JP2005127927A - 定電位電解式ガスセンサを備えた排ガス連続分析装置 - Google Patents

定電位電解式ガスセンサを備えた排ガス連続分析装置 Download PDF

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禎志 一柳
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Abstract

【課題】定電位電解式ガスセンサ(定電位電解セル)の交換作業及び回復作業を排ガス連続分析装置内に内蔵した手段により自動的に行うことにより、メンテナンス時間を大幅に減少することのできる定電位電解式ガスセンサを備えた排ガス連続分析装置を提供する。
【解決手段】第1及び第2の定電位電解式ガスセンサ10(10A、10B)を備え、第1の定電位電解式ガスセンサ10Aに測定すべき被検ガスを供給してガス中の所定成分濃度を測定し、第2の定電位電解式ガスセンサ10Bは被検ガスを供給せず、感度劣化回復処理を施し、次に、第1の定電位電解式ガスセンサ10Aの使用を中止して、第2の定電位電解式ガスセンサ10Bに測定すべき被検ガスを供給してガス中の所定成分濃度を測定し、第1の定電位電解式ガスセンサ10Aには感度劣化回復処理を施す。
【選択図】図2

Description

本発明は、廃棄物焼却炉、ボイラー炉、エンジンなどの排ガス中の一酸化炭素(CO)、更には、二酸化硫黄(SO2)、窒素酸化物(NOX)などを連続的に測定するための定電位電解式ガスセンサを備えた排ガス連続分析装置に関するものである。
従来、廃棄物等を焼却した焼却排ガス中のダイオキシン類の濃度の間接的監視に好適に使用できる排ガス中の一酸化炭素を定電位電解式ガスセンサ、即ち、定電位電解セルを用いて測定する一酸化炭素測定装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
定電位電解セルを備えた測定装置を使用する場合、定電位電解セルは、連続分析では反応において酸素を必要とすることからエアーベースのガスでの測定が基本となっている。
従って、廃棄物焼却炉、ボイラー炉など酸素濃度が10%程度又はそれ以下に減少する試料、及び、干渉ガスの影響を受ける濃度の試料での連続測定分析装置として、定電位電解セルを備えた測定装置を使用した場合、定電位電解セルの感度が低下し易く、現実には、3日程度の連続測定までしか使用していないケースが殆どである。
そのために、定電位電解セルを連続で使用する場合には、感度劣化を容認し、校正頻度を多くすることで対応している。
また、定電位電解セルは、内部液の薬品量などによってその寿命が決まっているが、計算上及びバッチ測定においては2年程度の使用が可能である。しかしながら、連続使用した場合には、6ヶ月から18ヶ月で使用に耐えない感度劣化を起こす。このような場合には、測定装置の感度劣化した定電位電解セルを新しい定電位電解セルと交換して連続測定をすることが余儀なくされる。
一方、劣化した定電位電解セルは、エアーベースガス環境下で放置すること等、一定の条件下で回復することが分かっている。また、回復条件の処理を強制的に加えることで回復を加速することができるが、劣化状況に応じた相当時間を要するため劣化状況の大きい定電位電解セルは、寿命として廃棄処理される。
感度劣化回復時間の短縮を行うためには、劣化状況が定電位電解セル感度に現れる前に回復処理する必要がある。
従って、定電位電解セルを寿命一杯まで使用するためには、回復不可能な感度劣化を起こす前に定期的に2つ乃至3つの定電位電解セルを交互又は順繰りに交換して使用しなければならない。
しかしながら、定電位電解セルを排ガス連続分析装置に導入し、廃棄物焼却炉、或いは、ボイラー炉などの排ガスを連続的に測定しようとする場合には、定電位電解セル感度を確保しつつ、寿命まで使用するために、1日から1ヶ月の間の所定期間毎に、定期的に定電位電解セルの交換作業を行う必要がある。
この交換作業は、人手によらざるを得ず、長時間の作業となる。そのために、定電位電解セルによる連続測定作業を長時間にわたって、例えば、数分から数十分間、中断することが余儀なくされる。更には、交換した感度劣化の定電位電解セルを回復させるための回復設備が別途必要となる。
特開2000−74878号公報
本発明の目的は、定電位電解式ガスセンサ(定電位電解セル)の交換作業及び回復作業を排ガス連続分析装置内に内蔵した手段により自動的に行うことにより、メンテナンス時間を大幅に減少することのできる定電位電解式ガスセンサを備えた排ガス連続分析装置を提供することである。
本発明の他の目的は、連続測定を長時間にわって中断することのない定電位電解式ガスセンサを備えた排ガス連続分析装置を提供することである。
上記目的は本発明に係る定電位電解式ガスセンサを備えた排ガス連続分析装置にて達成される。要約すれば、本発明の第一の態様によると、被検ガスが供給される被検ガス入口管路と、回復ガスが供給される回復ガス入口管路と、被検ガス中の所定のガス成分濃度を測定するための複数の定電位電解式ガスセンサと、前記複数の定電位電解式ガスセンサを前記被検ガス入口管路か又は前記回復ガス入口管路のいずれかの管路に接続可能とする切り替え手段とを備え、
選択された一つの定電位電解式ガスセンサを前記切り替え手段により前記被検ガス入口管路に接続し、且つ、残りの定電位電解式ガスセンサに前記回復ガス入口管路を接続し、
前記被検ガス入口管路に接続された定電位電解式ガスセンサにより測定すべき被検ガス中の所定成分濃度を測定し、前記回復ガス入口管路に接続された定電位電解式ガスセンサは回復ガスにより感度劣化回復処理が施されることを特徴とする定電位電解式ガスセンサを備えた排ガス連続分析装置が提供される。
本発明の第二の態様によると、被検ガス中の所定のガス成分濃度を測定するための第1及び第2の定電位電解式ガスセンサを備え、第1の定電位電解式ガスセンサに測定すべき被検ガスを供給してガス中の所定成分濃度を測定し、第2の定電位電解式ガスセンサには被検ガスを供給せず、回復ガスを供給して感度劣化回復処理を施し、次に、前記第1の定電位電解式ガスセンサの使用を中止して、前記第2の定電位電解式ガスセンサに測定すべき被検ガスを供給してガス中の所定成分濃度を測定し、前記第1の定電位電解式ガスセンサには回復ガスを供給して感度劣化回復処理を施し、以後前記操作を繰り返し、排ガス中の所定ガス成分濃度を連続して測定することを特徴とする定電位電解式ガスセンサを備えた排ガス連続分析装置が提供される。
本発明の一実施態様によると、前記回復ガスは、空気、又は、酸素を含むガスである。
本発明の他の実施態様によると、感度劣化回復処理中の前記定電位電解式センサの作用極に被検ガスと同方向の電流を生じる電圧を定期的に印加する。このとき、被検ガスと同方向の電流を生じる電圧100〜1500mVを1〜30分間、1時間〜30日毎に印加することができる。
本発明の他の実施態様によると、前記定電位電解式ガスセンサは、一酸化炭素濃度を測定する一酸化炭素センサ、二酸化硫黄濃度を測定する二酸化炭素センサ、又は、窒素酸化物濃度を測定する窒素酸化物センサである。
本発明によれば、定電位電解式ガスセンサ(定電位電解セル)の交換作業及び回復作業を排ガス連続分析装置内にて自動的に実施することができ、メンテナンス時間を大幅に減少すると共に、連続測定を長時間にわって中断することなく行うことができる。
以下、本発明に係る定電位電解式ガスセンサを備えた排ガス連続分析装置を図面に則して更に詳しく説明する。
実施例1
図1及び図2に、本発明の排ガス連続分析装置の一実施例の概略構成を示す。排ガス連続分析装置1は、定電位電解式ガスセンサ、即ち、定電位電解セル10(10A、10B)を備えているが、本実施例では、排ガス連続分析装置1は、廃棄物焼却炉の排ガス中の一酸化炭素を測定する一酸化炭素測定装置であるとする。従って、定電位電解セル10(10A、10B)は、一酸化炭素センサである。しかしながら、本発明はこれに限定されるものではなく、定電位電解セルを備えた排ガス連続分析装置1は、排ガス中の二酸化硫黄(SO2)或いは窒素酸化物(NO、NO2)を連続的に測定するための定電位電解セルを備えた二酸化硫黄濃度測定装置或いは窒素酸化物濃度測定装置とすることも可能である。
最初に、本実施例にて使用する排ガス連続分析装置1及び定電位電解セル10(10A、10B)について簡単に説明する。
一般的には、排ガス連続分析装置1は、図1の原理図に示す如く定電位電解セル10と演算表示部200とを有する。
定電位電解セル10は、測定ガスを定電位で電解したときの電解電流から一酸化炭素濃度を求めるものであって、定電位電解セル10は、ガス透過性隔膜3、ガス透過性隔膜3によって測定ガスと仕切られた電解液4、並びに、電解液4中に配した作用極5、参照電極6及び対極7を備えている。
演算表示部200は、作用極5と電解液4の界面を一定の電位に保つように、作用極5と参照電極6との電位を監視して調整する構成とされる。また、同時に、その時作用極5と対極7との間に流れる電解電流を増幅、演算して一酸化炭素濃度を表示する。この電解電流は、ガス透過性隔膜3を通じて電解液4中に拡散吸収した一酸化炭素が作用極5において二酸化炭素に酸化される酸化反応によって得られるものである。
ガス透過性隔膜3としては、通常多孔性の4フッ化エチレン樹脂が使用されるが、シリコーン膜等その他の多孔性高分子膜も使用できる。電解液4としては通常硫酸が使用されるが、その他の酸又はアルカリ溶液も使用できる。作用極5と対極7としては通常白金が使用されるが、パラジウム、金、銀等の貴金属も使用できる。また、参照電極6としては通常銀又は塩化銀メッキした銀が使用されるが、白金、金、パラジウム等の貴金属も使用できる。電解電位は、一酸化炭素の場合、通常0mV付近に設定される。
本実施例における定電位電解セル10(10A、10B)は、基本的には、図1に示す上記定電位電解セル10と同じ構成とされる。本実施例では、定電位電解セル10(10A、10B)に供給される測定のための排ガス、即ち、被検ガスと、定電位電解セルを校正するための校正用ガスは、定電位電解セル10(10A、10B)の直前の切替部材、即ち、バルブ23(図2)で切り替えられるので、測定状態と校正状態の切替時等におけるガスの入れ替わりが速やかに行われる。その際、供給される被検ガスは冷却後の温度における飽和水蒸気を有しており、ほとんど水分の存在しない校正用ガスと水分量の条件が異なる。しかし、定電位電解セル10(10A、10B)は、水分が妨害とならないので測定値には影響を与えない。
なお、水分が妨害とならないにもかかわらず、本実施例の装置によれば、詳しくは後述するように、被検ガスに対して冷却による除湿を行うのは、凝縮した水によって、一酸化炭素がガス透過性隔膜3を通過することが妨害されないようにするためである。
本実施例における定電位電解セル10(10A、10B)は、上述のように、基本的には図1の定電位電解セル10と同等であるが、ガス透過性隔膜3を測定ガスが通過する前段に、妨害成分である酸化窒素や酸化硫黄等を除去する酸性ガス除去フィルター(図示せず)が設けられている。
次に、図2を参照して、本実施例の排ガス連続分析装置1の概略全体構成について説明する。
先ず、本発明の特徴ある構成部分について説明する。本実施例にて、排ガス連続分析装置1は、図示するように、第1及び第2の定電位電解セル10(10A、10B)を備え、第1及び第2の定電位電解セル10(10A、10B)は、切り替え手段100により、交互に被検ガス入口管路11に接続される。従って、いずれか一方の定電位電解セル、例えば定電位電解セル10Aには、被検ガス入口管路11からの被検ガスが供給され、被検ガス中の一酸化炭素量を測定する。同時に、他方の定電位電解セル、例えば、定電位電解セル10Bには、切り替え手段100により、回復ガス入口管路12から回復ガスが供給され感度劣化回復のための、感度劣化回復処理が施される。
回復ガスは、通常、空気とされるが、その他に、窒素、アルゴンなどの不活性ガスに酸素1%〜90%混合したガスなども使用可能である。回復ガス入口管路12から所定の定電位電解セルへと導入される回復ガスの流量は特定の流量に限定されるものではないが、通常、100mL/分〜1000mL/分とされ、本実施例では、400mL/分とした。また、回復ガスの温度も特定されるものではなく、測定雰囲気温度でよい。
本実施例にて、切り替え手段100は、4個の電磁弁101、102、103、104と、連結管路105、106、107、108を備え、接続管路109、110にて、それぞれ、第1及び第2の定電位電解セル10(10A、10B)に接続されている。切り替え手段100の作動態様については、後で、更に詳しく説明する。
本実施例にて、排ガス連続分析装置1は、サンプリングプローブ31を備えており、サンプリングプローブ31は、煙道壁32を貫通して煙道内へと挿入され、煙道中の排ガスを採取する。サンプリングプローブ31には、フィルター33が取り付けられている。
採取された排ガス、即ち、被検ガスは、上流側導管路15を介して気液分離器34へと送給される。気液分離器34は、略Y字型構造となっており、上流側導管路15から気液分離器34へと導入された被検ガスは、気液分離器34の下方口に連結された排水管路35と、上方口に連結された下流側導管路16とに分岐して流れる。
気液分離器34の作用により、凝縮した水分が気液分離器34の下方口から排水管路35を介してドレン36へと流れ落ちる。
一方、気液分離器34の上方の口からは、被検ガスが下流側導管路16を介して冷却槽13へと流動する。
冷却槽13の内部では、下流側導管路16と排ガス供給管路14とが連結され、また、下流側導管路16は、その下端部が排水管路37に連通している。従って、冷却槽13により生成した下流側導管路16中の凝縮水や余分な排ガスがドレン36に排出される。
ドレン36の側面にはオーバーフロー管路38が設けられており、内部に溜まった凝縮水が排出されるようになっている。なお、オーバーフロー管路38の取付位置まで一定の水位が保たれており、排水管路35、37の下端部は常にこの水面下になるように配されている。すなわち、排水管路35、37は外気と水封により遮断されている。
下流側導管路16には、ポンプ41が介装されており、煙道内の排ガスを吸引するようになっている。排ガス供給管路14には絞り42が設けられており、ポンプ41で吸引した被検ガスの流量を、冷却槽13の冷却能力やその後の検出に必要な流量を考慮して適切な流量とする。また、絞り42の下流側にフィルター43が設けられており、このフィルター43にて、フィルター33でとりきれなかった塵をさらに除く。
被検ガス入口管路11には、流量計44と流量調節弁45が介装されており、切り替え手段100を介して、第1及び第2の定電位電解セル10(10A、10B)へと一定の流量で被検ガスが供給される。被検ガスは、定電位電解セル10(10A、10B)を通過した後に、排気管路111、112、113を経由して装置外へと排出される。
第1及び第2の定電位電解セル10(10A、10B)からの測定信号は、演算表示部200へと送信され、演算表示部200は一酸化炭素濃度を演算して表示する。なお、定電位電解セル10(10A、10B)に定電位を与える定電位回路も演算表示部200に内蔵されている。
上記構成の本実施例の排ガス連続分析装置1による測定時の作動態様について説明する。
先ず、本実施例の排ガス連続分析装置1で排ガスを測定する場合、ポンプ41を動作させて、排ガス(被検ガス)を約1L/分で導入する。被検ガスは上流側導管路15を流れる間に外気によって約50℃近くまで冷却される。この温度で凝縮した水分は、気液分離器34によって排水管路35から排出される。
次いで、被検ガスは、下流側導管路16から被検ガス供給管路14へと流れるが、この間、2℃に設定した冷却槽13内を通過し約10℃前後にまで冷却される。このとき冷却効率を上げるために、被検ガス供給管路14を流れる被検ガスは、絞り42によって、約500mL/分に流量を制限される。余分な被検ガスと凝縮した水分は、排水管路37から排出される。なお、ポンプ41の流量を予め小さくしておかないのは、煙道中からのサンプリング遅れを回避するためである。サンプリング流量を、冷却やその後の検出に適切な流量に落とす方法しては、絞りを入れる他にもバイパスを使う方法等種々の公知の方法を用いることができる。
測定状態においてバルブ23は、被検ガス供給管路14と被検ガス入口管路11が連通するように切り替えられていて、絞り42、フィルター43を通過した被検ガスは被検ガス入口管路11へと導入される。そして、入口管路11に設けられた流量調節弁45でさらに流量を調節された後、切り替え手段100により設定されたいずれかの定電位電解セル10(10A、10B)へと供給される。
本実施例によると、切り替え手段100は、上述のように、4個の電磁弁(三方弁)101、102、103、104と、連結管路105、106、107、108とを備え、接続管路109、110にて、それぞれ、第1及び第2の定電位電解セル10(10A、10B)に接続される。
いま、第1の定電位電解セル10Aを使用する場合には、電磁弁101、連結管路105、電磁弁102及び接続管路109の被検ガスラインが開とされ、第1の定電位電解セル10Aに被検ガスが供給される。また、電磁弁101、連結管路107、電磁弁104及び接続管路110の被検ガスラインは閉とされ、第2の定電位電解セル10Bに被検ガスが供給されることはない。これにより、第1の定電位電解セル10Aを使用した被検ガスの測定が行われる。一方、回復ガス入口管路12、電磁弁103、連結管路108、電磁弁102及び接続管路109の回復ガスラインは閉とされ、回復ガス供給源20から第1の定電位電解セル10Aに回復ガスが供給されることはなく、回復ガス入口管路12、電磁弁103、連結管路106、電磁弁104及び接続管路110の回復ガスラインが開とされ、第2の定電位電解セル10Bに回復ガスが供給される。これにより、第2の定電位電解セル10Bは、回復ガスの環境下に置かれ、回復ガスによる感度劣化回復処理がなされる。
次に、第2の定電位電解セル10Bを使用する場合には、電磁弁101、連結管路107、電磁弁104及び接続管路110の被検ガスラインが開とされ、第2の定電位電解セル10Bに被検ガスが供給される。また、電磁弁101、連結管路105、電磁弁102及び接続管路109の被検ガスラインは閉とされ、第1の定電位電解セル10Aに被検ガスが供給されることはない。これにより、第2の定電位電解セル10Bを使用した被検ガスの測定が行われる。一方、回復ガス入口管路12、電磁弁103、連結管路106、電磁弁104及び接続管路110の回復ガスラインは閉とされ、回復ガス供給源20から第2の定電位電解セル10Bに回復ガスが供給されることはなく、回復ガス入口管路12、電磁弁103、連結管路108、電磁弁102及び接続管路109の回復ガスラインが開とされ、第1の定電位電解セル10Aに回復ガスが供給される。これにより、第1の定電位電解セル10Aは、回復ガス環境下に置かれ、回復ガスによる感度劣化回復処理がなされる。
第1及び第2の定電位電解セル10(10A、10B)を通過した被検ガス及び回復ガスは排気管路111、112、113を介して装置外へと排出される。
本発明に従えば、切り替え手段100による上記第1及び第2の定電位電解セル10(10A、10B)の切換作業は、例えば、演算表示部200の電気回路部に定電位電解セルの感度劣化回復のための回路を組み込み、測定値計算を行うコンピュータプログラムによって任意に電極回復作業を行わせることができる。
従来、定電位電解セル交換のために連続測定を数十分中断していたが、本実施例によれば、切り替え手段100を設け、第1及び第2の定電位電解セル10(10A、10B)の切換作業を自動的に行うことにより、定電位電解セル10(10A、10B)の切換を数秒で完了することが可能となった。
これにより、定電位電解セル10(10A、10B)の理論寿命までの間は、定電位電解セル感度劣化回復のための交換に伴う連続測定の中断時間、及び、人手をかけた作業時間を大幅に縮減することが可能となった。
本発明者らの実験、研究の結果によると、定電位電解セル10は、使用した時間と同等の時間だけ、回復ガス環境下に置き感度劣化回復処理した場合には、定電位電解セル10は、初期状態の感度にまで回復することが分かった。
また、本発明者らは、最大3ヶ月連続使用の後においても、そのまま、放置することにより感度劣化を回復し得ることが分かった。しかしながら、定電位電解セル10は、連続使用した場合の感度寿命が2〜3年間とされており、定電位電解セル10の使用時間は、1時間から100時間、標準で3日間程度に設定することが、定電位電解セル10の性能の点からも好ましいと思われる。従って、本実施例では、感度劣化回復処理を、使用時間に応じて、1時間から100時間、標準で3日間に設定することにより、好結果を得ることができた。
上述のように、本発明によると、定電位電解セル10は、感度劣化回復処理により十分に感度劣化が回復するので、原則的には、定電位電解セル10(10A、10B)の校正は必要ではない。しかしながら、例えば、定電位電解セル10の感度確認のために校正手段を設けるのが好ましい。ただ、本発明によれば、従来に比較して、校正周期を大幅に延長することができる。例えば、従来、3〜100時間毎に行われていた校正を、本発明によれば、感度確認の目的では、70〜200時間毎に行えば十分であることが分かった。
本実施例によると、第1及び第2の定電位電解セル10(10A、10B)を校正するために、校正用ガス供給源21が設けられ、校正ガス供給管路22及びバルブ23を介して被検ガス供給管路11に校正ガスを供給可能とされる。
従って、校正状態においてバルブ23は、校正ガス供給管22と測定ガス入口管12が連通するように切り替えられて、校正用ガス供給源21から供給される校正用ガスが、測定ガス入口管11へと導入される。そして、流量調節弁45で流量を調節された後、切り替え手段100により流路が適宜変更されて、所定の定電位電解セル10へと供給される。定電位電解セル10を通過し、排気管路111、112、113から排出される。
演算表示器200では、その時の校正用ガスの組成に応じて、一酸化炭素濃度の表示値が調整される。なお、校正状態においてポンプ41によって導入される被検ガスは、測定ガス入口管12側へ流れることができないので、排水管37を通じて全量ドレン36の上部から排出される。
定電位電解セル10に導入されるガス中の水分濃度は測定時の被検ガスと、校正時の校正用ガスでは異なるが、両センサとも、水分濃度によっては指示値に影響が出ないため、支障なく測定ができる。また、両センサに比較的近い位置に配されたバルブ23によって被検ガスと校正用ガスが切り替えられるため、測定状態と校正状態の切替の際に測定ガス入口管12から両センサに至るガスが速やかに置換されて、切替後のガスの指示値を迅速に得ることができる。
上記実施例では、一酸化炭素濃度を測定するために第1及び第2の定電位電解セル10(10A、10B)を用意したが、3個以上の定電位電解セル10を設置し、これら定電位電解セル10を順繰りに使用することもできる。
また、一つの連続分析装置にて、排ガス中の複数の成分濃度を同時に測定することが望まれる場合には、一酸化炭素濃度を測定するために第1及び第2の定電位電解セル10(10A、10B)の他に、他の種類の、例えば、二酸化硫黄素濃度を測定するための第1及び第2の定電位電解セルとか、更には、窒素酸化物濃度を測定するための第1及び第2の定電位電解セルとかを、第1及び第2の定電位電解セル10(10A、10B)と平行に設置して、上記実施例1で説明したと同様の構成により、同時に、これらガス成分濃度をも測定することができる。
実施例2
実施例1においては、定電位電解セル10の感度劣化回復処理としては、感度劣化した定電位電解セル10に対して回復ガスを供給し、定電位電解セル10を回復ガス、通常、空気の雰囲気下に所定時間保持することとした。
本発明者らの更なる研究実験によると、定電位電解セル10の作用極5(図1)に被検ガスと同方向の電流を生じる電圧を定期的に印加することにより感度劣化がより早く回復することが分かった。
図3を参照すると、1500時間の連続使用により感度が初期使用時の22%にまで劣化したものが、電圧300mV、10分間の印加により、初期使用時感度にまで回復したことが分かる。
本発明者らの実験の結果によれば、被検ガスと同方向の電流を生じる電圧100〜1500mVを1〜30分間、1時間〜30日毎に印加することにより、感度劣化が極めて迅速に回復することが分かった。
定電位電解式ガスセンサの原理図である。 本発明に係る定電位電解式ガスセンサを備えた排ガス連続分析装置の一実施例を示す構成図である。 感度劣化回復処理の一実施態様を説明するグラフである。
符号の説明
1 排ガス連続分析装置
2 演算表示部
3 ガス透過性隔膜
4 電解液
5 作用極
6 参照電極
7 対極
10(10A、10B) 定電位電解式ガスセンサ(定電位電解セル)
11 被検ガス入口管路
12 回復ガス入口管路
20 回復ガス供給源
21 校正用ガス供給源
22 校正ガス供給管
32 煙道壁
33 フィルター
100 切り替え手段
200 演算表示器

Claims (6)

  1. 被検ガスが供給される被検ガス入口管路と、回復ガスが供給される回復ガス入口管路と、被検ガス中の所定のガス成分濃度を測定するための複数の定電位電解式ガスセンサと、前記複数の定電位電解式ガスセンサを前記被検ガス入口管路か又は前記回復ガス入口管路のいずれかの管路に接続可能とする切り替え手段とを備え、
    選択された一つの定電位電解式ガスセンサを前記切り替え手段により前記被検ガス入口管路に接続し、且つ、残りの定電位電解式ガスセンサに前記回復ガス入口管路を接続し、
    前記被検ガス入口管路に接続された定電位電解式ガスセンサにより測定すべき被検ガス中の所定成分濃度を測定し、前記回復ガス入口管路に接続された定電位電解式ガスセンサは回復ガスにより感度劣化回復処理が施されることを特徴とする定電位電解式ガスセンサを備えた排ガス連続分析装置。
  2. 被検ガス中の所定のガス成分濃度を測定するための第1及び第2の定電位電解式ガスセンサを備え、第1の定電位電解式ガスセンサに測定すべき被検ガスを供給してガス中の所定成分濃度を測定し、第2の定電位電解式ガスセンサには被検ガスを供給せず、回復ガスを供給して感度劣化回復処理を施し、次に、前記第1の定電位電解式ガスセンサの使用を中止して、前記第2の定電位電解式ガスセンサに測定すべき被検ガスを供給してガス中の所定成分濃度を測定し、前記第1の定電位電解式ガスセンサには回復ガスを供給して感度劣化回復処理を施し、以後前記操作を繰り返し、排ガス中の所定ガス成分濃度を連続して測定することを特徴とする定電位電解式ガスセンサを備えた排ガス連続分析装置。
  3. 前記回復ガスは、空気、又は、酸素を含むガスであることを特徴とする請求項1又は2の定電位電解式ガスセンサを備えた排ガス連続分析装置。
  4. 感度劣化回復処理中の前記定電位電解式センサの作用極に被検ガスと同方向の電流を生じる電圧を定期的に印加することを特徴とする請求項3の定電位電解式ガスセンサを備えた排ガス連続分析装置。
  5. 被検ガスと同方向の電流を生じる電圧100〜1500mVを1〜30分間、1時間〜30日毎に印加することを特徴とする請求項4の定電位電解式ガスセンサを備えた排ガス連続分析装置。
  6. 前記定電位電解式ガスセンサは、一酸化炭素濃度を測定する一酸化炭素センサ、二酸化硫黄濃度を測定する二酸化炭素センサ、又は、窒素酸化物濃度を測定する窒素酸化物センサである請求項1〜5のいずれかの項に記載の定電位電解式ガスセンサを備えた排ガス連続分析装置。
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