図1〜図16は、本発明の実施の形態を示すものである。即ち、図1は本発明の撮影装置用防水ケースの一実施例を示す断面図、図2は同じく正面側の斜視図、図3は同じく背面側の斜視図、図4は防水ケースを開いてカメラを収納する説明図、図5はフロントケースとリアケースを重ね合わせる説明図、図6はフロントケースの正面図、図7はフロントケースの背面図、図8はフロントケースの内面に左右の位置決め部材を取り付けた背面図、図9は導光管の斜視図、図10はリアケースの正面側の斜視図、図11は締込装置の分解斜視図、図12及び図13は締込装置の動作説明図、図14は撮影装置の一実施例を示す正面側の斜視図、図15は同じく背面側の斜視図、図16は光路変更手段の他の実施例を示す説明図である。
まず、本発明の撮影装置用防水ケースに使用される撮影装置について説明する。図14及び図15は、本発明に係る撮影装置の一具体例を示すもので、デジタルスチルカメラに適用したものである。このデジタルスチルカメラ1は、情報記録媒体として半導体記録メディアを使用し、光学的な画像をCCD(電荷結合素子)で電気的な信号に変換して半導体記録メディアに記録したり、液晶ディスプレイ等の表示装置に表示できるようにしたものである。
しかしながら、本発明に係る撮影装置としては、このデジタルスチルカメラ1に限定されるものではなく、アナログスチルカメラ、デジタルビデオカメラレコーダ、アナログビデオカメラレコーダその他の撮像装置に適用できるものである。また、情報記録媒体としては、半導体記録媒体に限定されるものではなく、テープ状記録媒体を用いたデジタルビデオカセット、アナログビデオカセットその他のテープカセットを用いることができることは勿論のこと、DVD(デジタルバーサタイルディスク)やCD−ROMその他の記録可能な光ディスク、光磁気ディスク、磁気ディスク等のディスク状記録媒体を適用することができる
図14及び図15に示すように、デジタルスチルカメラ1は、中空の筐体からなるカメラ本体2と、このカメラ本体2の左上部に配設されたレンズ装置3と、このレンズ装置3の近傍で横並びに配設されたフラッシュ装置4と、レンズ装置3の撮影レンズ5から入力される光に基づいて被写体の映像信号を形成する撮像手段と、この撮像手段で形成された映像信号又は予め情報記録媒体(撮像手段の記憶装置或いは半導体記録媒体)に記録されている情報に基づいて映像を表示する表示装置6と、撮影レンズ5を開閉するレンズカバー7等から構成されている。
なお、本発明における「映像」と「画像」について定義すると、次の通りである。すなわち、本発明では、表示装置6の表示面に表された1コマ毎の像を「画像」といい、その画像の任意数の集合を「映像」というものとする。また、本発明に係る「防水ケース」は、水中での撮影は勿論のこと、その他にも、例えば、海岸やプールサイドのような陸上、水辺、ボートやヨットの上のような水上等でも使用できるものである。すなわち、ここでいう防水ケースとは、防滴ケースや防塵ケース或いはレインジャケットの意味も含むものである。
デジタルスチルカメラ1の撮像手段は、カメラ本体2の内部に収納されていて図には現れないが、半導体記録媒体が着脱自在に装着される記録媒体ホルダと、この記録媒体ホルダに装着された半導体記録媒体に対して情報信号の記録(書き込み)及び再生(読み出し)を行う記録再生装置と、この記録再生装置の駆動制御その他の制御を行う制御装置等から構成されている。記録再生装置はCCDを備えており、そのCCDはレンズ装置3の光軸上の後方に配置されていて、このCCDで電気的な信号に変換された情報が半導体記録媒体に記録される。半導体記録媒体は、カメラ本体2の下面に設けた開口部から出し入れ可能とされており、その開口部は蓋体8によって開閉可能とされている。
図14に示すように、カメラ本体2の前面上部に配置された撮影レンズ5とフラッシュ装置4の発光部は、上下方向へ移動可能とされたレンズカバー7によって開閉可能とされている。レンズカバー7は、カメラ本体2に対して上下方向へ摺動可能に支持されており、図14において実線で示す略中央部に位置するレンズ開放位置と、二点鎖線で示す上部に位置するレンズ閉鎖位置を選択的に取ることができる。その結果、レンズカバー7がレンズ開放位置にあるときには撮影レンズ5とフラッシュ装置4の発光部は共に開かれていて、撮影操作が可能となる。これに対して、レンズカバー7をレンズ閉鎖位置に移動することによって撮影レンズ5と発光部が共に閉じられ、これにより撮影操作が不能となる。
カメラ本体2の上面には、電源ボタン10とシャッタボタン11が設けられている。また、図15に示すように、カメラ本体2の背面には、表示装置の一具体例を示す液晶ディスプレイ6と、ズーム操作を行うことができるズームボタン12と、コントロールボタンやリセットボタン等の各種操作ボタンからなる操作ボタン群13が配設されている。液晶ディスプレイ6は、カメラ本体2の背面において、その中央部から左側部にかけて大きく占有するよう大型に形成されていて、右側部の上部にズームボタン12が配置され、その下部に操作ボタン群13が配置されている。
ズームボタン12は、撮影時ばかりでなく、再生時においてもズーム操作を行うことができるようになっている。また、操作ボタン群13としては、例えば、再生ボタン、停止ボタン、早送りボタン、戻しボタン等のコントロールボタンやリセットボタン、画面表示やLCDのためのバックライトボタン等を挙げることができるが、これらの操作ボタン類に限定されるものではない。これら操作ボタン群13とズームボタン12の間には複数の透孔14が設けられていて、この透孔14の内側にスピーカが内蔵されている。
また、カメラ本体2の右側面の上部には、モードスイッチ15が上下方向へスライド動作可能に取り付けられている。モードスイッチ15は、カメラ機能を切り替えるもので、その機能モードとしては、例えば、動画撮影モード、静止画撮影モード、画像再生/編集モード等を挙げることができる。モードスイッチ15には、次に述べる撮影装置用防水ケースのモードダイヤルに係合するための凸部15aが設けられている。図15に示す符号16はストラップ取付部であり、このストラップ取付部16には、図示しないが、手首に引っ掛けて保持するためのリストストラップが取り付けられる。
このような構成を有するデジタルスチルカメラ1が着脱自在に装着される本実施例の撮影装置用防水ケース20は、図1乃至図13に示すような構成を有している。撮影装置用防水ケース20は、図1〜図5に示すように、フロントケース21とリアケース22と締込装置の一具体例を示すバックル23とを備えて構成されている。フロントケース21は凹陥部24を有し、また、リアケース22は凹陥部25を有していて、それらの凹陥部24,25を対向させて両ケース21,22を重ね合わせることにより、全体として略直方体をなす中空室を有する筐体が構成されている。このフロントケース21とリアケース22で形成される中空室内にデジタルスチルカメラ1が収納される。
図6〜図8に示すように、フロントケース21は、略四角形をなす正面部21aと、この正面部21aの上下に連続した上面部21b及び下面部21cと、正面部21aの左右に連続した左側面部21d及び右側面部21eとからなっている。フロントケース21の正面部21aの右上の角部には、収納されたデジタルスチルカメラ1のレンズ装置3の撮影レンズ5が対向されるレンズ窓26が開口されていて、そのレンズ窓26には長方形をなす2枚のガラス板27,28が装着されている。2枚のガラス板27,28は、外部の光がなるべく自然な形でレンズ装置3に入力するように設けたもので、外側に配置されたフロントガラス27と、その内側に配置されたリアガラス28とからなっている。
リアガラス28はフロントガラス27よりも一回り小さく形成されていて、これらフロントガラス27及びリアガラス28を保持するためフロントケース21のレンズ窓26には、フロント保持枠30とシール部材31とリア保持枠32とが装着されている。そして、レンズ窓26は段部によって2段構造とされていて、外側の大穴部にはフロント保持枠30が装着され、内側の小穴部にはリア保持枠32が装着されている。フロント保持枠30にはフロントガラス27が保持され、リア保持枠32にはリアガラス28が保持されていて、両ガラス27,28間にシール部材31が介在されている。
フロント保持枠30に保持されたフロントガラス27の四辺の周縁部には、四角形の枠体からなる押え枠33が当接されている。この押え枠33を、固定ネジ等の固着手段で着脱可能に固定することにより、2枚のガラス板27,28の脱落が防止されている。このフロントガラス27の周縁部には、四角形の枠体をなすガラスカバー34が着脱可能に装着されている。
フロントケース21の左右方向の両側部には、フロントケース21に対してデジタルスチルカメラ1を位置決めするための位置決め部材の一具体例を示す一対のサイドホルダ35,36が固定ネジ37からなる固着手段によって取り付けられている。左サイドホルダ35は、デジタルスチルカメラ1の左サイドを支持するもので、カメラ本体2の左上角部を支持する上支持部35aと、カメラ本体2の左下角部を支持する下支持部35bと、レンズ窓26に対向される開口穴38を有するレンズ対応部35cとからなっている。
更に、レンズ対応部35cには、デジタルスチルカメラ1の撮影レンズ5を囲むようにカメラ本体2の前面に圧接される遮光部39が設けられている。遮光部39は、図1に示すように、先細の角錐状に形成されているとともに、その肉厚を薄くすることによって大きな可撓性が付与されている。これにより、所定位置に装着されたデジタルスチルカメラ1の前面に遮光部39の先端を密着させ、撮影レンズ5に側方からフラッシュ光が入り込むのを防止している。
この遮光部39の中央側には、撮影レンズ5と横並びに配置されたフラッシュ装置4の発光部を囲むように覆う光路変更手段の一具体例を導光管40が取り付けられている。導光管40は、フラッシュ装置4の発光部で発光される光の発光位置から、その光がフロントケース21を透過して外部に放射される放射位置を変移させるためのものである。この導光管40は、図9に拡大して示すように、横長の角錐形状をなす本体部40aと、この本体部40aをフロントケース21に固定するための固定部40bからなり、これらは一体に形成されている。
導光管40の本体部40aは、左右に対向された左側面部41a及び右側面部41bと、上下に対向された上面部41c及び下面部41dからなっている。左右側面部41a,41bは、カメラ本体2の前面に対する垂直方向と45度の角度をなして互いに平行に設けられている。これに対して、上下面部41c,41dは、それぞれ若干外側に開くように設けられており、これにより放射する光が外部に広がって進行するようにしている。また、導光管40の固定部40bは、本体部40aの上面部41cの上面に設けられている。固定部40bには固定ネジ37の軸部が挿通される挿通孔42が設けられていて、固定部40bの前面40cは、フロントケース21の正面部21aの内面形状に合わせて曲面とされている。
導光管40の本体部40aの内面全体は、光を効率良く反射できるように鏡面からなる光反射面として形成する。このような光反射面としては、例えば、アルミニウム等の金属の真空蒸着、スパッタリング、メッキ等の手段によって形成することができる。しかしながら、これに限定されるものではなく、例えば、本体部40aの内面にアルミニウム箔を貼り付ける等して光反射面を形成するようにしてもよい。
右サイドホルダ36は、デジタルスチルカメラ1の右サイドを支持するもので、カメラ本体2の右上角部を支持する上支持部36aと、カメラ本体2の右下角部を支持する下支持部36bとからなっている。上支持部36aと下支持部36bの間には、高さ方向に所定の長さを有する切欠きからなるカバー保持部44が設けられている。このカバー保持部44は、デジタルスチルカメラ1のレンズカバー7を保持するためのものである。
このフロントケース21の上面部21bには、ケース側の電源ボタン45とシャッタボタン46が設けられている。これら電源ボタン45及びシャッタボタン46は、撮影装置用防水ケース20の所定位置に位置決めされて装着されたデジタルスチルカメラ1の電源ボタン10及びシャッタボタン11と対応する位置に設けられている。その結果、ケース側の電源ボタン45を押圧操作することによってカメラ側の電源ボタン10が押圧操作され、同じくケース側のシャッタボタン46を押圧操作することによってカメラ側のシャッタボタン11が押圧操作されるようになっている。これら電源ボタン45及びシャッタボタン46の形状・構造は後述するケース側の操作ボタン群と同様であるため、後にそれらと一緒に説明する。
図4に示すように、フロントケース21の下面部21cの略中央部には、撮影装置用防水ケース20を三脚に取り付けるための固定板47が固定ネジ48による固着手段によって固定されている。そして、固定板47の両外側には、一対の脚部49が適宜な間隔をあけて設けられている。
また、フロントケース21の左側面部21dの略中央部には、後述する締付装置に関連するテコ受け部50と受圧凸部51と固定凸部52が設けられている。テコ受け部50と受圧凸部51は上下方向へ所定間隔あけて設けられていて、テコ受け部50の下面50aと受圧凸部51の上面51aは、ともにフロントケース21の開口側端面と略平行をなす平面とされている。そして、固定凸部52には、撮影時に把持するための把持部材53が固定されている。更に、フロントケース21の左側面部21dの下部には、図示しないハンドストラップを取り付けるためのストラップ取付部54が設けられている。
フロントケース21の背面には、凹陥部24の周囲を囲うように環状溝55が設けられている。この環状溝55には、リアケース22との間を液密にシールするためのリング状をなす防滴パッキン56が装着されている。防滴パッキン56は、図12及び図13に示すように、断面形状が六角形をなしていて、環状溝55に装着した状態において、その1の角部が全周に渡って環状溝55から突出されている。これにより、フロントケース21にリアケース22を重ね合わせた状態において、防滴パッキン56の1の角部が全周に渡ってリアケース22の端面に当接されるとともに、パッキン自体の弾性により変形して当接面に密着するように構成されている。防滴パッキン56の材質としては、例えば、EPDM(エチレン・プロピレンゴム)が好適であるが、その他のパッキン材料を用いることもできる。
図4等に示すように、フロントケース21はヒンジ60によってリアケース22と回動自在に連結されている。ヒンジ60は、フロントケース21の右側部に設けた2個の前側軸受部61と、リアケース22の右側部に設けた3個の後側軸受部62と、隣り合う軸受部61,62間を連結する2本のヒンジネジ63とから構成されている。前後の軸受部61,62は、互いに噛み合うように所定間隔あけて所定幅で形成されており、それらが重ね合わされた方向に2本のヒンジネジ63が上下から挿通されている。これにより、2本のヒンジネジ63を介して前後の軸受部61,62が回動自在に連結され、このヒンジ60によって両ケース21,22が開閉自在に結合されている。
図1、図3及び図4等に示すように、リアケース22は、略四角形をなす背面部22aと、この背面部22aの上下に連続した上面部22b及び下面部22cと、背面部22aの左右に連続した左側面部22d及び右側面部22eとからなっている。リアケース22の背面部22aの内面には、収納されたデジタルスチルカメラ1の液晶ディスプレイ6に対向されるモニタフード70が取り付けられている。モニタフード70は、液晶ディスプレイ6の表示面の外周を四角に囲い、外部の光が側方から入り込んで表示面に照射されるのを防止するものである。
モニタフード70は、四角形の枠状に形成されていて、その4箇所の角部にはネジ固定部71が設けられている。これら4つのネジ固定部71に対応して背面部22aの内面にはネジ止め用凸部72が設けられている。これら4箇所のネジ固定部71をそれぞれ凸部72に固定ネジ73で締め付けることにより、モニタフード70が背面部22aの内面に固定されている。モニタフード70の材質としては、例えば、シリコンゴムやその他の合成ゴムが好適であるが、比較的柔らかいプラスチックを用いることもできる。
更に、リアケース22の背面部22aのモニタフード70の側方には、ケース側の操作ボタンが多数個配設されている。図3等に示すように、ケース側の操作ボタンは、デジタルスチルカメラ1のズームボタン12に対応した一対のズームボタン74a,74bと、操作ボタン群13に対応した操作ボタン群75である。これら一対のズームボタン74a,74b及び操作ボタン群75は、防水ケース20の所定位置に位置決めされたデジタルスチルカメラ1のズームボタン12及び操作ボタン群13と重なり合う位置に配置されている。
一対のズームボタン74a,74bは、カメラ側ズームボタン12の広角側と望遠側に対応したものである。すなわち、一方のズームボタン74aを押圧することによってズームボタン12が広角側に動作され、他方のズームボタン74bを押圧することによってズームボタン12が望遠側に動作される。一方、ケース側の操作ボタン群75は、カメラ側の操作ボタン群13にそのまま対応したものである。
これら操作ボタン74a,74b,75の構成は、前記電源ボタン45及びシャッタボタン46と同様であるため、ここでまとめて説明する。図1に示すように、操作ボタン74a,74b,75は、リアケース22(又はフロントケース21)の外側に配置された操作部76aと、内側に配置された作用部76bと、リアケース22(又はフロントケース21)を貫通して一端に操作部76aが固定され且つ他端に作用部76bが固定されたボタン軸76cと、このボタン軸76cが液密に挿通されたシール部材76dと、操作部76aを外側に付勢するコイルバネ76eとから構成されている。
これら操作ボタン74a,74b,75のボタン軸76cを貫通するためリアケース22(又はフロントケース21)には貫通孔77aが設けられていて、その外面には、大径穴77bと、この大径穴77bの外側に形成された環状凸部77cが設けられている。大径穴77bには、ボタン軸76cに緩く嵌合されたコイルバネ76eが収納されていて、このコイルバネ76eのバネ力によって操作ボタン74a,74b,75が、常時外側の操作部76a側に付勢されている。また、環状凸部77cには、操作部76aを押圧したときに、大径穴77b内の水を外部に逃がすための水抜き溝78が設けられている。
図10に示す符号79は、デジタルスチルカメラ1の液晶ディスプレイ6と反対側のカメラ本体2上下に当接されるクッションである。各クッション79は、固定ネジ73によってリアケース22のネジ止め用凸部に締付固定されている。
リアケース22の一対のズームボタン74a,74bと操作ボタン群75の間には、デジタルスチルカメラ1のモードスイッチ15をスライド操作するためのモードダイヤル80が設けられている。モードダイヤル80は、リアケース22の外側に配置された回動操作体81と、リアケース22の内側に配置されるとともに回動操作体81の回動操作によってスライド動作されるスライド部材82とから構成されている。スライド部材82の先端部には、デジタルスチルカメラ1のモードスイッチ15の凸部15aに係合される係合爪83が設けられている。
リアケース22の前面には、凹陥部25の周囲を囲うように突出した環状凸部65が設けられている。この環状凸部65の外周面には、周方向に連続する環状溝66が設けられている。そして、環状溝66には、リアケース22との間を液密にシールするO−リング67が装着されている。このO−リング67は、図1等に示すように、フロントケース21にリアケース22を重ね合わせた状態において、その開口側の内面に全周に渡って圧接される。これにより、防滴パッキン56とO−リング67が二重構造になって防水機能を発揮し、水深の深い位置でも水の浸入を確実に防止することができる。O−リング67の材質としては、例えば、Si(シリコンゴム)が好適であるが、その他のシール材料を用いることもできる。
リアケース22の下面部22cには、一対の脚部68が所定間隔あけて設けられている。一対の脚部68は、フロントケース21の一対の脚部49と一致する位置に設定されている。
このような構成を有するフロントケース21とリアケース22は、バックル23によって強く締付固定可能に構成されている。バックル23は、図12及び図13に示すように、リアケース22に回動自在に取り付けられたバックル本体90と、このバックル本体90に摺動可能に保持された一対の摺動操作部材91,91と、一対の摺動操作部材91,91をそれぞれ外側に付勢する弾性体の一具体例を示すコイルバネ92と、一対の摺動操作部材91,91の外側への移動を制限する押え板93と、一対の摺動操作部材91,91が係合固定されるロック板94とから構成されている。
図11等に示すように、バックル本体90は、フロントケース21とリアケース22が重なり合う側面部を幅広く覆う平面形状が略四角形で断面形状が円弧状をなす部材からなり、その円弧方向の一端には、接線カムのような形状に形成されたテコ作用部95が設けられている。テコ作用部95は、リアケース22の右側面部22eに設けた一対の軸受部96,96間に挿入されていて、これらを貫通するバックル軸97によってバックル本体90がリアケース22に対して回動自在に支持されている。
バックル本体90の幅方向の両側には、補強を兼ねた側面部90a,90aが設けられている。各側面部90aは、テコ作用部95の根元部分から先端部まで延在されていて、その中途部には、円弧部の曲率半径内側に開口された切欠き部90bがそれぞれ設けられている。バックル本体90の各切欠き部90bの内側には、一対の摺動操作部材91,91がスライド動作可能に収納されるスライド収納部98が設けられている。
一対の摺動操作部材91,91は同一のものであって、一体に形成された押圧部91aと軸部91bと接合片91cとバネ受け凸部91dとを有している。摺動操作部材91の押圧部91aは、バックル本体90の切欠き部90bに緩く嵌り合う形状とされていて、その下面から略垂直をなす方向に軸部91bが延在されている。この軸部91bの軸方向中途部に、側方へ突出するように接合片91cが設けられている。
摺動操作部材91の接合片91cの先端には、押圧部91a側に突出する爪部91eが設けられている。バネ受け凸部91dは、軸部91bの先端からその軸方向へ突出するように設けられている。このバネ受け凸部91dにはコイルバネ92が緩く嵌合され、その一端が軸部91bの先端面に着座されている。このような構成を有する一対の摺動操作部材91,91が収納されるスライド収納部98は、一対の軸部91bを反対側から対向させて保持する一対のスライド溝98a,98aと、コイルバネ92の他端を支持する一対のバネ受け部98b,98bを有している。
スライド収納部98に収納された一対の軸部91b,91b及び一対のコイルバネ92,92は、押え板93によって抜け止めされている。押え板93は、固定ネジによる固着手段によってバックル本体90の内面に固定されている。この押え板93には、一対の摺動操作部材91,91の各接合片91cを貫通させるための一対の切欠き93a,93aが設けられている。この押え板93の各切欠き93aの接合片91cと対面する部分には、コイルバネ92のバネ力によって接合片91cの爪部91eがそれぞれ付勢される。
これら一対の爪部91e,91eが係合されるロック板94がフロントケース21の対応する位置に固定されている。ロック板94は、一対の摺動操作部材91,91の一対の爪部91e,91eが挿入される開口部94aを有する板体からなり、その開口部94aの上下両端をくの字形に折り曲げることによって上下の固定部94b,94cが形成されている。そして、これら上下の固定部94b,94cを固定ネジ99で締め込むことにより、ロック板94がフロントケース21に取り付けられている。なお、上固定部94bと固定凸部52との間には把持部材53の固定片53aが介在されていて、上固定部94bとともに締付固定されている。
また、図11〜図13に示すように、バックル本体90のテコ作用部95とスライド収納部98の間には、フロントケース21の受圧凸部51を押え付けることができる押圧凸部100が設けられている。押圧凸部100は、フロントケース21をリアケース22側に付勢するもので、リアケース22の受圧凸部51の前面に当接される。この押圧凸部100の内面101は、バックル本体90の回動中心であるバックル軸97に対して外向きに傾斜されていて、押圧凸部100の基部からバックル軸97までの長さよりも押圧凸部100の先端からバックル軸97までの長さの方が長くなるように設定されている。
前記フロントケース21及びリアケース22の材質としては、例えば、PC(ポリカーボネート)が好適であるが、その他のプラスチックスを用いることができることは勿論のこと、合成樹脂以外にもアルミニウム合金等の金属を用いることもできる。特に、PC等のプラスチックスを用いる場合には、内部構造が見えるように透明な樹脂を用いることが好ましいが、半透明或いは不透明なプラスチックスであってもよい。また、バックル本体90及び把持部材53の材質としては、例えば、ABS(アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン樹脂)やPOM(ポリアセタール)等が好適であるが、その他のプラスチックスを用いることができることは勿論のこと、アルミニウム合金等の金属を用いることもできる。
このような構成を有する撮影装置用防水ケース20は、例えば、次のようにして用いることができる。まず、図4に示すように、バックル23によるロックを解除した後、フロントケース21及びリアケース22を左右に開き、フロントケース21の凹陥部24に、この撮影装置用防水ケース20が適合するように構成された撮像装置の一具体例を示すデジタルスチルカメラ1を臨ませる。そして、レンズカバー7を中央側にスライドさせて撮影レンズ5を開放させた状態で、デジタルスチルカメラ1をフロントケース21の凹陥部24内に収納する。
この場合、凹陥部24内に設置された左右のサイドホルダ35,36によってデジタルスチルカメラ1が所定位置に位置決めされる。このとき、デジタルスチルカメラ1の撮影レンズ5は、フロントケース21のフロントガラス27の内側に配置された遮光部39で囲まれた開口穴38に対向される。また、フラッシュ装置4の発光部が、遮光部39の側方に配置された導光菅40の内側の開口部に対向される。そして、カメラ側の電源ボタン10にはケース側電源ボタン45の作用部76bが対向され、カメラ側のシャッタボタン11にはケース側シャッタボタン46の作用部76bが対向される。
次に、ヒンジ60にて回動させてリアケース22をフロントケース21に重ね合わせる(図5を参照)。このとき、フロントケース21とリアケース22は、図13に示すように、O−リング67の存在によって若干隙間が生じた状態となる。この状態から、フロントケース21をリアケース22側に少々押圧しながらバックル23のバックル本体90を締込側(フロントケース21に近づく方向)に回動させる。これにより、バックル本体90の押圧凸部100がフロントケース21の受圧凸部51の上に乗り上げるとともに、受圧凸部51の上端縁が押圧凸部100の内面101に当接される。
このとき、押圧凸部100の内面101は、バックル軸97から押圧凸部100の先端までの長さよりも基部までの長さが短くなっているため、バックル本体90がフロントケース21に近づくにつれて受圧凸部51が押圧凸部100によって押圧され、受圧凸部51の上端縁が内面101に沿って基部側に移動する。そして、バックル本体90をフロントケース21側に完全に回動させることによって図12に示す状態となり、バックル23がロックされる。その結果、フロントケース21とリアケース22の間が防滴パッキン56とO−リング67によって液密にシールされ、海水等の水の浸入が防止される。
これにより、図2及び図3に示す形態となり、撮影装置用防水ケース20内にデジタルスチルカメラ1が液密に収納されて、水中撮影が可能となる。この状態において、モードダイヤル80を操作して静止画撮影を選択することにより、フラッシュ装置4を用いたフラッシュ撮影が可能となる。このとき、デジタルスチルカメラ1の機能は、予めフラッシュ撮影が可能な状態に設定しておくようにする。この状態で、ケース側の電源ボタン45を押してカメラ側の電源ボタン10を押圧した後、ケース側のシャッタボタン46の押圧操作を介してカメラ側のシャッタボタン11を押圧することにより、フラッシュ装置4が作動して発光されるとともに、その発光動作に連動して静止画撮影が実行される。
この場合、フラッシュ装置4が作動して発光すると、その発光光は、発光部の前側に設置された導光管40の本体部40aの内部を通って前方に放射される。このとき、導光管40の本体部40aの内部は、左右の側面部41a,41bと上下の面部41c,41dで囲われているが、図1に示すように、左右の側面部41a,41bは側方へ45度傾斜した傾斜面とされている。そのため、左右側面部41a,41bの側方への変位量だけ発光光の放射位置が側方にずれることになり、その変位位置において発光光が外部に放射される。
この際、フラッシュ装置4の発光部の前方に障害物が無いときには問題とならないが、本実施例に係る撮影装置用防水ケース20のように、高い強度と十分な防水性能を確保するためにケースやガラス等の材料の肉厚を十分に厚くする必要がある場合、撮影レンズ5やフラッシュ装置4と対向する部分には、光の透過を妨げる障害物となる構造物が必然的に配置される構造となる場合がある。かかる場合において、本発明に係る導光管40を用いないために、フラッシュ装置4の発光位置で発光された光が、そのまま防水ケースの前面から外部に放射される場合には、多くの発光光が障害物で進行を妨げられて、被写体に到達できなくなり、光量不足を生じることになる。
これに対して、本実施例のように、フラッシュ装置4の発光位置の前に導光管40を配置し、この導光管40で発光光を屈折させて、障害物の無い位置に放射位置をずらすことにより、被写体に向かう光の量を増加させ、被写体に照射される光量が減少するのを抑制することができる。しかも、右側面部41bで反射された光は、その反射面と垂直をなす方向に進行するため、被写体に向かう光量を増加させることができる。
図16A,B及びCは、本発明に係る光路変更手段の他の実施例を示すものである。図16Aに示す光路変更手段は、導光管として第2の実施例を示すものである。この導光管110は、フラッシュ装置から発光された光の光路を2つ設定し、その2つの光路111,112のそれぞれ外側に45度の傾斜面からなる反射面113を設けたものである。この場合、反射面113の傾斜角度は45度に限定されるものではなく、その傾斜角は45度より広くてもよく、また、45度より狭くてもよいものである。
図16Bに示す光路変更手段は、プリズムを用いた第1の例を示すものである。光路変更手段としてのプリズム120は、菱形をなすブロック体の一部に同じく菱形をなすブロック体の切欠きを設け、両サイドに対向された反射面121,122のうち、一方の反射面122の中途に段部123を設け、その反射面122を前後2つの反射面122a,122bに分割したものである。この実施例によれば、2つの反射面122a,122bによって発光光の波長に時間差を与えることができるため、例えばマルチ発光(時間差を持って少し時間的にずれて発光する状態)を実現することができる。
図16Cに示す光路変更手段は、プリズムを用いた第2の例を示すものである。光路変更手段としてのプリズム120は、菱形をなすブロック体の2個を横並びに合わせて一体に形成したものである。このプリズム130は、フラッシュ装置から発光された光の光路を2つ設定し、その2つの光路131,132のそれぞれ外側に45度の傾斜面からなる反射面133を設け、その反射面133と平行に対向する反射面134がそれぞれ内側に設けられている。
図16A〜Cに示すような形態の光路変更手段によっても、前述した導光管40を用いた実施例と同様の効果を得ることができる。なお、導光管40をプリズムによって形成できることは勿論であり、そのような形態とすることによっても同様の効果を得ることができる。
1…デジタルスチルカメラ(撮影装置)、2…カメラ本体、3…レンズ装置、4…フラッシュ装置、5…撮影レンズ、6…液晶ディスプレイ(表示装置)、7…レンズカバー、20…撮影装置用防水ケース、21…フロントケース、22…リアケース、23…バックル(締込装置)、27…フロントガラス、35,36…サイドホルダ(位置決め部材)、38…開口穴、39…遮光部(発光遮光手段)、40,110…導光管(光路変更手段)、41a、41b…側面部、113,121,122,122a,122b…反射面、123…段部