JP2005127139A - マグネットポンプ - Google Patents

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Abstract

【課題】 マグネットポンプとして、一時的にドライ運転状態になったり、作業液が気液混合状態になっても、インペラ支軸の軸受部の破損が防止され、軸受部の摩耗も抑制され、耐久性に優れて保全コストを低減できるものを提供する。
【解決手段】 ポンプケーシング1に固定された有底筒状のキャン2Aの外側に、駆動軸3Aと一体化して内周側に駆動マグネットM1を設けた駆動側保持筒4Aが配置し、キャン2Aの内側に、インペラ支軸5Aに同心状に嵌装されて外周側に従動マグネットM2を設けた従動側保持筒6Aが配置し、駆動マグネットM1と従動マグネットM2との磁気吸引力により、駆動軸5Aの回転に伴って従動側保持筒6Aがインペラ支軸5Aを中心としてインペラ7Aと一体に回転するマグネットポンプにおいて、インペラ支軸5Aの軸受部8A,8Bに介在させる摺接部材のブシュ81、スリーブ82、スラストリング83として、摺接面にダイヤモンドライクカーボン膜を有するセラミック又は超硬材料からなるものを用いる。
【選択図】 図2

Description

本発明は、磁気吸引力を利用してインペラを駆動軸に対して無接触状態で回転させてポンプ作用を行わせるマグネットポンプに関する。
マグネットポンプとして、ポンプケーシングに固定された有底筒状のキャンの外側に、駆動軸と一体化して内周側に駆動マグネットを有する駆動側保持筒が配置すると共に、該キャンの内側に、インペラ支軸に同心状に嵌装されて外周側に従動マグネットを有する従動側保持筒が配置し、両マグネット間の磁気吸引力により、駆動軸の回転に伴って従動側保持筒がインペラ支軸の前端に取り付けたインペラと一体に回転してポンプ作用を行うように構成された、所謂キャンドマグネットカップリング方式のものが汎用されている。この種マグネットポンプは、駆動軸側の空間とインペラ側の空間とが前記キャンで隔絶され、液の漏洩がないため、腐食性、毒性、引火性、放射性等のある液体、あるいは飲料や食品関連等の高度な衛生管理が必要な液体の移送用として適している。
しかして、この種マグネットポンプでは、構造上からインペラ支軸の軸受部に潤滑油を使用できないため、一般的に、該軸受部に介在する摺接部材として耐磨耗性に優れる高硬度のセラミック材料からなるものを使用する一方、作業液の一部をキャンと従動側保持筒との間隙、該従動側保持筒とインペラ支軸との間隙、あるいは該支軸内部を通してキャンの内側に循環させることにより、この液の介在による潤滑作用で軸受部の破損防止及び摩耗抑制を図ると共に、摩擦発熱を生じる該軸受部と渦電流による抵抗発熱を生じるキャンを冷却し、マグネットの熱減磁に起因する作動不良や液の熱変質を防止するようにしている(例えば、特許文献1〜4)。
特開昭58−13349号公報 特開昭58−138294号公報 特開昭61−164098号公報 実開昭61−122393号公報
しかしながら、従来のマグネットポンプにあっては、送液開始時や中断後の送液再開時に、誤操作等によって液がキャンの内側まで行きわたっていない状態でインペラを回転させる所謂ドライ運転状態になり、稼働して間もなくインペラ支軸の軸受部の破損によって送液不能に陥るという事態がしばしば発生していた。また、作業液が前段でのエアー抜き不備や液から発生する気泡によって気液混合状態になり、インペラ支軸の軸受部が断続的にドライ摺接して摩耗し、摺接部材の早期の交換を余儀なくされることも多かった。
本発明は、上述の情況に鑑み、マグネットポンプとして、一時的にドライ運転状態になったり、作業液が気液混合状態になっても、インペラ支軸の軸受部の破損が防止されると共に摩耗も抑制され、もって耐久性に優れて保全コストを低減できるものを提供することを目的としている。
上記目的を達成するために、請求項1に係る発明は、図面の参照符号を付して示せば、ポンプケーシング1に固定された有底筒状のキャン2A(2B)の外側に、駆動軸3A(3B)と一体化して内周側に駆動マグネットM1を設けた駆動側保持筒4A(4B)が配置すると共に、前記キャン2A(2B)の内側に、インペラ支軸5A(5B)に同心状に嵌装されて外周側に従動マグネットM2を設けた従動側保持筒6A(6B)が配置し、前記駆動マグネットM1と従動マグネットM2との磁気吸引力により、駆動軸5A(5B)の回転に伴って前記従動側保持筒6A(6B)がインペラ支軸5A(5B)を中心としてインペラ7A(7B)と一体に回転するマグネットポンプにおいて、前記インペラ支軸5A(5B)の軸受部8A,8B(8C,8D)に、摺接面にダイヤモンドライクカーボン膜(以下、DLC膜と略称する)を有するセラミック又は超硬材料からなる摺接部材(ブシュ81,84、スリーブ82、スラストリング83,85)が介在していることを特徴としている。
そして、請求項2の発明は、前記ダイヤモンドライクカーボン膜を有する摺接部材が、軸受孔部に嵌装されるブシュ81(84)と、インペラ支軸5に嵌装されるスリーブ82と、これらブシュ81(84)又は/及びスリーブ82の端面に対接するスラストリング83(85)とから選択される少なくとも一つである構成としている。
また、このようなマグネットポンプにおいて、請求項3の発明は前記DLC膜を有する摺接部材(81〜85)が炭化ケイ素又は単価タングステンからなる構成、請求項4の発明は前記DLC膜の膜厚が0.1〜10μmである構成、請求項5の発明は前記DLC膜を有する摺接面のビッカース硬度が900〜2500Hvである構成、請求項6の発明は前記DLC膜がプラズマイオン注入法によって成膜されたものからなる構成、をそれぞれ採用している。さらに、請求項7の発明は、請求項6のプラズマイオン注入法が、パルスブラズマ生成用のパルス高周波電源とイオン注入用の負の高電圧パルス電源とを重畳させ、基材周囲にプラズマを生成すると共に、プラズマ中のイオンを高電圧パルスによって基材中に引き込む高周波・高電圧パルス重畳方式であるものとしている。
請求項1の発明に係るマグネットポンプでは、インペラ支軸の軸受部に介在する摺接部材が摺接面にDLC膜を有しており、このDLC膜が極めて硬い上に非常に低摩擦であり、しかも基材のセラミック及び超硬材料に対する密着強度に優れることから、送液開始時や中断後の送液再開時に誤操作等によって一時的にドライ運転状態になっても、その間の該摺接面での摺動トルクが小さく抑えられ、荷重衝撃による破損が防止されると共に摩耗も殆ど生じず、またドライ運転後に充分な時間を空けずに液張りすることにより、摩擦発熱で昇温していた摺接部材が急冷されても、その熱衝撃による剥離やクラックが発生せず、健全な状態で以降の送液を行える。一方、作業液が前段でのエアー抜き不備や液から発生する気泡によって気液混合状態になった場合でも、該摺接部材の破損がなく摩耗も抑えられ、その後に正常運転に戻して支障なく送液を行える。
請求項2の発明によれば、前記ダイヤモンドライクカーボン膜を有する摺接部材が、軸受孔部に嵌装されるブシュと、インペラ支軸に嵌装されるスリーブと、これらブシュ又は/及びスリーブの端面に対接するスラストリングとから選択される少なくとも一つであることにより、一時的なドライ運転状態に対する軸受部の耐性の確保と摩耗防止を図り得ると共に、気液混合状態での軸受部の摩耗を抑えることができる。しかして、これら摺接部材の全てが摺接面にDLC膜を有するものであれば、最も好結果が得られることは言うまでもない。
請求項3の発明によれば、DLC膜を有する摺接部材の素材が炭素含有材料の炭化ケイ素又は炭化タングステンであるため、DLC膜が該素材に対して強い親和性に基づく大きな密着強度を示し、ドライ運転等で大きな荷重衝撃が加わってもDLC膜の界面剥離やクラックが防止される。
請求項4の発明では摺接部材の摺接面のDLC膜が特定範囲の厚みを有することから、また請求項5の発明では該DLC膜を有する摺接面が特定範囲の硬度を有することから、共に当該摺接部材の耐磨耗性と強度を充分に確保でき、且つDLC膜形成に要するコスト負担を少なくできる。
請求項6の発明によれば、前記DLC膜がプラズマイオン注入法による成膜であるため、摺接部材の三次元表面に対し、該DLC膜を簡素な装置構成によって短時間で確実に且つ安価に形成できる。また、請求項7の発明では、そのプラズマイオン注入法が高周波・高電圧パルス重畳方式であるため、DLC膜を均一で且つ厚みの大きいものとすることができる。
図1及び図2は本発明に係るマグネットポンプの第一実施形態、図3は同マグネットポンプの第一実施形態を示す。また、図4は高周波・高電圧パルス重畳方式のプラズマイオン注入法によるDLC膜の形成原理を示す模式図である。
第一実施形態のマグネットポンプは、図1に示すように、ケーシング1Aが、液吸入口11a及び液送出口11bを備える前部ケーシング11と、この前部ケーシング11に前端フランジ部12aで環状フランジ部材14及びボルト15a…,15b…を介して連結された円筒状の中間ケーシング12と、この中間ケーシング12の後端フランジ部12bに前端フランジ部13aでボルト15c…を介して連結された円筒状の後部ケーシング13とから構成されている。そして、ケーシング1の内部は、前部ケーシング11と中間ケーシング12との間に介在する仕切り板16により、前部ケーシング11側のポンプ室1aと、中間ケーシング12側のマグネットカップリング室1bとに区割されている。また、後部ケーシング13側には、図示省略したモーターによるポンプ駆動部が設けられている。
ケーシング1A内の中心部には、前後方向に沿うインペラ支軸5Aが、仕切り板16を貫通してポンプ室1aとマグネットカップリング室1b間にわたって配置している。このインペラ支軸5Aの前端には、ポンプ室1a内に配置するインペラ7Aが、インペラナット7a及び係合キー5aを介して相対回転不能に取り付けられている。また、マグネットカップリング室1b内には、厚肉状の底部2aを後方に向けた有底筒状のキャン2Aが、前端フランジ部2bを前部ケーシング11と環状フランジ部材14との間に介在させると共に、該前端フランジ部2bを仕切り板16にボルト15d…を介して固着することにより、インペラ支軸5Aと同心状に配置している。そして、インペラ支軸5Aは、前部において軸受部8Aを介して仕切り板16のボス部16aに、後端部において軸受部8Bを介してキャン2Aの底部2aの軸受孔部2cに、それぞれ回転自在に枢支されている。
図2に拡大して示すように、マグネットカップリング室1bの内部はキャン2Aによって外側の駆動側空間10aと内側の従動側空間10bとに液密に分画されると共に、従動側空間10bが仕切り板16に設けた透孔16b…によってポンプ室1aに連通している。そして、駆動側空間10aには、後方から駆動軸3Aがインペラ支軸5Aと同心状に突入しており、この駆動軸3Aに係合キー3a及びセットねじ3bを介して後端ボス部4aを固着した駆動側保持筒4Aが、その内周に設けた駆動マグネットM1とキャン2Aの外周面との間に小間隙9aを保つ状態に配置している。一方、従動側空間10bには、インペラ支軸5Aに係合キー5bを介して相対回転不能に嵌装された従動側保持筒6Aが、従動マグネットM2を埋設した外周面とキャン2Aの内周面との間に小間隙9bを保つ状態に配置している。
前後の軸受部8A,8Bは共に、固定側である仕切り板16のボス部16aの内側の軸受孔部16cならびにキャン2Aの軸受孔部2cに係止ピン17aを介して回転不能に係止されたブシュ81と、回転側であるインペラ支軸5Aに係合キー5bを介して相対回転不能に嵌装されたスリーブ82及びスラストリング83との3つの摺接部材より構成されている。また、スリーブ82はブシュ81の内側に配置すると共に、スラストリング83は従動側保持筒6Aの端面中央側の環状凹部6aに嵌合してブシュ81の端面と摺接するように配置している。なお、ブシュ81の内周面はスリーブ82の外周面と摺接するが、この内周面には軸方向に沿う複数本の循環溝81a…が周方向に等配形成されている。
しかして、これら軸受部8A,8Bのブシュ81、スリーブ82、スラストリング83の3つの摺接部材は、いずれも表面全体にDLC膜(ダイヤモンドライクカーボン膜)が形成された炭化ケイ素(SiC)の如きセラミック又は炭化タングステン(WC)の如き超硬材料の成形物からなる。なお、キャン2A及びインペラ支軸5AはSUS316等のステンレス鋼製である。
一方、インペラ支軸5Aとその前端に螺着したインペラナット7aには、その両者を軸心に沿って全長にわたって貫通する液流通孔21が設けられ、またインペラ支軸5Aの後端とキャン2Aの軸受孔部18との間には液溜め部22を有しており、液溜め部22とポンプ室1aとが液流通孔21によって連通すると共に、後側軸受部8Bにおけるブシュ81内周とスリーブ82外周との環状の摺接部分が後端側で液溜め部22に臨んでいる。また、前側軸受部8Aにおいても、仕切り板16の軸挿通孔16dとインペラ支軸7Aとの間に液流通間隙23が構成され、ブシュ81内周とスリーブ82外周との環状の摺接部分が前端側で液流通間隙23に臨んでいる。更に、両軸受部8A,8Bにおけるブシュ81とスリーブ82との摺接部は、外周側で従動側空間10bに臨んでいる。
この第一実施形態のマグネットポンプにおいては、駆動軸3Aの駆動によって駆動側保持筒4Aが回転した際、その駆動マグネットM1と従動マグネットM2との磁気吸引力によって従動側保持筒6Aがインペラ支軸5Aと一体に従動回転し、もって該インペラ支軸5Aと一体のインペラ7Aの回転に伴う遠心ポンプ作用により、送り対象の作業液が液吸入口11aより吸入されて液送出口11bより目的部位へ圧送される。
このマグネットポンプの正常な運転状態では、作業液が仕切り板16の透孔16b及び小間隙9bを通して従動側空間10bの全体に満ちている。そして、前側軸受部8Aにおいては、作業液が、ポンプ室1aから液流通間隙23を通ってブシュ81の循環溝81a…に浸入し、該ブシュ81とスリーブ82との摺接部分に作業液が行き渡り、次いでブシュ81とスラストリング83との摺接部分に内側から浸入し、該摺接部分を経て外側へ滲出し、更に従動側空間10bから透孔16baを通ってポンプ室1aに戻り、該ポンプ室1a内の作業液と合流してインペラ7Aによって送出される。また、後側軸受部8Bにおいても、作業液が、ポンプ室1aから液流通孔21を通って液溜め部22に入り、この液溜め部22からブシュ81の循環溝81a…に浸入し、該ブシュ81とスリーブ82との摺接部分に行き渡り、次いでブシュ81とスラストリング83との摺接部分に内側から浸入し、同様に従動側空間10bの周辺側の小間隙9bを通って透孔16baからポンプ室1aに戻る。従って、両軸受部8A,8B共に、摺接部材(81〜83)同士が作業液を介在した状態で摺接し、この液の介在による潤滑作用で摺接部材(81〜83)の破損が防止されると共に摩耗も抑制され、また該作業液との熱交換による冷却作用で摺接部の摩擦発熱ならびにキャン2Aの抵抗発熱に伴う温度上昇も回避される。
一方、送液開始時に呼び水を怠ったり、中断後の送液再開時にポンプ内の液レベルの確認を怠る等の誤操作等により、液が従動側空間10bの全体に行きわたっていない状態で稼働するドライ運転状態になった場合、両軸受部8A,8Bの摺接部材(81〜83)同士が液による潤滑作用なしにドライ摺接することになる。しかるに、両軸受部8A,8Bの摺接部材であるブシュ81、スリーブ82、スラストリング83は、いずれも表面全体にDLC膜を形成した炭化ケイ素の成形物からなり、このDLC膜が極めて硬い上に非常に低摩擦であることから、ドライ運転がある程度の時間継続しても、その間の該摺接面での摺動トルクが小さく抑えられ、荷重衝撃による破損が防止されると共に摩耗も殆ど生じず、以降の正常運転を支承なく行える。また、ドライ運転後に充分な時間を置かずに液張りすることにより、摩擦発熱で昇温していた摺接部材(81〜83)が急冷されても、その熱衝撃による剥離やクラックが発生せず、健全な状態で以降の送液を行える。
更に、作業液が前段でのエアー抜き不備や液から発生する気泡によって気液混合状態になった場合は、その気泡が摺接部材(81〜83)の摺接部分に入り込むことにより、両軸受部8A,8Bは断続的にドライ摺接することになる。しかるに、この場合でも、摺接部材(81〜83)は、摺接表面が非常に低摩擦で極めて硬いDLC膜からなると共に、該DLC膜が基材のセラミック又は超硬材料に対して強固に密着しているため、その間に摩耗を殆ど生じず、その後に正常運転に戻して支障なく送液を行えると共に、作業液の種類等によって気液混合状態の発生頻度が高くなっても摩耗は軽微に抑えられるので、長期にわたって継続使用できる。
なお、上記のドライ運転や気液混合運転になっていることは、吐出圧力の不足、液流の停止や変動、電流値の異常低下等で知ることができる。
図3に示す第二実施形態のマグネットポンプは、ケーシング1Bが、液吸入口31a及び液送出口31bを備える前部ケーシング31と、この前部ケーシング31に前端フランジ部32aでボルト15e…を介して連結された円筒状の中間ケーシング32と、この中間ケーシング32の後端フランジ部32bに前端フランジ部33aでボルト15f…を介して連結された円筒状の後部ケーシング33とから構成されている。また、ケーシング1B内には、有底筒状のキャン2Bが、前部ケーシング31と中間ケーシング32との対向端面間に前端フランジ部2eを挟持させることにより、底部2fを後方に向けて配置している。そして、このキャン2Bによってケーシング1B内は、該キャン2Bの外側の駆動側空間20aと、該キャン2Bの内側から前部ケーシング31側のポンプ室30にわたる従動側空間20bとに区画されている。後部ケーシング33側には、図示省略したモーターによるポンプ駆動部が設けられている。
駆動側空間筒20aには、後方から駆動軸3Bがキャン2Bと同心状に突入しており、この駆動軸3Bにキー溝3c及びセットねじ3dを介して後端ボス部4bを固着した駆動側保持筒4Bが、その内周に設けた駆動マグネットM1とキャン2Bの外周面との間に小間隙9cを保つ状態に配置している。
一方、従動側空間20bには、キャン2Bの中心線に沿うインペラ支軸5Bが、断面切欠円形の前端部5cを前部ケーシング31に一体形成されたボス部31cに挿嵌すると共に、後端部5dをキャン2Bの底部2fの内面側中央に形成されたボス部2gに挿嵌することにより、回転不能に保持されている。しかして、キャン2B内には、インペラ支軸5Bに前後の軸受部8C,8Dを介して回転自在に嵌装された従動側保持筒6Bが、従動マグネットM2を埋設した外周面とキャン2Bの内周面との間に小間隙9dを保つ状態に配置している。また、ポンプ室30内には、該従動側保持筒6Bの前端に一体的に取り付けられたインペラ7Bが配置している。
前側軸受部8Cは、回転側である従動側保持筒6Bの前端面中央側の環状凹部6bに嵌合し、且つ係止ピン17bを介して該従動側保持筒6Bに係止されたブシュ84と、インペラ支軸5Bの断面切欠円形の前端部5aに回転不能に嵌装されたスラストリング85との二つの摺接部材によって構成され、ブシュ84が内周面でインペラ支軸5Bの外周面に摺接すると共に、該ブシュ84の前端面がスラストリング85の後端面に摺接するようになっている。また、後側軸受部8Dは、従動側保持筒6Bの後端側に前端側と同様に嵌装係止されたブシュ84のみを摺接部材として、該ブシュ84が内周面でインペラ支軸5Bの外周面に摺接する構成になっている。なお、ブシュ84は、内周面に軸方向に沿う複数本の循環溝84a…が等配形成されると共に、外側端面にも複数本の半径方向の循環溝84b…が等配形成されている。
しかして、両軸受部8C,8Dの摺接部材であるブシュ84とスリーブ85は、第一実施形態における軸受部8A,8Bの摺接部材(81〜83)と同様に、いずれも表面全体にDLC膜が形成された炭化ケイ素(SiC)の如きセラミック又は炭化タングステンの如き超硬材料の成形物からなる。また、インペラ支軸5Bは、前後の両軸受部8C,8Dにおいてブシュ84と摺接するため、炭化ケイ素の如きセラミックからなる成形物を用いている。
この第二実施形態のマグネットポンプは、インペラ支軸固定型であり、駆動軸3Bの駆動によって駆動側保持筒4Bが回転した際、その駆動マグネットM1と従動マグネットM2との磁気吸引力により、従動側保持筒6Bがインペラ支軸5Bを中心としてインペラ7Bと一体に従動回転し、このインペラ7Bの回転に伴う遠心ポンプ作用により、送り対象の作業液が液吸入口31aより吸入されて液送出口31bより目的部位へ圧送される。そして、正常な運転状態においては、作業液が従動側空間20bの全体に満ちており、ポンプ室の作業液の一部が、インペラ7Bの基部内周と前側軸受部8Cのスラストリング85の外周との間を通ってブシュ84の外側端面の循環溝84b…へ浸入し、このブシュ84とスラストリング85との摺接部分に行き渡り、次いで内周の循環溝84b…へ浸入してインペラ支軸5Bとの摺接部分に行き渡り、更に該インペラ支軸5Bと従動側保持筒6Bとの間の環状空間を通って後側軸受部8Dのブシュ84の内周の循環溝84b…へ浸入し、インペラ支軸5Bとの摺接部分に行き渡った上で当該ブシュ84の外側端面の循環溝84b…より従動側空間20bの周辺側へ向かい、小間隙9dを通ってポンプ室30へ戻り、該ポンプ室30内の作業液と共にインペラ7Bによって送出される。従って、両軸受部8C,8Dの各摺接部分には作業液が介在し、その潤滑作用でインペラ7Bの円滑な回転が確保され、摺接部材(84,85)の破損が防止されると共に、摺接部材(84,85)とこれらに摺接するインペラ支軸5B表面の摩耗も抑制され、また該作業液との熱交換による冷却作用で摺接部の摩擦発熱ならびにキャン2Bの抵抗発熱に伴う温度上昇も回避される。
一方、送液開始時に呼び水を怠ったり、中断後の送液再開時にポンプ内の液レベルの確認を怠る等の誤操作等により、液が従動側空間20bの全体に行きわたっていない状態で稼働するドライ運転状態になったり、作業液が前段でのエアー抜き不備や液から発生する気泡によって気液混合状態になっても、前記第一実施形態と同様に、摺接部材のブシュ84及びスリーブ85の表面が非常に低摩擦で極めて硬いDLC膜であって、且つ基材のセラミックや超硬材料に対する該DLC膜の密着強度が優れるため、その間の該摺接面での摺動トルクが小さく抑えられ、荷重衝撃による破損が防止されると共に摩耗も殆ど生じず、異常検知後に正常運転に戻して支障なく送液を行えると共に、ドライ運転後に充分な時間を置かずに液張りしても、熱衝撃による剥離やクラックを生じない。
なお、本発明のマグネットポンプにあっては、軸受部の摺接部材は、前記第一及び第二実施形態のように表面全体にDLC膜を設ける必要はなく、摺接面に該DLC膜を有しておればよい。また、前記第一実施形態の前後両軸受部8A,8Bや第二実施形態の前側軸受部8Cのように、軸受部に複数種の摺接部材が介在する場合、全部の摺接部材の摺接面にDLC膜を有することが理想的であるが、本発明は摺接面に該DLC膜を有する摺接部材と該DLC膜を有さない摺接部材との組み合わせ構成を包含する。更に、本発明においては、ケーシングの構造、これに対するキャンの取付構造、駆動軸と駆動側保持筒との連結構造、インペラの形状、該インペラと従動側保持筒との連結構造、軸受部に介在させる摺接部材の種類及び組合せと保持構造、軸受部の摺接部分に作業液を行き渡らせるための液通路構成等、細部構成については実施形態以外に種々設計変更可能である。
ここで、軸受部の摺接部材の摺接面に設けるDLC膜の形成手段としては、種々の方法が知られるが、ブシュの内周面やスリーブの外周面等の三次元表面部(非平面部)に対する成膜性及び密着性等の面よりプラズマイオン注入法(非特許文献1,2)が好適である。すなわち、このプラズマイオン注入法は、プラズマに浸した基材に負の高電圧パルスを印加して、基材表面に形成されるシース電場でイオン(DLC膜では炭素イオン)を加速して注入するものであり、基材表面に沿ってイオンシースができるため、三次元表面部へ均等にイオン注入できると共に、基材周囲のプラズマから直接にイオンを引き出すのでビーム電流を大きくとれ、短時間で高密度のイオン注入を行える。また、プラズマの制御によって低温プロセスが可能であり、装置構成も比較的単純で安価に製作できるという利点がある。
J.R.Conrad,L.A.Dodd,F.G.Worzarz and N.C.Tran:Plasma source ion-implantation technique for surfsce modiffication of materials,J.Appl.Phys.62p4591-4596(1987) Ed.By A.Anders:Handbook of Plasma Immersion Ion Implantat-ion and Deposition,John Wiley & Sons,INC.(2000)
また、このようなプラズマイオン注入法の中でも、高周波(RF)・高電圧パルス重畳方式(特許文献5等)は、厚膜で均一性及び密着性に優れたDLC膜を形成できることから、本発明のマグネットポンプの軸受部に用いる摺接部材のDLC膜形成手段として特に推奨される。この高周波・高電圧パルス重畳方式は、例えば図4に示すように、内部に被処理物Mを配置させた真空容器B内を排気管Oより真空吸引した上で、該真空容器B内で給気管Iからプラズマ形成ガスを導入し、プラズマ生成用のパルス高周波電源S1とイオン注入用の高電圧パルス電源S2とを重畳整合回路Cによって重畳(相互の誘導障害を防止しながら、お互いに結合する)させ、この重畳した電力を導体Lを介して被処理物Mに印加することにより、被処理物Mの周囲にプラズマPを発生させると共に、このプラズマP中のイオンを負の高電圧パルスによって被処理物Mに誘引・注入させ、また該イオンのラジカル種の堆積中にもイオン注入を伴いがら成膜を行うものである。なお、図中のFは、真空容器Bの導体挿通部に介在して高電圧を真空容器Bから絶縁するフィードスルーである。
特開2001−26889
この高周波(RF)・高電圧パルス重畳方式によるDLC膜は、被処理物Mへのプラズマ表面調整、表層へのイオン注入、成膜の3段階を経て形成され、真空容器B内への導入ガスとして、表面調整段階ではアルゴンやメタン等、イオン注入段階では窒素、メタン、アセチレン等、成膜段階ではアセチレン、プロバン、トルエン等がそれぞれ使用される。しかして、各段階での導入ガスの種類と導入流量、真空度、高周波電力とパルス幅、注入電圧とパルス幅、遅延時間、繰り返し数等の設定により、DLC膜の厚みや硬さ等を調整できる。
ここで、本発明のマグネットポンプの軸受部に用いる摺接部材の摺接面に形成するDLC膜は、膜厚が0.1〜10μm程度の範囲、ビッカース硬度が900〜2500Hv程度の範囲に設定することが推奨される。しかして、DLC膜の膜厚が薄過ぎたり、硬度が低過ぎる場合は、摺接面の充分な耐久性が得られない。また逆に、膜厚が厚過ぎたり、硬度が大き過ぎるDLC膜は、成膜コストが高く付くわりに、それによる耐久性の向上は僅かであるため、不経済である。なお、このような膜厚及び硬度範囲のDLC膜を形成する上で、高周波の加速電圧及びイオンの注入電圧は1〜30kVの範囲がよい。
一方、摺接部材の形成材料としては、炭化ケイ素(SiC)、アルミナ(Al2 3 )、窒化ケイ素(Si3 4 )等の硬質のセラミック材料、ならびに炭化タングステン(WC)の如き超硬材料を使用できるが、特に炭化ケイ素又は炭化タングステンは組成中に炭素を含むためにDLC膜との親和性がよく、アルミナや窒化ケイ素等の他の材料よりも該DLC膜の密着強度に優れるという利点がある。しかして、炭化タングステンの如き超硬材料は、靱性を有するために性能的にはセラミックよりも優れるが、高価であることに加えて複雑な形状に成形しにくいことから、既述の3種の摺接部材の中でもスリーブ用として推奨される。なお、窒化ケイ素(標準SiC)からなる摺接部材に対し、その表面にDLC膜を設けた摺接部材の静摩擦係数は約1/4に低減する。
ところで、DLC膜はステンレス鋼を始めとする金属表面にも支障なく形成できるが、金属素材の表面にDLC膜を設けた摺接部材をマグネットポンプの軸受部に用いた場合、ドライ運転や作業液の気液混合等あった際、セラミックや超硬材料に比べてDLC膜の密着強度が劣るため、DLC膜に亀裂や剥離を生じ易く、耐久性が不充分になる。
〔ドライ運転による性能テスト1〕
図1及び図2に示す構成で最大吐出量1,100L/分の大型マグネットポンプにおいて、前後の軸受部8A,8Bのブシュ81、スリーブ82、スラストリング83の3種の摺接部材として、標準SiCよりなる成形物表面に、高周波・高電圧パルス重畳方式のプラズマイオン注入法によって膜厚約2μmでビッカース硬度1600HvのDLC膜を設けたものを使用した本発明のポンプP1と、DLC膜を設けていない標準SiCよりなる成形物を使用した従来構成のポンプP2とを用い、回転数を3600rpm(スリーブ82の周速約6m/分、軸受荷重約3.7kg)に設定して作業液なしのドライ運転を行った。
その結果、DLC膜のない摺接部材を用いた従来構成のポンプP2では、運転開始から2秒後に異音の発生と共にポンプが停止し、手回しも不能な状態に陥った。そして、この停止したポンプ内部を調べたところ、前側軸受部8Aのブシュ81及びスリーブ82と後側軸受部8Bのブシュ81が破損していた。これに対し、DLC膜を有する摺接部材を用いた本発明のポンプP1では、運転開始から80秒後にスイッチ操作で運転を停止させたが、この間の異音の発生はない上、停止後のポンプ内部を調べたところ、前部の摺接部材のいずれにも異常がなく、摩耗も生じていなかった。なお、このポンプP1を運転開始後80秒で停止させたのは、長時間のドライ運転継続によるキャン2Aの高温化を回避するためである。
〔ドライ静摩擦係数の測定〕
上記性能テスト1における本発明のポンプP1に使用するDLC膜を有するスラストリング82と、従来構成のポンプP2に使用するDLC膜のないスラストリングについて、ドライ静摩擦係数を測定したところ、後者のドライ静摩擦係数が0.391であるのに対し、前者のドライ静摩擦係数は約1/4の0.099という結果が得られた。従って、DLC膜の表面はSiC表面に比較して極めて低摩擦であることが判る。
〔気液混合運転による性能テスト〕
ドライ運転による性能テスト1に用いたものと同様構成の本発明のポンプP1及び従来構成のポンプP2を用い、水道水に対して容積比約50%の空気が混ざった気液混合状態の作業液を送液対象として、回転数を3600rpm(スリーブ82の周速約6m/分、軸受荷重約3.7kg)に設定して15分間の気液混合運転を行った。この運転後のポンプ内部を調べたところ、従来構成のポンプP2では後側軸受部8Bのブシュ81及びスリーブ82に摩耗を生じていたが、本発明のポンプP1では両軸受部8A,8B共に3種の摺接部材はいずれも全く異常がなく、テスト前同様の良好な状態を保っていた。なお、運転時間を15分としたのは、前記同様にキャン2Aの高温化を回避するためである。
〔ドライ運転による性能テスト2〕
図1及び図2に示す構成で最大吐出量100L/分の小型マグネットポンプにおいて、前後の軸受部8A,8Bのブシュ81、スリーブ82、スラストリング83の3種の摺接部材として、標準SiCよりなる成形物表面に高周波・高電圧パルス重畳方式のプラズマイオン注入法によって膜厚約2μmでビッカース硬度1600HvのDLC膜を設けたものを使用した本発明のポンプP3と、DLC膜を設けていない標準SiCよりなる成形物を使用した従来構成のポンプP4とを用い、回転数を3600rpm(スリーブ82の周速約4.7m/分、軸受荷重約1kg)に設定して作業液なしのドライ運転を行った。
その結果、DLC膜のない摺接部材を用いた従来構成のポンプP4では、毎回摺接部材を交換して行った3回のテストで、1回目は運転開始から45秒後、2回目は同2秒後、3回目は同5秒後に、それぞれ異音が発生した。そして、各テスト後に内部を調べたところ、両軸受部8A,8Bのブシュ81とスリーブ82が共に破損していた。これに対し、DLC膜を有する摺接部材を用いた本発明のポンプP3では、摺接部材を交換せずに、1回目15分、2回目30分、3回目1時間の延べ1時間45分の運転を行ったが、異音を生じなかった。そして、この3回目の運転終了直後にポンプP3のポンプ内部を調べたところ、ブシュ81の循環溝81aに極微量の摩耗粉の付着が認められたが、両軸受部8A,8B共に3種の摺接部材のいずれにも異常はなかった。また、ヒートラベルによる温度測定では、テスト直後における後側軸受部8Bのブシュ81の温度は166℃以上に上昇していたが、前側軸受部8Bのブシュ81の温度は104℃以下であり、キャン2Aは200〜250℃のテンパーカラーを呈していた。
〔耐熱衝撃テスト〕
上記のドライ運転による性能テスト2に用いたものと同様構成の本発明のポンプP2を用い、回転数を3600rpm(スリーブ82の周速約4.7m/分、軸受荷重約1kg)に設定して作業液なしのドライ運転を行い、運転開始から1時間経過した時点でケーシング1A内に常温の水を流し込むことにより、ドライ運転後の急激な液張りによる熱衝撃(ヒートショック)を想定したテストを行った。しかして、1時間のドライ運転は上記のドライ運転による性能テスト2における3回目のテスト運転と同条件であるため、運転後の回転側のブシュ81の温度は166℃以上に達しているものと推定されるが、テスト後の3種の摺接部材はいずれも剥離やクラックの発生がなく全く健全であった。
〔ドライ運転による性能テスト3〕
図3に示す構成で最大吐出量100L/分の小型マグネットポンプにおいて、前後の軸受部8A,8Bのブシュ81及びスラストリング83として、前記同様に標準SiCよりなる成形物表面に高周波・高電圧パルス重畳方式のプラズマイオン注入法によって膜厚約2μmでビッカース硬度1600HvのDLC膜を設けたものを使用すると共に、スリーブ82として炭化タングステンの基材表面に同様のDLC膜を設けたものを使用し、回転数を3600rpm(スリーブ82の周速約4.7m/分、軸受荷重約1kg)に設定し、作業液なしのドライ運転を1時間行ったが、異音の発生はなかった。この運転停止後のポンプ内部を調べたところ、ブシュ81の循環溝81aに極微量の摩耗粉の付着が認められたが、両軸受部8A,8Bの3種の摺接部材に異常は認められなかった。
〔ドライ運転による性能テスト4〕
図3に示す構成で最大吐出量100L/分の小型マグネットポンプにおいて、前後の軸受部8A,8Bのブシュ81として、前記同様に標準SiCよりなる成形物表面に高周波・高電圧パルス重畳方式のプラズマイオン注入法によって膜厚約2μmでビッカース硬度1600HvのDLC膜を設けたものを使用すると共に、スリーブ82及びスラストリング83としてSUS316の基材表面に同様のDLC膜を設けたものを使用し、回転数を3600rpm(スリーブ82の周速約4.7m/分、軸受荷重約1kg)に設定して作業液なしのドライ運転を行ったところ、運転開始から9分25秒後に異音が発生したため、運転を停止した。この運転停止後のポンプ内部を調べたところ、両軸受部8A,8B共にブシュ81には異常はなかったが、後側軸受部8Bにおけるスリーブ82はDLC膜が摩耗してSUS316基材の地肌が出た箇所があり、また前側軸受部8Bにおけるスリーブ82にも若干の摩耗が認められると共に、従動側空間1bの底部にDLC膜の摩耗粉が溜まっていた。この結果から、軸受部の摺接部材は、摺接面にDLC膜を設けていても基材が金属である場合は、基材がセラミックとりわけ炭化ケイ素や超硬材料の炭化タングステンであるものに比較して充分な密着強度及び耐摩耗性が得られず、ドライ運転等の誤操作があった際に急速にDLC膜が損なわれてしまうことが判る。
本発明に係る第一実施形態のマグネットポンプの縦断側面図である。 同マグネットポンプの要部を拡大して示す縦断側面図である。 本発明に係る第二実施形態のマグネットポンプの縦断側面図である。 高周波・高電圧パルス重畳方式のプラズマイオン注入法によるダイヤモンドライクカーボン膜の形成原理を示す模式図である。
符号の説明
1A,1B ポンプケーシング
2A,2B キャン
3A,3B 駆動軸
4A,4B 駆動側保持筒
5A,5B インペラ支軸
6A,6B 従動側保持筒
7A,7B インペラ
8A,8C 前側軸受部
8B,8D 後側軸受部
81,84 ブシュ
82 スリーブ
83,85 スラストリング
M1 駆動マグネット
M2 従動マグネット

Claims (7)

  1. ポンプケーシングに固定された有底筒状のキャンの外側に、駆動軸と一体化して内周側に駆動マグネットを設けた駆動側保持筒が配置すると共に、前記キャンの内側に、インペラ支軸に同心状に嵌装されて外周側に従動マグネットを設けた従動側保持筒が配置し、前記駆動マグネットと従動マグネットとの磁気吸引力により、駆動軸の回転に伴って前記従動側保持筒がインペラ支軸を中心としてインペラと一体に回転するマグネットポンプにおいて、
    前記インペラ支軸の軸受部に、摺接面にダイヤモンドライクカーボン膜を有するセラミック又は超硬材料からなる摺接部材が介在していることを特徴とするマグネットポンプ。
  2. 前記ダイヤモンドライクカーボン膜を有する摺接部材が、軸受孔部に嵌装されるブシュと、インペラ支軸に嵌装されるスリーブと、これらブシュ又は/及びスリーブの端面に対接するスラストリングとから選択される少なくとも一つである請求項1記載のマグネットポンプ。
  3. 前記ダイヤモンドライクカーボン膜を有する摺接部材が炭化ケイ素又は炭化タングステンからなる請求項1又は2に記載のマグネットポンプ。
  4. 前記ダイヤモンドライクカーボン膜の膜厚が0.1〜10μmである請求項1〜3のいずれかに記載のマグネットポンプ。
  5. 前記ダイヤモンドライクカーボン膜を有する摺接面のビッカース硬度が900〜2500Hvである請求項1〜4のいずれかに記載のマグネットポンプ。
  6. 前記ダイヤモンドライクカーボン膜がプラズマイオン注入法によって成膜されたものからなる請求項1〜5のいずれかに記載のマグネットポンプ。
  7. 前記プラズマイオン注入法が、パルスブラズマ生成用のパルス高周波電源とイオン注入用の負の高電圧パルス電源とを重畳させ、基材周囲にプラズマを生成すると共に、プラズマ中のイオンを高電圧パルスによって基材中に引き込む高周波・高電圧パルス重畳方式である請求項6記載のマグネットポンプ。
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