JP2005120608A - 床版の下面補強工法 - Google Patents
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Abstract
【課題】 短時間の作業で簡単に、しかも長期間十分な補強効果を得ることのできる床版の下面補強工法を提供する事を目的としている。
【解決手段】 鉄筋コンクリート床版1の下面に靱性に優れたシート材4を、その両端を主桁2に鉄筋コンクリート床版1の長手方向にわたって固着させ、かつ鉄筋コンクリート床版1の幅方向に沿って下方へたるみをもたせて張り、シート材4と鉄筋コンクリート床版1とで囲まれる空間内に発泡モルタル5を充填して補強する。
【選択図】 図1
Description
本発明は、橋梁の鉄筋コンクリート床版(以下、RC床版と呼ぶこともある)を下面から補強する床版の下面補強工法に関するものである。
従来より、鉄筋コンクリート床版を補強する工法としては、以下のような補強工法が知られている。
(1) 縦桁増設工法
この工法は、図9に示すように、既設の主桁2の間に、新たに縦桁20を増設して、鉄筋コンクリート床版1を下面から補強する工法である(例えば、特許文献1)。
(2) 床版上面増厚工法
この工法は、図10に示すように、鉄筋コンクリート床版1の上面にコンクリート21を打設して増厚し、鉄筋コンクリート床版1を上面から補強する工法である(例えば、特許文献2)。
(3) 床版下面鋼板接着工法
この工法は、図11に示すように、鉄筋コンクリート床版1の下面に鋼板22を、エポキシ樹脂等にて接着させて、鉄筋コンクリート床版1を下面から補強する工法である(例えば、特許文献3)。
(4) 床版下面増厚工法
この工法は、図12に示すように、鉄筋コンクリート床版1の下面に格子状の鉄筋23を配置した後、樹脂モルタル24を層状に塗り込むか、あるいは吹き付けて、下面を増厚して、鉄筋コンクリート床版1を下面から補強する工法である(例えば、特許文献4)。
(5) 床版下面シート接着工法
この工法は、図13に示すように、鉄筋コンクリート床版1の下面に炭素繊維25またはアラミド繊維をエポキシ樹脂等で接着させ、鉄筋コンクリート床版1を下面から補強する工法である(例えば、特許文献5)。
特開2003−171913号公報
特開平08−003918号公報
特開平11−190009号公報
特開平08−338005号公報
特開平10−121345号公報
(1) 縦桁増設工法
この工法は、図9に示すように、既設の主桁2の間に、新たに縦桁20を増設して、鉄筋コンクリート床版1を下面から補強する工法である(例えば、特許文献1)。
(2) 床版上面増厚工法
この工法は、図10に示すように、鉄筋コンクリート床版1の上面にコンクリート21を打設して増厚し、鉄筋コンクリート床版1を上面から補強する工法である(例えば、特許文献2)。
(3) 床版下面鋼板接着工法
この工法は、図11に示すように、鉄筋コンクリート床版1の下面に鋼板22を、エポキシ樹脂等にて接着させて、鉄筋コンクリート床版1を下面から補強する工法である(例えば、特許文献3)。
(4) 床版下面増厚工法
この工法は、図12に示すように、鉄筋コンクリート床版1の下面に格子状の鉄筋23を配置した後、樹脂モルタル24を層状に塗り込むか、あるいは吹き付けて、下面を増厚して、鉄筋コンクリート床版1を下面から補強する工法である(例えば、特許文献4)。
(5) 床版下面シート接着工法
この工法は、図13に示すように、鉄筋コンクリート床版1の下面に炭素繊維25またはアラミド繊維をエポキシ樹脂等で接着させ、鉄筋コンクリート床版1を下面から補強する工法である(例えば、特許文献5)。
しかしながら、上記(1)〜(5)の補強工法にはそれぞれ次のような問題があった。
(1)縦桁増設工法では、鉄筋コンクリート床版1の曲げ応力の低減には効果があるが、主桁2と増設した縦桁20、または、増設した縦桁20同士の間に働く鉄筋コンクリート床版1のせん断力に対しては、補強効果があまり期待できないため、走行車両の車輪から荷重が繰り返し作用することで、鉄筋コンクリート床版1がせん断崩壊する恐れがあった。
(2)床版上面増厚工法では、鉄筋コンクリート床版1の上面を断面増厚するため、長期間にわたる交通規制を伴い、施工時間が制約されるという問題が生じていた。また、鉄筋コンクリート床版1と増厚床版との打継目の処理に慎重な施工が要求されることから、設計通りの施工が難しく、期待する断面増厚の効果が発揮されていない恐れがあった。
(3)床版下面鋼板接着工法では、鉄筋コンクリート床版1の曲げ応力の低減には効果が発揮されるが、鋼板22の厚みが薄いため、鉄筋コンクリート床版1のせん断力に対しては、あまり補強効果が期待できず、補強後の経年変化、即ち、走行車両の車輪から荷重が繰り返し作用することで、鉄筋コンクリート床版1がせん断崩壊する恐れがあった。また、鋼板22が、鉄筋コンクリート床版1の上面から床版1内部に浸透した路面水等により鉄筋が腐食される恐れがあった。
(4)床版下面増厚工法では、前述の床版下面鋼板接着工法と同様に、鉄筋コンクリート床版1の曲げ応力の低減には効果が発揮されるが、増厚した版の厚さが薄いため、鉄筋コンクリート床版1のせん断力に対しては、あまり補強効果が期待できなかった。また、増厚した床版の端部の箇所は定着に不安があり、増厚した床版の端部がはく離する可能性があった。さらに、鉄筋コンクリート床版1の上面から床版1内部に浸透した路面水等が、鉄筋コンクリート床版1と増厚した床版との接合面に浸入して、はく離を生じさせてしまう恐れがあった。
(5)床版下面シート接着工法では、前述の床版下面増厚工法と同様に、鉄筋コンクリート床版1の曲げ応力の低減には効果が発揮されるが、床版下面とシート端部との固定が接着によるもので端部の剥離が生じやすいという不安があり、本来補強よりもひび割れの進行防止を目的にした耐久性向上が期待される工法である。また、接着するために床版下面に前処理をしなければならない上、シートに樹脂を含浸塗布する際には、樹脂の含浸性、付着量、樹脂の硬化など管理すべき項目が多く工数がかかるものであった。
(1)縦桁増設工法では、鉄筋コンクリート床版1の曲げ応力の低減には効果があるが、主桁2と増設した縦桁20、または、増設した縦桁20同士の間に働く鉄筋コンクリート床版1のせん断力に対しては、補強効果があまり期待できないため、走行車両の車輪から荷重が繰り返し作用することで、鉄筋コンクリート床版1がせん断崩壊する恐れがあった。
(2)床版上面増厚工法では、鉄筋コンクリート床版1の上面を断面増厚するため、長期間にわたる交通規制を伴い、施工時間が制約されるという問題が生じていた。また、鉄筋コンクリート床版1と増厚床版との打継目の処理に慎重な施工が要求されることから、設計通りの施工が難しく、期待する断面増厚の効果が発揮されていない恐れがあった。
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(4)床版下面増厚工法では、前述の床版下面鋼板接着工法と同様に、鉄筋コンクリート床版1の曲げ応力の低減には効果が発揮されるが、増厚した版の厚さが薄いため、鉄筋コンクリート床版1のせん断力に対しては、あまり補強効果が期待できなかった。また、増厚した床版の端部の箇所は定着に不安があり、増厚した床版の端部がはく離する可能性があった。さらに、鉄筋コンクリート床版1の上面から床版1内部に浸透した路面水等が、鉄筋コンクリート床版1と増厚した床版との接合面に浸入して、はく離を生じさせてしまう恐れがあった。
(5)床版下面シート接着工法では、前述の床版下面増厚工法と同様に、鉄筋コンクリート床版1の曲げ応力の低減には効果が発揮されるが、床版下面とシート端部との固定が接着によるもので端部の剥離が生じやすいという不安があり、本来補強よりもひび割れの進行防止を目的にした耐久性向上が期待される工法である。また、接着するために床版下面に前処理をしなければならない上、シートに樹脂を含浸塗布する際には、樹脂の含浸性、付着量、樹脂の硬化など管理すべき項目が多く工数がかかるものであった。
この発明は、上記事情に鑑みてなされたもので、短時間の作業で簡単に、しかも長期間十分な補強効果を得ることのできる床版の下面補強工法を提供する事を目的としている。
上記目的を達成するために、請求項1記載の床版の下面補強工法は、橋梁の主桁あるいは縦桁上に架設された鉄筋コンクリート床版を下面から補強する補強工法であって、前記鉄筋コンクリート床版の下面に靱性に優れたシート材を、その両端を鉄筋コンクリート床版の長手方向にわたって固着させ、かつ鉄筋コンクリート床版の幅方向に沿って下方へたるみをもたせて張り、シート材と鉄筋コンクリート床版とで囲まれる空間内に充填材を充填して床版を補強することを特徴としている。
請求項2記載の床版の下面補強工法は、橋梁の主桁あるいは縦桁上に架設された鉄筋コンクリート床版を下面から補強する補強工法であって、前記鉄筋コンクリート床版の下面に靱性に優れたシート材を、その両端を前記鉄筋コンクリート床版の長手方向にわたって固着させ、かつ前記シート材を全体が平坦状となるように張設し、前記シート材と前記鉄筋コンクリート床版とで囲まれる空間内に充填材を充填して前記床版を補強することを特徴としている。
請求項3記載の床版の下面補強工法は、シート材の両端が橋梁の主桁あるいは縦桁に固着されていることを特徴としている。
請求項4記載の床版の下面補強工法は、シート材が、接着樹脂を含浸させる必要のない高強度・高弾性繊維を有することを特徴としている。
請求項5記載の床版の下面補強工法は、充填材が気泡を含有する発泡モルタル、あるいは無収縮モルタルからなることを特徴としている。
請求項1記載の床版の下面補強工法によれば、鉄筋コンクリート床版に荷重がかかると、この荷重は鉄筋コンクリート床版から充填材を介して下方に伝達され、たわみ変形に伴ってシート材に張力を発生させる。この張力はシート材の膜力となり上方からの荷重を相殺する力を生み出す。つまり、シート材は、下方へたるみをもたせているので、発生した張力の鉛直上向きの成分が荷重を打ち消す力として作用する。その結果、鉄筋コンクリート床版に発生する曲げモーメントとせん断力を著しく減少させる補強効果が得られる。一方、充填材にはせん断抵抗力があるので鉄筋コンクリート床版自体のせん断耐力が強化され、同時に充填材とシート材の協働により鉄筋コンクリート床版の有効高さが増大することで曲げ耐力も向上する。すなわち、作用力の低減と耐力の強化を同時に達成する補強工法である。
請求項2記載の床版の下面補強工法によれば、シート材を平坦状に張設しているので、請求項1に係る発明に比べ作用力の低減効果よりも耐力の強化に重点を置いた補強工法となり、施工が容易になり、しかも、シート材と鉄筋コンクリート床版とで囲まれる空間内に充填する充填材の量が少なくて済み、充填材が高価である場合に大幅なコストダウンが図れる。
請求項3記載の床版の下面補強工法によれば、橋梁の主桁あるいは縦桁がシート材を支え、シート材の張力の反作用として鉄筋コンクリート床版に働く下向きの荷重作用を相殺することができるので、より高い補強効果を得ることができる。
請求項4記載の床版の下面補強工法によれば、シート材が接着樹脂を含浸させる必要のない高強度・高弾性繊維であるので、接着樹脂の付着量や硬化といった管理をする必要がなく、作業時間の短縮化、及び作業性の向上を図ることができる。
請求項5記載の床版の下面補強工法によれば、充填材が気泡を含有する発泡モルタルからなるので、充填材の軽量化を図ることができ、充填材による重量増加が床版、シート材、主桁等に与える負担を抑えることができる。
以下、本発明の床版の下面補強工法の第1、第2実施形態を図面を参照して説明する。
<第1実施形態>
図1中符号1は、橋梁の鉄筋コンクリート床版であり、その下面は幅方向に複数設けられた橋梁の主桁2によって支持されている。このRC床版1には、上面から下面まで貫通する空気抜き孔3が数カ所設けられている。また、RC床版1の下面には、靱性に優れた接着樹脂を含浸していない、言い換えれば、接着樹脂を含浸させる必要のない程度、高強度かつ高弾性の高強度・高弾性繊維を有するシート材4が、その両端をRC床版1の長手方向に沿って主桁2に固着され、かつRC床版1の幅方向に沿って下方にたるみを持たせて張られ、このシート材4とRC床版1で囲まれた空間内に、シート材4の断面保持並びに荷重伝達を目的とする発泡モルタル(充填材)5が充填されている。
なお、主桁2の代わりに縦桁によってRC床版1を支える場合もある。また、空気抜き孔3は、RC床版1に設けるのが最適であるが、交通規制等の関係でRC床版1に設けることができない場合があり、その場合にはシート材4側に設けても良い。
<第1実施形態>
図1中符号1は、橋梁の鉄筋コンクリート床版であり、その下面は幅方向に複数設けられた橋梁の主桁2によって支持されている。このRC床版1には、上面から下面まで貫通する空気抜き孔3が数カ所設けられている。また、RC床版1の下面には、靱性に優れた接着樹脂を含浸していない、言い換えれば、接着樹脂を含浸させる必要のない程度、高強度かつ高弾性の高強度・高弾性繊維を有するシート材4が、その両端をRC床版1の長手方向に沿って主桁2に固着され、かつRC床版1の幅方向に沿って下方にたるみを持たせて張られ、このシート材4とRC床版1で囲まれた空間内に、シート材4の断面保持並びに荷重伝達を目的とする発泡モルタル(充填材)5が充填されている。
なお、主桁2の代わりに縦桁によってRC床版1を支える場合もある。また、空気抜き孔3は、RC床版1に設けるのが最適であるが、交通規制等の関係でRC床版1に設けることができない場合があり、その場合にはシート材4側に設けても良い。
以下に、本発明の床版の下面補強工法を、順を追って説明する。
まず、図2に示すように、RC床版1の上面から下面に貫通する空気抜き孔3を数カ所に設ける。
まず、図2に示すように、RC床版1の上面から下面に貫通する空気抜き孔3を数カ所に設ける。
次に、図3に示すように、シート材4の端部をRC床版1の長手方向に沿って主桁2に適宜固定手段例えばボルトで固定して、RC床版1の下面にシート材4を、幅方向に沿って下方にたるみを持たせて張り、シート材4の中央に、発泡モルタル5を充填する充填孔7を設ける。
そして、図4に示すように、充填孔7からRC床版1とシート材4で囲まれる空間に発泡モルタル5を充填していき、図5に示すように、発泡モルタル5が空気抜き孔3を埋めて、RC床版1の上面に到達したら、発泡モルタル5の充填を止め、充填孔7を塞ぐ。この充填孔7は発泡モルタル5の硬化後には、シート材4の上面に溜まった雨水を排出する排水孔として機能する。
なお、発泡モルタル5を充填するとき、所定の圧力をかけて充填してもよい。
なお、発泡モルタル5を充填するとき、所定の圧力をかけて充填してもよい。
ここで、シート材4としては、具体的には、軽くて高強度高弾性の炭素繊維や、炭化けい素繊維、アラミド繊維、PBO(ポリ-p-フェニレンベンゾビスオキサゾール)繊維等が用いられる。一般に高強度高弾性繊維には、炭素繊維のような無機繊維とアラミド繊維のような有機繊維があるが、弾性率が10,000kg/mm2以上の高弾性の繊維は無機繊維が多く、無機繊維はその素材からくる特長で屈曲や磨耗に弱く、樹脂を含浸していない状態では非常にもろさがあり作業性が悪い。ケブラー49(商標登録)やPBO繊維のような弾性率が10,000kg/mm2以上の高弾性の有機繊維を用いた場合は、他の無機繊維のようなもろさがないので床版への取り付け作業において繊維を不用意に痛めたりすることがなく、かつ本工法にとって十分な弾性率の高さを有しており、シート材の補強に用いた場合高い床版の補強効果が得られる。したがって本工法では、弾性率が10,000kg/mm2以上の有機繊維を用いる事がより好適である。
また、補強方向の繊維にケブラー49(商標登録)を設計厚み例えば0.5mmになるように打ち込み、非補強方向はポリエステル繊維を粗く打ち込んだものを使用すると、高価な高弾性繊維の使用量が減らせ、全体として低コストのシート材とすることができ、また、非補強方向にポリエステル繊維を粗く打ち込んでいるので補強方向の繊維の屈曲がも少なくシート材として高い弾性率が得られる。
また、補強方向の繊維にケブラー49(商標登録)を設計厚み例えば0.5mmになるように打ち込み、非補強方向はポリエステル繊維を粗く打ち込んだものを使用すると、高価な高弾性繊維の使用量が減らせ、全体として低コストのシート材とすることができ、また、非補強方向にポリエステル繊維を粗く打ち込んでいるので補強方向の繊維の屈曲がも少なくシート材として高い弾性率が得られる。
なお、上記の実施形態では、シート材4の端部を主桁2に固定する際、ボルトを用いたが、さらに軽量化を図るため接着剤を使用して、シート材4の端部を主桁2に固定することも可能である。
以下に、シート材4の端部の固定方法の例を、図6を参照して説明する。
図6(A)は、主桁2の上フランジにボルト10aを溶接して取り付け、シート材4の端部にあらかじめ開けておいた穴を通し、ナット10bで固定する方法である。
図6(B)は、主桁2の上フランジにシート材4の端部を接着剤によって接着し固定する方法である。
図6(C)は、主桁2の上部にシート材4の端部を挟持するように山型鋼11をボルト12、ナット13で固定する方法である。
図6(D)は、主桁2の上フランジにシート材4の端部を当て、鋲14を打ち込んで固定する方法である。
図6(A)は、主桁2の上フランジにボルト10aを溶接して取り付け、シート材4の端部にあらかじめ開けておいた穴を通し、ナット10bで固定する方法である。
図6(B)は、主桁2の上フランジにシート材4の端部を接着剤によって接着し固定する方法である。
図6(C)は、主桁2の上部にシート材4の端部を挟持するように山型鋼11をボルト12、ナット13で固定する方法である。
図6(D)は、主桁2の上フランジにシート材4の端部を当て、鋲14を打ち込んで固定する方法である。
このように、上記の第1実施形態の床版の下面補強工法によれば、RC床版1の下面には、靱性に優れたシート材4が、その両端をRC床版1の長手方向に沿って主桁2に固着され、かつRC床版1の幅方向に沿って下方にたるみを持たせて張られ、このシート材4とRC床版1で囲まれた空間に、発泡モルタル5が充填されているので、RC床版1に荷重がかかると、この荷重はRC床版1から発泡モルタル5を介して下方に伝達され、靱性に優れたシート材4に張力を発揮させる。この張力はシート材4の膜力となり上方からの荷重を相殺する力を生み出す。つまり、シート材4は、下方へたるみをもたせているので、発生した張力の鉛直上向きの成分が荷重を打ち消す力として作用する。その結果、RC床版に発生する曲げモーメントとせん断力を著しく減少させる補強効果が得られる。一方、充填材にはせん断抵抗力があるので鉄筋コンクリート床版自体のせん断耐力が強化され、同時に発泡モルタル5とシート材4の協働によりRC床版1の有効高さが増大することで曲げ耐力も向上する。
そして、シート材4は、その両端が主桁2に固着されているので、シート材4を主桁2が支え、RC床版1がシート材4に発生する張力の反作用として上向きの力を受けることとなり、荷重作用を相殺できるため、より高い補強効果を得ることができる。
また、シート材が接着樹脂を含浸させる必要のない高強度・高弾性繊維であるので、接着樹脂の付着量や硬化といった管理をする必要がなく、作業時間の短縮化、及び作業性の向上を図ることができる。
とりわけ、弾性率が10,000kg/mm2以上の有機繊維を用いた場合は、無機繊維のようなもろさがないので床版への取り付け作業において繊維を不用意に痛めたりすることがなく、かつ本工法にとって十分な弾性率の高さを有しており、シート材の補強に用いた場合高い床版の補強効果が得られる。
とりわけ、弾性率が10,000kg/mm2以上の有機繊維を用いた場合は、無機繊維のようなもろさがないので床版への取り付け作業において繊維を不用意に痛めたりすることがなく、かつ本工法にとって十分な弾性率の高さを有しており、シート材の補強に用いた場合高い床版の補強効果が得られる。
さらに、発泡モルタル5はその内部に気泡を含有しているため軽く,軽量化を図ることができ、発泡モルタル5の重さによりる重量増加がシート材4や床版、主桁等に与える負担を抑えることができる。
図7は、床版補強構造の条件として、主桁2の離間距離2,0m、輪荷重98000ニュートン、シート材4の例として設計厚み0.75mm厚のケブラー49(登録商標)を主成分としたシート材を用い、シート材4の初期変位を50mm〜125mmの間で種々変化させたときの、輪荷重たわみ、RC床版1中に埋設された鉄筋の応力、シート応力をそれぞれ演算により求めたものである。
この図からわかるように、初期変位を大きくした場合、シート応力は増すが、その分、輪加重たわみ量が減少し、かつ、鉄筋応力も減少することがわかる。
つまり、シート材4を下方へより多くたるませた方が、RC床版1の補強効果が得られることがわかる。
つまり、シート材4を下方へより多くたるませた方が、RC床版1の補強効果が得られることがわかる。
<第2実施形態>
図8は、本発明に係る床版の補強方法の第2実施形態を示す。
なお、説明の簡略化を図るため、前記第1実施形態で説明したものと同一構成要素には同一符合を付してその説明を省略する。
この実施形態の特徴は、シート材4を、その全体が平坦状となるようある程度緊張力を持たせて、その両端を鉄筋コンクリート床版の長手方向に沿って主桁2にボルト等の固定手段で固定した点である。
図8は、本発明に係る床版の補強方法の第2実施形態を示す。
なお、説明の簡略化を図るため、前記第1実施形態で説明したものと同一構成要素には同一符合を付してその説明を省略する。
この実施形態の特徴は、シート材4を、その全体が平坦状となるようある程度緊張力を持たせて、その両端を鉄筋コンクリート床版の長手方向に沿って主桁2にボルト等の固定手段で固定した点である。
この実施形態の床版の下面補強工法によれば、シート材4を平坦状に張設しているので、前述の第1実施形態に比べてRC床版1の補強効果は多少劣るものの、施工性が容易になり、しかも、シート材4とRC床版1とで囲まれる空間内に充填する発泡モルタル5の量が少なくて済み、その分コストダウンが図れる。
なお、充填材として発泡ウレタン5の代わりに無収縮モルタルを用いても良い。この場合、シート材4とRC床版1との間の断面の一部として作用させる目的で使用するときには、モルタルの方がより好ましい。
なお、充填材として発泡ウレタン5の代わりに無収縮モルタルを用いても良い。この場合、シート材4とRC床版1との間の断面の一部として作用させる目的で使用するときには、モルタルの方がより好ましい。
1 RC床版 (鉄筋コンクリート床版)
2 主桁
4 シート材
5 発泡モルタル (充填材)
2 主桁
4 シート材
5 発泡モルタル (充填材)
Claims (5)
- 橋梁の主桁あるいは縦桁上に架設された鉄筋コンクリート床版を下面から補強する工法であって、前記鉄筋コンクリート床版の下面に靱性に優れたシート材を、その両端を前記鉄筋コンクリート床版の長手方向にわたって固着させ、かつ前記鉄筋コンクリート床版の幅方向に沿って下方へたるみをもたせて張り、前記シート材と前記鉄筋コンクリート床版とで囲まれる空間内に充填材を充填して前記鉄筋コンクリート床版を補強することを特徴とする床版の下面補強工法。
- 橋梁の主桁あるいは縦桁上に架設された鉄筋コンクリート床版を下面から補強する工法であって、前記鉄筋コンクリート床版の下面に靱性に優れたシート材を、その両端を前記鉄筋コンクリート床版の長手方向にわたって固着させ、かつ前記シート材を全体が平坦状となるように張設し、前記シート材と前記鉄筋コンクリート床版とで囲まれる空間内に充填材を充填して前記鉄筋コンクリート床版を補強することを特徴とする床版の下面補強工法。
- 前記シート材は、その両端が前記橋梁の主桁あるいは縦桁に固着されていることを特徴とする請求項1または2記載の床版の下面補強工法。
- 前記シート材は、接着樹脂を含浸させる必要のない高強度・高弾性繊維を有することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項記載の床版の下面補強工法。
- 前記充填材は、気泡を含有する発泡モルタル、あるいは無収縮モルタルからなることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項記載の床版の下面補強工法。
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JP2003354120A JP2005120608A (ja) | 2003-10-14 | 2003-10-14 | 床版の下面補強工法 |
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-
2003
- 2003-10-14 JP JP2003354120A patent/JP2005120608A/ja active Pending
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