JP2005125706A - 多層フィルム・シート - Google Patents

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JP2005125706A JP2003366113A JP2003366113A JP2005125706A JP 2005125706 A JP2005125706 A JP 2005125706A JP 2003366113 A JP2003366113 A JP 2003366113A JP 2003366113 A JP2003366113 A JP 2003366113A JP 2005125706 A JP2005125706 A JP 2005125706A
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Abstract

【課題】スチレン系樹脂層とオレフィン系樹脂層からなる層剥離のない多層フィルム又はシートを提供する。
【解決手段】共役ジエンとビニル芳香族化合物からなる共重合体の水素添加物であって、(a)ビニル芳香族化合物の含有量が50重量%を越え、90重量%以下、(b)共重合体中のビニル芳香族化合物重合体ブロックの含有量が40重量%以下、(c)重量平均分子量が5万〜100万、(d)共重合体中の共役ジエン化合物に基づく二重結合の75%以上が水添されている水添共重合体を中間層とした、オレフィン系樹脂/水添共重合体/スチレン系樹脂の層を少なくとも一層以上含むことを特徴とする多層フィルム又はシート。
【選択図】選択図なし

Description

本発明は共役ジエン化合物とビニル芳香族化合物からなる共重合体の水素添加物からなる水添共重合体を中間層とした、オレフィン系樹脂/水添共重合体/スチレン系樹脂からなる基本層を含む多層フィルム又はシート、及びそれから得られる容器に関する。
スチレン系樹脂は剛性があり,寸歩安定性が良く,廉価であることから射出成形用材料やシート成形用材料として広く使用されている。しかしながら,スチレン系樹脂は,脂肪性の油類や有機溶媒などの影響下で応力亀裂を生じ急激な物性低下を生ずる。また,スチレン系樹脂は,非晶性でありガラス転移温度も90℃前後のため,90℃以下の比較的低い温度でも容易に変形する。このような欠点のためスチレン系樹脂は,その使用上かなりの制限を有している。
そこで、スチレン系樹脂に耐油性に優れるプロピレン系樹脂を混合した樹脂組成物による耐油、耐薬品性の改良が試みられてきた。本来混ざり難いスチレン系樹脂とプロピレン系樹脂との組成物に、その相容性を改善することを目的として、相容化剤を添加してなる組成物が種々提案されている。例えば、特許文献1では、スチレンブロック部分の重量割合が40〜70重量%であるスチレンブロック−イソプレンブロック−スチレンブロックからなるトリブロック共重合体の水素添加物を相容化剤とするゴム変性スチレン系樹脂とオレフィン系樹脂からなる耐熱性、耐薬品性及び耐油性に優れた樹脂組成物が提案されている。しかしながら、これらの樹脂組成物は、透明性が不十分であり、また樹脂組成物中のスチレン系樹脂層が薬品や油に接触するために十分な耐薬品性や耐油性は得られていなかった。
そこで、スチレン系樹脂層とオレフィン系樹脂層からなる多層フィルムやシートにより、スチレン系樹脂からなるフィルムやシートでは十分でなかった耐油性や耐熱性を付与すること、またスチレン系樹脂とオレフィン系樹脂組成物からなるフィルムやシートでは得られない透明性を発現させることが考えられたが、スチレン系樹脂層とオレフィン系樹脂層との接着力が十分ではなく、剥離が起こるため、接着層となる樹脂やエラストマーが求められていた。
特開平5−186660公報
本発明の課題は、スチレン系樹脂層とオレフィン系樹脂層からなる層剥離のない多層フィルム又はシートを提供することにある。
上記課題を解決するため鋭意検討を重ねた結果、本発明者らは、ビニル芳香族化合物を特定量含有し、しかもビニル芳香族化合物重合体ブロックの含有量が特定の範囲にある共役ジエンとビニル芳香族化合物との共重合体の水素添加物が上記課題を効果的に解決することを見いだし、本発明を完成するに至った。
即ち本発明は、共役ジエン化合物とビニル芳香族化合物からなる共重合体の水素添加物であって、(a)共重合体中のビニル芳香族化合物の含有量が50重量%を越え、90重量%以下、(b)共重合体中のビニル芳香族化合物重合体ブロックの含有量が40重量%以下、(c)重量平均分子量が5万〜100万、(d)共重合体中の共役ジエン化合物に基づく二重結合の75%以上が水添されている水添共重合体を中間層とした、オレフィン系樹脂層/水添共重合体層/スチレン系樹脂層からなる基本層を含むことを特徴とする多層フィルム又はシート、
を提供するものである。
すなわち、本発明により、スチレン系樹脂層とオレフィン系樹脂層からなる層剥離のない多層フィルム又はシート及びこれらのフィルムやシートによって包装された包装体、容器を得ることができる。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明において、水添共重合体中のビニル芳香族化合物の含有量は50重量%を越え、90重量%以下、好ましくは60重量%越え、88重量%以下、更に好ましくは62〜86重量%である。ビニル芳香族化合物の含有量が本発明で規定する範囲のものを使用することは、柔軟性と剛性とのバランス特性に優れたフィルム又はシートを得るために必要である。なお本発明において、水添共重合体中のビニル芳香族化合物の含有量は、水素添加前の共重合体中のビニル芳香族化合物含有量で把握しても良い。
本発明で使用する水添共重合体において、ビニル芳香族化合物重合体ブロックの含有量は該共重合体中の40重量%以下、好ましくは3〜40重量%、更に好ましくは5〜35重量%である。ビニル芳香族化合物重合体ブロックの含有量は、柔軟性保持の観点から40重量%以下である。
本発明の組成物を得る上で、より柔軟性に優れたものが好ましい場合、ビニル芳香族化合物重合体ブロックの含有量は10重量%未満、好ましくは8重量%未満、更に好ましくは5重量%未満であることが推奨される。また、本発明の組成物を得る上で、水添共重合体として耐ブロッキング性に優れたものが好ましい場合、ビニル芳香族化合物重合体ブロックの含有量は10〜40重量%、さらに好ましくは13〜37重量%、特に好ましくは15〜35重量%である。
ビニル芳香族化合物重合体ブロックの含有量の測定は、例えば四酸化オスミウムを触媒として水素添加前の共重合体をターシャリーブチルハイドロパーオキサイドにより酸化分解する方法(I.M.KOLTHOFF,etal.,J.Polym.Sci.1,429(1946)に記載の方法)により得たビニル芳香族炭化水素重合体ブロック成分の重量(但し平均重合度が約30以下のビニル芳香族炭化水素重合体成分は除かれている)を用いて、次の式から求めることができる。
ビニル芳香族炭化水素のブロック重量(重量%)=(水素添加前の共重合体中のビニル芳香族炭化水素重合体ブロック重量/水素添加前の共重合体の重量)×100
なお、本発明において水添共重合体におけるビニル芳香族化合物のブロック率(ブロック率とは、該共重合体中の全ビニル芳香族化合物量に対するビニル芳香族化合物重合体ブロックの含有量の割合をいう)は、好ましくは50重量%未満、より好ましくは20重量%以下、更に好ましくは18重量%以下であることが、より柔軟性の良好な組成物を得る上で推奨される。
本発明で使用する水添共重合体の重量平均分子量は5〜100万、好ましくは10〜80万、更に好ましくは13〜50万である。ビニル芳香族化合物重合体ブロックの含有量が10〜40重量%の水添共重合体を使用する場合、その重量平均分子量は10万を越え50万未満、好ましくは13万〜40万、更に好ましくは15万〜30万であることが推奨される。重量平均分子量が5万未満の場合は引き裂き強度等の機械的強度に劣り、また100万を超える場合は成形加工性に劣るため好ましくない。本発明において、水添共重合体の分子量分布は、成形加工性の点で、1.5〜5.0が好ましく、より好ましくは1.6〜4.5、更に好ましくは1.8〜4であることが推奨される。
本発明で使用する水添共重合体は共役ジエンとビニル芳香族化合物からなる共重合体の水素添加物であり、共重合体中の共役ジエン化合物に基づく二重結合の75%以上、好ましくは85%以上、更に好ましくは90%以上、特に好ましくは92%以上が水添されている。水添率が75%未満の場合は、耐候性や熱安定性が劣る。
本発明において、水添共重合体の構造は特に制限はなく、いかなる構造のものでも使用できるが、特に推奨されるものは、下記(1)〜(5)から選ばれる少なくとも一つの構造を有する共重合体の水素添加物である。本発明で使用する水添共重合体は、下記(1)〜(5)で表される構造を有する共重合体の水素添加物からなる任意の混合物でもよい。また、水添共重合体にビニル芳香族化合物重合体が混合されていても良い。
(1)S
(2)S−H
(3)S−H−S
(4)(S−H)m −X
(5)(S−H)n −X−(H)p
(式中、Sは共役ジエンとビニル芳香族化合物とのランダム共重合体ブロックであり、Hはビニル芳香族化合物重合体ブロックである。mは2以上の整数であり、n及びpは1以上の整数である。Xはカップリング剤残基を示す。)
一般式において、ランダム共重合体ブロックS中のビニル芳香族炭化水素は均一に分布していても、またはテーパー状に分布していてもよい。また該共重合体ブロックSには、ビニル芳香族炭化水素が均一に分布している部分及び/又はテーパー状に分布している部分がそれぞれ複数個共存していてもよい。また、mは2以上、好ましくは2〜10の整数であり、n及びpは1以上、好ましくは1〜10の整数である。
また、本発明において、水素添加前の共重合体鎖中におけるビニル結合含量の最大値と最小値との差が10%未満、好ましくは8%以下、更に好ましくは6%以下であることが推奨される。共重合体鎖中のビニル結合は、均一に分布していてもテーパー状に分布していても良い。ここで、ビニル結合含量の最大値と最小値との差とは、重合条件、すなわちビニル量調整剤の種類、量及び重合温度で決定されるビニル量の最大値と最小値である。共役ジエン重合体鎖中のビニル結合含量の最大値と最小値との差は、例えば共役ジエンの重合時又は共役ジエンとビニル芳香族化合物の共重合時の重合温度によって制御することができる。
第3級アミン化合物またはエーテル化合物のようなビニル量調整剤の種類と量が一定の場合、重合中のポリマ−鎖に組み込まれるビニル結合含量は、重合温度によって決まる。従って、等温で重合した重合体はビニル結合が均一に分布した重合体となる。これに対し、昇温で重合した重合体は、初期(低温で重合)が高ビニル結合含量、後半(高温で重合)が低ビニル結合含量といった具合にビニル結合含量に差のある重合体となる。かかる構造を有する共重合体に、水素を添加することにより特異構造の水添共重合体が得られる。
本発明において、ビニル芳香族化合物の含有量は、紫外分光光度計、赤外分光光度計や核磁気共鳴装置(NMR)等を用いて知ることができる。また、ビニル芳香族化合物重合体ブロックの量は、前述したKOLTHOFFの方法等で知ることができる。水素添加前の共重合体中の共役ジエンに基づくビニル結合含量は、赤外分光光度計(例えば、ハンプトン法)や核磁気共鳴装置(NMR)等を用いて知ることができる。また、水添共重合体の水添率は、赤外分光光度計や核磁気共鳴装置(NMR)等を用いて知ることができる。また、本発明において、水添共重合体の分子量は、ゲルパーミュエーションクロマトグラフィー(GPC)による測定を行い、クロマトグラムのピークの分子量を、市販の標準ポリスチレンの測定から求めた検量線(標準ポリスチレンのピーク分子量を使用して作成)を使用して求めた重量平均分子量である。水添共重合体の分子量分布は、同様にGPCによる測定から求めることができる。
本発明において共役ジエンとは、1対の共役二重結合を有するジオレフィンであり、例えば1,3−ブタジエン、2−メチル−1,3−ブタジエン(イソプレン)、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、1,3−ペンタジエン、2−メチル−1,3−ペンタジエン、1,3−ヘキサジエンなどであるが、特に一般的なものとしては1,3−ブタジエン、イソプレンが挙げられる。これらは一種のみならず二種以上を使用してもよい。また、ビニル芳香族化合物としては、例えばスチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、ジビニルベンゼン、1,1−ジフェニルエチレン、N,N−ジメチル−p−アミノエチルスチレン、N,N−ジエチル−p−アミノエチルスチレン等があげられ、これらは一種のみならず二種以上を使用してもよい。
本発明において、水素添加前の共重合体において共役ジエン部分のミクロ構造(シス、トランス、ビニルの比率)は、後述する極性化合物等の使用により任意に変えることができ、特に制限はない。一般的に共役ジエンとして1,3−ブタジエンを使用した場合には、1,2−ビニル結合は5〜80%、好ましくは10〜60%、共役ジエンとしてイソプレンを使用した場合又は1,3−ブタジエンとイソプレンを併用した場合には、1,2−ビニル結合と3,4−ビニル結合の合計量は一般に3〜75%、好ましくは5〜60%であることが推奨される。なお、本発明においては、1,2−ビニル結合と3,4−ビニル結合の合計量(但し、共役ジエンとして1,3−ブタジエンを使用した場合には、1,2−ビニル結合量)を以後ビニル結合と呼ぶ。
本発明において、水素添加前の共重合体は、例えば、炭化水素溶媒中で有機アルカリ金属化合物等の開始剤を用いてアニオンリビング重合により得られる。炭化水素溶媒としては、例えば、n−ブタン、イソブタン、n−ペンタン、n−ヘキサン、n−ヘプタン、n−オクタンの如き脂肪族炭化水素類、シクロヘキサン、シクロヘプタン、メチルシクロヘプタンの如き脂環式炭化水素類、また、ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼンの如き芳香族炭化水素である。
また、開始剤としては、一般的に共役ジエン化合物及びビニル芳香族化合物に対しアニオン重合活性があることが知られている脂肪族炭化水素アルカリ金属化合物、芳香族炭化水素アルカリ金属化合物、有機アミノアルカリ金属化合物等が含まれ、アルカリ金属としてはリチウム、ナトリウム、カリウム等である。好適な有機アルカリ金属化合物としては、炭素数1から20の脂肪族および芳香族炭化水素リチウム化合物であり、1分子中に1個のリチウムを含む化合物、1分子中に複数のリチウムを含むジリチウム化合物、トリリチウム化合物、テトラリチウム化合物が含まれる。具体的には、n−プロピルリチウム、n−ブチルリチウム、sec−ブチルリチウム、tert−ブチルリチウム、n−ペンチルリチウム、n−ヘキシルリチウム、ベンジルリチウム、フェニルリチウム、トリルリチウム、ジイソプロペニルベンゼンとsec−ブチルリチウムの反応生成物、さらにジビニルベンゼンとsec−ブチルリチウムと少量の1,3−ブタジエンの反応生成物等があげられる。
さらに、米国特許第5,708,092号明細書に開示されている1−(t−ブトキシ)プロピルリチウムおよびその溶解性改善のために1〜数分子のイソプレンモノマーを挿入したリチウム化合物、英国特許第2,241,239号明細書に開示されている1−(t−ブチルジメチルシロキシ)ヘキシルリチウム等のシロキシ基含有アルキルリチウム、米国特許第5,527,753号明細書に開示されているアミノ基含有アルキルリチウム、ジイソプロピルアミドリチウムおよびヘキサメチルジシラジドリチウム等のアミノリチウム類も使用することができる。
本発明において有機アルカリ金属化合物を重合開始剤として共役ジエン化合物とビニル芳香族化合物を共重合する際に、重合体に組み込まれる共役ジエン化合物に起因するビニル結合(1,2または3,4結合)の含有量の調整や共役ジエン化合物とビニル芳香族化合物とのランダム共重合性を調整するために、調整剤として第3級アミン化合物またはエーテル化合物を添加することができる。第3級アミン化合物としては、一般式R1 R2 R3 N(ただしR1 、R2 、R3 は炭素数1から20の炭化水素基または第3級アミノ基を有する炭化水素基である)の化合物である。例えば、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリブチルアミン、N,N−ジメチルアニリン、N−エチルピペリジン、N−メチルピロリジン、N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン、N,N,N’,N’−テトラエチルエチレンジアミン、1,2−ジピペリジノエタン、トリメチルアミノエチルピペラジン、N,N,N’,N”,N”−ペンタメチルエチレントリアミン、N,N’−ジオクチル−p−フェニレンジアミン等が挙げられる。
またエーテル化合物としては、直鎖上エーテル化合物および環状エーテル化合物から選ばれ、直鎖上エーテル化合物としてはジメチルエーテル、ジエチルエーテル、ジフェニルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールジブチルエーテル等のエチレングリコールのジアルキルエーテル化合物類、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル等のジエチレングリコールのジアルキルエーテル化合物類が挙げられる。また、環状エーテル化合物としてはテトラヒドロフラン、ジオキサン、2,5−ジメチルオキソラン、2,2,5,5−テトラメチルオキソラン、2,2−ビス(2−オキソラニル)プロパン、フルフリルアルコールのアルキルエーテル等が挙げられる。
本発明において有機アルカリ金属化合物を重合開始剤として共役ジエン化合物とビニル芳香族化合物を共重合する方法は、バッチ重合であっても連続重合であっても、或いはそれらの組み合わせであってもよい。特に分子量分布を好ましい適正範囲に調整する上で連続重合方法が推奨される。重合温度は、一般に0℃乃至180℃、好ましくは30℃乃至150℃である。重合に要する時間は条件によって異なるが、通常は48時間以内であり、特に好適には0.1乃至10時間である。又、重合系の雰囲気は窒素ガスなどの不活性ガス雰囲気にすることが好ましい。重合圧力は、上記重合温度範囲でモノマー及び溶媒を液相に維持するに充分な圧力の範囲で行えばよく、特に限定されるものではない。更に、重合系内は触媒及びリビングポリマーを不活性化させるような不純物、例えば水、酸素、炭酸ガスなどが混入しないように留意する必要がある。
本発明において、前記重合終了時に2官能以上のカップリング剤を必要量添加してカップリング反応を行うことができる。2官能カップリング剤としては公知のものいずれでも良く、特に限定されない。例えば、ジメチルジクロロシラン、ジメチルジブロモシラン等のジハロゲン化合物、安息香酸メチル、安息香酸エチル、安息香酸フェニル、フタル酸エステル類等の酸エステル類等が挙げられる。また、3官能以上の多官能カップリング剤としては公知のものいずれでも良く、特に限定されない。例えば、3価以上のポリアルコール類、エポキシ化大豆油、ジグリシジルビスフェノールA、1,3−ビス(N,N’−ジグリシジルアミノメチル)シクロヘキサン等の多価エポキシ化合物、一般式R4−n SiXn (ただし、Rは炭素数1から20の炭化水素基、Xはハロゲン、nは3から4の整数を示す)で示されるハロゲン化珪素化合物、例えばメチルシリルトリクロリド、t−チルシリルトリクロリド、四塩化珪素およびこれらの臭素化物等、一般式R4−nXn (ただし、Rは炭素数1から20の炭化水素基、Xはハロゲン、nは3から4の整数を示す)で示されるハロゲン化錫化合物、例えばメチル錫トリクロリド、t−ブチル錫トリクロリド、四塩化錫等の多価ハロゲン化合物が挙げられる。炭酸ジメチルや炭酸ジエチル等も使用できる。
本発明において、共重合体として重合体の少なくとも1つの重合体鎖末端に極性基含有原子団が結合した末端変性共重合体を使用することができる。極性基含有原子団としては、例えば水酸基、カルボキシル基、カルボニル基、チオカルボニル基、酸ハロゲン化物基、酸無水物基、カルボン酸基、チオカルボン酸基、アルデヒド基、チオアルデヒド基、カルボン酸エステル基、アミド基、スルホン酸基、スルホン酸エステル基、リン酸基、リン酸エステル基、アミノ基、イミノ基、ニトリル基、ピリジル基、キノリン基、エポキシ基、チオエポキシ基、スルフィド基、イソシアネート基、イソチオシアネート基、ハロゲン化ケイ素基、シラノール基、アルコキシケイ素基、ハロゲン化スズ基、アルコキシスズ基、フェニルスズ基等から選ばれる極性基を少なくとも1種含有する原子団が挙げられる。末端変性共重合体は、共重合体の重合終了時にこれらの極性基含有原子団を有する化合物を反応させることにより得られる。極性基含有原子団を有する化合物としては、具体的には、特公平4−39495号公報に開示された末端変性処理剤を使用できる。
上記で得られた共重合体を水素添加することにより、本発明で使用する水添共重合体が得られる。水添触媒としては、特に制限されず、従来から公知である(1)Ni、Pt、Pd、Ru等の金属をカーボン、シリカ、アルミナ、ケイソウ土等に担持させた担持型不均一系水添触媒、(2)Ni、Co、Fe、Cr等の有機酸塩又はアセチルアセトン塩などの遷移金属塩と有機アルミニュウム等の還元剤とを用いる、いわゆるチーグラー型水添触媒、(3)Ti、Ru、Rh、Zr等の有機金属化合物等のいわゆる有機金属錯体等の均一系水添触媒が用いられる。具体的な水添触媒としては、特公昭42−8704号公報、特公昭43−6636号公報、特公昭63−4841号公報、特公平1−37970号公報、特公平1−53851号公報、特公平2−9041号公報に開示された水添触媒を使用することができる。好ましい水添触媒としてはチタノセン化合物及び/又は還元性有機金属化合物との混合物が挙げられる。
チタノセン化合物としては、特開平8−109219号公報に開示された化合物が使用できるが、具体例としては、ビスシクロペンタジエニルチタンジクロライド、モノペンタメチルシクロペンタジエニルチタントリクロライド等の(置換)シクロペンタジエニル骨格、インデニル骨格あるいはフルオレニル骨格を有する配位子を少なくとも1つ以上もつ化合物があげられる。また、還元性有機金属化合物としては、有機リチウム等の有機アルカリ金属化合物、有機マグネシウム化合物、有機アルミニウム化合物、有機ホウ素化合物あるいは有機亜鉛化合物等が挙げられる。
本発明において、水添反応は一般的に0〜200℃、より好ましくは30〜150℃の温度範囲で実施される。水添反応に使用される水素の圧力は0.1から15MPa、好ましくは0.2から10MPa、更に好ましくは0.3から5MPaが推奨される。また、水添反応時間は通常3分〜10時間、好ましくは10分〜5時間である。水添反応は、バッチプロセス、連続プロセス、或いはそれらの組み合わせのいずれでも用いることができる。
上記のようにして得られた水添共重合体の溶液は、必要に応じて触媒残査を除去し、水添共重合体を溶液から分離する。水添共重合体の分離の方法としては、例えば水添後の反応液にアセトンまたはアルコール等の水添共重合体に対する貧溶媒となる極性溶媒を加えて水添共重合体を沈澱させて回収する方法、反応液を撹拌下熱湯中に投入し、スチームストリッピングにより溶媒を除去して回収する方法、または直接重合体溶液を加熱して溶媒を留去する方法等を挙げることができる。尚、本発明の水添共重合体には、各種フェノール系安定剤、リン系安定剤、イオウ系安定剤、アミン系安定剤等の安定剤を添加することができる。
本発明で使用する水添共重合体は、α,β−不飽和カルボン酸又はその誘導体、例えばその無水物、エステル化物、アミド化物、イミド化物で変性されていても良い。α,β−不飽和カルボン酸又はその誘導体の具体例としては、無水マレイン酸、無水マレイン酸イミド、アクリル酸又はそのエステル、メタアクリル酸又はそのエステル、エンド−シス−ビシクロ〔2,2,1〕−5−ヘプテン−2,3−ジカルボン酸又はその無水物などが挙げられる。α,β−不飽和カルボン酸又はその誘導体の付加量は、水添重合体100重量部当たり、一般に0.01〜20重量部、好ましくは0.1〜10重量部である。
本発明では目的に応じて、他のポリマー、エラストマー、架橋ゴム等をブレンドすることができる。同様に、必要に応じて、充填剤、安定剤、老化防止剤、耐候性向上剤、紫外線吸収剤、可塑剤、軟化剤、滑剤、加工助剤、着色剤、顔料、帯電防止剤、難燃剤、防曇剤、ブロッキング防止剤、結晶核剤、発泡剤等を添加することができる。これらは単独または複数を組み合わせて使用することができる。
上記のうち、安定剤、防止剤、耐候性向上剤、紫外線級吸収剤、滑剤、着色剤、顔料、ブロッキング防止剤、結晶核剤等の添加量に特に制限はないが、物性、経済性のバランスから、水添重合体100重量部当たり10重量部以下が好ましく、とくに好ましくは5重量部以下である。また、多量に添加することによって効果を発現する材料に付いてはこの限りではない。
本発明において使用可能なオレフィン系樹脂としては、特に制限はないが、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)等のホモポリマー、及びブテン、ヘキセン、オクテン等とのブロック、ランダム共重合体、ポリメチルペンテン、ポリブテン−1、プロピレン・ブテン−1共重合体、塩素化ポリオレフィン、エチレン・メタクリル酸およびそのエステル共重合体、スチレン・アクリル酸およびそのエステル共重合体、エチレン・プロピレン共重合体(EPR)等を挙げることができる。
本発明において使用可能なスチレン系樹脂としては、ポリスチレン、ゴム強化ポリスチレン(ハイインパクトポリエステル)、共役ジエン化合物とビニル芳香族化合物とのブロック共重合樹脂及びその水素添加物、アクリロニトリル・スチレン共重合体(AS樹脂)、スチレン・メタクリル酸メチル共重合体(MS樹脂)等のスチレン・メタクリル酸エステル共重合体、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン三元共重合体(ABS樹脂)、ゴム強化MS樹脂、無水マレイン酸・スチレン共重合体、無水マレイン酸・アクリロニトリル・スチレン三元共重合体、アクリロニトリル・α−メチルスチレン共重合体、メタクリロニトリル・スチレン共重合体、メタクリル酸メチル・アクリロニトリル・スチレン三元共重合体等を挙げることができる。
これらのオレフィン系樹脂およびスチレン系樹脂の数平均分子量は、1000以上が好ましく、より好ましくは5000〜100万、更に好ましくは1万〜80万である。またこれらは単独または複数を組み合わせて使用することができる。
本発明の多層フィルム又はシートの基本層である各樹脂成分にブレンド可能なエラストマー、架橋ゴムには特に制限はないが、スチレン系、オレフィン系熱可塑性エラストマー及びゴム、天然ゴム、イソプレンゴム、クロロプレンゴム、ポリイソブチレン、EPR、アクリルゴム、ネオプレンゴム、ポリエステル系エラストマー、ポリアミド系エラストマー等の熱可塑性エラストマー、架橋ゴム等をあげることができる。これらは単独または複数を組み合わせて使用することができる。これらのエラストマーの数平均分子量は1万以上が好ましく、より好ましくは2万〜100万、更に好ましくは3万〜80万である。またこれらは単独または複数を組み合わせて使用することができる。
スチレン系エラストマー、架橋ゴムの例としては、スチレン−ブタジエンブロック共重合体(SBS)、スチレン−イソプレンブロック共重合体(SIS)、及びこれらの水素添加物、例えばスチレン−エチレン−ブチレンブロックポリマー(SEBS)、スチレン−エチレン−プロピレンブロックポリマー(SEPS)、スチレン−ブタジエンラバー(SBR)、スチレン−ブタジエン−メチルメタクリレート三元共重合体(MBS)等を例示することができる。上記のうち、スチレン系、オレフィン系エラストマー、ゴムが好ましい。
本発明の多層フィルム又はシートは必要に応じて、コロナ、オゾン、プラズマ等の表面処理、防曇剤塗布、滑剤塗布、印刷等を実施することができる。本発明の多層フィルム又はシートは必要に応じて1軸または2軸等の延伸配向を行うことができる。本発明の多層フィルム又はシートは必要に応じて、熱、超音波、高周波等の手法による融着、溶剤とによる接着等の手法によるフィルム同士、あるいは他の熱可塑性樹脂等の材料と接合することができる。また食品包装用ストレッチフィルムとして使用する場合には、自動包装機、手動包装機により好適に包装することが可能である。本発明の多層フィルム又はシートを製造するには、インフレーション方式、Tダイ方式などの通常の押し出しフィルムやシートを成形する方法を採用することができる。
本発明の多層フィルム又はシートの厚みに特に制限はないが、多層フィルムの場合、好ましくは3μm〜0.3mm、さらに好ましくは10μm〜0.2mmであり、多層シートの場合には好ましくは0.3mmを超え、3mm以下、さらに好ましくは0.5mm〜1mmである。ストレッチフィルム用途や熱収縮性を有する1軸延伸フィルムまたは2軸延伸フィルム用途として好適に使用するためには、好ましくは5〜100μm、より好ましくは10〜50μmである。また、容器としては100μm以上の厚みがあることが好ましく、真空成形、圧縮成形、圧空成形等の熱成形等の手法により、食品や電気製品等の包装用容器や包装用トレーを提供することができる。
本発明の多層フィルム又はシートを製造するためには、一般にインフレーションフィルム製造装置やTダイフィルム製造装置などを用いる共押出し法、押出しコーティング法(押出しラミネート法ともいう。)などの成形方法を採用することができる。またこれらの装置を用いて得た多層または単層フィルム又はシートを用いてドライラミネート法、サンドラミネート法、ホットメルトラミネーション法等公知の技術で目的とする多層フィルム又はシートを製造することも可能である。
本発明の多層フィルムが熱収縮フィルムの場合、その製造方法に特に制限は無く、公知の延伸フィルム製造方法等により得ることができる。例えば、Tダイ法、チューブラー法、インフレーション法等で押出したシートまたはフィルムを、1軸延伸、2軸延伸、多軸延伸等の延伸法により得ることができる。1軸延伸の例としては、押出シートを押出方向と直交する方向にテンターで延伸する方法、押出チューブ状フィルムを円周方向に延伸する方法等を挙げることができる。2軸延伸の例としては、押出シートを、押出方向にロールで延伸した後、押出方向と直交する方向にテンター等で延伸する方法、押出チューブ状フィルムを、押出方向及び円周方向に同時または別々に延伸する方法等が挙げられる。
また、必要に応じて、ヒートセット、コロナ処理、プラズマ処理等の後処理を行っても良い。
さらに、本発明のフィルムは少なくともその一つの層が架橋されていてもよい。架橋処理としては、電子線、γ線、パーオキサイド等従来の公知の方法が用いられる。また、架橋処理後に積層を行ってもよい。
本発明の多層フィルム又はシートを構成する樹脂組成物を得る方法として、特に制限は無いが、ニーダー、ブラベンダー、プラストミル等の混練機、1軸または2軸等の押出機、ミキサー等を用いることができる。必要に応じて窒素雰囲気下で行うことができる。得られる組成物の形態としては、ブロック状、ペレット状、シート状、ストランド状等を挙げることができる。
本発明の多層フィルムまたはシートを構成する基本層は、基本層単独で多層フィルムまたはシートとして使用され得ることはいうまでもないが、基本層の片面または両面に、必要に応じて、さらなる機能層を設けて別の目的の多層フィルムまたはシートとして使用することができる。
以下に、その具体例を説明する。
本発明の多層フィルム又はシートに自己粘着性が要求される場合には、自己粘着性を有する粘着層を配置した多層フィルム又はシートにすることもできる。また、適当な粘着付与剤を適当量添加した樹脂組成物からなる層を用いることもできる。粘着層には、好ましくはエチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)樹脂が用いられる。酢酸ビニルの含量としては5〜25%重量、メルトフローレイト(以下MFRと表記する)が230℃、荷重2.16kgfの条件で測定した場合、0.1〜30g/minのものが好ましい。特に好ましくは酢酸ビニルの含量が10〜20重量%、MFRが0.3〜10g/minのものである。酢酸ビニル含有量は、硬さ、伸びおよび透明性の観点から5%以上であり、が低下し、強度低下の点から25%以下である。また、MFRは、押出し成形性の観点から0.1以上であり、強度低下の点から30以下である。
本発明の多層フィルム又はシートは、物性の改善を目的として他の適当なフィルム、例えば、ポリオレフィン系樹脂、ポリスチレン、ポリエチレンテレフタレートのフィルムと多層化することができる。
ポリオレフィン系樹脂層としては、アイソタクティックポリプロピレン、シンジオタクティックポリプロピレン、アタクティックポリプロピレン、直鎖低密度ポリエチレン(L−LDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)、高密度ポリエチレン(HDPE)、エチレン及び/又はプロピレンとブテン、ヘキセン、オクテン等のオレフィンとのブロックやランダム共重合体、ポリメチルペンテン等を例示することができる。
本発明の多層フィルム又はシートに加熱及び必要により圧力をかけ、他の樹脂に対する密着性を発現するためのヒートシール層の積層、また、必要に応じてヒートシール層に隣接するシール補助層を積層することも可能である。ヒートシール層がその単独層だけでは十分な機能が得られず、押し出し加工性、フィルム形成性に難点があり、また最適シール条件の範囲が狭い場合には、シール補助層を配置することが望ましい。シール層にはポリオレフィン系樹脂を主成分とした組成物を使用することが可能であり、その含量は好ましくは50〜100重量%であることが望ましい。シール層に配置されるポリオレフィンとしてはポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、ブテン系樹脂が用いられ、特にエチレン系樹脂として、はエチレン−オレフィン共重合体が含まれ、α−オレフィンとして、炭素数3〜10までで、例えばプロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテンである。
具体的には、線状低密度ポリエチレン(L−LDPE)、線状中密度ポリエチレン(M -LDPE)、超低密度ポリエチレン(VLDPE)等である。本発明の水添共重合体も含まれる。
また、ヒートシール強度、剥離感等を調整するために、他の添加剤を用いることもできる。また、耐熱性が要求される場合には、ナイロン系樹脂及びエチレン−エステル共重合体を使用することが可能であり、例としてはエチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)、エチレン−アクリル酸エチル共重合体(EEA)、エチレン−メタクリル酸メチル共重合体(EMMA)などが挙げられる。シール補助層を用いる場合、シール層を構成する樹脂の結晶融点は、シール補助層を構成する樹脂の結晶融点より高いことが好ましい。
接着層を接着力が充分でない場合に層間に配置してもよい。熱可塑性重合体、共重合体、三元共重合体およびこれらの樹脂の不飽和カルボン酸変性物もしくは該酸変成物の金属変成物など、並びにこれらを含む混合物が望ましい。例えば、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−アクリル酸エチル共重合体、およびマレイン酸、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、またはこれらの無水物で変性されたオレフィン共重合体、熱可塑性ポリウレタンエラストマーのブレンド樹脂などがある。この層の通常の厚みは目的、用途等により制限はないが、好ましくは0.1〜100μm、更に好ましくは0.5〜50μmである。
本発明の多層フィルム又はシートは、必要に応じてガスバリアー層を積層してもよい。
本発明に適用可能なガスバリアー層は、例えば厚み25μmのフィルムとしたときに23℃(相対湿度65%下)での酸素透過度が100cc/m・24hr・atm以下のものが好ましく、50cc/m・24hr・atm以下であるものがより好ましい。また、本発明に適応可能なガスバリアー性樹脂としては塩化ビニリデン共重合体(PVDC)、エチレン/ビニルアルコール共重合体(EVOH)、メタキシリレンジアミンより生成されるポリアミドなどの芳香族ナイロン及び非晶質ナイロン、ポリアクリロニトリル等、アクリロニトリルを主成分とする共重合体を例示することができる。
また塩化ビニリデン共重合体を主体とし、エチレンと酢酸ビニル、アクリル酸、メタクリル酸またはそれらの不飽和酸のアルキルエステルとの共重合体、またはMBS樹脂の少なくとも1種の共重合体などの混合樹脂組成物、ケン化度が95モル%以上のエチレンとビニルアルコール共重合体を主体とし、ポリエステルエラストマー、ポリアミドエラストマー、エチレンと酢酸ビニル共重合体、エチレンとアクリル酸エステル共重合体、ケン化度が95モル%未満のエチレンとビニルアルコール共重合体などとの混合樹脂組成物、前記芳香族ナイロンや非晶質ナイロンと脂肪族ナイロンなどとの混合樹脂組成物も含まれる。また、特に柔軟性が必要な場合にはエチレン/ビニルアルコール共重合体系が選択される。
ガスバリアー層の厚みは、包装する対象物、目的に応じて選択可能であって特に制限はないが、一般に好ましくは0.1〜500μm、更に好ましくは1〜100μm、特に好ましくは5〜50μmである。例えばポリ塩化ビニリデンと共押出しする場合には、その層の厚みは熱安定性と耐低温性の点からフィルム全体の30%以下であるのが望ましい。ガスバリアー樹脂と多層化されたフィルム又はシート、或いは該多層フィルム又はシートより成形された容器を使用することにより、本発明で規定する水添共重合体が有する特徴と、酸素バリアー性を併せ持つ、優れた多層フィルム又はシート或いは容器を得ることができる。酸素バリアー性を付与することにより、包装された食品、精密機器等の内容物の劣化、腐敗、酸化等の品質の低下を低減する事が可能となる。ガスバリアー層とこれに隣接する層の接着性を向上する必要がある場合には、接着性樹脂層をその間に介在させることも可能である。
本発明の多層フィルムが、熱収縮性フィルムである場合は、40〜100℃における特定の温度において、その熱収縮率が、縦、横少なくとも一方の値で、低温収縮性の観点から20%以上であり、保管中に収縮を生じて寸法が変化する恐れの点から200%以下であることが好ましい。
本発明の多層フィルム又はシートの具体的用途は、特に限定されないが、包装用フィルム、バッグ、パウチ等に使用することができる。ストレッチ性を有する多層フィルムの場合は、特に食品包装用ストレッチフィルム、パレットストレッチフィルム、保護フィルム等に好適に使用することができる。バリアー性フィルムの場合は、食品、飲料、精密機器、医薬品等の包装用に使用することができる。熱収縮性フィルムの場合は、シュリンク包装、シュリンクラベル結束等に使用することができる。
以下実施例により本発明を具体的に説明する。
尚、以下の実施例において、重合体、フィルムの特性や物性の測定は、次のようにして行った。
共重合体の特性
1)スチレン含有量
紫外分光光度計(島津製作所製、UV−2450)を用いて測定した。
2)ポリスチレンブロック含量
水添前の重合体を用い、I .M .Kolthoff,etal.,J.Polym .Sci .1,429(
1946)に記載の方法で測定した。
3)ビニル結合量及び水添率
核磁気共鳴装置(BRUKER社製、DPX−400)を用いて測定した。
4)分子量及び分子量分布
GPC〔装置は、ウォーターズ製〕で測定し、溶媒にはテトラヒドロフランを用い、測定条件は、温度35℃で行った。分子量は、クロマトグラムのピークの分子量を、市販の標準ポリスチレンの測定から求めた検量線(標準ポリスチレンのピーク分子量を使用して作成)を使用して求めた重量平均分子量である。尚、クロマトグラム中にピークが複数有る場合の分子量は、各ピークの分子量と各ピークの組成比(クロマトグラムのそれぞれのピークの面積比より求める)から求めた平均分子量をいう。また、分子量分布は、得られた重量平均分子量と数平均分子量の比である。
(フィルムの物性評価)
1)層間接着強度
接着層を持つ幅15mmのフィルムを、引張速度300mm/分で剥離させ、層間接着強度を測定した。
2)全光透過率、ヘイズ
JIS−K−7361−1に準じ、日本電飾社濁度計NDH−2000を用い測定を行った。
(水添共重合体の調製)
水添共重合体は以下の方法で調製した。なお、下記の実施例において、水添反応に用いた水添触媒は下記の方法で調製した。
窒素置換した反応容器に乾燥、精製したシクロヘキサン1リットルを仕込み、ビス(η5−シクロペンタジエニル)チタニウムジクロリド100ミリモルを添加し、十分に攪拌しながらトリメチルアルミニウム200ミリモルを含むn−ヘキサン溶液を添加して、室温にて約3日間反応させた。
内容積が10l、L/D=4の攪拌装置及びジャケット付き槽型反応器を2基使用して連続重合を行った。1基目の反応器の底部から、ブタジエン濃度が24重量%のシクロヘキサン溶液を4.51l/hrの供給速度で、スチレン濃度が24重量%のシクロヘキサン溶液を5.97l/hrの供給速度で、またn−ブチルリチウムをモノマ−100gに対して0.077gになるような濃度に調整したシクロヘキサン溶液を2.0L/hrの供給速度で、更にN,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミンのシクロヘキサン溶液をn−ブチルリチウム1モルに対して0.44モルになるような供給速度でそれぞれ供給し、90℃で連続重合した。反応温度はジャケット温度で調整し、反応器の底部付近の温度は約88℃、反応器の上部付近の温度は約90℃であった。重合反応器における平
均滞留時間は、約45分であり、ブタジエンの転化率はほぼ100%、スチレンの転化率は99%であった。
1基目から出たポリマー溶液を2基目の底部から供給、また同時に、スチレン濃度が24重量%のシクロヘキサン溶液を2.38l/hrの供給速度で2基目の底部に供給し、90℃で連続重合した。2基目出口でのスチレンの転化率は98%であった。
連続重合で得られたポリマーを分析したところ、スチレン含有量は67重量%、ブロックスチレン量が20重量%、ブタジエン部のビニル結合含量は、14重量%であった。スチレン含有量とブロックスチレン量の分析値より、スチレンのブロック率は30%であった。
次に、連続重合で得られたポリマーに、上記水添触媒をポリマー100重量部当たりTiとして100ppm添加し、水素圧0.7MPa、温度65℃で水添反応を行った。
得られた水添共重合体(ポリマー1)の水添率は99%、重量平均分子量は20万、分子量分布は1.9であった。
次に、n−ブチルリチウムの供給量及び/又はスチレンの供給量を変える以外は実施例1と同様の方法で連続重合を行い、その後実施例1と同様に水添反応を行った。得られた水添共重合体(ポリマー2)のスチレン含有量は75重量%、ブロックスチレン量は6重量%、水添前の共重合体におけるブタジエン部のビニル結合含量は11重量%であった。スチレン含有量とブロックスチレン量の分析値より、スチレンのブロック率は8%であった。また、水添共重合体(ポリマー2)の水添率は98%、重量平均分子量は17万、分子量分布は1.8であった。
(実施例及び比較例において使用した樹脂)
ポリスチレン;685(PSジャパン製)
ポリプロピレン;FB3GT(日本ポリケム製)
ポリエチレン;F1920(旭化成ケミカルズ製)
[実施例1、2、3および4]
3層用T−ダイ及び単軸押出し機を組合せた三層フィルム押出成形機を用いて、厚さ100μm、基本層の構成比率がそれぞれ(35%/30%/35%)である3層フィルムを作成した。このフィルムの評価結果を表1に示した。いずれの3層フィルムにおいても、各層間の接着強度は良好であった。
本発明により、スチレン系樹脂層とオレフィン系樹脂層からなる層剥離のない多層フィルム又はシート及びこれらのフィルムやシートによって包装された包装体、容器を得ることができる。

Claims (5)

  1. 共役ジエン化合物とビニル芳香族化合物からなる共重合体の水素添加物である水添共重合体を中間層とし、オレフィン系樹脂層/水添共重合体層/スチレン系樹脂層からなる基本層を含むことを特徴とする多層フィルム又はシート。
    ただし、該共重合体は下記(a)〜(d)を満たす。
    (a)共重合体中のビニル芳香族化合物の含有量が50重量%を越え、90重量%以下。
    (b)共重合体中のビニル芳香族化合物重合体ブロックの含有量が40重量%以下。
    (c)共重合体の重量平均分子量が5万〜100万。
    (d)共重合体中の共役ジエン化合物に基づく二重結合の75%以上が水添されている。
  2. 水添共重合体中のビニル芳香族化合物重合体ブロックの含有量が10重量%未満である請求項1に記載の多層フィルム又はシート。
  3. 水添共重合体中のビニル芳香族化合物重合体ブロックの含有量が10〜40重量%である請求項1に記載の多層フィルム又はシート。
  4. 水添共重合体が下記(1)〜(5)から選ばれる少なくとも一つの構造を有する共重合体の水素添加物である請求項1〜3のいずれかに記載の多層フィルム又はシート。
    (1)S
    (2)S−H
    (3)S−H−S
    (4)(S−H)m −X
    (5)(S−H)n −X−(H)p
    (式中、Sは共役ジエンとビニル芳香族化合物とのランダム共重合体ブロックであり、Hはビニル芳香族化合物重合体ブロックである。mは2以上の整数であり、n及びpは1以上の整数である。Xはカップリング剤残基を示す。)
  5. 請求項1〜4のいずれかに記載の多層フィルム又はシートより成形された容器。
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