JP2005121443A - プラスチックの表面処理方法、プラスチック基板およびプラスチック製バイオチップ - Google Patents

プラスチックの表面処理方法、プラスチック基板およびプラスチック製バイオチップ Download PDF

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Abstract

【課題】プラスチックの表面処理方法、および、蛍光発生量が低く抑えられたプラスチック基板、特にバイオチップ用プラスチック基板を提供すること。
【解決手段】プラスチック表面を酸化処理する工程、及び酸化処理によって生成した含酸素官能基を還元処理する工程を有し、プラスチック表面に第1の官能基を導入することを特徴とするプラスチックの表面処理方法であり、還元処理する工程後、更にプラスチック表面に導入された第1の官能基を介して第2の官能基を導入する工程を有するプラスチックの表面処理方法であり、第2の官能基を導入した後、更に該第2の官能基を介して第3の官能基を導入する工程を有するプラスチックの表面処理方法。

Description

本発明は、プラスチックの表面処理、特に、バイオチップ用プラスチック基板の表面処理に関する。
近年、創薬研究や臨床検査のハイスループット化を達成するための手段として、生理活性物質を固相基板に固定化したデバイスであるバイオチップが着目されている。固定化される生理活性物質としては、核酸、タンパク質、抗体、糖鎖、糖タンパクなどが代表的なものであり、特に、核酸を固定化したバイオチップである核酸マイクロアレイは、すでに多種の製品が上市されている(非特許文献1)。また、特定のタンパク質を検出するために、タンパク質に対する抗体を固定化したバイオチップも広く注目されている。
バイオチップ上のシグナル検出には、蛍光ラベル法を利用することが多い。たとえば核酸マイクロアレイの場合、検体の核酸を予め蛍光ラベルしておき、マイクロアレイ上に固定化された核酸とのハイブリダイゼーション量を蛍光スキャナーで読み取る。蛍光シグナル検出において、基板に由来する蛍光(バックグラウンド)が高いと、S/N比の低下により検出精度が低下する。ゆえに、バイオチップ基板の材料には低蛍光性のものを使用することが多い。また、基板表面には核酸を効率良く固定化するための化学的修飾が施されることが通常であり、アルデヒド基やアミノ基を導入したものが多用されている。これらの官能基導入に由来する蛍光を低減することは、バイオチップを用いたアッセイの精度向上の観点から重要となってくる。
バイオチップ基板の素材は、ガラスやプラスチックが用いられている。ガラスやプラスチックなどの表面修飾の手法として、シランカップリング剤による表面コーティングがある。この方法では、比較的簡便な工程で表面に官能基を導入することが可能であることから多用されている。例えばシランカップリング剤としてアミノアルキルシランを用いた場合、浸漬処理工程と加熱処理工程のみで表面にアミノ基を導入することが可能である。さらに、上記の方法で導入されたアミノ基に多官能性のアルデヒドを作用させることにより、基板表面にアルデヒド基を導入することができる。
通常、プラスチックの表面は不活性であり、そのままではシランカップリング剤との反応性が低く、十分に表面処理を行うことができない。そのため、プラスチック表面を酸化処理により活性化することが多い。すなわち、酸化処理により、水酸基、カルボニル基などの極性の強い含酸素官能基を導入することにより、表面を活性化したのちに、シランカップリング剤を接触させる。しかしながら、このような方法で表面処理を施したプラスチック表面は、比較的強い蛍光を発することから、バイオチップとしての検出精度を低下させる原因となっていた。
「細胞工学別冊 DNAマイクロアレイと最新PCR法」秀潤社、2000年
本発明は、プラスチックの表面処理方法、および、蛍光発生量が低く抑えられたプラスチック基板、特にバイオチップ用プラスチック基板を提供することを目的とする。
本発明は、
(1)プラスチック表面を酸化処理する工程、及び酸化処理によって生成した含酸素官能基を還元処理する工程を有し、プラスチック表面に第1の官能基を導入することを特徴とするプラスチックの表面処理方法、
(2)還元される含酸素官能基が、カルボニル基を含むものである(1)記載のプラスチックの表面処理方法、
(3)カルボニル基がアルデヒド基及び/又はケトン基を含むものである(2)記載のプラスチックの表面処理方法、
(4)酸化処理が、プラズマ処理、コロナ放電処理、フレーム処理、及び紫外線照射処理から選ばれる少なくとも1つの処理を含むものである(1)〜(3)いずれか記載のプラスチックの表面処理方法、
(5)酸化処理が、酸素雰囲気下でのプラズマ処理を含むものであるである(1)〜(3)いずれか記載のプラスチックの表面処理方法、
(6)還元処理する工程が、金属水素化物を含む溶液へ浸漬する工程を有するものである(1)〜(5)いずれか記載のプラスチックの表面処理方法、
(7)金属水素化物が水素化ホウ素ナトリウム及び/又は水素化アルミニウムリチウムを含むものである(6)記載のプラスチックの表面処理方法、
(8)還元処理する工程後、更にプラスチック表面に導入された第1の官能基を介して第2の官能基を導入する工程を有する(1)〜(7)いずれか記載のプラスチックの表面処理方法、
(9)第2の官能基の導入が、アルキルシラン化合物とプラスチック表面との結合によってなる(8)記載のプラスチックの表面処理方法、
(10)アルキルシラン化合物が、アミノ基を有するアミノアルキルシランを含み、第2の官能基がアミノ基である(9)記載のプラスチックの表面処理方法、
(11)アミノアルキルシラン化合物が、3−アミノプロピルトリメトキシシランを含むものである(10)記載のプラスチックの表面処理方法、
(12)(8)〜(11)いずれか記載のプラスチックの表面処理方法によってプラスチック基板表面に第2の官能基が導入されたプラスチック基板、
(13)第2の官能基を導入した後、更に該第2の官能基を介して第3の官能基を導入する工程を有する(8)〜(11)いずれか記載のプラスチックの表面処理方法、
(14)アミノ基を導入した後、更に該アミノ基を介して第3の官能基を導入する工程を有する(10)又は(11)記載のプラスチックの表面処理方法、
(15)第3の官能基を導入する工程が多官能性アルデヒドと反応させることにより、アミノ基を介してアルデヒド基を導入する工程を有する(14)記載のプラスチックの表面処理方法、
(16)多官能性アルデヒドがグルタルアルデヒドである(15)記載のプラスチックの表面処理方法、
(17)(13)〜(16)いずれか記載のプラスチックの表面処理方法によってプラスチック基板表面に第3の官能基を導入されたプラスチック基板、
(18)(12)記載のプラスチック基板の表面に、更に第2の官能基を介して生理活性物質が固定化されているプラスチック製バイオチップ、
(19)(17)記載のプラスチック基板の表面に、更に第3の官能基を介して生理活性物質が固定化されているプラスチック製バイオチップ、
(20)生理活性物質が,他の物質を特異的に捕捉する性質を有する(18)又は(19)記載のプラスチック製バイオチップ、
(21)生理活性物質が、核酸、タンパク質、抗体、糖鎖、糖タンパク、及びペプチド核酸から選ばれる少なくとも1つである(20)記載のプラスチック製バイオチップ、
(22)生理活性物質が蛍光によるシグナルによって検出されるものである(18)〜(21)いずれか記載のプラスチック製バイオチップ、
である。
本発明の方法にしたがうと、蛍光発生量の少ないプラスチック基板を作製することができる。このようなプラスチック基板は、蛍光によってシグナルを検出するバイオチップの基板として有用である。
バイオチップ用のプラスチック基板を作製する場合に求められる特性は、以下の2つである。すなわち、(1)表面に生理活性物質(核酸、タンパク質、抗体、糖鎖など)を固定化するための官能基が導入されていること、および、(2)基板自体がシグナル検出の際のノイズ(バックグラウンド)にならないことである。バイオチップのシグナル検出には蛍光が用いられることが多いため、プラスチック基板表面の蛍光発生量が低いことが求められる。
一般的にプラスチックの表面は不活性であるため、そのままの状態でアルキルシランなどの表面処理剤を結合することは難しい。そのため、前処理として酸化処理を施すことが普通である。本発明のプラスチックの表面処理は、酸化処理によって生成した含酸素官能基を還元することにより、表面の官能基に占める水酸基の割合を増加させることを特徴とする。酸化処理によって含酸素官能基を導入することにより、プラスチック表面の反応性が向上し、表面処理剤との親和性が高くなる効果がある。酸化処理によってアルデヒド基などの活性な官能基が導入されると、酸化処理の後に行う表面処理に支障をきたす場合がある。たとえば、表面処理剤としてアミノ基をもつアルキルシランを用いる場合を考える。酸化処理によってアルデヒド基が導入されていると、アルキルシランのアミノ基との間にシッフ塩基を形成してしまう。本発明者は、表面にシッフ塩基が存在すると、プラスチック表面の蛍光発生量が増大することを見出している。そこで、蛍光発生量を低減するためには、酸化処理によって生成したカルボニルおよびその他の化学的に活性な官能基をあらかじめより不活性な官能基に変換しておくことが有効となる。
本発明のプラスチックの表面処理方法は、3つの工程を主とする。すなわち、(1)酸化処理による含酸素官能基の導入工程、(2)活性な官能基のより不活性な官能基への変換工程、(3)表面処理剤による第2の官能基の導入工程である。以下にそれぞれの工程について詳述する。
(酸化処理)
本発明において酸化処理とは、プラスチック表面の少なくとも一部に含酸素官能基を導入する処理をいう。酸化処理として好適に用いられる手段は、プラズマ処理、コロナ放電処理、フレーム処理、紫外線照射処理などであり、好ましくはプラズマ処理およびコロナ放電処理であり、より好ましくはプラズマ処理であり、最も好ましくは酸素雰囲気下でのプラズマ処理である。含酸素官能基とは、カルボニル基(アルデヒド基、ケトン基などを含む)、カルボキシル基、水酸基、エーテル基、エステル基、パーオキサイド基、エポキシ基などに代表される、極性をもった官能基群であるがこれらに限定されない。酸化処理によって含酸素官能基を導入することにより、プラスチック表面の反応性が向上し、表面処理剤との親和性が高くなる効果がある。
(還元処理)
活性な官能基のより不活性な官能基への変換工程は、還元反応を主な機構とすることが好ましい。該工程はプラスチック表面に還元剤を作用させる操作であることが好ましく、具体的には、たとえば還元剤溶液へのプラスチック基板の浸漬操作である。還元剤としては金属水素化物が好ましく、水素化ホウ素ナトリウム、シアノトリヒドロホウ酸ナトリウム、水素化アルミニウムリチウムなどを用いることができるが、取り扱いの安全性の観点から水素化ホウ素ナトリウムが好ましい。還元剤溶液は水、緩衝液、その他の溶媒に還元剤を溶解した溶液であり、最も好ましい溶媒はエタノールを含むpH6〜8の緩衝液である。緩衝液には好ましくは5〜50体積%、より好ましくは10〜30体積%のエタノールを添加することが好ましい。エタノールの添加により、還元剤を緩衝液に溶解する際の気泡の発生を抑えることができ、より均一な還元処理が可能となる。還元剤溶液中の還元剤濃度は、好ましくは0.001〜10重量%、より好ましくは0.01〜1重量%、さらに好ましくは0.1〜0.5重量%であり、最も好ましくは0.25重量%である。上記の還元剤処理により、たとえばアルデヒド基はより不活性な官能基であるアルコール基(水酸基)に変換される。
(表面処理剤の反応)
酸化処理および還元処理を経たプラスチック基板の表面には、水酸基を主とする第1の官能基が導入されている。これに表面処理剤を反応させることにより、種々の第2の官能基を導入することが可能である。表面処理剤として好適に用いられるのはアルキルシランである。アルキルシランによって導入可能な官能基は多岐にわたるが、バイオチップ基板として有用なものにはアミノ基、カルボキシル基、エポキシ基、水酸基、酸無水物、チオール基などが挙げられる。なかでもアミノ基(1級アミノ基等)を有するアミノアルキルシランは特に有用である。1級アミノ基を有するアミノアルキルシランとしては、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルトリエトキシシランなど、一般的なものを用いることができるが、3−アミノプロピルトリメトキシシランが最も好ましい。1級アミノ基を含まないアミノアルキルシランとしては、たとえば N、N'−ビス[3−(トリメトキシシリル)プロピル]エチレンジアミンなどを好適に用いることができる。
プラスチック基板へのアルキルシランの反応は、基板をアルキルシラン溶液に浸漬する方法が好適である。溶媒としては水、緩衝液、アルコールなどを好適に用いることができ、水またはアルコールがより好ましい。アルキルシランの濃度は0.1〜10重量%が好ましく、0.5〜5重量%がより好ましく、1〜3重量%がさらに好ましく、2重量%が最も好ましい。アルキルシラン溶液への浸漬に引き続き、洗浄および乾燥を行うことが好ましい。乾燥は20℃〜100℃にて真空乾燥する方法が最も好ましい。その他、アルキルシランの基板表面への反応には、アルキルシラン溶液の基板表面への吹き付け、アルキルシラン蒸気への基板表面の暴露などの方法を適宜利用することができる。
上述の還元処理がなされていない場合、プラスチック表面にはアルデヒド基などの活性なカルボニル基が存在する。ここにアミノアルキルシランを反応させると、アルデヒド基とアミノ基との間にシッフ塩基が形成される。シッフ塩基は蛍光を発しやすいため、基板の蛍光発生量(バックグラウンド)が上昇してしまう。一方、本発明に基づいて還元処理を施しておくと、プラスチック表面には活性なカルボニル基が実質的に存在しないため、シッフ塩基は形成されず、蛍光発生量も増大しない。
(第2の表面処理剤の反応)
上述の手段によりアミノ基等を導入したプラスチック表面に、アミノ基等との反応性を有する物質を反応させることにより、第3の官能基を導入することができる。第3の官能基としては、アルデヒド基、カルボキシル基、エポキシ基、水酸基、酸無水物、チオール基などが挙げられるが、これらに限定されない。なかでも特に有用な官能基として、アルデヒド基を挙げることができる。アルデヒド基を導入するには、たとえば分子内に2個以上のアルデヒド基をもつ化合物(多官能性アルデヒド)を作用させることで達成される。すなわち、プラスチック表面に導入されているアミノ基と、多官能性アルデヒド分子内の少なくとも1つのアルデヒド基を反応させることで、表面にアルデヒド基を導入することができる。多官能性アルデヒドとしては、たとえばグルタルアルデヒドを好適に用いることができる。グルタルアルデヒドの基板表面への反応は、たとえばグルタルアルデヒド溶液に基板を浸漬することで達成される。その際のグルタルアルデヒドの濃度は、好ましくは0.1〜20重量%、より好ましくは0.1〜5重量%、さらに好ましくは0.5〜5重量%、最も好ましくは0.5〜2重量%である。溶媒としては水、緩衝液、その他の有機溶媒を用いることができるが、緩衝液が特に好ましい。緩衝液のpHは、6〜14が好ましく、6〜12がさらに好ましく、6〜11が最も好ましい。浸漬時のグルタルアルデヒド溶液の温度、浸漬時間を変化させることにより、グルタルアルデヒドの導入量を変化させることが可能である。
(基板の素材)
バイオチップ用基板の素材としては、ガラス、プラスチック、金属その他が一般的に用いられている。表面処理の容易性、量産性の観点から、プラスチックが特に好ましく、なかでも熱可塑性樹脂が好ましい。熱可塑性樹脂としては、蛍光発生量の少ないものが好ましく、たとえばポリエチレン、ポリプロピレン等の直鎖状ポリオレフィン、環状ポリオレフィン、含フッ素樹脂等を用いることが好ましく、耐熱性、耐薬品性、低蛍光性、成形性に特に優れる飽和環状ポリオレフィンを用いることがより好ましい。ここで飽和環状ポリオレフィンとは、環状オレフィン構造を有する重合体単独または環状オレフィンとα−オレフィンとの共重合体を水素添加した飽和重合体をさす。
(バイオチップ)
上述の手段で表面に第2又は第3の官能基を導入したプラスチック基板上に、第2又は第3の官能基を介して生理活性物質を固定化することができる。生理活性物質としては、核酸、タンパク質、抗体、糖鎖、糖タンパク、およびこれらの類似物を用いることができるが、これらに限定されない。生理活性物質の固定化は、プラスチック基板表面の第2又は第3の官能基と、生理活性物質に含まれる官能基と間の化学結合によることが好ましいが、静電的結合や物理的吸着、水素結合などによるものであってもよい。固定化される生理活性物質は、本来の生理活性を実質的に保っていることが好ましい。ここで本来の生理活性とは、たとえば核酸の場合はハイブリダイゼーション現象、抗体の場合は抗原認識能といったものである。基板上に固定化された生理活性物質と、別途調製した生理活性物質(検体)を反応させ、その反応を定量化することにより検体の情報を得ることができる。定量化の手段として一般的に用いられている方法は、検体を蛍光標識しておき、その蛍光量を読み取る方法である。本発明のプラスチック基板は蛍光発生量が低く抑えられているため、定量に蛍光標識を利用するバイオチップの基板として好適に用いることができる。また、蛍光標識を用いないバイオチップの基板としても当然用いることができる。
実施例1
(酸化処理,還元処理)
飽和環状ポリオレフィン樹脂を射出成形法で成形し,厚さ1mmの平板状の基板を作製した。酸素雰囲気下のプラズマ処理によって基板表面に酸化処理を施した。プラズマ処理直後の基板を還元剤溶液に15分間浸漬した。ここで還元剤溶液は,0.25重量%の水素化ホウ素ナトリウムを,リン酸緩衝溶液(pH7.4)/エタノール混合溶媒(体積比4:1)に溶解した溶液であった。浸漬後,基板を純水で洗浄し,乾燥した。
(アミノ基の導入)
3−アミノプロピルトリメトキシシランを2重量%の濃度で純水に溶解した。この溶液に上述の基板を浸漬した。浸漬は25℃で1時間行った。浸漬後,基板を純水で洗浄し,乾燥した。これを45℃に保った真空乾燥機を用いて真空乾燥した。
(基板の蛍光量の測定)
アミノ基導入後の基板表面の蛍光発生量を,マイクロアレイ用スキャナー(ScanArrayLITE, Packard BioChip Technologies社製)を用いて測定した。測定条件は,レーザー出力90%,PMT感度70%,スキャン解像度30μm,測定波長はCy3およびCy5チャンネルであった。結果を表1に示す。
(DNA固定化/ハイブリダイゼーション性能の評価)
PCR法で合成したDNA(β−アクチン部位,約600bp)を2×SSC(クエン酸緩衝液)に溶解した。この溶液を,アミノ基を導入した基板の表面に点着し,80℃のオーブン内で1時間静置した。基板表面を洗浄した後,0.1重量%のBSA(ウシ血清アルブミン)を含む緩衝液に1時間浸漬することで,残存するアミノ基をブロッキングした。PCR法で合成した蛍光標識化DNA(β−アクチン部位,約600bp,Cy5標識)を,0.5重量%のラウリル硫酸ナトリウムを含む5×SSCに溶解した。この溶液を,ブロッキング後の基板表面に滴下し,カバーグラスを被せた後に50℃のインキュベーター内で18時間反応させた。反応終了後,基板表面を洗浄し,乾燥した。基板表面に固定したDNAと蛍光標識化DNAとの結合量を,マイクロアレイ用スキャナーを用いて定量化した。測定条件は,レーザー出力90%,PMT感度45%,スキャン解像度30μm,測定波長はCy5チャンネルであった。結果を表1に示す。
比較例1
(酸化処理)
実施例1と同様の方法で基板を成形し,表面を酸化処理した。酸化処理後に還元処理は行わなかった。
(アミノ基の導入)
実施例1と同様の方法で基板表面にアミノ基を導入した。
(基板の蛍光量の測定)
実施例1と同様の方法で基板表面の蛍光発生量を測定した。結果を表1に示す。
(DNA固定化/ハイブリダイゼーション性能の評価)
実施例1と同様の方法でDNAの固定化を行い,蛍光標識化DNAの結合量を測定した。結果を表1に示す。
実施例と比較例の結果を比べると,実施例では基板表面からの蛍光発生量が低くなっていることがわかる。また,DNAの固定化・ハイブリダイゼーションの評価では実施例,比較例で有意な差はなかった。さらに,信号対雑音比(S/N比)を求めたところ,比較例の15に比べ,実施例では45と,大幅な向上が認められた。以上の結果より,本発明の表面処理方法がバイオチップ基板作製のための処理方法として優れていることが示された。
Figure 2005121443
本発明によると,蛍光発生量が低減されたプラスチック製バイオチップ基板を作製することが可能となる。基板の蛍光発生量の低減化は,バイオチップ表面のシグナルを蛍光量として読み取る際のノイズ(バックグラウンド)の低減につながり,結果としてバイオチップの信号対雑音比が向上する。本発明のプラスチックの表面処理方法およびプラスチック基板は,たとえばDNAマイクロアレイ(DNAチップ),プロテインアレイ,抗体アレイ,糖鎖アレイなどのバイオチップの作製の際に有効に利用できる。

Claims (22)

  1. プラスチック表面を酸化処理する工程、及び酸化処理によって生成した含酸素官能基を還元処理する工程を有し、プラスチック表面に第1の官能基を導入することを特徴とするプラスチックの表面処理方法。
  2. 還元される含酸素官能基が、カルボニル基を含むものである請求項1記載のプラスチックの表面処理方法。
  3. カルボニル基がアルデヒド基及び/又はケトン基を含むものである請求項2記載のプラスチックの表面処理方法。
  4. 酸化処理が、プラズマ処理、コロナ放電処理、フレーム処理、及び紫外線照射処理から選ばれる少なくとも1つの処理を含むものである請求項1〜3いずれか記載のプラスチックの表面処理方法。
  5. 酸化処理が、酸素雰囲気下でのプラズマ処理を含むものであるである請求項1〜3いずれか記載のプラスチックの表面処理方法。
  6. 還元処理する工程が、金属水素化物を含む溶液へ浸漬する工程を有するものである請求項1〜5いずれか記載のプラスチックの表面処理方法。
  7. 金属水素化物が水素化ホウ素ナトリウム及び/又は水素化アルミニウムリチウムを含むものである請求項6記載のプラスチックの表面処理方法。
  8. 還元処理する工程後、更にプラスチック表面に導入された第1の官能基を介して第2の官能基を導入する工程を有する請求項1〜7いずれか記載のプラスチックの表面処理方法。
  9. 第2の官能基の導入が、アルキルシラン化合物とプラスチック表面との結合によってなる請求項8記載のプラスチックの表面処理方法。
  10. アルキルシラン化合物が、アミノ基を有するアミノアルキルシランを含み、第2の官能基がアミノ基である請求項9記載のプラスチックの表面処理方法。
  11. アミノアルキルシラン化合物が、3−アミノプロピルトリメトキシシランを含むものである請求項10記載のプラスチックの表面処理方法。
  12. 請求項8〜11いずれか記載のプラスチックの表面処理方法によってプラスチック基板表面に第2の官能基が導入されたプラスチック基板。
  13. 第2の官能基を導入した後、更に該第2の官能基を介して第3の官能基を導入する工程を有する請求項8〜11いずれか記載のプラスチックの表面処理方法。
  14. アミノ基を導入した後、更に該アミノ基を介して第3の官能基を導入する工程を有する請求項10又は11記載のプラスチックの表面処理方法。
  15. 第3の官能基を導入する工程が多官能性アルデヒドと反応させることにより、アミノ基を介してアルデヒド基を導入する工程を有する請求項14記載のプラスチックの表面処理方法。
  16. 多官能性アルデヒドがグルタルアルデヒドである請求項15記載のプラスチックの表面処理方法。
  17. 請求項13〜16いずれか記載のプラスチックの表面処理方法によってプラスチック基板表面に第3の官能基を導入されたプラスチック基板。
  18. 請求項12記載のプラスチック基板の表面に、更に第2の官能基を介して生理活性物質が固定化されているプラスチック製バイオチップ。
  19. 請求項17記載のプラスチック基板の表面に、更に第3の官能基を介して生理活性物質が固定化されているプラスチック製バイオチップ。
  20. 生理活性物質が,他の物質を特異的に捕捉する性質を有する請求項18又は19記載のプラスチック製バイオチップ。
  21. 生理活性物質が、核酸、タンパク質、抗体、糖鎖、糖タンパク、及びペプチド核酸から選ばれる少なくとも1つである請求項20記載のプラスチック製バイオチップ。
  22. 生理活性物質が蛍光によるシグナルによって検出されるものである請求項18〜21いずれか記載のプラスチック製バイオチップ。

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