JP2005109290A - 低背型インダクタ - Google Patents

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康生 下田
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Abstract

【目的】インダクタンス特性を向上させると共に生産性に優れた低背型インダクタの提供を目的とする。
【構成】板状コア11の平坦面に蛇行状の溝15が設けられ、該溝15に挿入する該溝15の蛇行形状にほぼ一致する扁平状の金属導体13と、該コイル13を狭持するように上記板状コア11に対向する別の板状コア12、および、板状コア11の溝以外の部分と板状コア12の対向部分に狭持されるように入る軟磁性材料からなる粉末を混合した樹脂14から構成する。
【選択図】図1

Description

この発明は電子回路に用いられるチョークコイル等のインダクタンス素子に関する。
小型電源であるDC/DCコンバータは、各種電子機器内で多用な電力供給に対応した分散型の電源として、小型、薄型化の要求が高く、それらの部品のひとつであるインダクタについても小形化が図られている。また、DC/DCコンバータの負荷となるICの駆動電圧は低電圧化の傾向にあるが、その代わりに電流値は増加し、最近では10A〜30A程度を定格電流とする製品が増えており、大電流に対応した小型、薄型の低背型のインダクタの製品化が強く求められている。
従来の大電流に対応した低背型のインダクタは、図4の分解斜視図に示すように、1組のコア31、32と大電流に対応した平角線からなるコイル33より構成するが、所定のインダクタンス値を得るためにはコイル33は最低でも2ターン以上の巻数が必要であり、そのために製品として一定以上の高さとなるため、高さ寸法を低くすることには限界があった。また、大電流に対応した平角線を使用したコイル32の量産化には特殊な巻線機を必要とし、そのために製造コストが増すという問題点があった。
上記問題を解決するものとして図5の分解斜視図と図6の断面図に示す平板状コアと巻線作業のないコイルを使用したインダクタがある。平坦面が対向する2つの平板状コア41、42と、コア41の対向面表面に施された蛇行する溝45に挿入する扁平導体からなるコイル43とコアの磁気飽和を抑制するためコア41、42間に挿入するシート44から構成する。このインダクタの構造であれば、電流容量の大きなインダクタを低背型として構成でき、構造が簡単なため製造コストの低減も可能である。
しかし、上記インダクタのインダクタンス値は隙間Gを形成するシート44の厚さにより調整されるものであるが、その変化は極めて敏感で隙間Gが大きくなるとインダクタンス値は急激に低下する。また、コアがフェライトコアのような焼結品である場合には平板状のコアにソリ等の変形が発生しやすく、コア間の隙間Gを広い範囲で一定の値とするためには研磨等の加工が必要となり、インダクタのコスト上昇を招いていた。
特開2002−43139号公報
本発明は上記問題を鑑み、インダクタンス値を得るための磁気特性のコントロールが容易で、かつ、簡単な構造により生産性を向上させた大電流対応の低背型インダクタを提供するものである。
本発明は、軟磁性材料からなる板状コアの表面に蛇行状の溝を設け、該溝の中に金属導体を挿入し、さらに前記金属導体を別の軟磁性材料からなる板状コアで狭持するインダクタにおいて、二枚の板状コア間の隙間に軟磁性材料からなる粉末を混合した樹脂を配置する低背型インダクタである。
また本発明は、対向する二枚の板状コア間の隙間は、一方のコア表面に設けた溝より外方に突出する導体部分、あるいは、一方の板状コアの対向表面に一定の高さの突起を設けることにより形成される低背型インダクタである。
また本発明は、対向する二枚の板状コア間の隙間に配置する軟磁性材料からなる粉末を混合した樹脂は接着性を有し、二枚の板状コアと該コアにより狭持される金属導体を相互に固着する接着機能を兼ねている低背型インダクタである。
本発明の低背型インダクタは、インダクタンス値の調整が容易でコイル部品としての設計しやすさが向上し、また構造が簡易であるため生産性に優れる。
図1および図2を用いて本発明の低背型インダクタの実施形態を説明する。図1は本発明の低背型インダクタの分解斜視図を示し、図2は本発明の低背型インダクタの断面図を示す。本発明の低背型インダクタは、板状コア11の平坦表面に蛇行状の溝15が設けられ、該溝15に挿入する該溝15の蛇行形状にほぼ一致する扁平状の金属導体13と、該金属導体13を狭持するように前記板状コア11に対向する別の板状コア12、および、板状コア11の溝以外の部分と板状コア12の対向部分に狭持されるように入る軟磁性材料からなる粉末を混合した樹脂14から構成する。板状コア11、12間の隙間Gは、金属導体13、または軟磁性材料からなる粉末を混合した樹脂14で形成されている。蛇行形状の金属導体14は、抵抗率の低い銅系合金板を打ち抜きプレス等で加工することにより作成できる。
本発明は、板状コア11、12に対して金属導体13が1ターンコイルとしてインダクタンス値を発生させる。また該インダクタンス値は、コア11、12間の隙間Gの挿入物である透磁率>1の軟磁性材料からなる粉末を混合した樹脂14により、従来技術のエアーギャップに比べ、ギャップ長の変化に対するインダクタンス値の変化が緩やかとなり、また軟磁性材料からなる粉末を混合した樹脂14の透磁率を所定値に調整することにより、インダクタンス値をほぼ変化させることなく隙間Gを任意の寸法とすることもでき、板状コアにソリ等の変形があっても、軟磁性材料からなる粉末を混合した樹脂14が挿入する隙間Gの調整によって、インダクタンス値のバラツキが抑制され安定した特性を得ることができ、インダクタの設計性を向上させることができる。なお、従来技術のエアーギャップには非磁性のシートを挿入して形成されるギャップも含まれる。
図1および図2を使用して本発明の低背型インダクタの実施例を示す。二枚の板状コア11、12は絶縁性を有するNi−Zn系フェライト(μ=約300)からなり、一方のコア11の表面に蛇行状の溝15が設けてある。該溝15に収まる形状が蛇行状の導体13は、0.6mm×0.3tとした。二枚のコア11、12間の隙間に配置される軟磁性材料からなる粉末を混合した樹脂14は、エポキシ樹脂中にFe−Si−Al合金の微粉末を混合したものを用い、透磁率は約10であった。本発明の低背型インダクタは、金属導体13の厚み寸法は、コア11に設けた溝15の深さよりも大きく、コア11、12間に溝15から金属導体13の一部が外方に露出しているため隙間Gが発生し、実施例ではその隙間高さは0.1mmとなり、この隙間に前記樹脂14を配置した。
実施例1の効果確認のために、比較例1として図5に示した板状コア41、42、金属導体44を使用し、隙間として0.1mmの非磁性のシート44を用いた従来技術のインダクタ、比較例2として上記比較例1の構成よりシート44を使用しない閉磁路構成とした従来のインダクタを比較測定した。
なお、コア材質・金属導体は同一条件とし極力差違のない条件としたが、それぞれのインダクタとしての構造により、コアの溝深さはそれぞれ異なり、また、インダクタとしての高さも若干異なった。
インダクタ寸法(端子を除く):6.0mm×6.0mm×2.4mmt(実施例1、比較例2)、6.0mm×6.0mm×2.5mmt(比較例1)
金属導体の直流抵抗:1.6mΩ
Figure 2005109290
金属導体の直流抵抗値から許容される銅損から推定すると、この大きさのインダクタには最大10A程度の直流バイアス電流が流せるものと予想されるが、実施例1のインダクタンス値は10Aにおいても大きい値を示し良好な直流重畳特性を示している。比較例1は、ギャップを構成する空気の透磁率が低いために、インダクタンス値は全般に低い値になった。また比較例2は、ギャップ長がゼロであるために0A時のインダクタンスは高い値を示すが、直流バイアス電流が大きくなるにつれてインダクタンスは急減し、10Aではコアが磁気的に飽和してインダクタンスはゼロに近づいている。
なお比較例1においては、ギャップ長を0.1mmよりも小さくすることにより直流重畳特性は実施例1の値に近づけることができる。しかし、実施例1のインダクタンス値が比較例1の約3倍であるところから、比較例1のギャップ長は約1/3の0.03mm程度としなければならないと予想される。前記ギャップ長は対向するコア表面の平坦度を上げるための加工が必要である。一方、本発明の実施例1は、加工なしでフェライトコア間のギャップを0.1mmにすることは容易ではないが可能な範囲である。またギャップに配置する樹脂の透磁率をより大きくすれば、同一のインダクタンスを確保しながらギャップ長をより大きくすることが可能である。また別の方法として、ギャップ長を一定として、樹脂の透磁率を変化させればインダクタのインダクタンス値を自由に変化させることができる。本発明である実施例1のインダクタの高さは寸法が従来技術である比較例1より低くなる理由は、比較例1は金属導体45上にシート44があり、該シートの厚さが寸法の差である。本発明はできるだけインダクタとしての高さを低くするため金属導体13上に挿入物を配置せず、インダクタとしての低背を追求したものである。
本発明の別の実施例を図3に示す。図3は本発明の低背型インダクタの部分拡大断面図であり、板状コア21には金属導体23が挿入する蛇行状の溝25と、板状コア22との対向面に突起部26を設け、コア21、22間に隙間Gができる。前記隙間Gに軟磁性材料からなる粉末を混合した樹脂24が配置し、該樹脂24は接着性を有し流動状であって、加熱等の諸条件によって硬化する。図3に表すように、樹脂24はコア21、22と金属導体23を相互に固着固定することができた。
また板状コア21の突起部26は、コア磁路を閉磁路とするものであり、バイアス電流ゼロにおけるインダクタンス値を高くするものであるが、突起部26の面積はコア全体の面積に対して十分小さい面積としておくことで、バイアス電流に対するインダクタンス値の変化は、先に説明した実施例1の特性に近似したものとなり、大電流に対応したインダクタとして実用上問題は発生しない。
流動状態の軟磁性材料からなる粉末を混合した樹脂の使用法については特に限定するものでなく、実施例1に使用できることは勿論である。また、板状コアに設ける突起部についても、対向するどちらかの板状コアに設ければよく、それによる特性の差違はないに等しい。また、本発明の低背型インダクタは、直流重畳特性を得るためのコアのエアーギャップの阻害性を、軟磁性材料からなる粉末を混合した樹脂で形成することにより成し得た発明であり、従来の低背型インダクタより優れたインダクタンス特性を得ることができ、構造が簡単である生産性も大変優れたものである。
比較的インダクタンス値が低く、大電流に対応した巻線構造のコイル部品の、小型、薄型化および生産性を向上させることができる。
本発明の低背型インダクタの実施形態を示す分解斜視図である。 本発明の低背型インダクタの実施形態を示す断面図である。 本発明の低背型インダクタの別の形態を示す部分断面図である。 第一の従来技術の低背型インダクタの分解斜視図である。 第二の従来技術の低背型インダクタの分解斜視図である。 第二の従来技術の低背型インダクタの断面図である。 第三の従来技術の低背型インダクタの断面図である。
符号の説明
11、12:板状コア
13:金属導体
14:軟磁性材料からなる粉末を混合した樹脂
15:溝

Claims (4)

  1. 軟磁性材料からなる板状コアの平坦な表面に蛇行状の溝を設け、該溝の中に金属導体を挿入し、さらに前記金属導体を別の軟磁性材料からなる板状コアで狭持するインダクタにおいて、対向する二枚の板状コア間の隙間に軟磁性材料からなる粉末を混合した樹脂を配置したことを特徴とする低背型インダクタ。
  2. 対向する二枚の板状コア間の隙間は、一方の板状コア表面に設けた溝の深さよりも、金属導体の厚さ寸法が大きいことにより形成されることを特徴とする請求項1記載の低背型インダクタ。
  3. 対向する二枚の板状コア間の隙間は、少なくとも一方の板状コアの対向面表面に一定の高さの突起を設けることにより形成されることを特徴とする請求項1記載の低背型インダクタ。
  4. 対向する二枚の板状コア間の隙間に配置する軟磁性材料からなる粉末を混合した樹脂は接着性を有し、二枚の板状コアと該コアにより狭持される金属導体とを相互に固着する接着機能を兼ねていることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載の低背型インダクタ。
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