JP2005123154A - 電池用ケースおよび電池 - Google Patents
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Abstract
【課題】 電池に隙間が生じて電解液が漏れ出すことがないとともに、外部電気回路基板への接続を容易にすることによって量産性に優れた電池用ケースおよび電池を提供すること。
【解決手段】 電池用ケースBは、上面の中央部に直方体状の凹部1aが形成され、この凹部1aの内側面と底面との間に段差1c−Aが形成されており、下面に第一の導体層Dおよび第二の導体層Cが互いに独立して設けられたセラミック基体1と、段差1c−Aの上面に形成された第一のメタライズ層1c−Bと、凹部1aの底面に形成された第二のメタライズ層1bと、第一のメタライズ層1c−Bから第一の導体層Dにかけて、および第二のメタライズ層1bから第二の導体層Cにかけてそれぞれ形成された内部導体3とを具備している。
【選択図】 図1
【解決手段】 電池用ケースBは、上面の中央部に直方体状の凹部1aが形成され、この凹部1aの内側面と底面との間に段差1c−Aが形成されており、下面に第一の導体層Dおよび第二の導体層Cが互いに独立して設けられたセラミック基体1と、段差1c−Aの上面に形成された第一のメタライズ層1c−Bと、凹部1aの底面に形成された第二のメタライズ層1bと、第一のメタライズ層1c−Bから第一の導体層Dにかけて、および第二のメタライズ層1bから第二の導体層Cにかけてそれぞれ形成された内部導体3とを具備している。
【選択図】 図1
Description
本発明は、充電式電池等に使用される電池用ケースおよび電池に関し、より詳しくは携帯電話などの小型電子機器に用いられる薄型の電池用ケースおよび電池に関する。
近年、携帯電話や携帯型コンピュータ、カメラ一体型ビデオテープレコーダー等に代表される携帯機器は、その目覚ましい発達に伴ない、より一層の小型化、軽量化が求められる傾向にある。そして、これらの携帯機器の電源としての電池の需要も増加の一途をたどるとともに、電池のエネルギー密度を高めることによる小型軽量化の研究も活発に行われている。特に、リチウム電池は、原子量が小さくかつイオン化エネルギーが大きなリチウムを用いる電池であることから、高エネルギー密度を得ることができて小型軽量化が図れ、さらに再充電が可能な電池とできることより盛んに研究され、現在にいたっては携帯機器の電源をはじめとする広範囲な用途に用いられるようになってきた。
また、電池には、大きく分けて円筒型と角型があり、その構造は正極と負極とを絶縁シートから成るセパレータを介して金属製の電槽缶内に収容し、そこに電解液が注入されて封口された構造とされている。
リチウム電池の正極には、例えば金属酸化物を正極活物質としてこれに導電材を添加したものが一般的に使用される。この正極活物質としては例えばコバルト酸リチウム(LiCoO2)やマンガン酸リチウム(LiMn2O4)などが使用され、また、導電材としては例えばアセチレンブラック(AB)や黒鉛などが使用される。電池の負極には、チタン酸リチウム(Li4Ti5O12)などのリチウム−チタン複合酸化物やグラファイトまたは非晶質炭素などの活物質を樹脂で固めたものが使用される。
リチウム電池においては、このLiCoO2やLiMn2O4などから成る正極活物質の充放電電圧が約4Vであり、これに対して炭素材料などから成る負極活物質の充放電電圧が約0Vであることから、これらの正極活物質と負極活物質と電解液とを組み合わせることによって約3.5Vの高放電電圧を達成している。
電池の正極は上記正極活物質に上記導電材を加え、さらにポリテトラフルオロエチレンやポリフッ化ビニリデンなどのバインダを添加、混合してスラリー状となし、これを周知のドクターブレード法を用いてシート状に成形し、次いでこのシートを例えば円形状に裁断して作製される。
また負極は上記負極活物質に、正極と同様にポリテトラフルオロエチレンやポリフッ化ビニリデンなどのバインダを添加、混合してスラリー状となし、これを周知のドクターブレード法を用いてシート状に成形し、次いでこのシートを例えば円形状に裁断して作製される。
そして、このようにして作製された正極、および負極をその間に耐熱温度が約150℃のポリオレフィン繊維製の不織布やポリオレフィン製の微多孔膜などからなるセパレータを介して電槽缶内に収容し、電解液を注入して、電池が得られる。
そして、このようにして作製される電池をさらに小型化、高密度化するために、図4に示すコイン型の電池Aが開発されている。
この従来の電池Aは、円板状の正極11bを備えた例えばステンレスからなる正極缶11と、円板状の負極12bを備えた例えばステンレスからなる負極缶12とを電解液13を含浸させたセパレータ14を介して対置させ、次いで例えば絶縁性のポリプロピレン樹脂から成るガスケット15を介して正極缶11の周囲と負極缶12の周囲とをかしめるようにして一体に結合させた電槽缶構造とされている。正極11bおよび負極12bにおける充放電は正極缶11および負極缶12に取着した外部接続端子部材を介して行われる(例えば、特許文献1,2参照)。
特開2000−106195号公報(第6−12頁、図1)
特開2002−198019号公報(第3−4頁、図1)
しかしながら、特許文献1,2に示されるような従来の電池Aは、長期間にわたって温度幅が百数十度という温度サイクル(例えば−40℃〜85℃)に曝されると、例えばポリプロピレン樹脂から成るガスケット15と正極缶11と負極缶12との熱膨張率の差によりガスケット15を介して正極缶11および負極缶12の周囲をかしめた電槽缶の結合部位に隙間が生じて電解液が漏れ出す場合が有り、これにより電池Aの電池性能が劣化したり、さらに漏れ出た電解液により外部電気回路基板上の銅(Cu)配線を腐食させて断線させるといった不具合を生じたり、あるいは、この隙間から水分が電池Aの内部に侵入して電池性能が劣化するという不具合を発生させていた。
さらに、従来の電池Aでは、電解液を正極缶11と負極缶12との内部に封入するに際して気泡が内部に残留し、この気泡が上記の温度サイクル試験に曝された場合に熱膨張することによって、かしめた部位付近における上記隙間の発生を助長し、その結果、電解液漏れや水分の浸入によって電池性能がさらに劣化することがあった。
また、従来の電池Aは、充放電を行なうために、上下に外部接続端子部材を接続してこの外部接続端子部材を外部電気回路基板へ接続しなければならず、外部電気回路基板への接続が繁雑であるという問題点を有していた。
また、これらの電池Aを並列または直列に接続するに際しては、これらを電気的に接続するために外部接続端子部材などを用いなければならず、そのために互いに接続された電池Aの集合体の見かけの体積が大きくなるとともに重量も重くなり、よって小型化、軽量化という市場要求に反するものとなっていた。
従って、本発明は上記問題点に鑑みて完成されたものであり、その目的は、長期間の使用により電池の結合部に隙間が生じて電解液が漏れ出ることによって電池性能が劣化したり、外部電気回路基板に損傷を与えたりすることがないとともに、外部電気回路基板への接続を容易にすることによって外部電気回路基板の量産性に優れた電池用ケースおよび電池を提供することにある。また、複数個の電池を互いに接続して用いる場合に電池の見かけの体積、および重量が大きく増加することのない電池用ケースおよび電池を提供することにある。
本発明の電池用ケースは、上面の中央部に直方体状の凹部が形成され、該凹部の内側面と底面との間に段差が形成されており、下面に第一の導体層および第二の導体層が互いに独立して設けられたセラミック基体と、前記段差の上面に形成された第一のメタライズ層と、前記凹部の底面に形成された第二のメタライズ層と、前記第一のメタライズ層から前記第一の導体層にかけて、および前記第二のメタライズ層から前記第二の導体層にかけてそれぞれ形成された内部導体とを具備していることを特徴とする。
また、本発明の電池用ケースは、上面の中央部に直方体状の凹部が複数個形成され、これらの凹部の内側面と底面との間にそれぞれ段差が形成されており、下面に第一の導体層および第二の導体層が互いに独立して設けられたセラミック基体と、前記各段差の上面に形成された第一のメタライズ層と、前記各凹部の底面に形成された第二のメタライズ層と、前記セラミック基体内に形成された複数の内部導体とを具備しており、複数の前記第一のメタライズ層は、前記内部導体を介して前記第一の導体層に直列接続または並列接続されており、複数の前記第二のメタライズ層は、他の前記内部導体を介して前記第二の導体層に直列接続または並列接続されていることを特徴とする。
本発明の電池用ケースにおいて、好ましくは、前記第一および第二の導体層は、それぞれ複数に分割されていることを特徴とする。
また、本発明の電池用ケースにおいて、好ましくは、前記セラミック基体は、平面視形状が八角形状であることを特徴とする。
また、本発明の電池用ケースにおいて、好ましくは、前記第一および第二のメタライズ層はアルミニウム層で覆われていることを特徴とする。
本発明の電池は、上記本発明の電池用ケースと、前記第二のメタライズ層にこれを覆って接続された正電極板と、該正電極板の上面に電解液を含浸した絶縁シートを介して密着されているとともに一端部が前記第一のメタライズ層にこれを覆って電気的に接続された負電極板と、前記セラミック基体の上面に前記凹部を覆って取着された蓋体とを具備していることを特徴とする。
また、本発明の電池は、上記構成において好ましくは、前記蓋体は、アルミニウムから成る板材または下面にアルミニウム層が形成された板材から成るとともに、下面の外周部に全周にわたって突条が形成されており、前記蓋体の下面の外周部が前記セラミック基体の上面の凹部の周囲に被着されたアルミニウム層に超音波接合法によって接合されていることを特徴とする。
本発明の電池用ケースは、上面の中央部に直方体状の凹部が形成され、この凹部の内側面と底面との間に段差が形成されており、下面に第一の導体層および第二の導体層が互いに独立して設けられたセラミック基体と、段差の上面に形成された第一のメタライズ層と、凹部の底面に形成された第二のメタライズ層と、第一のメタライズ層から第一の導体層にかけて、および第二のメタライズ層から第二の導体層にかけてそれぞれ形成された内部導体とを具備していることから、気密性に優れるとともに耐熱性に優れるセラミック基体によって電解液が収容されているため、温度サイクル試験に曝された場合でも隙間が生じて電解液が漏れることはなく、電解液を良好に収容することができる。また、気密性が維持されるので、電池性能を劣化させる水分や酸素等が外部から電解液中に浸入するのを有効に抑制することができる。
また、セラミック基体は耐薬品性に優れているため、有機溶剤や酸等を含む電解液に侵され難く、電解液中に電池用ケースから溶け出した不純物が混入して電解液を劣化させることもなく、電池性能を良好に維持することができる。
さらに、電池の正負の電極板にそれぞれ接続される第一および第二のメタライズ層に、それぞれ電気的に接続される第一および第二の導体層をともにセラミック基体の下側に設けることによって、外部接続端子部材等を用いることなく外部電気回路基板の表面の配線導体に表面実装によって容易に接続することが可能となり、外部電気回路基板の量産性に優れたものとなる。
本発明の電池用ケースは、上面の中央部に直方体状の凹部が複数個形成され、これらの凹部の内側面と底面との間にそれぞれ段差が形成されており、下面に第一の導体層および第二の導体層が互いに独立して設けられたセラミック基体と、各段差の上面に形成された第一のメタライズ層と、各凹部の底面に形成された第二のメタライズ層と、セラミック基体内に形成された複数の内部導体とを具備しており、複数の第一のメタライズ層は、内部導体を介して第一の導体層に直列接続または並列接続されており、複数の第二のメタライズ層は、他の内部導体を介して第二の導体層に直列接続または並列接続されていることから、従来、複数のコイン型電池を保持体で保持し、これらを互いに外部接続端子部材等を介して電気的に接続していたのに比して、1つのセラミック基体内に凹部と第一および第二のメタライズ層とから成る電池として機能する部位を複数形成することができるとともに、これらの部位が内部導体を介して互いに電気的に接続されているため、外部接続端子部材等を別途設ける必要がなく、また、電池用ケースを保持する保持体も必要がないことから大幅に見かけの体積を減少させることができる。
また、セラミック基体内に形成した内部導体により凹部と第一および第二のメタライズ層から成る電池として機能する部位をより近距離で接続することができるため、電池用ケースをより小型化することができる。
本発明の電池用ケースは、上記構成において好ましくは、第一および第二の導体層がそれぞれ複数に分割されていることから、第一および第二の導体層と外部電気回路基板との接触面積が小さくなり、電池用ケースを外部電気回路基板に半田付けする際に溶融した半田からの熱が第一および第二の導体層に伝達されるのを有効に抑制することができる。その結果、電池用ケースに熱応力が加わるのを有効に抑制し、電池用ケースの気密信頼性を大きく向上させることができる。
本発明の電池用ケースは、上記構成において好ましくは、セラミック基体は、平面視形状が八角形状であることから、セラミック基体の角部の角度をすべて鈍角にすることで角部の強度を高め、容易に角部に欠けが発生するのを有効に抑制することができ、その結果、欠けに起因して気密性が損なわれるなどの不具合を招来するのを有効に抑制することができる。
また、セラミック基体を周知のグリーンシート積層法を用いて多数個取りで量産するに際し、八角形のパターンの上下左右の対向する2組の辺で互いに接触するように上下左右にセラミック基体となるパターンをグリーンシート上に配置すると、これらパターンの上下左右の対向する各辺が格子状のライン上に位置するため、隣り合うパターン同士を切断するためのスナップライン(セラミック基体を個片に分割するためにグリーンシートの表面に形成される、いわゆるチョコレートのブレーク用につけられる溝と同様の溝)をグリーンシート上に縦方向および横方向に単純な直線で格子状に形成するだけでよく、これによって製造工程が簡略化されセラミック基体を量産性よく作製することができる。
本発明の電池用ケースは、上記構成において好ましくは、第一および第二のメタライズ層はアルミニウム層で覆われていることにより、第一および第二のメタライズ層の成分が電解液に溶出するのを抑制するので、電池を長期間にわたって安定して、かつ信頼性良く作動させることができる。
本発明の電池は、上記本発明の電池用ケースと、第二のメタライズ層にこれを覆って接続された正電極板と、この正電極板の上面に電解液を含浸した絶縁シートを介して密着されているとともに一端部が第一のメタライズ層にこれを覆って電気的に接続された負電極板と、セラミック基体の上面に凹部を覆って取着された蓋体とを具備していることにより、上記本発明の電池用ケースを用いた気密信頼性が高く、量産性に優れるものとなる。
また、本発明の電池は、上記構成において好ましくは、蓋体は、アルミニウムから成る板材または下面にアルミニウム層が形成された板材から成るとともに、下面の外周部に全周にわたって突条が形成されており、蓋体の下面の外周部が前記セラミック基体の上面の凹部の周囲に被着されたアルミニウム層に超音波接合法によって接合されているときには、蓋体の下面と凹部の周囲に被着された金属層とがアルミニウムから成る層によって覆われることとなり、よって電解液に対して大きな耐腐食性を有する電池となるとともに、溶接接合に比べて接合温度を低くでき、電池の電解液を変質させないので電池の寿命を大幅に長くすることを可能とする。
本発明の電池用ケースについて以下に詳細に説明する。図1において、(a)は本発明の電池用ケースの実施の形態の一例を示す断面図であり、(b)は電池用ケースを下方から見た斜視図である。また、図2は本発明の電池用ケースの実施の形態の他の例を下方から見た斜視図である。これらの図において、1はセラミック基体、1aは凹部、1bは第二のメタライズ層、1c−Aは段差、1c−Bは第一のメタライズ層、3は内部導体、2は蓋体、Bは電池用ケースである。さらに、図3は本発明の電池の実施の形態の一例を示す断面図であり、B−1は正電極板、B−2は負電極板、B−3は絶縁シート、B−4は電解液、2は蓋体、Eは電池である。
本発明の電池用ケースBは、セラミック基体1の上面の中央部に直方体状の凹部1aが形成され、この凹部1aの内側面と底面との間に段差1c−Aが形成されており、セラミック基体1の下面に第一の導体層Dおよび第二の導体層Cが互いに独立して設けられている。
また、段差1c−Aの上面には第一のメタライズ層1c−Bが形成されており、凹部1aの底面には第二のメタライズ層1bが形成されている。さらに、第一のメタライズ層1c−Bから第一の導体層Dにかけて、および第二のメタライズ層1bから第二の導体層Cにかけて内部導体3がそれぞれ形成されている。
このようなセラミック基体1は、アルミナ(Al2O3)質焼結体やムライト(3Al2O3・2SiO2)質焼結体,窒化アルミニウム(AlN)質焼結体,ガラスセラミックス等から成り、例えばセラミック基体1がアルミナ質焼結体から成る場合、以下のようにして作製される。すなわち、酸化アルミニウム(Al2O3),酸化珪素(SiO2),酸化マグネシウム(MgO),酸化カルシウム(CaO)等の原料粉末に適当な有機バインダ、溶剤等を添加混合してスラリーと成す。このスラリーをドクターブレード法やカレンダーロール法によってセラミックグリーンシート(以下、グリーンシートとも称す)と成し、所要の大きさに切断する。次に、その中から選ばれた複数のグリーンシートにおいて凹部1a、段差1c−A、内部導体3等を形成するために適当な打抜き加工を施す。
そして、これらのグリーンシートにタングステン(W)等の金属粉末を主成分とする金属ペーストを所定の部分に印刷塗布して第一および第二のメタライズ層1c−B,1b、内部導体3、第一および第二の導体層D,Cとなる金属ペースト層を形成し、次いでこれらの金属ペースト層を形成したグリーンシートを積層し、約1600℃の温度で焼成することによってセラミック基体1が作製される。
セラミック基体1によって作製された電池用ケースBは、セラミック基体1が有機溶剤や酸等を含む電解液B−4に侵され難く、電解液B−4中にセラミック基体1から溶け出した不純物が混入して電解液B−4を劣化させることがない。このため電池性能を良好に維持することができる電池用ケースBを得ることができる。また、セラミック基体1をAlN質焼結体から成るものとした場合には、作動時の熱を効率よく外部に放散させることができるので、電解液が熱によってほとんど変質することがない信頼性の高い電池用ケースBとすることができる。
なお、内部導体3は、図1では第一の導体層Dに対して垂直に連なる一本の層間接続導体(貫通導体)として示されているが、セラミック基体1の下面に形成された第一の導体層Dと平行な方向の内部配線層と垂直な層間接続導体とを複数組み合わせて形成されていてもよく、これによってセラミック基体1内に電気回路を引き回すことができるとともに、第一および第二の導体層D,Cをセラミック基体1の下面の所望の位置に形成することができる。
また、第一および第二のメタライズ層1c−B,1bから第一および第二の導体層D,Cにかけてそれぞれを内部導体3によって接続することにより、これらを最短距離で接続することができるので電池用ケースBをより小型化することができる。
また、このようにして作製されたセラミック基体1に形成されたこれらの第一および第二のメタライズ層1c−B,1b、第一および第二の導体層D,C、内部導体3の露出している表面には、耐食性に優れかつ半田との濡れ性に優れる金属、具体的には厚さ1〜12μmのニッケル(Ni)層および厚さ0.3〜5μmの金(Au)層をめっき法等により順次被着しておくのがよい。これにより、特に電池用ケースBの内部に形成された第一および第二のメタライズ層1c−B,1bの表面に被着されたAuめっき層は酸性の電解液B−4に侵され難い性質を有しているので、充放電による電圧で第一および第二のメタライズ層1c−B,1bの金属主成分であるW等が電解液B−4中に溶出するのを有効に抑制できる。また、第一および第二の導体層D,Cに被着されたNiおよびAuめっき層は半田との濡れ性を良くするので、外部電気回路基板(図示せず)上の配線導体との接合強度がより強固なものとなる。
Ni層の厚さが1μm未満であれば、メタライズから成る各導体の酸化腐蝕を防止したり各導体から金属成分が溶出したりするのを有効に抑制するのが困難になって電池性能が劣化し易く成る。また、Ni層の厚さが12μmを超えると、めっき形成に多大の時間がかかることになり量産性が低下し易くなるとともに電気抵抗が大きくなり易い。
また、Au層の厚さが0.3μm未満であれば、均一な厚さのAu層を形成するのが困難となり、Au層がきわめて薄い部位やあるいはAu層が形成されていない部位が生じ易く、酸化腐食の防止効果や半田との濡れ性が低下し易くなる。またAu層の厚さが5μmを超えると、めっき形成に多大の時間がかかることになり量産性が低下し易くなる。
また、これら第一および第二のメタライズ層1c−B,1bは、ニッケル層および金層に代えて、アルミニウム層で覆われていてもよい。アルミニウム層は、例えば四弗化硼酸リチウムなどのリチウム塩や塩酸、硫酸、硝酸等の酸をジメトキシエタンやプロピレンカーボネート等の有機溶媒に溶解したものから成る電解液から下層の第一および第二のメタライズ層1c−B,1bを保護し、これらが電解液によって腐食されるのを防止する作用をなす。
なお、アルミニウム層は第一および第二のメタライズ層1c−B,1bの表面にNi(ニッケル)めっき層(図示せず)およびAu(金)めっき層(図示せず)を施しこれらを介してその表面を覆うようにしてもよい。このように第一および第二のメタライズ層1c−B,1bがNiめっき層およびAuめっき層を介してアルミニウム層で覆われている場合は、アルミニウム層と耐腐食性の高いAuめっき層とで電解液に対して容易に腐食されない第一および第二のメタライズ層1c−B,1b部を形成することができる。
さらに、アルミニウム層は、第一のメタライズ層1c−Bの表面からその周囲の段差1c−Aの表面にかけて、および第二のメタライズ層1bの表面からその周囲の凹部1aの表面にかけて形成されていてもよい。このようにアルミニウム層が第一および第二のメタライズ層1c−B,1bの表面からそれらの周囲のセラミック基体1の表面にかけて形成された場合は、第一および第二のメタライズ層1c−B,1bの端部におけるアルミニウム層の形成を十分なものとでき、これら第一および第二のメタライズ層1c−B,1bの端部における腐食を有効に防止することができる。
アルミニウム層は、緻密な膜を形成することができるスパッタリング法により0.01〜5μmの厚さで被着しておくのが好ましい。厚さが0.01μm未満であれば下層の第一および第二のメタライズ層1c−A,1bを完全に覆うことが困難となり、第一および第二のメタライズ層1c−A,1bの成分が電解液中に溶出する恐れがある。また、5μmを超えると膜形成に時間がかかり過ぎ量産性が著しく低下する。
スパッタリング法は、減圧された空間内に設置されたターゲットとなるペレット状アルミニウムの表面にアルゴン(Ar)イオン等を衝突させることによってアルミニウム金属表面からアルミニウム原子を空間に放出させ、このアルミニウム原子が付近に設置された対象物の表面に付着する現象を用いる方法であり、緻密な層を形成できるという点でアルミニウム層を形成する方法として最適な方法の一つである。アルミニウム層を形成する方法としては、この他にも蒸着法、めっき法,溶着法によることもできる。
セラミック基体1の下面には、第一および第二の導体層D,Cが内部導体3を介して第一および第二のメタライズ層1c−B,1bとそれぞれ電気的に接続されて形成されている。これらの第一および第二の導体層D,Cが外部電気回路基板の表面の配線導体に半田を介して接合されることによって本発明の電池Eが外部の電気回路と接続される。
このように第一および第二の導体層D,Cが外部電気回路基板の表面の配線導体に半田を介して直接接合されるようにできることから、本発明の電池用ケースBによれば、外部接続端子部材等を用いることなく外部電気回路基板の表面の配線導体に表面実装によって容易に接続することが可能となり、外部電気回路基板の組立量産性に優れたものとなる。
また、本発明において、第一および第二の導体層D,Cは、それぞれ複数に分割されているのがよい。これにより、第一および第二の導体層D,Cと外部電気回路基板との接触面積が小さくなり、電池用ケースBを外部電気回路基板に半田付けする際に溶融した半田からの熱が、第一および第二の導体層D,Cに伝達されるのを有効に抑制することができる。その結果、電池用ケースBに熱応力が加わるのを有効に抑制し、電池用ケースBの気密信頼性を大きく向上させることができる。
また、第一および第二の導体層D,Cは、図1(b)に示すように、セラミック基体1の下面に設けられた突出部の下面に形成されているのがよい。これにより、外部電気回路基板が反っていたとしても外部電気回路基板表面の電極に、より確実に接続させることが可能となり接続信頼性が向上する。さらに突出部の側面が全周にわたって外気に触れているため冷却効果が大きくなり、電池用ケースBを外部電気回路基板に半田付けする際に溶融した半田からの熱が電池用ケースBに伝達され電池用ケースBに歪が生じるのを有効に抑制することができる。
このような突出部の下面に形成された第一および第二の導体層D,Cは、例えば、セラミック基体1の下面において、段差1c−Aの直下の部位に第一の突出部1cが、および段差1c−Aが形成された内側面に対向する内側面の直下の部位に第二の突出部1eが形成されている場合、第一の突出部1cの下面に第一の導体層Dが、および第二の突出部1eの下面に第二の導体層Cが形成される。
なお、このような突出部の下面に形成された第一および第二の導体層D,Cは、第一および第二の突出部1c,1eのそれぞれの下面全面に形成されていてもよいが、例えば図1(b)に示すように、第一および第二の突出部1c,1eのそれぞれの下面にそれぞれ複数設けられているのがよい。これにより、第一および第二の導体層D,Cとセラミック基体1との熱膨張率の差による熱応力を緩和することができ、セラミック基板1にクラック等の破損が生じるのを有効に抑制できる。なお、図1(b)は第一および第二の導体層D,Cがそれぞれ二分割されて複数設けられている例を示すが、二分割以上に分割されていてもよい。
また、第一および第二の突出部1c,1eは、それぞれ複数の小突出部から成っているのが好ましい。例えば、図2のように、第一および第二の突出部1c,1eがそれぞれ2個の小突出部から形成されている場合、一つの大きな第一および第二の突出部1c,1eが形成されているのに比べて、第一および第二の突出部1c,1eの外気に露出した側面の面積が大きくなって冷却効果が向上するため、電池用ケースBを外部電気回路基板に半田付けする際に溶融した半田からの熱が第一および第二の突出部1c,1eに伝達されるのを有効に抑制することができる。その結果、電池用ケースBに熱応力が加わるのを有効に抑制し、電池用ケースBの気密信頼性を大きく向上させることができる。
次に、第二の発明について詳細に説明する。図6は本発明の電池用ケースについて実施の形態の例を示す断面図である。図6において、1はセラミック基体、1aは凹部、1bは第二のメタライズ層、1c−Aは段差、1c−Bは第一のメタライズ層、2は蓋体、3は内部導体、Bは電池用ケース、Cは第二の導体層およびDは第一の導体層である。
本発明の電池用ケースBは、上面の中央部に直方体状の凹部1aが複数個形成され、これらの凹部1aの内側面と底面との間にそれぞれ段差1c−Aが形成されており、下面に第一の導体層Dおよび第二の導体層Cが互いに独立して設けられたセラミック基体1と、各段差1c−Aの上面に形成された第一のメタライズ層1c−Bと、各凹部1aの底面に形成された第二のメタライズ層1bと、セラミック基体1内に形成された複数の内部導体3とを具備しており、複数の第一のメタライズ層1c−Bは、内部導体3を介して第一の導体層Dに直列接続または並列接続されており、複数の第二のメタライズ層1bは、他の内部導体3を介して第二の導体層Cに直列接続または並列接続されている。なお、図6では、複数の第一のメタライズ層1c−Bおよび複数の第二のメタライズ層1bが、それぞれ第一の導体層Dおよび第二の導体層Cに並列接続されているものを示す。
これにより、従来、複数のコイン型電池を保持体で保持し、これらを互いに外部接続端子部材を介して電気的に接続していたのに比して、1つのセラミック基体1内に凹部1aと第一および第二のメタライズ層1c−B,1bとから成る電池として機能する部位を複数形成することができるとともに、これらの部位が内部導体3を介して互いに電気的に接続されているため、外部接続端子部材を別途設ける必要がなく、また、電池用ケースBを保持する保持体も必要がないことから大幅に見かけの体積を減少させることができる。
また、セラミック基体1内に形成した内部導体3により凹部1aと第一および第二のメタライズ層1c−B,1bから成る電池として機能する部位をより近距離で接続することができるため、電池用ケースBをより小型化することができる。
なお、内部導体3は、セラミック基体1内に形成された内部配線層3aと、内部配線層3a間、内部配線層3aおよび第二のメタライズ層1bの間、内部配線層3aおよび第一の導体層Dの間、内部配線層3aおよび第二の導体層Cの間を電気的に接続する層間接続導体3bとから成る。
このような内部配線層3aは、セラミック基体1となるグリーンシートにタングステン(W)等の金属粉末を主成分とする金属ペーストを印刷塗布した後、これらのグリーンシートを積層し、約1600℃の温度で焼成することによってセラミック基体1と同時に形成される。また、層間接続導体3bは、グリーンシートに打ち抜き加工やレーザ穿設加工により層間接続導体3bとなる貫通孔を形成し、この貫通孔にタングステン(W)等の金属粉末を主成分とする金属ペーストを充填後、約1600℃の温度で焼成することによってセラミック基体1と同時に形成される。
セラミック基体1に形成された各凹部1aは、第一および第二のメタライズ層1c−B,1bによって得られる電極とともに電池としての機能を有する部位となり、これらの部位が内部導体3により並列または直列に接続されることによって、長時間の放電を可能とする電池や大きな電圧が得られる電池を構成することができる。
次に、本発明の電池Eについて以下に詳細に説明する。
本発明の電池Eは、上記の電池用ケースBと、第二のメタライズ層1bにこれを覆って接続された正電極板B−1と、この正電極板B−1の上面に電解液B−4を含浸した絶縁シートB−3を介して密着されているとともに一端部が第一のメタライズ層1c−Bにこれを覆って電気的に接続された負電極板B−2と、セラミック基体1の上面に凹部の周囲を覆って取着された蓋体2とを具備している。
本発明の電池Eは、上記の電池用ケースBと、第二のメタライズ層1bにこれを覆って接続された正電極板B−1と、この正電極板B−1の上面に電解液B−4を含浸した絶縁シートB−3を介して密着されているとともに一端部が第一のメタライズ層1c−Bにこれを覆って電気的に接続された負電極板B−2と、セラミック基体1の上面に凹部の周囲を覆って取着された蓋体2とを具備している。
本発明の電池Eは、本発明の電池用ケースBを用いたことにより、かしめ部が不要となるために温度サイクルに曝された場合に、かしめ部に発生する隙間が解消されるので、気密の信頼性が高く、量産性に優れるものとなる。また、第一および第二のメタライズ層1c−B,1bは、それぞれの表面がNiめっき層やAuめっき層、アルミニウム層で覆われることによって、第一および第二のメタライズ層1c−B,1bが電解液の酸成分等によって腐食されるのを有効に抑えることができ、電解液中に溶出した第一および第二のメタライズ層1c−B,1bの成分が電池の充放電性能を劣化させることがない。
正電極板B−1は、LiCoO2やLiMn2O4等から成る正極活物質およびアセチレンブラックや黒鉛等の導電材を含む板状やシート状のものであり、また、負電極板B−2はコークスや炭素繊維等の炭素材料から成る負極活物質を含む板状やシート状のものである。
正電極板B−1は、上記正極活物質に上記導電材を加えたものにポリテトラフルオロエチレンやポリフッ化ビニリデンなどのバインダを添加、混合してスラリー状となし、これを周知のドクターブレード法を用いてシート状に成形し、次いでこのシートを例えば円形状や四角状に裁断して作製される。
同様にして負電極版B−2は、上記負極活物質にポリテトラフルオロエチレンやポリフッ化ビニリデンなどのバインダを添加、混合してスラリー状となし、これを周知のドクターブレード法を用いてシート状に成形し、次いでこのシートを例えば円形状や四角状に裁断して作製される。
また、絶縁シートB−3は、ポリオレフィン繊維製の不織布やポリオレフィン製の微多孔膜などからなり、電解液B−4が含浸されるとともに正電極板B−1と負電極板B−2との間に配置されることにより、正電極板B−1と負電極板B−2とが直接接触することを防止するとともに正電極板B−1と負電極板B−2との間の電解液B−4の移動を可能として電流が流れることを可能とする。
蓋体2は、アルミナ質焼結体等のセラミックス等から成り、蓋体2の下面のセラミック基体1と接合される部位にメタライズ層を形成しておき、また、セラミック基体1の上面の凹部1aの周囲にもメタライズ層を形成しておき、これらのメタライズ層同士を半田等のロウ材で接合することによってセラミック基体1の上面に蓋体2が凹部1aを覆って取着されて凹部1aを気密に保つ。
蓋体2は、また、アルミニウムから成る板材や、鉄(Fe)−ニッケル(Ni)−コバルト(Co)合金等の鉄系合金からなる板材の下面にアルミニウム層4が形成されたものであっても良い。このとき、図7および図7の部分拡大図に示すように、蓋体2の下面の外周部に全周にわたって突条2aが形成されるのが好ましい。この突条2aは、蓋体2がアルミニウムから成る板材であれば、蓋体2をプレス機で打ち抜く際に突条2aを同時に形成したり、打ち抜き後に所謂コイニング法(被加工物の側方を拘束して肉の逃げ場を限定するとともに凹凸部を型面に形成した金型と被加工材とを重ね合わせて上下から押圧することにより金型の凹凸模様を被加工材の表面に転写する方法)により形成したりすることにより設けられる。
また、蓋体2がFe−Ni−Co合金等の鉄系合金の下面にアルミニウム層4が形成された板材から成るのであれば、その下面側にアルミニウム板をクラッド接合し、その後、突条2aを上記コイニング法により形成することにより設けることができる。因みに、図7は鉄系合金から成る板材の下面にアルミニウム板がクラッド接合されてアルミニウム層4が形成されている場合の断面図を示す。蓋体2がアルミニウムから成る板材である場合は、蓋体2の下面は必然的にアルミニウム層4となり、これらは一体のものとして表される。なお、本図においては正負の電極板B−1,B−2および電解液B−4は省略している。
また、セラミック基体1の上面の凹部1aの周囲に蓋体2を接合するための接合用メタライズ層1fが、第一および第二のメタライズ層1c−B,1bと同様に金属ペーストを用いて予め形成され、その表面にNi層およびAu層が所定厚さに形成され、さらに、アルミニウム層がスパッタリング法等により0.01〜15μmの厚さで被着されて形成される。
そして、蓋体2のアルミニウム層4が下面となるように基体1の上面に載置し、蓋体2の上面から数十KHz程度の超音波を加えることにより、蓋体2の下面の外周部の突条2aがセラミック基体1の上面の凹部1aの周囲に被着されたアルミニウム層の表面の凹凸に沿って潰れながらメタライズ層1fのアルミニウム層に接合される。このとき、セラミック基体1の上面が反っていたり、うねっていたりする場合においても突条2aの潰れの大きさが異なることにより接合される。そして、この接合方法によれば電池Eの凹部1a内の気密性を損なうことなく、蓋体2を強固に取着することを可能とする。
超音波接合法は、より詳細には例えば次の様にして実施される。すなわち、接合対象物であるセラミック基体1と蓋体2とを先端の下部に振動の媒体となるチップを有するホーン(角状固定台)とアンビル(金敷き)との間にセットし、チップを介して例えば30〜50N程度の圧力を垂直に加えながら15〜30kHzの水平方向の超音波振動を蓋体2の外周に沿って連続的に移動させながら加えることにより行われる。また、チップの形状をライン状として垂直方向の圧力を大きくすることにより、一定長さの接合を短時間で行なう方法であってもよい。
超音波接合法では、超音波振動が印加される初期段階において接合部表面の酸化被膜や汚れが接合部の外側方向に押し出されるとともに、蓋体2およびセラミック基体1のアルミニウム結晶粒同士が原子間距離になるまで接近することによって原子間に相互引力が作用して強固な接合を得る。このとき、通常の金属を溶融接合する方法における金属の融点の1/3以下の温度が局部的に発生するが、この程度の熱であれば電解液B−4がほとんど変質することがなく、よって電池の寿命を長くすることができる。
さらに、超音波接合法によれば、アルミニウム中に他の金属がほとんど拡散することがなく、よって電解液B−4に対してさらに耐腐食性のある接合部を形成することができる。
また、本発明においてセラミック基体1の側面や底面、あるいは蓋体2に、貫通孔1dを形成しておくとよい。これにより、電解液B−4を電池用ケースB内に注入する際、貫通孔1dから電解液B−4を注入することが容易となる。また、貫通孔1dより電解液B−4を注入することにより電解液B−4の注入スピードや注入量の調整が容易となり、電池用ケースB内部に大きな気泡を発生させることはない。これによって内部に気泡が残留して、その気泡が熱膨張することによって電池用ケースBに大きな応力が加わることを抑制できるので、電池用ケースBにクラックが発生することを有効に防止できる。
電解液B−4は、水分を含まない例えばアルゴン(Ar)ガスを充填した容器内でシリンジなどの注入手段を用いて貫通孔1dから電池Eの内部に注入される。そして、注入後に例えばポリプロピレン樹脂などの電解液B−4に対して侵され難い樹脂を封止材として貫通孔1dに充填することにより電池Eの内部を気密に封止することができる。
電解液B−4を注入するに際しては、貫通孔1dが設けられた面を上にすると、電池用ケースBの内部に気泡が取り残されることがなく、また歩留り良く生産することができる。
電解液B−4は、例えば、四フッ化ホウ酸リチウム等のリチウム塩や塩酸,硫酸,硝酸等の酸をジメトキシエタンやプロピレンカーボネート等の有機溶媒に溶解したものである。
このような電解液B−4は、腐食性や溶解性の高いものであるが、本発明の電池用ケースBによれば、セラミック基体1は耐薬品性に優れているため、有機溶剤や酸等を含む電解液B−4に侵され難く、電解液B−4中に電池用ケースBから溶け出した不純物が混入して電解液B−4を劣化させることもなく、電池性能を良好に維持することができる。
また、従来の電池Aは図4に示すように正極缶11と負極缶12との周囲をポリプロピレン樹脂等から成るガスケット15を介してかしめることによって一体化しており、このかしめた部位があるために従来の電池Aでは正極缶11と負極缶12とセパレータ14とを合わせたかしめ部に2mm前後の寸法が必要であったのに対して、本発明によれば、かしめ部がないために電池Eの外形を小さくすることができ、携帯機器の小型化に大きく寄与できるものとなる。
また、図5に電池用ケースBの平面図で示すように、セラミック基体1は、好ましくは、平面視形状が八角形状であるのがよい。これにより、セラミック基体1の角部の角度をすべて鈍角にすることで角部の強度を高め、容易に角部に欠けが発生するのを有効に抑制することができ、その結果、欠けに起因して気密性が損なわれるなどの不具合を招来し難いものとすることができる。
また、セラミック基体1を周知のグリーンシート積層法を用いて多数個取りで量産するに際し、八角形のパターンの上下左右の対向する2組の辺で互いに接触するように上下左右にセラミック基体1となるパターンをグリーンシート上に配置すると、これらパターンの上下左右の対向する各辺が格子状のライン上に位置するため、隣り合うパターン同士を切断するためのスナップライン(グリーンシートの表面に形成したセラミック基体1の個片のパターンに分割するための、いわゆるチョコレートのブレーク用につけられる溝と同様の溝)をグリーンシート上に縦方向および横方向に単純な直線で格子状に形成するだけでよく、これによって製造工程が簡略化されセラミック基体1を量産性よく作製することができる。
なお、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内であれば種々の変更は可能である。例えば、複数の凹部1aを有する本発明の電池用ケースBを用いた場合、蓋体2は各凹部1aをすべて覆うように取着される1枚の蓋体2とするか、またはそれぞれの凹部1aを覆うように複数の蓋体2が取着されるようにすればよい。
1:セラミック基体
1a:凹部
1b:第二のメタライズ層
1c−A:段差
1c−B:第一のメタライズ層
2:蓋体
2a:突条
3:内部導体
4:アルミニウム層
B:電池用ケース
B−1:正電極板
B−2:負電極板
B−3:絶縁シート
B−4:電解液
C:第二の導体層
D:第一の導体層
E:電池
1a:凹部
1b:第二のメタライズ層
1c−A:段差
1c−B:第一のメタライズ層
2:蓋体
2a:突条
3:内部導体
4:アルミニウム層
B:電池用ケース
B−1:正電極板
B−2:負電極板
B−3:絶縁シート
B−4:電解液
C:第二の導体層
D:第一の導体層
E:電池
Claims (7)
- 上面の中央部に直方体状の凹部が形成され、該凹部の内側面と底面との間に段差が形成されており、下面に第一の導体層および第二の導体層が互いに独立して設けられたセラミック基体と、前記段差の上面に形成された第一のメタライズ層と、前記凹部の底面に形成された第二のメタライズ層と、前記第一のメタライズ層から前記第一の導体層にかけて、および前記第二のメタライズ層から前記第二の導体層にかけてそれぞれ形成された内部導体とを具備していることを特徴とする電池用ケース。
- 上面の中央部に直方体状の凹部が複数個形成され、これらの凹部の内側面と底面との間にそれぞれ段差が形成されており、下面に第一の導体層および第二の導体層が互いに独立して設けられたセラミック基体と、前記各段差の上面に形成された第一のメタライズ層と、前記各凹部の底面に形成された第二のメタライズ層と、前記セラミック基体内に形成された複数の内部導体とを具備しており、複数の前記第一のメタライズ層は、前記内部導体を介して前記第一の導体層に直列接続または並列接続されており、複数の前記第二のメタライズ層は、他の前記内部導体を介して前記第二の導体層に直列接続または並列接続されていることを特徴とする電池用ケース。
- 前記第一および第二の導体層は、それぞれ複数に分割されていることを特徴とする請求項1または請求項2記載の電池用ケース。
- 前記セラミック基体は、平面視形状が八角形状であることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の電池用ケース。
- 前記第一および第二のメタライズ層はアルミニウム層で覆われていることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の電池用ケース。
- 請求項1乃至請求項5のいずれかに記載の電池用ケースと、前記第二のメタライズ層にこれを覆って接続された正電極板と、該正電極板の上面に電解液を含浸した絶縁シートを介して密着されているとともに一端部が前記第一のメタライズ層にこれを覆って電気的に接続された負電極板と、前記セラミック基体の上面に前記凹部を覆って取着された蓋体とを具備していることを特徴とする電池。
- 前記蓋体は、アルミニウムから成る板材または下面にアルミニウム層が形成された板材から成るとともに、下面の外周部に全周にわたって突条が形成されており、前記蓋体の下面の外周部が前記セラミック基体の上面の凹部の周囲に被着されたアルミニウム層に超音波接合法によって接合されていることを特徴とする請求項6記載の電池。
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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WO2011058834A1 (ja) * | 2009-11-11 | 2011-05-19 | 株式会社村田製作所 | 電子部品および素子用パッケージ並びにこれらの製造方法 |
CN102487133A (zh) * | 2010-12-03 | 2012-06-06 | 太阳诱电株式会社 | 电化学器件 |
JP2014135500A (ja) * | 2014-03-03 | 2014-07-24 | Taiyo Yuden Co Ltd | 電気化学デバイス |
-
2004
- 2004-02-19 JP JP2004043126A patent/JP2005123154A/ja active Pending
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