JP2005110503A - 核酸の精製方法及びデバイス - Google Patents

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Abstract

【課題】 核酸の精製を、安全かつ簡便に行うことができる方法、及びそれに用いるデバイスを提供する。
【解決手段】 下記工程により、核酸を含む試料から核酸を精製する。
(a)イソプロパノール、エタノール、プロパノール、アセトニトリルから選ばれる水溶性有機溶媒を含む核酸試料を用意する工程、
(b)前記核酸試料にシリカを接触させる工程、
(c)前記核酸試料に電圧を印加して、核酸をシリカに吸着させる工程、
(d)前記シリカに前記水溶性有機溶媒を含まない緩衝液を接触させ、同緩衝液に電圧を印加して、シリカから核酸を遊離させる工程、及び、
(e)シリカから遊離した核酸を半透膜でトラップして、精製された核酸を得る工程。
【選択図】 図1

Description

本発明は、PCR反応等の生化学的反応に用いる核酸を試料から精製する方法及びそれに用いるデバイスに関する。
DNAやRNA等の核酸を含有する試料から、核酸増幅反応や塩基配列決定などの分子生物学的技術へ適用する核酸を抽出するためには、当該試料から核酸増幅反応の阻害物質やその他の汚染物質が除去された核酸を得ることが必要である。これらの核酸増幅反応の阻害物質やその他の汚染物質には、酵素、それ以外のタンパク質、多糖類、脂質などがある。
核酸を含む試料から核酸を精製する方法として、例えば、フェノール/クロロホルム抽出法が知られている。また、シリカ系の素材を用いた核酸の精製法も、いくつか知られている。このような方法としては、シリカ系粒子を充填したカラムを用いる方法(特許文献1)、シリカ系粒子を固相担体として用いる方法(特許文献2)、シリカ系フィルターを用いる方法(特許文献3)、磁性シリカビーズを用いる方法(特許文献4)等が報告されている。
しかし、フェノール/クロロホルム抽出法は、フェノールという劇物を扱わなければならず、危険かつ手間がかかる。また、カラムを用いる方法は、目詰まりを起こすことがあり、洗浄にも手間がかかるという問題ある。前記特許文献2に記載の方法は、遠心分離を何度も行わなければならず、手間と時間がかかり、高速回転遠心分離機等の高価な装置が必要である。また、シリカ系フィルターを用いる方法も、同様に、遠心分離を何度も行わなければならず、手間と時間がかかり、高速回転遠心分離機が必要である。さらに、磁性シリカビーズを用いる方法は、磁石による粒子回収を行うために、用いることのできる粒子の量が制限されるという問題がある。また、回収率がそれほど高くなく、さらに洗浄が不完全になることがある。
上記の方法の他に、核酸をカオトロピックイオンの存在下で電気泳動して、シリカに核酸を結合させることにより核酸の精製を行うことが、提案されている(非特許文献1)。しかし、カオトロピックイオンを使用することは、操作上好ましいとはいえない。
ところで、電気泳動を利用した核酸の精製法としては、核酸を含むゲルからの透析膜中でのエレクトロエリューション(非特許文献2)、DEAE−セルロース膜への電気泳動による方法(非特許文献2)が知られている。一方、エタノール、イソプロパノール等の水溶性有機溶媒を含む核酸溶液を、シリカゲル、ガラス等の固相に接触させて、核酸を固相に吸着させることにより、核酸を精製する方法が報告されている(非特許文献3、4)。しかし、電気泳動を利用して、カオトロピックイオン非存在下でシリカに核酸を吸着させることにより核酸を精製する方法は、知られていない。
特許第2807691号公報 国際公開パンフレット第02/38758号 特許第3329813号公報 特許第2965131号公報 ながれ、2002年、第21巻、第419〜428頁 モレキュラークローニング(Molecular Cloning)、第2版、1989年、コールド・スプリング・ハーバー・プレス(Cold Spring Harbor Laboratory Press) 特開2002−345462号公報 特開平5−125088号公報
本発明は、核酸の精製を、安全かつ簡便に行うことができる方法、及びそれに用いるデバイスを提供することを課題とする。
本発明者は、上記課題を解決するために検討を行った結果、水溶性有機溶媒を含む緩衝液中で核酸の電気泳動を行うと核酸が選択的にシリカに吸着し、イソプロパノールを含まない緩衝液中で電気泳動を行うとシリカから核酸が遊離することを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち本発明は、以下のとおりである。
(1)核酸を含む試料から核酸を精製する方法であって、下記工程を含む方法:
(a)イソプロパノール、エタノール、プロパノール、アセトニトリルから選ばれる水溶性有機溶媒を含む核酸試料を用意する工程、
(b)前記核酸試料にシリカを接触させる工程、
(c)前記核酸試料に電圧を印加して、核酸をシリカに吸着させる工程、
(d)前記シリカに前記水溶性有機溶媒を含まない緩衝液を接触させ、同緩衝液に電圧を印加して、シリカから核酸を遊離させる工程、及び、
(e)シリカから遊離した核酸を半透膜でトラップして、精製された核酸を得る工程。(2)筒状の容器であって、一方の端部が、イオンが透過し核酸が透過してもよい第1の膜で塞がれ、内部に容器を横切るシリカ層が設けられ、前記半透膜とシリカ層との間に間隙を有する容器を用意し、この容器の前記間隙に、前記水溶性有機溶媒及び核酸試料を含む緩衝液を収容し、この容器を緩衝液中に浸漬し、同緩衝液に電圧を印加することにより、前記工程(b)を行う、(1)に記載の方法。
(3)前記容器の他方の端部が、イオン及び核酸が透過する第2の膜で塞がれ、第2の膜とシリカ層との間に第2の間隙を有し、第2の間隙に水溶性有機溶媒を含む緩衝液が収容される、(2)に記載の方法。
(4)前記第1及び第2の膜がゲル層である(2)又は(3)に記載の方法。
(5)前記工程(d)を、前記容器中の液体を前記水溶性有機溶媒を含まない緩衝液と交換し、この容器を緩衝液中に浸漬し、同緩衝液に電圧を印加することにより行う、(2)〜(4)のいずれか一項に記載の方法。
(6)前記容器に、一方の端部が半透膜で塞がれ、内部に緩衝液が収容された筒状の第2の容器を連結し、これらの容器を緩衝液中に浸漬し、同緩衝液に電圧を印加することにより、前記工程(e)を行う、(5)に記載の方法。
(7)前記水溶性有機溶媒がイソプロパノールであり、工程(a)における核酸試料中の水溶性有機溶媒の濃度が1〜99容量%である、(1)〜(6)のいずれかに記載の方法。
(8)核酸を含む試料から核酸を精製するためのデバイスであって、筒状のセルと、このセルの一方の端部を塞ぐ、イオンが透過し核酸が透過してもよい膜と、セルの内部に容器を横切るように設けられたシリカ層を含み、前記膜とシリカ層との間に間隙を有し、この間隙にイソプロパノール、エタノール、プロパノール、アセトニトリルから選ばれる水溶性有機溶媒を含む緩衝液が収容される、デバイス。
(9)前記セルの他方の端部が、イオンが透過し核酸が透過する第2の膜で塞がれ、第2の膜とシリカ層との間に第2の間隙を有し、第2の間隙に前記水溶性有機溶媒を含む緩衝液が収容される、(8)に記載のデバイス。
(10)前記第1及び第2の膜がゲル層である(8)又は(9)に記載のデバイス。
(11)前記セルの各々の間隙に、内部の液体を交換するための孔を有する、(8)〜(10)のいずれかに記載のデバイス。
(12)前記セルと直列に連結可能に構成された第2の筒状のセルであって、一方の端部が半透膜で塞がれた第2のセルと組み合わされて使用される、(8)〜(11)のいずれかに記載のデバイス。
本発明により、安全、かつ簡便に核酸を精製することが可能となる。また、本発明の方法は、高速遠心機等の高価な装置を必要としない。さらに、本発明の方法は、閉鎖系の核酸精製デバイスに好適に適用することができる。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の方法は、核酸を含む試料から核酸を精製する方法であって、下記工程を含む。(a)イソプロパノール、エタノール、プロパノール、アセトニトリルから選ばれる水溶性有機溶媒を含む核酸試料を用意する工程、
(b)前記核酸試料にシリカを接触させる工程、
(c)前記核酸試料に電圧を印加して、核酸をシリカに吸着させる工程、
(d)前記シリカにイソプロパノールを含まない緩衝液を接触させ、同緩衝液に電圧を印加して、シリカから核酸を遊離させる工程、及び、
(e)シリカから遊離した核酸を核酸が透過しない膜でトラップして、精製された核酸を得る工程。
本発明の方法は、例えば、図1Aに示す核酸精製デバイス(1)を用いて行うことができる。このデバイスは、筒状のセル(10)と、このセルの一方の端部を塞ぐ、イオンが透過し核酸が透過してもよい第1の膜(14)と、セルの内部に容器を横切るように設けられたシリカ層(11)とを有する。前記セルは、前記膜及びシリカ層とともに閉鎖系を構成し得る限り、特に素材、形状は問わず、断面は円形でも多角形でもよいが、円筒状であることが好ましい。セルの素材として具体的には、好ましくは透明又は半透明の、プラスチックが挙げられる。プラスチックとしては、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン、ポリスチレン、ポリエステル、ポリカーボネート、アクリル樹脂等が挙げられる。
前記セルの膜で塞がれた端部の他方の端部は、解放されていてもよく(図1A)、また、イオン及び核酸が透過する第2の膜(14)で塞がれていてもよい(図2C)。
前記イオンが透過し核酸が透過してもよい膜としては、前記セル及びシリカ層とともに閉鎖系を構成し得る限り、特に制限されない。ここで、「閉鎖系を構成する」とは、前記膜、シリカ層及びセルによって区切られる間隙に収容される水溶性有機溶媒を含む液体がセルから漏れず、セルを電気泳動溶液に浸漬したときに、電気泳動に必要な時間、前記水溶性有機溶媒の濃度が必要な範囲に保つことができる程度に、前記液体と電気泳動溶液が実質的に混合しないことをいう。前記液体又は溶質が拡散によって膜を透過したとしても、水溶性有機溶媒の濃度の低下が、シリカ層への核酸の吸着に影響がない程度であればよい。すなわち、前記膜を通して水溶性有機溶媒及び緩衝液が短時間で拡散しないものが好ましい。
第1の膜は、核酸が透過するものであっても、透過しないものであってもよく、具体的には、限外濾過膜、透析膜等の半透膜、及び、ゲル等が挙げられる。一方、第2の膜は、イオン及び核酸を透過しない膜であって、具体的には、ゲル等が挙げられる。ゲルとしては、例えば、アガロースゲル、ポリアクリルアミドゲル等が挙げられる。
シリカ層は、二酸化珪素を主成分とし、後述する水溶性有機溶媒存在下で核酸を吸着し、水溶性有機溶媒非存在下で遊離させるものであれば特に制限されず、繊維状又は多孔質性のガラス、ニトロセルロース等が挙げられる。
前記デバイスは、前記第1の膜とシリカ層との間に間隙を有している。この間隙は核酸試料を収容するためのものであり、サンプルチャンバ(12)と呼ぶ。本発明の好ましい態様では、第2の核酸不透過層とシリカ層との間にも間隙を有しており、これを緩衝液チャンバ(13)と呼ぶ(図2C)。サンプルチャンバ及び緩衝液チャンバには、水溶性有機溶媒を含む緩衝液が収容される。緩衝液チャンバを設けることによって、本発明のデバイスを電気泳動用緩衝液に浸漬したときに、シリカ層付近の水溶性有機溶媒が拡散して薄まることを防ぐことができる。また、デバイスの使用時に、核酸がシリカ層に吸着するのに対して、緩衝液チャンバにはタンパク質等の成分が移行する。尚、溶媒の拡散よりも、核酸のシリカ層への吸着の方が早ければ、緩衝液チャンバはなくても差し支えない。
サンプルチャンバ及び緩衝液チャンバには、それぞれ液体を出し入れするための孔を穿けておくことが好ましい。デバイスの使用時に、サンプルチャンバに核酸試料及び水溶性有機溶媒を含む緩衝液を入れ、緩衝液チャンバに水溶性有機溶媒を含む緩衝液を入れてもよい。しかし、通常は、予めサンプルチャンバ及び緩衝液チャンバの両方に水溶性有機溶媒を含む緩衝液を収容しておき、デバイスの使用時に、サンプルチャンバに核酸試料を注入することが好ましい。このようにすることによって、デバイスの保存中に、ゲルの乾燥を防ぐことができる。本発明のデバイスは、プラスチックバッグ等で密封させることが好ましい。
前記水溶性有機溶媒としては、同溶媒を含む緩衝液中で核酸がシリカに選択的に吸着されるものであれば特に制限されないが、具体的には、イソプロパノール、エタノール、プロパノール、アセトニトリルが挙げられる。これらは、単独で使用してもよく、2種以上組み合わせて使用してもよい。前記溶媒の中では、イソプロパノールが好ましい。
本発明において、「水溶性有機溶媒を含む」、及び「水溶性有機溶媒を含まない」とは、相対的な概念である。すなわち、「水溶性有機溶媒を含む」とは、緩衝液中で核酸がシリカに吸着するような濃度で含むことを意味し、「水溶性有機溶媒を含まない」とは、水溶性有機溶媒を全く含まないか、又は、水溶性有機溶媒の濃度が、緩衝液中で核酸がシリカに吸着しないか、又は、シリカに吸着した核酸が電気泳動により遊離されるような濃度であることを意味する。「水溶性有機溶媒を含む」場合の溶媒濃度は、溶媒の種類によっても異なるが、図1又は図2に示すセルに、種々の濃度で水溶性有機溶媒を含む緩衝液を収容し、本発明の方法の手順に従って核酸の精製操作を行い、回収された核酸を分析することによって、容易に設定することができる。具体的には、水溶性有機溶媒がイソプロパノールの場合には、好ましい濃度は1〜99容量%、より好ましくは50〜99容量%、特に好ましくは80〜99容量%である。
以下、上記のような構造を有するデバイスを、吸着ユニット(1)と呼ぶ。吸着ユニットは、吸着ユニットと直列に連結可能に構成された第2の筒状のセル(回収ユニットと呼ぶ)(図1B、図2D)と組合せて使用されるものであってもよい。回収ユニット(2)を構成するセルは、一方の端部が半透膜(21)で塞がれる。この半透膜は、イオンが通過し核酸が通過しない膜であって、例えば、限外濾過膜、透析膜等が挙げられる。回収ユニットは、吸着ユニットのシリカ層に吸着した核酸を、シリカ層から遊離させる際に、回収するために用いられる。回収ユニットは、膜で塞がれた端部ではない方の端部と、吸着ユニットの一方の端部が連結できるように構成される(図1、2)。第1の膜のみを有する吸着デバイス(図1)では、回収ユニットは膜シリカ層側の端部に連結される。また、第2の膜を有するデバイス(図2)では、回収ユニットは、吸着ユニットの緩衝液チャン
バ側に連結される。第1の膜が核酸を透過しない膜である場合は、回収ユニットのサンプルチャンバ側に連結させることもできる。
図1A、図2Cに示す吸着ユニットは、回収ユニットと連結するための筒状の連結部(15)を有している。この連結部は、外径が、回収ユニットの内径とほぼ等しく、連結部を介して吸着部は回収ユニットに嵌合する。
次に、本発明の方法の一態様として、図2に示すデバイスを用いる方法を説明する。サンプルチャンバ及び緩衝液チャンバの両方に水溶性有機溶媒を含む緩衝液を収容した吸着ユニットを用意する(工程(a))。前記緩衝液としては、核酸の電気泳動が可能で、かつ、水溶性有機溶媒との混合液中で核酸がシリカに吸着可能であり、かつ、水溶性有機溶媒を含まないときにシリカに吸着された核酸が遊離するものであれば特に制限されないが、例えば、TE緩衝液又はTAE緩衝液等のTris緩衝液、リン酸緩衝液等が挙げられる。緩衝液のpHは、好ましくは6〜9である。
上記吸着ユニットのサンプルチャンバに核酸を含む試料を注入する(工程(b))。試料の液量は、サンプルチャンバ内の水溶性有機溶媒が所定の範囲内に維持されるような量であれば特に制限されない。この吸着ユニットを、電気泳動用緩衝液中に浸漬し、同緩衝液に電圧を印加する(工程(c))。この操作は、通常、ホリゾンタル型の電気泳動装置を用いて行うことができる。このとき、吸着ユニットのサンプルチャンバが陰極側に、緩衝液チャンバが陽極側に位置するように置く。電気泳動用緩衝液は特に制限されず、例えばTAE緩衝液等が挙げられる。電圧は1〜3000V、通電時間は1〜180分が好ましい。この操作によって、各チャンバ内の液体に電圧が印加され、その結果、核酸がシリカ層側に泳動し、シリカに吸着する。タンパク質等も荷電状態によってシリカ側に泳動するものもあるが、このようなタンパク質等はシリカ層を素通りし、緩衝液チャンバに移動する。
次に、吸着ユニットのサンプルチャンバ及び緩衝液チャンバ内の緩衝液を、水溶性有機溶媒を含まない緩衝液と交換する。この操作は、各チャンバに穿けられた孔を介して行うことが好ましい。続いて、吸着ユニットに、緩衝液を入れた回収ユニットを連結する。このデバイスを電気泳動層の緩衝液中に浸漬し、同緩衝液に電圧を印加することにより、シリカに吸着した核酸が遊離し(工程(d))、半透膜上に核酸がトラップされる。デバイスは、回収ユニットが陽極側、吸着ユニットが陰極側に位置するように置く。電圧は1〜3000V、通電時間は1〜90分が好ましい。その後、回収ユニットから内部の緩衝液を回収する(工程(e))。その際、膜上を洗浄する操作を行うと、回収率が向上する場合がある。
本発明の方法に用いる核酸試料としては、特に制限されないが、細菌などの微生物、血液等の体液、細胞破砕液等が挙げられる。これらは、溶菌又は溶血後、遠心して不溶物を除いたものを、そのまま用いることができる。
以下、実施例を示して、本発明をさらに具体的に説明する。
〔実施例1〕
エシェリヒア・コリDH5α株を、LB培地で37℃、一晩培養し、この培養液500μlをミクロチューブに移した。チューブを16100×gで30秒遠心し、上清を除去した。得られた菌体に、溶菌試薬(300mM NaCl, 1% Triton X-100を含むTE緩衝液)100μlを加え、96℃で10分間加熱して溶菌させた。
上記溶菌液10μlを、図2に示す構造を有し、80容量%のイソプロパノールを含むTAE緩衝液が収容された核酸精製用デバイスのサンプルチャンバに添加した。このデバイスを、シリカ層が陽極側に、サンブル層が陰極側に位置するように、TAE緩衝液を入れ
た電気泳動槽に入れ、125V、4〜5mAで90分間電気泳動を行った。その後、デバイスを電気泳動槽から取り出し、デバイスの緩衝液チャンバ側に、内部にTAE緩衝液が収容された回収ユニット(図2)を嵌合させ、デバイスの孔を通して、サンブル層及び緩衝液チャンバの内部の液体をTAEと交換した。このデバイスを、回収ユニットが陽極側に位置するように電気泳動層に入れ、100V、4〜5mAで90分間電気泳動を行った。デバイスを電気泳動槽から取り出し、回収ユニット内から緩衝液を回収した。回収された核酸の吸収スペクトルを図3に示す。OD260/OD280は2.0であり、得られた核酸量は75.95ng/μlであった。
上記のようにして核酸が回収され得ること、及び、回収された核酸が生化学的反応に利用し得ることを確認するために、得られた核酸を鋳型とするPCRを行った。反応液組成及び反応条件を、以下に示す。尚、プライマーは、公知のエシェリヒア・コリK−12株のgyrB遺伝子の配列に基づいて、同遺伝子の一部を増幅し得るように設計した。
(反応液組成)
蒸留水 19.125μl
10倍緩衝液 2.5 μl
dNTPs 2
100μM フォワードプライマー(配列番号1) 0.125μl
100μM リバースプライマー (配列番号2) 0.125μl
5U/μl Taqポリメラーゼ (TaKaRa rTaq) 0.125μl
核酸試料 1 μl
合計 25 μl
(反応条件)
94℃ 2分
(94℃ 30秒、54℃ 30秒、72℃ 1分)×35サイクル
72℃ 1分
コントロールとして、市販キットを用いて核酸を精製した。前記と同様のエシェリヒア・コリDH5α株の培養液500μLから核、市販の核酸抽出キット(「アクアピュア」BIO RAD社製)を用いて、キットに添付のプロトコールに従って核酸を抽出した。得られた核酸の濃度を測定し、コピー数を算出し、コピー数が100、101、102、103となるようにTE緩衝液で希釈した。このようにして得られたコントロール試料を用いて、前記と同様にしてPCR反応を行った。
1μl、及び12.5μlの核酸試料、並びにコントロール試料をアガロースゲル電気泳動し、エチジウムブロマイド染色を行った。結果を図4に示す。この結果から、本発明の方法により、PCR反応に耐えうる核酸試料を、電気泳動操作によって簡便に取得することができることがわかる。
〔実施例2〕
ヒトの血液サンプル(抗凝固剤としてヘパリンナトリウムを添加)100μLをミクロチューブに入れ、溶血試薬(300mM NaCl, 1%Triton X-100を含むTE緩衝液)300μLを添加し、溶血させた。この溶血液を攪拌した後、96℃で5分間加熱し、5000×gで10秒間遠心した。上清約200μlを回収した。この上清20μlを用いて、実施例1と同様にして精製操作を行った。こうして核酸が回収されたことを、アガロースゲル電気泳動によって確認した。
〔実施例3〕
図1及び図2に示すデバイスを用いて、実施例1と同様にして核酸の回収を行った。但し、核酸の回収のための電気泳動は、150分行った。回収された核酸のアガロースゲル電気泳動の結果を図5に示す。この結果から、緩衝液チャンバを有さないデバイスを用いた場合でも、核酸を回収することができることがわかる。
本発明のデバイスの一形態を示す図。Aは吸着ユニット及び回収ユニットの構造を示す。Bは吸着ユニットと回収ユニットを連結させた状態を示す。 本発明のデバイスの他の形態を示す図。Cは吸着ユニット及び回収ユニットの構造を示す。Dは吸着ユニットと回収ユニットを連結させた状態を示す。 実施例1で回収された核酸の吸収スペクトルを示す図。 実施例1で得られた核酸を鋳型とするPCR増幅産物の電気泳動写真。レーン1、6は分子量マーカー、レーン2〜5は、コントロール(コピー数100、101、102、103)、レーン7、8は各々試料1μl、12.5μlを示す。 実施例3で得られた核酸の電気泳動写真。レーン1は分子量マーカー、レーン2は図1に示すデバイスを用いた結果、レーン3は図2に示すデバイスを用いた結果を示す。
符号の説明
1.吸着ユニット
10.セル
11.シリカ層
12.サンプルチャンバ
13.緩衝液チャンバ
14.第1及び第2の膜
15.連結部
2.回収ユニット
21.半透膜

Claims (12)

  1. 核酸を含む試料から核酸を精製する方法であって、下記工程を含む方法:
    (a)イソプロパノール、エタノール、プロパノール、アセトニトリルから選ばれる水溶性有機溶媒を含む核酸試料を用意する工程、
    (b)前記核酸試料にシリカを接触させる工程、
    (c)前記核酸試料に電圧を印加して、核酸をシリカに吸着させる工程、
    (d)前記シリカに前記水溶性有機溶媒を含まない緩衝液を接触させ、同緩衝液に電圧を印加して、シリカから核酸を遊離させる工程、及び、
    (e)シリカから遊離した核酸を半透膜でトラップして、精製された核酸を得る工程。
  2. 筒状の容器であって、一方の端部が、イオンが透過し核酸が透過してもよい第1の膜で塞がれ、内部に容器を横切るシリカ層が設けられ、前記半透膜とシリカ層との間に間隙を有する容器を用意し、この容器の前記間隙に、前記水溶性有機溶媒及び核酸試料を含む緩衝液を収容し、この容器を緩衝液中に浸漬し、同緩衝液に電圧を印加することにより、前記工程(b)を行う、請求項1に記載の方法。
  3. 前記容器の他方の端部が、イオン及び核酸が透過する第2の膜で塞がれ、第2の膜とシリカ層との間に第2の間隙を有し、第2の間隙に水溶性有機溶媒を含む緩衝液が収容される、請求項2に記載の方法。
  4. 前記第1及び第2の膜がゲル層である請求項2又は3に記載の方法。
  5. 前記工程(d)を、前記容器中の液体を前記水溶性有機溶媒を含まない緩衝液と交換し、この容器を緩衝液中に浸漬し、同緩衝液に電圧を印加することにより行う、請求項2〜4のいずれか一項に記載の方法。
  6. 前記容器に、一方の端部が半透膜で塞がれ、内部に緩衝液が収容された筒状の第2の容器を連結し、これらの容器を緩衝液中に浸漬し、同緩衝液に電圧を印加することにより、前記工程(e)を行う、請求項5に記載の方法。
  7. 前記水溶性有機溶媒がイソプロパノールであり、工程(a)における核酸試料中の水溶性有機溶媒の濃度が1〜99容量%である、請求項1〜6のいずれか一項に記載の方法。
  8. 核酸を含む試料から核酸を精製するためのデバイスであって、筒状のセルと、このセルの一方の端部を塞ぐ、イオンが透過し核酸が透過してもよい膜と、セルの内部に容器を横切るように設けられたシリカ層を含み、前記膜とシリカ層との間に間隙を有し、この間隙にイソプロパノール、エタノール、プロパノール、アセトニトリルから選ばれる水溶性有機溶媒を含む緩衝液が収容される、デバイス。
  9. 前記セルの他方の端部が、イオンが透過し核酸が透過する第2の膜で塞がれ、第2の膜とシリカ層との間に第2の間隙を有し、第2の間隙に前記水溶性有機溶媒を含む緩衝液が収容される、請求項8に記載のデバイス。
  10. 前記第1及び第2の膜がゲル層である請求項8又は9に記載のデバイス。
  11. 前記セルの各々の間隙に、内部の液体を交換するための孔を有する、請求項8〜10のいずれか一項に記載のデバイス。
  12. 前記セルと直列に連結可能に構成された第2の筒状のセルであって、一方の端部が半透膜で塞がれた第2のセルと組み合わされて使用される、請求項8〜11のいずれか一項に記載のデバイス。
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