JP2005119283A - 画像形成装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】ノズルから液滴を吐出する吐出ヘッドを備えた画像形成装置において、廃液性を向上させるとともに、記録媒体の裏面汚れを防止する。
【解決手段】印字ヘッド12のノズル面に対向配置されるプラテン36は撥液性を有し、該プラテン36全面に複数のインク捕集孔60が設けられる。インク捕集孔60は、インク滴が滑落する傾斜面63とプラテン36の裏面に連通する開口62を有して構成される。記録紙16はインク捕集孔60の周囲の稜64で接触支持される。プラテン36の裏面側に吸引ポンプ39と連通する液受け容器38が配置され、画像記録に使用されないインクはプラテン36のインク捕集孔60を介して回収される。また、ノズル面とプラテン面37を同時に清掃するブレード70を移動させながら、ノズルの予備吐出も行う。更に、支持部22は印字ヘッド12の吐出方向に移動してノズル面を密閉できる。
【選択図】 図6

Description

本発明は画像形成装置に係り、特に記録媒体に向けてノズルから液滴を吐出する吐出ヘッドを備えたインクジェット記録装置その他の画像形成装置に好適な液の回収システムに関する。
特許文献1には、用紙の搬送方向と直交する方向に複数のノズルが配列されたラインヘッドを有するインクジェットプリンタにおいて、プラテン部材を内包した無端ベルトに用紙搬送領域とメンテナンス領域とを設け、メンテナンス動作時に無端ベルトのメンテナンス領域をラインヘッドのノズル面に対向させ、該ベルト上のメンテナンス領域に予備吐出(ノズル詰まりを防止するためにインクを強制的に吐出させる動作)を行う構成が開示されている。同文献の無端ベルトはメンテナンス領域に吐出されたインクを一時的に保持することができ、予備吐出後、無端ベルトを走行させてメンテナンス領域をメンテナンスユニットの対向位置に移動させ、該メンテナンス領域に付着したインクを吸引ポンプによって吸引して廃棄するようになっている。
また、特許文献2においては、印刷過程中に記録用のシートを支持する支持体が多孔性材料(多孔フイルム、多孔板、又は多孔バンド)で構成されているインクジェット印刷装置が開示されている。この装置によれば、支持体は真空源に接続されており、支持体上に堆積された過剰なインクは多孔性材料で吸収され、該支持体を介して吸引除去される。
特開2002−356026号公報 特開2000−168108号公報
しかしながら、特許文献1及び特許文献2に開示された構造は、何れも記録媒体を直接支持する支持部材にインクが吸収保持されるので、支持部材中でインクが乾燥し、目詰まりを生じて吸収性能が悪化するとともに、記録媒体の裏面汚れが発生する。また、上記従来の構造では、インクを保持した支持部材からインクを吸引排気するために大型の吸引手段が必要となる。
本発明はこのような事情に鑑みてなされたもので、廃液性を向上させるとともに、記録媒体の裏面汚れを防止することができる画像形成装置を提供することを目的とする。
前記目的を達成するために請求項1記載の発明は、液滴を吐出させるノズルが形成された吐出ヘッドと、前記吐出ヘッドのノズル面と対向する位置に配設され、記録媒体を支持する媒体支持手段と、前記媒体支持手段に設けられた液捕集手段であって、前記吐出ヘッド側から進入した液を滑落させる傾斜面と、前記傾斜面の底部に形成され当該媒体支持手段の裏面と連通する開口とを有する液捕集手段と、前記液捕集手段の開口を介して液を吸引する吸引手段と、を備えたことを特徴とする。
請求項1記載の発明によれば、吐出ヘッドのノズル面(液滴吐出面)に対向配置される媒体支持手段に、液滑落用の傾斜面と、該傾斜面で捕集された液を媒体支持手段の裏面(媒体支持面と反対側の面)へと通過させる開口とを有して構成される液捕集手段を設け、媒体支持面上に落ちた液を液捕集手段の開口を介して吸引する構成にしたので、媒体支持手段上から容易に液滴を回収することができ、廃液性を向上させることができる。
請求項2記載の発明は請求項1記載の画像形成装置に係り、前記液捕集手段は、前記吐出ヘッド側の開口が相対的に広く、前記吸引手段側の開口が相対的に狭い孔形状の貫通孔であることを特徴とする。
かかる態様において、吐出ヘッド側の開口から吸引手段側(裏面側)の開口に至る貫通穴の壁面に傾斜面を形成することにより、該傾斜面上を液滴が容易に滑落し、吐出ヘッド側の開口内に入った液滴を効率よく回収することができる。
請求項3記載の発明は請求項2記載の画像形成装置に係り、前記液捕集手段の前記吐出ヘッド側の貫通孔周囲は、前記記録媒体を線接触によって支持する稜形状を有していることを特徴とする。
請求項3記載の発明によれば、記録媒体の裏面に液が付着せず、裏面汚れを防止できる。
請求項4記載の発明は請求項3記載の画像形成装置に係り、前記液捕集手段は、前記記録媒体の搬送方向に直交しない稜形状を有していることを特徴とする。記録媒体の搬送方向と直交しない稜線によって記録媒体を支持することにより、記録媒体を安定的に保持することが可能であり、記録媒体が稜線に引っかかる等の不具合がなく搬送性を向上させることができる。
請求項5記載の発明は請求項1記載の画像形成装置に係り、前記液捕集手段は、前記記録媒体を点接触によって支持する突起を有し、該突起の側面が前記傾斜面を構成していることを特徴とする。
記録媒体を点支持する先端形状を有する突起を媒体支持手段の媒体支持面に複数配列させる態様により、記録媒体を安定して保持可能であるとともに、記録媒体の裏面汚れを防止しつつ、突起側面の傾斜面で液を集め、傾斜面の底部に形成された開口から液を回収することができる。
請求項6記載の発明は、請求項1乃至5の何れか1項記載の画像形成装置に係り、前記液捕集手段は、撥液性を有していることを特徴とする。
かかる態様によれば、液が接触する液捕集手段の表面に撥液性を持たせることにより、液滴状での液回収が可能となる。
請求項7記載の発明は、請求項1乃至6の何れか1項記載の画像形成装置に係り、前記媒体支持手段及び前記吐出ヘッドのうち少なくとも一方を前記吐出ヘッドの液滴吐出方向に移動させる相対移動手段と、前記吐出ヘッドのノズル面の周囲を覆い前記媒体支持手段と接触することにより前記ノズル面を密閉する弾性部材を含む密閉手段と、を備えたことを特徴とする。
必要に応じて媒体支持手段を吐出ヘッドに近づけ、媒体支持手段の媒体支持面と密閉手段の弾性部材とによって吐出ヘッドのノズル面を密閉することにより、非吐出時における乾燥防止等のためのキャッピング手段として活用できる。また、かかる構成の媒体支持手段は、ノズルから液を強制的に吸引除去するヘッド液吸引手段として活用できる。
請求項8記載の発明は、請求項7記載の画像形成装置に係り、前記媒体支持手段は、非吐出時に前記吐出ヘッドのノズル面を封止するキャッピング手段として機能するとともに、前記吐出ヘッドのノズルから液吸引を行うヘッド液吸引手段として機能することを特徴とする。
かかる態様により、ヘッド回復の処理に必要な機構の簡略化を実現することができ、小型化、低コスト化を達成できる。
請求項9記載の発明は、請求項1乃至8の何れか1項記載の画像形成装置に係り、前記吐出ヘッドのノズル面に接触する第1の清掃手段と、前記媒体支持手段の媒体支持面に接触する第2の清掃手段と、前記第1の清掃手段を前記ノズル面に接触させるとともに前記第2の清掃手段を前記媒体支持面に接触させた状態で前記第1の清掃手段及び前記第2の清掃手段を同時に前記ノズル面及び前記媒体支持面に対して移動させる清掃駆動手段と、を備えたことを特徴とする。
ノズル面と媒体支持面を同時に清掃するクリーニング手段を具備する態様により、清掃処理時間を短縮することができる。
請求項10記載の発明は、請求項9記載の画像形成装置に係り、前記第1の清掃手段は前記ノズル面を払拭する第1のブレードを備える一方、前記第2の清掃手段は前記媒体支持面を払拭する第2のブレードを備え、前記第1のブレードと前記第2のブレードとが前記清掃駆動手段による清掃時の移動方向に沿って所定の間隔を有して配置され、前記清掃時に前記移動方向に先行する前記第1のブレードによって前記ノズル面を払拭し、当該第1のブレードが払拭通過したノズル領域のノズルから液滴を吐出させ、該吐出液滴が付着した前記媒体支持面の領域を後続の前記第2のブレードによって払拭することを特徴とする。
第1のブレードでノズル面を払拭した後に、ノズルから液滴吐出を実施することにより、ノズルへの不純物流入を回避でき、吐出の安定化を実現できる。
また、第2のブレードで媒体支持面に付着した液滴と第1ブレード後に吐出された液を回収しやすくする。
なお、本発明の一態様として、記録媒体の全幅に対応する長さにわたって複数のノズルが配列されたフルライン型の記録ヘッドと、前記記録ヘッド及び前記記録媒体のうち少なくとも一方を前記記録媒体の幅方向と略直交する方向に搬送して前記記録ヘッドと前記記録媒体を相対移動させる搬送手段と、を備えたインクジェット記録装置に適用する態様がある。
「フルライン型の記録ヘッド(吐出ヘッド)」は、通常、記録媒体の相対的な送り方向(相対移動方向)と直交する方向に沿って配置されるが、相対移動方向と直交する方向に対して、ある所定の角度を持たせた斜め方向に沿って記録ヘッドを配置する態様もあり得る。また、記録ヘッドにおけるノズル(画像記録素子)の配列形態は、1列のライン状配列に限定されず、複数列からなるマトリックス配列でもよい。更には、記録媒体の全幅に対応する長さに満たないノズル列を有する短尺記録ヘッドユニットを複数個組み合わせることによって、これらユニット全体として記録媒体の全幅に対応するノズル列を構成する形態もあり得る。
「記録媒体」は、記録ヘッドの作用によって画像の記録を受ける媒体(印字媒体、被画像形成媒体、被記録媒体、受像媒体など呼ばれ得るもの)であり、連続用紙、カット紙、シール用紙、OHPシート等の樹脂シート、フイルム、布、インクジェット記録装置によって配線パターン等が印刷形成されるプリント基板、その他材質や形状を問わず、様々な
媒体を含む。なお、本明細書において「印字」という用語は、文字を含む広い意味での画像を形成する概念を表すものとする。
記録媒体と記録ヘッドを相対的に移動させる移動手段(搬送手段)は、停止した(固定された)記録ヘッドに対して記録媒体を搬送する態様、停止した記録媒体に対して記録ヘッドを移動させる態様、或いは、記録ヘッドと記録媒体の両方を移動させる態様の何れをも含む。
本発明によれば、記録媒体を支持する媒体支持手段に液滑落用の傾斜面と液通過用の開口とを有する液捕集手段を設け、液捕集手段で捕集した液を媒体支持手段の裏面側から液捕集手段の開口を介して吸引する構成にしたので、予備吐出によるインク及び縁無し画像を印字する時の余剰インク等を媒体支持手段の媒体支持面から容易に集めることができ、廃液性を向上させることができる。
以下添付図面に従って本発明の好ましい実施の形態について詳説する。
〔インクジェット記録装置の全体構成〕
図1は本発明の実施形態に係るインクジェット記録装置の全体構成図である。同図に示したように、このインクジェット記録装置10は、印字ヘッド12と、インク貯蔵/装填部14と、記録媒体としての記録紙16を供給する給紙部18と、記録紙16のカールを除去するデカール処理部20と、前記印字ヘッド12のノズル面(インク吐出面)13に対向して配置され、記録紙16の平面性を保持しながら記録紙16を支持する支持部22と、記録紙16を搬送する搬送部23、24と、記録済みの記録紙(プリント物)を外部に排出する排紙部26と、を備えている。なお、説明の便宜上、一つの(一色の)印字ヘッド12のみを示すが、カラー画像を形成する場合には、複数色(例えば、シアン、マゼンタ、イエロー、ブラックの4色、或いは、更に、ライトシアン、ライトマゼンタなどのライト系インクが付加された多数色)の各色に対応する複数の印字ヘッドが設置される。
また、各色の吐出口を有する一つの印字ヘッドでも良い。支持部22は各色ごとに設けられていることが好ましい。かかる形態により、後述するインク捕集孔(図1中不図示、図6中符号60として記載)を介してインクが色別の回収タンク40に送られ、各色ごとに分けられたインクを再利用することが可能となる。
インク貯蔵/装填部14は、印字ヘッド12に供給するインクを貯蔵するインクタンクを含み、該インクタンクは管路27を介して印字ヘッド12と連通されている。また、インク貯蔵/装填部14は、インク残量が少なくなるとその旨を報知する報知手段(表示手段、警告音発生手段)を備えるとともに、色間の誤装填を防止するための機構を有している。
図1では、給紙部18の一例としてロール紙(連続用紙)のマガジンが示されているが、紙幅や紙質等が異なる複数のマガジンを併設してもよい。また、ロール紙のマガジンに代えて、又はこれと併用して、カット紙が積層装填されたカセットによって用紙を供給してもよい。
複数種類の記録紙を利用可能な構成にした場合、紙の種類情報を記録したバーコード或いは無線タグなどの情報記録体をマガジンに取り付け、その情報記録体の情報を所定の読取装置によって読み取ることで、使用される用紙の種類を自動的に判別し、用紙の種類に応じて適切なインク吐出を実現するようにインク吐出制御を行うことが好ましい。
給紙部18から送り出される記録紙16はマガジンに装填されていたことによる巻きクセが残り、カールする。このカールを除去するために、デカール処理部20においてマガジンの巻きクセ方向と逆方向に加熱ドラム30で記録紙16に熱を与える。このとき、多少印字面が外側に弱いカールとなるように加熱温度を制御するとより好ましい。
ロール紙を使用する装置構成の場合、図1のように、裁断用のカッター(第1のカッター)28が設けられており、該カッター28によってロール紙は所望のサイズにカットされる。カッター28は、記録紙16の搬送路幅以上の長さを有する固定刃28Aと、該固定刃28Aに沿って移動する丸刃28Bとから構成されており、印字裏面側に固定刃28Aが設けられ、搬送路を挟んで印字面側に丸刃28Bが配置される。なお、カット紙を使用する場合には、カッター28は不要である。
デカール処理後、カットされた記録紙16は、搬送部23へと送られる。搬送部23は、ローラ31、32間に無端状のベルト33が巻き掛けられた構造を有している。ベルト33が巻かれているローラ31、32の少なくとも一方にモータ(不図示)の動力が伝達されることにより、ベルト33は図1上の時計回り方向に駆動され、ベルト33上に載せられた記録紙16は図1の左から右へと搬送される。なお、支持部22の下流側に設置された搬送部24も搬送部23と同様の構成である。
支持部22はプラテン36と液受け部38から構成される。すなわち、支持部22の上面(記録紙16を支持する支持面)には吸引孔を兼ねる多数のインク捕集孔(図1中不図示、図6中符号60として記載)を有するプラテン36が配置され、該プラテン36の裏面側に液受け部38が連結されている。
また、液受け部38には吸引力を発生させる手段としての吸引ポンプ(負圧発生手段)39が連通されており、当該支持部22を吸引ポンプ39で吸引して負圧にすることにより、記録紙16の吸着及び印字ヘッド12のノズル吸引等を行うことができる。液受け部38に回収されたインクは吸引ポンプ39を介して回収タンク40に送られる。各色を全て同一の回収タンク40でも良いが、望ましくは色ごとに別の回収タンクを持つ。その様な形態とすることで、回収インクの再利用を可能とする。なお、支持部22の詳細については更に後述する。
用紙搬送路上において印字ヘッド12の上流には、加熱ファン41が設けられている。加熱ファン41は、印字前の記録紙16に加熱空気を吹き付け、記録紙16を加熱する。印字直前に記録紙16を加熱しておくことにより、インクが着弾後乾き易くなる。
また、印字ヘッド12の下流には後乾燥部42が設けられている。後乾燥部42は、印字された画像面を乾燥させる手段であり、例えば、加熱ファンが用いられる。印字後のインクが乾燥するまでは印字面との接触を避けたほうが好ましいので、熱風を吹き付ける方式が好ましい。
多孔質のペーパに染料系インクで印字した場合などでは、加圧によりペーパの孔を塞ぐことでオゾンなど、染料分子を壊す原因となるものと接触することを防ぐことで画像の耐候性がアップする効果がある。
後乾燥部42の後段には、加熱・加圧部44が設けられている。加熱・加圧部44は、画像表面の光沢度を制御するための手段であり、画像面を加熱しながら所定の表面凹凸形状を有する加圧ローラ45で加圧し、画像面に凹凸形状を転写する。
こうして生成されたプリント物は、排紙部26から排出される。本来プリントすべき本画像(目的の画像を印刷したもの)とテスト印字とは分けて排出することが好ましい。このインクジェット記録装置10では、本画像のプリント物と、テスト印字のプリント物とを選別してそれぞれの排出部26A、26Bへと送るために排紙経路を切り替える不図示の選別手段が設けられている。
なお、大きめの用紙に本画像とテスト印字とを同時に並列に形成する場合は、カッター(第2のカッター)48によってテスト印字の部分を切り離す。カッター48は、排紙部26の直前に設けられており、画像余白部にテスト印字を行った場合に本画像とテスト印字部を切断するためのものである。カッター48の構造は前述した第1のカッター28と同様であり、固定刃48Aと丸刃48Bとから構成される。
また、図1には示さないが、本画像の排出部26Aには、オーダー別に画像を集積するソーターが設けられる。
〔印字ヘッドの構造〕
図2(a) は印字ヘッド12の構造例を示す平面透視図であり、図2(b) はその一部の拡大図である。また、図3は印字ヘッド12の他の構造例を示す平面透視図、図4はインク室ユニットの立体的構成を示す断面図(図2中の4−4線に沿う断面図)である。記録紙面上に印字されるドットピッチを高密度化するためには、印字ヘッド12におけるノズルピッチを高密度化する必要がある。本例の印字ヘッド12は、図2乃至図4に示したように、インク滴が吐出するノズル51と、各ノズル51に対応する圧力室52等からなる複数のインク室ユニット(液滴吐出素子)53を千鳥でマトリックス状に配置させた構造を有し、これにより見かけ上のノズルピッチの高密度化を達成している。
すなわち、本実施形態における印字ヘッド12は、図2に示すように、インクを吐出する複数のノズル51が記録媒体(記録紙16)の送り方向と略直交する方向に記録紙16の全幅に対応する長さにわたって配列された1列以上のノズル列を有するフルラインヘッドである。
また、図2の構成に代えて、図3に示すように、複数のノズル51が2次元に配列された短尺のヘッドユニット12’を千鳥状に配列して繋ぎ合わせることで記録紙16の全幅に対応する長さのノズル列を有するフルラインヘッドを構成してもよい。
各ノズル51に対応して設けられている圧力室52は、その平面形状が概略正方形となっており、対角線上の両隅部にノズル51への流出口と供給インクの流入口(供給口)54が設けられている。図4に示したように、各圧力室52は供給口54を介して共通流路55と連通されている。共通流路55はインク供給源たるインクタンクと連通しており、インクタンクから供給されるインクは共通流路55を介して各圧力室52に分配供給される。なお、インクタンクと共通流路55の間において印字ヘッド12の近傍又は印字ヘッド12と一体にサブタンク(不図示)を設ける構成も好ましい。サブタンクは、ヘッドの内圧変動を防止するダンパー効果及びリフィルを改善する機能を有する。
圧力室52の天面を構成している加圧板56には個別電極57を備えたアクチュエータ58が接合されており、個別電極57に駆動電圧を印加することによってアクチュエータ58が変形してノズル51からインクが吐出される。インクが吐出されると、共通流路55から供給口54を通って新しいインクが圧力室52に供給される。
かかる構造を有する多数のインク室ユニット53を図5に示す如く、主走査方向に沿う行方向及び主走査方向に対して直交しない一定の角度θを有する斜めの列方向とに沿って一定の配列パターンで格子状に配列させた構造になっている。主走査方向に対してある角度θの方向に沿ってインク室ユニット53を一定のピッチdで複数配列する構造により、主走査方向に並ぶように投影されたノズルのピッチPはd× cosθとなる。
すなわち、主走査方向については、各ノズル51が一定のピッチPで直線状に配列されたものと等価的に取り扱うことができる。このような構成により、主走査方向に並ぶように投影されるノズル列が1インチ当たり2400個(2400ノズル/インチ)におよぶ高密度のノズル構成を実現することが可能になる。
なお、用紙(記録紙16)の全幅に対応したノズル列を有するフルラインヘッドで、ノズルを駆動する時には、(1)全ノズルを同時に駆動する、(2)ノズルを片方から他方に向かって順次駆動する、(3)ノズルをブロックに分割して、ブロックごとに片方から他方に向かって順次駆動する等が行われ、用紙の幅方向(用紙の搬送方向と直交する方向)に1ライン又は1個の帯状を印字するようなノズルの駆動を主走査と定義する。
特に、図5に示すようなマトリクス状に配置されたノズル51を駆動する場合は、上記(3)のような主走査が好ましい。すなわち、ノズル51-11 、51-12 、51-13 、51-14 、51-15 、51-16 を1つのブロックとし(他にはノズル51-21 、…、51-26 を1つのブロック、ノズル51-31 、…、51-36 を1つのブロック、…として)、記録紙16の搬送速度に応じてノズル51-11 、51-12 、…、51-16 を順次駆動することで記録紙16の幅方向に1ラインを印字する。
一方、上述したフルラインヘッドと用紙とを相対移動することによって、上述した主走査で形成された1ライン又は1個の帯状の印字を繰り返し行うことを副走査と定義する。
印字ヘッド12のノズル51は、ある時間以上吐出しない状態が続くと、ノズル近傍のインク溶媒が蒸発してノズル近傍のインクの粘度が高くなってしまい、アクチュエータ58が動作してもインクがノズル51から吐出できなくなってしまう。したがって、この様な状態になる手前(アクチュエータ58で吐出が可能な粘度の範囲内)で、インク受けに向かってアクチュエータ58を動作させ、粘度が上昇したノズル近傍のインクを吐出させる「予備吐出」が行われる。また、ノズル面13の清掃手段として設けられているブレード等による払拭動作(ワイピング)によってノズル表面の汚れを清掃した後に、このブレードの摺擦動作によってノズル内に異物が混入するのを防止するためにも予備吐出が行われる。なお、予備吐出は、「空吐出」、「パージ」、「唾吐き」などと呼ばれる場合もある。
また、ノズル51内のインクの粘度上昇があるレベルを超えると、上記予備吐出ではインクを吐出できなくなるため、以下に述べる吸引動作を行う。
すなわち、ノズル51内のインク粘度があるレベル以上に上昇すると、アクチュエータ58を動作させてもノズル51からインクを吐出できなくなる。また、ノズル51内及び圧力室52のインク内に気泡が混入すると、アクチュエータ58が動作してもノズル51からインクが吐出できなくなる。このような場合、印字ヘッド12のノズル面に吸引手段を当接させて圧力室52内のインクをポンプ等で吸い込み、気泡が混入したインク又は増粘インクを吸引除去する動作が行われる。
ただし、上記の吸引動作は、圧力室52内のインク全体に対して行われるためインク消費量が大きい。したがって、粘度上昇が少ない場合はなるべく予備吐出を行うことが好ましい。
本発明の実施に際してノズルの配置構造は図示の例に限定されない。また、本実施形態では、ピエゾ素子(圧電素子)に代表されるアクチュエータ58の変形によってインク滴を飛ばす方式が採用されているが、本発明の実施に際して、インクを吐出させる方式は特に限定されず、ピエゾジェット方式に代えて、ヒータなどの発熱体によってインクを加熱して気泡を発生させ、その圧力でインク滴を飛ばすサーマルジェット方式など、各種方式を適用できる。
〔支持部の構造〕
図6は図1で説明した支持部22の構造を示す斜視図、図7は図6中の7−7線に沿う断面図である。図6に示したように、支持部22の上面に配設されたプラテン36の全面には多数のインク捕集孔60が形成されている。インク捕集孔60を含むプラテン36の表面はインクをはじく撥液性を有している。ここでいう「撥液性」は、インク滴の接触角が90度よりも大きくなる表面状態をいい、より好ましくは120度以上となる表面状態とする。なお、プラテン36に撥液性を持たせるには、プラテン36を撥液性の素材で作製する態様、若しくはプラテン36表面に撥液処理を施す態様がある。撥液処理は、インクをはじく作用をもたらす表面処理であり、この処理によって対象領域に撥液層(撥インク層)65が形成される。例えば、フッ素系化合物をスプレーコーティングなどによって塗布するなどの手法が用いられる。
インク捕集孔60は、図7に示したように、プラテン36の厚み方向に貫通しており、液が凝集しやすいように、印字ヘッド12のノズル面13と対向する吐出側の開口61(記録紙16の支持面側の間口)が広く、プラテン36の裏面側(回収側)の開口62は吐出側の開口61よりも狭い開口となっている。吐出側の開口61の縁から回収側(下側)の開口の縁までの間はインク滴が滑落する傾斜面(スロープ)63となっているため、傾斜面63上に落ちたインク滴は撥液性を有する該傾斜面63を滑落して下側の開口62へと移動する。なお、図7では平面を傾斜させた直線的な傾斜面63を示したが、本発明の実施に際して傾斜面63は曲面で構成されていてもよい。
また、インク捕集孔60は、記録紙16を吸着させる吸引孔としての機能を兼ねており、図6に示した吸引ポンプ39の負圧によって記録紙16はプラテン36上に吸着される。このとき、記録紙16は、プラテン36上におけるインク捕集孔60の周囲の稜64で接触支持される。
本例ではインク捕集孔60の周囲の稜線で区画される形状を六角形としたが、本発明の実施に際してはこの例に限定されず、任意の形状(多角形、円形、楕円形など)が可能である。また、複数のインク捕集孔60を平面配列(二次元的に配列)させる形態は、図示したハニカム状配列に限定されず、行方向と列方向とが直交する正方のマトリックス配列、行方向と列方向とが直交しない千鳥状配列なども可能である。
このとき、図6に示したように、インク捕集孔60が用紙送り方向に直角な稜線を持たない形状とする態様が好ましい。すなわち、図6に示した六角形状を有するインク捕集孔60の場合、六角形の全ての辺が用紙送り方向と直交しないようにインク捕集孔60を配置する。これにより、記録紙16の支持性及び搬送性を向上させることができる。
また、印字ヘッド12のノズル配列パターンと、これに対向するインク捕集孔60の配列パターンを一致させ、ノズル51の位置とインク捕集孔60の位置とを対応させた配置関係とする態様が更に好ましい。かかる形態により、確実にインクを捕集孔に集めることができる。
液受け部38の内部は、印字ヘッド12の長手方向に沿って複数の領域に分割(図6では三分割)されており、各区画領域38A、38B、38Cは吸引チャンバとして機能する。各区画領域38A〜38Cにはそれぞれ個別に吸引ポンプ39が接続されている。各吸引ポンプ39を独立に制御することで液受け部38の所望の区画領域38A〜38Cを選択的に吸引することが可能である。もちろん、全ての区画領域38A〜38Cを同時に吸引することも可能である。
かかる構成により、比較的小型の(容量の小さい)吸引ポンプ39を用いて装置を実現することが可能である。また、使用する記録紙16のサイズ等に応じて不要な吸引エリアに対応する吸引ポンプ39の駆動を停止させることができる。
本発明の実施形態によれば、印字ヘッド12から吐出されたインクのうち、画像記録に使用されないインク(記録紙16の外側領域に吐出され、プラテン36上に落ちたインクミスト)は、吸引ポンプ39の負圧作用によってプラテン36のインク捕集孔60を介して液受け部38内に入り、吸引ポンプ39を介して回収タンク40に送られる。
したがって、例えば、縁無しプリント時の縁部のインクミスト(記録紙16の外側領域に吐出されたインク)や、ノズル51のメニスカス(インクと外気との界面)乾燥防止等のために実施される予備吐出のインクミスト(パージミスト)の回収が可能である。
また、本実施形態によれば、インクミストの回収手段に利用される負圧発生手段(吸引ポンプ39)は、記録紙16の吸着に必要な負圧を発生させる手段を兼ねているので、装置の機構を簡略化でき、小型化及び低コスト化を実現できる。
本実施形態における支持部22は、不図示の昇降機構に支持されており、印字ヘッド12のインク吐出方向(ノズル面13の法線方向)に移動可能となっている。すなわち、支持部22は、印字ヘッド12のノズル面13に対して上下動させることができ、必要に応じて「通常位置」、「クリーニング位置」、「キャッピング位置」の各位置で停止させることができる。「通常位置」は、ノズル面13と記録紙16とのクリアランスを印字に適した所定の距離に保つようなプラテン位置を実現する。「クリーニング位置」は、後述するクリーニング動作時に設定される位置であり、通常位置よりも下方に設定されている。「キャッピング位置」は、後述するキャッピング動作(吸引動作を含む)時に設定される位置であり、通常位置よりも上方に設定されている。
また、本例のインクジェット記録装置10は、印字ヘッド12のノズル面13とプラテン36の上面(記録紙16の支持面をいい、以下「プラテン面37」という。)とを同時に清掃するブレード70と、該ブレード70を印字ヘッド12の長手方向(記録紙16の搬送方向と直交する方向)に沿って移動させるブレード走行機構80を備えている。ブレード70は、ノズル面13を摺擦する第1ブレード71とプラテン面37を摺擦するための第2ブレード72とがヘッド長手方向に所定距離だけ離れてヘッド短手方向と平行に上下に組み合わされた構造を有し、第1ブレード71及び第2ブレード72はともに印字ヘッド12の短手方向の幅と略同等のブレード幅を有している。なお、ブレード幅は、印字ヘッド12の短手方向についてのノズル配列範囲以上であることが好ましく、最大で印字ヘッド12の短手方向の幅と同等であれば足りる。
また、第1ブレード71と第2ブレード72を連結している連結部74はインク吐出方向に貫通するインク通過孔75を有している。
本例のブレード走行機構80は、ボールネジ81と、これに螺合されたスライダ82とを有して構成される。ボールネジ81は、その軸方向が印字ヘッド12の長手方向に沿うように配置されており、カップリング84を介してモータ86の回転軸と連結されている
。なお、ボールネジ81の他の一端は不図示の軸受によって支持されている。
ブレード70はアーム88に取り付けられており、該アーム88の基端部はスライダ82に固定されている。モータ86によってボールネジ81を回転させると、スライダ82がボールネジ81上を移動し、これに伴ってブレード70が印字ヘッド12とプラテン36の間を走行する。
なお、ブレード走行機構80は、図示したボールネジ・ナット方式によるものに限定されず、ベルト駆動方式やリニアモータ方式など、他の方式による直進駆動機構を採用してもよい。
図8はクリーニング動作時の様子を示した要部側面図である。同図は印字ヘッド12の下流側から上流に向かって印字ヘッド12を見たときの図であり、図8上において紙面垂直方向に奥から手前に向かう方向が記録紙16(図8中不図示)の搬送方向であり、紙面左右方向が印字ヘッド12の長手方向を表している。
図示のように、クリーニング時には、支持部22がクリーニング位置に移動され、印字ヘッド12と支持部22の間にブレード70が挿入される。第1ブレード71及び第2ブレード72は、それぞれノズル面13及びプラテン面37を摺動しながら、図8の左から右に向かって走行する。
このブレード走行中に該ブレード70の位置に対応して、印字ヘッド12のノズル51からインクを吐出させる予備吐出が行われる。この予備吐出は、ブレード70のインク通過孔75の開口範囲に入るノズル51について順次実行される。
すなわち、ブレード70の走行方向について、まず、第1ブレード71が先行してノズル面13を払拭し、その払拭直後にノズル51から予備吐出を行う。この予備吐出動作によって吐出されたインク77はインク通過孔75を通ってプラテン36上に落ちる。プラテン36上に落ちたインクは吸引ポンプ39の負圧によって液受け部38に回収され、後続の第2ブレード72によってプラテン36が払拭される。かかる一連の動作がブレード70の走行に伴って印字ヘッド12の長手方向の全範囲について実施される。したがって、一度の(一方向の)ブレード走行によって、ノズル面13とプラテン面37の同時クリーニングが可能である。
図9はクリーニング動作に関する制御系の構成図であり、図10はその制御手順を示したフローチャートである。図9に示したように、インクジェット記録装置10は、システム全体を制御するコントローラ(制御部)90、ヘッドドライバ92、ブレード駆動部94、支持部駆動部96、ポンプ駆動部98を備えるとともに、図中Aで示したクリーニング位置において支持部22の位置を検出する第1センサ101、ブレード70のホームポジションを検出する第2センサ102、ブレード70の走行限界位置を検出する第3センサ103、図中Bで示した通常位置において支持部22の位置を検出する第4センサ104を備えている。
コントローラ90は、中央演算処理装置(CPU)及びその周辺回路等から構成され、各部を制御する制御信号を生成する制御手段である。また、このコントローラ90は、吐出制御用の信号(ドットデータ)を生成するための信号処理機能を有し、生成したドットデータをヘッドドライバ92に供給する。
ヘッドドライバ92は、コントローラ90から与えられるドットデータに基づいて対応するノズル51のアクチュエータ58を駆動する。すなわち、ドットデータに基づきヘッドドライバ92を介して各ノズル51のインク吐出量や吐出タイミングの制御が行われ、所望のドットサイズやドット配置が実現される。なお、ヘッドドライバ92にはヘッドの駆動条件を一定に保つためのフィードバック制御系を含んでいてもよい。
ブレード駆動部94は、ブレード70を走行させるモータ86とその駆動回路を含んで構成され、コントローラ90の指令に従ってブレード70を移動させる。支持部駆動部96は、支持部22を昇降動作させるモータ(不図示)とその駆動回路を含んで構成され、コントローラ90の指令に従って支持部22を移動させる。ポンプ駆動部98は、支持部22の液受け部38に連通する吸引ポンプ39を作動させる駆動回路を含んで構成され、コントローラ90の指令に従って吸引ポンプ39を作動させる。
第1センサ101は、支持部22がクリーニング位置に到達しているか否かを検出する手段である。第2センサ102は、ブレード70が印字ヘッド12よりも外側の所定のホームポジションに到達しているか否かを検出する手段である。第3センサ103は、支持部22が通常位置に到達しているか否かを検出する手段である。第4センサ104はブレード70が印字ヘッド12の長手方向の走行限界(端)に到達したか否かを検出する手段である。これら各センサ(101〜104)の検出信号はコントローラ90に入力され、動作の制御に利用される。
上記構成においてクリーニング時には次のように動作する。
図10に示したように、クリーニングのシーケンスがスタートすると(ステップS210)、まず、通常位置にある支持部22をクリーニング位置に移動させるために、支持部駆動部96に対して下方駆動ONを指令して支持部22を下降させる(ステップS212)。次に、コントローラ90は、第1センサ101からの検出信号を監視し、第1センサ101から検出信号が得られたか否かを判定する(ステップS214)。
支持部22がクリーニング位置に到達していなければ、ステップS214においてNO判定となり、ステップS212に戻って下方駆動を継続する。
支持部22がクリーニング位置に到達すると、ステップS214においてYES判定となる。この場合、コントローラ90は、支持部駆動部96に対して下方駆動OFFを指令して支持部22を停止させる(ステップS216)。その後、吸引ポンプ39を作動させて、支持部22内を負圧にする(ステップS218)。
次に、ブレード駆動部94に対してブレード70を清掃方向に走行させる正駆動ONを指令してブレード70を走行させる(ステップS220)。このブレード駆動は、モータ86にパルスを入力することによって行われる。
また、ブレード70の駆動に同期して、モータ86のパルスに対応したノズル51の駆動が行われ、図8で説明した予備吐出が実施される(図10のステップS222)。このノズル駆動は、予め用意されたデータマップに基づいて行われる。
上記清掃動作実施中にコントローラ90は、第3センサ103から検出信号が得られたか否かを判定する(ステップS224)。ブレード70が走行限界に到達していなければ、ステップS224においてNO判定となり、ステップS222に戻って、上記清掃動作が継続される。
一方、ブレード70が印字ヘッド12の端の走行限界に到達すると、ステップS224においてYES判定となる。この場合、コントローラ90は、ブレード駆動部94に対し
てブレード正駆動OFFを指令してブレード70を停止させる(ステップS226)。
その後、ブレード駆動部94に対してブレード逆駆動ONを指令してブレード70を元の位置(ホームポジション)に向けて移動させる(ステップS228)。この戻し走行時(逆走行時)には、第1ブレード71を印字ヘッド12のノズル面13に接触させないように、第1ブレード71を不図示のアクチュエータ等によって昇降自在な構成とし、第1ブレード71をノズル面13から離間させた状態で走行させる。または、支持部下方駆動にて離間させても良い。
上記戻し走行駆動中にコントローラ90は、第2センサ102から検出信号が得られたか否かを判定する(ステップS230)。ブレード70がホームポジションに到達していなければ、ステップS230においてNO判定となり、ステップS228に戻って、上記ブレード70の戻し走行が継続される。
ブレード70がホームポジションに到達すると、ステップS230においてYES判定となる。この場合、コントローラ90は、ブレード駆動部94に対してブレード逆駆動OFFを指令してブレード70を停止させるとともに(ステップS232)、吸引ポンプ39を停止させる(ステップS234)。
その後、支持部駆動部96に対して上方駆動ONを指令して支持部22を上昇させる(ステップS236)。上方駆動開始後、コントローラ90は、第4センサ104から検出信号が得られたか否かを判定する(ステップS238)。
支持部22が通常位置に到達していなければ、ステップS238においてNO判定となり、ステップS236に戻って上方駆動を継続する。
支持部22が通常位置に到達すると、ステップS238においてYES判定となる。この場合、コントローラ90は、支持部駆動部96に対して上方駆動OFFを指令して支持部22を停止させ(ステップS240)、クリーニングシーケンスを終了する(ステップS242)。
なお、図6乃至図10において、ブレード70は印字ヘッド12の長手方向に走行する例を述べたが、本発明の実施に際しては、印字ヘッド12の長手方向の幅に対応する長さのブレードを印字ヘッド12の短手方向に移動させる態様も可能である。
〔支持部のキャッピング機能及びインク吸引機能〕
図11は印字ヘッド12の短手方向の側面図である。同図に示したように、印字ヘッド12のノズル面13の縁全周にはブラシ状の弾性部材132が設けられている。支持部22をノズル面13に近づけるように上昇させ、所定のキャッピング位置で停止させることにより、図12に示したように、弾性部材132がプラテン36に密着して密閉空間134が形成される。こうして、印字ヘッド12のノズル面13全体(少なくともノズル51が形成されている範囲の全体)が密閉される。前述のクリーニング動作時には不図示のアクチュエータ等によって昇降自在な第1ブレード71にて弾性部材を回避してクリーニング動作を行う。
電源OFF時やプリント待機時において、図12のように支持部22によりノズル面13を覆うことにより、ノズル51の乾燥防止及びノズル近傍のインク粘度上昇の防止等が図られる。すなわち、支持部22は、弾性部材132とともに印字ヘッド12の保存用キャップとして機能する。
また、図12に示した状態で吸引ポンプ39を駆動することにより、ノズル51からのインク吸引が可能である。すなわち、支持部22はノズル吸引動作時におけるインク吸引手段として機能する。
このとき、ノズル51の使用頻度等に応じて吸引ポンプ39を選択的に制御(液受け部38A、38B、38Cを選択)することにより、吸引範囲を制御することができる。これにより、無駄なインク吸引を回避することができ、インク消費量を抑制できる。
〔インク捕集手段の形状例〕
図13は、図6で説明したインク捕集孔60の拡大図である。図6で説明した実施形態では、インク捕集手段の一例として、図13に示したように、周囲の稜線が六角形を画成するインク捕集孔60を説明した。このインク捕集孔60の場合、図13の上方から矢印に沿って落下するインク138は傾斜面63を滑落して凝集され、底部の開口62を介して吸引回収される。また、記録紙16はインク捕集孔60の稜64で線接触によって支持される。
本発明の実施に際してインク捕集手段の構造は、図13の例に限定されず、例えば、図14のような点接触による記録紙16の支持構造も可能である。
図14に示したインク捕集手段は、記録紙16を点接触で支持する突起140と、突起140の底部に形成された開口142とを有して構成される。この開口142はプラテン36の裏面に連通した貫通孔となっている。
なお、同図では略円錐形状の突起140を示したが、突起形状はこれに限定されず、角錐形状であってもよい。
複数の突起140の先端部144によって点支持される記録紙16の平面性を確保すべく、各突起140の高さは揃えられている。また、突起140の側面は開口142につながる傾斜面146を構成しており、図14の上方から矢印に沿って落下するインク138は該傾斜面146を滑落して凝集され、開口142を介して吸引回収される。
図14に示した構成によっても、記録紙16を安定保持可能であるとともに、記録紙16の裏面汚れを防止できる。
図6で説明した支持部22のプラテン36では、図15(a)に示すようにインク捕集孔60を支持部22の長手方向と平行は配列ラインに沿って並べてマトリック状に配置したが、インク捕集孔60の配列形態はこれに限定されない。例えば、図15(b)に示すように、支持部22の長手方向に対してある角度を持たせた斜めの配列ラインに沿って並べて配置する態様も可能である。
上記実施形態では、記録媒体の全幅に対応する長さのノズル列を有するページワイドのフルライン型ヘッドを用いたインクジェット記録装置を説明したが、本発明の適用範囲はこれに限定されず、短尺の記録ヘッドを往復移動させながら画像記録を行うシャトルヘッドを用いるインクジェット記録装置についても本発明を適用可能である。
また、上述の説明では、画像形成装置の一例としてインクジェット記録装置を例示したが、本発明の適用範囲はこれに限定されない。例えば、印画紙に非接触で現像液を塗布する写真画像形成装置についても本発明を適用できる。すなわち、インクに限らず、処理液や機能液その他の液体を媒体に塗布する液滴吐出工程が含まれる他の画像形成装置について本発明を広く適用できる。インクジェット方式以外では、光学式の写真プリント作製装
置、ラインヘッドを有する熱転写記録装置、LED電子写真プリンタ、LEDライン露光ヘッドを有する銀塩写真方式プリンタなど各種方式の画像形成装置について本発明を適用することが可能である。
本発明の実施形態に係るインクジェット記録装置の全体構成図 印字ヘッドの構造例を示す平面透視図 印字ヘッドの他の構造例を示す平面透視図 図2中の4−4線に沿う断面図 図2に示した印字ヘッドのノズル配列を示す拡大図 印字ヘッドのノズル面に対向する位置で記録紙を支持する支持部22の構造を示す斜視図 図6中の7−7線に沿う断面図 クリーニング動作時の様子を示す側面図 クリーニング動作に関する制御系の構成図 クリーニング動作の制御手順を示したフローチャート 印字ヘッドのノズル面を密閉する手段の例を示した概略側面図 印字ヘッドのノズル面を密閉する手段の例を示した概略側面図 インク捕集手段の形状例を示す斜視図 インク捕集手段の他の形状例を示す斜視図 インク捕集孔の配列例を示す平面図
符号の説明
10…インクジェット記録装置、12…印字ヘッド、12’…ヘッドユニット、13…ノズル面、14…インク貯蔵/装填部、16…記録紙、22…支持部、36…プラテン、37…プラテン面、39…吸引ポンプ、60…インク捕集孔、61…開口、62…開口、63…傾斜面、64…稜、65…撥液層、70…ブレード、71…第1ブレード、72…第2ブレード、77…インク、80…ブレード走行機構、81…ボールネジ、82…スライダ、86…モータ、90…コントローラ、94…ブレード駆動部、96…支持部駆動部、132…弾性部材、138…インク、140…突起、142…開口、146…傾斜面

Claims (10)

  1. 液滴を吐出させるノズルが形成された吐出ヘッドと、
    前記吐出ヘッドのノズル面と対向する位置に配設され、記録媒体を支持する媒体支持手段と、
    前記媒体支持手段に設けられた液捕集手段であって、前記吐出ヘッド側から進入した液を滑落させる傾斜面と、前記傾斜面の底部に形成され当該媒体支持手段の裏面と連通する開口とを有する液捕集手段と、
    前記液捕集手段の開口を介して液を吸引する吸引手段と、
    を備えたことを特徴とする画像形成装置。
  2. 前記液捕集手段は、前記吐出ヘッド側の開口が相対的に広く、前記吸引手段側の開口が相対的に狭い孔形状の貫通孔であることを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
  3. 前記液捕集手段の前記吐出ヘッド側の貫通孔周囲は、前記記録媒体を線接触によって支持する稜形状を有していることを特徴とする請求項2記載の画像形成装置。
  4. 前記液捕集手段は、前記記録媒体の搬送方向に直交しない稜形状を有していることを特徴とする請求項3記載の画像形成装置。
  5. 前記液捕集手段は、前記記録媒体を点接触によって支持する突起を有し、該突起の側面が前記傾斜面を構成していることを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
  6. 前記液捕集手段は、撥液性を有していることを特徴とする請求項1乃至5の何れか1項記載の画像形成装置。
  7. 前記媒体支持手段及び前記吐出ヘッドのうち少なくとも一方を前記吐出ヘッドの液滴吐出方向に移動させる相対移動手段と、
    前記吐出ヘッドのノズル面の周囲を覆い前記媒体支持手段と接触することにより前記ノズル面を密閉する弾性部材を含む密閉手段と、
    を備えたことを特徴とする請求項1乃至6の何れか1項記載の画像形成装置。
  8. 前記媒体支持手段は、非吐出時に前記吐出ヘッドのノズル面を封止するキャッピング手段として機能するとともに、前記吐出ヘッドのノズルから液吸引を行うヘッド液吸引手段として機能することを特徴とする請求項7記載の画像形成装置。
  9. 前記吐出ヘッドのノズル面に接触する第1の清掃手段と、
    前記媒体支持手段の媒体支持面に接触する第2の清掃手段と、
    前記第1の清掃手段を前記ノズル面に接触させるとともに前記第2の清掃手段を前記媒体支持面に接触させた状態で前記第1の清掃手段及び前記第2の清掃手段を同時に前記ノズル面及び前記媒体支持面に対して移動させる清掃駆動手段と、
    を備えたことを特徴とする請求項1乃至8の何れか1項記載の画像形成装置。
  10. 前記第1の清掃手段は前記ノズル面を払拭する第1のブレードを備える一方、前記第2の清掃手段は前記媒体支持面を払拭する第2のブレードを備え、前記第1のブレードと前記第2のブレードとが前記清掃駆動手段による清掃時の移動方向に沿って所定の間隔を有して配置され、前記清掃時に前記移動方向に先行する前記第1のブレードによって前記ノズル面を払拭し、当該第1のブレードが払拭通過したノズル領域のノズルから液滴を吐出させ、該吐出液滴が付着した前記媒体支持面の領域を後続の前記第2のブレードによって払拭することを特徴とする請求項9記載の画像形成装置。
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