JP2005120327A - 電子材料用樹脂組成物,プリント配線板用の銅張板,カバーレイフィルム及びプリプレグ - Google Patents

電子材料用樹脂組成物,プリント配線板用の銅張板,カバーレイフィルム及びプリプレグ Download PDF

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Abstract

【課題】 加熱加圧硬化した際及び高温雰囲気下に曝した際でも酸化劣化を起こしにくく、よって、例えばプリント配線板用基板の接着剤として用いても金属箔とポリイミドフィルムに対して秀れた接着力を発揮することができる画期的な樹脂組成物を提供すること。
【解決手段】 ジエン構造を有さない樹脂と、酸素ラジカルの作用を防止する性質をもつ酸化防止剤とから成る樹脂組成物。
【選択図】 図1

Description

本発明は、耐熱老化性に秀れ、且つ、加熱加圧したり高温雰囲気下に曝しても初期剥離強度を長期間持続することが可能な電子材料用樹脂組成物に関するものである。
プリント配線板用の銅張積層板は、金属箔層/接着剤層(エポキシ樹脂組成物)/ポリイミドフィルム層を基本構造としており、該接着剤層は耐熱性に秀れるエポキシ樹脂とジシアンジアミド等の硬化剤を基本成分とするエポキシ樹脂組成物が採用される。そして、該接着剤層には、柔軟性を付与すべくゴム成分、例えばニトリルブタジエンゴム(NBR)が添加されている(NBR添加型エポキシ樹脂組成物が採用されている。)。
ところで、フレキシブルプリント配線板用の基板は、適度な柔軟性を有するが、基板を成形する際の加熱加圧処理及び硬化成形後に該基板を高温雰囲気下に曝らす処理の際に熱老化(熱劣化)を起こし易く、これにより接着剤と金属箔(銅箔)との接着力,接着剤とポリイミドフィルムとの接着力が低下してしまうという問題点がある。尚、プリント配線板分野における熱老化(熱劣化)とは、所定温度(例えば150℃)中に所定時間(例えば240時間)経過させた後に起こる力学的特性(例えば曲げ,引張り,銅箔との引き剥がし強さ等)の劣化(低下)のことである。
この熱老化(熱劣化)は、NBRが原因と考えられ、加熱加圧処理及び高温雰囲気下に曝らす処理の際に、空気中の酸素が有する不対電子が、NBRが有するジエン構造に作用して該ジエン構造が開裂し、該開裂により活性なラジカルが発生して該活性なラジカルと該NBR添加型エポキシ樹脂組成物中の分子とが反応して熱劣化が生じると考えられる。
尚、ポリイミドは酸素透過性を有する素材であり、そのために、酸素がポリイミドフィルムを透過してNBR添加型エポキシ樹脂組成物に作用するものと考えられる。
従って、上記NBR添加型エポキシ樹脂組成物からなるフレキシブルプリント配線板用基板は、加熱加圧した際や高温雰囲気下に曝した際に接着剤と金属箔及び接着剤とポリイミドフィルムが剥離するおそれを有し、実用的とは言い難い。
本発明は、熱可塑性樹脂として例えばジエン構造を有さない樹脂を採用し、該熱可塑性樹脂と熱硬化性樹脂とから構成される樹脂成分と、硬化剤と、酸素ラジカルの作用を防止する性質を有する酸化防止剤とを適正な配合割合で混合して製造されることで、加熱加圧した際及び高温雰囲気下に曝した際でも熱老化を起こしにくく、よって、例えばプリント配線板用の基板に接着剤として使用しても金属箔やポリイミドフィルムに対して秀れた接着力を発揮する耐熱老化性に秀れた画期的な電子材料用樹脂組成物を提供するものである。
本発明の要旨を説明する。
熱可塑性樹脂と、酸素ラジカルの作用を防止する性質をもつ酸化防止剤とから成ることを特徴とする電子材料用樹脂組成物に係るものである。
また、請求項1記載の電子材料用樹脂組成物において、熱可塑性樹脂としてジエン構造を有さない樹脂が採用されていることを特徴とする電子材料用樹脂組成物に係るものである。
また、請求項2記載の電子材料用樹脂組成物において、ジエン構造を有さない樹脂としてフェノキシ樹脂若しくはブチラール樹脂が採用されていることを特徴とする電子材料用樹脂組成物に係るものである。
また、請求項1〜3いずれか1項に記載の電子材料用樹脂組成物において、熱可塑性樹脂は、20乃至100重量%混合されていることを特徴とする電子材料用樹脂組成物に係るものである。
また、請求項4記載の電子材料用樹脂組成物において、熱硬化性樹脂が0乃至80重量%混合されていることを特徴とする電子材料用樹脂組成物に係るものである。
また、請求項5記載の電子材料用樹脂組成物において、熱硬化性樹脂としてエポキシ樹脂が採用されていることを特徴とする電子材料用樹脂組成物に係るものである。
また、請求項5,6いずれか1項に記載の電子材料用樹脂組成物において、硬化剤が添加されていることを特徴とする電子材料用樹脂組成物に係るものである。
また、請求項7記載の電子材料用樹脂組成物において、硬化剤は、前記熱硬化性樹脂の当量数に対して0.4乃至1.2当量混合されていることを特徴とする電子材料用樹脂組成物に係るものである。
また、請求項1〜8いずれか1項に記載の電子材料用樹脂組成物において、前記酸化防止剤はπ電子を有することによりラジカルの超共役構造をとる物質が採用されたことを特徴とする電子材料用樹脂組成物に係るものである。
また、請求項1〜9いずれか1項に記載の電子材料用樹脂組成物において、酸化防止剤は一分子中に二つ以上の二重結合を有する環式化合物であることを特徴とする電子材料用樹脂組成物に係るものである。
また、請求項10記載の電子材料用樹脂組成物において、環式化合物は芳香族化合物であることを特徴とする電子材料用樹脂組成物に係るものである。
また、請求項11記載の電子材料用樹脂組成物において、芳香族化合物として、2,4,6−トリアルキルフェノール若しくは2,4,5−トリアルキルフェノールを含む芳香族化合物が採用されていることを特徴とする電子材料用樹脂組成物に係るものである。
また、請求項12記載の電子材料用樹脂組成物において、2,4,6−トリアルキルフェノール若しくは2,4,5−トリアルキルフェノールを含む芳香族化合物は、2,4,6−トリアルキルフェノール若しくは2,4,5−トリアルキルフェノールの少なくとも1つのアルキル基がt−ブチル基である芳香族化合物であることを特徴とする電子材料用樹脂組成物に係るものである。
また、請求項13記載の電子材料用樹脂組成物において、t−ブチル基はヒドロキシル基の両隣に設けられていることを特徴とする電子材料用樹脂組成物に係るものである。
また、請求項1〜14いずれか1項に記載の電子材料用樹脂組成物において、酸化防止剤は、全樹脂組成物に対して0.01乃至4.0重量%混合されていることを特徴とする電子材料用樹脂組成物に係るものである。
また、請求項1〜15いずれか1項に記載の電子材料用樹脂組成物において、この電子材料用樹脂組成物は、金属箔と合成高分子材との間,金属箔と金属箔との間若しくは合成高分子材と合成高分子材との間に配設されるものであることを特徴とする電子材料用樹脂組成物に係るものである。
また、請求項16記載の電子材料用樹脂組成物において、金属箔が銅箔であり、合成高分子材がポリイミドフィルム,ポリエチレンテレフタレートフィルム若しくはポリアミドフィルムであることを特徴とする電子材料用樹脂組成物に係るものである。
また、基材に銅箔を設けてなるプリント配線板用の銅張板であって、基材としてポリイミドフィルム若しくはポリアミドフィルムが採用され、このポリイミドフィルムと銅箔との間には請求項1〜15いずれか1項に記載の電子材料用樹脂組成物が配設されていることを特徴とするプリント配線板用の銅張板に係るものである。
また、プリント配線板に設けられるカバーレイフィルムであって、ポリイミドフィルム若しくはポリアミドフィルムの少なくとも片面に接着剤層として請求項1〜15いずれか1項に記載の電子材料用樹脂組成物が配設されていることを特徴とするカバーレイフィルムに係るものである。
また、請求項1〜15いずれか1項に記載の電子材料用樹脂組成物において、この電子材料用樹脂組成物はフィルム状に形成されていることを特徴とする電子材料用樹脂組成物に係るものである。
また、樹脂に補強材を設け、該樹脂を半硬化状態にして成るプリプレグであって、樹脂として請求項1〜15いずれか1項に記載の電子材料用樹脂組成物が採用されていることを特徴とするプリプレグに係るものである。
また、請求項21記載のプリプレグにおいて、補強材はガラス布であることを特徴とするプリプレグに係るものである。
本発明は上述のように構成したから、従来に比して熱老化(熱劣化)しにくい樹脂組成物を形成することができ、これにより、例えば該樹脂組成物を接着剤として用いたフレキシブルプリント配線板用基板においては、加熱加圧硬化したり該加熱加圧硬化後に高温雰囲気下に曝らしても、金属箔とポリイミドフィルムに対して秀れた接着力を発揮することができ、よって、金属箔やポリイミドフィルムが極めて剥離しにくい基板を実現することができる。
好適と考える本発明の実施の形態をその作用効果を示して簡単に説明する。
本発明の作用は次の通りと推測される。
本発明の熱可塑性樹脂として、例えば空気中の酸素が有する不対電子の酸化作用を受け易いジエン構造を有さない熱可塑性樹脂を採用することで、加熱加圧硬化したり、加熱加圧硬化した後高温雰囲気下に曝しても前記不対電子の酸化作用によって活性なラジカルが発生する事態が起こりにくくでき、これにより、酸化劣化しにくい電子材料用樹脂組成物となる。
また、本発明の樹脂成分は、20乃至100重量%に設定された熱可塑性樹脂と、0乃至80重量%に設定された熱硬化性樹脂とから成り、該熱可塑性樹脂と該熱硬化性樹脂との配合割合が適正である為、加熱加圧硬化したり、加熱加圧硬化した後高温雰囲気下に曝しても前記不対電子の酸化作用によって活性なラジカルが発生する事態が起こりにくく且つ該加熱加圧硬化によって所定形状に良好に成形可能な電子材料用樹脂組成物となる。
しかも、本発明の樹脂組成物には、酸素ラジカルの作用を防止する性質をもつ酸化防止剤が加えられている為、加熱加圧硬化した際や加熱加圧硬化後に高温雰囲気下に曝した際に前記不対電子が樹脂組成物に作用して活性なラジカルが発生しても、該活性なラジカルを前記酸化防止剤が取り込んで、安定した状態で保持するため、活性なラジカルが樹脂成分と反応することを抑制することができ、これにより、該樹脂成分が酸化劣化してしまうことを一層良好に抑制できることになる。
また、酸化防止剤の配合割合は、全樹脂組成物に対して0.01乃至4.0重量%に設定され、該配合割合が適正であるから、樹脂成分が酸化劣化してしまうことを確実に抑制できることになる。
また、本発明の樹脂組成物には、硬化剤が加えられ、該硬化剤の配合割合は熱硬化性樹脂の当量数に対して0.4乃至1.2当量という適正な割合に設定されている為、樹脂成分を加熱加圧により良好に硬化させることができる。
従って、本発明は従来に比して熱老化(酸化劣化)しにくい樹脂組成物を形成することができ、これにより例えば該樹脂組成物を接着剤として用いたフレキシブルプリント配線板用基板においては、加熱加圧硬化したり該加熱加圧硬化後に高温雰囲気下に所定時間曝らしても、金属箔とポリイミドフィルム層に対して秀れた接着力を発揮する耐老化性に秀れた画期的な電子材料用樹脂組成物となる。
また、例えば、前記熱硬化性樹脂として耐熱性に秀れるエポキシ樹脂が加えられることで、例えばプリント配線基板として要求されるはんだ処理,ホットエアー処理に対し信頼性が高く、更に寸法安定性を向上できることになる。
本発明において耐熱性とは、例えばはんだ処理,ホットエアー処理を行った際に、寸法安定性等の特性が常温時において保持されていた状態を何℃まで維持できるかをいう。具体的には、はんだ処理,ホットエアー処理等を再現した試験評価方法として、260℃若しくは300℃、1分間の保持試験を行い、基板の層間剥離が発生するか否かを確認する。また、耐熱老化性(耐熱劣化性)とは、所定温度下(具体的には150℃若しくは180℃)に所定時間(具体的には240時間)おいた後の曲げ,引っ張り,剥離強度等が所定の状態で保たれているか否かをいう。
本発明の具体的な実施例について説明する。
本実施例は、プリント配線板用基板の樹脂組成物に本発明を適用したものである。
即ち、本実施例は、プリント配線板用基板の接着剤であって、熱可塑性樹脂(ジエン構造を有さない熱可塑性樹脂)と熱硬化性樹脂とから構成される樹脂成分と、硬化剤と、酸素ラジカルの作用を防止する性質をもつ酸化防止剤とを混合して成る電子材料用樹脂組成物である。
本実施例は、金属箔層と合成高分子材層との間に配設される。
即ち、本実施例は、プリント配線板用基板として金属箔層(銅箔層)/樹脂組成物層/合成高分子材層(ポリイミドフィルム層)を基本構造とするものである。
本実施例の基板としては、両面プリント配線板や片面プリント配線板、多層プリント配線板、フレキシブルプリント配線板(片面,両面若しくは多層面)、フレックスリジットプリント配線板の各々に適用し得るものである。
本実施例では、金属箔層として銅箔層を採用し、合成高分子材層としてポリイミドフィルム層を採用したが、本実施例の樹脂組成物としての効果を発揮できれば、銅箔以外の金属箔を用いても良いし、ポリイミドフィルム層以外の合成高分子材層(例えばポリエチレンテレフタレートフィルム層やポリアミドフィルム層)を採用しても良い。
熱可塑性樹脂としては、ジエン構造を有さない樹脂であるフェノキシ樹脂が採用されている。
このフェノキシ樹脂としては、ビスフェノールA,ビスフェノールF,ビスフェノールS,水酸基を有するビフェニル等を共重合した高分子量エポキシ樹脂が採用されている。また、前記フェノキシ樹脂にハロゲン(具体的には臭素等)やリンを含有させることで該フェノキシ樹脂に難燃性を付与しても良い。
尚、本実施例におけるフェノキシ樹脂とは、上記ビスフェノール若しくは水酸基を有するビフェニル等とエポキシ基との反応の繰り返し数nが100程度以上のものをいう。このフェノキシ樹脂は、一般のエポキシ樹脂と異なり熱可塑性を示すが、電気特性,耐蝕性等のエポキシ樹脂の性能も合わせもっている。
また、フェノキシ樹脂は柔軟性を有するため、基板としての適度な柔軟性を付与できることになる。
尚、本実施例では、熱可塑性樹脂としてフェノキシ樹脂を採用したが、基板としての適度な柔軟性を付与できるものであれば適宜採用してもよく、例えばポリビニルブチラール(このポリビニルブチラールは、分子量がより大きいものを採用することが好ましい)を採用しても良い。
熱硬化性樹脂としては、エポキシ樹脂が採用されている。
エポキシ樹脂としては、一分子内にエポキシ基を少なくとも二個以上有するエポキシ樹脂が採用されている。
尚、本実施例におけるエポキシ樹脂としては、エポキシクレゾールノボラック,エポキシ化トリスフェニロールメタン,エポキシ化フェノールノボラック,エポキシ化メタキシレンジアミン,エポキシ化テトラフェニロールエタン若しくはシクロヘキサンエポキサイド等の脂環式エポキシ、又は、ビスフェノールA,ビスフェノールF,ビスフェノールS,ジヒドロキシナフタレン,レゾルシノール,ジシクロペンタジエンジフェノール等のジグリシルエーテルを採用しても良い。
また、上記エポキシ樹脂にハロゲン(具体的には臭素等)やリンを含有させることで、該エポキシ樹脂に難燃性を付与しても良い。
酸化防止剤としては、酸素ラジカルの作用を防止する性質を有するものが採用される。酸素ラジカルの作用を防止する性質を有するものは、加熱加圧硬化した際や加熱加圧硬化後に高温雰囲気下に曝した際に前記不対電子が樹脂組成物に作用して活性なラジカルが発生しても、該活性なラジカルを酸化防止剤が取り込んで安定した状態で保持する為、活性なラジカルがジエン構造を有さない樹脂組成物と反応することを抑制することができるからである。尚、このような性質を有するものとしては、酸化防止剤の他、重合禁止剤、ラジカルトラップ剤(ラジカル捕捉剤)若しくはラジカル安定剤等がある。
酸素ラジカルの作用を防止する性質をもつ酸化防止剤としては、π電子を有し該π電子の存在により、ラジカルの超共役構造をとることが可能な物質が採用されている。
これは、ラジカルの超共役構造による非局在化によって、電子供与基(即ちラジカル)が付与された場合に、該ラジカルを捕捉して安定した状態で存在させることができるためである。
具体的には、酸化防止剤としては、一分子中に二つ以上の二重結合を有する環式化合物としての芳香族化合物(環状につながるπ電子が共鳴安定化する性質を芳香族性という。)、具体的には、2,4,6−トリアルキルフェノール若しくは2,4,5−トリアルキルフェノールを含む芳香族化合物、特に、少なくとも1つのアルキル基がt−ブチル基である芳香族化合物(最も好ましくは、ヒドロキシル基の両隣がt−ブチル基であるもの)が考えられる。
芳香族化合物が有する共役電子の非局在化によって、加熱加圧硬化の際や高温雰囲気下に曝した際に活性なラジカルが発生しても、該活性なラジカルを安定した状態で保持できることになる。
また、t−ブチル基は非常に嵩高い官能基である為に、活性なラジカルを捕捉したヒドロキシル基の反応性を阻害することができ、また、t−ブチル基は電子供与性が秀れている為、環式化合物の有する環状電子雲構造と相俟って、活性なラジカルを安定した状態で存続させることができる。
本実施例では、酸化防止剤として、2,4,6−トリアルキルフェノールを含むものとして、図1に示すように、N,N’−ビス(3−(3,3−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニル)ヒドラジン(商品名:IRGANOX MD1024)、若しくは、ペンタエリスリチル−テトラキス(3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート)(商品名:IRGANOX 1010)が採用されている。
また、上記以外の、2,4,6−トリアルキルフェノールを含む酸化防止剤として以下に示すものを採用しても良い。
2官能型加工安定剤
2−tert−Butyl−6−(3−tert−butyl−2−hydroxy−5−methylbenzyl)−4−methylphenyl acrylate(商品名:Sumilizer GM)
2−[1−(2−hydroxy−3,5−di−pentylphenyl)et-hyl]−4,6−di−tert−pentylphenyl acrylate(商品名:Sumilizer GS(F))
フェノール系一次酸化防止剤
2,6−Di−tert−butyl−4−methylphenol(商品名:S-umilizer BHT(BHT−P))
2,2’−Methylenebis(6−tert−butyl−4−methy-lphenol)(商品名:Sumilizer MDP−S)
3,9−Bis[2−〔3−(3−tert−butyl−4−hydroxy−5−methylphenyl)propionyloxy〕−1,1−dimethyl-ethyl]−2,4,8,10−tetraoxaspiro[5・5]undec-ane(商品名:Sumilizer GA−80)
単剤添加型(SA−System)加工安定剤
6−[3−(3−t−Butyl−4−hydroxy−5−methylphen-yl)propoxy]−2,4,8,10−tetra−t−butyldiben-z[d,f][1,3,2]dioxaphosphepin(商品名:Sumili-zer GP)
ヒンダートフェノール系酸化防止剤
triethyleneglycol−bis〔3−(3−t−butyl−5−m-ethyl−4−hydroxyphenyl)propionate〕(商品名:I-RGANOX 245,245FF)
1,6−hexanediol−bis〔3−(3,5−di−t−butyl−4−hydroxyphenyl)propionate〕(商品名:IRGANOX 259)
2,4−bis−(n−octylthio)−6−(4−hydroxy−3,5−di−t−butylanilino)−1,3,5−triadine(商品名:I-RGANOX )(商品名:IRGANOX 565、565FL)
2,2’−thio−diethylenebis〔3−(3,5−di−t−bu-tyl−4−hydroxyphenyl)propionate〕(商品名:IRG-ANOX 1035FF)
octadecyl−3−(3,5−di−t−butyl−4−hydroxyp-henyl)propionate(IRGANOX 1076,1076FF)
N,N’−hexamethylenebis(3,5−di−t−butyl−4−hydroxy−hydrocinnamate)(商品名:IRGANOX 1098) 3,5−di−t−butyl−4−hydroxybenzylphospho-nate−diethylester(商品名:IRGANOX 1222)
1,3,5−trimethyl−2,4,6−tris(3,5−di−t−bu-tyl−4−hydroxybenzyl)benzene(商品名:IRGANOX 1330)
bis(3,5−di−t−butyl−4−hydroxybenzyl eth-yl phosphonate)calcium及びpolyethylenewax(50%)の混合物(商品名:IRGANOX 1425WL)
tris−(3,5−di−t−butyl−4−hydroxybenzyl)− isocyanurate(商品名:IRGANOX 3114)
2,4−bis〔(octylthio)methyl〕−o−cresol(商品名:IRGANOX 1520)
また、2,4,5−トリアルキルフェノールを含む酸化防止剤として例えば以下に示すものを採用しても良い。
フェノール系一次酸化防止剤
4,4’−Butylidenebis(6−tert−butyl−3−meth-ylphenol)(商品名:Sumilizer BBM−S)
4,4’−Thiobis(6−tert−butyl−3−methylphen-ol)(商品名:Sumilizer WX−R,WX−RA,WX−RC)
尚、本実施例では、酸化防止剤を一種類用いて樹脂組成物が形成される構成としたが、該酸化防止剤は二種類以上併用しても良い。即ち、酸化防止剤を併用しても同等の効果を発揮することができる。この場合、酸化防止剤の組み合わせによっては、一種類のみの場合に比してより秀れた効果を発揮することが可能となる。
また、本実施例の酸化防止剤と、以下の化合物とを併用して用いても良い。
Alkylated bisphenol(商品名:Sumilizer NW(N))
Dilauryl3,3’−thiodipropionate(商品名:Sumi-lizer TPL−R)
Dimyristyl3,3’−thiodipropionate(商品名:Su-milizer TPM)
Distearyl3,3’−thiodipropionate(商品名:Sum-ilizer TPS)
Pentaerythrityl tetrakis(3−laurylthiop-ropionate)(商品名:Sumilizer TP−D)
2−Mercaptobenzimidazole(商品名:Sumilizer MB)
Alkylated diphenylamine(商品名:Sumilizer 9A)
octyldiphenylamine(商品名:IRGANOX 5057)
tris(2,4−di−butylphenyl)phosphate(商品名:IRGAFOS 168)
また、硬化剤に加え、必要に応じて硬化促進剤を加えることが好ましい。
上記硬化剤や上記硬化促進剤としては、ジシアンジアミドとその誘導体,ノボラック型フェノール樹脂,アミノ変性ノボラック型フェノール樹脂,ポリビニルフェノール樹脂,アミン,ルイス酸,酸無水物,イミダゾール若しくはイソシアネートのうち少なくとも一種類を用いることができる。尚、硬化剤や硬化促進剤としては樹脂組成物を加熱加圧硬化できるものであれば、上記以外のものでも適宜採用しても良い。
次に配合量について説明する。
本実施例では、20乃至100重量%の熱可塑性樹脂と0乃至80重量%の熱硬化性樹脂との配合比で設定されている樹脂成分と、前記熱硬化性樹脂の当量数に対して0.4乃至1.2当量の範囲で配合される硬化剤と、全樹脂組成物に対して0.01乃至4.0重量%の範囲で配合される酸化防止剤から構成されている。
フェノキシ樹脂は、本実施例の樹脂組成物の全体に対して20乃至100重量%の割合で加えられることで効果を発揮するが、該フェノキシ樹脂の添加量が多いほど接着力が高い傾向にある。フェノキシ樹脂の添加量を20重量%よりも少ない割合とするとエポキシ樹脂等の主鎖が短い分子の割合が多くなり、反応が進むと該樹脂の間で三次元架橋構造が形成され、これにより、樹脂の柔軟性が著しく失われてしまい所望の特性(接着力等)が得られなくなる。また、フェノキシ樹脂の配合量が少なくなると、剥離強度が低下する傾向を有する。
エポキシ樹脂は、本実施例の樹脂組成物の全体に対して0乃至80重量%の割合で加えられることで効果を発揮するが、該エポキシ樹脂の添加量が多いほどガラス転移温度が上がり、高温雰囲気下における剥離強度が上がり、ハンダ耐熱性も向上する傾向にある。エポキシ樹脂の配合割合を80重量%よりも多くすると室温雰囲気下での剥離強度が低下する。
本実施例では、酸化防止剤が全体重量の0.1乃至4.0重量%添加されている。酸化防止剤の添加量を上記添加量に設定したのはラジカルを捕捉する効果を必要十分に発揮するためである。即ち、酸化防止剤の添加量を0.1重量%よりも少ない量とすると、活性なラジカルを捕捉して安定化させることが良好に行われなくなって酸化劣化を防止することが出来なくなり、該添加量を4.0重量%よりも多い量とすると銅箔とポリイミドフィルムに対する接着力が下がってしまい(特に初期剥離強度。ただし、例えば150℃乃至180℃のような高温雰囲気下に10日間曝した場合には、添加量が多い方が低下率が少ない。)、また、ハンダ耐熱性も悪くなる(ポリイミドフィルムと銅箔との間で剥離が起きて膨れてしまう現象が起こる。)。
尚、プリント配線分野においては、酸化防止剤の添加量を0.1乃至2.0重量%に設定することが好ましい。
また、硬化剤は、前記熱硬化性樹脂の当量数に対して、0.4乃至1.2当量の割合で加えられている。
硬化剤は、上記当量割合に設定することで効果を発揮するが、該硬化剤の当量が多いほど、エポキシ樹脂と同様、ガラス転移温度が上がり、高温雰囲気下における剥離強度が上がり、ハンダ耐熱性も向上する傾向にある。
また、硬化剤の当量を0.4当量より少ない量とすると樹脂組成物を硬化させるのに長時間を要したり、硬化できなくなってしまう。また、硬化剤の当量を1.2当量よりも多くすると、硬化速度が速くなって例えば樹脂組成物の可使時間が短くなり、プリプレグやカバーレイフィルム,本実施例の樹脂組成物をフィルム状にして成る接着シートにおいてはBステージ状態の可使時間が短くなり、樹脂組成物を所定形状に成形する作業に長時間を要する場合には、該加工に不向きとなってしまう。
尚、本実施例の樹脂組成物に熱硬化性樹脂が加えられないときは、硬化剤は添加してもしなくても良い。
本実施例における銅箔層及びポリイミドフィルム層は、プリント配線板用基板で通常使用されるものが採用されている。尚、銅箔及びポリイミドフィルムについては、プリント配線板に用いられるものであれば、適宜使用しても良い。
本実施例によれば、フェノキシ樹脂とエポキシ樹脂との混合物に2,4,6−トリアルキルフェノール、即ち、N,N’−ビス(3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニル)ヒドラジン若しくはペンタエリスリチル−テトラキス(3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート)を加えて加熱すると、該加熱によって、フェノキシ樹脂とエポキシ樹脂との混合物内で空気中の酸素が有する不対電子の酸化作用により活性なラジカルが発生する。
そして、発生した活性なラジカルは、N,N’−ビス(3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニル)ヒドラジン等のベンゼン環のもつ共役電子の非局在化によって捕捉されることで安定した状態となる。
従って、活性なラジカルが、フェノキシ樹脂とエポキシ樹脂との混合物と反応して該混合物を酸化劣化させることが抑制される。
更に、フェノキシ樹脂は柔軟性を有するため、基板として適度な柔軟性が付与される。
また、エポキシ樹脂が混合されていることから、はんだ処理,ホットエアー処理に対するより一層良好な耐熱性がプリント配線板用基板に付与される。
また、硬化剤の作用により、フェノキシ樹脂とエポキシ樹脂とが良好に硬化される。
本実施例は上述のように構成したから、従来に比して酸化劣化しにくい、即ち、熱老化(熱劣化)しにくい樹脂組成物を形成することができ、これにより、例えば該樹脂組成物を接着剤として用いたプリント配線板(用の基板)においては、加熱加圧硬化したり該加熱加圧硬化後に高温雰囲気下に曝されても、銅箔層とポリイミドフィルム層に対して秀れた接着力を発揮することができる耐熱老化性に秀れた画期的な電子材料用樹脂組成物となる。
また、酸化防止剤として、N,N’−ビス(3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニル)ヒドラジン若しくはペンタエリスリチル−テトラキス(3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート)が採用され、該酸化防止剤を樹脂組成物の全体に対して0.01重量%乃至4.0重量%という適正な範囲で配合されている為、前述のように、上記酸化防止剤のベンゼン環がもつ共役電子の非局在化によって活性なラジカルを捕捉(保持)して安定した状態にすることができ、これにより、活性なラジカルがフェノキシ樹脂とエポキシ樹脂との混合物と反応して該混合物が酸化劣化してしまうことを抑制し、よって、加熱加圧硬化したり加熱加圧硬化後に高温雰囲気下に曝しても長期間良好な使用状態を実現することができる。
即ち、通常は、加熱加圧硬化の際や高温雰囲気下に曝した際に空気中の酸素が有する不対電子の酸化作用によって活性なラジカルが発生し、該活性なラジカルはその他の分子(例えば樹脂を形成する分子)と反応することで酸化劣化を引き起こすが、本実施例の樹脂組成物はジエン構造を有さない上に活性なラジカルを酸化防止剤により安定した状態で保持できるため、前記その他の分子との反応を抑制でき、これにより、加熱加圧硬化したり高温雰囲気下に曝しても酸化劣化が極めて起こりづらい。
また、酸化防止剤を加えることで樹脂組成物の酸化劣化を抑制でき、これにより、熱老化による接着剤の変色(黄変,赤変)を防止することができる。
また、熱可塑性樹脂としてフェノキシ樹脂が採用され、該フェノキシ樹脂は20乃至100重量%という適正な割合で加えられている為、前述のように、基板として適度な柔軟性を付与し得るプリント配線板用基板に使用する樹脂組成物となる。
また、熱硬化性樹脂としては耐熱性に秀れるエポキシ樹脂が採用され、0乃至80重量%という適正な割合で加えられている為、前述のように、プリント配線板用基板として要求されるはんだ処理,ホットエアー処理に対し信頼性が高く、更に寸法安定性も向上させることができる。
また、硬化剤としてジシアンジアミドとその誘導体等が採用され、該硬化剤が前記熱硬化性樹脂の当量数に対して0.4乃至1.2当量という適正な割合で加えられている為、フェノキシ樹脂とエポキシ樹脂とを良好に加熱加圧硬化させることができる。
この際、硬化促進剤を加えることで、上記硬化をより一層良好に行うことができる。
尚、本実施例では、金属箔層とポリイミドフィルム層との間に樹脂組成物を配設することで、該樹脂組成物に金属箔及びポリイミドフィルムを接着した構成としたが、該樹脂組成物を金属箔層と金属箔層との間に配設して該樹脂組成物に各々の金属箔層を接着した構成としても良いし、該樹脂組成物をポリイミドフィルム層とポリイミドフィルム層との間に配設して該樹脂組成物に各々のポリイミドフィルム層を接着した構成としても良い。ポリイミドフィルム層間に樹脂組成物を配設する際には、該ポリイミドフィルム層としてフレキシブル銅張積層板(フレキシブルプリント配線板に用いられる銅張フィルム)を採用することができる。
また、本実施例では、プリント配線板用の銅張積層板を採用したが、樹脂組成物がポリイミドフィルム若しくはポリアミドフィルムの少なくとも片面に接着剤層として形成して成るカバーレイフィルムを採用しても良い。
また、樹脂組成物がフィルム状に形成されて成る接着シートを採用しても良い。
また、樹脂組成物を補強材(例えばガラス布等)に設けて成るプリプレグを採用しても良い。
また、本発明は、本実施例に限られるものではなく、各構成要件の具体的構成は適宜設計し得るものである。
以下に、本実施例の効果を裏付ける第一,第二実験例を示す。
第一実験例
図2に示す第一実験例は、従来のNBR添加型エポキシ樹脂組成物(以下、従来品という。),従来品に酸化防止剤を添加した樹脂組成物,本実施例の樹脂組成物から酸化防止剤を除いた樹脂組成物及び本実施例の樹脂組成物の4つの樹脂組成物を夫々接着剤として銅箔層とポリイミドフィルム層との間に配設し、温度180℃,圧力1.96MPa/cm2の状況下で1時間程度加熱加圧することで、該銅箔層とポリイミドフィルム層との間に上記接着剤を配設した基板を夫々作成し、該夫々の基板の加熱環境下(高温雰囲気下)における剥離強度(N/cm)の変化,接着力の持続性について実験を行ったものである。
図2は、本実験例の実験データを示すものであり、図中符号1は従来品である接着剤を配設した基板(以下、接着剤1を配設した基板という。)、符号2は従来品である接着剤に酸化防止剤が添加された接着剤を配設した基板(以下、接着剤2を配設した基板という。)、符号3は本実施例の樹脂組成物から酸化防止剤を除いて成る接着剤を配設した基板(以下、接着剤3を配設した基板という。)、符号4は本実施例の樹脂組成物から成る接着剤を配設した基板(以下、接着剤4を配設した基板という。)を示している。
接着剤1乃至4について具体的に説明する
接着剤1は、NBR(日本ゼオン社製 商品名:ニッポール1072)20重量部,エポキシ樹脂(旭化成エポキシ社製 商品名:AER6121)40重量部,臭素化エポキシ樹脂(東都化成社製 商品名 YDB−400)60重量部,ジシアンジアミド(日本カーバイド工業社製 商品名:DICY)4重量部及び硬化促進剤(四国化成社製 商品名:C11Z)0.2重量部が混合されている。尚、臭素化エポキシ樹脂は接着剤1に難燃性を付与する為に添加されている。
接着剤2は、NBR(日本ゼオン社製 商品名:ニッポール1072)20重量部,エポキシ樹脂(旭化成エポキシ社製 商品名:AER6121)40重量部,臭素化エポキシ樹脂(東都化成社製 商品名 YDB−400)60重量部,ジシアンジアミド(日本カーバイド工業社製 商品名:DICY)4重量部,酸化防止剤(チバスペシャリティケミカルズ社製 商品名:IRGANOX 1010)2重量部及び硬化促進剤(四国化成社製 商品名:C11Z)0.2重量部混合されている。
接着剤3は、高分子量臭素化エポキシ樹脂(フェノキシ樹脂。東都化成社製 商品名:YPB−40)100重量部,エポキシ樹脂(旭化成エポキシ社製 商品名:AER6121)25重量部,ジシアンジアミド(日本カーバイド工業社製 商品名:DICY)1重量部及び硬化促進剤(四国化成社製 商品名:C11Z)0.05重量部混合されている。
接着剤4は、高分子量臭素化エポキシ(フェノキシ樹脂。東都化成社製 商品名:Y-PB−40)100重量部,エポキシ樹脂(旭化成エポキシ社製 商品名:AER6121)25重量部,ジシアンジアミド(日本カーバイド工業社製 商品名:DICY)1重量部,酸化防止剤(チバスペシャリティケミカルズ社製 商品名:IRGANOX 1010)2重量部及び硬化促進剤(四国化成社製 商品名:C11Z)0.05重量部混合されている。
また、銅箔は日鉱マティリアルズ社製の商品名BHY−13B−Tが採用され、厚さは35μmに設定されている。
また、ポリイミドフィルムは鐘紡化学工業株式会社製の商品名アピカルNPIが採用され、厚さは25μmに設定されている。
次いで、サンプル作成方法について更に詳しく説明する。
先ず、ポリイミドフィルムの片面に上記接着剤1乃至4を、該接着剤1乃至4が乾燥した際に厚さが20μmとなるようにバーコーターを用いて塗工し、温度130℃で10分間乾燥させた。尚、実験例1では、ポリイミドフィルムの片面に接着剤を塗工したが、両面に塗工しても良い。
続いて、接着剤上に銅箔の粗化面をラミネータを用いて貼り合わせて、温度180℃,圧力1.96MPa/cm2でおよそ1時間ホットプレス成形し、サンプル基板を得た。
次いで、実験例1における剥離強度の評価方法について説明する
銅剥離強度は、基板に対して銅箔を180°、即ち、水平方向に引っ張ることで該銅箔が引き剥がされるときの最大応力を測定することで得た。
上記接着剤1乃至4の夫々を配設した基板を150℃の環境下に10日間放置した。
本実験例によれば、図2に示すように、接着剤1,2を配設した基板は、高温雰囲気下に曝す前は、剥離強度がおよそ10N/cm乃至12N/cm程度であったが、高温雰囲気下に曝した後は、経時と共に剥離強度が低下し、10日後には高温雰囲気に曝す前の半分以下にまで低下したことが確認された。
また、接着剤3を配設した基板は、高温雰囲気下に曝す前は、剥離強度がおよそ15N/cmと接着剤1,2を配設した基板に比して高い数値を示したが、高温雰囲気下に曝した後は、接着剤1,2を配設した基板と同様経時と共に剥離強度は低下し、10日後には、高温雰囲気下に曝す前の半分以下となり且つ接着剤1,2を配設した基板の10日間曝した後よりも剥離強度が低下したことが確認された。
また、接着剤4を配設した基板は、高温雰囲気下に曝す前は、剥離強度がおよそ12N/cmであり、高温雰囲気下に曝した後は、上記接着剤1乃至3の夫々を配設した基板とは異なり剥離強度は経時と共に徐々に高くなり(およそ6日後には最大となった。)、8日後乃至10日後にかけては剥離強度がやや低下したものの、最終的な剥離強度はおよそ15N/cmであったことが確認された。
従って、接着剤1及び接着剤2を配設した基板は、高温雰囲気下において、経時と共に銅箔が剥離し易くなるといえる。即ち、接着剤1に酸化防止剤を加えても(接着剤2)特異な効果は得られないといえる。
また、接着剤3を配設した基板は、高温雰囲気下に曝す前の剥離強度は高いが、経時と共に従来品同様、剥離強度は低下し10日後には従来品以下となり、よって、銅箔が剥離し易くなるといえる。
上記接着剤1乃至3の夫々を配設した基板に比して接着剤4を配設した基板は、高温雰囲気下において、経時と共に剥離強度が低下するどころか徐々に向上し、途中やや低下するものの10日後でもおよそ15N/cmという秀れた剥離強度が発揮され、よって、本実施例は、高温雰囲気下に長期間曝されても、銅箔が剥離しにくい状態を維持することができ、よって、秀れた耐熱老化性を発揮することができるといえる。
第二実験例
図3に示す第二実験例は、本実施例の樹脂組成物を構成するフェノキシ樹脂単体からなるフェノキシ系接着剤の空気中及び窒素雰囲気中における接着力変化について夫々実験を行ったものである。
即ち、フェノキシ樹脂系接着剤を銅箔層とポリイミドフィルム層との間に配設して基板を作成し、該基板を空気中(符号5)と窒素雰囲気中(符号6)の夫々において加熱した際の銅箔層の剥離強度(N/cm)の変化や持続性について実験を行ったものである。
上記フェノキシ樹脂を空気中及び窒素中の夫々について150℃の高温雰囲気下に10日間放置した。
第二実験例によれば、図3に示すように、高温雰囲気下に曝す前は両者とも剥離強度がおよそ15N/cm程度であり、高温雰囲気下に曝した後も5日間は剥離強度に大きな変化は見られなかった。尚、この際、窒素中での加熱の方がやや大きな剥離強度を示した。
高温雰囲気下に曝しておよそ5日が経過すると、両者の剥離強度は徐々に低下していくことが確認された。
この際、空気中で加熱した場合の剥離強度(符号5)は、6日後からやや大きく低下しはじめ、8日後でおよそ10N/cm、10日後でおよそ3N/cmまで低下したことが確認された。
これに比べて、窒素中で加熱した場合の剥離強度(符号6)の低下度合いは大きくなく、5日後から剥離強度は低下しはじめるものの8日後でもおよそ13乃至14N/cmの強度を維持し、10日後でもおよそ11乃至12N/cmの強度を維持することが確認された。
従って、樹脂組成物の酸化劣化は、空気中の酸素が有する不対電子の影響を受け易いといえる。
本実施例の酸素ラジカルの作用を防止する性質をもつ2種の酸化防止剤の構造図である。 第一実験例の四種類の樹脂組成物を用いて夫々基板に銅箔を接着し、加熱による該銅箔の剥離強度(N/cm)の変化や、高温雰囲気下における前記四種類の樹脂組成物の粘着力の持続性の違いを示すグラフである。 第二実験例の高温雰囲気下における空気中及び窒素雰囲気中のフェノキシ系接着剤の接着力変化を示すグラフである。

Claims (22)

  1. 熱可塑性樹脂と、酸素ラジカルの作用を防止する性質をもつ酸化防止剤とから成ることを特徴とする電子材料用樹脂組成物。
  2. 請求項1記載の電子材料用樹脂組成物において、熱可塑性樹脂としてジエン構造を有さない樹脂が採用されていることを特徴とする電子材料用樹脂組成物。
  3. 請求項2記載の電子材料用樹脂組成物において、ジエン構造を有さない樹脂としてフェノキシ樹脂若しくはブチラール樹脂が採用されていることを特徴とする電子材料用樹脂組成物。
  4. 請求項1〜3いずれか1項に記載の電子材料用樹脂組成物において、熱可塑性樹脂は、20乃至100重量%混合されていることを特徴とする電子材料用樹脂組成物。
  5. 請求項4記載の電子材料用樹脂組成物において、熱硬化性樹脂が0乃至80重量%混合されていることを特徴とする電子材料用樹脂組成物。
  6. 請求項5記載の電子材料用樹脂組成物において、熱硬化性樹脂としてエポキシ樹脂が採用されていることを特徴とする電子材料用樹脂組成物。
  7. 請求項5,6いずれか1項に記載の電子材料用樹脂組成物において、硬化剤が添加されていることを特徴とする電子材料用樹脂組成物。
  8. 請求項7記載の電子材料用樹脂組成物において、硬化剤は、前記熱硬化性樹脂の当量数に対して0.4乃至1.2当量混合されていることを特徴とする電子材料用樹脂組成物。
  9. 請求項1〜8いずれか1項に記載の電子材料用樹脂組成物において、前記酸化防止剤はπ電子を有することによりラジカルの超共役構造をとる物質が採用されたことを特徴とする電子材料用樹脂組成物。
  10. 請求項1〜9いずれか1項に記載の電子材料用樹脂組成物において、酸化防止剤は一分子中に二つ以上の二重結合を有する環式化合物であることを特徴とする電子材料用樹脂組成物。
  11. 請求項10記載の電子材料用樹脂組成物において、環式化合物は芳香族化合物であることを特徴とする電子材料用樹脂組成物。
  12. 請求項11記載の電子材料用樹脂組成物において、芳香族化合物として、2,4,6−トリアルキルフェノール若しくは2,4,5−トリアルキルフェノールを含む芳香族化合物が採用されていることを特徴とする電子材料用樹脂組成物。
  13. 請求項12記載の電子材料用樹脂組成物において、2,4,6−トリアルキルフェノール若しくは2,4,5−トリアルキルフェノールを含む芳香族化合物は、2,4,6−トリアルキルフェノール若しくは2,4,5−トリアルキルフェノールの少なくとも1つのアルキル基がt−ブチル基である芳香族化合物であることを特徴とする電子材料用樹脂組成物。
  14. 請求項13記載の電子材料用樹脂組成物において、t−ブチル基はヒドロキシル基の両隣に設けられていることを特徴とする電子材料用樹脂組成物。
  15. 請求項1〜14いずれか1項に記載の電子材料用樹脂組成物において、酸化防止剤は、全樹脂組成物に対して0.01乃至4.0重量%混合されていることを特徴とする電子材料用樹脂組成物。
  16. 請求項1〜15いずれか1項に記載の電子材料用樹脂組成物において、この電子材料用樹脂組成物は、金属箔と合成高分子材との間,金属箔と金属箔との間若しくは合成高分子材と合成高分子材との間に配設されるものであることを特徴とする電子材料用樹脂組成物。
  17. 請求項16記載の電子材料用樹脂組成物において、金属箔が銅箔であり、合成高分子材がポリイミドフィルム,ポリエチレンテレフタレートフィルム若しくはポリアミドフィルムであることを特徴とする電子材料用樹脂組成物。
  18. 基材に銅箔を設けてなるプリント配線板用の銅張板であって、基材としてポリイミドフィルム若しくはポリアミドフィルムが採用され、このポリイミドフィルムと銅箔との間には請求項1〜15いずれか1項に記載の電子材料用樹脂組成物が配設されていることを特徴とするプリント配線板用の銅張板。
  19. プリント配線板に設けられるカバーレイフィルムであって、ポリイミドフィルム若しくはポリアミドフィルムの少なくとも片面に接着剤層として請求項1〜15いずれか1項に記載の電子材料用樹脂組成物が配設されていることを特徴とするカバーレイフィルム。
  20. 請求項1〜15いずれか1項に記載の電子材料用樹脂組成物において、この電子材料用樹脂組成物はフィルム状に形成されていることを特徴とする電子材料用樹脂組成物。
  21. 樹脂に補強材を設け、該樹脂を半硬化状態にして成るプリプレグであって、樹脂として請求項1〜15いずれか1項に記載の電子材料用樹脂組成物が採用されていることを特徴とするプリプレグ。
  22. 請求項21記載のプリプレグにおいて、補強材はガラス布であることを特徴とするプリプレグ。
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