JP2005120426A - 連続溶融金属めっき設備 - Google Patents

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Abstract

【課題】連続めっき停止中における浴中の温度差を低減させ得る連続溶融金属めっき設備を提供する。
【解決手段】連続めっき操業中の浴温目標値より高い高温目標値および当該浴温目標値より低い低温目標値をそれぞれ定め、ポット10に接続された循環管路30内の溶融金属90を誘導加熱する加熱コイル40の出力を制御する出力制御装置50Aに、浴温測定装置60によって測定された浴温が低温目標値以下になったと終了判定をするまで低温目標値に向かって浴温を下降させる第一の出力に加熱コイル40の出力を制御する第一の出力制御手段51Aと、浴温測定装置60によって測定された浴温が高温目標値以上になったと終了判定をするまで高温目標値に向かって浴温を上昇させる第二の出力に加熱コイル40の出力を制御する第二の出力制御手段52Aとを備え、連続めっき停止中に第一・第二の出力制御手段51A、52Aを交互に実行させた。
【選択図】 図3

Description

本発明は、連続溶融金属めっき設備に係り、特に、連続めっき停止中における浴中の温度差を低減させる連続溶融金属めっき設備に関する。
従来、連続溶融金属めっき設備は、連続的に、めっき浴槽内に鋼帯を浸漬させるとともに、めっき浴槽内の浸漬ロール(シンクロール)で鋼帯を方向転換させてめっき浴から上方へ引き上げることによって、鋼帯をめっき浴に通過させて連続的にめっきを施している。
以下、このような連続溶融金属めっき設備として、連続溶融亜鉛めっき設備を例として説明する。
連続溶融亜鉛めっき設備によって製造される合金化溶融亜鉛めっき鋼板は、耐食性、溶接性および加工性に優れた特性を有するため、主に自動車用鋼板として広く使用されているが、特に外装用鋼板として使用される場合には、塗装後の高鮮映性も要求されるなど、品質に対する要求が益々厳しくなっている。
このような状況下において、溶融亜鉛めっきのめっき浴槽(ポット)内では、鋼帯(ストリップ)から溶出するFeとZnとが反応して、FeZnを主成分とするボトムドロスが生成され、めっき浴槽内の底部に堆積する。
ボトムドロスは、めっき浴中のシンクロールを周回して搬送される鋼帯による随伴流によって、めっき浴中に巻き上げられて鋼帯に付着することがある。この場合、製造されためっき鋼板をプレス加工する際に、めっき鋼板の表面に不均一部分が生じ、鮮映性が損なわれる。また、付着したドロスが金型に損傷を与えるおそれもある。
そこで、ドロスの付着を防止する手段として、めっき浴内にAl分を添加し、下記式(1)の反応により、ボトムドロスをFeAlのトップドロスに変えることによって浮上させて回収する方法がある。
2FeZn+5Al→FeAl+14Zn………(1)
しかし、Alは合金化を抑制する働きがあるため、合金化溶融亜鉛めっき鋼板を製造する際に、合金化不良を引き起こすという問題がある。そのため、Al添加によらないドロス付着防止方法が求められている。
従来、浴中温度差とボトムドロス堆積量との関係は、浴中の温度差、特にめっき浴深さ方向の温度差が大きくなる程、ボトムドロス堆積量が増加することが知られている。そこで、例えば特許文献1に記載の技術では、シンクロールの前後に配置した攪拌装置によってめっき操業中にめっき浴を攪拌し、ボトムドロスの生成を抑制する方法が提案されている(図14参照)。なお、特許文献1に記載の技術では、一般材(溶融亜鉛めっき鋼板)からアロイ材(合金化溶融亜鉛めっき鋼板)の製造に切換える際は、攪拌装置による攪拌流を強め、浴中Al濃度のさらなる均一化を図っている。
また、例えば図15に示すように、めっき浴槽内の底部に加熱装置を備えてボトムドロスの生成を抑制する方法が考えられる(以下、従来技術1と呼ぶ)。
特開昭62−250160号公報
本発明者は、めっき浴の浴温分布を仔細に測定したところ、溶融亜鉛めっきライン操業中は、めっき浴内の水平方向、深さ方向いずれにおいても、めっき浴内の温度差は僅かであり、操業中はドロスの発生が抑制されていることが分かった。すなわち、通常の操業中は、鋼板およびシンクロールの回転による浴流動の影響によって、めっき浴は十分攪拌されているため、操業中にめっき浴を特段の設備をもって攪拌する必要性は小さい。一方、溶融亜鉛めっきライン停止中は、めっき浴深さ方向に10℃を超える温度差が生じていることが分かった(図10参照)。
しかしながら、このような、連続めっき停止中におけるめっき浴の深さ方向での浴温差は、例えば特許文献1に記載の技術のような攪拌装置でめっき浴を攪拌しても、ドロスを抑制する効果が期待できるものの、このような特段の攪拌装置を備えることは、装置を設置する手間や設備費が掛かる上、通常の操業中は、投資に見合う十分な効果が期待できないため過剰設備となる懸念もある。
また、従来技術1のように、めっき浴槽内の底部に加熱装置を備えたものでは、加熱による溶融金属の比重差から自然な対流が生じるが、比重が相対的に小さい高温の溶融金属は上部に移動し、比重が相対的に大きい低温の溶融金属は底部に移動するため、やはり、ライン停止中のめっき浴深さ方向に温度差が生じてしまい、十分な効果が得られるとはいえない。
本発明は、上記のような問題点に着目してなされたもので、大きな設備投資をすることなく、連続めっき停止中における浴中の温度差を低減させ得る連続溶融金属めっき設備を提供することを目的とするものである。
上記課題を解決するために、本発明のうち請求項1に係る連続溶融金属めっき設備は、溶融金属を貯留するめっき浴槽と、該めっき浴槽内の溶融金属を循環させる循環管路と、該循環管路内の溶融金属を誘導加熱する加熱コイルと、該加熱コイルの出力を制御する出力制御装置と、前記めっき浴槽内の所定位置での浴温を測定する浴温測定装置と、を備え、前記めっき浴槽内に鋼帯を連続的に通過させて、該鋼帯に連続的にめっきを施す連続溶融金属めっき設備において、連続めっき操業中の浴温日標値より高い高温目標値および当該浴温目標値より低い低温目標値をそれぞれ定め、前記出力制御装置は、前記浴温測定装置によって測定された浴温が前記低温目標値以下になったと終了判定をするまで前記低温目標値に向かって浴温を下降させる第一の出力に前記加熱コイルの出力を制御する第一の出力制御手段と、前記浴温測定装置によって測定された浴温が前記高温目標値以上になったと終了判定をするまで前記高温目標値に向かって浴温を上昇させる第二の出力に前記加熱コイルの出力を制御する第二の出力制御手段と、を備え、連続めっき停止中に前記第一・第二の出力制御手段を交互に実行することを特徴としている。
請求項1に係る発明によれば、連続めっき停止中の浴温の制御を行うために、浴温測定装置によって浴温を測定し、この浴温と、高・低温目標値とを比較して現在浴温の状況を判定し、その判定に基づいて、二つの出力手段によって加熱コイルの出力を交互に変える構成としている。特に、本発明における出力制御は、本来の浴温目標値自体に対してではなく、この浴温目標値より高い高温目標値と、この浴温目標値より低い低温目標値とを基礎として定めている。
すなわち、めっき浴槽内の所定位置での浴温を、単に浴温目標値に維持する通常のフィードバック制御では、連続めっき停止中の加熱コイルに、それほど大きな出力が必要とされない。そのため、浴内に十分な攪拌効果を期待することができない。そこで、本発明では、浴温目標値を挟んだ二つの目標によって意図的に管理温度に幅を与えて、高温と低温の溶融金属を交互に吹き出して浴内に脈動を作ることによって、浴内を攪拌することができるようにしている。
そのため、大きな設備投資をすること無く、めっき浴槽内の攪拌を好適に行うことができる。これにより、連続めっき停止中におけるめっき浴槽内の所定位置での浴温を、浴温目標値に対して所望の温度範囲に維持しつつ、めっき浴中の温度差を低減させることができる。
ところで、予め測定された浴温は、通常、例えばめっき浴槽内の所定位置での温度データとして得られる。そのため、その所定位置での浴温が目標値に達したからといって、浴全体が均一に目標値に達しているわけではない。むしろ浴温のばらつきがあるのが普通である。しかし、そのばらつきを減らすために浴温の測定点をむやみに増やしたり、浴温を判断する過程を複雑にすることは、装置を設置する手間や、故障確率の増大等の点から、必ずしも適当とはいえない。
そこで、例えばオフラインによる実験等によって、めっき浴内の特定点での温度が所定の温度になってからの浴全体の浴温のばらつきを予め把握しておき、所定の温度に浴全体が攪拌されたとみなすことができるまでの時間をデータとして求めておいて、この時間を維持時間として上記の制御に加えれば、より好適に浴温のばらつきを抑制することができる。
すなわち、本発明のうち請求項2に係る連続溶融金属めっき設備は、請求項1において、前記第一の出力制御手段での終了判定は、前記浴温測定装置によって測定された浴温が前記低温目標値に到達した時点から予め定めた第一の維持時間が経過したと判定したときとし、前記第二の出力制御手段での終了判定は、前記浴温測定装置によって測定された浴温が前記高温目標値に到達した時点から予め定めた第二の維持時間が経過したと判定したときとすることを特徴としている。
請求項2に係る発明によれば、各出力制御手段での終了判定を、浴温が高・低温目標値に到達した時点とするのではなく、到達した時点から予め定めた維持時間を加えた時点をもって判定している。そのため、高・低温目標値に到達してからも、各出力が維持時間だけ維持される。これにより、連続めっき停止中におけるめっき浴槽内の所定位置での浴温を、浴温目標値に対して所望の温度範囲に維持しつつ、浴全体の浴温のばらつきがより少ない十分な撹拌能力を得ることができる。
ここで、上述の発明にあっては、実際の浴温を測定しつつ、その浴温に基づいて制御をかけるフィードバック制御によっているが、本発明の制御としては、浴温の制御を予め測定したデータに準じて行う、いわゆるオープンループによる制御とすることもできる。
すなわち、本発明のうち請求項3に係る連続溶融金属めっき設備は、溶融金属を貯留するめっき浴槽と、該めっき浴槽内の溶融金属を循環させる循環管路と、該循環管路内の溶融金属を誘導加熱する加熱コイルと、該加熱コイルの出力を制御する出力制御装置と、を備え、前記めっき浴槽内に鋼帯を連続的に通過させて、該鋼帯に連続的にめっきを施す連続溶融金属めっき設備において、連続めっき操業中の浴温目標値より高い高温目標値および当該浴温目標値より低い低温目標値をそれぞれ定め、前記高温目標値から前記低温目標値まで前記めっき浴槽内の浴温が下降するのに要する前記加熱コイルの出力および時間の関係を第一の出力データとして予め求めるとともに、前記低温目標値から前記高温目標値まで前記めっき浴槽内の浴温が上昇するのに要する前記加熱コイルの出力および時間の関係を第二の出力データとして予め求め、前記出力制御装置は、前記第一の出力データに基づいて定めた第一の時間が経過するまで、該第一の時間に対応する前記第一の出力データに基づく第一の出力に前記加熱コイルを制御する第一の出力制御手段と、前記第二の出力データに基づいて定めた第二の時間が経過するまで、該第二の時間に対応する前記第二の出力データに基づく第二の出力に前記加熱コイルを制御する第二の出力制御手段と、を備え、連続めっき停止中に前記第一・第二の出力制御手段を交互に実行することを特徴としている。
請求項3に係る発明によれば、連続めっき停止中の浴温の制御を行うために、予め求めておいた第一・第二の出力データに基づいてそれぞれ制御を行う第一・第二の出力制御手段を交互に変えて、加熱コイルの出力を制御する構成としている。特に、この出力制御の基礎となる第一・第二の出力データは、本来の浴温目標値に対してではなく、この浴温目標値より高い高温目標値と、この浴温目標値より低い低温目標値とを基礎として定めている。
すなわち、単に浴温目標値自体を維持する通常の制御では、連続めっき停止中の加熱コイルには、それほど大きな出力を必要とはしない。そのため、撹拌能力自体が低く、めっき浴槽内に温度差が発生してしまう。そこで、請求項1に係る発明同様に、本発明では、浴温目標値を挟んだ二つの目標によって意図的に管理温度に幅を与えて、浴内に高温と低温の溶融金属を交互に吹き出すことによって脈動を作り、浴内を攪拌することができるようにしている。
そのため、大きな設備投資をすること無く、めっき浴槽内の攪拌を好適に行うことができる。これにより、連続めっき停止中におけるめっき浴槽内の所定位置での浴温を、浴温目標値に対して所望の温度範囲に維持しつつ、めっき浴中の温度差を低減させることができる。
また、本発明のうち請求項4に係る連続溶融金属めっき設備は、請求項3において、前記第一の時間は、前記第一の出力によって前記高温目標値から前記低温目標値まで前記めっき浴槽内の浴温が下降するのに要する時間に、予め定めた第一の維持時間を加えた時間とし、前記第二の時間は、前記第二の出力によって前記低温目標値から前記高温目標値まで前記めっき浴槽内の浴温が上昇するのに要する時間に、予め定めた第二の維持時間を加えた時間とすることを特徴としている。
請求項4に係る発明によれば、第一・第二の出力制御手段による各所定出力を加える各所定時間として、予め求めた時間を直接用いるのではなく、予め求めた時間に、予め定めた維持時間をそれぞれ加えている。そのため、請求項2に係る発明同様に、高・低温目標値に到達してからも、その出力が各維持時間だけ維持される。したがって、浴全体の浴温のばらつきがより少ない十分な攪拌能力を得ることができる。
また、本発明のうち請求項5に係る連続溶融金属めっき設備は、請求項1〜4のいずれかにおいて、前記第一・第二の出力制御手段の少なくとも一方は、前記加熱コイルの出力を段階的に変えることを特徴としている。
請求項5に係る発明によれば、段階的な出力の変化によって脈動がより複雑に生じる。なお、出力を段階的に変える方法としては、例えばタップ切り替えによる出力制御を例示することができる。
また、本発明のうち請求項6に係る連続溶融金属めっき設備は、請求項1〜4のいずれかにおいて、前記第一・第二の出力制御手段の少なくとも一方は、前記加熱コイルの出力を連続的に変えることを特徴としている。
請求項6に係る発明によれば、加熱コイルの出力を連続的に変えるため、浴温を円滑に変化させて温度管理を行うことができる。なお、出力を連続的に変える方法としては、例えばインバータによる出力制御を例示することができる。
本発明に係る連続溶融金属めっき設備によれば、連続めっき停止中におけるめっき浴中の温度差を低減することができる。
以下、本発明に係る連続溶融金属めっき設備の実施形態について図面を適宜参照しながら説明する。
図1および図2に、本発明の第一実施形態における概略構成図を示す。なお、図1は、ポット10を正面方向から見た概略構成図であり、図2は、ポット10を平面方向から見た概略構成図である。なお、本実施形態では、循環管路30およびインダクタ40は、ポット10の槽底近くの側壁に二基が対向して設置されているが、理解を容易にするために一基の構成について図示および説明をする。
図1ないし図2に示すように、この連続溶融金属めっき設備1は、溶融金属90を貯留しためっき浴槽であるポット10と、このポット10内に配設されたシンクロール(浸漬ロール)20と、ポット10側壁に配設された循環管路30と、この循環管路30内の溶融金属90を誘導加熱する加熱コイルであるインダクタ40と、このインダクタ40の出力を制御する出力制御装置50Aと、インダクタ40に必要な電力を出力制御装置50Aの制御を介して供給する電源55と、ポット10の所定箇所での浴温を測定する温度測定装置60と、を備えている。
そして、連続溶融金属めっき設備1は、ポット10内の溶融金属90中に連続的に鋼帯(ストリップ)80を通過させるとともに、ポット10内のシンクロール20で鋼帯80を方向転換させて、ポット10内のめっき浴から上方へ引き上げることによって、鋼帯80をめっき浴に通過させて連続的にめっきを施すことができる。図1中の鋼帯80まわりに付記する矢印は鋼帯80の搬送方向を示している。なお、めっき(例えば亜鉛)の付着量の調整は、図1に示す噴射ノズル70による気体絞り法によって行っている。その他、通常操業時の処理等は、一般的な連続溶融亜鉛めっきの操業と同様であるため説明を省略する。
この連続溶融金属めっき設備1は、インダクタ40にタップ切り替えによる出力制御方式を採用している。そのため、インダクタ40の出力を出力制御装置50Aによって段階的に変化させることができるようになっている。なお、図1は、三段階に切り替え可能な構成を採用した例であり、同図では、三段階のタップ切り替えのイメージを出力制御装置50Aからインダクタ40に向けた矢印で示している。
また、図2に示すように、循環管路30は、ポット10内の溶融金属90を循環させるために、一組の開口部30a、30bをポット10の側壁に設けている。なお、ドロスが発生するめっき浴の温度低下箇所は、めっき浴底部であることが多いため、めっき浴底部の溶融金属90を加熱して循環させることが好ましい。
この連続溶融金属めっき設備1は、インダクタ40によって誘導加熱がなされると、循環管路30内の所定位置30cで溶融金属90が加熱されつつ管路内を移動するようになっている。すなわち、ポット10内の溶融金属90は、一方の開口部30aから循環管路30内に導かれ、所定位置30cで加熱された溶融金属90が、他方の開口部30bから再びポット10内に戻る循環を繰り返すようになっている。なお、同図中の循環管路30内に付記する矢印は溶融金属90の循環方向を示している。
この循環によって生じる溶融金属90の動圧は、インダクタ40に加えられる出力に比例する。すなわち、インダクタ40の出力が大きければ、開口部30bから溶融金属90が吹き出す勢いが強くなり、インダクタ40の出力が小さければ、開口部30bから溶融金属90が吹き出す勢いも小さくなる。
次に、本発明に係る浴温制御処理を実行する出力制御装置50A並びにその出力制御に係る構成を図3を参照しながら説明する。図3は、当該浴温制御処理に係る構成を示すブロック図である。
同図に示すように、出力制御装置50Aは、所定の第一の出力で前記インダクタ40を制御する第一の出力制御手段51Aと、所定の第二の出力で前記インダクタ40を制御する第二の出力制御手段52Aと、第一の出力制御手段51Aおよび第二の出力制御手段52Aの実行を切り替える出力切り替え手段53Aと、を含んで構成されている。
この出力制御装置50Aには、温度測定装置60と、連続溶融金属めっき設備1自体の操業制御手段65からの操業状態信号が信号線を介してそれぞれ接続されており、また、第一・第二の出力制御手段51A、52Aからインダクタ40へ出力配線がそれぞれ接続されている。
このような構成からなる出力制御装置50Aは、例えばマイクロプロセッシングユニット(MPU)等から構成され、ROMの所定領域に格納されている所定のプログラムを起動させ、そのプログラムに従って、図4のフローチャートに示す浴温制御処理を実行するようになっている。なお、このフローチャート中の「高温目標値」および「低温目標値」は、それぞれ予め定められたデータとしてROMの所定領域に格納されており、随時参照されるようになっている。
ここで、この浴温制御処理でのインダクタ40の二つの出力制御は、本来の浴温目標値自体に対してではなく、この浴温目標値より高い「高温目標値」と、この浴温目標値より低い「低温目標値」とを基礎として定めている。すなわち、所定の第一の出力は、温度測定装置60により測定される浴温を、「低温目標値」に向かって直線的に下降させるようにインダクタ40を制御する出力であり、所定の第二の出力は、温度測定装置60により測定される浴温を、「高温目標値」に向かって直線的に上昇させるようにインダクタ40を制御する出力として予め設定されており、それぞれのデータをROM等の記憶領域に随時読み出し可能に格納している。
また、この浴温制御処理での二つの維持時間は、オフラインによる実験によって、めっき浴内の特定点での温度が所定の温度になってからの浴全体の浴温のばらつきを予め把握し、所定の温度に浴全体が攪拌されたとみなすことができるまでのそれぞれの時間をデータとして求めて、この時間を各維持時間としている。
なお、この浴温制御処理によるめっき浴の二つの目標値である高温目標値と低温目標値との温度差は、20℃以内とすることが好ましく、10℃以内とすることがより好ましい。ただし、本来の浴温目標値に対する温度差は、5℃程度の幅をもって各目標値(特に低温目標値)を設定することが好ましい。これは、浴中温度差が5℃を超えるにしたがってボトムドロス堆積量が急激に増加するためである。また、二つの目標値の温度差の幅が小さいと、十分な攪拌効果が期待できなくなる恐れがあるからである。
次に、この浴温制御処理についてフローチャートを参照しつつ、より詳しく説明する。
図4に示すように、この浴温制御処理は、連続めっき停止中における浴温制御処理であって、出力制御装置50Aにおいて浴温制御処理が実行されると、まず、ステップS102に移行する。ステップS102では、温度測定装置60から「現在浴温」を読み込み、ステップS104に移行する。ステップS104では、「現在浴温」と「低温目標値」とを比較して、「現在浴温」≧「低温目標値」と判定したとき(Yes)は、ステップS200に移行するが、「現在浴温」<「低温目標値」と判定したとき(No)はステップS300に移行する。
そして、ステップS200では、所定の第一の出力による第一の出力制御を実行し、ステップS202に移行する。ステップS202では、温度測定装置60から「現在浴温」を改めて読み込み、ステップS204に移行する。
ステップS204では、改めて読み込んだ「現在浴温」と、「低温目標値」とを比較して、「現在浴温」<「低温目標値」と判定したとき(Yes)は、ステップS206に移行するが、「現在浴温」≧「低温目標値」と判定したとき(No)は、ステップS202に処理を戻す。
ステップS206では、予め定めた「第一の維持時間」(T=n)に設定されたタイマを作動させてステップS208に移行する。ステップS208では、「第一の維持時間」が経過した(T=0)とき(Yes)は、当該第一の出力制御による一連の処理を終了(終了判定)して、ステップS400に移行するが、「第一の維持時間」が経過していない(T>0)とき(No)は、「第一の維持時間」が経過する(T=0)まで、ステップS208で待機する。
そして、ステップS300では、所定の第二の出力による第二の出力制御を実行し、ステップS302に移行する。ステップS302では、温度測定装置60から「現在浴温」を改めて読み込み、ステップS304に移行する。
ステップS304では、改めて読み込んだ「現在浴温」と、「高温目標値」とを比較して、「現在浴温」>「高温目標値」と判定したとき(Yes)は、ステップS306に移行するが、「現在浴温」≦「高温目標値」と判定したとき(No)は、ステップS302に処理を戻す。
ステップS306では、予め定めた「第二の維持時間」(T=m)に設定されたタイマを作動させてステップS308に移行する。ステップS308では、「第二の維持時間」が経過した(T=0)とき(Yes)は、当該第二の出力制御による一連の処理を終了(終了判定)して、ステップS400に移行するが、「第二の維持時間」が経過していない(T>0)とき(No)は、「第二の維持時間」が経過する(T=0)まで、ステップS308で待機する。
そして、ステップS400では、操業制御手段65から受信している操業状態信号を判定し、操業停止中と判定したとき(Yes)は、ステップS102に移行して連続めっき停止中における浴温制御処理を継続するが、操業中と判定したとき(No)は元の処理に復帰する。
ここで、本実施形態では、上記の処理中、出力切り替え手段53Aは、ステップS102からステップS104の浴温制御処理に対応し、第一の出力制御手段51Aは、ステップS200からステップS208の浴温制御処理に対応し、第二の出力制御手段52Aは、ステップS300からステップS308の浴温制御処理に対応している。
なお、上記の処理中、ステップS200およびステップS300は、相互が排他的に実行されるようになっている。すなわち、一方が動作しているときは、他方は動作しない。
次に、本発明に係る第一実施形態における作用・効果について説明する。
上述のように、この連続溶融金属めっき設備1は、連続めっき停止中の浴温の制御を行うために、二つの浴温目標値を定めている。この二つの浴温目標値としては、連続めっき停止中の浴温目標値より高い高温目標値および当該浴温目標値より低い低温目標値としている。そして、浴温測定装置60によってポット10内の所定箇所での浴温を測定し、この浴温と、高・低温目標値とを比較して現在浴温の状況を判定し、その判定に基づいて、二つの出力手段によってインダクタ40の出力を交互に変える構成としている。
そのため、インダクタ40に与えられる二つの出力によって循環管路30から噴射される溶融金属90に脈動が生じるため、浴内を効果的に攪拌することができる。
特に、本実施形態における第一・第二の出力制御手段51A、52Aの出力制御は、本来の浴温目標値自体に対してではなく、この浴温目標値より高い高温目標値と、この浴温目標値より低い低温目標値とを基礎として定めている。
すなわち、単に浴温目標値自体を維持する通常のフィードバック制御では、連続めっき停止中のインダクタ40に、それほど大きな出力が必要とされない。そのため、めっき浴内に十分な攪拌効果を期待することができない。そこで、本実施形態では、浴温目標値を挟んだ二つの目標によって意図的に管理温度に幅を与えて、浴内に高温と低温の溶融金属90を交互に吹き出し、強い脈動を作ることによって、めっき浴内を強く攪拌できるようにしている。
これにより、大きな設備投資をすること無く、ポット10内の攪拌を好適に行うことができる。
ところで、温度測定装置60によって予め測定された浴温は、ポット10内の所定位置での温度データとして得られる。そのため、その所定位置での浴温が目標値に達したからといって、浴全体が均一に目標値に達しているわけではない。しかし、そのばらつきを減らすために浴温の測定点をむやみに増やしたり、浴温を判断する過程を複雑にすることは、装置を設置する手間や、故障確率の増大等の点から、必ずしも適当とはいえない。
そこで、本実施形態では、オフラインにて、めっき浴内の特定点での温度が所定の温度になってからの浴全体の浴温のばらつきを予め把握し、所定の温度に浴全体が攪拌されたとみなすことができるまでの時間をデータとして求め、この時間を維持時間としてインダクタ40の出力制御に加えている。
そして、第一の出力制御手段51Aでの終了判定は、温度測定装置60で測定された所定位置での浴温が低温目標値に到達し、この到達した時点から、予め定めた第一の維持時間が経過した後をもって当該終了判定としている。また、第二の出力制御手段52Aでの終了判定は、所定位置での浴温が高温目標値に到達し、この到達した時点から、予め定めた第二の維持時間が経過した後をもって当該終了判定としている。すなわち、各出力制御手段51A、52Aでの終了判定を、浴温が高・低温目標値に到達した時点とするのではなく、到達した時点から予め定めた維持時間を加えた時点をもって判定している。これにより、浴全体の浴温のばらつきがより少ない十分な攪拌を行うことができる。
また、この連続溶融金属めっき設備1では、タップ切り替えによる出力制御方式を採用している。そのため、インダクタ40の出力を段階的に変化させることができる。これにより、循環管路30から噴射される溶融金属90の脈動がより複雑に生じる。
次に、本発明に係る連続溶融金属めっき設備の第二実施形態について説明する。なお、上述した第一実施形態と同様な点については詳細な説明を省略し、異なる点について詳しく説明する。
第二実施形態では、第一・第二の出力制御手段51B、52Bに、オープンループによる制御を適用している点が、第一実施形態と異なっている。すなわち、上述の第一実施形態では、実際の浴温を測定しつつ、その浴温に基づくフィードバック制御を行っているが、第二実施形態は、浴温の制御を予め測定したデータに準じて制御している。
図5は、本発明の第二実施形態における概略構成図を示す。また、図6は、本発明の第二実施形態における浴温制御処理に係る構成を示すブロック図である。
図5に示すように、第二実施形態の構成は、温度測定装置60を使用しない点が第一実施形態と異なっている。
図6に示すように、第二実施形態の出力制御装置50Bは、第一実施形態と同様に、第一・第二の出力制御手段51B、52Bと出力切り替え手段53Bと、を含んで構成されている。そして、インダクタ40の二つの出力制御は、本来の浴温目標値自体に対してではなく、この浴温目標値より高い「高温目標値」と、この浴温目標値より低い「低温目標値」とを基礎として定めている。
第一の出力制御手段51Bによる所定の第一の出力は、現在の浴温を「低温目標値」に向かって直線的に下降させるようにインダクタ40を制御する出力としている。また、第二の出力制御手段52Bによる所定の第二の出力は、現在の浴温を、「高温目標値」に向かって直線的に上昇させるようにインダクタ40を制御する出力としてそれぞれ予め設定されている。
ただし、第二実施形態の出力制御装置50Bでは、高温目標値から低温目標値までポット10内の浴温が下降するのに要するインダクタ40の出力および時間の関係を第一の出力データとして予め求めるとともに、低温目標値から高温目標値までポット10内の浴温が上昇するのに要するインダクタ40の出力および時間の関係を第二の出力データとして予め求めており、それぞれのデータを所定の記憶領域に随時読み出し可能に格納している。
ここで、第一・第二の出力制御手段51B、52Bに参照される各出力データは、インダクタ40の出力が、三段階のタップ切り替え式であれば、各タップの出力に対して、単位時間が経過するごとの浴温の変化量をテーブルデータとして上記所定の記憶領域に格納している。そのため、所定のタップによってインダクタ40の出力を制御する所定時間を定めれば、その所定時間に対応する浴温の変化量が決まるから浴温制御を行うことができる。なお、インダクタ40の出力が、例えば無段階のインバータ式であれば、周波数ごとの出力に対して、単位時間が経過するごとの浴温の変化量をテーブルデータとして上記所定の記憶領域に格納して同様の制御を行うことができる。
そして、第一の出力制御手段51Bは、第一の出力データに基づいて定めた第一の時間が経過するまで、この第一の時間に対応する第一の出力データに基づく第一の出力でインダクタ40を制御し、第二の出力制御手段52Bは、第二の出力データに基づいて定めた第二の時間が経過するまで、この第二の時間に対応する第二の出力データに基づく第二の出力でインダクタ40を制御している。そして、出力切り替え手段53Bは、連続めっき停止中に第一・第二の出力制御手段51B、52Bを交互に実行する構成としている。なお、それぞれのデータをROM等の記憶領域に随時読み出し可能に格納している点等は第一実施形態と同様である。
図7は、第二実施形態における浴温制御処理を示すフローチャートである。
なお、以下の処理中の「初期浴温制御」とは、本実施形態でのオープンループによる制御により現在浴温の監視がされず、操業停止時の現在浴温と目標浴温との補正がただちに行われないため、本来の目標浴温に、制御している想定浴温が収束する時間を短縮するために行う補助制御である。
同図(a)に示すように、この浴温制御処理は、連続めっき停止中における浴温制御処理であって、出力制御装置50Bにおいて浴温制御処理が実行されると、まず、ステップ
S504に移行するようになっている。ステップS504では、初期浴温制御が実行されているかを「初期浴温制御フラグ」がセットされているか否かによって判定し、「初期浴温制御フラグ」がセットされていると判定したとき(Yes)は、ステップS510に移行するが、「初期浴温制御フラグ」がセットされていないと判定したとき(No)は、ステップS506に移行する。
ステップS506では、所定の初期制御を実行し、ステップS508に移行する。ステップS508では、「初期浴温制御フラグ」をセットして、ステップS510に移行する。
ステップS510では、前回実行された出力制御が「第二制御手段」(52B)か否かを判定し、「第二制御手段」(52B)と判定したとき(Yes)は、ステップS600に移行するが、「第二制御手段」(52B)ではないと判定したとき(No)は、ステップS700に移行する。なお、ステップS510が出力切り替え手段53Bに対応している。
同図(b)に示すように、ステップS600は、連続めっき停止中における第一制御手段51Bに対応する浴温制御処理であって、第一制御手段51Bが実行されると、まず、ステップS602に移行するようになっている。
ステップS602では、予め定めた「第一の出力制御時間」(T=p)に設定されたタイマを作動させて、ステップS604に移行する。そして、ステップS604では、所定の第一の出力による第一の出力制御を実行し、ステップS606に移行する。
ステップS606では、「第一の出力制御時間」が経過した(T=0)とき(Yes)は、当該第一の出力制御による一連の処理を終了(終了判定)して、ステップS800に移行するが、「第一の出力制御時間」が経過していない(T>0)とき(No)は、「第一の出力制御時間」が経過する(T=0)まで、ステップS606で待機する。
同図(c)に示すように、ステップS700は、連続めっき停止中における第二制御手段52Bに対応する浴渦制御処理であって、第二制御手段52Bが実行されると、まず、ステップS702に移行するようになっている。
ステップS702では、予め定めた「第二の出力制御時間」(T=q)に設定されたタイマを作動させて、ステップS704に移行する。そして、ステップS704では、所定の第二の出力による第二の出力制御を実行し、ステップS706に移行する。
ステップS706では、「第二の出力制御時間」が経過した(T=0)とき(Yes)は、当該第二の出力制御による一連の処理を終了(終了判定)して、ステップS800に移行するが、「第二の出力制御時間」が経過していない(T>0)とき(No)は、「第二の出力制御時間」が経過する(T=0)まで、ステップS706で待機する。
ステップS800では、操業制御手段65から受信している操業状態信号を判定し、操業停止中と判定したとき(Yes)は、ステップS504に移行して連続めっき停止中における浴温制御処理を継続するが、操業中と判定したとき(No)はステップS802に移行する。ステップS802では、「初期浴温制御フラグ」をリセットして、元の処理に復帰する。
ここで、図7に示すフローチャート中、「第一の出力制御時間(T=p)」は、第一の出力データから求めた時間に予め定めた第一の維持時間を加えた時間であり、「第二の出力制御時間(T=q)」は、第二の出力データから求めた時間に予め定めた第二の維持時間を加えた時間である。この各維持時間の決定の仕方については、上述した第一実施形態同様である。また、上記の処理中、ステップS600およびステップS700は、相互が排他的に実行されるようになっている。すなわち、一方が動作しているときは、他方は動作しない。
なお、上記第二実施形態における浴温制御処理を示す処理では、出力切り替え手段53Bによって第一・第二の出力制御手段51B、52Bを、交互に変えてインダクタ40の出力を制御する浴温制御処理に加えて、初期浴温制御を実行するようになっているが、初期浴温制御は、必ずしも必要ではなく、初期浴温制御を行わない処理によって浴温制御処理を構成してもよい。ただし、その場合は、操業停止時の現在浴温と、目標浴温との補正がただちに行われないため、本来の目標浴温に収束する時間が長くなる。
次に、本発明に係る第二実施形態における作用・効果について説明する。
第二実施形態では、連続めっき停止中の浴温の制御を行うために、予め求めておいた第一・第二の出力データに基づいてそれぞれ制御を行う第一・第二の出力制御手段51B、52Bを、出力切り替え手段53Bによって交互に変えて、インダクタ40の出力を制御する構成としている。特に、この出力制御の基礎となる第一・第二の出力データは、本来の浴温目標値に対してではなく、この浴温目標値より低い高温目標値と、この浴温目標値より高い低温目標値とを基礎として定めている。
すなわち、第一実施形態同様に、浴温目標値を挟んだ二つの目標によって意図的に管理温度に幅を与えることによって、浴内に強い脈動を作るとともに、高温と低温の溶融金属を交互に吹き出して、浴内を強く攪拌することができる。これにより、大きな設備投資をすること無く、ポット10内の攪拌を好適に行うことができる。
そして、第一の出力制御時間は、第一の出力データから求めた時間に、予め定めた第一の維持時間を加えた時間であり、第二の出力制御時間は、第二の出力データから求めた時間に、予め定めた第二の維持時間を加えた時間としている。すなわち、上述した第一実施形態同様に、第一・第二の出力制御手段51B、52Bによる各所定出力を加える各所定時間として、予め求めた時間を直接用いるのではなく、予め求めた時間に、予め定めた維持時間をそれぞれ加えて各所定時間としている。
これにより、高・低温目標値に到達してからも、その出力が各維持時間だけ維持される。そのため、浴全体の浴温のばらつきがより少ない十分な攪拌能力を得ることができる。
以上説明したように、上記各実施形態によれば、めっき浴内を攪拌し、めっき浴の浴中温度差のばらつきを効果的に抑制することができる。したがって、めっき浴内のドロス発生を好適に抑制することができる。
なお、本発明に係る連続溶融金属めっき設備は上記各実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲であれば適宜変更可能である。
例えば、上記各実施形態では、インダクタ40を二基設置しているが、これに限定されず、その設置台数は特に制限されるものではない。
また、上記各実施形態では、インダクタ40は、タップ切り替えによる出力制御方式を採用しているが、これに限定されず、インダクタ40の出力を連続的に変える出力制御方式を採用してもよい。連続的に変える方法としては、例えばインバータによる出力制御を例示することができる。インダクタ40の出力を連続的に変えることによって、浴温を円滑に変化させて温度管理を行うことができる。
さらにまた、上記各実施形態では、インダクタ40は、溶融金属90の循環を行うための取り込みおよび吹き出し口として、二つの開口部30a、30bを個別に備えているが、これに限定されず、例えば3箇所の開口部を設け、中央1箇所を溶融金属90の取り込み口として、両側の2箇所を吹き出し口とすることもできる。
また、上記各実施形態では、第一(第二)の出力制御手段51A、52A、51B、52Bによる浴温制御を、高温目標値から低温目標値(低温目標値から高温目標値)に直線的に向かうように制御しているが、この制御は必ずしも直線的に目標値に向かう制御に限定されない。例えば時間系列に沿って段階的にいくつかの出力に分けて制御してもよい。また、浴温を上下させながら目標値に向かう制御としてもよい。また、出力を一時的に止める制御を組み合わせても構わない。
また、上記第一実施形態では、めっき浴温を温度測定装置60で測定する所定位置を一箇所としているが、本発明はこれに限定されず、例えば、めっき浴の上部および下部の二箇所としてもよい。なお、このような二箇所の位置としては、めっき浴の上部として、めっき浴の深さを1.0としたとき、浴面から0.1〜0.2下方の箇所と、めっき浴の下部として、浴面から0.8〜0.9下方の箇所とすれば、めっき浴の深さ方向での温度差をより正確に把握する上で好ましい。また、上記第二実施形態の構成を採用すれば、温度測定装置60を用いない構成とすることも可能である。さらにまた、温度測定装置60を使用しつつ、上記第二実施形態のようにオープンループによる制御とすることもできる。
また、本発明は、特段の設備投資を行わないでも十分な攪拌効果によってドロスの発生を抑制しうるものであるが、例えばめっき浴攪拌装置として、図14に示したような回転翼式攪拌装置を併用しても差し支えない。また、その他の併設しうるめっき浴攪拌装置としては、めっき浴を攪拌し、浴中温度差を低減可能な装置であればその方式、型式等に特に制限を受けるものではない。しかし、設備投資を抑制しつつ浴温を好適に管理する上では、特段の設備を付加しないで本発明の構成を採用することが望ましい。
次に、本発明の連続溶融金属めっき設備を適用した実施例について説明する。
(実施例1)
本実施例は、連続溶融亜鉛めっき設備(CGL)に上記第一実施形態の構成を適用した例である。すなわち、本実施例では、現在浴温を監視しつつ、第一・第二の出力制御手段51A、52Aを切り替えて浴温制御処理を実行している。なお、インダクタ40の出力は、三段階からなるタップ切り替え方式を採用しており、三段階のうち中間の出力を、高温目標値および低温目標値をそれぞれ維持するための補助出力として用いている。
この補助出力とは、上記第一実施形態の浴温制御処理での各維持時間において、各維持時間中のめっき浴内の特定点での温度が、高温目標値と低温目標値との温度差が20℃を超えないように、各目標値に対してそれぞれフィードバック制御を行う出力である。
なお、操業条件等は一般的な連続溶融亜鉛めっきの操業条件と同様であるため説明を省略する。
図8は、実施例1における浴温制御処理による時間と浴温との関係を示すグラフである。
同図中、符号THは高温目標値(470℃)、TMは本来の浴温目標値(465℃)、TLは低温目標値(460℃)またT60は温度測定装置60により測定した浴温である(以下、他の実施例にて同じ)。また、符号P1は第一の出力制御手段51Aによるインダクタ40の出力、P2は第二の出力制御手段52Aによるインダクタ40の出力、P3は上記三段階のうち中間の補助出力である(以下、他の実施例にて同じ)。
同図に示すように、本発明の浴温制御処理によって、浴温が高温目標値THと低温目標値TLとの間を交互に大きく行き来するように変化していることが分かる。これにより、めっき浴内を好適に攪拌することができる。そのため、連続めっき停止中におけるめっき浴中の温度差を低減させることができる。
図9は、実施例1における浴温制御処理による浴温分布の結果を、浴面からの深さと浴温との関係として示すグラフである。また、図10は、従来の連続溶融亜鉛めっき設備での連続めっき停止中における浴面からの深さと浴温との関係を示すグラフである。
図9から分かるように、実施例1における浴温制御処理によれば、ポット10の深さ方向での温度差は±5℃以内に低減していることが分かる。このように、本発明の浴温制御処理によって深さ方向での温度差が均一化されるとともに、本来の浴温目標値TMに対しても安定した浴温の範囲に制御されていることがわかる。この浴温制御処理による実際のボトムドロスの堆積量は、1mm/1日間であった。
一方、図10から分かるように、従来は、ポット10の深さ方向で10℃を超える温度差が発生しており、特に、ポット10の下部での浴温が低いため、ボトムドロスが発生し易いことが分かる。この浴温制御処理による実際のボトムドロスの堆積量は、10mm/1日間であった。このことから、本発明の浴温制御処理によれば、ボトムドロスの発生を大幅に抑制(この例では1/10)可能であることが確認できた。
(実施例2)
本実施例は、連続溶融亜鉛めっき設備(CGL)に本発明に係る上記第二実施形態の構成を適用した例である。すなわち、本実施例では、予め求めたデータに基づく所定の出力および時間によって、第一・第二の出力制御手段51B、52Bを切り替えて浴温制御処理を実行している。なお、インダクタ40の出力は、本実施例では上記補助出力は用いていない。二段階からなるタップ切り替え方式を採用している。なお、その他の条件等は実施例1と同様であるため説明を省略する。
図11は、実施例2における浴温制御処理による時間と浴温との関係を示すグラフである。
同図に示すように、本発明の浴温制御処理によって、浴温が高温目標値THと低温目標値TLとの間を交互に大きく行き来するように変化していることが分かる。これにより、めっき浴内を好適に攪拌することができる。
(実施例3)
本実施例は、連続溶融亜鉛めっき設備(CGL)に本発明に係る上記第一実施形態の構成を適用した例である。すなわち、本実施例では、現在浴温を監視しつつ、第一・第二の出力制御手段51A、52Aを切り替えて浴温制御処理を実行している。なお、インダクタ40の出力は、インバータによる連続(無段階切り替え)方式を採用している。なお、その他の条件等は実施例1と同様であるため説明を省略する。
図12は、実施例3における浴温制御処理による時間と浴温との関係を示すグラフである。
同図に示すように、本発明の浴温制御処理によって、浴温が高温目標値THと低温目標値TLとの間を交互に大きくかつ円滑に行き来するように変化していることが分かる。これにより、めっき浴内を好適に攪拌することができる。
(実施例4)
本実施例は、連続溶融亜鉛めっき設備(CGL)に本発明に係る上記第二実施形態の構成を適用した例である。すなわち、本実施例では、予め求めたデータに基づく所定の出力および時間によって、第一・第二の出力制御手段51B、52Bを切り替えて浴温制御処理を実行している。なお、インダクタの出力は、インバータによる連続(無段階切り替え)方式を採用している。なお、その他の条件等は実施例2と同様であるため説明を省略する。
図13は、実施例4における浴温制御処理による時間と浴温との関係を示すグラフである。
同図に示すように、本発明の浴温制御処理によって、浴温が高温目標値THと低温目標値TLとの間を交互に大きくかつ円滑に行き来するように変化していることが分かる。これにより、めっき浴内を好適に攪拌することができる。
以上説明したように、本発明の連続溶融金属めっき設備によれば、大きな設備投資をすることなく、めっき浴内を好適に攪拌することができる。そのため、連続めっき停止中におけるめっき浴中の温度差を低減させることができる。したがって、ボトムドロスの発生を抑制し、連続溶融金属めっき処理を好適に行うことができる。
本発明に係る連続溶融金属めっき設備の第一実施形態における概略構成図である。 本発明に係る連続溶融金属めっき設備の第一実施形態における概略構成図である。 第一実施形態における浴温制御処理に係る構成を示すブロック図である。 第一実施形態における浴温制御処理を示すフローチャートである。 本発明に係る連続溶融金属めっき設備の第二実施形態における概略構成図である。 第二実施形態における浴温制御処理に係る構成を示すブロック図である。 第二実施形態における浴温制御処理を示すフローチャートである。 実施例1における浴温制御処理による時間と浴温との関係を示すグラフである。 実施例1における浴温制御処理による浴面からの深さと浴温との関係を示すグラフである。 浴温制御処理を行わない場合における浴面からの深さと浴温との関係を示すグラフである。 実施例2における浴温制御処理による時間と浴温との関係を示すグラフである。 実施例3における浴温制御処理による時間と浴温との関係を示すグラフである。 実施例4における浴温制御処理による時間と浴温との関係を示すグラフである。 従来の連続溶融金属めっき設備の説明図である。 従来の連続溶融金属めっき設備の説明図である。
符号の説明
1 連続溶融亜鉛めっき設備
10 ポット(めっき浴槽)
20 シンクロール(浸漬ロール)
30 循環管路
40 インダクタ(加熱コイル)
50A、50B 出力制御装置
51A、51B 第一の出力制御手段
52A、52B 第二の出力制御手段
53A、53B 出力切り替え手段
55 電源
60 温度測定装置
65 操業制御手段
70 噴射ノズル
80 鋼帯(ストリップ)
90 溶融金属

Claims (6)

  1. 溶融金属を貯留するめっき浴槽と、該めっき浴槽内の溶融金属を循環させる循環管路と、該循環管路内の溶融金属を誘導加熱する加熱コイルと、該加熱コイルの出力を制御する出力制御装置と、前記めっき浴槽内の所定位置での浴温を測定する浴温測定装置と、を備え、
    前記めっき浴槽内に鋼帯を連続的に通過させて、該鋼帯に連続的にめっきを施す連続溶融金属めっき設備において、
    連続めっき操業中の浴温目標値より高い高温目標値および当該浴温目標値より低い低温目標値をそれぞれ定め、
    前記出力制御装置は、
    前記浴温測定装置によって測定された浴温が前記低温目標値以下になったと終了判定をするまで前記低温目標値に向かって浴温を下降させる第一の出力に前記加熱コイルの出力を制御する第一の出力制御手段と、
    前記浴温測定装置によって測定された浴温が前記高温目標値以上になったと終了判定をするまで前記高温目標値に向かって浴温を上昇させる第二の出力に前記加熱コイルの出力を制御する第二の出力制御手段と、を備え、
    連続めっき停止中に前記第一・第二の出力制御手段を交互に実行することを特徴とする連続溶融金属めっき設備。
  2. 請求項1において、
    前記第一の出力制御手段での終了判定は、前記浴温測定装置によって測定された浴温が前記低温目標値に到達した時点から予め定めた第一の維持時間が経過したと判定したときとし、
    前記第二の出力制御手段での終了判定は、前記浴温測定装置によって測定された浴温が前記高温目標値に到達した時点から予め定めた第二の維持時間が経過したと判定したときとすることを特徴とする連続溶融金属めっき設備。
  3. 溶融金属を貯留するめっき浴槽と、該めっき浴槽内の溶融金属を循環させる循環管路と、該循環管路内の溶融金属を誘導加熱する加熱コイルと、該加熱コイルの出力を制御する出力制御装置と、を備え、
    前記めっき浴槽内に鋼帯を連続的に通過させて、該鋼帯に連続的にめっきを施す連続溶融金属めっき設備において、
    連続めっき操業中の浴温目標値より高い高温目標値および当該浴温目標値より低い低温目標値をそれぞれ定め、
    前記高温目標値から前記低温目標値まで前記めっき浴槽内の浴温が下降するのに要する前記加熱コイルの出力および時間の関係を第一の出力データとして予め求めるとともに、前記低温目標値から前記高温目標値まで前記めっき浴槽内の浴温が上昇するのに要する前記加熱コイルの出力および時間の関係を第二の出力データとして予め求め、
    前記出力制御装置は、
    前記第一の出力データに基づいて定めた第一の時間が経過するまで、該第一の時間に対応する前記第一の出力データに基づく第一の出力に前記加熱コイルを制御する第一の出力制御手段と、
    前記第二の出力データに基づいて定めた第二の時間が経過するまで、該第二の時間に対応する前記第二の出力データに基づく第二の出力に前記加熱コイルを制御する第二の出力制御手段と、を備え、
    連続めっき停止中に前記第一・第二の出力制御手段を交互に実行することを特徴とする連続溶融金属めっき設備。
  4. 請求項3において、
    前記第一の時間は、前記第一の出力によって前記高温目標値から前記低温目標値まで前記めっき浴槽内の浴温が下降するのに要する時間に、予め定めた第一の維持時間を加えた時間とし、
    前記第二の時間は、前記第二の出力によって前記低温目標値から前記高温目標値まで前記めっき浴槽内の浴温が上昇するのに要する時間に、予め定めた第二の維持時間を加えた時間とすることを特徴とする連続溶融金属めっき設備。
  5. 請求項1〜4のいずれかにおいて、
    前記第一・第二の出力制御手段の少なくとも一方は、前記加熱コイルの出力を段階的に変えることを特徴とする連続溶融金属めっき設備。
  6. 請求項1〜4のいずれかにおいて、
    前記第一・第二の出力制御手段の少なくとも一方は、前記加熱コイルの出力を連続的に変えることを特徴とする連続溶融金属めっき設備。
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