JP2005111872A - インクジェットプリンタ用インクカートリッジ - Google Patents
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Abstract
【課題】弾性部材を簡易な形状で且つコンパクトに形成でき、インク漏洩を確実に防止し得て、多数回の繰り返し使用にも対応できるインクジェットプリンタ用インクカートリッジの提供。
【解決手段】インク収容部内に貯留されたインクをプリンタ本体側に導出させるインク導出部のスパウト部11に、前記プリンタ本体への装着時に該プリンタ本体側のインク導出管を密閉状態で挿入させる環状の弾性部材14と、プリンタ本体への非装着時に前記弾性部材14の一端面に当接して密閉することによりインクの導出を阻止すると共に、プリンタ本体への装着時に前記弾性部材14の一端面から離反してインクの導出が可能となるように構成された封止部材16とを備えてなるインクジェットプリンタ用インクカートリッジにおいて、前記弾性部材14は、前記インク導出管の挿入時及び前記封止部材16の当接時の撓み変形を阻止する環状の補強部材141を一体に有する。
【選択図】 図2
【解決手段】インク収容部内に貯留されたインクをプリンタ本体側に導出させるインク導出部のスパウト部11に、前記プリンタ本体への装着時に該プリンタ本体側のインク導出管を密閉状態で挿入させる環状の弾性部材14と、プリンタ本体への非装着時に前記弾性部材14の一端面に当接して密閉することによりインクの導出を阻止すると共に、プリンタ本体への装着時に前記弾性部材14の一端面から離反してインクの導出が可能となるように構成された封止部材16とを備えてなるインクジェットプリンタ用インクカートリッジにおいて、前記弾性部材14は、前記インク導出管の挿入時及び前記封止部材16の当接時の撓み変形を阻止する環状の補強部材141を一体に有する。
【選択図】 図2
Description
本発明は、多数回の繰り返し使用にも耐え得るようにしたインクジェットプリンタ用インクカートリッジに関する。
インク収容部内に貯留されたインクをプリンタ本体側に導出させるインクジェットプリンタ用インクカートリッジには、従来、インク収容部をゴム栓によって密封し、プリンタ本体側に装備された中空状のインク供給針をこのゴム栓に突き刺す方式が多く使用されてきた。しかし、この方式では、インク供給針のコストが非常に高くなり、また、インク供給針をゴム栓に突き刺すときに生じるゴム屑がインク収容部内に入り込んでしまう問題がある。
このため、特許文献1〜4に記載されているように、Oリング等の環状の弾性部材とこの弾性部材の一端面に当接及び離反可能な封止部材とによって弁構造を構成し、プリンタ本体側のインク導出管を上記弾性部材に密閉状態で挿入することによって上記封止部材を弾性部材から離反させて開弁させ、インク収容部内のインクをインク導出管を介してプリンタ本体側に導出させる方式が提案されている。
図9(a)は、環状の弾性部材200にインク導出管300を挿入した状態を示し、図9(b)は、環状の弾性部材200に封止部材400が当接して閉弁した状態を示している。
このような環状の弾性部材200と封止部材400とにより弁構造を構成したインクカートリッジでは、インク導出管300を挿入した際のインク漏洩を防止するため、プリンタ本体側のインク導出管300を弾性部材200に密閉状態で挿入する必要があることから、弾性部材200の内径はインク導出管300の外径よりも僅かに小さく形成されている。このため、弾性部材200には、図9(a)の一点鎖線で示すように、インク導出管300の挿入方向への変形応力が作用し、この状態が長期間継続されると、弾性部材200自体に撓み変形による癖が生じてしまい、インク導出管300を抜き外した後に封止部材400との密着性が低下したり、挿入されたインク導出管300との間の密着性が低下することによりインク漏洩を生じる問題がある。このような問題は、インクカートリッジの繰り返し使用回数、すなわち、インク導出管300の抜き差し回数が多くなる場合にも同様に発生するようになる。
また、封止部材400の閉弁時には、弾性部材200の一端面に封止部材400が所定の押圧力をもって当接することで密閉し、インク漏洩を阻止しているが、弾性部材200には、この封止部材400の当接時の押圧力が作用することによって、図9(b)の一点鎖線で示すように、その押圧方向に対する変形応力も作用することにより、長期使用の結果、両者の密着性が低下してインク漏洩を生じる問題がある。
このため、従来では、弾性部材におけるインク導出管との摺接部分を特殊な形状に形成したり、弾性部材自体の厚みを比較的厚く形成したりすることで、このような変形応力に対処するようにしているが、弾性部材の形状が複雑化して製造コストを増加させるばかりでなく、弾性部材が厚くなることによってインクカートリッジのインク導出部のコンパクト化を阻害する要因ともなる。
そこで、本発明は、弾性部材を簡易な形状で且つコンパクトに形成することができ、インク漏洩を確実に防止し得て、多数回の繰り返し使用にも対応することのできるインクジェットプリンタ用インクカートリッジを提供することを課題とする。
本発明の他の課題は、以下の記載により明らかとなる。
上記課題は、以下の各発明により解決される。
請求項1記載の発明は、インク収容部内に貯留されたインクをプリンタ本体側に導出させるインク導出部のスパウト部に、前記プリンタ本体への装着時に該プリンタ本体側のインク導出管を密閉状態で挿入させる環状の弾性部材と、プリンタ本体への非装着時に前記弾性部材の一端面に当接して密閉することによりインクの導出を阻止すると共に、プリンタ本体への装着時に前記弾性部材の一端面から離反してインクの導出が可能となるように構成された封止部材とを備えてなるインクジェットプリンタ用インクカートリッジにおいて、前記弾性部材は、前記インク導出管の挿入時及び前記封止部材の当接時の撓み変形を阻止する環状の補強部材を一体に有してなることを特徴とするインクジェットプリンタ用インクカートリッジである。
請求項2記載の発明は、前記弾性部材は、硬度(JIS K 6253)が50度以下の弾性材料からなることを特徴とする請求項1記載のインクジェットプリンタ用インクカートリッジである。
請求項3記載の発明は、前記弾性材料は、シリコンゴム、エチレンプロピレンゴム、ブタジエンゴムのいずれかであることを特徴とする請求項2記載のインクジェットプリンタ用インクカートリッジである。
請求項4記載の発明は、前記補強部材は、合成樹脂により形成されていることを特徴とする請求項1、2又は3記載のインクジェットプリンタ用インクカートリッジである。
請求項5記載の発明は、前記合成樹脂は、前記弾性部材の成形温度以上の熱による耐変形特性を有することを特徴とする請求項4記載のインクジェットプリンタ用インクカートリッジである。
請求項6記載の発明は、前記補強部材は、金属により形成されていることを特徴とする請求項1、2又は3記載のインクジェットプリンタ用インクカートリッジである。
請求項7記載の発明は、前記金属は、インクに対する耐腐食性を有する金属又はインクとの接触により金属イオンが流出しない金属であることを特徴とする請求項6記載のインクジェットプリンタ用インクカートリッジである。
請求項8記載の発明は、前記金属は、ステンレス系の金属であることを特徴とする請求項7記載のインクジェットプリンタ用インクカートリッジである。
請求項9記載の発明は、前記補強部材の表面には、前記弾性部材との密着性を高めるための粗面処理が施されていることを特徴とする請求項6、7又は8記載のインクジェットプリンタ用インクカートリッジである。
請求項10記載の発明は、前記粗面処理は、タフトライド処理、窒化処理、浸炭窒化処理のいずれかであることを特徴とする請求項9記載のインクジェットプリンタ用インクカートリッジである。
請求項11記載の発明は、前記金属の表面には、前記弾性部材との密着性を高めるための多数の穴が開設されていることを特徴とする請求項6〜10のいずれかに記載のインクジェットプリンタ用インクカートリッジである。
請求項12記載の発明は、前記金属の表面には、前記弾性部材との密着性を高めるための多数の突起が形成されていることを特徴とする請求項6〜11のいずれかに記載のインクジェットプリンタ用インクカートリッジである。
請求項13記載の発明は、前記補強部材は、0.2〜0.5mmの厚みを有することを特徴とする請求項1〜12のいずれかに記載のインクジェットプリンタ用インクカートリッジである。
請求項14記載の発明は、前記封止部材は、前記弾性部材の一端面と当接する面に、断面半円形状の環状突部が形成されていることを特徴とする請求項1〜13のいずれかに記載のインクジェットプリンタ用インクカートリッジである。
請求項15記載の発明は、前記封止部材の外周面には、前記インク導出部のスパウト部内周面に形成されたガイド溝と嵌合する突起を有し、前記ガイド溝に沿って前記弾性部材の一端面との当接及び離反動作を行うことを特徴とする請求項1〜14のいずれかに記載のインクジェットプリンタ用インクカートリッジである。
請求項16記載の発明は、前記突起の数は、前記ガイド溝の数よりも少なく形成され、余剰のガイド溝によって、前記封止部材が前記弾性部材から離反した際にインク導出経路が形成されることを特徴とする請求項15記載のインクジェットプリンタ用インクカートリッジである。
本発明によれば、弾性部材を簡易な形状で且つコンパクトに形成することができ、インク漏洩を確実に防止し得て、多数回の繰り返し使用にも対応することのできるインクジェットプリンタ用インクカートリッジを提供することができる。
以下、本発明の実施の形態について図面を用いて説明する。
図1は、インクジェットプリンタ用インクカートリッジの斜視図を示す。図中、1は内部にインクが貯留されたインク収容部を示し、2はインクを後述するプリンタ本体の供給部に導くインク導出部を示している。なお、インクカートリッジは、これらインク収容部1及びインク導出部2が、合成樹脂製等の筐体内に収納されるが、ここでは筐体は図示省略されている。
3はインク収容部1を形成しているフィルムの上面を示し、4はインク収容部1を形成しているフィルムの下面を示し、5、6はインク収容部1を形成するためのシール部を示している。シール部5はインク収容部1をセンターシール方式で作製した場合のシール部を示し、インクの残量を確認し易くするため下面4側に位置するように作られている。該シール部5、6は、インク収容部1の作製方法によりインク収容部1の両側に有っても良い。
7はインク導出部2の基材を示し、8は基材7に設けられたインク収容部1との接合部を示している。接合部8をインク収容部1に挿入した後、熱溶着、接着剤等で密封接着することで接合することができる。
9は接合部8にインク収容部1を接合したシール部を示し、10はインクジェットプリンタのインク供給部(図示せず)への装着部を示している。また、11は装着部10に設けられた円筒状のスパウト部を示している。
12aは該スパウト部11の後述する弾性部材の脱落防止部材を嵌合固定する穴を示し、本図では示されていないが反対側にもう1つ12bとして設けてある。13は流量調整部を密閉する部材を示す。密閉する方法としてはインク導出部2を作製した後、アルミ箔をラミネート部材で熱溶着で密封しても良いし、インク導出部2を作製するとき同時にインサート成形で密封してもかまわない。なお、インク収容部1はインク導出部2を取り付けてある側を前部とし、反対側を後部とする。インク導出部2は接合部8を取り付けてある側を裏面とし、反対側を表面とする。
図2は、インク導出部2におけるスパウト部11の断面図である。図1においてスパウト部11は、インク導出部2の基材7から下方向に延びるように図示されているが、ここでは、スパウト部11がインク導出部2の基材7から右方向に延びるように配置された状態のものが図示されている。
スパウト部11は、隔壁110によって図示左側のインク収容部1(図1参照)内に連通する一次側と図示右側の二次側とが区画され、その略中央部に形成された開口111によって、一次側と二次側とが連通している。また、隔壁110の二次側には、内径を若干小径とすることによって段部112が形成され、弾性部材14が脱落防止部材である固定リング15によって該段部112との間に挟着されて取り付けられている。
弾性部材14と隔壁110との間の空間には、封止部材16が配置されており、該封止部材16と隔壁110との間に図示しないコイルばね等の付勢部材が介設されることによって、該封止部材16は弾性部材14に向けて常時付勢され、該弾性部材14の一端面(図示左側端面)に対して押し付けられるように当接している。スパウト部11において、この弾性部材14及び封止部材16によって弁構造を構成しており、図2に示すように封止部材16が弾性部材14の一端面に対して当接することによって閉弁し、この状態でインク収容部1内のインクがスパウト部11から外部に漏れ出ないように密閉している。また、逆に、封止部材16が付勢部材の付勢力に抗して弾性部材14の一端面から離反することによって開弁する。
封止部材16が配置されている弾性部材14と隔壁110との間のスパウト部11の内周面には、図1のA−A線に沿う断面図である図3に示すように、スパウト部11の軸方向に沿う複数のガイド溝113が凹設されている。
また、封止部材16は、図4に示すように、中央部に後述するプリンタ本体側のインク導出管の先端と当接する凹部160が形成され、その外周面に、上記ガイド溝113の本数よりも少ない4本の突起161がほぼ等間隔に配置されて突設されている。そして、封止部材16は、これら突起161が、上記8本のガイド溝113のうちの対応する4本のガイド溝113と嵌合することによって、弾性部材14と隔壁110との間において回転することなく、ガイド溝113に案内されてスライド可能とされ、弾性部材14の一端面との当接及び離反動作を円滑に行い得ると共に、封止部材16が弾性部材14の一端面から離反して開弁した際には、突起161と嵌合されない余剰のガイド溝113によって、封止部材16の一次側から二次側へインクを導出させるインク導出経路が形成される。
封止部材16において弾性部材14の一端面と当接する面には、環状の突部162が形成されている。封止部材16は、弾性部材14の一端面に当接した際に、この突部162が弾性部材14に食い込むことによって封止効果を向上させている。この突部162の断面形状は特に問わないが、図示するように断面半円形状とすると、当接時のダメージが少なく、耐久性に優れるため、長期に亘って封止効果を維持することができ、多数回の繰り返し使用をする場合に好ましい態様である。この突部162の突出高さは、後述する弾性部材14の硬度にもよるが、0.25mm〜1.0mm程度とすることが好ましい。
図5は、弾性部材14を一部断面で示す斜視図であり、同図に示すように、弾性部材14は、中央部に後述するプリンタ本体側のインク導出管を密閉状態で挿入させる開口140を有する環状を呈しており、上記インク導出管の挿入時及び封止部材16の当接時の撓み変形を阻止するための補強部材141を一体に有している。
補強部材141は、弾性部材14よりも十分に薄い環状の板材からなり、封止部材16が当接する一端面14aとは反対端面14b側に面一状に露出するように、弾性部材14に一体に埋め込まれており、自身の剛性によって、弾性部材14に対して、プリンタ本体側のインク導出管の挿入時及び封止部材16の当接時に発生する過度の撓み変形を阻止し得る程度の剛性を付与している。従って、弾性部材14は、過度の撓み変形を阻止するために厚みを厚く形成する必要はなく、その厚みは、1mm〜3mmに形成することができる。また、複雑な形状に形成する必要もないため、簡易な形状に形成することができ、これによってスパウト部11のコンパクト化を図ることが可能である。
この補強部材141を一体に有する弾性部材14は、弾性材料により形成されるが、特に本発明においては、硬度(JIS K 6253)が50度以下の弾性材料であることが好ましい。このような弾性材料は一般に弾性に富み、インク導出管との密閉性及び封止部材16との密閉性に優れるが、柔軟であるために容易に撓み変形し易い性質がある。従って、このような硬度50度以下の弾性材料によって弾性部材14を形成すると、これと一体とされる補強部材141の有する剛性付与による補強効果を顕著に発揮することができるために特に好ましい。
このような弾性材料としては、特に、シリコンゴム(Q)、エチレンプロピレンゴム(EPDM)、ブタジエンゴム(BR)のいずれかによって形成されることが、密閉性、耐久性等の諸観点から好ましい。
補強部材141を弾性部材14と一体とするには、弾性部材14の成形時に一体成形することが好ましい。一体成形によって補強部材141を弾性部材14内に完全に埋め込むようにすることも可能であるが、図2及び図5に示すように、封止部材16が当接する一端面14aとは反対端面14b側に露出するようにすることで、弾性部材14自体を薄くしながらも、一端面14a側の弾性材料を十分な厚みとすることができ、封止部材16による密着封止性を維持することが容易に可能である。また、開口140側にも補強部材141が露出しないため、プリンタ本体側のインク導出管との密着性を損なうこともない。
この補強部材141は、合成樹脂又は金属によって形成することができる。合成樹脂を用いて弾性部材14と一体成形する場合は、弾性部材14の成形温度以上の熱による耐変形特性を有する合成樹脂から選ばれることが好ましい。すなわち、弾性部材14の弾性材料としてゴム材料を使用する場合は、一般にゴム材料の加硫温度とされる160℃以上の熱に対する耐変形特性を有することが好ましい。このような合成樹脂としては、いわゆるエンジニアリングプラスチックを挙げることができ、中でも、ポニフェニレンエーテル(PPE)、ポリプロピレンオキシド(PPOX)、ポリフェニレンスルフィド(PPS)が特に好ましい。
補強部材141を金属により形成する場合は、インクと接触することを考慮して、インクに対する耐腐食性を有する金属又はインクとの接触により金属イオンが流出しない金属であることが好ましい。このような金属としては、ステンレス系の金属が特に好ましく、具体的には、SUS316系のステンレス、SUS317系のステンレス、特殊ステンレス鋼等を挙げることができるが、中でもSUS316系のステンレスが比較的安価で、本発明における補強部材141としての機能を十分に満たしていることから好ましい。
このような金属からなる補強部材141を弾性部材14と一体に成形する場合、該弾性部材14との密着性を高めて強固に一体化させることができるように、補強部材141の表面に粗面処理を施しておくことが好ましい。粗面処理としては公知の処理を用いることができるが、中でも、タフトライド処理、窒化処理、浸炭窒化処理を好ましく用いることができる。
タフトライド処理は、金属表面に窒化皮膜を生成することによって表面硬度を強化させる処理である。窒化処理は、金属表面から窒素を拡散浸入させることによって表面硬度を強化させる処理である。また、浸炭窒化処理は、金属表面から炭素と窒素を同時に浸入させることによって表面硬度を強化させる処理である。これらの各処理は、いずれも金属表面の硬化処理を行うものであるが、結果として二次的に表面が粗面に処理される。これによって、補強部材141と弾性材料との接触面積が増大することによって弾性部材14と強固に一体化され、プリンタ本体側のインク導出管を抜き差しした時の弾性部材14の撓みに対して剥離等を起こすおそれがなくなる。
また、金属によって補強部材141を形成する場合、同様に、弾性部材14との密着性を高めて強固に一体化させることができるように、図6に示すように、表裏に貫通する多数の穴142aを開設することも好ましい。弾性部材14の弾性材料が多数の穴142aに入り込むことによって、補強部材141は弾性部材14と強固に一体化される。
更に、同様に、弾性部材14との密着性を高めて強固に一体化させることができるように、図示しないが、補強部材141の表面に多数の突起を形成することも好ましい。弾性部材14の弾性材料に多数の突起が食い込むことによって、補強部材141は弾性部材14と強固に一体化される。
なお、弾性部材14との密着性を高めて強固に一体化させるためのこれらの手段、すなわち粗面処理を施すこと、多数の穴141aを形成すること及び多数の突起を形成することは、例えば表面に粗面処理を施した上に多数の穴141aを形成する等のように、そのうちのいずれか2つ又は3つ全てを同時に併用するようにしてもよい。
補強部材141の厚みは、プリンタ本体側のインク導出管の抜き差し動作によって過度の撓み変形を発生させないように、一定の剛性を付与し得るだけの厚みを有している必要があるが、厚すぎるとしなやかさに欠けてしまい、インク導出管の抜き差し動作時の弾性部材14本来の撓みに追従することが困難となる。このため0.2mm〜0.5mm程度とすることが好ましい。
図7及び図8は、図3において、封止部材16の突起161が嵌合しないガイド溝113に沿うB−B線に沿ってスパウト部11を切断した状態を示す断面図であり、これを用いて、インクカートリッジのプリンタ本体側の供給部17に対する装着動作について説明する。
インクカートリッジのスパウト部11は、プリンタ本体側に設けられた供給部17と結合することによってインク収容部1内のインクがプリンタ本体側へ供給される。供給部17は、スパウト部11の外径とほぼ同一の内径を有する円筒状のガイド部171と、このガイド部171の内底部171aの中央から突出するインク導出管172とを有している。
インク導出管172は、ガイド部171内に位置する先端側が閉塞された中空管状に形成されていると共に、その先端側の側面にインク導出管172の内外を連通させる連通穴172aが形成されている。また、インク導出管172の外径は、スパウト部11における弾性部材14の開口140の内径よりも若干大径に形成され、該弾性部材14の開口140に挿入した際の密閉性が確保されるようになっている。
図7は、供給部17のガイド部171がスパウト部11の外周面に嵌合しているが、インク導出管172の先端は弾性部材14の開口140に挿入しておらず、未だ封止部材16を開弁するには至っていない状態を示している。このように本実施形態では、プリンタ本体側の供給部17におけるガイド部171の円筒部分が、インク導出管172の先端よりも十分に長く形成されており、インク導出管172が弾性部材17の開口140に挿入される前に、スパウト部11とガイド部171とが先に嵌合するようになっており、この両者の円筒部分をガイドとして結合動作を行うことができるため、結合時の位置決めが極めて容易となる。また、ガイド部171の内部にインク導出管172を一体に形成していることから、位置決めのための構成もコンパクト且つ低コストで実現可能である。
供給部17のガイド部171がスパウト部11の外周面に嵌合した図7の状態から、インクカートリッジを更に供給部17方向へ押し進めていくと、インク導出管172の先端はスパウト部11内の弾性部材14の開口140に至り、次いで、該開口140に密閉状に挿入される。更にスパウト部11の先端が供給部17のガイド部171の内底部171aに突き当たるまでインクカートリッジを押し進めていくと、インク導出管172の先端は封止部材16の凹部160に突き当たり、図8に示すように、該封止部材16を付勢部材の付勢力に抗して弾性部材14の一端面14aから離反する方向に移動させる。これにより封止部材16は開弁し、インク収容部1内のインクは、図8中の矢印で示すように、スパウト部11の隔壁110の開口111を通過した後、封止部材16の突起161と嵌合していない余剰のガイド溝113内を通って封止部材16と弾性部材14との間に至り、該部に配置されるインク導出管172の挿通穴172aから該インク導出管172内に流入し、記録ヘッドへと供給される。
このようにインク導出管172が弾性部材14に挿入された状態では、弾性部材14は補強部材141を一体に有しているため、過度に撓み変形するようなことはなく、補強部材141の有する剛性によって元の状態に復元し、長期間この状態が継続されても、弾性部材14に撓み変形の癖がついてしまうおそれは少ない。また、同様に、多数回の繰り返し使用によってインク導入管172の抜き差し回数が増えても、弾性部材14は補強部材141によってその撓み変形の癖付きが阻止され、インク漏洩をもたらすような変形を生じるおそれは少なくなり、安定的にインクの封止力を維持することができる。
更に、封止部材16が弾性部材14の一端面14aに当接している閉弁時、該弾性部材14に掛かる封止部材16の押圧力に対し、弾性部材14の補強部材141が撓み変形を阻止するように働くため、この力に対しても、弾性部材14は変形を生じるおそれは少ない。
1:インク収容部
2:インク導出部
3:フィルムの上面
4:フィルムの下面
5、6:シール部
7:基材
8:接合部
9:シール部
10:装着部
11:スパウト部
110:隔壁
111:開口
112:段部
113:ガイド溝
12a、12b:穴
13:流量調整部を密閉する部材
14:弾性部材
14a:一端面
14b:反対端面
140:開口
141:補強部材
141a:穴
15:固定リング
16:封止部材
160:凹部
161:突起
162:突部
17:供給部
171:ガイド部
171a:内底部
172:インク導出管
172a:連通穴
2:インク導出部
3:フィルムの上面
4:フィルムの下面
5、6:シール部
7:基材
8:接合部
9:シール部
10:装着部
11:スパウト部
110:隔壁
111:開口
112:段部
113:ガイド溝
12a、12b:穴
13:流量調整部を密閉する部材
14:弾性部材
14a:一端面
14b:反対端面
140:開口
141:補強部材
141a:穴
15:固定リング
16:封止部材
160:凹部
161:突起
162:突部
17:供給部
171:ガイド部
171a:内底部
172:インク導出管
172a:連通穴
Claims (16)
- インク収容部内に貯留されたインクをプリンタ本体側に導出させるインク導出部のスパウト部に、前記プリンタ本体への装着時に該プリンタ本体側のインク導出管を密閉状態で挿入させる環状の弾性部材と、プリンタ本体への非装着時に前記弾性部材の一端面に当接して密閉することによりインクの導出を阻止すると共に、プリンタ本体への装着時に前記弾性部材の一端面から離反してインクの導出が可能となるように構成された封止部材とを備えてなるインクジェットプリンタ用インクカートリッジにおいて、
前記弾性部材は、前記インク導出管の挿入時及び前記封止部材の当接時の撓み変形を阻止する環状の補強部材を一体に有してなることを特徴とするインクジェットプリンタ用インクカートリッジ。 - 前記弾性部材は、硬度(JIS K 6253)が50度以下の弾性材料からなることを特徴とする請求項1記載のインクジェットプリンタ用インクカートリッジ。
- 前記弾性材料は、シリコンゴム、エチレンプロピレンゴム、ブタジエンゴムのいずれかであることを特徴とする請求項2記載のインクジェットプリンタ用インクカートリッジ。
- 前記補強部材は、合成樹脂により形成されていることを特徴とする請求項1、2又は3記載のインクジェットプリンタ用インクカートリッジ。
- 前記合成樹脂は、前記弾性部材の成形温度以上の熱による耐変形特性を有することを特徴とする請求項4記載のインクジェットプリンタ用インクカートリッジ。
- 前記補強部材は、金属により形成されていることを特徴とする請求項1、2又は3記載のインクジェットプリンタ用インクカートリッジ。
- 前記金属は、インクに対する耐腐食性を有する金属又はインクとの接触により金属イオンが流出しない金属であることを特徴とする請求項6記載のインクジェットプリンタ用インクカートリッジ。
- 前記金属は、ステンレス系の金属であることを特徴とする請求項7記載のインクジェットプリンタ用インクカートリッジ。
- 前記補強部材の表面には、前記弾性部材との密着性を高めるための粗面処理が施されていることを特徴とする請求項6、7又は8記載のインクジェットプリンタ用インクカートリッジ。
- 前記粗面処理は、タフトライド処理、窒化処理、浸炭窒化処理のいずれかであることを特徴とする請求項9記載のインクジェットプリンタ用インクカートリッジ。
- 前記金属の表面には、前記弾性部材との密着性を高めるための多数の穴が開設されていることを特徴とする請求項6〜10のいずれかに記載のインクジェットプリンタ用インクカートリッジ。
- 前記金属の表面には、前記弾性部材との密着性を高めるための多数の突起が形成されていることを特徴とする請求項6〜11のいずれかに記載のインクジェットプリンタ用インクカートリッジ。
- 前記補強部材は、0.2〜0.5mmの厚みを有することを特徴とする請求項1〜12のいずれかに記載のインクジェットプリンタ用インクカートリッジ。
- 前記封止部材は、前記弾性部材の一端面と当接する面に、断面半円形状の環状突部が形成されていることを特徴とする請求項1〜13のいずれかに記載のインクジェットプリンタ用インクカートリッジ。
- 前記封止部材の外周面には、前記インク導出部のスパウト部内周面に形成されたガイド溝と嵌合する突起を有し、前記ガイド溝に沿って前記弾性部材の一端面との当接及び離反動作を行うことを特徴とする請求項1〜14のいずれかに記載のインクジェットプリンタ用インクカートリッジ。
- 前記突起の数は、前記ガイド溝の数よりも少なく形成され、余剰のガイド溝によって、前記封止部材が前記弾性部材から離反した際にインク導出経路が形成されることを特徴とする請求項15記載のインクジェットプリンタ用インクカートリッジ。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2003350604A JP2005111872A (ja) | 2003-10-09 | 2003-10-09 | インクジェットプリンタ用インクカートリッジ |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2003350604A JP2005111872A (ja) | 2003-10-09 | 2003-10-09 | インクジェットプリンタ用インクカートリッジ |
Publications (1)
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JP2005111872A true JP2005111872A (ja) | 2005-04-28 |
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Family Applications (1)
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JP2003350604A Pending JP2005111872A (ja) | 2003-10-09 | 2003-10-09 | インクジェットプリンタ用インクカートリッジ |
Country Status (1)
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JP (1) | JP2005111872A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2019084702A (ja) * | 2017-11-02 | 2019-06-06 | エスアイアイ・プリンテック株式会社 | 液体噴射ヘッドおよび液体噴射記録装置 |
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2003
- 2003-10-09 JP JP2003350604A patent/JP2005111872A/ja active Pending
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