JP2005121098A - マグネシウム合金部材の締結構造 - Google Patents

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Abstract

【課題】 部品点数を増加することなく十分な電食抑制効果を維持できるマグネシウム合金部材の締結構造を提供する。
【解決手段】 マグネシウム合金部材とするアッパーブラケット10を備え、このアッパーブラケット10に螺合するボルト1を介してフロントフォークを締結するクランプ部14を形成し、アッパーブラケット10の表面に陽極酸化処理もしくは化成処理及び塗装を施し、ボルト1を鉄系の材質で形成し、ボルト1の全表面にフッ素樹脂コーティング層を形成するものとした。
【選択図】 図1

Description

本発明は、マグネシウム合金部材の締結構造の改良に関するものである。
近年、車両分野において、マグネシウム(Mg)合金を構造材へ適用することが注目されている。マグネシウム合金は、軽量、高剛性という特性を有する反面、マグネシウムが汎用金属中最も卑であることから、他の実用合金に比較して腐食されやすいという欠点を有する。このため、マグネシウム合金は、異種の金属と接触した状態で腐食環境におかれると電位差による腐食を生じる。それ故、マグネシウム(Mg)合金部材を、異種金属製の締結部材(ボルト等)を用いて締結する場合には、マグネシウム合金部材と締結部材の接触により、水分の存在下でのマグネシウム合金の電気的腐食(電食)が問題になる。特に、二輪車や自動車の足廻りなどの泥水を被り易くかつ積雪地域での融雪塩が付きやすい部位においては、電解質(Na+ 、Ca2+、 Cl - イオンなど)の存在した水分の付着で電食が進行することがある。
従来、マグネシウム合金部材と締結部材との接触を妨げることにより電食を防止すること行われてきた。マグネシウム合金部材の電食を防止する締結構造として、従来、次のものがあった。
1.アルマイト処理を施したアルミスリーブをマグネシウム合金部材の穴に挿入する締結構造。
2.樹脂ワッシャ、紙ワッシャをマグネシウム合金部材とボルトの座面の間に介装する締結構造(特許文献1参照)。
3.マグネシウム合金部材とボルトの締結部にグリスを塗布する締結構造。
4.鋼製ボルトの全体にクロームメッキを施し、このボルトの座面に樹脂コーティングを施す締結構造(特許文献2参照)。
特開平5−302614号公報 特開2002−188616号公報
しかしながら、このような従来のマグネシウム合金部材の締結構造にあっては次のような問題点があった。
1.アルミスリーブをマグネシウム合金部材のボルト穴に挿入した後、アルミスリーブの内周に雌ねじを形成する必要があり、生産性を高められない。
2.樹脂ワッシャ、紙ワッシャを用いると、高トルクで締め付けを行うとワッシャが座屈してボルトの軸力が低下する可能性がある。また、部品点数の増加により組立工数が増加する。
3.ボルトの締結部にグリスを塗布すると、屋外で使用された場合、グリスが流出し、電食抑制効果が得られなくなる。
4.ボルトの座面のみに樹脂コーティングが施されると、マグネシウム合金部材のボルト穴に電解質が入り込んだ場合、十分な電食抑制効果が得られない。
本発明は上記の問題点に鑑みてなされたものであり、部品点数を増加することなく十分な電食抑制効果を維持できるマグネシウム合金部材の締結構造を提供することを目的とする。
第1の発明は、マグネシウム合金部材と、このマグネシウム合金部材に螺合するボルトとを備えるマグネシウム合金部材の締結構造に適用する。そして、マグネシウム合金部材の表面に陽極酸化処理を施し、ボルトを鉄系の材質で形成し、ボルトの全表面にフッ素樹脂コーティング層を形成する。
第2の発明は、マグネシウム合金部材と、このマグネシウム合金部材に螺合するボルトとを備えるマグネシウム合金部材の締結構造に適用する。そして、マグネシウム合金部材の表面に化成処理及び塗装を施し、ボルトを鉄系の材質で形成し、ボルトの全表面にフッ素樹脂コーティング層を形成する。
第3の発明は、第1又は第2の発明において、マグネシウム合金部材としてアッパーブラケットを備え、このアッパーブラケットに螺合するボルトを介してフロントフォークを締結するクランプ部を形成し、アッパーブラケットの表面に陽極酸化処理もしくは化成処理及び塗装を施し、ボルトを鉄系の材質で形成し、ボルトの全表面にフッ素樹脂コーティング層を形成する。
第4の発明は、マグネシウム合金部材に陽極酸化処理を施し、ボルトをアルミニウム系の材質で形成し、ボルトの全表面にアルマイト皮膜を形成する。
第5の発明は、マグネシウム合金部材に化成処理及び塗装を施し、ボルトをアルミ系の材質で形成し、ボルトの全表面にアルマイト皮膜を形成する。
第1の発明によると、陽極酸化処理によりマグネシウム合金部材の表面に生じた酸化皮膜とボルトの全表面に形成されるフッ素樹脂コーティング層は、マグネシウム合金部材とボルトの間に絶縁層を形成するため、マグネシウム合金製アッパーブラケットの電食を防止する。ボルトの全表面に形成されるフッ素樹脂塗料による塗膜は鉄系のボルトの表面に対する密着性が高く、塗膜にも割れや剥離が生じることが抑えられ、絶縁性を維持できる。
また、ボルトの頭部とマグネシウム合金部材の間にワッシャを介装せず、アッパーブラケットのクランプ部にアルミスリーブなどを挿入しないため、構造の簡素化がはかれ、生産性を高められる。
第2の発明によると、化成処理及び塗装によりマグネシウム合金部材の表面に形成された化成処理層及び塗装層とボルトの全表面に形成されるフッ素樹脂コーティング層は、マグネシウム合金部材とボルトの間に絶縁層を形成するため、マグネシウム合金製アッパーブラケットの電食を防止する。ボルトの全表面に形成されるフッ素樹脂塗料による塗膜は鉄系のボルトの表面に対する密着性が高く、塗膜にも割れや剥離が生じることが抑えられ、絶縁性を維持できる。
第3の発明によると、ボルトはアッパーブラケットのクランプ部に螺合した締結状態で、その一部がクランプ部に露出しているが、フッ素樹脂塗料による塗膜をボルトの全表面に形成することにより、この露出部に電食が生じることを防止できる。
第4と第5の発明によると、アルマイト処理によるボルトの全表面に形成されるアルミナ層は、マグネシウム合金部材との間に絶縁層を形成するため、マグネシウム合金製アッパーブラケットの電食を防止する。
ボルトの全表面に形成されるアルミナ層はボルトの表面に対する密着性が高く、割れや剥離が生じることが抑えられ、絶縁性を維持できる。
以下、本発明の実施の形態を添付図面に基づいて説明する。
図1は、第一の実施形態を示し、本発明を二輪車用のアッパーブラケット10に倒立型フロントフォークのアウタチューブ18を支持する構造に適用したものである。
アッパーブラケット10は、その両端部に形成されたフォーク穴12にフロントフォークのアウタチューブ18を支持し、その中央部に形成されたセンター穴11に図示しないステアリングシャフトを支持したものである。ステアリングシャフトは図示しない車体フレームに枢支され、アッパーブラケット10を介して前輪を操舵するようになっている。
アッパーブラケット10は左右一対のフォークボス13にクランプ部14が形成され、このクランプ部14にスリット17を挟んでボルト穴15と雌ねじ部16が形成される。ボルト穴15を挿通させた締付ボルト1を雌ねじ部16に螺合してフォーク穴12を縮径することにより、フォークボス13にてこれに挿入されたアウタチューブ18を締め付け固定する。
アウタチューブ18の内側には図示しないインナーチューブが摺動可能に嵌合される。アウタチューブ18とインナーチューブの間に油圧緩衝機構が内蔵され、フロントフォークを構成する。
アウタチューブ18はアルミニウム合金によって形成される。アッパーブラケット10は、マグネシウム合金を材質とし、ダイカスト鋳造によって形成される。ボルト1は鉄系鋼材によって形成され、アッパーブラケット10に着座する頭部2と、ボルト穴15を挿通する軸部3と、雌ねじ部16に螺合する雄ねじ部4とを有している。
本発明において、マグネシウム合金部材たるアッパーブラケット10と締結部材の接触を表面処理により妨げる。電食を防止するため、数多くの表面処理の組合せが考えられるが、マグネシウム合金部材の表面処理と締結部材の表面処理の組合せを適切に選択することが重要である。本発明では、アウタチューブ18の表面にアルマイト処理を施しアルマイト酸化皮膜を形成し、マグネシウム合金部材のアッパーブラケット10の表面に陽極酸化処理もしくは化成処理及び塗装を施し、鉄系のボルト1の全表面にフッ素樹脂コーティング処理層を形成する。これにより、マグネシウム合金製アッパーブラケット10はアウタチューブ18及びボルト1に対して絶縁され、電食が防止される。
マグネシウム合金製のアッパーブラケット10の陽極酸化処理は、アッパーブラケット10を例えば無機酸塩、無機塩基、有機酸塩、有機酸を含む電解液に浸漬し、アッパーブラケット10に陽極として電流を通すことによってアッパーブラケット10の表面に保護用の不動態被膜(酸化皮膜)を形成する表面処理である。陽極酸化処理は、H. A. Evangelides社が開発したHAE法、Dow社が開発したDow17法、電化皮膜工業社のマグホワイト(商標)処理など良質な不動態被膜が得られるものであれば使用可能である。不動態被膜の膜厚は10μmから30μmが好ましい。10μm以下では、アッパーブラケット10のマグネシウム合金が腐食し、30μm以上ではアッパーブラケット10表面(マグネシウム合金表面)に割れが生じる。さらに好ましい膜厚の範囲としては、15μmから20μmである。
マグネシウム合金製のアッパーブラケット10の化成処理は、アッパーブラケット10を例えばクロム系化成処理液またはマンガンを含有するノンクロム系化成処理液に浸漬し、アッパーブラケット10の表面に化成皮膜を形成する表面処理である。さらに、これによって形成された化成処理層の上に有機系樹脂材料の塗装を施す。化成処理の目的は、マグネシウム合金と塗装の密着性を向上させることにある。クロム系化成処理方法として一般的なダウケミカル社のDow1、Dow20法などが使用可能である。ノンクロム系化成処理方法として、カルシウム(Ca)とマンガン(Mn)を含む処理液を用いる特開平11-131255や特開2000-096255に記載される方法などが使用可能である。また、塗装処理により、アッパーブラケット10の化成処理表面上に有機系樹脂材料層が形成される。
ボルト1の全表面にフッ素樹脂コーティング層を形成する表面処理は、ボルト1の全表面に下地処理を施した後に、その上から例えば4フッ化エチレン系フッ素樹脂塗料による塗膜を形成するものである。フッ素樹脂塗膜の厚みは25〜100μmが好ましい。ボルト1の全表面に形成されるフッ素樹脂コーティング層は、アッパーブラケット10との間に絶縁層を形成しているため、マグネシウム合金製アッパーブラケット10の電食を防止する。ボルト1の全表面に形成されるフッ化エチレン系フッ素樹脂塗料による塗膜は鉄系のボルト1の表面に対する密着性が高く、雄ねじ部4に形成される塗膜にも割れや剥離が生じることが抑えられ、絶縁性を維持できる。
なお、鉄系のボルト1の全表面にフッ素樹脂コーティング処理層を形成する構成にかえて、アルミ合金製のボルト1の全表面にアルマイト処理を施してアルマイト酸化皮膜(アルミナ層)を形成する構成としても良い。アルマイト処理は、一般的な処理方法でよく、十分な耐食性を得るために、アルマイト処理による酸化皮膜の厚みは5μm以上であることが好ましい。
ボルト1はアッパーブラケット10のクランプ部14に螺合した締結状態で、その軸部3及び雄ねじ部4の一部がスリット17に露出しているが、フッ素樹脂塗料による塗膜をボルト1の全表面に形成することにより、スリット17に電食が生じることを防止できる。また、ボルト1の頭部2とアッパーブラケット10の間にワッシャを介装せず、アッパーブラケット10のクランプ部14にアルミスリーブなどを挿入しないため、構造の簡素化がはかれ、生産性を高められる。
なお、鉄系のボルト1の全表面にフッ素樹脂コーティング処理層を形成する構成にかえて、アルミニウム合金(アルミニウム系材料)製のボルト1の全表面にアルマイト処理を施してアルマイト酸化皮膜を形成する構成の場合も、スリット17に電食が生じることを防止できる。
また、アッパーブラケット10の全表面に陽極酸化処理あるいは化成処理及び塗装を施さず、少なくともボルトと螺合するアッパーブラケット10の部分にのみに対して陽極酸化処理あるいは化成処理及び塗装を行っても良い。
第一の実施形態についてさらに具体的な実施例によって詳細に説明する。実施例における表面処理は、以下のように行われた。
化成処理及び塗装に関して、マグネシウム合金(AM60)製のアッパーブラケット全面に対してノンクロム系化成処理剤を使用した化成処理を施した。化成処理表面上への塗装として、エポキシ樹脂を用いて下塗りを10〜15μmの厚みで行い、これを150℃で20分焼き付けた後、アクリル樹脂を用いて上塗りを15〜20μmの厚みで行い、さらにこれを160℃で20分焼き付けて乾燥させる。全体として、アッパーブラケット全面に対して、有機系樹脂材料層を25μm〜35μmの厚みで作製した。
アッパーブラケットへの陽極酸化処理として、電化皮膜工業社のマグホワイト(商標)処理を用いた。具体的な処理工程として、エマルジョン系溶液中での脱脂工程、酸性溶液中での第一活性処理工程、中和工程、アルカリ溶液中での表面調整工程、アルカリ溶液中での陽極酸化処理工程、中和工程、乾燥工程が順次行われた。こうして、陽極酸化処理により、15〜20μmの膜厚で酸化皮膜がマグネシウム合金製アッパーブラケット全面に形成された。
鉄製ボルトに施すフッ素樹脂コーティング層は、ボルトをショットブラスト法で研磨した後、脱脂洗浄、下地処理、乾燥処理、全表面へのフッ化エチレン系樹脂の塗装、乾燥を順次行い作製した。フッ素樹脂塗膜の厚みは30μmであった。アルミ合金製ボルトに対しては、アルマイト処理により、表面に5μmの酸化皮膜が形成された。ここではアルマイト処理液として硫酸が用いられた。なお、後述の比較例において使用する鉄製ボルトには、亜鉛メッキ(メッキ後の有色クロメート処理あり)が、厚み8μmで施されている。
マグネシウム合金表面処理と締結ボルト表面処理の数種類の組合せを用いた締結構造を実施例1〜4として、塩水噴霧試験法(JIS規格 Z 2371)による塩水噴霧試験を行った結果を表1に示す。表1は、実施例1〜4の締結構造を有するアッパーブラケット試験片に対して、塩水噴霧時間144時間後の重量変化を測定した結果を示す。なお図2には、グラフとして表1の結果を示している。
(実施例1)
マグネシウム合金製のアッパーブラケット表面に上記の化成処理及び有機系樹脂材料の塗装を施し、アルミ合金製締結用ボルト表面にアルマイト処理(つまり陽極酸化処理)を施した締結構造である。
(実施例2)
マグネシウム合金製のアッパーブラケット表面に上記の化成処理及び有機系樹脂材料の塗装を施し、鉄製締結用ボルト表面にフッ素樹脂コーティングを施した締結構造である。
(実施例3)
マグネシウム合金製のアッパーブラケット表面に上記の陽極酸化処理を施し、アルミ合金製締結用ボルト表面にアルマイト処理を施した締結構造である。
(実施例4)
マグネシウム合金製のアッパーブラケット表面に上記の陽極酸化処理を施し、鉄製締結用ボルト表面にフッ素樹脂コーティングを施した締結構造である。
同様に、表1において、比較例1〜5の締結構造を有するアッパーブラケット試験片に対して、塩水噴霧時間144時間後の重量変化を測定した結果を示している。
(比較例1)マグネシウム合金製のアッパーブラケット表面に上記の化成処理及び有機系樹脂材料の塗装を施すが、鉄製締結用ボルト表面に亜鉛(Zn)メッキ(メッキ後の有色クロメート処理あり)を施した締結構造である。
(比較例2)マグネシウム合金製のアッパーブラケット表面にJIS規格MX-3のクロメート処理による化成処理のみを施し(塗装はない)、鉄製締結用ボルト表面に亜鉛(Zn)メッキ(メッキ後の有色クロメート処理あり)を施した締結構造である。
(比較例3)マグネシウム合金製のアッパーブラケット表面にJIS規格MX-3による化成処理のみを施し(塗装はない)、アルミ合金製締結用ボルト表面にアルマイト処理を施した締結構造である。
(比較例4)マグネシウム合金製のアッパーブラケット表面にJIS規格MX-3による化成処理のみを施し(塗装はない)、鉄製締結用ボルト表面にフッ素樹脂コーティングを施した締結構造である。
(比較例5)マグネシウム合金製のアッパーブラケット表面に上記の陽極酸化処理を施すが、鉄製締結用ボルト表面に亜鉛(Zn)メッキ(メッキ後の有色クロメート処理あり)を施した、アッパーブラケットの締結構造である。
Figure 2005121098
表1及び図2の結果から、マグネシウム合金部材に化成処理と塗装を施し、アルミ合金製締結用ボルト表面にアルマイト処理(陽極酸化処理)を施すことにより、接触腐食から生じる重量変化をほぼ0gに抑えられることがわかる(実施例1)。マグネシウム合金部材に化成処理と塗装を施し、鉄系のボルトの全表面にフッ素樹脂コーティング処理を施すことにより、接触腐食から生じる重量変化をほぼ0gに抑えられることがわかる(実施例2)。マグネシウム合金部材に陽極酸化処理を施し、アルミ合金製締結用ボルト表面にアルマイト処理を施すことにより、接触腐食から生じる重量変化をほぼ0gに抑えられることがわかる(実施例3)。マグネシウム合金部材に陽極酸化処理を施し、鉄系のボルトの全表面にフッ素樹脂コーティング処理を施すことにより、異種の金属間の接触による腐食から生じる重量変化をほぼ0gに抑えられることがわかる(実施例4)。これに対して、比較例では、鉄系のボルトに亜鉛メッキ処理(メッキ後の有色クロメート処理あり)を施した場合や、マグネシウム合金部材に化成処理のみを施した場合に、大きな重量変化が起こることがわかる。
なお、上記の結果はマグネシウム合金の種類に依存せず、例えばマグネシウム合金AZ91製のアッパーブラケットでも同様の結果が得られる。
図3(a)、(b)は、同じく塩水噴霧試験法における、腐食の発生具合を示す。 図3(a)は、マグネシウム合金製のアッパーブラケット表面に陽極酸化処理を施し、鉄系のボルトに亜鉛メッキを施した比較例5の締結構造を示し、ボルトとアッパーブラケットの接触部に大量の腐食が生じている。 図3(b)は、実施例4として、マグネシウム合金製のアッパーブラケットに陽極酸化処理を施し、鉄系のボルトの全表面にフッ素樹脂コーティング処理を施した締結構造であり、この場合に腐食は全く生じていない。
図4は、第二の実施形態を示し、本発明を二輪車用フロントフォークのアウタチューブ先端に取り付けるキャップの締結構造に適用したものである。
キャップ21はマグネシウム合金製であり、アルミニウム合金製又は鉄系材料製のビス23により螺子止めされ、マグネシウム合金とビス23は螺合している。この場合にも、ビス23とマグネシウム合金製キャップ21との接触による腐食を防止するために、第一の実施形態のアッパーブラケット10と同様の表面処理をマグネシウム合金製キャップ21に施し、ボルト1と同様の表面処理をビス23に対して施す。すなわち、キャップ21に陽極酸化処理又は化成処理後の塗装処理を施し、ビス23にアルミニウム系の材料である場合にはアルマイト処理、鉄系材料である場合にはフッ素樹脂コーティングを施す。
第二の実施形態をさらに具体的な実施例によって詳細に説明する。
(実施例5)
マグネシウム合金(AZ91)製キャップに対して、電化皮膜工業社のマグホワイト(商標)処理により全面に陽極酸化処理を施し15〜20μmの膜厚の酸化皮膜を形成し、アルミニウム合金製のビスにアルマイト処理を施し5μmのアルミナ層を形成した締結構造である。
比較例として、実施例5と同じ陽極酸化表面処理をしたキャップに対して、アルミニウム合金製のビス全面にアロジン法によるクロメート処理をした締結構造(比較例6)、実施例5と同じ表面処理をしたキャップに対して、アルミニウム合金製のビスに表面処理をしない締結構造(比較例7)、を挙げる。
図5(a)−(c)は、実施例の締結構造を有するアッパーブラケット試験片に対して、塩水噴霧試験法(JIS規格 Z 2371、塩水噴霧時間48時間)における、腐食の発生具合を示す。図5(a)に示すように、比較例6の陽極酸化表面処理したマグネシウム合金製キャップとクロメート表面処理したアルミニウム合金製ビスの組合せでは、ビスの周辺に激しい腐食が発生する。図5(b)に示すように、比較例7の陽極酸化表面処理したマグネシウム合金製キャップと無処理のアルミニウム合金製ビスの組合せでも、ビスの周辺に激しい腐食が発生する。一方、図5(c)に示すように、実施例5の陽極酸化表面処理したマグネシウム合金製キャップとアルマイト処理したアルミニウム合金製ビスの組合せでは、腐食は全く発生していない。
本発明は上記の実施の形態に限定されずに、その技術的な思想の範囲内において種々の変更がなしうることは明白である。
本発明は二輪車のアッパーブラケット、フロントフォークのアウタチューブのキャップに対する締結構造以外に適用しても良く、種々の機械部品あるいは電気製品などに使用されるマグネシウム合金部材の締結構造にも適用できる。
本発明の第一の実施形態を示すアッパーブラケットの平面図。 本発明の第一の実施形態に関する塩水噴霧試験の結果を示すグラフ。 (a)は比較例における塩水噴霧試験の結果を示すアッパーブラケット締結部の外観図、(b)は本発明の第一の実施形態に関する実施例おける塩水噴霧試験の結果を示すアッパーブラケット締結部の外観図。 本発明の第二の実施形態を示すフロントフォークのアウタチューブキャップ締結構造の斜視図。 (a)、(b)は比較例における塩水噴霧試験の結果を示すアウタチューブキャップの外観図、(c)は本発明の第二の実施形態に関する実施例おける塩水噴霧試験の結果を示すアウタチューブキャップの外観図。
符号の説明
1 ボルト
2 頭部
3 軸部
4 雄ねじ部
10 アッパーブラケット
13 フォークボス
14 クランプ部
15 ボルト穴15
16 雌ねじ部
18 アウタチューブ
21 キャップ
23 ビス

Claims (5)

  1. マグネシウム合金部材と、該マグネシウム合金部材に螺合するボルトとを備えるマグネシウム合金部材の締結構造において、
    前記マグネシウム合金部材は陽極酸化処理を施した表面を有し、前記ボルトは鉄系の材質で形成され、全表面にフッ素樹脂コーティング層を有することを特徴とするマグネシウム合金部材の締結構造。
  2. マグネシウム合金部材と、該マグネシウム合金部材に螺合するボルトとを備えるマグネシウム合金部材の締結構造において、
    前記マグネシウム合金部材は化成処理及び塗装を施した表面を有し、前記ボルトは鉄系の材質で形成され、該ボルトの全表面にフッ素樹脂コーティング層を有することを特徴とするマグネシウム合金部材の締結構造。
  3. 前記マグネシウム合金部材としてアッパーブラケットを備え、該アッパーブラケットに螺合する前記ボルトを介してフロントフォークを締結するクランプ部を形成し、アッパーブラケットの表面に前記陽極酸化処理もしくは前記化成処理及び前記塗装を施し、前記ボルトを鉄系の材質で形成し、該ボルトの全表面に前記フッ素樹脂コーティング層を形成したことを特徴とする請求項1又は2に記載のマグネシウム合金部材の締結構造。
  4. マグネシウム合金部材と、このマグネシウム合金部材に螺合するボルトとを備えるマグネシウム合金部材の締結構造において、
    前記マグネシウム合金部材は陽極酸化処理を施した表面を有し、
    前記ボルトはアルミニウム系の材質で形成され、全表面にアルマイト処理によるアルミナ層を有することを特徴とするマグネシウム合金部材の締結構造。
  5. マグネシウム合金部材と、このマグネシウム合金部材に螺合するボルトとを備えるマグネシウム合金部材の締結構造において、
    前記マグネシウム合金部材は化成処理及び塗装を施した表面を有し、
    前記ボルトはアルミニウム系の材質で形成され、全表面にアルマイト処理によるアルミナ層を有することを特徴とするマグネシウム合金部材の締結構造。
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