JP2005126514A - 環状オレフィン系付加共重合体、該共重合体の架橋物、該共重合体の製造方法、架橋用組成物および用途 - Google Patents

環状オレフィン系付加共重合体、該共重合体の架橋物、該共重合体の製造方法、架橋用組成物および用途 Download PDF

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Abstract

【解決手段】 本発明の環状オレフィン系付加共重合体は、ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン由来の構造単位(a)を70〜98モル%と、メトキシシリル基を有する特定の環状オレフィン系化合物由来の構造単位(b)を2〜20モル%含む共重合体であって、数平均分子量が30,000〜300,000であり、25℃のトルエンおよびシクロヘキサンに溶解する。
【効果】 本発明によれば、光学透明性、耐熱性に優れ、線膨張係数が小さく、光学材料用のシート、フィルムに好適な材料として用いられる、メトキシシリル基を有する特定の環状オレフィン系化合物由来の構造単位(a)とその他の環状オレフィン系化合物由来の構造単位(b)とが、均質な組成分布でランダムに配列された、環状オレフィン系共重合体およびこれを架橋した環状オレフィン系共重合体ならびにこれらの製造方法を提供することができる。
【選択図】 なし

Description

本発明は光学透明性、耐熱性、接着・密着性および寸法安定性に優れ、光学材料に好適なメトキシシリル基を有する環状オレフィン系付加共重合体、係る共重合体の製造方法、係る共重合体を含む架橋用組成物および係る共重合体もしくは係る架橋用組成物を成形してなるフィルム、シートおよび薄膜に関する。
近年、軽量化、小型、高密度化の要求に伴い、従来、無機ガラスが用いられていたレンズ類、封止材などの光学部品、バックライト、導光板、TFT基板、タッチパネルなど液晶表示素子部品などの分野で光学透明な樹脂による代替が進んでいる。
しかしながら、係る光学的透明な樹脂には光学透明性以外に耐熱性、低吸水性、寸法安定性や他の部材との接着・密着性、耐薬品性、靱性など個々の用途により、更なる特性の要求があるが、これらを全て満足する樹脂材料は実用に至っていない。
特許文献1〜6には、耐熱性、低吸水性に優れ、線膨張係数が小さく熱的な寸法安定性にも優れ、耐薬品性があり、他の部材との接着・密着性に優れた材料として、加水分解性のシリル基を有し、係るシリル基を介して架橋することが可能な環状オレフィン系付加共重合体が提案されている。
これらの技術においては、加水分解性のシリル基としてアルコキシシリル基を有する環状オレフィン系化合物とノルボルネン(ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン)との付加共重合体が多く用いられてきた。しかしながら、ノルボルネン(ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン)の単独重合体は、触媒の種類、重合体の分子量などにより異なるが、ハロゲン化炭化水素溶媒、ニトロメタン、ニトロベンゼンなどには溶解しても、トルエン、シクロヘキサンなどの一般的な汎用溶媒には必ずしも溶けない問題があり、アルコキシシリル基を有する環状オレフィン系化合物を共重合しても、係る問題が解消されないことが多い。
非特許文献1〜4には、ノルボルネン系付加(共)重合体について記載されているが、ノルボルネン系付加(共)重合体は、通常、そのガラス転移温度が250℃以上と高いため、フィルム、シートなどに成形加工するのに溶液流延法(キャスト法)が用いられることが多い。
一般に溶液流延法に用いる溶媒としては、
1)付加重合体を室温付近で溶解可能であり安全性が高いこと。
2)適度に揮発性があり成形品から除去しやすいこと。
3)汎用で入手しやすく安価であること。
などが望まれており、従来は塩化メチレンやクロロホルムが用いられることが多かったが、環境負荷の問題から、近年では、沸点(1気圧下)が50〜170℃の範囲にある脂環族炭化水素化合物や芳香族炭化水素化合物、例えば、シクロヘキサン、トルエンあるいはキシレンなどの中から、一種または二種以上の溶媒が選ばれることが多くなっている。
したがって、加水分解性のシリル基を有するノルボルネン系付加共重合体の成形加工においても、シクロヘキサンやトルエンなどの汎用溶媒に室温付近で溶解することが望まれている。
しかしながら、従来のアルコキシシリル基を有する環状オレフィン系化合物とノルボルネンとの付加重合では、すなわち、両単量体の混合物をニッケル系触媒またはパラジウム系触媒を用いて単に共重合するだけでは、必ずしも、シクロヘキサンやトルエンのような溶媒に均一透明に溶解する付加共重体は得られていない。これは、従来の重合方法では、アルコキシシリル基を有する環状オレフィン系化合物とノルボルネンのそれぞれの反応性について考慮されておらず、得られた共重合体にノルボルネンに由来する構造単位が偏在する部位が存在する(アルコキシシリル基を有する環状オレフィン系化合物由来の構造単位も偏在している)ためと考えられる。すなわち、上記したように、ノルボルネンの単独付加重合体はシクロヘキサンやトルエンに不溶であるため、ノルボルネン由来の構造単位の連鎖が長くなると、ノルボルネンの単独付加重合体の一部にアルコキシシリル基を有する環状オレフィン系化合物由来の構造単位が結合した分子構造になってしまい、ノルボルネンの単独付加重合体の性質が発現してしまうためと考えられる。
係る現象を防止しシクロヘキサンやトルエンなどへの溶解性を確保する方法としては、1)アルコキシシリル基を有する環状オレフィン系化合物の共重合割合を高める。
2)ノルボルネン由来の構造単位の結合様式は通常2,3−結合であるが、2,7−結合を部分的に導入して、分子の立体規則性を乱す。
3)ノルボルネンの代わりに側鎖に長鎖アルキル基を有するノルボルネン誘導体を用いる。
などの方法が提案されている。
たとえば、非特許文献5〜8には、触媒成分の錯体の種類、重合溶媒の種類などの選択により、一部の溶媒に対して溶解性を示すポリノルボルネン(付加重合体)が製造できることが記載されている。
これらのうち、アルコキシシリル基を有する環状オレフィン系化合物の共重合割合を高める方法を用いると、重合活性の低下を招いたりあるいは成形加工中にアルコキシシリル基が反応してゲルを発生させる、あるいは、架橋体を得ようとした場合に分子内架橋や未反応アルコキシ基が残ったりしてしまい有効な架橋ネットワーク構造が形成されず所望の特性、例えば、耐薬品性や線膨張係数の低減が得られないことがある。
一方、ノルボルネン由来の構造単位の結合様式への2,7−結合の導入は、特許文献7に記載の特定のニッケル触媒、カチオン触媒および特許文献8に記載の特定パラジウム触媒により達成可能であるが、得られる共重合体および係る共重合体を用いた架橋体の線膨張係数が大きくなり、熱寸法安定性に問題が生じることがある。
さらに、ノルボルネンの代わりに側鎖に長鎖アルキル基を有するノルボルネン誘導体を用いる方法においても、得られる共重合体および係る共重合体を用いた架橋体の線膨張係数が大きくなり、熱寸法安定性に問題が生じることがある。
また、アルコキシシリル基としては、付加重合反応中の触媒との副反応によるゲル化を防止するためや、得られた付加共重合体の保存安定性のために、すなわち、残留触媒や保存環境の水分や熱の影響による所望しない架橋を防止するために、比較的安定なエトキシシリル基を用いることが多かった。しかし、アルコキシシリル基を介して架橋して架橋体を得ようとした場合、付加共重合体への熱負荷が少なく劣化が発生しにくい100〜200℃という比較的低温領域では、エトキシシリル基の架橋反応が十分に進行せず、得られた架橋体の線膨張係数が大きくなったり、線膨張係数のバラツキが出たり、経時変化が起こったりすることがあった。
本発明者はこのような状況に鑑みて鋭意検討を進めた結果、ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン由来の構造単位(a)と特定のメトキシシリル基を有する環状オレフィン系化合物由来の構造単位(b)を、構造単位(a)および構造単位(b)がそれぞれ偏在しないように共重合させて得た付加共重合体が、25℃のトルエンまたはシクロヘキサンいずれに対しても10重量%の濃度で均一透明に溶解する環状オレフィン系付加共重合体を得られることを見出して本発明の完成に至った。本発明者はさらに、上記構造単位(b)が特定の範囲の含量であり、また、触媒として特定のパラジウム系多成分触媒を用いることが有効であることを見出して本発明の完成に至った。また、上記付加共重合体に酸発生剤を配合した組成物が架橋体を得るのに有効であり、係る組成物を架橋して得られる架橋体の線膨張係数が極めて小さく熱寸法安定性に優れることを見出して本発明の完成に至った。
米国特許5,912,313号公報 米国特許6,031,058号公報 米国特許6,455,650号公報 特開2002−327024号公報 特開2003−160620号公報 特開2003−48918号公報 特表平9−508649号公報 特開平11−158226号公報 Macromol.Chem.Rapid Commun.12,255−259(1991) Macromol.Chem.Rapid Commun.19,251−256(1998) Macromol.Symp.133,1−10(1998) Organometallics 2001,20,2802−2812 Macromol.Chem.Phys.2003,204,868−876 W.Risse et al.,J.Mol.Catal.1992,76,219−228 Macromol.Rapid Commun.18,689−697(1997) Macromol.Chem.Phys.197,3435−3453 (1996)
本発明は、上記従来のアルコキシシリル基を有する環状オレフィン系付加共重合体の問題点を解決し、耐熱性、高透明性、他の部材への接着・密着性が優れ、寸法安定性に関わる線膨張係数が低くかつ汎用溶媒であるトルエンおよびシクロヘキサンいずれに対しても25℃において10重量%の濃度で均一に溶解し透明な溶液を形成できる、ノルボルネン(ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン)と特定のメトキシシリル基を有する環状のオレフィン系化合物との付加共重合体を提供することを課題とする。さらに本発明は、係る共重合体の製造方法、係る共重合体を用いた架橋用組成物、架橋体および係る共重合体もしくは係る架橋体を成形したフィルム、シートまたは皮膜を提供することを課題とする。
本発明の環状オレフィン系付加共重合体は、全構造単位中に下記式(1)で表される構造単位(a)を70〜98モル%と下記式(2)で表される構造単位(b)を2〜20モル%含む共重合体であって、
数平均分子量が30,000〜300,000であり、
共重合体を、25℃でトルエン中に10重量%となるように溶解させたときに、不溶分が0.1重量%以下であり、光路長1cm石英セルで測定した該トルエン溶液の波長400nmにおける透過率が85%以上であって、かつ、
共重合体を、25℃でシクロヘキサン中に10重量%となるように溶解させたときに、不溶分が0.1重量%以下であり、光路長1cm石英セルで測定した該シクロヘキサン溶
液の波長400nmにおける透過率が85%以上であることを特徴としている。
Figure 2005126514
Figure 2005126514
(式(2)中、R1は炭素原子数1〜10のアルキル基、シクロアルキル基またはアリー
ル基から選ばれる置換基、Xはメトキシ基、kは0〜2の整数、nは0または1である。)
このような本発明の環状オレフィン系付加共重合体は、全構造単位中に前記構造単位(b)を5〜15モル%含むことが好ましい。
また、このような本発明の環状オレフィン系付加共重合体は、前記構造単位(b)が、少なくとも、5−トリメトキシシリル−ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン由来の構造単位および/または9−トリメトキシシリル−テトラシクロ[6.2.1.13,6
2,7]ドデカ−4−エン由来の構造単位を含むことが好ましい。
また、このような環状オレフィン系付加共重合体は、構造単位(a)および構造単位(b)以外に、下記一般式(3)で表される構造単位(c)を含むことも好ましい。
Figure 2005126514
(式(3)中、A1〜A4はそれぞれ独立して、水素原子、炭素数が1〜10のアルキル基、シクロアルキル基、アリール基、トリアルキルシリル基、アルコキシカルボニル基、アルコキシ基、およびA1とA2で形成されるエステル基、A1とA3で形成されるアルキレン基よりなる群から選ばれる原子もしくは基を表し、A1〜A4の少なくとも一つはアルコキシカルボニル基、アリール基、A1とA3で形成されるアルキレン基から選ばれる置換基を含む。mは0または1の整数である。)
本発明の環状オレフィン系付加共重合体架橋物は、上記本発明の環状オレフィン系付加共重合体を架橋してなることを特徴としている。
本発明の環状オレフィン系付加共重合体の製造方法は、ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エンと下記一般式(4)で表される化合物とを付加重合する方法であって、パラジウム系触媒を用い、一般式(4)で表される化合物を、連続的に、または逐次的に重合系に供給することを特徴としている。
Figure 2005126514
(式(4)中、R1は炭素原子数1〜10のアルキル基、シクロアルキル基またはアリー
ル基から選ばれる置換基、Xはメトキシ基、kは0〜2の整数、nは0または1である。)
このような本発明の環状オレフィン系付加共重合体の製造方法では、上記本発明の環状オレフィン系付加共重合体を製造することが好ましい。
また、本発明の環状オレフィン系付加共重合体の製造方法では、パラジウム系触媒が、a)パラジウム化合物、
b)イオン性ホウ素化合物、
c)炭素数3〜15のアルキル基、シクロアルキル基およびアリール基から選ばれた置換基を有する、コーンアングル(Cone Angle deg)が170〜200のホスフィン化合物、または該ホスフィン化合物を用いて得られるホスフォニウム塩
および
d)有機アルミニウム化合物
から調製された多成分系触媒であることが好ましい。
また、本発明の環状オレフィン系付加共重合体の製造方法では、全単量体の重合体への転化率が5〜20%である初期重合時において生成している初期重合体中の一般式(4)で表される化合物由来の構造単位の割合Rpと、重合に供する全単量体中の一般式(4)で表される化合物由来の構造単位の割合Rmとの比r(r=Rp/Rm)が、0.7≦r≦1.3を満たすことが好ましい。
本発明の架橋用組成物は、上記本発明に係る環状オレフィン系付加共重合体と、酸発生剤とを含むことを特徴としている。
このような本発明の架橋用組成物では、酸発生剤が、第2級または第3級アルコールと有機スルフォン酸とのエステル、および、亜リン酸アルキルエステルよりなる群から選ばれたすくなくとも1種の化合物であることが好ましい。
本発明のフィルム、シートまたは薄膜は、上記本発明の環状オレフィン系付加共重合体、または、上記本発明の架橋用組成物を成形してなることを特徴としている。
また、本発明のフィルム、シートまたは薄膜は、上記本発明の環状オレフィン系付加共重合体架橋物からなることを特徴としている。
本発明によれば、光学透明性、耐熱性に優れ、線膨張係数が小さく、光学材料用のシート、フィルムに好適な材料として用いることができる、メトキシシリル基を有する特定の環状オレフィン系化合物由来の構造単位(a)とその他環状オレフィン系化合物由来の構造単位(b)とが、均質な組成分布でランダムに配列された、環状オレフィン系共重合体およびこれを架橋した環状オレフィン系共重合体ならびにこれらの製造方法を提供することができる。また、本発明によれば、光学透明性、耐熱性に優れ、線膨張係数が小さいフィルム、シートまたは薄膜を提供することができる。
以下、本発明について具体的に説明する。
本発明の環状オレフィン系付加共重合体は、下記式(1)で表されるビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン由来の構造単位(a)70〜98モル%と、下記式(2)で表されるメトキシシリル基を有する環状オレフィン化合物由来の構造単位(b)2〜20モル%とを含む。
Figure 2005126514
Figure 2005126514
(式(2)中、R1は炭素原子数1〜10のアルキル基、シクロアルキル基またはアリー
ル基から選ばれる置換基、Xはメトキシ基、kは0〜2の整数、nは0または1である。

さらに本発明の環状オレフィン系付加共重合体は、構造単位(a)および構造単位(b)以外に、下記一般式(3)で表される構造単位(c)を全構造単位中、2〜20モル%を含むことができる。
Figure 2005126514
(式(3)中、A1〜A4はそれぞれ独立して、水素原子、炭素数が1〜10のアルキル基、シクロアルキル基、アリール基、トリアルキルシリル基、アルコキシカルボニル基、アルコキシ基、およびA1とA2で形成されるエステル基、A1とA3で形成されるアルキレン基よりなる群から選ばれる原子もしくは基を表し、A1〜A4の少なくとも一つはアルコキシカルボニル基、アリール基、A1とA3で形成されるアルキレン基から選ばれる置換基を含む。mは0または1の整数である。)
本発明の環状オレフィン系付加共重合体の構造単位(a)は、ノルボルネン(ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン)を付加重合することにより形成される。また、構造単位(b)は下記一般式(4)で表されるメトキシシリル基を有する環状オレフィン系化合物(以下、「特定の単量体(1)」ともいう。)を付加重合することにより形成される。
Figure 2005126514
(式(4)中、R1は炭素原子数1〜10のアルキル基、シクロアルキル基またはアリー
ル基から選ばれる置換基、Xはメトキシ基、kは0〜2の整数、nは0または1である。)
本発明の環状オレフィン系付加共重合体中に、構造単位(a)および(b)以外に含むことのできる構造単位(c)は、下記一般式(5)で表される環状オレフィン系化合物(以下、「特定の単量体(2)」ともいう。)を付加重合し、さらに必要に応じて水素化することにより形成される。
Figure 2005126514
(式(5)中、A1〜A4およびmは式(3)と同じである。)
一般に、2種の単量体の共重合反応で生成する共重合体中の構造単位(組成)の偏在性の有無は、2種の単量体(単量体Aおよび単量体Bとして説明する)の共重合反応性比を求めることにより判明するが、簡便的には重合初期(全単量体の重合体への転化率が5〜20%のとき)に生成する共重合体中のA由来の構造単位の割合と、重合前の単量体中のAの割合とを比較することにより判明する。
すなわち、重合前の単量体組成物中における単量体Aの割合(Rm)と、重合初期の生成共重合体中における単量体A由来の構造単位の割合(Rp)とがほぼ同じであるなら、係る共重合体には実質的に組成の偏在性がなく、2種の単量体由来の構造単位がランダムに配列された共重合体と言える。一方、重合前の単量体組成物中における単量体Aの割合(Rm)と、重合初期の生成共重合体中における単量体A由来の構造単位の割合(Rp)とが大きく異なるなら、係る共重合体は2種の単量体由来の構造単位が偏在して配列された共重合体と言える。
このような共重合体の均一性あるいは偏在性は、重合前の単量体組成物中における単量体Aの割合(Rm)と、重合初期の生成共重合体中における単量体A由来の構造単位の割合(Rp)との比r(r=Rp/Rm)を指標として表すことができ、この組成均一性の指標rが1に近いほど組成の均一性が高いものと判断される。
本発明においては、特定の単量体(1)についての組成均一性の指標rが、0.7≦r≦1.3、好ましくは0.8≦r≦1.2を満たすことが好ましい。
共重合体中の組成に係る偏在性があると溶媒への溶解性が低下することがあり、ノルボルネンとアルコキシシリル基を有する環状オレフィン系化合物との付加共重合体の場合、25℃のトルエンおよびシクロヘキサンの少なくともどちらかに対して10重量%で均一に溶解することが困難となる。したがって、本発明の環状オレフィン系付加共重合体を得るためには、共重合体中の組成の偏在性を実質的になくすことが必要である。
本発明の環状オレフィン系付加共重合体を得るための単量体、すなわち、ノルボルネンと上記特定の単量体(1)の全量を一括して反応容器に仕込んで重合を行うと、その重合反応初期においては、反応に供した単量体組成物の組成と共重合体中の各単量体由来の構造単位の構成比が異なり、重合溶媒としてトルエンもしくはシクロヘキサンを使用した場合、重合溶液が白濁したり生成した共重合体が析出したりすることがある。これは、ノルボルネンと特定の単量体(1)との共重合反応性比の違いにより、生成した共重合体に上記組成に関わる偏在が生じたためと考えられる。
そこで本発明においては、上記共重合体の組成に関わる偏在性を解消するために、重合開始前に反応に供する全ノルボルネンを仕込み、反応に供する上記特定の単量体(1)の
一部または全部を重合開始後、重合系に連続または逐次添加することが好ましい。係る方法を適用することにより、ノルボルネン由来の構造単位(a)と特定のメトキシシリル基を有する環状オレフィン系化合物(「特定の単量体(1)」)由来の構造単位(b)が偏在することなく分子鎖中にランダムに存在する付加共重合体が得られ、係る共重合体は、25℃のトルエンおよびシクロヘキサンいずれの溶媒に対しても10重量%で溶解したとき均一に溶解するのである。
ただし、ノルボルネンとの共重合反応性比に実質的に差がない特定の単量体(1)を用いた場合には、ノルボルネンと係る特定の単量体(1)を一括して反応容器に仕込み、反応溶媒としてトルエンもしくはシクロヘキサンを使用して重合しても、重合溶液が白濁したり生成した共重合体が析出したりすることはなく、また、得られた共重合体のトルエンおよびシクロヘキサンに対する溶解性も、特定の単量体(1)の一部または全部を重合開始後、重合系に連続または逐次添加して得られた共重合体と同等であることもある。係る場合には、特定の単量体(1)の連続もしくは逐次添加を行わなくともよいし、もちろん、行ってもよい。具体的には、連続もしくは逐次添加を行うことなく、特定の単量体(1)についての上述した組成均一性の指標rが、0.7≦r≦1.3を満たす場合、好ましくは0.8≦r≦1.2を満たす場合、より好ましくは0.9≦r≦1.1を満たす場合には、特定の単量体(1)の連続もしくは逐次添加を行わなくともよい。
さらに、本発明の環状オレフィン系付加共重合体中の構造単位(b)の割合を全構造単位中2〜20モル%、好ましくは5〜15モル%とすると、汎用溶媒に対する溶解性が高まり、トルエンおよびシクロヘキサン以外にも、例えば、キシレン、エチルベンゼン、デカリン、クロロベンゼン、メチルシクロヘキサン、エチルシクロヘキサン、クロロシクロヘキサンなどから選ばれた単独溶媒または混合溶媒に均一に溶解するようになる。
また、構造単位(b)の割合を上記範囲とすることで、本発明の環状オレフィン系付加共重合体は、他の部材への接着・密着性に優れる他、架橋用組成物として架橋体を得たとき、分子間架橋が進行して適度の架橋密度を有する架橋体が得られ、線膨張係数が大きく低減できる効果も得られるのである。
本発明で用いられる一般式(4)で表される特定の単量体(1)は、シクロペンタジエンとビニルメトキシシリル化合物のDiels−Alder反応により得ることができる。すなわち、メトキシシリル基置換のビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン構造を有する化合物とメトキシシリル基置換のテトラシクロドデセン構造を有する化合物が得られ、蒸留による精製分離等を行うことにより、それぞれの化合物を純度95%以上で得ることができる。
特定の単量体(1)の具体例としては以下のものが挙げられるが、本発明はこれら化合物に限定されるものでない。
5−トリメトキシシリル−ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン、
5−メチルジメトキシシリル−ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン、
5−ジメチルメトキシシリル−ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン、
5−エチルジメトキシシリル−ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン、
5−シクロヘキシルジメトキシシリル−ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン、
5−クロロジメトキシシリル−ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン、
5−フェニルジメトキシシリル−ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン、
9−トリメトキシシリル−テトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−4−エン、
9−メチルジメトキシシリル−テトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−4−エン、
9−エチルジメトキシシリル−テトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−4−
エン、
9−シクロヘキシルジメトキシシリル−テトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−4−エン、
9−フェニルジメトキシシリル−テトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−4−エン、
9−ジメチルメトキシシリル−テトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−4−エン
などが挙げられる。
これら化合物の中では、
5−トリメトキシシリル−ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン、
5−メチルジメトキシシリル−ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン
9−トリメトキシシリル−テトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−4−エン、
9−メチルジメトキシシリル−テトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−4−エン
が好ましい。
本発明の環状オレフィン系付加共重合体中の構造単位(a)の割合は、全構造単位中、通常70〜98モル%、好ましくは85〜95モル%である。98モル%を超えると該共重合体の溶媒への溶解性がなくなったり、架橋部位が少なすぎて寸法安定性に関わる線膨張係数の低減された架橋体とするのに困難となったりすることがある。また、その割合が70モル%未満の場合は、機械的強度が低下して靱性がなく、フィルムやシートに成形した際に脆いものとなることがある。
本発明においては、さらに、特定の単量体(2)を用いて、上記構造単位(c)を共重合体に導入してもよい。係る場合、構造単位(c)は全構造単位中2〜20モル%の範囲で導入することが好ましい。構造単位(c)を上記範囲で導入することにより、複屈折を低減する効果やフィルム、シートの‘割れ’に関わる機械的強度の向上の効果を付与することができる。構造単位(c)の割合が2モル%未満の場合には、これらの効果が期待できないことがあり、一方、20モル%を超えると線膨張係数を大きくしたり、重合活性が低下したりすることがある。
本発明における特定の単量体(2)の具体例としては、下記化合物が例示できるが、本発明はこれらの具体例に限定されるものではない。
トリシクロ[5.2.1.02,6]デカ−8−エン、
3−メチル−トリシクロ[5.2.1.02,6]デカ−8−エン、
トリシクロ[5.2.1.02.6]デカ−3,8−ジエン、
5−メトキシカルボニル−ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン、
5−t−ブトキシカルボニル−ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン、
5−フェニル−ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン
5−ベンジル−ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン
5−インダニル−ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン
スピロ[フルオレン−9,4’,−トリシクロ[5.2.1.02,6]デカ−8’−エン

9−フェニル−テトラシクロ[6.2.1.13,62,7]ドデカ−4−エン、
9−メトキシカルボニル−テトラシクロ[6.2.1.13,62,7]ドデカ−4−エン、9−t-ブトキシカルボニル−テトラシクロ[6.2.1.13,62,7]ドデカ−4−エ
ン、
9−ベンジルオキシカルボニル−テトラシクロ[6.2.1.13,62,7]ドデカ−4−
エン、
9−メチル−9−メトキシカルボニル−テトラシクロ[6.2.1.13,62,7]ドデカ−4−エン、
9−メチル−9−エトキシカルボニル−テトラシクロ[6.2.1.13,62,7]ドデカ−4−エン、
9−メチル−9−t-ブトキシカルボニル−テトラシクロ[6.2.1.13,62,7]ド
デカ−4−エン
などが挙げられる。
本発明の環状オレフィン系付加共重合体のガラス転移温度は、動的粘弾性で測定されるTanδの温度分散のピーク温度で求められ(貯蔵弾性率:E’、損失弾性率:E”、Tanδ=E”/E’)、通常は200〜450℃、好ましくは250〜400℃、さらに好ましくは300〜380℃である。
ガラス転移温度が200℃未満では耐熱性が劣り、また、450℃を超えると重合体が剛直になり、線膨張係数は低減するが割れやすくなることがある。
本発明の環状オレフィン系付加共重合体の分子量は、o−ジクロロベンゼンを溶媒とし、120℃、ゲル・パーミエ−ションクロマトグラフィー法で測定され、ポリスチレン換算の数平均分子量(Mn)が30,000〜300,000、重量平均分子量(Mw)が50,000〜500,000、好ましくは数平均分子量(Mn)が50,000〜200,000、重量平均分子量(Mw)が100,000〜300,000である。
数平均分子量(Mn)が30,000未満、重量平均分子量(Mw)が50,000未満の場合、フィルムまたはシートとした際、割れやすいものとなる。また、数平均分子量(Mn)が300,000、重量平均分子量(Mw)が500,000を超えるとキャスト法(溶液流延法)でフィルムまたはシートを作製する際に重合体の溶液粘度が高くなりすぎて、取り扱いが困難となることがある。
本発明の環状オレフィン系付加共重合体は、25℃のトルエンおよびシクロヘキサンのいずれに対しても溶解性に優れ、10重量%で溶解した際に均一に溶解してほぼ透明な溶液が得られる。具体的には、共重合体を、25℃でトルエン中に10重量%となるように溶解させたときに、不溶分が0.1重量%以下であり、光路長1cm石英セルで測定した該トルエン溶液の波長400nmにおける透過率が85%以上、好ましくは90%以上であって、かつ、共重合体を、25℃でシクロヘキサン中に10重量%となるように溶解させたときに、不溶分が0.1重量%以下であり、光路長1cm石英セルで測定した該シクロヘキサン溶液の波長400nmにおける透過率が85%以上、好ましくは90%以上である。
本発明の特定のメトキシシリル基は、従来一般的に用いられていたエトキシシリル基と比較して反応性が高いため、特定の重合触媒を用いることが、得られた付加共重合体のゲル化等を防止するために必要である。また、得られた負荷共重合体に残留する係る触媒もしくは触媒残滓が保存中のゲル化等の原因になることがあるため、少量でも有効な高活性の触媒を用いることが好ましい。さらに、重合後の触媒除去においては、得られた付加共重合体がゲル化しないような煩雑でない方法が求められており、除去しやすいことも触媒に求められている。
本発明においては、上記条件を満たす重合触媒として、
a)パラジウム化合物
b)イオン性ホウ素化合物
c)炭素数3〜15のアルキル基、シクロアルキル基およびアリール基から選ばれた置換基を有する、コーンアングル(Cone Angle deg)が170〜200のホスフィン化合物、または該ホスフィン化合物を用いて得られるホスフォニウム塩
d)有機アルミニウム化合物
を含む多成分系触媒が用いられる。
このような触媒は、重合活性が非常高いため、少ない触媒量での重合が可能であり、また、アルコール類、エーテル類、ケトン類などの化合物での触媒除去が容易であるため、係る触媒を用いると、得られた付加共重合体をゲル化させることなく、付加共重合体中に残存するパラジウム原子およびアルミニウム原子をそれぞれ10ppm以下とすることも容易である。以下、このような触媒の各成分について説明する。
a)パラジウム化合物
パラジウム化合物としては、パラジウムの有機カルボン酸塩、有機亜リン酸塩、有機リン酸塩、有機スルフォン酸塩、β−ジケトン化合物、ハロゲン化物などが挙げられ、炭化水素溶媒に溶解しやすく、重合活性が高い化合物としてパラジウムの有機カルボン酸塩、β−ジケトン化合物が好ましい。
これら化合物の具体例としては、パラジウムの酢酸塩、プロピオン酸塩、マレイン酸塩、フマル酸塩、酪酸塩、アジピン酸塩、2−エチルヘキサン酸塩、ナフテン酸塩、オレイン酸塩、ドデカン酸塩、ネオデカン酸塩、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸塩、5−ノルボルネン−2−カルボン酸塩、安息香酸塩、フタル酸塩、テレフタル酸塩、ナフトエ酸塩などのパラジウムの有機カルボン酸塩、酢酸パラジウムのトリフェニルホスフィン錯体、酢酸パラジウムのトリ(m−トリル)ホスフィン錯体、酢酸パラジウムのトリシクロヘキシルホスフィン錯体などのパラジウムの有機カルボン酸の錯体、パラジウムのジブチル亜リン酸塩、ジブチルリン酸塩、ジオクチルリン酸塩、リン酸ジブチルエステル塩などの亜リン酸塩、リン酸塩、パラジウムのドデシルベンゼンスルホン酸塩、p−トルエンスルホン酸塩などのパラジウムの有機スルフォン酸塩、ビス(アセチルアセトナート)パラジウム、ビス(ヘキサフロロアセチルアセトナート)パラジウム、ビス(エチルアセトアセテート)パラジウム、ビス(フェニルアセトアセテート)パラジウムなどのパラジウムのβ−ジケトン化合物、ジクロロビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム、ジクロロビス[トリ(m−トリルホスフィン)]パラジウム、ジブロモビス[トリ(m−トリルホスフィン)]パラジウム、ジクロロビス[トリ(m−キシリルホスフィン)]パラジウム、ジブロモビス[トリ(m−キシリルホスフィン)]パラジウム、[C3522[PdCl4]で表されるイミダゾール錯体、[Ph3PCH2C(O)CH32[Pd2Cl6
で表されるアセトニルトリフェニルホスフォニウム錯体などのパラジウムのハロゲン化物錯体が挙げられる。
b)イオン性ホウ素化合物から選ばれた化合物
イオン性ホウ素化合物としては、例えば、トリフェニルカルベニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トリフェニルカルベニウムテトラキス[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]ボレート、トリフェニルカルベニウムテトラキス(2,4,6−トリフルオロフェニル)ボレート、トリフェニルカルベニウムテトラフェニルボレート、トリブチルアンモニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、N,N−ジメチルアニリニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、N,N−ジエチルアニリニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、N,N−ジフェニルアニリニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、リチウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートなど挙げられる。
c)ホスフィン化合物、ホスフォニウム塩
ホスフィン化合物としては、炭素数3〜15のアルキル基、シクロアルキル基およびアリール基から選ばれた置換基を有する、コーンアングル(Cone Angle deg)が170〜200のホスフィン化合物が挙げられる。このようなホスフィン化合物は、アルキル基、シ
クロアルキル基、アリール基を置換基とする三価の電子供与性のリン化合物(第三級ホスフィン化合物)である。
第三級ホスフィン化合物のコーンアングルdeg(Cone Angle deg)は、C.A.Tolman (Chem.Rev.Vol.77,313(1977)によって測定されており、金属原子と
リン原子の結合距離を2.28Åとして、金属とリン原子の三つの置換基で形成されるモデルで測定される円錐角である。
本発明において、触媒成分c)として用いることのできる、コーンアングルdegが17
0〜200のホスフィン化合物としては、トリシクロヘキシルホスフィン(172)、ジt−ブチルフェニルホスフィン(170)トリネオペンチルホスフィン(180)、トリ(t−ブチル)ホスフィン(182)、トリ(ペンタフルオロフェニル)ホスフィン(184)、トリ(o−トリル)ホスフィン(194)、などが具体例として挙げられる(括弧内はコーンアングルdeg値を表す)。
また、本発明において、触媒成分c)として用いることのできるホスフォニウム塩としては、上述のようなコーンアングルdegが170〜200のホスフィン化合物と、強酸ま
たは超強酸とを反応して得られるホスフォニウム塩が挙げられる。具体的には、
トリシクロヘキシルホスホニウムテトラ(ペンタフルオロフェニル)ボレート、
トリシクロヘキシルホスホニウムテトラ(3,5−ジトリフロロメチルフェニル)ボレート、
トリシクロヘキシルホスホニウムテトラフルオロボレート、
トリシクロヘキシルホスホニウムp−トルエンスルフォナート、
トリシクロヘキシルホスホニウムトリフルオロメタンスルフォナート、
トリ(o−トリル)ホスホニウムテトラ(ペンタフルオロフェニル)ボレート、
トリ(t−ブチル)ホスホニウムテトラ(ペンタフルオロフェニル)ボレート、
トリ(t−ブチル)ホスホニウムヘキサフルオロアンチモナート、
などが挙げられる。
d)有機アルミニウム化合物
有機アルミニウム化合物としては、メチルアルモキサン、エチルアルモキサン、ブチルアルモキサンなどのアルキルアルモキサン化合物、トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、ジイソブチルアルミニウムヒドリド、ジエチルアルミニウムクロライド、ジエチルアルミニウムフルオライド、エチルアルミニウムセスキクロライド、エチルアルミニウムジクロライドなどのアルキルアルミニウム化合物およびハロゲン化アルキルアルミニウム化合物、または上記アルキルアルモキサン化合物と上記アルキルアルミニウム化合物との混合物などが好適に使用される。
これら触媒成分は、以下の範囲の使用量で用いられる。
a)のパラジウム化合物は単量体1モルに対して、0.001〜0.05ミリモルPd原子の範囲で用いられる。
b)のイオン性ホウ素化合物は、Pd1原子当たり、0.1〜20モルの範囲で用いられる。
c)のホスフィン化合物またはホスフォニウム塩は、Pd1原子当たり、0.1〜2.0モルの範囲で用いられる。
d)の有機アルミニウム化合物は、Pd1原子に対して、0.5〜200モルの範囲で用いられる。
本発明の環状オレフィン系付加共重合体は、上記成分からなる多成分系触媒を用い、シクロヘキサン、シクロペンタン、メチルシクロペンタンなどの脂環式炭化水素溶媒、ヘキサン、ヘプタン、オクタンなどの脂肪族炭化水素溶媒、トルエン、ベンゼン、キシレン、
メシチレンなどの芳香族炭化水素溶媒、ジクロロメタン、1,2−ジクロロエタン、1,1−ジクロロエタン、テトラクロロエタン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼンなどのハロゲン化炭化水素溶媒などから、1種または2種以上選ばれた溶媒中で、−20〜120℃の温度範囲で付加重合を行うことにより得られる。
本発明の環状オレフィン系付加共重合体の分子量の調節は、重合系にエチレン、プロピレンなどのα−オレフィン、メチルアクリレート、水素、ヒドロシラン化合物、シクロペンタジエン、シクロペンテンなどから選ばれた化合物を添加することにより行うことができるが、このうちエチレンが好ましい。
側鎖置換基にオレフィン性不飽和結合を含む環状オレフィン化合物を単量体として用いた場合は、生成重合体にオレフィン性不飽和結合を含むため、熱化学安定性に乏しく、ゲル化、着色変色など起こる可能性がある。そのため、該重合体のオレフィン性不飽和結合の少なくとも90%以上、好ましくは95%以上、さらに好ましくは99%以上水素化される必要がある。
水素化方法は特には限定されず、炭素・炭素不飽和結合を効率よく水素化できる方法であればよい。一般的には水素化触媒の存在下で不活性溶媒中、水素圧:0.5〜15MPa、反応温度:0〜200℃で水素化が行われる。
不活性溶媒としては、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ドデカン等の炭素数5〜14の脂肪族炭化水素、シクロヘキサン、シクロヘプタン、シクロデカン、メチルシクロヘキサン等の炭素数5〜14の脂環族炭化水素、ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン等の炭素数6〜14の芳香族炭化水素が好適に用いられ、これらのうち、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、トルエン、キシレンが最も好ましく用いられる。
水素化触媒としては、ニッケル、パラジウム、白金、コバルト、ルテニウム、ロジウム等のVIII族の金属またはその化合物をカーボン、アルミナ、シリカ、シリカアルミナ、
珪藻土等の多孔性担体に担持した固体触媒あるいは、コバルト、ニッケル、パラジウム等IV族〜VIII族の有機カルボン酸塩、β−ジケトン化合物と有機アルミニウムまたは有機
リチウムの組み合わせやルテニウム、ロジウム、イリジウムなどの錯体等の均一触媒が用いられる。
本発明の付加重合されたまたはさらに水素化された環状オレフィン系付加共重合体の脱触媒は、共重合体溶液をケイソウ土、シリカ、アルミナ、活性炭などの吸着剤による吸着する方法、イオン交換樹脂により除去する方法、共重合体溶液にパラジウム化合物、アルミニウム化合物がキレートを形成する多官能のアミン化合物、アミノアルコール化合物、ホスフィン化合物などを添加し、濾過する方法、共重合体溶液をエタノール、プロパノールなどのアルコール類やアセトン、メチルエチルケトンなどのケトンに入れ、凝固除去する方法などで行うことができる。
共重合体の回収は、共重合体溶液から直接溶媒を除去する方法、上記アルコール、ケトンなどの貧溶媒で凝固し分離する方法など公知の方法により行うことができる。
本発明の環状オレフィン系付加共重合体は、構造単位(b)に加水分解性のシリル基であるメトキシシリル基を有するため、酸の存在下で加水分解および縮合することにより、シロキサン結合で架橋された架橋体とすることができる。係る架橋体は、構造単位(b)が環状オレフィン系付加共重合体の分子中に偏在することなく存在し、結果として架橋部位も偏在しないため、架橋網目が実質的に均一に架橋体全体に形成され、線膨張係数が大幅に低減される。また、架橋網目が形成されているため、耐溶剤・薬品性、耐液晶性にも
優れる。
本発明においては、光もしくは熱の作用により酸を発生させることができる化合物(酸発生剤)を本発明の環状オレフィン系付加共重合体に配合し、しかる後光照射もしくは加熱処理することにより酸を発生させて架橋を進行させ上記架橋体を得ることができる。
本発明において用いられる酸発生剤としては、下記1)、2)および3)の群から選ばれた化合物が挙げられ、これらの中から選択された少なくとも1種を本発明の共重合体100重量部当たり、0.001〜5重量の範囲で用いる。
1)対アニオンがBF4、PF6、AsF6、SbF6、B(C654などから選ばれた芳
香族スルフォニウム塩、芳香族アンモニウム塩、芳香族ピリジニウム塩、芳香族ホスフォニウム塩、芳香族ヨードニウム塩、ヒドラジニウム塩、メタロセンの鉄塩等の、50℃以上に加熱することで酸を発生する化合物、
2)トリアルキル亜リン酸エステル、トリアリール亜リン酸エステル、ジアルキル亜リン酸エステル、物アルキル亜リン酸エステル、次亜リン酸エステル、有機カルボン酸の第2級または第3級アルコールのエステル、有機カルボン酸のヘミアセタールエステル、有機カルボン酸のトリアルキルシリルエステル、有機スルフォン酸と第2級または第3級アルコールのエステル化合物等の、水の存在下、または不存在下で、50℃以上に加熱することで酸を発生する化合物、
3)g線、h線、i線等の紫外線、遠紫外線、X線、電子線等の光線照射によりブレンステッド酸、あるいはルイス酸を生成するジアゾニウム塩、アンモニウム塩、ヨードニウム塩、スルフォニウム塩、ホスフォニウム塩、アルソニウム塩、オキソニウム塩等のオニウム塩、ハロゲン含有オキサジアゾール化合物、ハロゲン含有トリアジン化合物、ハロゲン含有ベンゾフェノン化合物等のハロゲン化有機化合物、その他、キノンジアジド化合物、α,α−ビス(スルフォニル)ジアゾメタン化合物、α−カルボニル−α−スルフォニルジアゾメタン化合物、スルフォニル化合物、有機酸エステル化合物、有機酸アミド化合物、有機酸イミド化合物
などが挙げられる。
これらの中では、2)の化合物が本発明の環状オレフィン系共重合体と相溶性がよいため、好ましく用いられる。
本発明の環状オレフィン系付加共重合体もしくは該共重合体を含む架橋用組成物の成形には、通常溶液流延法(キャスト法)が用いられ、フィルム、シートあるいは薄膜を得ることができる。
溶液流延法(キャスト法)は、通常、該付加共重合体もしくは架橋用組成物を溶媒に溶かして所定の濃度に調製し、必要に応じて、濾過・脱泡処理した後、基材の上に塗工し、溶媒を除去することにより行われる。溶媒を除去する工程もしくは除去後、基材を剥離すればフィルムもしくはシートが得られ、剥離しなければ皮膜として得られる。
上記方法により得られたフィルム、シートまたは皮膜中の残留溶媒含量は5000ppm以下、好ましくは2000ppm以下、さらに好ましくは1000ppm以下である。その残留溶媒含量が5000ppmを超えるとフィルム、シートまたは皮膜上への蒸着やスパッタ等減圧下での加工に際し、多量の揮発分が発生して設備の汚染、減圧度の低下など招くことがある。また、線膨張係数が大きくなり、寸法安定性が劣るものとなることがある。
なお、残留溶媒含量を低減する方法については特に限定されるものではなく、公知の方法、例えば、温度を変えて多段乾燥する、減圧下で加熱乾燥する等の方法が適用できる。
また、水蒸気に曝露する、あるいは、塩化メチレン、1,2−ジクロロエタンなど低沸点のハロゲン溶媒に浸漬する、もしくはその蒸気に曝露した後、さらに加熱することによっても残留溶媒含量を低減することができる。
本発明の架橋用組成物を成形した場合、水または水蒸気の存在下で外部からの加熱または光照射により架橋体とすることができる。架橋体を得る具体的な方法としては、例えば、以下に記載する方法が挙げられるが、本発明はこれらの例示に限定されるものではない。1)酸発生剤として光酸発生剤を用いた場合
湿度50%RH以上の雰囲気で紫外線を照射する、あるいは、予め浸漬等により水を表面に存在させた状態で紫外線を照射する等の方法が挙げられる。
2)熱酸発生剤を用いた場合
熱酸発生剤が酸を発生させる温度以上(通常、50℃以上)の熱水に浸漬する、あるいは、同様の温度の水蒸気に曝露する等の方法が挙げられる。
これらの中で、熱酸発生剤を用い、120〜250℃の不飽和状態の過熱水蒸気に曝露する方法が、架橋と同時に残留溶媒の除去も進められるので好ましい。
本発明の環状オレフィン系付加共重合体もしくは該共重合体を含む架橋用組成物の成形には、上記のような溶液流延法以外に、環状オレフィン系付加共重合体のガラス転移温度が280℃以下の場合、溶融成形法も適用できる。
本発明の環状オレフィン系付加共重合体およびその架橋体用組成物には、耐酸化劣化、耐着色劣化性をさらに向上させるために、フェノール系酸化防止剤、ラクトン系酸化防止剤、リン系酸化防止剤、チオエーテル系酸化防止剤から選ばれた少なくとも1種を共重合体100重量部当たり、0.001〜5重量部を配合することができる。
フェノール系酸化防止剤の具体例としては、以下の化合物を例示できる。
2−t−ブチル−6−(3−t−ブチル−2−ヒドロキシ−5−メチルベンジル)−4−メチルフェニルアクリレート、
2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール、2,6−ジ−t−ブチル−4−エチルフェノール、
オクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、
2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、
2,2’−メチレンビス(4−エチル−6−t−ブチルフェノール)、
4,4’−ブチリデン−ビス(6−t−ブチルフェノール)、
4,4’−チオビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、
ビス(3−シクロヘキシル−2−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)メタン、
ペンタエリスリチル−テトラキス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、
トリエチレングリコールビス[3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオネート]、
6−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルアニリノ)−2,4−ビスオクチルチオ−1,3,5−トリアジン
リン系酸化防止剤としては、以下の化合物が例示できる。
ビス[2−t−ブチル−4−(2’−オクタデカニルオキシカルボニル)エチル−6−メチルフェニル]ホスファイト、
トリス(4−メトキシ−3,5−ジフェニル)ホスファイト、
トリフェニルホスファイト、
トリス(ノニルフェニル)ホスファイト、
トリス(ジノニルフェニル)ホスファイト、
トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト、
トリス(2−t−ブチル−4−メチルフェニル)ホスファイト、
トリス(シクロヘキシルフェニル)ホスファイト、
2,2’−メチレンビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)オクチルホスファイト、
ビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリストールジホスファイト、
ビス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ペンタエリストールジホスファイト
イオウ系酸化防止剤としては、以下の化合物が例示できる。
ジラウリル−3,3’−チオジプロピオネート、
ジステアリル−3,3’−チオジプロピオネート、
ジミリスチル−3,3’−チオジプロピオネート、
ペンタエリスリトール−テトラキス(β−ラウリル−チオ−プロピオネート)
ラクトン系酸化防止剤としては、以下の化合物が例示できる。
5,7−ジ−t−ブチル−3―(3,4−ジ−メチルフェニル)−3H−ベンゾフラン−2−オン、
5,7−ジ−t−ブチル−3―(2,5−ジ−メチルフェニル)−3H−ベンゾフラン−2−オン、
5,7−ジ−t−ブチル−3―(2,3−ジ−メチルフェニル)−3H−ベンゾフラン−2−オン、
5,7−ジ−t−ブチル−3―(4−メチルフェニル)−3H−ベンゾフラン−2−オン、
5,7−ジ−t−ブチル−3―(4−エチルフェニル)−3H−ベンゾフラン−2−オン、
5,7−ジ−t−ブチル−3−フェニル−3H−ベンゾフラン−2−オン、
5,7−ジ−t−ブチル−3−ヒドロキシ−3H−ベンゾフラン−2−オン、
本発明の環状オレフィン系付加共重合体は他の透明樹脂状の環状オレフィン系付加重合体、水素化された環状オレフィン系開環重合体、α−オレフィンと環状オレフィンとの付加共重合体、結晶性のα−オレフィン重合体さらにゴム状のエチレンと炭素数が3以上のα−オレフィン系共重合体、水素化されたブタジエン系重合体、水素化されたブタジエン・スチレンブロック共重合体、水素化されたイソプレン系重合体などと10〜90重量%の割合でブレンドすることができる。
これらフィルム、シートは光学材料部品をはじめ、電子・電気部品、医療用器材、電気絶縁材料、包装材料にも使用することができる。
光学材料としては、導光板、保護フィルム、偏向フィルム、位相差フィルム、タッチパネル、透明電極基板、CD、MD、DVDなどの光学記録基板、TFT用基板、カラーフィルター基板などや光学レンズ類、封止材などに用いられる。
電子・電気部品としては、容器、トレイ、キャリアテープ、セパレーション・フィルム、洗浄容器、パイプ、チューブ、などに用いられる。
医療用器材としては、薬品容器、アンプル、シリンジ、輸液用バック、サンプル容器、試験管、採血管、滅菌容器、パイプ、チューブなどに用いられる。
電気絶縁材料としては、電線・ケーブルの被覆材料、コンピューター、プリンター、複写機などのOA機器の絶縁材料、プリント基板の絶縁材料などに用いられる。
実施例
以下、実施例に基づいて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
なお、分子量、全光線透過率、ガラス転移温度、フィルムのそり、フィルムの表面状態、引っ張り強度・伸び、重合体組成物中の残溶媒量は下記の方法で測定した。
(1)分子量
ウォーターズ(WATERS)社製150C型ゲルパーミエションクロマトグラフィー(GPC)装置で東ソー(株)製Hタイプカラムを用い,o−ジクロロベンゼンを溶媒として120℃で測定した。得られた分子量は標準ポリスチレン換算値である。
(2)全光線透過率
ASTM−D1003に準拠し、厚さ150μmのフィルムについて全光線透過率を測定した。
(3)ガラス転移温度
ガラス転移温度は動的粘弾性で測定されるTanδ(貯蔵弾性率E’と損失弾性率E”との比 Tanδ=E”/E’)の温度分散のピーク温度で測定した。動的粘弾性の測定はレオバイブロンDDV−01FP(オリエンテック製)を用い、測定周波数が10Hz、昇温速度が4℃/分、加振モードが単一波形、加振振幅が2.5μmのものを用いてTanδのピーク温度を測定した。
(4)張係数線膨
TMA(Thermal Mechanical Analysis)SS6100(セイコーインスツルメント社製)
を用い、試験形状として 膜厚約150μm、縦10mm、横10mmにしたフィルム片を直立、固定し、プローブにより、1g重の荷重をかける。フィルムの熱履歴を除去するため、室温から200℃まで5℃/min.で一旦昇温した後、再度、室温から5℃/min.で昇温し、50℃〜150℃間のフィルム片の伸びの傾きから線膨張率を求めた。
(5)引っ張り強度・伸び(脆さ・割れの代替測定)
JIS K7113に準じて、試験片を引っ張り速度3mm/min.で測定した。
(6)共重合反応における付加共重合体中の組成解析と組成均一性の指標
共重合反応中、単量体の重合体への転化率が5〜20%の時にイソプロピルアルコールで重合を停止し、生成重合体のアルコキシシリル基、エステル基を270MHzの1H−
NMR(プロトン核磁気共鳴)(溶媒:C66)装置で測定して、生成共重合体中の含量を求めた。
メトキシ基は3.5ppmの吸収(SiOCH3のCH3)、エトキシ基は3.9ppmの吸収(SiOCH2CH3のCH2)を使用した。メチルエステル基は3.5ppmの吸
収(−C(O)OCH3)を使用した。
1H−NMRの特性吸収が重なる場合は、重合体溶液の残留モノマーをガスグロマトグ
ラムにより分析して共重合体へ導入された量を求めた。
これら分析より、重合初期の共重合体中の組成を解析した。生成共重合体の均一性は、重合開始前の全単量体中の「特定の単量体(1)」の割合(Rm)に対する重合初期の共重合体中の「特定の単量体(1)」由来の構造単位の割合(Rp)の比(r)を指標とした。(均一性の指標:r=Rp/Rm)
0.7≦r≦1.3:共重合体の組成均一性良好。rが1に近いほどその均一性が高い。r<0.7:「特定の単量体(1)」が共重合体へ入りにくく、組成の均一性が劣る。
r>1.3:「特定の単量体(1)」が共重合体へ入りやすく、組成均一性が劣る。
(7)共重合体溶液の光線透過率の測定
共重合体1gに対してトルエン9g(10.4ml)を用い、25℃で溶解して、10
重量%トルエン溶液を調製した。また、共重合体1gに対してシクロヘキサン9g(11
.6ml)を用い、25℃で溶解して、10重量%シクロヘキサン溶液を調製した。
共重合体の10重量%トルエン溶液および10重量%シクロヘキサン溶液の、光線の透過率は、光路長1cmの石英セルを用い、HITACHI U−2010型分光高度計に
より、波長400nmで、25℃で測定した。
共重合体の製造
100mlのガラス製耐圧ビンに水分6ppmの脱水されたトルエン 49.1g、シ
クロヘキサン 12.3g、9−トリメトキシシリル−テトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−4−エン 7ミリモル(1.96g)、ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン 93ミリモル(8.75g)を仕込み、仕込み口をゴム製パッキン付きの穴
あき王冠で封止した。
さらに、耐圧ビンのゴム製パッキンを通じて、分子量調節剤として、ガス状のエチレン
30mlを仕込んだ。
溶媒、単量体を含む耐圧ビンを75℃に加温して、触媒成分 2−エチルヘキサン酸パ
ラジウム(Pd原子として0.00133ミリグラム原子)、トリフェニルカルベニウム
ペンタフルオロフェニルボレート 0.00133ミリモル、トリシクロヘキシルホスフィン0.00133ミリモル、トリエチルアルミニウム 0.00667ミリモルの順に添加
して重合を開始した。
重合開始後15分に、重合系から重合体溶液一部をサンプリングしてその固形分から単量体の重合体への転化率と共重合体中の9−トリメトキシシリル−テトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−4−エン由来の構造単位の割合を270MHzの1H−N
MRから求めた。転化率は19%で重合初期の共重合体中の9−トリメトキシシリル−テトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−4−エン由来の構造単位の割合は6.9モル%であった。これから、共重合体の組成均一性の指標rは0.99であった。
共重合反応を75℃で3時間行ったが、重合体溶液は濁ることなく透明であった。重合体溶液の固形分測定から、重合体への転化率は99%であった。
重合体溶液を2リットルのイソプロパノールに重合体溶液を入れ、共重合体を凝固した。凝固した後、80℃で17時間、減圧下で乾燥し共重合体Aを得た。
得られた共重合体A1.0gを25℃のトルエン10.4mlに加えて攪拌したところ、透明の溶液となり、孔径30μmのフィルターでのろ過により分取される不溶分はなかった。また、光路長1cmの石英セルを用いて波長400nmで測定したところ、この共重合体Aのトルエン溶液の透過率は98.9%であった。
また、得られた共重合体A1.0gを25℃のシクロヘキサン11.6mlに加えて攪拌したところ、透明の溶液となり、孔径30μmのフィルターでのろ過により分取される不溶分はなかった。また、光路長1cmの石英セルを用いて波長400nmで測定したところ、この共重合体Aのシクロヘキサン溶液の透過度は98.5%であった。
共重合体A中の9−トリメトキシシリル−テトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−4−エン由来の構造単位の割合を270MHzの1H−NMRから求めたところ
6.9モル%であった。また、分子量は数平均分子量(Mn)で74,000、重量平均分子量(Mw)で185,000であり、ガラス転移温度(Tg)は360℃であった。
共重合体Aの1H−NMRのチャートを図−1に示す。
また、原子吸光分析により共重合体A中に残存する金属を分析したところ、Pdが1ppm、Alが2.5ppmであった。
フィルムの製造
共重合体A 10gを、メチルシクロヘキサン 10mlとキシレン 40mlの混合溶
媒に溶解して、酸化防止剤としてペンタエリスリチル−テトラキス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]およびトリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイトをそれぞれ、重合体100重量部に対して0.6重量部、架橋剤として、p−トルエンスルフォン酸シクロヘキシルエステルを重合体100重量部に対して、0.07重量部を添加した。
この重合体溶液を孔径10μmのメンブランフィルターで濾過し、異物を除去した後、ポリエステルフィルム上に25℃でキャストし、徐々に雰囲気の温度を50℃まで上げて溶媒を乾燥し、フィルム化を行った。
フィルム中の残留溶媒が5〜10%になった後、1気圧下の180℃の過熱スチームに1時間曝してフィルムを架橋体とした。そのフィルムを25℃で30分間、塩化メチレン蒸気雰囲気下に曝し、残留溶媒を除去した。
その後、80℃で30分間、真空乾燥して塩化メチレンを除去して、厚さ150μmの架橋されたフィルムA−1を作製した。評価結果を表1に示す。
9−トリメトキシシリル−テトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−4−エンおよびビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エンの使用量をそれぞれ10ミリモルおよび90ミリモルに変更したこと以外実施例1と同様にして重合を行った。
重合開始後18分の単量体の重合体への転化率は18%であり、その時の生成重合体中の9−トリメトキシシリル−テトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−4−エン由来の構造単位の割合は9.9モル%であった。開始後4時間の重合終了まで重合系は白濁することなく、重合体への転化率は99%であった。
得られた共重合体Bについて、実施例1と同様にして、トルエンおよびシクロヘキサンへの溶解性および溶液の光透過率を評価したところ、いずれの溶媒に溶解した場合にも透明の溶液となり、孔径30μmのフィルターでのろ過により分取される不溶分はなく、トルエン溶液の透過率は99.2%、シクロヘキサン溶液の透過率は98.4%であった。
共重合体Bの数平均分子量(Mn)は63,000、重量平均分子量(Mw)は167,000で、ガラス転移温度(Tg)は375℃であった。また、共重合体B中の9−トリメトキシシリル−テトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−4−エン由来の構造単位の割合は9.8モル%であった。共重合体Bの1H−NMRチャートを図−2に
示す。
また、共重合体Aの代わりに共重合体Bを用いたことの他は実施例1と同様にして、架橋された厚さ150μmのフィルムB−1を得た。評価結果を表−1に示す。
ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エンおよび9−トリメトキシシリル−テトラシクロ[6.2.1.13,62,7]ドデカ−4−エンの使用量をそれぞれ85ミリモルおよび
15ミリモルとしたこと以外実施例1と同様にして重合を行った。
重合開始後15分の単量体の重合体への転化率は15%であり、その時の生成重合体中の9−トリメトキシシリル−テトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−4−エン由来の構造単位由来の構造単位の割合は14.8モル%であった。開始後4時間の重合終了まで重合系は白濁することなく、重合体への転化率は99%であった。
得られた共重合体Cについて、実施例1と同様にして、トルエンおよびシクロヘキサンへの溶解性および溶液の光透過率を評価したところ、いずれの溶媒に溶解した場合にも透明の溶液となり、孔径30μmのフィルターでのろ過により分取される不溶分はなく、トルエン溶液の透過率は99.2%、シクロヘキサン溶液の透過率は98.1%であった。
共重合体Cの数平均分子量(Mn)は62,000、重量平均分子量(Mw)は157,000で、ガラス転移温度(Tg)は370℃であった。また、共重合体C中の9−トリメトキシシリル−テトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−4−エン由来の構造単位の割合は14.8モル%であった。共重合体Cの1H−NMRチャートを図−3
に示す。
また、共重合体Aの代わりに共重合体Cを用いたことの他は実施例1と同様にして、架橋された厚さ150μmのフィルムC−1を得た。評価結果を表−1に示す。
ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン 90ミリモルの代わりにビシクロ[2.2
.1]ヘプタ−2−エン 80ミリモルおよびendo体が95%のトリシクロ[5.2.1
.02,6]デカ−8−エン 10ミリモルを用いたこと以外実施例2と同様にして重合を行った。
重合開始後20分の単量体の重合体への転化率は19%であり、その時の生成重合体中の9−トリメトキシシリル−テトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−4−エン由来の構造単位の割合は9.9%であった。開始後5時間の重合終了まで重合系は白濁することなく、重合体への転化率は98%であった。
得られた共重合体Dについて、実施例1と同様にして、トルエンおよびシクロヘキサンへの溶解性および溶液の光透過率を評価したところ、いずれの溶媒に溶解した場合にも透明の溶液となり、孔径30μmのフィルターでのろ過により分取される不溶分はなく、トルエン溶液の透過率は98.5%、シクロヘキサン溶液の透過率は99.0%であった。
共重合体Dの数平均分子量(Mn)は62,000、重量平均分子量(Mw)は166,000で、ガラス転移温度(Tg)は360℃であった。また、残留モノマーのガスクロマト分析と270MHzの1H−NMR分析から、共重合体D中の9−トリメトキシシ
リル−テトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−4−エン由来の構造単位の割合は9.8モル%、endo体が95%のトリシクロ[5.2.1.02,6]デカ−8−エン
由来の構造単位の割合は6.0モル%であった。共重合体Dの1H−NMRチャートを図
−4に示す。
また、共重合体Aの代わりに共重合体Dを用いたことの他は実施例1と同様にして架橋された厚さ150μmのフィルムD−1を得た。評価結果を表−1に示す。
9−トリメトキシシリル−テトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−4−エ
ン 10ミリモルの代わりに5−トリメトキシトキシシリルビシクロ[2.2.1]ヘプ
タ−2−エン 10ミリモルを用い、重合系へ逐次添加したこと以外実施例2と同様にし
て重合を行った。すなわち、重合開始前に、溶媒、触媒とともにビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン 90ミリモル、5−トリメトキシシシリル−ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン 4ミリモルを耐圧ビンに仕込み、重合開始15分後に0.75ミリモ
ルを添加し、その後、15分毎に0.75ミリモルを7回、重合系へ添加した。
重合開始後15分の単量体の重合体への転化率は18%であり、その時の生成重合体中の5−トリメトキシシシリル−ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン由来の構造単位の割合は9.7モル%、共重合体の組成均一性の指標rは2.1であった。
なお、ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン(NB)と5−トリメトキシトキシシリルビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン(NMS)との共重合反応性比はFineman
−Ross法により求めるとr(NB)=0.53、r(NMS)=2.05であり、生成共重合体中の組成を均一にするには単量体組成中の5−トリメトキシトキシシリルビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン(NMS)の割合は生成共重合体中の割合より、少ない割合で共重合すればよいことが確認できた。
また、全5−トリメトキシシシリル−ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エンを添加終了後3時間後の単量体の重合体への転化率は99%で、その時の重合体の5−トリメトキシシシリル−ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン由来の構造単位の割合は9.8モル%であった。
得られた共重合体Eについて、実施例1と同様にして、トルエンおよびシクロヘキサンへの溶解性および溶液の光透過率を評価したところ、いずれの溶媒に溶解した場合にも透明の溶液となり、孔径30μmのフィルターでのろ過により分取される不溶分はなく、トルエン溶液の透過率は99.0%、シクロヘキサン溶液の透過率は98.0%であった。
このようにして得られた共重合体Eの数平均分子量(Mn)は69,000、重量平均分子量(Mw)は187,000で、ガラス転移温度(Tg)は365℃であった。共重合体Eの1H−NMRチャートを図−5に示す。
また、共重合体Aの代わりに共重合体Eを用いたことの他は実施例1と同様にして架橋された厚さ150μmのフィルムE−1を得た。評価結果を表−1に示す。
実施例5にて架橋されたフィルムを作製する際の過熱スチーム温度を180℃から150℃に変更する以外、実施例5と同様に行い、膜厚150μmの架橋されたフィルムE−2を得た。評価結果を表−1に示す。
分子量調節剤としてガス状のエチレンを35ml、触媒成分として酢酸パラジウム(Pd原子として0.0005ミリグラム原子)、トリフェニルカルベニウムペンタフルオロフェニルボレート0.0006ミリモル、トリシクロヘキシルホスホニウム2−エチルヘキサノエート0.0005ミリモル、トリエチルアルミニウム0.0025ミリモルを用いたこと以外実施例2と同様にして重合を行った。
重合開始後12分の単量体の重合体への転化率は19%であり、その時の生成重合体中の9−トリメトキシシリル−テトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−4−エン由来の構造単位の割合は9.8モル%、共重合体の組成均一性の指標rは0.98であ
った。3時間での重合終了まで、重合系は白濁することなく、重合体への転化率は98%であった。
得られた共重合体Fについて、実施例1と同様にして、トルエンおよびシクロヘキサンへの溶解性および溶液の光透過率を評価したところ、いずれの溶媒に溶解した場合にも透明の溶液となり、孔径30μmのフィルターでのろ過により分取される不溶分はなく、トルエン溶液の透過率は98.9%、シクロヘキサン溶液の透過率は98.5%であった。
共重合体Fの数平均分子量(Mn)は65,000、重量平均分子量(Mw)は178,000で、ガラス転移温度(Tg)は370℃であった。また、残留モノマーのガスクロマト分析と270MHzの1H−NMR分析から、共重合体F中の9−トリメトキシシ
リル−テトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−4−エン由来の構造単位の割合は9.8モル%であった。
また、共重合体Aの代わりに共重合体Fを用い、p−トルエンスルフォン酸のシクロヘキシルエステルの代わりに亜リン酸トリブチルを重合体F 100重量部に対して1.4
重量部を添加したこと以外実施例1と同様にして、膜厚150μmの架橋されたフィルムF−1を得た。評価結果を表−1に示す。
100mlの耐圧ビンへ、溶媒としてトルエン 48g、ビシクロ[2.2.1]ヘプ
タ−2−エン 82.0ミリモル、9−トリメトキシシリル−テトラシクロ[6.2.1
.13,6.02,7]ドデカ−4−エン 3.0ミリモル、9−メチル−9−メトキシカルボ
ニル−テトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−4−エン 15.0ミリモル
を仕込み、ゴム製パッキン付きの穴あき王冠で封止した。
1気圧のエチレンガス 30mlをゴム製パッキンを通じて仕込み、その後、耐圧ビン
を75℃にして、酢酸パラジウムをPd原子として0.001ミリグラム原子、トリシクロヘキシルホスフィンを0.001ミリモル、トリフェニルカルベニウムペンタフルオロフェニルボレートを0.0012ミリモル、トリエチルアルミニウムを0.005ミリモル仕込み、
重合を行った。
重合開始後16分の単量体の重合体への転化率は19%であり、その時の生成重合体中の9−トリメトキシシリル−テトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−4−エン由来の構造単位の割合は2.8モル%であった。9時間での重合終了まで重合系は白濁することなく、重合体への転化率は98%であった。また、その時の生成重合体中の9−トリメトキシシリル−テトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−4−エン由来の構造単位の割合は2.8モル%であり、9−メチル−9−メトキシカルボニル−テトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−4−エン由来の構造単位の割合は9.0モル%であった。
共重合体Gに残存する金属を原子吸光分析で測定した結果、Pdが0.5ppm、Alが2.5ppmであった。
得られた共重合体Gについて、実施例1と同様にして、トルエンおよびシクロヘキサンへの溶解性および溶液の光透過率を評価したところ、いずれの溶媒に溶解した場合にも透明の溶液となり、孔径30μmのフィルターでのろ過により分取される不溶分はなく、トルエン溶液の透過率は92.0%、シクロヘキサン溶液の透過率は89.0%であった。
共重合体Gの1H−NMRのチャートを図―6に示す。
また、共重合体Aの代わりに共重合体Gを用いたことの他は実施例1と同様にして、膜厚150μmの架橋されたフィルムG−1を得た。評価結果を表−1に示す。
比較例1
5−トリメトキシシリル−ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン 10ミリモルを
重合の開始前に全て添加し、逐次添加しない方法で重合反応を行ったこと以外実施例5と同様にして重合を行った。
重合開始後20分の単量体の重合体への転化率は18%であり、その時の生成重合体中の5−トリメトキシシリル−ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン由来の構造単位の割合は21モル%、共重合体の組成均一性の指標rは2.1であった。重合開始後1時間で重合体溶液はやや白濁し始めた。
なお、ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン(NB)と5−トリメトキシトキシシリルビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン(NMS)との共重合反応性比はFineman
−Ross法により求めるとr(NB)=0.53、r(NMS)=2.05であり、生成共重合体中の組成は不均一となり、共重合体中のビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エンに由来する構造単位の割合が多い部分は25℃のトルエン、シクロヘキサンなどに不溶となり、共重合体溶液が白濁したり、共重合体が析出したりしたものと考えられる。
その後3時間まで重合を継続した。重合後の単量体の重合体への転化率は90%であった。
得られた共重合体Hについて、実施例1と同様にして、トルエンおよびシクロヘキサンへの溶解性を評価した。トルエンへの溶解では15%、シクロヘキサンへの溶解では8%の不溶分が孔径30μmのフィルターでのろ過により分取された。なお、50℃のメチルシクロヘキサンとキシレンの混合溶媒(体積比で1:4)には溶解した。
このようにして得られた共重合体Hの数平均分子量(Mn)は63,000、重量平均分子量(Mw)は182,000で、ガラス転移温度(Tg)は365℃であった。また、共重合体F中の5−トリメトキシシリル−ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン由来の構造単位の割合は10.5モル%であった。
共重合体Aの代わりに共重合体Hを用い、フィルム化の溶媒を50℃としたこと以外は、実施例1と同様にして、膜厚150μmの架橋されたフィルムH−1を得た。評価結果を表−1に示す。
比較例2
5−トリメトキシシリル−ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エンを5ミリモル、ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン 95ミリモルを用い、5−トリメトキシシリル
−ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン 5ミリモルを全量重合開始前に仕込んだこ
と以外は実施例5と同様にして重合を行った。
重合開始後20分の単量体の重合体への転化率は18%であり、その時の生成重合体中の5−トリメトキシシリル−ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン由来の構造単位の割合は11モル%であった。重合開始後1時間で重合体溶液は白濁し、4時間後には共重合体は不溶化し、重合体への転化率は95%であった。
得られた共重合体Iについて、実施例1と同様にして、トルエンおよびシクロヘキサン
への溶解性を評価したところ、25℃のトルエンおよびシクロヘキサンのいずれに対しても不溶分があり、白濁して均一透明には溶解しなかった。トルエン溶液の透過率は5.4%、シクロヘキサン溶液の透過率は1.9%であった。なお、60℃に加熱したメチルシクロヘキサン、120℃のo−ジクロロベンゼンには溶解した。
共重合体Iの数平均分子量(Mn)は83,000、重量平均分子量(Mw)は202,000で、ガラス転移温度(Tg)は365℃であった。また、共重合体I中の5−トリメトキシシリル−ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン由来の構造単位の割合は5.5モル%であった。
共重合体Aの代わりに共重合体Hを用い、フィルム化の溶媒を60℃に加熱したメチルシクロヘキサンに代えた他は実施例1と同様にして、膜厚150μmの架橋されたフィルムI−1を得た。評価結果を表−1に示す。
比較例3
5−トリメトキシシリル−ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン 10ミリモルを
用いる代わりに6−トリメトキシシリル−ヘキサシクロ[10.2.1.13,10.15,8
2,11.04,9]ヘプタデカ−13−エン 10ミリモルを用いたこと以外は比較例1と同様にして重合を行った。
重合開始後20分の単量体の重合体への転化率は14%であり、その時の生成重合体中の6−トリメトキシシリル−ヘキサシクロ[10.2.1.13,10.15,82,11.04,9]ヘプタデカ−13−エン由来の構造単位の割合は2モル%であった。重合開始後30分で重合体溶液は白濁し始め、1時間後には重合体が析出しはじめた。4時間後の重合体への転化率は50%であった。
6−トリメトキシシリル−ヘキサシクロ[10.2.1.13,10.15,82,11.04,9]ヘプタデカ−13−エンは、側鎖置換基にメトキシシリル基を有しているが、ヘキサシクロヘプタデセンという環構造が非常に大きい環状オレフィン系化合物であるため、共重合性反応性と重合活性が劣るものであった。
このようにして得られた共重合体Jは、25℃のトルエンおよびシクロヘキサンには溶解せず、120℃のo−ジクロロベンゼンには濃度10重量%で溶解した。
重合体Jの数平均分子量(Mn)は53,000、重量平均分子量(Mw)は142,000で、ガラス転移温度(Tg)は365℃であった。また、共重合体J中の6−トリメトキシシリル−ヘキサシクロ[10.2.1.13,10.15,82,11.04,9]ヘプタデカ−13−エン由来の構造単位の割合は3.2モル%であった。
架橋されたフィルムは作製しなかった。
比較例4
ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン 90ミリモルの代わりに、5−ヘキシル−
ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン 90ミリモルを用いたこと以外は比較例1と
同様にして重合を行った。
重合開始後25分の単量体の重合体への転化率は18%であり、その時の生成重合体中の5−トリメトキシシリル−ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン由来の構造単位の割合は22モル%であった。4時間後の重合体への転化率は80%であった。
得られた共重合体Kについて、実施例1と同様にして、トルエンおよびシクロヘキサンへの溶解性および溶液の光透過率を評価したところ、いずれの溶媒に溶解した場合にも透明の溶液となり、孔径30μmのフィルターでのろ過により分取される不溶分はなく、トルエン溶液の透過率は95.0%、シクロヘキサン溶液の透過率は98.0%であった。
共重合体Kの数平均分子量(Mn)は43,000、重量平均分子量(Mw)は142,000で、ガラス転移温度(Tg)は270℃であった。また、共重合体K中の5−トリメトキシシリル−ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン由来の構造単位の割合は13.5モル%であった。
共重合体Aの代わりに共重合体Kを用いたことの他は、実施例1と同様にして、膜厚150μmの架橋されたフィルムK−1を得た。評価結果を表−1に示す。得られたフィルムK−1は、線膨張係数が非常に大きいものであった。
比較例5
9−トリメトキシシリル−テトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−4−エン 10ミリモルの代わりに5−トリエトキシシリル−ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−
2−エン 10ミリモルを用いたこと以外は実施例5と同様にして重合を行った。すなわ
ち、重合開始前に他の単量体、溶媒、触媒とともに5−トリエトキシシリル−ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン 4ミリモルを耐圧ビンに仕込み、15分後に0.75ミ
リモルを添加し、その後、15分毎に0.75ミリモルを7回、重合系へ添加した。
重合開始後20分の単量体の重合体への転化率は18%であり、その時の生成重合体中の5−トリエトキシシリル−ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン由来の構造単位の割合は9.5モル%、共重合体の組成均一性に指標rは2.2であった。また、2.5時間後に重合反応を終了したが、その時の単量体の重合体への転化率は93%で、生成重合体中の5−トリエトキシシリル−ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン由来の構造単位の割合は9.7モル%であった。
得られた共重合体Lについて、実施例1と同様にして、トルエンおよびシクロヘキサンへの溶解性および溶液の光透過率を評価したところ、いずれの溶媒に溶解した場合にも透明の溶液となり、孔径30μmのフィルターでのろ過により分取される不溶分はなく、トルエン溶液の透過率は99.0%、シクロヘキサン溶液の透過率は98.2%であった。
共重合体Lの数平均分子量(Mn)は71,000、重量平均分子量(Mw)は177,000で、ガラス転移温度(Tg)は370℃であった。
共重合体Aの代わりに共重合体Lを用いたことの他は、実施例1と同様にして、膜厚150μmの架橋されたフィルムL−1を得た。評価結果を表−1に示す。
比較例6
9−トリメトキシシリルテトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−4−エンを用いないで、ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン 100ミリモルを用いて重合
反応を行ったこと以外は実施例1と同様にして重合を行った。
重合開始後15分から重合体溶液は白濁し、1時間後には重合体溶液は固化した。4時間後に重合体を取り出した。単量体の重合体への転化率は92%であった。
得られた共重合体Mについて、実施例1と同様にして、トルエンおよびシクロヘキサンへの溶解性を評価したところ、25℃のトルエンおよびシクロヘキサンのいずれに対して
も不溶であった。また、75℃に加熱したシクロヘキサン、トルエン、クロロベンゼン、o−ジクロロベンゼンにも溶解しなかった。
架橋されたフィルムは作成しなかった。
Figure 2005126514
図1は、実施例1で得た共重合体Aの1H−NMRスペクトルを示す。 図2は、実施例2で得た共重合体Bの1H−NMRスペクトルを示す。 図3は、実施例3で得た共重合体Cの1H−NMRスペクトルを示す。 図4は、実施例4で得た共重合体Dの1H−NMRスペクトルを示す。 図5は、実施例5で得た共重合体Eの1H−NMRスペクトルを示す。 図6は、実施例8で得た共重合体Gの1H−NMRスペクトルを示す。

Claims (13)

  1. 全構造単位中に下記式(1)で表される構造単位(a)を70〜98モル%と下記式(2)で表される構造単位(b)を2〜20モル%含む共重合体であって、
    数平均分子量が30,000〜300,000であり、
    共重合体を、25℃でトルエン中に10重量%となるように溶解させたときに、不溶分が0.1重量%以下であり、光路長1cm石英セルで測定した該トルエン溶液の波長400nmにおける透過率が85%以上であって、かつ、
    共重合体を、25℃でシクロヘキサン中に10重量%となるように溶解させたときに、不溶分が0.1重量%以下であり、光路長1cm石英セルで測定した該シクロヘキサン溶液の波長400nmにおける透過率が85%以上である
    ことを特徴とする環状オレフィン系付加共重合体。
    Figure 2005126514
    Figure 2005126514
    (式(2)中、R1は炭素原子数1〜10のアルキル基、シクロアルキル基またはアリー
    ル基から選ばれる置換基、Xはメトキシ基、kは0〜2の整数、nは0または1である。)
  2. 全構造単位中に前記構造単位(b)を5〜15モル%含むことを特徴とする請求項1に記載の環状オレフィン系付加共重合体。
  3. 前記構造単位(b)が、少なくとも、5−トリメトキシシリル−ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン由来の構造単位および/または9−トリメトキシシリル−テトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−4−エン由来の構造単位を含むことを特徴とする請求項1または2に記載の環状オレフィン系付加共重合体。
  4. 構造単位(a)および構造単位(b)以外に、下記一般式(3)で表される構造単位(c)を含むことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の環状オレフィン系付加共重合体。
    Figure 2005126514
    (式(3)中、A1〜A4はそれぞれ独立して、水素原子、炭素数が1〜10のアルキル基、シクロアルキル基、アリール基、トリアルキルシリル基、アルコキシカルボニル基、アルコキシ基、およびA1とA2で形成されるエステル基、A1とA3で形成されるアルキレン基よりなる群から選ばれる原子もしくは基を表し、A1〜A4の少なくとも一つはアルコキシカルボニル基、アリール基、A1とA3で形成されるアルキレン基から選ばれる置換基を含む。mは0または1の整数である。)
  5. 請求項1〜4のいずれかに記載の環状オレフィン系付加共重合体を架橋してなることを特徴とする環状オレフィン系付加共重合体架橋物。
  6. ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エンと下記一般式(4)で表される化合物とを付加重合する方法であって、パラジウム系触媒を用い、一般式(4)で表される化合物を、連続的に、または逐次的に重合系に供給することを特徴とする環状オレフィン系付加共重合体の製造方法。
    Figure 2005126514
    (式(4)中、R1は炭素原子数1〜10のアルキル基、シクロアルキル基またはアリー
    ル基から選ばれる置換基、Xはメトキシ基、kは0〜2の整数、nは0または1である。)
  7. 請求項1〜5のいずれかに記載の環状オレフィン系付加共重合体を製造することを特徴とする請求項6に記載の環状オレフィン系付加共重合体の製造方法。
  8. パラジウム系触媒が、
    a)パラジウム化合物、
    b)イオン性ホウ素化合物、
    c)炭素数3〜15のアルキル基、シクロアルキル基およびアリール基から選ばれた置換基を有する、コーンアングル(Cone Angle deg)が170〜200のホスフィン化合物、または該ホスフィン化合物を用いて得られるホスフォニウム塩
    および
    d)有機アルミニウム化合物
    から調製された多成分系触媒であることを特徴とする請求項6または7に記載の環状オレフィン系付加共重合体の製造方法。
  9. 全単量体の重合体への転化率が5〜20%である初期重合時において生成している初期重合体中の一般式(4)で表される化合物由来の構造単位の割合Rpと、重合に供する全単量体中の一般式(4)で表される化合物由来の構造単位の割合Rmとの比r(r=Rp/Rm)が、0.7≦r≦1.3を満たすことを特徴とする請求項6〜8のいずれかに記載の環状オレフィン系付加共重合体の製造方法。
  10. 請求項1〜4のいずれかに記載の環状オレフィン系付加共重合体と、酸発生剤とを含むことを特徴とする架橋用組成物。
  11. 酸発生剤が、第2級または第3級アルコールと有機スルフォン酸とのエステル、および、亜リン酸アルキルエステルよりなる群から選ばれたすくなくとも1種の化合物であることを特徴とする請求項10記載の架橋用組成物。
  12. 請求項1〜4のいずれか1項に記載の環状オレフィン系付加共重合体、または、請求項10または11に記載の架橋用組成物を成形してなるフィルム、シートまたは薄膜。
  13. 請求項5に記載の環状オレフィン系付加共重合体架橋物からなることを特徴とするフィルム、シートまたは薄膜。
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