JP2005120031A - 糖尿病合併症のための経口投与組成物 - Google Patents
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Abstract
【課題】 糖尿病の合併症の予防或いは改善のために、糖化タンパクの酸化を抑制する手段を提供する。
【解決手段】 クルミ科クルミ属の植物の種子の仁の抽出物を有効成分として含有する、糖尿病の合併症の予防又は改善のための経口投与組成物を提供する。前記クルミ科クルミ属の植物としては、カシグルミ、オニグルミ、マンシュウグルミ、ペカンナッツ、ウォールナッツ等が好適に例示でき、これらの植物の種子の殻を取り除いた、所謂仁の部分を抽出して用いることが好ましい。
【選択図】 なし
【解決手段】 クルミ科クルミ属の植物の種子の仁の抽出物を有効成分として含有する、糖尿病の合併症の予防又は改善のための経口投与組成物を提供する。前記クルミ科クルミ属の植物としては、カシグルミ、オニグルミ、マンシュウグルミ、ペカンナッツ、ウォールナッツ等が好適に例示でき、これらの植物の種子の殻を取り除いた、所謂仁の部分を抽出して用いることが好ましい。
【選択図】 なし
Description
本発明は、経口投与組成物に関し、更に詳細には、クルミ科クルミ属の果実の仁の抽出物を含有する、糖尿病の合併症の予防或いは改善に好適な経口投与組成物に関する。
糖尿病は、糖尿病自体が起こす直接的な生体へのダメージ以外に、糖尿病の発症によって誘起される生体環境の変化による、間接的な生体へのダメージが存し、合併症と称されている。かかる合併症としては、虚血性の心疾患や神経細胞の損傷などが既に知られている。(例えば、特許文献1、特許文献2を参照)この様な糖尿病の合併症は、ある意味では糖尿病そのものによるダメージ以上に深刻なものであり、且つ、かかる合併症は、糖尿病を治療しても改善しにくい特性が存しており、合併症そのものの予防或いは改善の手段が望まれていた。かかる合併症は、糖化タンパクの酸化が起因していることが知られており(例えば、特許文献3を参照)、この酸化を防ぐことにより、合併症の予防或いは改善が期待できるが、かかる酸化抑制には、通常の抗酸化剤が効を奏さない場合が多く存し、糖化タンパクの酸化を防止する抗酸化成分の開発が望まれていた。
一方、クルミ科クルミ属の植物の果実の生理作用としては、その仁の部分の脂質には、利尿作用(例えば、特許文献4を参照)、高蓚酸血症の治療と予防(例えば、特許文献5を参照)、その殻の抽出物についての抗酸化作用(例えば、特許文献6、特許文献7、特許文献8を参照)等が知られているが、仁の部分の抽出物であって、脱脂したものの作用については知られていない。従って、このものを有効成分とする、糖尿病の合併症の予防乃至は治療薬も全く知られていない。又、殻の抽出物に於ける抗酸化作用の主たる有効成分はリグニン等の樹脂成分であり、これを経口投与に供しても、生体において有効性が発現することは想定しにくい状況が存した。
本発明は、この様な状況下為されたものであり、糖尿病の合併症の予防或いは改善のために、糖化タンパクの酸化を抑制する手段を提供することを課題とする。
この様な状況に鑑みて、本発明者らは、糖尿病の合併症の予防或いは改善のために、糖化タンパクの酸化を抑制する手段を求めて、鋭意研究努力を重ねた結果、クルミ科クルミ属の植物の種子の仁の抽出物を有効成分として含有する、糖尿病の合併症の予防又は改善のための経口投与組成物にその様な作用が存することを見出し、発明を完成させるに至った。即ち、本発明は、以下に示す技術に関するものである。
(1)クルミ科クルミ属の植物の種子の仁の抽出物を有効成分として含有する、糖尿病の合併症の予防又は改善のための経口投与組成物。
(2)前記種子の仁の抽出物が、種子の仁を脱脂し、有機溶剤で抽出したものであることを特徴とする、(1)に記載の経口投与組成物。
(3)前記糖尿病の合併症が、虚血性心疾患であることを特徴とする、(1)又は(2)に記載の経口投与組成物。
(4)前記糖尿病の合併症が、糖化タンパクの酸化に起因するものであることを特徴とする、(1)〜(3)何れか1項に記載の経口投与組成物。
(5)加工食品であることを特徴とする、(1)〜(4)何れか1項に記載の経口投与組成物。
(1)クルミ科クルミ属の植物の種子の仁の抽出物を有効成分として含有する、糖尿病の合併症の予防又は改善のための経口投与組成物。
(2)前記種子の仁の抽出物が、種子の仁を脱脂し、有機溶剤で抽出したものであることを特徴とする、(1)に記載の経口投与組成物。
(3)前記糖尿病の合併症が、虚血性心疾患であることを特徴とする、(1)又は(2)に記載の経口投与組成物。
(4)前記糖尿病の合併症が、糖化タンパクの酸化に起因するものであることを特徴とする、(1)〜(3)何れか1項に記載の経口投与組成物。
(5)加工食品であることを特徴とする、(1)〜(4)何れか1項に記載の経口投与組成物。
本発明によれば、糖尿病の合併症の予防或いは改善のために、糖化タンパクの酸化を抑制する手段を提供することができる。
<1>本発明の経口投与組成物の必須成分であるクルミ科クルミ属の植物の種子の仁の抽出物
本発明の経口投与組成物は、クルミ科クルミ属の植物の種子の仁の抽出物を必須成分として含有する。クルミ科クルミ属の植物としては、カシグルミ、オニグルミ、マンシュウグルミ、ペカンナッツ、ウォールナッツ等が好適に例示でき、これらの植物の種子の殻を取り除いた、所謂仁の部分を抽出して用いる。かかる抽出に於いては、予め、抽出に先立って前記種子の仁を脱脂しておくことが好ましい。脱脂の方法としては、例えば、仁を粗く粉砕した後、ノルマルヘキサンや石油エーテルのような非極性有機溶媒で脂質を抽出する操作が特に好適に例示できる。又、抽出に際しては、極性の溶剤が好ましく、該極性の溶剤としては、例えば、水、エタノールやイソプロパノール、1,3−ブタンジオールなどのアルコール類、アセトンやメチルエチルケトン等のケトン類、ジエチルエーテルやテトラヒドロフラン等のエーテル類、酢酸エチルや蟻酸メチルなどのエステル類、塩化メチレンやクロロホルムなどのハロゲン化炭化水素類等が好適に例示できる。特に好ましいものは水乃至はエタノールである。抽出に際しては、前記仁の脱脂物に対して1〜10質量倍の溶剤を加え、室温であれば数日間、沸点付近の温度であれば数時間浸漬すればよい。しかる後に、所望により濾過などにより不溶物を取り除き、減圧濃縮などを行えばよい。加えて、液液抽出やカラムクロマトグラフィーなどによって精製することも出来る。好ましい精製法としては、ダイアイオンHP−20(三菱化成株式会社製)等のイオン交換樹脂をカラムに充填して、カラムクロマトグラフィーによって精製する方法である。この精製法では、溶剤で抽出して、溶剤を除去したものを水に分散させ、カラムにチャージし、充分な水で洗浄し、水溶性非吸着成分を取り除き、しかる後、メタノール乃至はエタノールを流して、吸着成分を溶出させ、溶出分より、溶出溶媒を減圧濃縮などにより除去して、抽出物とするものが好ましく例示できる。以下に、製造例を示す。
本発明の経口投与組成物は、クルミ科クルミ属の植物の種子の仁の抽出物を必須成分として含有する。クルミ科クルミ属の植物としては、カシグルミ、オニグルミ、マンシュウグルミ、ペカンナッツ、ウォールナッツ等が好適に例示でき、これらの植物の種子の殻を取り除いた、所謂仁の部分を抽出して用いる。かかる抽出に於いては、予め、抽出に先立って前記種子の仁を脱脂しておくことが好ましい。脱脂の方法としては、例えば、仁を粗く粉砕した後、ノルマルヘキサンや石油エーテルのような非極性有機溶媒で脂質を抽出する操作が特に好適に例示できる。又、抽出に際しては、極性の溶剤が好ましく、該極性の溶剤としては、例えば、水、エタノールやイソプロパノール、1,3−ブタンジオールなどのアルコール類、アセトンやメチルエチルケトン等のケトン類、ジエチルエーテルやテトラヒドロフラン等のエーテル類、酢酸エチルや蟻酸メチルなどのエステル類、塩化メチレンやクロロホルムなどのハロゲン化炭化水素類等が好適に例示できる。特に好ましいものは水乃至はエタノールである。抽出に際しては、前記仁の脱脂物に対して1〜10質量倍の溶剤を加え、室温であれば数日間、沸点付近の温度であれば数時間浸漬すればよい。しかる後に、所望により濾過などにより不溶物を取り除き、減圧濃縮などを行えばよい。加えて、液液抽出やカラムクロマトグラフィーなどによって精製することも出来る。好ましい精製法としては、ダイアイオンHP−20(三菱化成株式会社製)等のイオン交換樹脂をカラムに充填して、カラムクロマトグラフィーによって精製する方法である。この精製法では、溶剤で抽出して、溶剤を除去したものを水に分散させ、カラムにチャージし、充分な水で洗浄し、水溶性非吸着成分を取り除き、しかる後、メタノール乃至はエタノールを流して、吸着成分を溶出させ、溶出分より、溶出溶媒を減圧濃縮などにより除去して、抽出物とするものが好ましく例示できる。以下に、製造例を示す。
<製造例>
クルミ科クルミ属の植物である、カシグルミの果実の仁1Kgを細切し、これに3lのノルマルヘキサンを加え、2時間加熱還流を行い、不溶物を濾別して、仁の脱脂を行った。不溶物を風乾し、溶剤を除去し、これに50%エタノール水溶液を加え、4時間加熱還流した。冷却後濾過により不溶物を除去し、減圧濃縮し、溶剤を除去し、抽出物1を34g得た。この抽出物のうちの100gに1lの水を加え、良く攪拌し、分散させ、ダイアイオンHP−20を充填したカラムクロマトグラフィーに流し、チャージした。更に5lの水を流して、水溶性非吸着成分を洗浄した。これにエタノール3lを流し、極性吸着成分を溶出させ、溶剤を減圧濃縮して除去し、抽出物2を7g得た。
クルミ科クルミ属の植物である、カシグルミの果実の仁1Kgを細切し、これに3lのノルマルヘキサンを加え、2時間加熱還流を行い、不溶物を濾別して、仁の脱脂を行った。不溶物を風乾し、溶剤を除去し、これに50%エタノール水溶液を加え、4時間加熱還流した。冷却後濾過により不溶物を除去し、減圧濃縮し、溶剤を除去し、抽出物1を34g得た。この抽出物のうちの100gに1lの水を加え、良く攪拌し、分散させ、ダイアイオンHP−20を充填したカラムクロマトグラフィーに流し、チャージした。更に5lの水を流して、水溶性非吸着成分を洗浄した。これにエタノール3lを流し、極性吸着成分を溶出させ、溶剤を減圧濃縮して除去し、抽出物2を7g得た。
<2>本発明の経口投与組成物
本発明の経口投与組成物は、糖尿病に付随して起こる合併症の予防又は改善のためのものであって、上記クルミ科クルミ属の植物の果実の仁の抽出物を含有することを特徴とする。経口投与組成物としては、経口で投与されるものであれば特段の限定はないが、食品が特に好適に例示できる。食品としては、飴、ガム、焼き菓子などの菓子やソーセージ、ハム、はんぺん、インスタントラーメン等の総菜などの通常の食品や健康維持や健康促進を目的とする、錠剤や顆粒剤、カプセル剤形式の健康食品或いは特定保険用食品などが好ましく例示できる。通常の食品においては、本発明のクルミ科クルミ属の植物の果実の仁の抽出物は、糖化タンパクが糖尿病によって酸化することから生体を守る目的で使用できる。又、この様な糖化タンパクの酸化を抑え、合併症を予防して、健康維持や健康促進を目的とする、健康食品或いは特定保険用食品として使用することが出来る。本発明の食品においては、必須成分のクルミ科クルミ属の植物の果実の仁の抽出物以外に食品で通常使用される任意成分を含有することができる。かかる任意の成分としては、例えば、賦形剤、結合剤、矯味剤、矯臭剤、滑沢剤、被覆剤、増粘剤、乳化剤、分散剤、着色剤、油脂等が好ましく例示できる。これら必須の成分と任意の成分とを常法に従って処理することにより、本発明の食品は製造できる。更に、抗酸化作用を有するもののうち、糖化タンパクの酸化の抑制にも有用であるビタミンE類と併用することも可能であるし、スルホニル尿素などの糖尿病の治療薬とも併用することも出来る。加えて、高脂血症は、糖尿病を誘発し、更には合併症を引き起こさせる危険因子でもあるので、ブラバスタチンなどのバスタチン系の高脂血症治療薬と併用して、糖尿病及び合併症の誘発を防ぐ目的でも使用できる。
本発明の経口投与組成物は、糖尿病に付随して起こる合併症の予防又は改善のためのものであって、上記クルミ科クルミ属の植物の果実の仁の抽出物を含有することを特徴とする。経口投与組成物としては、経口で投与されるものであれば特段の限定はないが、食品が特に好適に例示できる。食品としては、飴、ガム、焼き菓子などの菓子やソーセージ、ハム、はんぺん、インスタントラーメン等の総菜などの通常の食品や健康維持や健康促進を目的とする、錠剤や顆粒剤、カプセル剤形式の健康食品或いは特定保険用食品などが好ましく例示できる。通常の食品においては、本発明のクルミ科クルミ属の植物の果実の仁の抽出物は、糖化タンパクが糖尿病によって酸化することから生体を守る目的で使用できる。又、この様な糖化タンパクの酸化を抑え、合併症を予防して、健康維持や健康促進を目的とする、健康食品或いは特定保険用食品として使用することが出来る。本発明の食品においては、必須成分のクルミ科クルミ属の植物の果実の仁の抽出物以外に食品で通常使用される任意成分を含有することができる。かかる任意の成分としては、例えば、賦形剤、結合剤、矯味剤、矯臭剤、滑沢剤、被覆剤、増粘剤、乳化剤、分散剤、着色剤、油脂等が好ましく例示できる。これら必須の成分と任意の成分とを常法に従って処理することにより、本発明の食品は製造できる。更に、抗酸化作用を有するもののうち、糖化タンパクの酸化の抑制にも有用であるビタミンE類と併用することも可能であるし、スルホニル尿素などの糖尿病の治療薬とも併用することも出来る。加えて、高脂血症は、糖尿病を誘発し、更には合併症を引き起こさせる危険因子でもあるので、ブラバスタチンなどのバスタチン系の高脂血症治療薬と併用して、糖尿病及び合併症の誘発を防ぐ目的でも使用できる。
本発明の経口投与組成物が、この様な効果を奏するためには、本発明の経口投与組成物に於いて、必須成分である前記クルミ科クルミ属の植物の種子の仁の抽出物を、組成物全量に対して、1〜50質量%含有させることが好ましく、より好ましくは5〜30質量%含有することが好ましい。
本発明の経口投与組成物としては、剤形では錠剤が安定性の点で好ましく、錠剤においてもその表面を被覆剤で被覆し、味をマスキングしておくことが好ましい。かかる被覆剤としては、腸溶性の被覆剤が好ましく例示でき、中でもツェイン乃至はシェラックが特に好ましい。この二種が味のマスキング効果に優れるからである。
以下に、実施例を挙げて、本発明について、更に詳細に説明を加えるが、本発明が、かかる実施例にのみ限定されないことは言うまでもない。
<試験例1>
2型糖尿病モデルマウスを用い,製造例の抽出物2について、200mg/kg経口投与の各種因子への影響を調べた.
[実験動物]C57BL/KsJ-db/dbマウス(II型糖尿病モデル),およびC57BL/KsJ-db/+m(ブランク)マウス,日本クレア
[群分け]
(1)コントロール群:C57BL/KsJ-db/dbマウス+蒸留水投与
(2)W200群:C57BL/KsJ-db/dbマウス+抽出物2の200mg/kg経口投与
(3)ブランク群:C57BL/KsJ-db/+mマウス+蒸留水投与
[処置内容]
被検物は4週間毎日経口投与し,最終投与日の翌日AM10:00〜18:00まで個別代謝ケージに入れ,全尿を採取した.一晩絶食後,頸静脈より1/10用量3.8%クエン酸Na添加採血し,血漿を分離した.採血後開腹し,副睾丸周囲脂肪を採取し重量を測定した.尿中8−ハイドロキシ-2’-デオキシグアノシン(8-OHdG)及びクレアチニンを測定した.
[結果]
これらの結果は図1〜3に示す。(但し、図中mean±SEにおける、*、**の記号はそれぞれ、 * : p <0.05, ** : p <0.01,コントロールに対するBonferroni検定の前記危険率に於ける有意差を表す。)2型糖尿病マウスは肥満を伴い、酸化ストレスの増加により、糖化タンパクが酸化を受け、尿中8-OHdGの上昇が認められた.抽出物2の200mg/kg投与により、尿中8-OHdGは有意に低下し、in vivoにおける抗酸化活性が証明された.したがって、酸化亢進を原因とする糖尿病合併症に対し、クルミ科クルミ属の植物の種子の仁の抽出物に予防効果が期待される.一方,空腹時血糖には変化はなく,糖尿病自体を改善する作用は認められなかった.このことは、本発明の組成物の必須成分であるクルミ科クルミ属の植物の種子の仁の抽出物が、糖尿病薬とは異なるメカニズムで生体に作用しており、このことより糖尿病との併用効果が存することが判る。また,血中トリグリセライドについても有意な減少が認められ、クルミ科クルミ属の植物の種子の仁の抽出物による脂肪吸収抑制作用が期待される.
2型糖尿病モデルマウスを用い,製造例の抽出物2について、200mg/kg経口投与の各種因子への影響を調べた.
[実験動物]C57BL/KsJ-db/dbマウス(II型糖尿病モデル),およびC57BL/KsJ-db/+m(ブランク)マウス,日本クレア
[群分け]
(1)コントロール群:C57BL/KsJ-db/dbマウス+蒸留水投与
(2)W200群:C57BL/KsJ-db/dbマウス+抽出物2の200mg/kg経口投与
(3)ブランク群:C57BL/KsJ-db/+mマウス+蒸留水投与
[処置内容]
被検物は4週間毎日経口投与し,最終投与日の翌日AM10:00〜18:00まで個別代謝ケージに入れ,全尿を採取した.一晩絶食後,頸静脈より1/10用量3.8%クエン酸Na添加採血し,血漿を分離した.採血後開腹し,副睾丸周囲脂肪を採取し重量を測定した.尿中8−ハイドロキシ-2’-デオキシグアノシン(8-OHdG)及びクレアチニンを測定した.
[結果]
これらの結果は図1〜3に示す。(但し、図中mean±SEにおける、*、**の記号はそれぞれ、 * : p <0.05, ** : p <0.01,コントロールに対するBonferroni検定の前記危険率に於ける有意差を表す。)2型糖尿病マウスは肥満を伴い、酸化ストレスの増加により、糖化タンパクが酸化を受け、尿中8-OHdGの上昇が認められた.抽出物2の200mg/kg投与により、尿中8-OHdGは有意に低下し、in vivoにおける抗酸化活性が証明された.したがって、酸化亢進を原因とする糖尿病合併症に対し、クルミ科クルミ属の植物の種子の仁の抽出物に予防効果が期待される.一方,空腹時血糖には変化はなく,糖尿病自体を改善する作用は認められなかった.このことは、本発明の組成物の必須成分であるクルミ科クルミ属の植物の種子の仁の抽出物が、糖尿病薬とは異なるメカニズムで生体に作用しており、このことより糖尿病との併用効果が存することが判る。また,血中トリグリセライドについても有意な減少が認められ、クルミ科クルミ属の植物の種子の仁の抽出物による脂肪吸収抑制作用が期待される.
<試験例2>
試験例1と同様に、抽出物1についてもその作用を検討した。評価項目はクレアチン単位あたりの尿中8-OHdGのみとした。結果を表1に示す。抽出物1においても同様の効果が見られるものの、抽出物2の方がこの効果が高いことが判る。
試験例1と同様に、抽出物1についてもその作用を検討した。評価項目はクレアチン単位あたりの尿中8-OHdGのみとした。結果を表1に示す。抽出物1においても同様の効果が見られるものの、抽出物2の方がこの効果が高いことが判る。
<実施例1>
以下に示す処方に従って、本発明の経口投与組成物である、錠剤(食品)を作成した。即ち、処方成分1をフローコーターに仕込み、20質量部の水を噴霧しながら造粒し、40℃で3時間送風乾燥を行い、粗顆粒を得た。この粗顆粒を打錠し、素錠を得、これに5質量部のシェラックを100質量部の80%エタノール水溶液に溶かし、糖衣パンにて素錠90質量部に被覆を行い、本発明の経口投与組成物1を得た。このものを糖尿病の人3人に1ヶ月飲用してもらい、飲用による尿中の8-OHdG/CRE(ng/mgCRE)の平均低下率を求めたところ、8.3%であった。
(処方成分1)
抽出物2 20 質量部
結晶セルロース 40 質量部
ヒドロキシプロピルセルロース 5 質量部
クロスカロメロース 25 質量部
以下に示す処方に従って、本発明の経口投与組成物である、錠剤(食品)を作成した。即ち、処方成分1をフローコーターに仕込み、20質量部の水を噴霧しながら造粒し、40℃で3時間送風乾燥を行い、粗顆粒を得た。この粗顆粒を打錠し、素錠を得、これに5質量部のシェラックを100質量部の80%エタノール水溶液に溶かし、糖衣パンにて素錠90質量部に被覆を行い、本発明の経口投与組成物1を得た。このものを糖尿病の人3人に1ヶ月飲用してもらい、飲用による尿中の8-OHdG/CRE(ng/mgCRE)の平均低下率を求めたところ、8.3%であった。
(処方成分1)
抽出物2 20 質量部
結晶セルロース 40 質量部
ヒドロキシプロピルセルロース 5 質量部
クロスカロメロース 25 質量部
<実施例2>
以下に示す処方に従って、本発明の経口投与組成物である、錠剤(食品)を作成した。即ち、処方成分2をフローコーターに仕込み、20質量部の水を噴霧しながら造粒し、40℃で3時間送風乾燥を行い、粗顆粒を得た。この粗顆粒を打錠し、素錠を得、これに5質量部のシェラックを100質量部の80%エタノール水溶液に溶かし、糖衣パンにて素錠90質量部に被覆を行い、本発明の経口投与組成物2を得た。
(処方成分2)
抽出物1 20 質量部
結晶セルロース 40 質量部
ヒドロキシプロピルセルロース 5 質量部
クロスカロメロース 25 質量部
以下に示す処方に従って、本発明の経口投与組成物である、錠剤(食品)を作成した。即ち、処方成分2をフローコーターに仕込み、20質量部の水を噴霧しながら造粒し、40℃で3時間送風乾燥を行い、粗顆粒を得た。この粗顆粒を打錠し、素錠を得、これに5質量部のシェラックを100質量部の80%エタノール水溶液に溶かし、糖衣パンにて素錠90質量部に被覆を行い、本発明の経口投与組成物2を得た。
(処方成分2)
抽出物1 20 質量部
結晶セルロース 40 質量部
ヒドロキシプロピルセルロース 5 質量部
クロスカロメロース 25 質量部
<実施例3>
以下に示す処方に従って、本発明の経口投与組成物である、錠剤(食品)を作成した。即ち、処方成分3をフローコーターに仕込み、20質量部の水を噴霧しながら造粒し、40℃で3時間送風乾燥を行い、粗顆粒を得た。この粗顆粒を打錠し、素錠を得、これに5質量部のシェラックを100質量部の80%エタノール水溶液に溶かし、糖衣パンにて素錠90質量部に被覆を行い、本発明の経口投与組成物3を得た。
(処方成分3)
抽出物2 20 質量部
ビタミンE酢酸エステル 1 質量部
結晶セルロース 39 質量部
ヒドロキシプロピルセルロース 5 質量部
クロスカロメロース 25 質量部
以下に示す処方に従って、本発明の経口投与組成物である、錠剤(食品)を作成した。即ち、処方成分3をフローコーターに仕込み、20質量部の水を噴霧しながら造粒し、40℃で3時間送風乾燥を行い、粗顆粒を得た。この粗顆粒を打錠し、素錠を得、これに5質量部のシェラックを100質量部の80%エタノール水溶液に溶かし、糖衣パンにて素錠90質量部に被覆を行い、本発明の経口投与組成物3を得た。
(処方成分3)
抽出物2 20 質量部
ビタミンE酢酸エステル 1 質量部
結晶セルロース 39 質量部
ヒドロキシプロピルセルロース 5 質量部
クロスカロメロース 25 質量部
<実施例4>
以下に示す処方に従って、本発明の経口投与組成物である、錠剤(食品)を作成した。即ち、処方成分4をフローコーターに仕込み、20質量部の水を噴霧しながら造粒し、40℃で3時間送風乾燥を行い、粗顆粒を得た。この粗顆粒を打錠し、素錠を得、これに5質量部のシェラックを100質量部の80%エタノール水溶液に溶かし、糖衣パンにて素錠90質量部に被覆を行い、本発明の経口投与組成物4を得た。
(処方成分4)
抽出物2 20 質量部
ビタミンE酢酸エステル 1 質量部
アスコルビン酸 10 質量部
結晶セルロース 29 質量部
ヒドロキシプロピルセルロース 5 質量部
クロスカロメロース 25 質量部
以下に示す処方に従って、本発明の経口投与組成物である、錠剤(食品)を作成した。即ち、処方成分4をフローコーターに仕込み、20質量部の水を噴霧しながら造粒し、40℃で3時間送風乾燥を行い、粗顆粒を得た。この粗顆粒を打錠し、素錠を得、これに5質量部のシェラックを100質量部の80%エタノール水溶液に溶かし、糖衣パンにて素錠90質量部に被覆を行い、本発明の経口投与組成物4を得た。
(処方成分4)
抽出物2 20 質量部
ビタミンE酢酸エステル 1 質量部
アスコルビン酸 10 質量部
結晶セルロース 29 質量部
ヒドロキシプロピルセルロース 5 質量部
クロスカロメロース 25 質量部
<実施例5>
以下に示す処方に従って、本発明の経口投与組成物である、錠剤(食品)を作成した。即ち、処方成分5をフローコーターに仕込み、20質量部の水を噴霧しながら造粒し、40℃で3時間送風乾燥を行い、粗顆粒を得た。この粗顆粒を打錠し、素錠を得、これに5質量部のシェラックを100質量部の80%エタノール水溶液に溶かし、糖衣パンにて素錠90質量部に被覆を行い、本発明の経口投与組成物5を得た。
(処方成分3)
抽出物2 20 質量部
ブラバスタチン 10 質量部
結晶セルロース 30 質量部
ヒドロキシプロピルセルロース 5 質量部
クロスカロメロース 25 質量部
以下に示す処方に従って、本発明の経口投与組成物である、錠剤(食品)を作成した。即ち、処方成分5をフローコーターに仕込み、20質量部の水を噴霧しながら造粒し、40℃で3時間送風乾燥を行い、粗顆粒を得た。この粗顆粒を打錠し、素錠を得、これに5質量部のシェラックを100質量部の80%エタノール水溶液に溶かし、糖衣パンにて素錠90質量部に被覆を行い、本発明の経口投与組成物5を得た。
(処方成分3)
抽出物2 20 質量部
ブラバスタチン 10 質量部
結晶セルロース 30 質量部
ヒドロキシプロピルセルロース 5 質量部
クロスカロメロース 25 質量部
本発明は、日常的な行為で糖尿病の合併症を予防乃至は改善するのに有用な食品組成物などの、経口投与組成物に応用できる。
Claims (5)
- クルミ科クルミ属の植物の種子の仁の抽出物を有効成分として含有する、糖尿病の合併症の予防又は改善のための経口投与組成物。
- 前記種子の仁の抽出物が、種子の仁を脱脂し、有機溶剤で抽出したものであることを特徴とする、請求項1に記載の経口投与組成物。
- 前記糖尿病の合併症が、虚血性心疾患であることを特徴とする、請求項1又は2に記載の経口投与組成物。
- 前記糖尿病の合併症が、糖化タンパクの酸化に起因するものであることを特徴とする、請求項1〜3何れか1項に記載の経口投与組成物。
- 加工食品であることを特徴とする、請求項1〜4何れか1項に記載の経口投与組成物。
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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