JP2005112088A - 車両の防音構造 - Google Patents

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顕史 古田
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Abstract

【課題】 車体パネルの室内面に防音材を取り付けてなる車両の防音構造であって、防音材の軽量化を図ることにより、燃費効率、取付作業性を高めるとともに、防音特性を向上させる。
【解決手段】 ダッシュパネル10の室内面側に取り付けられるインシュレータダッシュ(防音材)20は、緻密多孔質吸音体21の単一層から構成し、ダッシュパネル10との間に空気層30を介して取り付けることで、軽量化を図り、かつダッシュパネル10を透過する騒音に対して遮音機能を高め、かつ車室R内側からの反射騒音に対して再度緻密多孔質吸音体21内部に騒音を取り込むことで、防音性能を高める。
【選択図】 図1

Description

この発明は、車体パネルの室内面側に防音材を取り付けてなる車両の防音構造に係り、特に、重量の嵩む遮音層を廃止して、防音材の軽量化を図るとともに、広範囲な周波数域の騒音に対して、優れた防音特性を発揮できる車両の防音構造に関する。
通常、車室内の静粛性を高めるために、車両の防音構造として、車体パネルの室内面側に各種防音材が取り付けられている。この防音材の一例として、インシュレータダッシュの従来例について、以下説明する。図12に示すように、エンジンルームEと車室Rとを区画するダッシュパネル1の室内面側には、インシュレータダッシュ2が添装されており、このインシュレータダッシュ2は、図13に拡大して示すように、再生ゴムシート、再生塩ビシート等、高密度材料からなる遮音層3と、その裏面側に積層一体化される繊維集合体からなる吸音層4とから構成されており、インシュレータダッシュ2の下側表面には、フロアカーペット5がラップ状に敷設され、また、インシュレータダッシュ2の上部側はインストルメントパネル6内に位置している(例えば、特許文献1参照。)。
ところで、従来の二層構造のインシュレータダッシュ2の防音メカニズムを図14を基に説明すると、エンジンルームE内でのエンジン類や補器類の騒音f1は、ダッシュパネル1で一部が遮音され、残る騒音は、ダッシュパネル1を透過して室内側に伝播し、f2で示す騒音がインシュレータダッシュ2内に侵入する。そして、この騒音f2は、その一部が吸音層4で吸音されるとともに、遮音層3で遮音されるが、一部は透過騒音f3としてインストルメントパネル6内に侵入する。
更に、インストルメントパネル6内に侵入する透過騒音f3は、インストルメントパネル6の内面で反射して、この反射騒音f4が遮音層3で再度反射され、結果的に反射騒音f4,f5がインストルメントパネル6の空間内で反響音となり、この反響音が車室内の静粛性を阻害する大きな要因となっている。
そして、この従来の防音(遮音・吸音)メカニズムにおいては、インシュレータダッシュ2における遮音・吸音割合と、インストルメントパネル6内での吸音割合は比率的に約9:1の割合である。
実開平7−5966号公報(第2頁、図1乃至図4)
このように、従来のインシュレータダッシュ2は、高密度材料を素材とした遮音層3と、繊維集合体からなる吸音層4との二層積層体から構成されており、特に、遮音層3の重量が嵩むため、製品の軽量化に逆行し、燃費効率の低下やインシュレータダッシュ2の取付作業性を悪化させるという問題点が指摘されている。
更に、従来のインシュレータダッシュ2の防音メカニズムにおいては、インシュレータダッシュ2の主に二重壁遮音機能による遮音・吸音機能に対してインストルメントパネル6内での吸音機能が非常に小さいため、インストルメントパネル6内での減衰されなかった透過音の解消が防音上急務とされていた。
この発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、車体パネルの室内面側に防音材を取り付けてなる車両の防音構造であって、重量が嵩む遮音層を廃止して防音材の軽量化を促進させるとともに、低周波数域から高周波数域の広範囲な周波数域の騒音に対して有効に防音できる車両の防音構造を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明は、車体パネルの室内面側に防音材を取り付けてなる車両の防音構造において、前記防音材は、車体パネルの室内面形状に合わせて成形された緻密多孔質吸音体の単一層から構成され、車体パネルとの間で所定クリアランスの空気層を介して車体パネルの室内面に取り付けられるとともに、前記緻密多孔質吸音体の密度及び厚み、並びに空気層の厚みを車体パネルから室内側に伝播する騒音の周波数レベルに応じて調整したことを特徴とする。
ここで、緻密多孔質吸音体に使用する素材は、フエルト、PET(ポリエステル)繊維等の合成繊維、紙類(パルプ等)を繊維状にした繊維集合体からなり、通常は、繊維集合体をマット状に集積した原反マットを加熱軟化処理後、所要形状の型面を有するコールドプレス成形金型によりプレス成形して成形される。
また、この緻密多孔質吸音体の物性としては、密度0.01〜0.6g/cm、厚み3〜20mm、好ましくは、5〜10mm、通気量0.1〜50cm/cm・sec、好ましくは、1〜20cm/cm・secの範囲が良い。尚、通気量の数値は、フラジール型通気量測定器による。
この緻密多孔質吸音体に使用する素材としては、上記繊維質成形体の他に、発泡樹脂成形体、発泡性ゴム等を使用することもできる。更に、車体パネルと緻密多孔質吸音体との間に設定される空気層は、緻密多孔質吸音体の占有面積に対して5〜100%、好ましくは50〜95%の範囲に設定できる。
そして、本願発明によれば、車体パネルに取り付けられる防音材としては、緻密多孔質吸音体の単一層であるため、従来の重量の嵩む遮音層を廃止することができ、大幅な軽量化が可能となる。
更に、非通気性の遮音層を廃止したため、車体パネルから室内側に伝播する騒音は、緻密多孔質吸音体を通して車室内に透過し、その後、室内パネルの内面で反射する反射騒音は、再度緻密多孔質吸音体表面側から吸音されることになり、室内の音圧上昇を抑えることができる。
また、本願発明によれば、車体パネルを透過する騒音が比較的低周波数レベルの場合には、空気層の厚みを厚く、かつ緻密多孔質吸音体の密度を高密度に、すなわち、厚みを薄く設定すれば有効である。逆に、車体パネルを透過する騒音が中・高周波数レベルの場合には、緻密多孔質吸音体の密度を低密度に、すなわち、厚みを厚く設定するのが有効である。
従って、車体パネルを透過する騒音の周波数レベルに応じて、緻密多孔質吸音体の密度、厚み、及び空気層の厚みを調整することで、騒音の周波数レベルに応じた木目細かな防音処理が可能となる。
次いで、本発明の好ましい実施の態様は、前記緻密多孔質吸音体は、車体パネルからの振動の伝播を防ぐために、緻密多孔質吸音体の所要箇所にのみ、車体パネル側に向く凸部が形成され、この凸部の先端面が車体パネルに当接支持されることにより、空気層の厚みが確保されることを特徴とする。
ここで、緻密多孔質吸音体に形成される凸部は、車体パネルとの当接面をフラット面とした椀状等に形成され、当接ポイントは、車体パネルに対する固定点の他に、剛性が要求される部位等、最低限の箇所に設定されている。
従って、この実施の態様によれば、車体パネルへの取り付け、及び剛性が必要とされる部位に限り、緻密多孔質吸音体が車体パネルと当接しており、その他の部位においては、空気層があることから、車体パネルと接触していないため、車体パネルから緻密多孔質吸音体への振動の伝播を極力抑えることができる。
次に、本発明の好ましい実施の態様は、前記防音材は、緻密多孔質吸音体の裏面又は表面の全面、あるいは一部に車体パネルからの透過騒音の周波数レベルに応じた少なくとも一つの補助減衰層が積層一体化されていることを特徴とする。
ここで、シート状の補助減衰層は、緻密多孔質吸音体の裏面の全面、あるいはその一部に積層一体化される。この補助減衰層としては、制御対象となる騒音の周波数レベルに対応して、例えば、低・中周波数域の騒音に対しては、比較的重量の嵩むシート材料、例えば、PVC、ポリエチレン等の樹脂シート等が使用でき、面密度は500〜9000g/m程度のものが良い。
また、中・高周波数域の騒音に対しては、膜吸音特性を備えたシート材料、例えば、発泡シート、樹脂フィルム、ウレタンシート等、面密度が30〜500g/mのものを使用する。更に、低通気性を備えたシート材料、例えば、不織布、スパンボンド、ウレタンシート等、面密度が30〜300g/m、かつ通気量が5〜30cm/cmsecのものを使用することもできる。
更に、緻密多孔質吸音体と補助減衰層との一体化については、補助減衰層が通気性を備えていれば、緻密多孔質吸音体の原反マットと補助減衰層とを重ね合わせて熱風加熱処理を施し、一体にプレス加工すれば良い。また、補助減衰層が非通気性素材であれば、個々に加熱処理を施し、成形金型内で緻密多孔質吸音体と補助減衰層とをプレス一体化すれば良い。
従って、この実施の態様によれば、種々の騒音の周波数レベルに対して必要に応じた少なくとも一つの補助減衰層を緻密多孔質吸音体の裏面又は表面の全面、あるいは裏面又は表面の一部に一体化させることで、防音性能を補完することができる。
以上説明した通り、本発明に係る車両の防音構造は、車体パネルの面形状にほぼ合致する形状に成形された緻密多孔質吸音体の単一層で防音材を構成し、車体パネルとの間に空気層を介して取り付けるという構成であるから、製品重量を低減化することで、燃費効率を高め、かつ車体パネルへの取付作業性を高めることができるという効果を有する。
更に、本発明に係る車両の防音構造は、車体パネルと緻密多孔質吸音体との間に空気層が介在しているため、重量化を招くことなく、二重壁遮音効果による良好な遮音特性を発揮することができるとともに、室内側から反射する反射騒音に対しても、緻密多孔質吸音体から再度内部に吸音することができ、吸音特性に優れるという効果を有する。
また、本発明に係る車両の防音構造によれば、空気層の厚みや、緻密多孔質吸音体の厚み及び密度を調整することで、低周波数域から高周波数域の広範囲な周波数域の騒音に有効に対応できるとともに、この緻密多孔質吸音体の裏面の全面、あるいは一部に少なくとも一つの補助減衰層を一体化するか、緻密多孔質吸音体の表面の一部に少なくとも一つの補助減衰層を一体化するという構成を付加すれば、車体パネルを透過する騒音の音特性に見合ったより木目細かな防音対策を施すことができる。
また、本発明に係る車両の防音構造において、緻密多孔質吸音体を車体パネルとの間に最低限度の当接ポイントで支持するという構成を採用すれば、車体パネルから緻密多孔質吸音体への振動の伝播を極力抑えることができるため、防音性能を更に良好に維持できるという効果を有する。
以下、本発明に係る車両の防音構造について、ダッシュパネルの室内面側に装着されるインシュレータダッシュに適用した実施例について説明する。
図1乃至図6は本発明の第1実施例を示すもので、図1はダッシュパネルに取り付けたインシュレータダッシュの構成を示す断面図、図2は同インシュレータダッシュの正面図、図3は同インシュレータダッシュのダッシュパネルへの取付部の構成を示す拡大断面図、図4乃至図6は同インシュレータダッシュの変形例を示す各断面図である。
図1において、エンジンルームEと車室Rとを区画するダッシュパネル10は、上部側からダッシュアッパー部10a、ダッシュロア部10b、トウボード部10cに区画され、ダッシュパネル10の室内面に沿ってインシュレータダッシュ20が空気層30を介して取り付けられている。また、トウボード部10c上に装着されるインシュレータダッシュ20の表面側には、フロアカーペット11がラップ状に敷設され、更に、ダッシュパネル10のダッシュアッパー部10a及びダッシュロア部10bの上半部分に装着されるインシュレータダッシュ20の上半部分は、インストルメントパネル12内に位置している。尚、インストルメントパネル12には、図示しないクラッシュパッドが装着されている。
ところで、本発明に係るインシュレータダッシュ20は、燃費効率及び取付作業性を高めるために、製品重量を大幅に軽量化するとともに、軽量化しても充分な防音特性を備えるように構成されている。
すなわち、インシュレータダッシュ20は、繊維集合体、あるいは発泡成形体等からなる緻密多孔質吸音体21の単一層構成とした。この緻密多孔質吸音体21は、その材質として、フエルト、PET(ポリエステル)繊維等の合成繊維、紙類(パルプ等)等を繊維状にした繊維集合体、あるいはEPDMや発泡樹脂成形体、発泡性ゴム等の多孔質吸音体から構成される。
そして、ダッシュパネル10の室内面形状に沿って所要形状に成形される緻密多孔質吸音体21は、密度が0.01〜0.6g/cmで、厚みが3〜20mm、好ましくは、5〜10mmで、かつ通気量0.1〜50cm/cm・sec、好ましくは1〜20cm/cm・secに調整されており、従来、通常使用されていた多孔質吸音材に比べ、高密度、高剛性に設定されている。
また、ダッシュパネル10と緻密多孔質吸音体21との間に設定される空気層30は、その厚みが0.2〜100mmの間に調整され、ダッシュパネル10を透過する騒音レベルの特性、例えば、ダッシュロア部10bからは比較的低周波数域の騒音が集中して透過する傾向等を考慮して、ダッシュロア部10bに相当する空気層30の厚みはその他のダッシュアッパー部10a、トウボード部10cの空気層30に比べ厚く設定されている。
同様に、緻密多孔質吸音体21の密度及び厚みについても、低・中周波数域の騒音を対象とするものについては、密度を大きく、厚みを薄く設定し、逆に中・高周波数域の騒音を対象とするものについては、密度を小さく、かつ厚みを厚く設定するようにする。
従って、ダッシュパネル10を透過するエンジンルームEからの騒音(図1中符号Aで示す)に対して、ダッシュパネル10と緻密多孔質吸音体21との間の空気層30による二重壁遮音機能に加え、インストルメントパネル12からの反射音(図1中符号Bで示す)についても緻密多孔質吸音体21の表面側から再度吸音処理することで、インストルメントパネル12内の音圧上昇を抑え、吸音性能を向上させることにより、従来の重量の嵩む遮音層を廃止しても、室内側への伝播を充分に防止することができる。
加えて、インシュレータダッシュ20は、緻密多孔質吸音体21の単一層構成であるため、従来の重量の嵩む遮音層を使用した二層構成のものに比べ、大幅な軽量化を図ることができ、燃費効率の向上及びダッシュパネル10への取付作業性の向上も期待できる。
次に、このインシュレータダッシュ20をダッシュパネル10に取り付ける構造について、図2,図3を基に説明すると、緻密多孔質吸音体21は、例えば、フエルト等の繊維材料を使用する場合、ベース繊維中にバインダとしての熱可塑性樹脂繊維を混入し、マット状に集積したマット原反を加熱軟化処理後、所要形状の型面をもつコールドプレス成形金型内に投入し、コールドプレス成形金型の型締めにより、ダッシュパネル10の室内面形状に則して成形される。そして、その際、ダッシュパネル10に対する取付部分、及び剛性強化部分については、ダッシュパネル10側に突出する当接部分がフラット面となる椀状の凸部22がスポット的に形成され、この凸部22に設けた取付孔23内にダッシュパネル10から植設されたスタッドボルト13を挿入し、スタッドボルト13の先端にクリップ14を嵌着することで、図3に示すように、ダッシュパネル10に対してインシュレータダッシュ20が取り付けられる。
このように、緻密多孔質吸音体21に凸部22を形成することで、空気層30の厚み寸法を確保するとともに、特に、この凸部22は、最小限の箇所にのみ設定されているため、従来、インシュレータダッシュの全面に亘りダッシュパネルに接触していた構成に比べ、空気層30は緻密多孔質吸音体21の占有面積を5〜100%、好ましくは50〜95%の範囲で設定することで、ダッシュパネル10から振動が緻密多孔質吸音体21に加わることを最小限に抑え、振動の伝播による車室内の音圧上昇を防止することができる。
このように、第1実施例における車両の防音構造は、インシュレータダッシュ20として緻密多孔質吸音体21の単一層から構成し、ダッシュパネル10に対して空気層30を介して取り付けるという構成を採用することで、大幅な軽量化を達成できるとともに、低周波数域から高周波数域にかけて広範囲な周波数レベルの騒音に対して有効な防音処理を施すことができるという効果がある。
次いで、図4乃至図6は第1実施例の各変形例を示すもので、緻密多孔質吸音体21の厚み、密度、空気層30の厚みを調整することで、防音性能の向上を図ることについて、図4,図5に示す。
すなわち、図4に示すように、ダッシュパネル10のトウボード部10cから伝播する騒音は、ダッシュロア部10bに比べ低周波数域の騒音が少なく、かつフロアカーペット11の遮音性能も期待できる場合、トウボード部10cに対応する緻密多孔質吸音体21については、空気層30を省略し、かつ緻密多孔質吸音体21の密度を最大限小さく(例えば、0.01〜0.2g/cm)、かつ厚みについても厚く設定されている。
従って、このことにより、ダッシュパネル10におけるトウボード部10cを透過する騒音(中・高周波数域の騒音)に対してエネルギーの減衰効果が大きく、防音性能を高めることができる。
また、図1と図4との中間に位置する変形例として図5がある。すなわち、ダッシュパネル10のトウボード部10cと緻密多孔質吸音体21との間の空気層30の厚みを小さく設定し、かつその部位の緻密多孔質吸音体21の厚み及び密度については、図1及び図4に示す緻密多孔質吸音体21の各数値の中間値に設定されている。
従って、図5に示すものでは、ダッシュパネル10のトウボード部10cにおける緻密多孔質吸音体21の機能としては、遮音機能と吸音機能の両者を併せもつことができる。
このように、緻密多孔質吸音体21の部位毎に、密度、厚みを調整し、かつ空気層30の厚みについても部位毎に変更することで、ダッシュパネル10の各部を透過する騒音の周波数レベルに応じて、木目細かな防音処理を施すことができる。
図6は更に変形例を示すもので、インシュレータダッシュ20は、緻密多孔質吸音体21と、トウボード部10cにおける緻密多孔質吸音体21の表面に積層一体化される補助減衰層24とから構成されている。
この補助減衰層24は、ダッシュパネル10を透過する騒音の特性により、種々の補助減衰層24を使用することができる。すなわち、低・中周波数域の騒音に対しては、比較的重量の嵩むシート材料、例えば、PVCシート、ゴム、ポリエチレンシート等のシート材料を使用し、面密度が500〜9000g/mのシート材料を補助減衰層24として一体化する。
また、中・高周波数域の騒音については、膜吸音性能を備えたシート材料、例えば、発泡シート、樹脂フィルム、ウレタンシートが使用でき、その面密度は30〜500g/mの範囲が良い。更に、低通気性を備えたシート材料、例えば、不織布、スパンボンド、ウレタンシートも使用でき、その場合、30〜300g/mの面密度で、かつ通気量が5〜30cm/cm・secのものを使用できる。
従って、緻密多孔質吸音体21の表面の一部に補助減衰層24を上載せ設置することで、ダッシュパネル10から透過する騒音の周波数レベルに有効に対応できるチューニングをより精度良く行なうことができる。
次いで、図7乃至図11は、本発明に係る車両の防音構造の第2実施例を示すもので、第1実施例同様、防音材としてダッシュパネル10に取り付けられるインシュレータダッシュ20に適用した。
図7はダッシュパネル10に取り付けられるインシュレータダッシュ20の構成を示す断面図、図8乃至図11は同インシュレータダッシュ20の変形例を示す各断面図である。
この第2実施例においては、インシュレータダッシュ20は、ダッシュパネル10の室内面形状にほぼ合致して成形された緻密多孔質吸音体21の裏面の全面、あるいはその一部に補助減衰層40を積層一体化して構成され、更に、インシュレータダッシュ20は、ダッシュパネル10に対して空気層30を介して取り付けられていることが特徴である。
図7は、緻密多孔質吸音体21の裏面の全面に補助減衰層40が一体化された構成であり、緻密多孔質吸音体21の構成は、第1実施例と同一構成であるため、ここでは省略する。そして、この緻密多孔質吸音体21の裏面の全面に積層一体化される補助減衰層40は、ダッシュパネル10を透過する騒音を遮音、あるいは吸音することで、緻密多孔質吸音体21の防音特性を補完させる機能をもつ。
この補助減衰層40の素材としては、ダッシュパネル10を透過する騒音のうち、特に、ターゲットとなる騒音の周波数レベルに応じて、適宜バリエーションをもたせて使用することができる。例えば、低・中周波数域の騒音のものに対しては、PVC樹脂、ゴム、ポリエチレン樹脂等の重量化シートで、面密度が500〜9000g/mのものを使用する。
また、中・高周波数域の騒音を対象としては、不織布、スパンボンド、ウレタン等、面密度が30〜300g/mで通気量が5〜30cm/cm・secのものを使用できる。更に、非通気シートとして、例えば、発泡シート、樹脂フィルム、ウレタン等、面密度が30〜500g/mのものを使用することができる。
そして、緻密多孔質吸音体21の裏面全面に補助減衰層40を一体化する手順については、補助減衰層40の素材が通気性を備えているか、通気性を備えていないかによって異なる。
例えば、不織布等、通気性を備えている素材を使用する場合には、緻密多孔質吸音体21の素材である原反マットと補助減衰層40の素材とを重ね合わせて熱風加熱炉で共に加熱軟化させ、コールドプレス成形金型内に投入してプレス一体化することで両者を積層一体化できる。
また、補助減衰層40が非通気性素材であれば、赤外加熱炉等で補助減衰層40の素材を緻密多孔質吸音体21の素材とは別個に加熱軟化処理した後、両者を重ね合わせてコールドプレス成形金型内に投入し、プレス一体化すれば良い。
従って、図7に示すインシュレータダッシュ20を使用した車両の防音構造によれば、緻密多孔質吸音体21と補助減衰層40とのトータル重量が製品重量となるが、従来の遮音層を使用した構造のものに比べ、軽量化が図れ、燃費効率の向上、ダッシュパネル10への取付作業性の向上等、第1実施例と同様の作用効果を備えている。
更に、緻密多孔質吸音体21のもつ遮音機能と車室内側からの騒音を再度取り込む吸音機能が期待できる他に、更に、ダッシュパネル10を透過してくる透過騒音(図7中符号Aで示す)の特性に応じて補助減衰層40により、防音処理する機能を加えたため、防音特性をより高めることができるという効果がある。尚、車室内Rからの反射騒音(図7中符号Bで示す)に対しては、第1実施例同様、緻密多孔質吸音体21の表面側から内部に取り込むことで、車室R内の音圧上昇を防止できる。
図8は、第2実施例の変形例を示すもので、図示するように、特に、ダッシュパネル10のトウボード部10cに対応する部位にのみ緻密多孔質吸音体21の裏面に補助減衰層40が一体化されている。
この図8に示すインシュレータダッシュ20においては、要求される機能に応じた補助減衰層40を緻密多孔質吸音体21の裏面の一部に一体化するという構成であり、ダッシュパネル10を透過する騒音の周波数レベルに応じて、過剰品質となることなく、適切な防音対策を施せることになる。
また、図示はしないが、緻密多孔質吸音体21の裏面に部位毎に異なる機能をもつ補助減衰層40を個別に設定しても良い。例えば、ダッシュパネル10のダッシュロア部10bからは、特に低・中周波数域の透過騒音が多いことから、この部位に重量化した遮音機能をもつ補助減衰層40を一体化する一方、ダッシュパネル10におけるトウボード部10cのように、比較的低・中周波数域の騒音が少ない部分には、防音性能を高めるために、発泡シートや不織布等の中・高周波数域の騒音を吸音できる補助減衰層40を設けるようにする。このように、ダッシュパネル10を透過する騒音の周波数レベルに応じた補助減衰層40を適切に配置することも有効である。
図9乃至図11は、第2実施例の変形例を示すもので、緻密多孔質吸音体21の密度、厚み及び空気層30の厚みを調整することで、ダッシュパネル10を透過する騒音の周波数レベルに応じた防音対策を施すことができる。図9に示すように、ダッシュパネル10におけるトウボード部10cに対応する部分の空気層30を省略し、この部位の緻密多孔質吸音体21の厚みを厚く、密度を小さく設定することで吸音特性を高めても良く、図10に示すように、図7と図9の中間に位置する具体例として、空気層30の厚みを小さくとり、かつ緻密多孔質吸音体21の厚み、密度を図7及び図9に示す緻密多孔質吸音体21の各数値の中間値に設定することで、ダッシュパネル10のトウボード部10cに対応する緻密多孔質吸音体21の機能として、遮音機能と吸音機能の両者を併用させても良い。
更に、図11に示すように、インシュレータダッシュ20の構成として、ダッシュパネル10の室内面形状に則した形状に成形された緻密多孔質吸音体21の裏面の全面、あるいは一部に補助減衰層40を一体化するとともに、緻密多孔質吸音体21の表面の一部に補助減衰層24を一体化するという三層構造を採用することで、ダッシュパネル10を透過する透過騒音や車室R内からの反射騒音等の音特性に対するチューニングをより精度良く行なうようにしても良い。
以上説明した第1実施例、第2実施例は、防音材としてインシュレータダッシュ20に適用し、その素材としては、フエルト、熱可塑性樹脂繊維バインダを使用したものであるが、多孔質素材であれば、繊維質成形体の他に発泡成形体、発泡体、ゴム等を使用することもできる。
また、インシュレータダッシュ20の他に、エンジンルーム、ラゲージルーム等の車体パネルの室内面側に取り付けられる防音材全般に適用することができる。
本発明に係る車両の防音構造の第1実施例を示すもので、ダッシュパネルに取り付けたインシュレータダッシュを示す断面図である。 図1に示すインシュレータダッシュの正面図である。 図1に示すインシュレータダッシュをダッシュパネルに取り付けた取付部分を拡大して示す断面図である。 図1に示すインシュレータダッシュの変形例を示す断面図である。 図1に示すインシュレータダッシュの変形例を示す断面図である。 図1に示すインシュレータダッシュの変形例を示す断面図である。 本発明に係る車両の防音構造の第2実施例を示すもので、ダッシュパネルに取り付けたインシュレータダッシュを示す断面図である。 図7に示すインシュレータダッシュの変形例を示す断面図である。 図7に示すインシュレータダッシュの変形例を示す断面図である。 図7に示すインシュレータダッシュの変形例を示す断面図である。 本発明の第2実施例の変形例を示す断面図である。 インシュレータダッシュの設置箇所を示す説明図である。 従来のインシュレータダッシュの構成を示す断面図である。 従来のインシュレータダッシュの防音メカニズムを示す説明図である。
符号の説明
10 ダッシュパネル
10a ダッシュアッパー部
10b ダッシュロア部
10c トウボード部
20 インシュレータダッシュ
21 緻密多孔質吸音体
22 凸部
23 取付孔
24 補助減衰層(表面層)
30 空気層
40 補助減衰層(裏面層)
A パネル透過騒音
B 反射騒音
E エンジンルーム
R 車室

Claims (3)

  1. 車体パネル(10)の室内面側に防音材(20)を取り付けてなる車両の防音構造において、前記防音材(20)は、車体パネル(10)の室内面形状に合わせて成形された緻密多孔質吸音体(21)の単一層から構成され、車体パネル(10)との間で所定クリアランスの空気層(30)を介して車体パネル(10)の室内面に取り付けられるとともに、前記緻密多孔質吸音体(21)の密度及び厚み、並びに空気層(30)の厚みを車体パネル(10)から室内側に伝播する騒音の周波数レベルに応じて調整したことを特徴とする車両の防音構造。
  2. 前記緻密多孔質吸音体(21)は、車体パネル(10)からの振動の伝播を防ぐために、緻密多孔質吸音体(21)の所要箇所にのみ、車体パネル(10)側に向く凸部(22)が形成され、この凸部(22)の先端面が車体パネル(10)に当接支持されることにより、空気層(30)の厚みが確保されることを特徴とする請求項1に記載の車両の防音構造。
  3. 前記防音材(20)は、緻密多孔質吸音体(21)の裏面又は表面の全面、あるいはその一部に車体パネル(10)からの透過騒音の周波数レベルに応じた少なくとも一つの補助減衰層(40,24)が積層一体化されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の車両の防音構造。
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JP7399788B2 (ja) 2020-05-26 2023-12-18 林テレンプ株式会社 車両用サイレンサー

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