JP2005125388A - 熱延鋼板の製造方法および熱間圧延設備 - Google Patents
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Abstract
【課題】 粗加工工程に板厚プレス装置を備えた熱間圧延設備により、熱間スラブの板厚プレス加工を行う際に、熱間スラブの長手方向歪量分布の不均一を低減することにより均一で超微細な組織を有する熱延鋼板を製造することができる熱延鋼板の製造方法および熱間圧延設備を提供する。
【解決手段】 入側の傾斜部と出側の平坦部を備えた一対の金型により、熱間スラブを板厚方向にプレス加工する板厚プレス装置を備えた熱間圧延設備による熱延鋼板の製造方法において、前記金型の傾斜部の傾斜角を板厚プレス加工後の鋼板の平均オーステナイト粒径分布および板厚プレス加工時のプレス荷重に基づいて設定し、熱間スラブを板厚プレス加工する。
【選択図】図1
【解決手段】 入側の傾斜部と出側の平坦部を備えた一対の金型により、熱間スラブを板厚方向にプレス加工する板厚プレス装置を備えた熱間圧延設備による熱延鋼板の製造方法において、前記金型の傾斜部の傾斜角を板厚プレス加工後の鋼板の平均オーステナイト粒径分布および板厚プレス加工時のプレス荷重に基づいて設定し、熱間スラブを板厚プレス加工する。
【選択図】図1
Description
本発明は、熱間スラブの板厚プレス装置を備えた熱間圧延設備による熱延鋼板の製造方法およびこの熱間圧延設備に関するものである。
熱間圧延設備による熱延鋼板の製造においては、通常、連続鋳造によって鋳造されたスラブを、粗圧延工程(粗加工工程)において粗圧延して粗バーとし、さらに仕上圧延工程において所定の板厚まで仕上圧延して熱延鋼板とする。その際、スラブ厚さから所定の粗バー厚さまでの圧延には、粗圧延機による圧延を複数パス要するのが一般的である。したがって、その間の空冷や圧延ロールへの抜熱などにより材料温度が低下するため、従来の粗圧延では、熱間スラブが圧延開始前に保持していた熱量の消失量が大きく、仕上圧延機入側での粗バー温度を高温に保つことが難しい場合があった。
そこで、粗圧延工程において、従来の粗圧延機よりも短時間あるいは少ない加工回数で粗バーまで減厚することができる大圧下手段の検討が行われてきた。その一例として、粗加工工程の減厚手段の少なくとも一部として鍛造加工手段(板厚プレス装置)を有する設備、およびこの装置を用いて圧下率30%以上の鍛造加工(板厚プレス)を行う方法が知られている(例えば、特許文献1参照。)。この板厚プレス装置によれば、従来の粗圧延機による圧延よりも大圧下が可能となり、また、スラブ内の空隙などの内部欠陥に対しても、ロールによる圧延よりもプレスによる圧下の方が板厚中央部まで圧下歪が浸透しやすく内部欠陥の圧着に有利であることも示されている。
また、上述した板厚プレス装置が、入側の傾斜部と出側の平坦部を備えた一対の金型からなり、板厚方向に圧下率が50%以上とすることで内部欠陥の発生率の低減が可能となり、また金型と材料の接触部分の寸法や送り量等により表される特性値に基づくプレス条件に基づき板厚方向に加工を加えることにより、プレス加工に伴う材料の幅広がりを所定値以内に抑えることが可能となることが知られている(例えば、特許文献2参照。)。
特開平11−77103号公報
特開2000−254703号公報
近年、自動車の軽量化、建築物の高層化等のニーズに対応し、鋼材の高強度化が求められている。一般的に鋼材の強度を上げると靭性が低下するが、結晶粒微細化による強化の場合、靭性を低下させずに強度を向上させることが可能であり、種々の結晶微細化技術が提案されている。そして、その内の一つとして、大圧下加工を行うことにより結晶粒が微細化することが知られている。
しかし、例えば平均粒径3μm以下の超微細粒組織を得るためには、1パスで50%以上の圧下が必要であるといわれている。このような圧下率を実現することは、通常の粗圧延で行われている圧延ロールによる圧下による方法では、圧延ロールへの噛み込み限界などの理由により不可能であった。ところが、鍛造加工である前述した特許文献1および2に示すような板厚プレスによる圧下であれば、圧下率50%以上も実現可能である。
そこで、本発明者等は、1台の板厚プレス装置を用いて熱間スラブに圧下率50%以上の大圧下を加えることにより、結晶粒を微細化する方法を試みた。その結果、得られた熱延鋼板には、長手方向に結晶粒径の不均一が発生した。この原因は、板厚プレス装置により熱間スラブを圧下すると、熱間スラブの長手方向に歪分布の不均一が生じるためと推察された。ここで、歪とは3軸方向の垂直歪、せん断歪から計算されるいわゆる相当歪のことを指しており、プレスによる板厚圧下では、金型と材料表面間の摩擦に起因するせん断変形が複雑に生ずるため、不均一な歪量分布となることが不可避である。すなわち、従来の粗圧延機のような圧延ロールによる連続的な圧下とは異なり、板厚プレス加工は所定の面積を持つ金型による断続的な圧下であるため、熱間スラブの送りピッチで歪量が長手方向変動し、この長手方向の歪量分布が結晶粒の微細化に影響しているものと考えられる。
特許文献2では、プレス時の板幅増加量および板幅の変動を所定値に抑えるために、金型と材料の接触部分の寸法により表される特性値に基づいてプレス条件を規定している。この手法によれば、長手方向の歪量分布を低減することも可能と考えられるが、しかしながら、ここで示された方法では、生産性の観点やプレス負荷の観点が示されておらず、実際に板幅増加量の目標値を20mm以下にするためには、板厚プレス装置の送り量が大変小さくなって実生産の生産性とは全く合わなくなるという問題があった。
さらに、特許文献1においては、長手方向歪分布の不均一に起因する粒径分布の問題に全く着目していないし、板厚プレス装置の金型の傾斜部の傾斜角である金型傾斜角や送り速度等の具体的なプレス条件を示していないという問題があった。
したがって、本発明の目的は、上記の従来技術の問題点を解決し、粗加工工程に板厚プレス装置を備えた熱間圧延設備により、熱間スラブの板厚プレス加工を行う際に、熱間スラブの長手方向歪量分布の不均一を低減することにより均一で超微細な組織を有する熱延鋼板を製造することができる熱延鋼板の製造方法および熱間圧延設備を提供することにある。
発明者等は、熱間スラブの長手方向歪量分布の不均一を低減するために、金型の傾斜部の傾斜角度に着目し、熱間スラブの長手方向歪量分布に及ぼす金型傾斜角の影響をシミュレーション計算にて調査した。
図3は、板厚プレス装置5の一対の金型5a、5bが熱間スラブ4の板厚方向の圧下を行っている状態を示している。ここで、板厚プレス装置5は入側の傾斜部51と出側の平坦部52を備えた一対の金型からなる。また、板厚プレス装置5の金型の傾斜部51の傾斜角αを金型傾斜角という。図3中、板厚プレス装置5がN−1パスからNパスまで移動する量が送り量であり、斜線で示した部分がNパス目で金型5a、5bによりプレス加工された体積を示す。なお、実際には熱間スラブが搬送され、板厚プレス装置5による板厚プレス位置は移動しないが、図3では、送り量を図解するために、これを板厚プレス装置の方が移動するように模式的に示している。
図5はその計算結果の一例であり、厚さ25.4mm、板幅60mm、1050℃(スラブ内の温度は均一)のスラブを、送り量25mmで板厚プレス装置により7.6mmまで圧下(圧下率70%)した時の、板幅中央部の板厚中心部の相当歪分布を示している。これより、金型傾斜角を小さくすることにより、熱間スラブの長手方向の相当歪分布(バラツキ)を低減できることがわかった。この理由を以下に説明する。図4に示すように、相当歪が最大になる位置は、Nパス目に金型の傾斜部でプレスし、N+1パス目に金型の平坦部でプレスした箇所に相当する(図4中Aと表示)。この箇所の相当歪が大きくなる理由は、被加工材の傾斜部分を平坦部でプレスする際に発生する付加的せん断歪が大きくなるためである。被加工材の傾斜部分の傾斜角が大きくなるほど付加的せん断歪は大きくなるため、金型傾斜角が大きいほど相当歪は大きくなる。一方、相当歪が最小になる位置は、Nパス目ではプレスせずにN+1パス目で金型の平坦部でプレスした箇所に相当する(図4中Bと表示)。同じ送り量の場合、金型傾斜角が大きいほど、Nパス目でプレスせずにN+1パス目で金型の平坦部でプレスする箇所の長さ(図4中Bと表示)が長くなるため、付加的せん断歪の影響が小さくなり、相当歪が小さくなる。以上、相当歪が最大になる位置では金型傾斜角が大きいほど相当歪は大きくなり、相当歪が最小になる位置では金型傾斜角が大きいほど相当歪が小さくなるので、結局金型傾斜角が大きいほど熱間スラブの長手方向の相当歪分布は大きくなる。
このような相当歪分布に関する検討より、金型傾斜角を小さくすることにより、熱間スラブの長手方向の結晶粒径分布の低減も可能であると推定し、これを検証すべく、ラボ実験にて結晶粒径分布に及ぼす金型傾斜角の影響を調査した。ラボ実験では、厚さ25.4mm、板幅60mm、1050℃の炭素鋼を、送り量25mmで板厚プレス装置により7.6mmまで熱間で圧下(圧下率70%)し、圧下後、直ちに水冷による焼き入れを行った。このような試験片の長手方向断面の顕微鏡観察を行い、平均オーステナイト粒径の測定を行った。平均オーステナイト粒径は、プレス時の送り量に相当する長手方向の周期的な分布を有しており、平均オーステナイト粒径の1周期分の最大値と最小値の差を平均オーステナイト粒径分布とした。図6は板幅中央部、板厚中心部における平均オーステナイト粒径分布と金型傾斜角との関係の一例を示したものである。これにより、金型傾斜角を小さくすることにより熱間スラブの長手方向の結晶粒径分布を低減することが確認できた。
ところで、前述のラボ実験では、プレス荷重に及ぼす金型傾斜角の影響についても調査した。図7にこの結果を示す。金型傾斜角が大きいほどプレス荷重は小さくなる。圧延加工において圧延荷重は、図8に示す被圧延材9と圧延ロール8a、8bとの接触長さ(以下、接触長)に比例することが知られている。本発明の板厚プレス装置においても、金型傾斜角を大きくすると接触長を小さくできるため、プレス荷重を小さくできる。
以上の検討より、入側の傾斜部と出側の平坦部を備えた一対の金型からなる板厚プレス装置の金型傾斜角は、熱間スラブの長手方向の結晶粒径分布の上限値より決定される金型傾斜角の上限値と、プレス荷重の上限値より決定される金型傾斜角の下限値の範囲で選択することが可能であることが判った。
本発明の熱延鋼板の製造方法および熱間圧延設備は、このようなシミュレーション計算やラボ試験などにより得られた知見に基づきなされたもので、以下のような特徴を有する。
(1)入側の傾斜部と出側の平坦部を備えた一対の金型により、熱間スラブを板厚方向にプレス加工する板厚プレス装置を備えた熱間圧延設備による熱延鋼板の製造方法において、前記金型の傾斜部の傾斜角を板厚プレス加工後の鋼板の平均オーステナイト粒径分布および板厚プレス加工時のプレス荷重に基づいて設定し、熱間スラブを板厚プレス加工することを特徴とする熱延鋼板の製造方法。
(2)金型の傾斜部の傾斜角を、板厚プレス加工時のプレス荷重に基づいて設定される下限値以上、且つ板厚プレス加工後の鋼板の平均オーステナイト粒径分布に基づいて決定される上限値以下の範囲内に設定し、熱間スラブを板厚プレス加工することを特徴とする上記(1)に記載の熱延鋼板の製造方法。
(3)熱間スラブを板厚方向にプレス加工する板厚プレス装置を備えた熱間圧延設備において、前記板厚プレス装置が入側の傾斜部と出側の平坦部を備えた一対の金型からなり、前記金型の傾斜部の傾斜角が、板厚プレス加工時のプレス荷重に基づいて設定される下限値以上、且つ板厚プレス加工後の鋼板の平均オーステナイト粒径分布に基づいて決定される上限値以下の範囲内であることを特徴とする熱間圧延設備。
以上説明したように、本発明によれば、熱延鋼板を製造するに際し、熱間スラブの板厚プレス加工を板厚プレス装置の金型の最適な形状で行うことにより、鋼板の長手方向に生じる歪量分布を低減することができ、長手方向に均一で超微細な組織を有する熱延鋼板を製造することが可能となる。本発明は、特に結晶粒径が3μm以下の超微細組織を有する高張力熱延鋼板の製造に好適である。さらに、本発明の熱間圧延設備はプレス荷重を低減できるため、板厚プレス装置の小型化により設備費を低減でき、板厚プレスに要するモーターの電力を低減できるため、製造コストを低減することが可能である。
図2は本発明の熱間圧延設備の一例を示す全体構成図である。この熱間圧延設備は、熱間スラブ4を粗バーへ加工する粗加工工程の粗加工設備1と、粗バーを所定の鋼板板厚へ圧延する仕上圧延工程の仕上圧延機列2と、鋼板を冷却する冷却装置3およびこれを巻取るコイラー6とを備えている。また、本発明では、粗加工設備1として、少なくとも1台の板厚プレス装置5を備えているが、図2に示す実施形態では、粗加工設備1として、1基の粗圧延機7と1台の板厚プレス装置5を設けている。
前記板厚プレス装置5は、入側の傾斜部51と出側の平坦部52を備えた一対の金型5a、5bを有している。
図2の熱間圧延設備では、粗加工設備1の入側へ搬送されてきた熱間スラブ4を、粗加工設備1の粗圧延機7によって圧延し、板厚プレス装置5により板厚プレス加工(減厚加工)を行って所定の板厚の粗バーとする。そして、引き続き仕上圧延工程の仕上圧延機列2により所定の板厚まで仕上圧延し、冷却装置3で冷却して熱延鋼板とし、これをコイラー6へ巻取る。
本発明では、粗加工工程へ搬送されてきた熱間スラブ4に対し、少なくとも1台の板厚プレス装置5により板厚方向の圧下を行う。
本発明においては、図3に示す一対の金型5a、5bを有する板厚プレス装置の金型の傾斜部51の傾斜角α(金型傾斜角)を板厚プレス加工後の鋼板の平均オーステナイト粒径分布および板厚プレスのプレス荷重に基づいて設定する。
図1は、ラボ実験から予想した、板厚250mm、板幅1500mmの熱間スラブを圧下率70%で75mmまでプレス加工したときの、金型傾斜角α(度)に対する板厚プレス加工後の鋼板の平均オーステナイト粒径分布(μm)およびプレス荷重(tonf)の関係の一例を示している。このとき板厚プレスの送り量は250mmで一定とし、金型の回転数は100cycle/分とした。板厚プレス装置出側平均速度は27mpmに相当し、この際の粗加工に要する時間は、従来の粗圧延工程での粗圧延機よりも十分短時間での操業となっている。
ここで、金型傾斜角αが小さくなるほど、板厚プレス加工後の鋼板の平均オーステナイト粒径は微細化することが判る。すなわち、上述した理由により、金型傾斜角αが小さいほど鋼板の長手方向に生じる歪量分布を低減することができ、長手方向に均一で超微細な組織を有する熱延鋼板を製造することが可能となる。
また、金型傾斜角αが大きくなるほど、プレス荷重は減少することが判る。すなわち、金型傾斜角αが大きいほどプレス荷重が減少できるので、板厚プレス装置の小型化により設備費を低減でき、板厚プレスに要するモーターの電力を低減できるため、製造コストを低減することが可能である。
よって、本発明においては金型傾斜角αを、板厚プレスのプレス荷重に基づいて設定される下限値以上、且つ板厚プレス加工後の鋼板の平均オーステナイト粒径分布に基づいて決定される上限値以下の範囲内に設定することが好ましい。
つまり、板厚プレス加工後の鋼板を、仕上圧延工程において所定の板厚まで仕上圧延して熱延鋼板としたときに、熱延鋼板内の引張強さ、降伏点、伸びなどの機械的性質のばらつきが許容範囲内となる平均オーステナイト粒径分布となるように、金型傾斜角αをα2以下にする。
また、板厚プレスの耐荷重から金型傾斜角αをα1以上にする。これらより、金型傾斜角αは、α1≦金型傾斜角α≦α2とする。
例えば、図1に示すように、機械的性質のばらつきが許容範囲内となる平均オーステナイト粒径分布を20μmとするとα2は39度となる。また、板厚プレスの耐荷重を10000トンとするとα1は18度となる。よって、この場合における適切な金型傾斜角αの範囲は18〜39度となる。
さらに、図1は送り量を250mmで一定とした場合であるが、送り量を変化させて図1と同様のグラフを求め、各送り量毎に適切な金型傾斜角αの範囲を求めてもよい。すなわち、送り量を250mmより大きくした場合には、金型傾斜角α(度)に対する板厚プレス加工後の鋼板の平均オーステナイト粒径分布(μm)およびプレス荷重(tonf)の値は、送り量が250mmのときよりも大きくなり、送り量を250mmより小さくした場合には、金型傾斜角α(度)に対する板厚プレス加工後の鋼板の平均オーステナイト粒径分布(μm)およびプレス荷重(tonf)の値は、送り量が250mmのときよりも小さくなる。これらの場合でも、図1で示したのと同様に、金型傾斜角αを、板厚プレスの鍛造荷重に基づいて設定される下限値以上、且つ板厚プレス加工後の鋼板の平均オーステナイト粒径分布に基づいて決定される上限値以下の範囲内に設定することが好ましい。
本発明を適用することにより、長手方向均一に直径3μm以下の超微細組織を得ることができる。このような超微細組織を有する高張力熱延鋼板を製造する場合に、本発明は特に効果的である。
なお、本発明の適用は上記の超微細組織を有する高張力熱延鋼板の製造に限定されるものではなく、熱間スラブの板厚プレス加工を最適な圧下率で行うことにより、他の品種の熱延鋼板の製造においても、鋼板長手方向の材質を均一にする効果が得られる。
図2に示す熱間圧延設備を用いて熱延鋼板の製造を行った。ただし、粗加工設備1としては、上流側から、粗圧延機7(図2では1基のみ図示)、板厚プレス装置5をこの順に備えた。また、仕上圧延機列2では最上流側の圧延機入側にエッジャー(図示せず)を備えることが好ましい。板厚プレスによる粗バーの板幅の変動に応じて、エッジャーによる板幅圧下量を長手方向に周期的に変更することにより、仕上圧延機列2での圧延後には、板幅の変動をなくすことが可能である。
このとき、送り量が250mmであったため、図1を用いて、金型傾斜角αは、板厚プレスのプレス荷重に基づいて設定される下限値α1が18度であり、板厚プレス加工後の鋼板の平均オーステナイト粒径分布に基づいて決定される上限値α2が39度と得られた。ただし、機械的性質のばらつきが許容範囲内となる平均オーステナイト粒径分布は20μmであり、板厚プレスの耐荷重を10000トンとした。そこで、金型傾斜角αはα1≦金型傾斜角α≦α2より30度に設定した。
そして、初期板厚が250mmの極低炭素鋼スラブを加熱炉にて約1200℃に加熱後、粗圧延機7を1パス通して175mmまで減厚した。そして、金型傾斜角が30度である入側の傾斜部と出側の平坦部を備えた一対の金型からなる板厚プレス装置5により53mm(圧下率70%)まで減厚して粗バ−とした。
その後、7スタンドからなる仕上圧延機列2により板厚3.0mmまで減厚し、引き続き冷却装置3により冷却し、コイラー6へ巻取って熱延鋼板とした。
そして、得られた冷却後の熱延鋼板から長手方向にサンプルを切出し組織を調査した。その結果、鋼板長手方向ほぼ均一に直径約3μm程度のミクロ組織となっており、本発明の効果が確認できた。
1 粗加工設備
2 仕上圧延機列
3 冷却装置
4 熱間スラブ
5 板厚プレス装置
51 傾斜部
52 平坦部
5a、5b 金型
6 コイラー
7 粗圧延機
8a、8b 圧延ロール
9 被圧延材
2 仕上圧延機列
3 冷却装置
4 熱間スラブ
5 板厚プレス装置
51 傾斜部
52 平坦部
5a、5b 金型
6 コイラー
7 粗圧延機
8a、8b 圧延ロール
9 被圧延材
Claims (3)
- 入側の傾斜部と出側の平坦部を備えた一対の金型により、熱間スラブを板厚方向にプレス加工する板厚プレス装置を備えた熱間圧延設備による熱延鋼板の製造方法において、前記金型の傾斜部の傾斜角を板厚プレス加工後の鋼板の平均オーステナイト粒径分布および板厚プレス加工時のプレス荷重に基づいて設定し、熱間スラブを板厚プレス加工することを特徴とする熱延鋼板の製造方法。
- 金型の傾斜部の傾斜角を、板厚プレス加工時のプレス荷重に基づいて設定される下限値以上、且つ板厚プレス加工後の鋼板の平均オーステナイト粒径分布に基づいて決定される上限値以下の範囲内に設定し、熱間スラブを板厚プレス加工することを特徴とする請求項1に記載の熱延鋼板の製造方法。
- 熱間スラブを板厚方向にプレス加工する板厚プレス装置を備えた熱間圧延設備において、前記板厚プレス装置が入側の傾斜部と出側の平坦部を備えた一対の金型からなり、前記金型の傾斜部の傾斜角が、板厚プレス加工時のプレス荷重に基づいて設定される下限値以上、且つ板厚プレス加工後の鋼板の平均オーステナイト粒径分布に基づいて決定される上限値以下の範囲内であることを特徴とする熱間圧延設備。
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JP2003365204A JP2005125388A (ja) | 2003-10-24 | 2003-10-24 | 熱延鋼板の製造方法および熱間圧延設備 |
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