JP2005128726A - 中古共同住宅価格査定システム、中古共同住宅価格査定装置、中古共同住宅価格査定方法及び中古共同住宅価格査定プログラム - Google Patents

中古共同住宅価格査定システム、中古共同住宅価格査定装置、中古共同住宅価格査定方法及び中古共同住宅価格査定プログラム Download PDF

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Abstract

【課題】 本発明の目的は、現入居者の使用状況による設備・建具等の痛み具合、想定される耐用年数、リフォーム・メンテナンス状況を中古共同住宅の査定価格に適正に反映させることが可能な中古共同住宅価格査定システムを提供することにある。
【解決手段】 本発明は、中古住宅の取引業者2が、中古共同住宅の住戸の売却価格を査定する中古共同住宅価格査定システムである。
住戸に条件が類似する過去の売買成約物件を比較対象物件とし、比較対象物件の単位面積当りの成約価格単価に、複数の特定項目について住戸を比較対象物件と比較して得た比率、及び住戸の専有面積を積算して得た一次査定価格を、住戸の初期評価額として入力する入力手段と、売主が売却前に補修を行わない場合には、検査機関による専有部の検査結果に基づいて算出された住戸の専有部の補修に必要な補修費用を、初期評価額から減算する処理を経て導かれた価格を、住戸の最終査定価格として出力する手段と、を備える取引業者のコンピュータ21を有する。
【選択図】図5

Description

本発明は、中古共同住宅価格査定システム、中古共同住宅価格査定装置、中古共同住宅価格査定方法及び中古共同住宅価格査定プログラムに係り、特に現入居者の使用状況による設備・建具等の痛み具合、想定される耐用年数、リフォーム・メンテナンス状況を中古共同住宅の査定価格に適正に反映させることが可能な中古共同住宅価格査定システム、中古共同住宅価格査定装置、中古共同住宅価格査定方法及び中古共同住宅価格査定プログラムに関する。
中古マンションの売主から売却の依頼を受けると、まず、不動産業者は、具体的な売出価格を決定する参考となる妥当な市場価格を判定する価格査定を行い、この査定価格を売主に提示する。その後、査定価格と売主の売出希望価格とに基づき、売主と不動産業者とが協議の上、実際の売出価格を決定し、この売出価格をインターネットやチラシ、不動産業者の店頭等に表示し、中古マンションの売却斡旋をする。
買主が現れると、買主と協議の上、成約価格で合意となれば、この成約価格で中古マンションが売却される。
このような中古マンションの売却の流れにおいて、日本では一般的に、査定対象マンションに立地環境、建物状況、売却時期などが出来るだけ近いものを比較対象マンションとして、価格査定を行う担当者が直接観察することによって認められる差異を根拠として、取引参考価格の算出が行われている(例えば、特許文献1)。
特開2002−15049号公報(第13欄第9行〜第14欄第28行)
特許文献1では、価格査定を次のように行うことが記載されている。
すなわち、予め販売事例のある中古マンションの物件名、所在地、専有面積、築年数、取引価格、販売単価、取引年月のデータと共に、査定の条件格差を比較するために格差値のデータを登録しておく。
条件格差の比較データの格差値としては次のように設定する。尚、下記2乃至14の格差値については「1.交通」の格差値に準じてプラス、0又はマイナスの格差値を設定しておくものとする。
1.交通、最寄りの電車駅又はバス停までの徒歩時間(10分→0、9分以下→+1.5/分、11分以上→−1.5/分)、最寄りの電車駅までのバス乗車時間(10分→−10、9分以下→+1/分、11分以上→−1/分)
2.周辺環境(優劣)、3.土地の権利(権利内容別)、4.築年数(築後経過年数)、5.建物外観(外観仕上げ方法)、6.間取り(優劣)、7.収納(優劣)、8.階層(階層別)、9.開口の方位(角部屋、中部屋別窓の向き)、10.日照・通風の阻害度(程度別)、11.バルコニーの広さ(面積別)、12.管理員の形態(常勤、通勤、巡回、なし)、13.共用部の管理(優劣)、14.設備等(トランクルーム付き、オートロック、駐車場付、専用庭)の各項目の格差値をマンションの売却事例物件毎に入力しておく。
売却マンションの査定にあたっては査定マンションについて上記1乃至14の各項目の格差値を評価する。
そして、100に事例マンションの格差値の合計x0を加えた値を事例マンションの評価点y0(y0=100+x0)とし、100に査定マンションの格差値の合計x1を加えた値を査定マンションの評価点y1(y1=100+x1)とし、事例マンションの単価に査定マンションの評価点と事例マンションの評価点の比(y1/y0)と、査定マンションの専有面積との積算値を査定価格とし、これを中央値として、査定マンションの直近における周辺地区の不動産流通性を加味し、前後5%を目安となる販売価格として表示する。
上記従来の価格査定の方法は、土地が共有で建物と一体として利用され、また設備が共有であると共に専有部のみが取引されるというマンションの特徴を考慮すると、土地に対する評価も建物と一体として行うという点で妥当である。
しかし、現入居者の使用状況による設備・建具等の傷み具合、想定される耐用年数、リフォーム、メンテナンス状況などによっても、該中古マンションの購入者が将来負担するであろうコストは大きく異なってくるが、上記従来の価格査定の方法ではこれらマンションの購入者が負担するコストに影響を及ぼす要因は、充分査定価格に加味されているとは言いにくい状況である。
その結果、現入居者が頻繁にメンテナンスを行って大切に使用した住戸と、特にメンテナンス等を行うことなく使用された住戸との間でも、査定価格にあまり差が出ることなく、買い手側にとっては、購入したマンションに思いのほかメンテナンス費用がかかる事態も生じ得ており、査定価格が適正な金額になっていない場合もあった。
一方、売主側にとっても、日本では、メンテナンスを頻繁に行っても、査定価格にはあまり反映されないため、将来のマンション住戸の売却を考えてメンテナンスを行うという意識が持たれにくかった。
本発明の目的は、上記問題点を解決することにあり、現入居者の使用状況による設備・建具等の痛み具合、想定される耐用年数、リフォーム・メンテナンス状況を中古共同住宅の査定価格に適正に反映させることが可能な中古共同住宅価格査定システム、中古共同住宅価格査定装置、中古共同住宅価格査定方法及び中古共同住宅価格査定プログラムを提供することにある。
上記課題は、請求項1に係る発明によれば、中古住宅の取引業者が、中古共同住宅の住戸の売却価格を査定する中古共同住宅価格査定システムであって、前記住戸に条件が類似する過去の売買成約物件を比較対象物件とし、該比較対象物件の単位面積当りの成約価格単価に、複数の特定項目について前記住戸を前記比較対象物件と比較して得た比率、及び前記住戸の専有面積を積算して得た一次査定価格を、前記住戸の初期評価額として入力する入力手段と、前記売主が売却前に補修を行わない場合には、検査機関による専有部の検査結果に基づいて算出された前記住戸の専有部の補修に必要な補修費用を、前記初期評価額から減算する処理を経て導かれた価格を、前記住戸の最終査定価格として出力する手段と、を備える前記取引業者のコンピュータを有することにより解決される。
上記課題は、請求項3に係る発明によれば、中古住宅の取引業者が、中古共同住宅の住戸の売却価格を査定する中古共同住宅価格査定装置であって、前記住戸に条件が類似する過去の売買成約物件を比較対象物件とし、該比較対象物件の単位面積当りの成約価格単価に、複数の特定項目について前記住戸を前記比較対象物件と比較して得た比率、及び前記住戸の専有面積を積算して得た一次査定価格を、前記住戸の初期評価額として入力する入力手段と、前記売主が売却前に補修を行わない場合には、検査機関による専有部の検査結果に基づいて算出された前記住戸の専有部の補修に必要な補修費用を、前記初期評価額から減算する処理を経て導かれた価格を、前記住戸の最終査定価格として出力する手段と、を備えることにより解決される。
上記課題は、請求項5に係る発明によれば、中古住宅の取引業者が、中古共同住宅の住戸の売却価格を査定する中古共同住宅価格査定方法であって、前記住戸に条件が類似する過去の売買成約物件を比較対象物件とし、該比較対象物件の単位面積当りの成約価格単価に、複数の特定項目について前記住戸を前記比較対象物件と比較して得た比率、及び前記住戸の専有面積を積算して得た一次査定価格を、前記住戸の初期評価額として入力する入力手順と、前記売主が売却前に補修を行わない場合には、検査機関による専有部の検査結果に基づいて算出された前記住戸の専有部の補修に必要な補修費用を、前記初期評価額から減算する処理を経て導かれた価格を、前記住戸の最終査定価格として出力する手順と、を行うことにより解決される。
上記課題は、請求項7に係る発明によれば、中古住宅の取引業者が、中古共同住宅の住戸の売却価格を査定するコンピュータに、前記住戸に条件が類似する過去の売買成約物件を比較対象物件とし、該比較対象物件の単位面積当りの成約価格単価に、複数の特定項目について前記住戸を前記比較対象物件と比較して得た比率、及び前記住戸の専有面積を積算して得た一次査定価格を、前記住戸の初期評価額として入力する入力手順と、前記売主が売却前に補修を行わない場合には、検査機関による専有部の検査結果に基づいて算出された前記住戸の専有部の補修に必要な補修費用を、前記初期評価額から減算する処理を経て導かれた価格を、前記住戸の最終査定価格として出力する手順と、を実行させることを特徴とする中古共同住宅価格査定プログラムにより解決される。
このように構成しているので、必要な補修を行わずに売主が中古共同住宅の住戸を売却する場合であっても、補修費用分が買主の認識のないまま、査定価格に上乗せされることがない。また、補修を完了した状態で売却される住戸と補修を行わずに売却される住戸との間での公平が保たれる。
さらに、本発明の中古共同住宅価格査定システムは、補修がされるか否かが査定価格に直接反映される構成であるため、査定価格の信頼性が増し、売主、買主にとっても安心感が高まる。その結果、中古住宅の取引業者にとっても、このシステムを利用することで、売主、買主の信用を得やすくなる。
また、一旦、一般的な方法で一次査定価格を得た後、この一次査定価格を初期評価額として用いてさらに前記売主が売却前に補修を行わない場合には、検査機関による専有部の検査結果に基づいて算出された前記住戸の専有部の補修に必要な補修費用を、前記初期評価額から減算する処理を経て導かれた価格を、前記住戸の最終査定価格とするので、一般的な査定方法による査定額の方針に沿ったまま、補修をするか否かを査定価格に反映させることができる。
したがって、他の一般的な査定システムを用いた場合の査定基準と大きく乖離することなく、補修費用を反映することができるので、従来の査定システムから本発明の査定システムへの移行をスムーズに行うことができる。
このとき、前記検査結果には、検査部位に補修が必要か否かの情報が、前記検査部位ごとの情報として含まれ、前記取引業者のコンピュータは、前記検査部位ごとの標準的な補修費用を受信する手段を備え、前記補修費用は、すべての前記補修が必要な前記検査部位の前記標準的な補修費用を加算することにより算出されるように構成すると好適である。
このように構成しているので、検査結果から得る情報は補修が必要な箇所のみでよく、補修業者から見積を取らずに簡易に補修費用を算出することができる。
本発明によれば、必要な補修を行わずに売主が中古共同住宅の住戸を売却する場合であっても、補修費用分が買主の認識のないまま、査定価格に上乗せされることがない。また、補修を完了した状態で売却される住戸と補修を行わずに売却される住戸との間での公平が保たれる。
さらに、本発明の中古共同住宅価格査定システムは、補修がされるか否かが査定価格に直接反映される構成であるため、査定価格の信頼性が増し、売主、買主にとっても安心感が高まる。その結果、中古住宅の取引業者にとっても、このシステムを利用することで、売主、買主の信用を得やすくなる。
売主の使用状況による設備・建具等の傷み具合、想定される耐用年数、リフォーム、メンテナンス状況などによっても、中古共同住宅の買主が将来負担するであろうコストは大きく異なってくるが、本発明では、売却時点で売主が補修を行わない場合にはその補修費用を査定価格から差し引いているので、買主が売主の使用状況によって将来余計に負担することとなるコストを低減することが可能となり、売却対象の物件間における不公平感を是正することが可能となる。
また、本発明の中古共同住宅価格査定システムは、将来買主のメンテナンスコスト及び居住性に影響を及ぼす補修費用が査定価格に加味されているので、査定価格の信頼性が増し、売主、買主にとっても安心感が高まる。その結果、中古住宅の取引業者にとっても、このシステムを利用することで、売主、買主の信用を得やすくなる。
さらに、補修費用等の情報を提供し、査定額に加味することで該共同住宅の購入検討者は開示された情報をもとに将来の維持コストや入居後の生活上の不安を解消することが可能になり、より正確な情報による購入の判断が可能になる。
また、該共同住宅の売却、引き渡し後に、隠れた瑕疵による損害の補填を考慮する必要がなくなる。
以下、本発明の一実施例を図面に基づいて説明する。なお、以下に説明する構成は本発明を限定するものでなく、本発明の趣旨の範囲内で種々改変することができるものである。
本実施形態の中古共同住宅価格査定システムは、中古の共同住宅の売却価格を査定するシステムである。
本実施形態の中古共同住宅価格査定システムで算出する価格は査定価格である。
ここで、査定価格とは、不動産業者が、不動産の売約の媒介を受託する際に、不動産の持主に提示する助言価格であって、不動産業者が不動産の持ち主と協議の上実際に売り出す価格である売出価格、不動産の買主と協議の上合意となった売買価格である成約価格とは異なる場合もある。
また、本実施形態の中古共同住宅価格査定システムで行うのは、中古の共同住宅の価格査定であって、宅地建物取引業法に基づき、不動産売却の依頼に対し具体的な売出価格を決定する参考として算出するものであり、「不動産の鑑定評価に関する法律」に基づき、不動産鑑定士または不動産鑑定士補が、合理的な市場があったならばそこで形成されるであろう正常な市場価値を表示する価格を把握することを目的とする鑑定評価とは目的、価格に対するアプローチの仕方、手法を異にする。
本明細書において共同住宅には、マンション、アパート、フラット、企業等が所有する社宅等を含む。
本明細書中で「コンピュータ」とは、演算装置を備えた情報端末すべてを含む意味である。例えば、スーパーコンピュータ、汎用コンピュータ、オフィスコンピュータ、制御用コンピュータ、ワークステーション、パソコンのほか、携帯情報端末、PDA(Personal Digital Assistant)、演算装置を備えた携帯電話、ウェアラブルコンピュータ、電子ペーパー等をも含む。
なお、本実施形態においては、情報通信網としてインターネット13を利用しているが、LAN,WANによりコンピュータを接続したプライベートの情報通信網、専用線による通信、携帯情報端末の公衆情報通信網、その他の公衆情報通信網によるものであってもよい。
本実施形態は、共同住宅のうち、マンションの査定価格を算出する中古マンションの価格査定システムである。
本実施形態の中古共同住宅価格査定システムは、マンションのデベロッパー1が提供するシステムであって、図1に示すように、中古共同住宅価格査定システムを運営するデベロッパー1と、中古住宅売買を仲介する中古住宅の取引業者としての不動産業者2と、マンションの専有部を検査する専有部検査機関3と、を主要構成要素とする。
デベロッパー1とは、マンションの開発、建築、販売を行う業者であり、本実施形態の中古共同住宅価格査定システムを提供する。
デベロッパー1は、中古共同住宅価格査定システムを運営管理する本部11と、各マンションの共用部の管理を行う管理部門12と、を含む。
本部11は、中古共同住宅価格査定システムを運営管理する部門であって、中古共同住宅価格査定システムのサーバコンピュータ111が設置されている。
なお、本実施形態では、中古共同住宅価格査定システムをデベロッパー1が提供し、不動産業者2が使用するように構成しているが、これに限定されるものでなく、マンションの建築業者と販売業者を異なる組織として構成し、マンションの建築業者又は販売業者のいずれか一方が本実施形態の中古共同住宅価格査定システムを提供するように構成してもよい。
また、デベロッパー1が不動産仲介部門を備え、この不動産仲介部門が、不動産業者2の代わりに本実施形態の中古共同住宅価格査定システムを使用するよう構成してもよい。この場合、図1のデベロッパー1と不動産業者2とは、単一の業者として一体に構成され、その単一の業者の中の異なる部門に該当することとなる。
さらに、マンションの建築業者と販売業者とが異なる組織として構成され、マンションの建築業者又は販売業者のいずれか一方が中古共同住宅価格査定システムを提供し、このシステムを提供する業者が、不動産仲介部門を備え、この不動産仲介部門が、不動産業者2の代わりに本実施形態の中古共同住宅価格査定システムを使用するよう構成してもよい。
サーバコンピュータ111のハード構成を図2に基づき説明する。
サーバコンピュータ111は、データの演算・制御処理装置としてのCPU72,記憶装置であるRAM73,ROM74,HDD75及び記憶媒体装置76を備えている。
CPU72は、ROM74又はHDD75に記憶されているプログラムにしたがって各種の処理を実行するようになされている。
RAM73には、CPU72が各種の処理を実行する上において必要なデータなどが適宜記憶される。
入力装置であるキーボード78とマウス79は、CPU72に所定の指令を入力するとき適宜操作される。
さらに表示装置80,プリンタ81には、所定の書式で表示される情報,画像等が出力表示される。
記憶媒体装置76は、外付けハードディスク,光磁気ディスク,CD−R,DVD,メモリスティックなどにより構成され、インターネット13を介して送信されてきたデータを適宜記憶し、またこれを読み出すことができるようになされている。
通信装置77は、インターネット13に対してデータを送信し、またインターネット13を介して供給されたデータを受信するようになされている。
HDD75には、図3に示すように、評価基準データベース51と物件評価データベース52とが格納されている。
評価基準データベース51は、各住戸の一次査定価格に反映され最終的な査定価格を導くためのデータが登録されたデータベースであり、設計・仕様参照ファイル511、専有部修繕標準価格参照ファイル512、自社物件管理状況参照ファイル513、他物件管理状況参照ファイル514、基礎情報登録参照ファイル515が含まれている。
また、物件評価データベース52は、不動産業者2側で端末コンピュータ21の操作により算出された最終的な査定結果を格納するデータベースであり、基礎情報物件ファイル521が格納されている。
設計・仕様参照ファイル511は、各住戸の設計・仕様に関する情報が登録されたファイルである。そのマンションが建築された時点、リフォームされた時点等の設計・仕様に関する情報が登録されている。
マンション建築時からの設計・仕様に関する情報は、マンションを供給したデベロッパー1が蓄積して保有している。本実施形態の中古共同住宅価格査定システムを提供する主体が、マンションを供給するデベロッパー1自身であるため、詳細かつ正確な設計・仕様の情報を、中古共同住宅価格査定システムでも活用することで、より正確な査定が可能となったものである。
なお、デベロッパー1の代わりに、マンションの建築業者又は販売業者が本実施形態の中古共同住宅価格査定システムを提供する場合には、この建築業者又は販売業者が、マンション建築・販売当時の設計・仕様の情報を保有している。従って、本実施形態の中古共同住宅価格査定システムを提供する主体が、マンションの建築業者又は販売業者である場合にも、詳細かつ正確な設計・仕様の情報を、中古共同住宅価格査定システムでも活用可能となり、より正確な査定が可能となったものである。
設計・仕様参照ファイル511は、デベロッパー1が供給したマンションについては、項目として、物件名(マンション名)、住戸番号、物件面積、物件耐用年数、物件経過年数、各チェック項目の耐用年数、各チェック項目について対応しているか否かを示す対応状況が含まれる。
ここで、チェック項目とは、査定対象物件の価格査定を行う際にチェックされる項目であり、本実施形態では、図9に示すチェック項目が含まれている。
デベロッパー1以外で、共通仕様のあるデベロッパーが供給したマンションについては、その共通仕様の設計・仕様に関するデータが登録されている。項目としては、物件耐用年数、各チェック項目の耐用年数、各チェック項目について対応しているか否かを示す対応状況が含まれる。また、共通仕様のあるデベロッパーが供給したマンションについて査定依頼がされたときには、査定依頼がされたマンションについて物件名(マンション名)、住戸番号、物件面積、物件経過年数等の情報が入手できるので、設計・仕様参照ファイル511に登録される。
その他の一般分譲マンションについては、予め調査によって算出された標準値が登録されている。
専有部修繕標準価格参照ファイル512は、査定対象物件の専有部の検査対象となった各部位を修繕するために必要な標準の補修額を登録したファイルである。
検査対象部位がどの設備等のものかを示す大項目、検査対象部位がどのような機能に関するものかを示す中項目、検査対象の部位、各部位を修繕するために必要な標準の補修額を示す修繕標準コストが含まれる。
大項目、中項目、部位は、図23、図24の専有部検査結果説明書と同様である。
補修に必要な費用は、専有部の検査結果で得られる修繕箇所数と、検査の結果不良であると判断された部位の修繕標準コストとを積算し、この積算値をすべての部位について合計することにより算出される。
自社物件管理状況参照ファイル513は、デベロッパー1の供給したマンションの共用部の管理状況が登録されたファイルである。
自社物件管理状況参照ファイル513には、図15〜図19に示す共用部維持管理状況説明書と同様に、管理状況に関する評価項目と、カテゴリーと評価ポイントと、そのマンションの得点とが物件名(マンション名)を付して登録されている。
本実施形態では、自社物件管理状況参照ファイル513を本部11のサーバコンピュータ111に登録しているが、元々デベロッパー1の管理部門12で作成、管理されているデータであるため、サーバコンピュータ111に登録せず、管理部門12の管理状況サーバコンピュータ121から直接読み出すようにしてもよい。
他物件管理状況参照ファイル514は、デベロッパー1の供給したマンション以外のマンションの管理状況を査定するために用いられるファイルであって、標準的な管理状況に関するデータが登録されている。
デベロッパー1の供給したマンション以外のマンションの管理状況査定は、査定対象物件の共用部の管理状況を、他物件管理状況参照ファイル514の標準的な管理状況と比較することにより行われる。
基礎情報登録参照ファイル515には、査定対象物件の物件名(マンション名)、住戸番号など基礎的な情報と、査定価格に加算すべき各種手数料の金額(専有部の検査を行ったことによる加算額、他デベロッパーの物件情報ファイルの提供を受けたことによる加算額、デベロッパー1が認定したことを条件として認められる保証による加算額)が登録されている。基礎情報登録参照ファイル515は、最終的な査定額計算のために用いられる。
基礎情報物件ファイル521は、不動産業者2で作成された基礎情報物件ファイル221を格納するファイルである。
管理部門12は、デベロッパー1が提供する各種建物の管理・修繕を行う部門であって、各マンションの共用部等の各管理状況を管理する管理状況サーバコンピュータ121が設置されている。本実施形態では、各マンションの管理・修繕及び運営状況の調査は、マンション管理士の資格を有する者により行われる。
管理状況サーバコンピュータ121のハード構成は、サーバコンピュータ111と同様であるので説明を省略する。不図示のHDDには、管理部門12が管理するマンションの共用部管理状況報告書等が格納された管理状況物件ファイルが登録されている。
なお、本実施形態では、管理部門12をデベロッパー1の一部門として構成しているが、管理部門12をデベロッパー1とは異なる組織として、デベロッパー1から各種建物の管理を受注して代行する外注業者として構成してもよい。
また、デベロッパー1は、デベロッパー1が開発・建設したマンション住戸の売却時に、売主4の窓口となる不図示の顧客サービス部門を備えている。
マンション住戸の売主4は、顧客サービス部門に住戸を売却したい旨連絡すると、顧客サービス部門は不動産業者2に連絡をし、その後不動産業者2による売却の手続が進められることになる。
不動産業者2は、中古住宅売買を仲介する業者であって、デベロッパー1のマンションを含む各種共同住宅の中古売買を行う。
本実施形態では、デベロッパー1との間で、本実施形態の中古共同住宅価格査定システムを利用する契約を締結し、利用している。
不動産業者2は、本実施形態の中古共同住宅価格査定システムを、マンション各戸の売主4に対する営業ツールとして利用可能である。
すなわち、本実施形態の中古共同住宅価格査定システムは、従来の価格査定システムで加味されていなかった専有部のメンテナンス状況、共用部の管理状況、設計・仕様等をも加味してマンションの最終的な価格査定を行うため、各戸の売主4の専有部のメンテナンス状況、共用部の管理状況、設計・仕様等が価格に反映される。
従って、自宅を大切に使っていた売主4、共用部の管理状況のよいマンションの住戸を所有する売主4、設計・仕様レベルの高いマンション住戸の売主4は、有利な査定価格を得ることができ、より有利な査定価格を得られる本実施形態の中古共同住宅価格査定システムを利用したいと考えるようになり、このシステムを利用できる不動産業者2に中古住宅の販売を依頼したいと考えるからである。
さらに、このように、自宅を大切に使っていた売主4、共用部の管理状況のよいマンションの住戸を所有する売主4、設計・仕様レベルの高いマンション住戸の売主4が、より有利な査定価格を得られる本実施形態の中古共同住宅価格査定システムを利用したいと考えるようになる結果、不動産業者2には、設計・仕様レベルが高く、共用部及び専有部分の管理状況のよい良好な物件が集まってくることになる。
不動産業者2には、不動産業者2の担当者が利用する端末コンピュータ21とが設置されている。端末コンピュータ21には、中古共同住宅価格査定システムを利用して発生した各データを蓄積されている。
不動産業者2は、マンション各戸の売主4から直接住戸の査定、売却を依頼された場合、又は、デベロッパー1の不図示の顧客サービス部門に住戸の査定、売却について相談を持ちかけた売主4をデベロッパー1から紹介された場合に、中古共同住宅価格査定システムを用いてその住戸の査定を行い、査定結果を売主4に提示する。
また、売主4から要望があれば、売主4の住戸に関する情報を査定結果と共に不動産業者2のホームページやチラシ広告に掲載し、住戸の売却斡旋を行う。
端末コンピュータ21のハード構成は、図2のサーバコンピュータ111のハード構成と同様であるため、説明を省略する。
端末コンピュータ21の不図示のHDDには、査定価格データベースが格納され、設計・仕様物件ファイル211、専有部物件ファイル212、管理状況物件ファイル213、基礎情報物件ファイル221が含まれている。
専有部検査機関3は、各マンションの専有部、すなわち売主4が所有する住戸部分を検査する機関である。専有部検査機関3は、専有部の検査の公正さを高めるため、デベロッパー1、不動産業者2とは別の第三者組織からなる。専有部の検査は、売主4から査定依頼を受けた後行われる。専有部検査機関3は、デベロッパー1に関連のある業者でなく、売主4から直接依頼を受けた業者でもないため、検査結果の公正さが保たれる。
専有部検査機関3には、検査結果を入力すると共に不動産業者2の端末コンピュータ21に送信するための端末コンピュータ31が設置されている。
次に、本実施形態の中古共同住宅価格査定システムの運用の概略について、図4に基づき説明する。
デベロッパー1の不図示の顧客サービス部門は、図4の処理1で、デベロッパー1のマンション住戸の売主4より住戸の査定の依頼を受けると、不動産業者2に、売主4、査定対象物件となる住戸に関する情報を連絡する。
また、処理1では、不動産業者2が、デベロッパー1に係るマンション以外の共同住宅について、査定の依頼を売主4から受ける場合もある。
処理1で、マンションの査定の依頼を受けると、不動産業者2の担当者は、本実施形態の中古共同住宅価格査定システムを用いて、その住戸の査定を行う。
査定では、まず、不動産業者2が、処理2〜処理5で、一次査定を行う。
一次査定は、財団法人不動産流通近代化センターの発行する中古マンション価格査定マニュアルに基づき行う。
日本における不動産の仲介においては、財団法人不動産流通近代化センターの発行する中古マンション価格査定マニュアルによって査定価格を公平に提示することが望ましいとされており、一旦このマニュアルに対応した査定を実施するものである。
中古マンション価格査定マニュアルは取引事例比較法によって、提示価格が算出されているため、必ず比較対象物件となる取引事例と比較されている。
処理2では、不動産業者2の担当者が、端末コンピュータ21で本実施形態の中古共同住宅価格査定システムのプログラムを立ち上げ、取引比較事例である比較対象物件の検索を行う。具体的には、端末コンピュータ21のデスクトップでアイコンをクリックして本実施形態の中古共同住宅価格査定システムのプログラムを立ち上げて表示される図8(a)のトップページ900で、比較対象物件識別処理メニューボタン904をクリックして図8(b)の比較対象物件識別処理メニュー画面910を表示させる。この画面で比較物件検索ボタン9177をクリックし、不図示の比較物件検索画面で検索を行う。
次いで、処理2の検索結果として不図示の比較物件検索画面に表示された複数の物件の中から、処理3で、比較対象物件の判定を行う。比較対象物件の判定にあたり、まず優先してデベロッパー1が供給するマンションの取引事例について、比較対象物件として採用できるものがないか検討する。なお、優先してデベロッパー1の物件を検討することは、できるだけ立地・建物の条件の近い事例を探すという点で、公平性を阻害するものではない。
本実施形態では、比較対象物件がデベロッパー1のマンションであるか、デベロッパー1以外であっても、共通仕様のマンションを複数供給していて情報を入手しやすいデベロッパーであるかによって以降の処理を分岐しており、処理3でデベロッパー1か否か、共通仕様デベロッパーのマンションか否かの識別を行っている。
その後、処理4で表示された物件の中から、目視で比較対象物件を選択して決定し、処理5で一次査定を実施する。
処理5の一次査定は、日本の中古マンションの価格査定において一般的に行われている公知の手法、例えば、特開2002−15049号公報に記載されている次のような方法で行う。
すなわち、予め、査定の条件格差を比較するために格差値を決めておく。
条件格差を比較するための格差値は次のように設定する。尚、下記2乃至14の格差値については「1.交通」の格差値に準じてプラス、0又はマイナスの格差値を設定しておくものとする。
1.交通、最寄りの電車駅又はバス停までの徒歩時間(10分→0、9分以下→+1.5/分、11分以上→−1.5/分)、最寄りの電車駅までのバス乗車時間(10分→−10、9分以下→+1/分、11分以上→−1/分)
2.周辺環境(優劣)、3.土地の権利(権利内容別)、4.築年数(築後経過年数)、5.建物外観(外観仕上げ方法)、6.間取り(優劣)、7.収納(優劣)、8.階層 (階層別)、9.開口の方位(角部屋、中部屋別窓の向き)、10.日照・通風の阻害度(程度別)、11.バルコニーの広さ(面積別)、12.管理員の形態(常勤、通勤、巡回、なし)、13.共用部の管理(優劣)、14.設備等(トランクルーム付き、オートロック、駐車場付、専用庭)の各項目の格差値をマンションの売却事例物件毎に準備しておく。
査定対象物件の査定にあたっては、査定対象物件について上記1乃至14の各項目の格差値を評価する。
そして、100に比較対象物件の格差値の合計x0を加えた値を比較対象物件の評価点y0(y0=100+x0)とし、100に査定対象物件の格差値の合計x1を加えた値を査定対象物件の評価点y1(y1=100+x1)とし、比較対象物件の単価に査定対象物件の評価点と比較対象物件の評価点の比(y1/y0)と、査定対象物件の専有面積との積算値を一次査定価格とする。
次いで、処理6で、不動産業者2の担当者は、端末コンピュータ21で本実施形態の中古共同住宅価格査定システムで、査定マニュアルに基づいて処理2〜処理5で求められた一次査定価格を、初期評価額として入力し、中古共同住宅価格査定システムでの処理を開始する。
処理6で一次査定価格が入力されると、処理7で査定が行われる。
処理7の査定処理では、処理3、処理4で判定された比較対象物件の種類によって、参照項目がT−1〜T−3の3種類に分岐される。
設計・仕様、共用部の管理状況に基づき、最終的な査定価格を算出するためのパターンとして図5の取引事例との比較と算出のパターンについて説明する。
比較対象物件がデベロッパー1のマンションの場合は、自社マンションであるため、本実施形態のシステムにおいて比較に必要な設計・仕様及び管理状況のデータは全てデベロッパー1のサーバコンピュータ111のファイル511、513に保管されている。したがって、該当する査定対象物件のデータを、サーバコンピュータ111のファイル511、513でそのまま参照する(T−1)。
比較対象物件が査定対象物件の供給デベロッパーと異なる場合で、且つそのデベロッパーの供給するマンションに共通仕様があると認められる場合は、あらかじめ登録した共通仕様の設計・仕様のデータを参照する(T−2)。設計・仕様参照ファイル511の共通仕様マンションのデータである。また、管理状況については、他物件管理状況参照ファイル513を参照する。
上記T−1、T−2のいずれにも該当しない一般の分譲マンションを比較対象物件とする場合は、あらかじめ調査によって算出した設計・仕様の標準値が設計・仕様参照ファイル511に参照データとして登録されているので、この標準値を参照する(T−3)。また、管理状況については、他物件管理状況参照ファイル513を参照する。
専有部については、専有部検査機関3による検査結果が端末コンピュータ21で入力され、検査結果で補修が必要であることが示されている部位の修繕標準コストをサーバコンピュータ111の専有部修繕標準価格参照ファイル512に参照することにより、その住戸の専有部の修繕標準コスト64が算出される。必要な補修を行わずに売買する場合は、初期評価額からこの修繕標準コスト64を減額する。
さらに、査定価格には、情報提供加算額も加算する。
本実施形態の中古共同住宅価格査定システムにおいては、専有部検査、共用部管理状況、設計・仕様に関するデータなどデータの提供サービス及びデベロッパー1が認定したことを条件として認められる売買成立後の6ヶ月間の保証サービスを含んでおり、売主4・買主双方に於いて精度の高い情報に基づく中古マンション取引が可能になり、それぞれがその便益を受けることが可能である。そのため、情報提供に関わるコストを、最終的な査定額に対して加算する処理を行っている。
なお、デベロッパー1が認定したことを条件として認められる保証サービスは、6ヶ月に限定されず、4ヶ月などほかの期間としてもよい。
次いで、本実施形態の中古共同住宅価格査定システムの処理動作について、図6、図7のフローチャートに基づき説明する。
図4の処理5において、一次査定価格が決定すると、不動産業者2の担当者は、端末コンピュータ21で中古共同住宅価格査定システムのプログラムを再度立ち上げる。
端末コンピュータ21の画面には、図8(a)のトップページ900が立ち上がる。
トップページ900には、査定対象物件名入力欄901、査定対象の住戸番号入力欄902、初期評価額入力欄903、図8(b)の比較対象物件識別処理メニュー画面910を表示させるための比較対象物件識別処理メニューボタン904、過去に査定を行った物件を検索する不図示の画面を表示させるための過去査定物件検索ボタン905、査定結果を出力させる不図示の画面を表示させるための査定結果出力画面ボタン906、システムを終了するためのシステム終了ボタン907が表示されている。
図8(b)の比較対象物件識別処理メニュー画面910が表示されると、図6のフローチャートの処理がスタートする。
まず、ステップS1で、査定対象となる物件名、住戸番号が、それぞれ査定対象物件名入力欄901、査定対象の住戸番号入力欄902に入力される。
次いで、ステップS2で、図4の処理5の一次査定で決定された一次査定価格が、初期評価額入力欄903に入力される。
トップページ900で比較対象物件識別処理メニューボタン904がクリックされると、図8(b)の比較対象物件識別処理メニュー画面910が表示される。
比較対象物件識別処理メニュー画面910には、図4の処理4で決定された比較対象物件を検索するための検索欄911、913、914と、検索結果を表示する検索結果表示欄912、915と、査定対象物件の情報を登録する図8(c)の査定対象物件情報登録画面920を表示させるための処理開始ボタン916、不図示の物件基礎情報入力画面を表示させるための物件基礎情報入力ボタン9171、査定結果を出力するための査定結果出力ボタン9172、不図示の設計・仕様データ入力画面を表示させるための設計・仕様データ入力ボタン9173、不図示の専有部検査結果入力画面を表示させるための専有部検査結果入力ボタン9174、不図示の管理状況入力画面を表示させるための管理状況入力ボタン9175、図8(d)の評価基準値の参照表示画面930を表示させるための査定基準表示ボタン9176が含まれている。
ステップS3で、端末コンピュータ21で、比較対象物件が入力される。
比較対象物件の入力は、比較対象物件がデベロッパー1のものであるときには検索欄911、デベロッパー1以外の共通仕様物件であるときには検索欄913、914に物件名称又はデベロッパー名と供給年月が入力され、検索が実行された後、処理開始ボタン916がクリックされることにより行われる。なお、比較対象物件がデベロッパー1のものでも共通仕様物件でもない時には、検索欄911、913、914及び検索結果表示欄912、915は空白のまま処理開始ボタン916がクリックされることにより、比較対象物件が図5のT−3の「一般分譲マンション」として認識される。
比較対象物件識別処理メニュー画面910で処理開始ボタン916がクリックされると、ステップS3の比較対象物件入力が完了する。図8(c)の査定対象物件情報登録画面920が表示されると同時に、プログラム処理中であることを表示するダイアログが表示される。図8(c)の査定対象物件情報登録画面920には、設計・仕様物件ファイル、管理状況物件ファイル、専有部物件ファイルのデータ入力・表示画面と、管理状況参照ファイル登録画面、認定基準登録参照ファイル登録画面が表示される。
ステップS4で、入力された比較対象物件について、自社物件に一致する物件があったかを判定する。
このステップでは、サーバコンピュータ111の評価基準データベース51中の設計・仕様参照ファイル511を参照し、自社物件中に一致する物件があるか検索することにより判定する。
入力された比較対象物件について、自社物件に一致する物件があった場合(ステップS4:YES)、11より図7のステップS5に進み、設計・仕様参照ファイル511から査定対象物件の該当データを取り込む。
次いで、ステップS6で、設計・仕様参照ファイル511から比較対象物件の該当データを取り込む。
ステップS7で、端末コンピュータ31の査定価格データベースの設計・仕様物件ファイル211で定義された演算により、査定対象物件の設計・仕様ポイントの演算を行う。
ステップS7の設計・仕様ポイントの演算処理について、図9、図10及び図11のフローチャートに基づき説明する。
ステップS6の処理が完了すると、図11のフローチャートの処理がスタートする。図11のフローチャートの処理は、端末コンピュータ21の不図示のCPUで制御される。
まず、ステップS701で、ステップS5、ステップS6で取り込んだデータに基づき、査定対象物件の設計・仕様物件ファイル211を作成する。
設計・仕様物件ファイル211の一部を図10に示す。図10は、設計・仕様物件ファイル211の図9に示す全チェック項目のうち、躯体性能に係るチェック項目の部分のみを抜粋したものである。
設計・仕様物件ファイル211は、各チェック項目について、標準単位面積価格a、標準固定価格b、標準評価ポイントc、コストタイプd、査定物件面積e、査定物件耐用年数f、査定物件経過年数g、査定物件耐用年数経過比率h、査定住戸原価i、査定物件ポイントj、査定物件対応状況k、比較物件面積l、比較標準耐用年数m、比較物件経過年数n、比較物件耐用年数経過比率o、比較物件住戸価格p、比較物件ポイントq、比較物件対応状況r、一致判定s、増減価格t、評価ポイントuの評価項目がある。
コストタイプdとは、そのチェック項目が比例価格型、固定価格型、比率型のいずれであるかを示している。
チェック項目は、その項目の特性により、比例価格型、固定価格型、比率型の3タイプに分けられている。
比例価格型は、面積あたりの単価によって差が生じるチェック項目であり、図9の躯体性能に関するチェック項目(耐震性能等)が該当する。
比例価格型のチェック項目は、設計・仕様物件ファイル211の標準単位面積価格aに予め単位数値が登録されている。
固定価格型は、住戸当たり1箇所として評価できるチェック項目であり、図9の安全・防犯のうち吊り戸棚の耐震ラッチ等に関するチェック項目が該当する。
固定価格型のチェック項目は、設計・仕様物件ファイル211の標準固定価格bに予め単位数値が登録されている。
比率型は、住戸単位で評価が難しいチェック項目であり、図9の環境、S・Iに関するチェック項目等が該当する。共用部に該当する場合など、住戸単位に算出が困難なチェック項目は、評価項目毎に基本的にそのコストを根拠とした、ポイントの付加によって、評価を行う。
比率型のチェック項目は、設計・仕様物件ファイル211の標準評価ポイントcに予め単位数値が登録されている。
比例価格型、固定価格型のチェック項目からは、評価ポイントuは算出されず、増減価格tが算出される。また、比率型のチェック項目からは、増減価格tは算出されず、評価ポイントuが算出される。
標準単位面積価格a、標準固定価格b、標準評価ポイントcは、技術革新、市況、地域性等を考慮して、随時見直しが行われる。例えば、標準単位面積価格a、標準固定価格b、標準評価ポイントcは1年毎等に全面更新するなどすればよい。また、地域性として、首都圏、それ以外の大都市圏、都市圏以外の地域などにより、標準単位面積価格a、標準固定価格b、標準評価ポイントcを異なる値としてもよい。
査定物件対応状況k、比較物件対応状況rは、査定物件、比較物件がチェック項目に対応しているかを示す評価項目である。対応している場合には「1」、対応していない場合には「2」が入力される。
ステップS701では、まず、ステップS5で取り込んだ査定対象物件該当データのうち、査定物件の面積を比例価格型のチェック項目の査定物件面積eに入力し、すべてのチェック項目の査定物件耐用年数f、査定物件経過年数g、査定物件対応状況kに入力する。また、ステップS6で取り込んだ比較対象物件該当データを、比較物件面積l、比較標準耐用年数m、比較物件経過年数n、比較物件対応状況rに入力する。
次いで、予め設計・仕様物件ファイル211に登録されていた単位数値(a〜c)と、サーバコンピュータ111より取り込んだデータ(e、f、g、k、l、m、n、r)に基づき、査定物件耐用年数経過比率h、査定住戸原価i、査定物件ポイントj、比較物件耐用年数経過比率o、比較物件住戸価格p、比較物件ポイントq、一致判定sを算出、登録する。
すなわち、
査定物件耐用年数経過比率h=1−g/f
査定住戸原価i=a×e×h(比例価格型の場合)
又は、査定住戸原価i=b×h(固定価格型の場合)
査定物件ポイントj=c
比較物件耐用年数経過比率率o=1−m/n
比較物件住戸価格p=a×l×o(比例価格型の場合)
又は、比較物件住戸価格p=b×o(固定価格型の場合)
比較物件ポイントq=c
を算出して登録する。
また、一致判定sでは、査定物件対応状況kと比較物件対応状況rとの値を比較し、k=rのとき「一致」、k=rでないとき「不一致」を登録する。
次いで、ステップS702で、設計・仕様物件ファイル211の1件目のチェック項目のデータを読み込む。
ステップS703で、一致判定sが「不一致」か判定する。
一致判定sが「不一致」でない場合(ステップS703:NO)、すなわち、「一致」であって査定対象物件、比較対象物件の双方がそのチェック項目に対応している場合、或いは査定対象物件、比較対象物件の双方がチェック項目に対応していない場合、査定対象物件と比較対象物件とはそのチェック項目に関してはほぼ同じ仕様であるとして、ステップS711に進み、未処理のチェック項目があるか判定する。
一致判定sが「不一致」である場合(ステップS703:YES)、査定対象物件又は比較対象物件の一方のみがそのチェック項目に対応しており、仕様に差があるものとして、ステップS704で、kが1であるか判定する。
kが1である場合(ステップS704:YES)、すなわち、査定対象物件がそのチェック項目に対応している場合、ステップS703では不一致でしかも査定対象物件のkが1であることから、比較物件対応状況rは2であるはずである。従って、査定対象物件のみがそのチェック項目に対応しており、比較対象物件よりも仕様が高いとして、プラス評価を行うステップS705〜ステップS707の処理に進む。
ステップS705では、コストタイプdが「比率型」か判定する。
コストタイプdが「比率型」の場合(ステップS705:YES)、ステップS706で、評価ポイントuに標準評価ポイントcの値を登録し、ステップS711で、未処理のチェック項目があるか判定する。
コストタイプdが「比率型」でない場合(ステップS705:NO)、コストタイプdは比例価格型か固定価格型であるので、ステップS707で、評価ポイントuに、査定住戸原価iの値を登録し、ステップS711で、未処理のチェック項目があるか判定する。
kが1でない場合(ステップS704:NO)、すなわち、査定対象物件がそのチェック項目に対応していない場合、ステップS703では不一致でしかも査定対象物件のkが2であることから、比較物件対応状況rは1であるはずである。従って、比較対象物件のみがそのチェック項目に対応しており、査定対象物件は比較対象物件よりも仕様が低いとして、マイナス評価を行うステップS708〜ステップS710の処理に進む。
ステップS708では、コストタイプdが「比率型」か判定する。
コストタイプdが「比率型」の場合(ステップS708:YES)、ステップS709で、評価ポイントuに、−(標準評価ポイントc)の値を登録し、ステップS711で、未処理のチェック項目があるか判定する。
コストタイプdが「比率型」でない場合(ステップS708:NO)、コストタイプdは比例価格型か固定価格型であるので、ステップS710で、評価ポイントuに、−(査定住戸原価i)の値を登録し、ステップS711で、未処理のチェック項目があるか判定する。
未処理のチェック項目がある場合(ステップS711:YES)、すなわち、まだすべてのチェック項目についてステップS703〜ステップS710の処理が完了していない場合には、ステップS712で次のチェック項目を読み込み、ステップS703で、一致判定sが「不一致」か判定する。
未処理のチェック項目がない場合(ステップS711:NO)、すなわち、すべてのチェック項目についてステップS703〜ステップS710の処理が完了した場合には、ステップS713で
評価ポイント合計(単位:%)=(Σu)×100
増減価格合計(単位:円)=Σt
を算出・登録し、処理を終了する。
評価ポイント合計(単位:%)61と増減価格合計(単位:円)62とは、設計・仕様ポイントを構成するものであって、評価ポイント合計(単位:%)61は比率(百分率)で表され、増減価格合計(単位:円)62は金額で表されている。
設計・仕様ポイントは、図4の処理7の査定処理において最終的な査定額を導き出すために、処理5で求められた一次査定価格に反映させるためのポイントである。
以上の図10の例のように、評価ポイント合計(単位:%)61と増減価格合計(単位:円)62とは、それぞれ、各チェック項目の評価ポイントuをすべてのチェック項目について足し合わせた値と、各チェック項目の増減価格tをすべてのチェック項目について足し合わせた値からなる。
図10の例では、評価ポイント合計(単位:%)61と増減価格合計(単位:円)62は、それぞれ2.3450ポイント、903,132円となっている。
以上の図11のフローチャートの処理で図7のステップS7の処理が完了すると、作成された設計・仕様物件ファイル211を、演算された評価ポイント合計61と増減価格合計62ごと基礎情報物件ファイル221に書き込む。また、基礎情報物件ファイル221を書き込むと、プログラムが自動でデベロッパー1のサーバコンピュータ111に送信するための不図示の画面を立ち上げ、この画面の流れに沿って操作すると、基礎情報物件ファイル221が、サーバコンピュータ111の基礎情報物件ファイル551として登録されるようになっている。
次に、ステップS8で、自社物件管理状況参照ファイル513から比較対象物件の該当データを取り込む。このデータは、直接最終的な査定額に影響のあるものではないが、比較対象物件との目視による比較のため、情報として、端末コンピュータ21側に取込んでおく。
ステップS9で、自社物件管理状況参照ファイル513から査定対象物件の該当データを取り込む。なお、ステップS9ではサーバコンピュータ111から該当データを取り込んでいるが、この該当データは、元々管理状況サーバコンピュータ121で管理しているものであるため、管理部門12の管理状況サーバコンピュータ121から直接取り込むようにしてもよい。
査定対象物件の該当データには、管理組合の有無、定期総会の開催状況等の評価項目に対する回答の選択肢が含まれている。
評価項目、評価項目に対する回答の選択肢は、図15〜図19の共用部維持管理状況説明書と同様である。
次いで、ステップS10で、管理状況物件ファイル213で定義された演算により管理状況ポイント63の演算を行う。
このステップS10では、まず、管理状況物件ファイル213を作成する。
管理状況物件ファイル213の構成は、図15〜図19に示す共用部維持管理状況説明書と同様である。
評価項目、評価項目に対する回答の選択肢、選択肢の配点が、予め端末コンピュータ21に登録されているので、ステップS9で取り込んだ評価項目に対する回答の選択肢を登録して、管理状況物件ファイル213を作成する。
次いで、管理状況ポイント63の演算を行う。
ステップS9で取り込んだ回答の選択肢に配点を適用し、各回答の得点64を算出する。そして、すべての回答の得点64を足し合わせ、管理状況ポイント63を算出する。
管理状況ポイント63は、図4の処理7の査定処理において最終的な査定額を導き出すために、処理5で求められた一次査定価格に反映させるためのポイントである。
以上のステップS10の処理が完了すると、作成された管理状況物件ファイル213を、演算された管理状況ポイント63ごと基礎情報物件ファイル221に書き込む。また、基礎情報物件ファイル221を書き込むと、プログラムが自動でデベロッパー1のサーバコンピュータ111に送信するための不図示の画面を立ち上げ、この画面の流れに沿って操作すると、管理状況物件ファイル213が、サーバコンピュータ111の基礎情報物件ファイル551として登録されるようになっている。
以上のステップS4〜ステップS10は、端末コンピュータ21へのユーザによる操作なく自動で行われるが、ステップS10が完了すると、端末コンピュータ21で、「専有部の検査結果を入力して下さい」という不図示のダイアログが表示され、このダイアログの指示に従って表示させた不図示の画面で、ステップS11で、予め専有部検査機関3の端末コンピュータ31から受信した検査結果を入力することにより、専有部検査結果が入力される。
項目として大項目、中項目、部位、状況、状況カテゴリー、修繕緊急性カテゴリーが予め登録されたフォームに、結果、修繕緊急性、修繕箇所数が入力される。また、不図示の画面には売主4が売却前に補修するか否かの不図示のチェック欄があり、この欄にチェックすることによって、補修の意志があるか否かが入力される。
次いで、ステップS12で、サーバコンピュータ111の評価基準データベースの専有部修繕標準価格参照ファイル512から、修繕標準コストを受信して、標準補修参照処理を行う。
ステップS13で、専有部物件ファイル212で定義された演算により専有部補修額65の演算を行う。
ステップS13の専有部補修額65の演算処理について、図23、図24の専有部検査結果説明書及び図12のフローチャートに基づき説明する。
ステップS12の処理が完了すると、図12のフローチャートの処理がスタートする。図12のフローチャートの処理は、端末コンピュータ21の不図示のCPUで制御される。
まず、ステップS1301で、ステップS11、S12で入力又は受信された検査結果、修繕標準コストに基づき、査定対象物件の専有部物件ファイル212を作成する。
専有部物件ファイル213の構成は、図23、図24に示す専有部検査結果説明書と同様であるので、図23、図24を参照して説明する。
専有部物件ファイル213は、検査を行う検査項目は、検査対象部位がどの設備等のものかを示す大項目、検査対象部位がどのような機能に関するものかを示す中項目、検査対象の部位により特定されている。
検査対象の各部位について、不良の状況、状況カテゴリー、検査の結果不良であるか否かを示す結果、修繕緊急性カテゴリー、修繕緊急性があるか否かを示す修繕緊急性a、修繕標準コストb、修繕箇所数c、修繕概算コストの項目がある。
修繕緊急性a、修繕箇所数cの項目は、結果が不良であることを示す「1」であった場合に入力され、結果が不良でないことを示す「2」である場合には空欄とされる。
ステップS1301では、まず、ステップS11ですでに結果、修繕緊急性a、修繕標準コストb、修繕箇所数cが登録されているフォームに、ステップS12で取り込んだ修繕標準コストを修繕標準コストbとして入力し、専有部物件ファイル213とする。
次いで、ステップS1302で、専有部物件ファイル213の1件目の部位のデータを読み込む。
ステップS1303で、修繕緊急性aにデータ入力がされているか判定する。
修繕緊急性aにデータ入力がされていない場合(ステップS1303:NO)、検査の結果が不良でないとして、ステップS1307に進み、未処理の部位があるか判定する。
修繕緊急性aにデータ入力がされている場合(ステップS1303:YES)、検査の結果が不良であるとして、ステップS1304で、修繕緊急性aが、緊急の修繕を要することを示す「1」であるか判定する。
修繕緊急性aが、緊急の修繕を要することを示す「1」である場合(ステップS1304:YES)、ステップS1305で、修繕概算コストdに、a×b×cを入力し、ステップS1307に進み、未処理の部位があるか判定する。
修繕緊急性aが、緊急の修繕を要することを示す「1」でない場合(ステップS1304:NO)、修繕緊急性aは、緊急を要しないことを示す「2」であるので、ステップS1306で、修繕概算コストdに、(a/2)×b×cを入力し、ステップS1307に進み、未処理の部位があるか判定する。
未処理の部位がある場合(ステップS1307:YES)、すなわち、まだすべての部位についてステップS1303〜ステップS1306の処理が完了していない場合には、ステップS1308で次の部位を読み込み、ステップS1303で、修繕緊急性aにデータ入力がされているか判定する。
未処理の部位がない場合(ステップS1307:NO)、すなわち、すべての部位についてステップS1303〜ステップS1306の処理が完了した場合には、ステップS1309で、えの合計値であるΣdを算出する。
次いで、ステップS1311で、売主4が売却前に補修する旨の入力がされているかを判定する。
売主4が売却前に補修する旨の入力がされていない場合(ステップS1310:NO)、補修の必要な箇所を売主4が売却前に補修せず、補修費用が買主側の負担となることから、査定額からこの補修費用を減算するために、ステップS1311で、
専有部補修額65(単位:円)=Σd
を登録し、処理を終了する。
売主4が売却前に補修する旨の入力がされている場合(ステップS1310:NO)、補修の必要な箇所を売主4が売却前に補修し、補修費用が売主4側の負担となることから、査定額から補修費用を減算する必要がないため、ステップS1312で、
専有部補修額65(単位:円)=0
を登録し、処理を終了する。
以上の図12のフローチャートの処理で図7のステップS13の処理が完了すると、作成された専有部物件ファイル212を、演算された専有部補修額65ごと基礎情報物件ファイル221に書き込む。また、基礎情報物件ファイル221を書き込むと、プログラムが自動でデベロッパー1のサーバコンピュータ111に送信するための不図示の画面を立ち上げ、この画面の流れに沿って操作すると、基礎情報物件ファイル221が、サーバコンピュータ111の基礎情報物件ファイル521として登録されるようになっている。
次に、ステップS14で、不図示のデータベースを検索し、査定対象物件がデベロッパー1の本部11の認定を受けることにより保証の対象になっているか判定する。
保証の対象である場合(ステップS14:YES)、ステップS15で、基礎物件情報ファイル221へ、保証による加算額を書き出し、21を介してステップS16へ進み、基礎物件情報ファイル221に定義された演算方法により最終的な査定額を算出する。
保証の対象でない場合(ステップS14:NO)、そのまま21を介してステップS16へ進み、基礎物件情報ファイル221に定義された演算方法により最終的な査定額を算出する。
このステップS16では、
最終的な査定額=初期評価額×{1+(評価ポイント合計61+管理状況ポイント63)/100}+増減価格合計62−専有部補修額65+保証による加算額+検査費用加算額
により最終的な査定額を算出する。
次いで、ステップS17で、算出された最終の査定額を画面に表示する。画面への表示内容は、図25の総合評価結果報告書と同様である。
ステップS18で、端末コンピュータ21を操作する担当者により不図示の承認ボタンがクリックされたか判定する。
不図示の承認ボタンがクリックされた場合(ステップS18:YES)、図14〜図25の意見評価書の帳票を出力し、処理を終了する。
不図示の承認ボタンがクリックされない場合(ステップS18:NO)、11を介してステップS5に戻り、設計・仕様参照ファイル511から査定対象物件の該当データを取り込む。すなわち、査定の処理を再度繰り返す。
図6のステップS4で、入力された比較対象物件について、自社物件に一致する物件がなかった場合(ステップS4:NO)、ステップS20で、入力された比較対象物件が、共通仕様物件かを判定する。
このステップでは、サーバコンピュータ111の評価基準データベース51中の設計・仕様参照ファイル511を参照し、共通仕様物件中に一致する物件があるか検索することにより判定する。
入力された比較対象物件が、共通仕様物件であった場合(ステップS20:YES)、ステップS21で共通仕様物件の場合の査定処理を行う。
この処理では、まず、設計・仕様参照ファイル511から、共通仕様のあるデベロッパーが供給したマンションについての共通仕様の設計・仕様に関するデータを、比較対象物件の設計・仕様データとして取り込み、査定対象物件の設計・仕様データと比較演算して、設計・仕様評価ポイントを算出する。
次いで、他物件管理状況参照ファイル514から標準的な共用部の管理状況に関するデータを受信し、査定対象物件の管理状況に関するデータと比較演算して、管理状況ポイントを算出する。
その後、検査業者から受領した専有部の検査結果が入力され、専有部修繕標準価格参照ファイル512から受信した修繕標準コストを用いて、補修にかかる費用金額を算出する。ただし、売主4が補修をしてから売却する予定である場合には、補修にかかる費用金額は0円とする。
その後、初期評価額に、設計・仕様評価ポイント、管理状況ポイント、補修にかかる費用金額を加減算し、さらに、保証の対象となる場合には保証による加算額、必要に応じ物件情報ファイルの提供による加算額、専有部の検査費用の加算額を加算して、最終的な査定額を算出する。
その後、処理を終了する。
入力された比較対象物件が、共通仕様物件でない場合(ステップS20:NO)、ステップS22で一般物件の場合の査定処理を行う。
この処理では、まず、設計・仕様参照ファイル511から、予め調査によって算出された設計・仕様に関するデータの標準値を、比較対象物件の設計・仕様データとして取り込み、査定対象物件の設計・仕様データと比較演算して、設計・仕様評価ポイントを算出する。
次いで、他物件管理状況参照ファイル514から標準的な共用部の管理状況に関するデータを受信し、査定対象物件の管理状況に関するデータと比較演算して、管理状況ポイントを算出する。
その後、検査業者から受領した専有部の検査結果が入力され、専有部修繕標準価格参照ファイル512から受信した修繕標準コストを用いて、補修にかかる費用金額を算出する。ただし、売主4が補修をしてから売却する予定である場合には、補修にかかる費用金額は0円とする。
その後、初期評価額に、設計・仕様評価ポイント、管理状況ポイント、補修にかかる費用金額を加減算し、さらに、保証の対象となる場合には保証による加算額、必要に応じ物件情報ファイルの提供による加算額、専有部の検査費用の加算額を加算して、最終的な査定額を算出する。
その後、処理を終了する。
図13は、図6、図7の処理における情報の送受信を示している。
ステップS19で出力される意見評価書の帳票の例を、図14〜図25に示す。意見評価書の帳票は、不図示の表紙と、図14の一次査定結果報告書と、不図示の設計・仕様の状況説明書と、図15〜図19の共用部維持管理状況説明書と、図20〜図22の共用部建物調査報告書と、図23、図24の専有部検査結果説明書と、図25の総合評価結果報告書と、からなる。
図14の一次査定結果報告書は、図4の処理5で行われた一次査定の結果の報告書である。この一次査定結果報告書の査定価格は、一次査定結果であって、図4の処理6及び図6のステップS2で入力された初期評価額に該当する。
図15〜図19の共用部維持管理状況説明書は、図7のステップS10で作成された管理状況物件ファイル213と同様の内容である。共用部維持管理状況説明書の全体を図15に示し、視認の容易のために、図15の共用部維持管理状況説明書の左上部分を図16、右上部分を図17、左下部分を図18、右下部分を図19に分割して示している。
各評価項目の得点64の合計が、図15右上(図17)の管理状況ポイント63欄に記載されている。
図20〜図22の共用部建物調査説明書の全体を図20に示し、視認の容易のために、図20の共用部建物調査説明書の左部分を図21、右部分を図22に分割して示している。
図23、図24の専有部検査結果説明書は、図7のステップS13で作成された専有部物件ファイル212と同様の内容である。視認の容易のために、専有部検査結果説明書の上半部を図23、下半部を図24に分割して示している。図23右上に専有部補修額65が記載されている。
図25の総合評価結果報告書は、本実施形態の中古共同住宅価格査定システムによる査定結果を記載する帳票である。
図25の総合評価結果報告書には、査定対象物件の名称、住戸番号のほか、一次査定額、加減ポイント合計額、加減金額合計額、検査費用加算額、保証対象加算額、最終的な査定額である提示評価額、比較対象物件に関する情報が記載されている。
最終的な査定額である提示評価額は、
提示評価額=一次査定額×(1+加減ポイント合計額/100)+加減金額合計額+検査費用加算額+保証対象加算額
である。
以上のように、本実施形態に係る中古共同住宅価格査定システムによれば、必要な補修を行わずに売主が中古共同住宅の住戸を売却する場合であっても、補修費用分が買主の認識のないまま、査定価格に上乗せされることがない。また、補修を完了した状態で売却される住戸と補修を行わずに売却される住戸との間での公平が保たれる。
さらに、本実施形態に係る中古共同住宅価格査定システムは、補修がされるか否かが査定価格に直接反映される構成であるため、査定価格の信頼性が増し、売主、買主にとっても安心感が高まる。その結果、中古住宅の取引業者にとっても、このシステムを利用することで、売主、買主の信用を得やすくなる。
売主の使用状況による設備・建具等の傷み具合、想定される耐用年数、リフォーム、メンテナンス状況などによっても、中古共同住宅の買主が将来負担するであろうコストは大きく異なってくるが、本実施形態に係るでは、売却時点で売主が補修を行わない場合にはその補修費用を査定価格から差し引いているので、買主が売主の使用状況によって将来余計に負担することとなるコストを低減することが可能となり、売却対象の物件間における不公平感を是正することが可能となる。
また、本実施形態に係るの中古共同住宅価格査定システムは、将来買主のメンテナンスコスト及び居住性に影響を及ぼす補修費用が査定価格に加味されているので、査定価格の信頼性が増し、売主、買主にとっても安心感が高まる。その結果、中古住宅の取引業者にとっても、このシステムを利用することで、売主、買主の信用を得やすくなる。
また、本実施形態に係る中古共同住宅価格査定システムによれば、設備・仕様のレベルが高い住戸とその他の住戸との間に、査定価格における明確な評価の差が生ずるので、適正な価格査定が可能となり、売却される住戸間での公平が保たれる。
また、本実施形態の中古共同住宅価格査定システムは、将来買主のメンテナンスコスト及び居住性に影響を及ぼす設計要素の違いが査定価格に加味されているので、査定価格の信頼性が増し、売主、買主にとっても安心感が高まる。その結果、中古住宅の取引業者にとっても、このシステムを利用することで、売主、買主の信用を得やすくなる。
さらに、設計要素等の情報を提供し、査定額に加味することで該共同住宅の購入検討者は開示された情報をもとに将来の維持コストや入居後の生活上の不安を解消することが可能になり、より正確な情報による購入の判断が可能になる。
また、本実施形態に係る中古共同住宅価格査定システムによれば、共用部分の管理状況等が良好な共同住宅と良好でない共同住宅との間に、査定価格における明確な評価の差が生ずるので、適正な価格査定が可能となり、売却される住戸間での公平が保たれる。
また、本発明の中古共同住宅価格査定システムは、将来買主のメンテナンスコスト及び居住性に影響を及ぼす共用部分の管理状況等が査定価格に加味されているので、査定価格の信頼性が増し、売主、買主にとっても安心感が高まる。その結果、中古住宅の取引業者にとっても、このシステムを利用することで、売主、買主の信用を得やすくなる。
さらに、共用部分の管理状況等の情報を提供し、査定額に加味することで該共同住宅の購入検討者は開示された情報をもとに将来の維持コストや入居後の生活上の不安を解消することが可能になり、より正確な情報による購入の判断が可能になる。
本発明の一実施形態に係る中古共同住宅価格査定システムの構成を示す説明図である。 サーバコンピュータのハード構成を示す説明図である。 サーバコンピュータのHDDに格納された各ファイルを示す説明図である。 中古共同住宅価格査定システムの運用の概略を示す説明図である。 取引事例との比較と算出のパターンを示す説明図である。 本発明の一実施形態に係る中古共同住宅価格査定システムの査定処理のフローチャートである。 本発明の一実施形態に係る中古共同住宅価格査定システムの査定処理のフローチャートである。 不動産業者の端末コンピュータの画面遷移を示す説明図である。 設計・仕様物件ファイルのチェック項目を示す説明図である。 設計・仕様物件ファイルを示す説明図である。 本発明の一実施形態に係る中古共同住宅価格査定システムの査定処理のフローチャートである。 本発明の一実施形態に係る中古共同住宅価格査定システムの査定処理のフローチャートである。 本発明の一実施形態に係る中古共同住宅価格査定システムの情報の流れを示す説明図である。 意見評価書の一次査定結果報告書を示す説明図である。 意見評価書の共用部維持管理状況説明書の全体を示す説明図である。 意見評価書の共用部維持管理状況説明書の左上部分を示す説明図である。 意見評価書の共用部維持管理状況説明書の右上部分を示す説明図である。 意見評価書の共用部維持管理状況説明書の左下部分を示す説明図である。 意見評価書の共用部維持管理状況説明書の右下部分を示す説明図である。 意見評価書の共用部建物調査報告書の全体を示す説明図である。 意見評価書の共用部建物調査報告書の左部分を示す説明図である。 意見評価書の共用部建物調査報告書の右部分を示す説明図である。 意見評価書の専有部検査結果説明書の上半部を示す説明図である。 意見評価書の専有部検査結果説明書の下半部を示す説明図である。 意見評価書の総合評価結果報告書を示す説明図である。
符号の説明
1 デベロッパー
2 不動産業者
3 専有部検査機関
4 売主
11 本部
12 管理部門
13 インターネット
21,31 端末コンピュータ
61 評価ポイント合計
62 増減価格合計
63 管理状況ポイント
65 専有部補修額
72 CPU
73 RAM
74 ROM
75 HDD
76 記憶媒体装置
77 通信装置
78 キーボード
79 マウス
80 表示装置
81 プリンタ
111 サーバコンピュータ

Claims (8)

  1. 中古住宅の取引業者が、中古共同住宅の住戸の売却価格を査定する中古共同住宅価格査定システムであって、
    前記住戸に条件が類似する過去の売買成約物件を比較対象物件とし、該比較対象物件の単位面積当りの成約価格単価に、複数の特定項目について前記住戸を前記比較対象物件と比較して得た比率、及び前記住戸の専有面積を積算して得た一次査定価格を、前記住戸の初期評価額として入力する入力手段と、
    前記売主が売却前に補修を行わない場合には、検査機関による専有部の検査結果に基づいて算出された前記住戸の専有部の補修に必要な補修費用を、前記初期評価額から減算する処理を経て導かれた価格を、前記住戸の最終査定価格として出力する手段と、を備える前記取引業者のコンピュータを有することを特徴とする中古共同住宅価格査定システム。
  2. 前記検査結果には、検査部位に補修が必要か否かの情報が、前記検査部位ごとの情報として含まれ、
    前記取引業者のコンピュータは、前記検査部位ごとの標準的な補修費用を受信する手段を備え、
    前記補修費用は、すべての前記補修が必要な前記検査部位の前記標準的な補修費用を加算することにより算出されたことを特徴とする請求項1記載の中古共同住宅価格査定システム。
  3. 中古住宅の取引業者が、中古共同住宅の住戸の売却価格を査定する中古共同住宅価格査定装置であって、
    前記住戸に条件が類似する過去の売買成約物件を比較対象物件とし、該比較対象物件の単位面積当りの成約価格単価に、複数の特定項目について前記住戸を前記比較対象物件と比較して得た比率、及び前記住戸の専有面積を積算して得た一次査定価格を、前記住戸の初期評価額として入力する入力手段と、
    前記売主が売却前に補修を行わない場合には、検査機関による専有部の検査結果に基づいて算出された前記住戸の専有部の補修に必要な補修費用を、前記初期評価額から減算する処理を経て導かれた価格を、前記住戸の最終査定価格として出力する手段と、を備えることを特徴とする中古共同住宅価格査定装置。
  4. 前記検査結果には、検査部位に補修が必要か否かの情報が、前記検査部位ごとの情報として含まれ、
    前記検査部位ごとの標準的な補修費用を受信する手段を備え、
    前記補修費用は、すべての前記補修が必要な前記検査部位の前記標準的な補修費用を加算することにより算出されたことを特徴とする請求項3記載の中古共同住宅価格査定装置。
  5. 中古住宅の取引業者が、中古共同住宅の住戸の売却価格を査定する中古共同住宅価格査定方法であって、
    前記住戸に条件が類似する過去の売買成約物件を比較対象物件とし、該比較対象物件の単位面積当りの成約価格単価に、複数の特定項目について前記住戸を前記比較対象物件と比較して得た比率、及び前記住戸の専有面積を積算して得た一次査定価格を、前記住戸の初期評価額として入力する入力手順と、
    前記売主が売却前に補修を行わない場合には、検査機関による専有部の検査結果に基づいて算出された前記住戸の専有部の補修に必要な補修費用を、前記初期評価額から減算する処理を経て導かれた価格を、前記住戸の最終査定価格として出力する手順と、を行うことを特徴とする中古共同住宅価格査定方法。
  6. 前記検査結果には、検査部位に補修が必要か否かの情報が、前記検査部位ごとの情報として含まれ、
    前記出力する手順の前に、前記検査部位ごとの標準的な補修費用を受信する手順を行い、
    前記補修費用は、すべての前記補修が必要な前記検査部位の前記標準的な補修費用を加算することにより算出されることを特徴とする請求項5記載の中古共同住宅価格査定方法。
  7. 中古住宅の取引業者が、中古共同住宅の住戸の売却価格を査定するコンピュータに、
    前記住戸に条件が類似する過去の売買成約物件を比較対象物件とし、該比較対象物件の単位面積当りの成約価格単価に、複数の特定項目について前記住戸を前記比較対象物件と比較して得た比率、及び前記住戸の専有面積を積算して得た一次査定価格を、前記住戸の初期評価額として入力する入力手順と、
    前記売主が売却前に補修を行わない場合には、検査機関による専有部の検査結果に基づいて算出された前記住戸の専有部の補修に必要な補修費用を、前記初期評価額から減算する処理を経て導かれた価格を、前記住戸の最終査定価格として出力する手順と、を実行させることを特徴とする中古共同住宅価格査定プログラム。
  8. 前記検査結果には、検査部位に補修が必要か否かの情報が、前記検査部位ごとの情報として含まれ、
    前記出力する手順の前に、前記検査部位ごとの標準的な補修費用を受信する手順を行わせ、
    前記補修費用は、すべての前記補修が必要な前記検査部位の前記標準的な補修費用を加算することにより算出させることを特徴とする請求項7記載の中古共同住宅価格査定プログラム。
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