屈折率は3.17、p型クラッド層213の屈折率は2.74、p型コンタクト層214の屈折率は2.67である。
[実施の形態2のC部の動作]
この実施の形態2の半導体レーザ素子のC部においては、第3の電流層211が電流集中層として作用することに特徴がある。
図5の実施の形態2の半導体レーザ素子のC部において、p電極215とn電極219の間の印加電圧(駆動電圧)を、第3の電流層211のバンドギャップエネルギー(1.86[eV])に相当する電圧まで除々に上げていくと、n型クラッド層203(バンドギャップエネルギー3.9[eV]),第1の光ガイド層206(バンドギャップエネルギー2.8[eV]),第2の光ガイド層209(バンドギャップエネルギー2.8[eV]),第3の発光層210(バンドギャップエネルギー1.91[eV]),第3の電流層211(バンドギャップエネルギー1.86[eV]),p型クラッド層213(バンドギャップエネルギー3.9[eV])の内で、第3の電流層211のバンドギャップエネルギーが最も小さいため、n型クラッド層203からp側に流れる電子は、第3の電流層211の伝導帯に流れ込み、p型コンタクト層214からn側に流れる正孔は、第3の電流層211の価電子帯に流れ込む。
ここで、両電極215,219間には、第3の電流層211のバンドギャップエネルギー(1.86[eV])に相当する電圧が印加されており、第3の発光層210のバンドギャップエネルギー(1.91[eV])に相当する電圧は印加されていないが、第3の電流層211は、バンドギャップエネルギーが最も小さい層であるため、p電極215から注入された電流は、第3の発光層210に接する第3の電流層211に集中して流れようとする(電流集中作用)。従って、p電極215から注入された電流が第3の電流層211に無駄なく流れるようになるため、この第3の電流層211に接して形成されている第3の発光層210の電流密度が増加することになる。従って、しきい値電流が低減されることになり、駆動電圧を、第3の発光層210のバンドギャップエネルギー(1.91[eV])に相当する電圧よりも低減することができる。その結果、第3の電流層211のみならず、第3の発光層210の伝導帯にも電子が流れ込む。
第3の発光層210および第3の電流層211の伝導帯に流れ込んだ電子は、p電極215の方へと引っ張られるが、第3の電流層211から見てp側に形成されたp型クラッド層213のバンドギャップエネルギー(3.9[eV])は、第3の電流層211のバンドギャップエネルギー(1.86[eV])よりも十分に大きいため、このp型クラッド層213がキャリア(ここでは電子)閉じ込め層として作用し、その結果、電子は第3の発光層210および第3の電流層211の伝導帯内に閉じ込められる。
一方、第3の電流層211の価電子帯に流れ込んだ正孔は、n電極219の方へと引っ張られるが、第3の電流層211から見てn側に形成された第3の発光層210のバンドギャップエネルギー(1.91[eV])は、第3の電流層211のバンドギャップエネルギー(1.86[eV])と比較して0.05[eV]しか大きくないため、第3の発光層210は第3の電流層211のキャリア(ここでは正孔)閉じ込め層として作用することができず、その結果、正孔は、第3の発光層210の価電子帯内に流れ込み、第3の電流層210の価電子帯内には閉じ込められない。
第3の発光層210の価電子帯に流れ込んだ正孔は、n電極219の方へ引っ張られるが、第3の発光層210のn側に形成された第2の光ガイド層209のバンドギャップエネルギー(2.8[V])は、第3の発光層210のバンドギャップエネルギー(1.91[eV])よりも十分に大きいため、この第2の光ガイド層209がキャリア(ここでは正孔)閉じ込め層として作用し、その結果、正孔は第3の発光層210の価電子帯内に閉じ込められる。
このように、第3の電流層211の価電子帯には正孔は閉じ込められていないため、第3の電流層211内では電子と正孔の有効な再結合が行われず、第3の電流層211において発光は起こらないが、第3の発光層210の伝導帯には電子が、価電子帯には正孔が、それぞれ閉じ込められているため、第3の発光層210において電子と正孔の有効な再結合が行われ、赤色光(例えば、波長620〜660[nm])のレーザ光が発せられる。
[実施の形態2のD部の動作]
この実施の形態2の半導体レーザ素子のD部においては、第2の電流層207が電流集中層として作用することに特徴がある。
図5の実施の形態2の半導体レーザ素子のD部において、p電極216とn電極219の間の印加電圧(駆動電圧)を、第2の電流層207のバンドギャップエネルギー(2.35[eV])に相当する電圧まで除々に上げていくと、n型クラッド層203(バンドギャップエネルギー3.9[eV]),第1の光ガイド層206(バンドギャップエネルギー2.8[eV]),第2の電流層207(バンドギャップエネルギー2.35[eV]),第2の発光層208(バンドギャップエネルギー2.4[eV]),第3の光ガイド層212(バンドギャップエネルギー2.0[eV]),p型クラッド層213(バンドギャップエネルギー3.9[eV])の内で、第3の光ガイド層212を除くと、第2の電流層207のバンドギャップエネルギーが最も小さいため、n型クラッド層203からp側に流れる電子は、第2の電流層207の伝導帯に流れ込み、p型クラッド層213からn側に流れる正孔は、第2の電流層207の価電子帯に流れ込む。
ここで、両電極216,219間には、第2の電流層207のバンドギャップエネルギー(2.35[eV])に相当する電圧が印加されており、第2の発光層208のバンドギャップエネルギー(2.4[eV])に相当する電圧が印加されていないが、第2の電流層207は、第3の光ガイド層212を除いてバンドギャップエネルギーが最も小さい層であるため、p電極216から注入された電流は、第2の発光層208に接する第2の電流層207に集中して流れようとする(電流集中作用)。従って、p電極216から注入された電流が第2の電流層207に無駄なく流れるようになるため、この第2の電流層207に接して形成されている第2の発光層208の電流密度が増加することになる。従って、しきい値電流が低減されることになり、駆動電圧を、第2の発光層208のバンドギャップエネルギー(2.4[eV])よりも低減することができる。その結果、第2の電流層207のみならず、第2の発光層208の価電子帯にも正孔が流れ込む。
第2の電流層207の伝導帯に流れ込んだ電子は、p電極216の方へ引っ張られるが、第2の電流層207から見てp側に形成されている第2の発光層208のバンドギャップエネルギー(2.4[eV])は、第2の電流層207のバンドギャップエネルギー(2.35[eV])と比較して0.05[eV]しか大きくないため、この第2の第2の発光層208は第2の電流層207のキャリア(ここでは電子)閉じ込め層として作用することができず、その結果、電子は、第2の発光層208の伝導帯内に流れ込み、第2の電流層207の伝導帯内には閉じ込められない。
第2の発光層208の伝導帯に流れ込んだ電子は、p電極216の方へ引っ張られるが、第2の発光層208のp側に形成されたp型クラッド層213のバンドギャップエネルギー(3.9[eV])は、第2の発光層208のバンドギャップエネルギー(2.4[eV])および第2の電流層207のバンドギャップエネルギー(2.35[eV])よりも十分に大きいため、このp型クラッド層213がキャリア(ここでは電子)閉じ込め層として作用し、その結果、電子は第2の発光層208の伝導帯内に閉じ込められる。なお、第2の電流層208のp側に形成された第3の光ガイド層212のバンドギャップエネルギー(2.0[eV])は、第2の電流層207のバンドギャップエネルギー(2.35[eV])よりも小さいため、この第3の光ガイド層212はキャリア(ここでは電子)閉じ込め層として作用することはできない。
一方、第2の発光層208および第2の電流層207の価電子帯に流れ込んだ正孔は、n電極219の方へと引っ張られるが、第2の電流層207から見てn側に形成されている第1の光ガイド層206のバンドギャップエネルギー(2.8[eV])は、第2の電流層207のバンドギャップエネルギー(2.35[eV])と比較して0.3[eV]以上大きいため、この第1の光ガイド層206がキャリア(ここでは正孔)閉じ込め層として作用し、その結果、正孔は第2の発光層208および第2の電流層207の価電子帯内に閉じ込められる。
このように、第2の電流層207の伝導帯には電子が閉じ込められていないため、第2の電流層207内では電子と正孔の有効な再結合が行われず、第2の電流層207において発光は起こらないが、第2の発光層208の伝導帯には電子が、価電子帯には正孔が、それぞれ閉じ込められているため、第2の発光層208において電子と正孔の有効な再結合が行われ、緑色光(例えば、波長500〜540[nm])のレーザ光が発せられる。
[実施の形態2のE部の動作]
この実施の形態2の半導体レーザ素子のE部においては、第1の電流層204が電流集中層として作用することに特徴がある。
図5の実施の形態2の半導体レーザ素子のE部において、p電極218とn電極219の間の印加電圧(駆動電圧)を、第1の電流層204のバンドギャップエネルギー(2.65[eV])に相当する電圧まで除々に上げていくと、n型クラッド層203(バンドギャップエネルギー3.9[eV]),第1の電流層204(バンドギャップエネルギー2.65[eV]),第1の発光層205(バンドギャップエネルギー2.7[eV]),第3の光ガイド層212(バンドギャップエネルギー2.0[eV]),p型クラッド層213(バンドギャップエネルギー3.9[eV])の内で、第3の光ガイド層212を除くと、第1の電流層204のバンドギャップエネルギーが最も小さいため、n型クラッド層203からp側に流れる電子は、第1の電流層204の伝導帯に流れ込み、p型コンタクト層214からn側に流れる正孔は、第1の電流層204の価電子帯に流れ込む。
ここで、両電極218,219間には、第1の電流層204のバンドギャップエネルギー(2.65[eV])に相当する電圧が印加されており、第1の発光層205のバンドギャップエネルギー(2.7[eV])に相当する電圧が印加されていないが、第1の電流層204は、第3の光ガイド層212を除いてバンドギャップエネルギーが最も小さい層であるため、p電極218から注入された電流は、第1の発光層205に接する第1の電流層205に集中して流れようとする(電流集中作用)。従って、p電極218から注入された電流が第1の電流層204に無駄なく流れるようになるため、この第1の電流層204に接して形成されている第1の発光層205の電流密度が増加することになる。従って、しきい値電流が低減されることになり、駆動電圧を、第1の発光層205のバンドギャップエネルギー(2.7[eV])よりも低減することができる。その結果、第1の電流層204のみならず、第1の発光層205の価電子帯にも正孔が流れ込む。
第1の電流層204の伝導帯に流れ込んだ電子は、p電極218の方へと引っ張られるが、第1の電流層204から見てp側に形成されている第1の発光層205のバンドギャップエネルギー(2.7[eV])は、第1の電流層204のバンドギャップエネルギー(2.65[eV])と比較して0.05[eV]しか大きくないため、この第1の発光層205はキャリア(ここでは電子)閉じ込め層として作用することができず、その結果、電子は、第1の発光層205の伝導帯内に流れ込み、第1の電流層204の伝導帯内には閉じ込められない。
第1の発光層205の伝導帯に流れ込んだ電子は、p電極218の方へ引っ張られるが、第1の発光層205のp側に形成された第2の光ガイド層209のバンドギャップエネルギー(2.8[eV])は、第1の電流層204のバンドギャップエネルギー(2.65[eV])と比較して0.15[eV]しか大きくないため、この第2の光ガイド層209はキャリア(ここでは電子)閉じ込め層として作用することができない。
第1の発光層205の伝導帯に流れ込んだ電子は、p電極218の方へ引っ張られるが、第2の光ガイド層209のp側に形成されたp型クラッド層213のバンドギャップエネルギー(3.9[eV])は、第2の発光層208のバンドギャップエネルギー(2.4[eV])および第2の電流層207のバンドギャップエネルギー(2.35[eV])よりも十分に大きいため、このp型クラッド層213がキャリア(ここでは電子)閉じ込め層として作用し、その結果、電子は第1の発光層205の伝導帯内に閉じ込められる。なお、第2の光ガイド層209のp側に形成された第3の光ガイド層212のバンドギャップエネルギー(2.0[eV])は、第1の電流層204のバンドギャップエネルギー(2.65[eV])よりも小さいため、この第3の光ガイド層212はキャリア(ここでは電子)閉じ込め層として作用することはできない。
一方、第1の発光層205および第1の電流層204の価電子帯に流れ込んだ正孔は、n電極219の方へと引っ張られるが、第1の電流層204から見てn側に形成されているn型クラッド層203のバンドギャップエネルギー(3.9[eV])は、第1の電流層204のバンドギャップエネルギー(2.65[eV])よりも十分に大きいため、このn型クラッド層203はキャリア(ここでは正孔)閉じ込め層として作用し、その結果、正孔は第1の発光層205および第1の電流層204の価電子帯内に閉じ込められる。
このように、第1の電流層204の伝導帯内には電子が閉じ込められていないため、第1の電流層204内では電子と正孔の有効な再結合が行われず、第1の電流層204において発光は起こらないが、第1の発光層205の伝導帯内には電子が、価電子帯に正孔が、それぞれ閉じ込められているため、第1の発光層205において電子と正孔の有効な再結合が行われ、青色(例えば、波長450〜500[nm])のレーザ光が発せられる。
以上のように実施の形態2によれば、第3の電流層211は、バンドギャップエネルギーが最も小さい(1.86[eV])ため、p電極215から注入された電流は、第3の発光層210に接する第3の電流層211に集中して流れようとする(電流集中作用)。従って、p電極215から注入された電流が第3の電流層211に無駄なく流れるようになるため、この第3の電流層211に接して形成されている第3の発光層210の電流密度が増加することになり、結果として、しきい値電流の低減が実現され、駆動電圧を、第3の発光層210のバンドギャップエネルギー(1.91[eV])に相当する電圧よりも低減することができる。
同様に、第2の電流層207の電流集中作用により、p電極216から注入された電流が第2の電流層207に無駄なく流れるようになるため、この第2の電流層207に接して形成されている第2の発光層208の電流密度が増加することになり、結果として、しきい値電流の低減が実現され、駆動電圧を、第2の発光層208のバンドギャップエネルギー(2.4[eV])に相当する電圧よりも低減することができる。
また同様に、第1の電流層204の電流集中作用により、p電極218から注入された電流が第1の電流層204に無駄なく流れるようになるため、この第1の電流層204に接して形成されている第1の発光層205の電流密度が増加することになり、結果として、しきい値電流の低減が実現され、駆動電圧を、第1の発光層205のバンドギャップエネルギー(2.7[eV])に相当する電圧よりも低減することができる。
また、この実施の形態2では、第3の発光層210(屈折率3.15)と第3の電流層211(屈折率3.17)の屈折率の差が小さいため、第3の発光層210による発光は第3の電流層211に広がり、その結果、発光が円状になり、レーザビームの近円化が可能となる。
同様に、第2の発光層208(屈折率2.92)と第2の電流層207(屈折率2.93)の屈折率の差が小さいため、第2の発光層208による光は第2の電流層207に広がり、その結果、発光が円状になり、レーザビームの近円化が可能となる。
また同様に、第1の発光層205(屈折率2.86)と第1の電流層204(屈折率2.85)の屈折率の差が小さいため、第1の発光層205による光は第1の電流層204に広がり、その結果、発光が円状になり、レーザビームの近円化が可能となる。
また、この実施の形態2では、第3の発光層210よりもバンドギャップエネルギーの小さい第3の電流層211を第3の発光層210の上層に設け、p電極215から注入された電流を第3の電流層211に集中させる構成としているため、第3の発光層210に直接電流が集中するのを防止することができるとともに、第3の電流層211は発光しないため、第3の発光層210の寿命改善を図ることができる。
同様に、第2の発光層208よりもバンドギャップエネルギーの小さい第2の電流層207を第2の発光層208の下層に設け、p電極216から注入された電流を第2の電流層207に集中させる構成としているため、第2の発光層208に直接電流が集中するのを防止することができるとともに、第2の電流層207は発光しないため、第2の発光層208の寿命改善を図ることができる。
また同様に、第1の発光層205よりもバンドギャップエネルギーの小さい第1の電流層204を第1の発光層205の下層に設け、p電極218から注入された電流を第1の電流層204に集中させる構成としているため、第1の発光層205に直接電流が集中するのを防止することができるとともに、第1の電流層204は発光しないため、第1の発光層205の寿命改善を図ることができる。
また、この実施の形態2では、第1の電流層204、第2の電流層207、および第3の電流層211の形成位置を制御することにより、第1の発光層205、第2の発光層208、および第3の発光層210の発光位置を制御することができる。
また、この実施の形態2では、SiO2等による絶縁層217,220の屈折率が1.42であって、n型クラッド層203の上層に形成されたいずれの層の屈折率よりも小さいため、C部,D部,E部で発光された光は、絶縁層217,220により反射される。従って、C部,D部,E部は、絶縁層217,220により電気的および光学的に分離される。このため、C部,D部,E部は、互いに電気的および光学的に独立し、クロストークなどの影響がなくなるため、1素子サイズに3波長レーザ部(C部,D部,E部)を形成しても、C部,D部,E部をそれぞれ独自に駆動できる。これにより、例えばC部,D部,E部間の発光部間隔が約100[μm]と互いに近接している場合においても、第1の電流層204、第2の電流層207、第3の電流層211により、それぞれ独自に、しきい値電流の低減、駆動電圧の低減、発光層の寿命改善、発光層の光出力の制御、ビーム形状の近円化ができるため、高出力化ができる。
また、この実施の形態2では、絶縁層217,220の形成位置を制御することにより、第1の発光層205、第2の発光層208、および第3の発光層210の発光位置を制御することができる。
なお、上記実施の形態2では、第3の発光層210と第3の電流層211のバンドギャップエネルギーの差を0.05[eV]としたが、このバンドギャップエネルギーの差は、第3の電流層211において発光が起こらない範囲、つまり第3の発光層210が第3の電流層211のキャリア閉じ込め層として作用しない0.3[eV]未満となるように適宜設定できる。
同様に、第2の発光層208と第2の電流層207のバンドギャップエネルギーの差を0.05[eV]としたが、このバンドギャップエネルギーの差は、第2の電流層207において発光が起こらない範囲、つまり第2の発光層208が第2の電流層207のキャリア閉じ込め層として作用しない0.3[eV]未満となるように適宜設定できる。
また同様に、第1の発光層205と第1の電流層204のバンドギャップエネルギーの差を0.05[eV]としたが、このバンドギャップエネルギーの差は、第1の電流層204において発光が起こらない範囲、つまり第1の発光層205が第1の電流層204のキャリア閉じ込め層として作用しない0.3[eV]未満となるように適宜設定できる。
上記実施の形態2では、第3の電流層211を構成する半導体化合物の組成を(In0.05Ga0.5)0.95Al0.05Pとしたが、第3の発光層210と第3の電流層211のバンドギャップエネルギーの差が0.3[eV]となる範囲内で、第3の電流層211を構成するInGaAlPの組成比を変えることにより、しきい値電流を制御することができるため、結果として、第3の発光層210による光の出力を制御することができる。
同様に、第2の電流層207を構成する半導体化合物の組成をIn0.69Ga0.31Nとしたが、第2の発光層208と第2の電流層207のバンドギャップエネルギーの差が0.3[eV]となる範囲内で、第2の電流層207を構成するInGaNの組成比を変えることにより、しきい値電流を制御することができるため、結果として、第2の発光層208による光の出力を制御することができる。
また同様に、第1の電流層204を構成する半導体化合物の組成をIn0.49Ga0.51Nとしたが、第1の発光層205と第1の電流層204のバンドギャップエネルギーの差が0.3[eV]となる範囲内で、第1の電流層204を構成するInGaNの組成比を変えることにより、しきい値電流を制御することができるため、結果として、第1の発光層205による光の出力を制御することができる。
実施の形態2の変形例1
図7は上記実施の形態2の変形例1である1素子3波長の半導体レーザ素子の基本的な構成を示す正面図であり、上記図5または図6と同様のものには同じ符号を付してある。
図7には、p型コンタクト層(上記図5のp型コンタクト層214に相当),p型クラッド層(上記図5のp型クラッド層213に相当)にプロトン/またはWをイオン打ち込みして高抵抗層を形成し、電流狭窄層310を形成した半導体レーザ素子の例を示す。図7の電流狭窄層310においては、光吸収がないため実屈折率ガイド型構造を実現でき、レーザビームの近円化を行った場合であっても、第1の電流層(上記図5の第1の電流層204に相当)、第2の電流層(上記図5の第2の電流層207に相当)、第3の電流層(上記図5の第3の電流層211に相当)によるしきい値電流の低減効果と相まって、低い動作電流で高出力のレーザ光を得ることができる。
実施の形態2の変形例2
図8は上記実施の形態2の変形例2である1素子2波長の半導体レーザ素子の基本的な構成を示す正面図であり、上記図5または図6と同様のものには同じ符号を付してある。
図8の半導体レーザ素子では、p型クラッド層(上記図5のp型クラッド層213に相当)の上にSiO2等によるエッチングマスクを形成し、このエッチングマスクにより上記p型クラッド層をメサエッチングして、底辺が3[μm]の略台形の対称な光閉じ込め構造をC部,D部,E部にそれぞれ形成する。エッチングマスクを残した状態でエッチングマスクの上から、例えば、n−GaNからなり、3.4[eV]のバンドギャップエネルギーを有するn型電流狭窄層410を形成し、エッチングマスクを取り去った後、上記p型クラッド層の上およびn型電流狭窄層410の上に、例えば、p−GaNからなり、3.4[eV]のバンドギャップエネルギーを有するp型コンタクト層(上記図5のp型コンタクト層214に相当)をMOCVD法等により形成する。上記p型コンタクト層の上には、Auからなるp電極215,216,218が形成されており、基板(上記図5の基板201に相当)の裏面には、Al等からなるn電極(上記図5のn電極219に相当)が形成されている。
図7,図8の半導体レーザ素子では、電流狭窄層310,410のピッチを制御することによりそれぞれの部分で発光するレーザ光の寸法間隔を精度よく管理でき、電流層の厚さにより発光ビームの上下方向寸法が制御でき、電流狭窄層の間隔により発光ビームの左右方向寸法が制御できるため、発光ビームをより近円化できる。
また、図8の半導体レーザ素子では、それぞれの光閉じ込め構造の形成位置を制御することにより、それぞれの発光位置を制御することができる。
なお、本発明は上記実施の形態1,2に限定されるものではなく、本発明の趣旨に基づく種々の変形をすることが可能であり、それらを本発明の範囲から除外するものではない。
例えば、上記実施の形態1ではモノリシック2波長レーザ素子、上記実施の形態2ではモノリシック3波長レーザ素子についてそれぞれ説明したが、同様にして、n個の波長をもつモノリシックレーザ素子を、発光ピッチを任意に設定して形成することができるとともに、発光層に直接接した電流層により高出力化できる。
また例えば、上記実施の形態では、InGaAlP,GaAlAs,InGaN発光層を用いた半導体発光素子について説明したが、他の半導体材料、例えばInGaN,GaAlNの一部または全部をAsおよび/またはP等で置換した材料や、GaAs系化合物半導体を用いた半導体発光素子についても本発明を適用できる。
また、上記実施の形態では、ダブルへテロ構造について説明したが、クラッド層、発光層、電流層、光ガイド層を、単一量子井戸構造(SQW)、多重量子井戸構造(MQW)、または量子ドット構造で構成してもよい。
また、例えば、In0.38Ga0.62Nからなり、バンドギャップエネルギー2.82[eV]で青紫色のレーザ光(波長400〜450[nm])を発光する第1の発光層(または第1の活性層)、In0.44Ga0.44Al0.12Nからなり、1.91[eV]のバンドギャップエネルギーで赤色のレーザ光(600〜700[nm])を発光する第2の発光層(または第2の活性層)、Ga0.79Al0.21Asからなり、1.59[eV]のバンドギャップエネルギーで赤外のレーザ光(700〜800[nm])を発光する第3の発光層(または第3の活性層)としてもよい。
また、上記実施の形態では、発光素子の構造を説明するために、便宜上、基板が下層側に位置し、これに結晶層が上方へ積み重ねられる構造とし、下層側をn型、上層側をp型として説明したが、n型を上層側、p型を下層側とした構成としてもよい。
また、上記実施の形態では、半導体発光素子としてレーザ素子を用いて説明したが、例えば、LED構造としてもよい。また、上記実施の形態で説明した発光層を活性層として、この活性層の出力をp電極上に出力する面発光型レーザ素子を構成することもできる。
また、上記実施の形態では、基板をn型のGaAs,GaN基板としたが、例えばSiC基板,Si基板,GaAlN基板,AlN基板,InP基板等、格子間の整合性や熱膨張率を考慮して、基板を適宜選択することもできる。
また、上記実施の形態では、n電極を、AuまたはAlにより形成されているとしたが、AlまたはAuにより形成してもよい。
本発明の実施の形態1である半導体レーザ素子の構成を示す正面図である。 図1の半導体レーザ素子においてのp電極の配置を示す上面図である。 本発明の実施の形態1の変形例1である半導体レーザ素子の構成を示す正面図である。 本発明の実施の形態1の変形例2である半導体レーザ素子の構成を示す正面図である。 本発明の実施の形態2である半導体レーザ素子の構成を示す正面図である。 図5の半導体レーザ素子においてのp電極の配置を示す上面図である。 本発明の実施の形態2の変形例1である半導体レーザ素子の構成を示す正面図である。 本発明の実施の形態2の変形例2である半導体レーザ素子の構成を示す正面図である。
符号の説明
101,201 基板
202 n型コンタクト層
103,203 n型クラッド層
105,205,108,208,210 発光層
113,213 p型クラッド層
114,214 p型コンタクト層
104,204,107,207,211 電流層
106,206,109,209,212 光ガイド層
115,215,116、216,218 p電極
119,219 n電極
110,310,410,510 電流狭窄層
111,217,220 絶縁層

Claims (22)

  1. 半導体単結晶からなる第1導電型基板と、
    前記第1導電型基板の裏面に設けられた第1の電極と、
    前記第1導電型基板の表面上に形成された第1導電型クラッド層と、
    前記第1導電型クラッド層上に形成された第1の電流層と、
    前記第1の電流層上に積層形成されたn(nは2以上の整数)個の発光層と、
    前記n個の発光層上に形成された第2の電流層と、
    前記第2の電流層上に形成された第2導電型クラッド層と、
    前記第2導電型クラッド層上に形成された第2導電型コンタクト層と、
    前記第2導電型コンタクト層上に設けられたn個の第2の電極と
    を備え、
    第2導電型コンタクト層から第1導電型クラッド層の表面まで形成されて、前記n個の発光層および前記両電流層をn個の領域に仕切る(n−1)個の絶縁層を設けことを特徴とする半導体発光素子。
  2. 請求項1記載の半導体発光素子において、
    前記第1導電型基板と第1導電型クラッド層の間に形成された第1導電型コンタクト層をさらに備えたことを特徴とする半導体発光素子。
  3. 請求項1または2に記載の半導体発光素子において、
    所定の発光層領域の上層または下層に接する発光層領域を、イオン打ち込みにより電流層領域としたことを特徴とする半導体発光素子。
  4. 請求項1または2に記載の半導体発光素子において、
    所定の発光層領域の下層または上層に接する発光層領域を、イオン打ち込みにより光ガイド層領域としたことを特徴とする半導体発光素子。
  5. 請求項1または2に記載の半導体発光素子において、
    所定の発光層領域の上層または下層に接する発光層領域を、イオン打ち込みにより電流層領域とするとともに、他の所定の発光層領域の下層または上層に接する発光層領域を、イオン打ち込みにより光ガイド層領域とし、
    互いに異なる領域のn個の発光層領域のそれぞれが、前記電流層領域と光ガイド層領域に挟まれている
    ことを特徴とする半導体発光素子。
  6. 請求項4または5に記載の半導体発光素子において、
    少なくとも1つの前記光ガイド層領域のバンドギャップエネルギーは、その光ガイド層領域に接する発光層領域のバンドギャップエネルギーよりも大きいことを特徴とする半導体発光素子。
  7. 請求項3または5に記載の半導体発光素子において、
    前記両クラッド層のエネルギーバンドギャップは、前記電流層領域および前記発光層領域のエネルギーバンドギャップよりも大きいことを特徴とする半導体発光素子
  8. 請求項3または5に記載の半導体発光素子において、
    前記電流層領域のエネルギーバンドギャップは、その電流層領域に接する発光層領域のエネルギーバンドギャップよりも小さいことを特徴とする半導体発光素子。
  9. 請求項8記載の半導体発光素子において、
    前記電流層領域とその電流層領域に接する発光層領域とのエネルギーバンドギャップの差は、0.3[eV]未満であることを特徴とする半導体発光素子。
  10. 請求項3から5までのいずれかに記載の半導体発光素子において、
    前記電流層領域または/および前記光ガイド層領域を構成する半導体化合物は、前記発光層領域を構成する半導体化合物と同一種類の半導体化合物であり、
    前記電流層領域または/および前記光ガイド層領域を構成する半導体化合物の組成比は、前記発光層領域を構成する半導体化合物の組成比と異なる
    ことを特徴とする半導体発光素子。
  11. 請求項10に記載の半導体発光素子において、
    前記同一種類の半導体化合物は、InまたはAlを含む半導体化合物であり、
    前記電流層領域または/および前記光ガイド層領域を構成する半導体化合物のInまたはAlの組成比は、前記発光層領域を構成する半導体化合物のInまたはAlの組成比と異なる
    ことを特徴とする半導体発光素子。
  12. 請求項3または5に記載の半導体発光素子において、
    前記電流層領域を構成する半導体化合物の組成比を変えることにより、その電流層領域に接する発光層領域による発光出力を制御したことを特徴とする半導体発光素子。
  13. 前記請求項1から5までのいずれかに記載の半導体発光素子において、
    前記発光層領域、前記電流層領域、および前記光ガイド層領域は、ダブルヘテロ構造、単一量子井戸構造、多重量子井戸構造、または量子ドット構造のいずれかで構成されていることを特徴とする半導体発光素子。
  14. 請求項3から5までのいずれかに記載の半導体発光素子において、
    前記電流層領域または/および前記光ガイド層領域は、イオン打ち込み法によりInまたはAlを注入することにより形成されたことを特徴とする半導体発光素子。
  15. 請求項1から5までのいずれかに記載の半導体発光素子において、
    発光のピーク波長がそれぞれ600〜680[nm],700〜800[nm]である2個の発光層を備えたことを特徴とする半導体発光素子。
  16. 請求項1から5までのいずれかに記載の半導体発光素子において、
    発光のピーク波長がそれぞれ450〜490[nm],500〜540[nm],620〜660[nm]である3個の発光層を備えたことことを特徴とする半導体発光素子。
  17. 請求項1から5までのいずれかに記載の半導体発光素子において、
    発光のピーク波長がそれぞれ400〜450[nm],600〜700[nm],700〜800[nm]である3個の発光層を備えたことを特徴とする半導体発光素子。
  18. 請求項1または2に記載の半導体発光素子において、
    前記(n−1)個の絶縁層の形成位置を制御することにより、n個の発光位置を制御したことを特徴とする半導体発光素子。
  19. 請求項3または5に項記載の半導体発光素子において、
    前記電流層領域の形成位置を制御することにより、n個の発光位置を制御したことを特徴とする半導体発光素子。
  20. 請求項1または2に記載の半導体発光素子において、
    前記第2導電型コンタクト層および前記第2導電型クラッド層に、プロトンまたはWをイオン打ち込みして、n個の電流狭窄層を形成したことを特徴とする半導体発光素子。
  21. 請求項1または2に記載の半導体発光素子において、
    前記第2導電型クラッド層の表面に形成された対称メサ構造からなるn個の光閉じ込め構造と、
    前記光閉じ込め構造の頂部を除いた前記第2導電型クラッド層の表面上に形成された第1導電型電流狭窄層と
    をさらに備え、
    第2導電型コンタクト層は、前記光閉じ込め構造の頂部および第1導電型電流狭窄層の上部に延在する
    ことを特徴とする半導体発光素子。
  22. 請求項21記載の半導体発光素子において、
    前記n個の光閉じ込め構造の形成位置を制御することにより、n個の発光位置を制御したことを特徴とする半導体発光素子。
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