以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して説明する。なお、各図において互いに同一あるいは相当する部材には同一符号を付し、重複した説明は省略する。
図1は、本発明による第1の実施の形態である共焦点型検査装置としての共焦点走査顕微鏡1の模式的斜視図である。共焦点走査顕微鏡1は、検査対象2に対向して配置された対物レンズ5と、所定の方向に一直線に配列された複数の輝点光10aを、対物レンズ5を介して検査対象2に投光する投光部20と、輝点光10aで検査対象2を前記所定の方向と交差する方向に一次元に走査する走査機構9と、対物レンズ5を介して検査対象2から戻ってくる前記投光された輝点光10aを結像する結像レンズ6と、結像レンズ6により結像される光を受光する受光部であって、検査対象2上の各輝点光10aと対応して一直線に配列して設けられた受光部40とを備える。なお、図示では検査対象2の表面の一部のみを示している。
また、共焦点走査顕微鏡1は、投光部20と検査対象2との間に配置された光分岐手段を備えている。光分岐手段は、投光部20と検査対象2との間に配置された四分の一波長板31と、四分の一波長板31と投光部20との間に配置され、検査対象2から戻る光のうち所定の偏光方向の光を透過させ前記所定の偏光方向と交差する偏光方向の光を受光部40方向に偏向する、偏光ビームスプリッタ32とで構成される。なお光分岐手段は、上記に限られず例えば検査対象2から戻る光を投光部20方向と受光部40方向とに分光するハーフミラーであってもよい。以下光分岐手段は、四分の一波長板31と、偏光ビームスプリッタ32とで構成される場合で説明する。以下、上記構成について詳述する。
なおここでは、xy軸を、検査対象2上に置くように、直交座標系xyzがとられている。またここでは、z軸は対物レンズ5の光軸と平行である。
対物レンズ5は、その光軸をz軸と平行方向に向けて、検査対象2に対向して配置されている。対物レンズ5は、図示では説明のために単レンズとして示してあるが、典型的には、複数枚多群で構成される組み合わせレンズである。本実施の形態では固定的に取り付けられている。
投光部20は、所定の方向(図中x軸方向)に一直線即ち一次元方向に配列された複数の輝点光10aを、対物レンズ5を介して検査対象2に投光するものである。なお図1では一次元方向に配列された複数の輝点光10aは1本に輝線で示してある。また本実施の形態では、一次元方向に配列された複数の輝点光10aの列を複数本投光している。投光される輝点光10aの列は互いに平行であり、その間隔は一定である。
このように、投光部20により、検査対象2に一次元方向に配列された複数の輝点光10aを投光することで、例えば輝線を投光する場合と比較して、各輝点光10aが所定間隔を空けて投影されるので(離散的に投影されるので)、投影された輝点光10aの結像状態(ボケ)の変化による、受光部40で測定される光の強度の変化が明確になり、検査を高精度で行なえる。また、所定の方向に一直線に配列された複数の輝点光10a、即ち一次元方向に配列された複数の輝点光10aの列を互いに平行に複数本投光することで、例えば同じ範囲を走査する場合、輝点光10aの列を1本とする場合と比較して走査機構9による走査の量(走査角度)を小さくすることができる。これにより、検査の高速化が図れるだけでなく、走査角度を小さくできるので精度が向上する。また以上では各輝点光10aが所定間隔を空けて投影される場合で説明したが、各輝点光10aは、その一部が重なってもよい。
なおここでは、上記の一次元方向に配列された複数の輝点光10aを複数本投光する場合で説明するが、1本であってもよい。この場合には、図2で後述の受光部40も対応して1つとなる。
投光部20は、ファイバーグレーティング10(以下、単にグレーティング10という)と、可干渉性の光束を発生する光束発生手段としての光束発生部21とを備えている。可干渉性の光束は、典型的にはレーザーである。光束発生部21は、平行光束を発生するように構成されている。なお、光束発生部21は、典型的には、光源としてのLD(半導体レーザダイオード)21aと、コリメータレンズ21bとを含んで構成される半導体レーザー装置であり、発生される平行光束は、レーザー光束L1(図6参照)である。そしてレーザー光束L1は、断面が略円形状の光束である。なお、この略円形状は、略楕円形状を含む概念である。ここで平行光束とは、実質的に平行であればよく、平行に近い光束も含む。また、輝点光10aの形状は楕円形を含む略円形である(図示では円形)。
グレーティング10に、レーザー光L1を入射させと、レーザー光L1は、個々の光ファイバー11によりそのレンズ効果を持つ面内で集光したのち、発散波となって広がって行き、干渉して、投影面である検査対象2の表面に一次元方向に配列された複数の輝点光10aが投影される。なお図6で後述するように、一次元方向に配列された複数の輝点光10aの列を複数本投影することが容易に行なえる。また、グレーティング10は、コリメータレンズ21bの光軸に垂直に配置される。コリメータレンズ21bの光軸に垂直に配置するとは、図6で後述するように、例えば、グレーティング10を構成する第1FG素子12の各光ファイバー11の軸線を含む平面と、コリメータレンズ21bの光軸とが垂直になるように配置することである。グレーティング10については、図6で詳述する。
走査機構9は、複数の輝点光10aが配列された所定の方向と交差する方向に一次元に走査するものである。走査機構9は、典型的には、投光部20により投光される光を反射して、検査対象2を所定の方向と交差する方向(図中y軸方向)に一次元に走査する一次元走査ミラーである。以下走査機構9は、一次元走査ミラーの場合で説明する。一次元走査ミラー9は、対物レンズ5と四分の一波長板31との間に配置されている。以下、y軸方向即ち所定の方向と交差する方向を走査方向という。さらにここでは、所定の方向と垂直に交差する方向を走査方向とする。一次元走査ミラー9は、投光部20により投光される光を反射する走査ミラー部9aと、複数の輝点光10aが配列された所定の方向と平行方向の直線を回動軸9cとして、言い換えれば走査方向に垂直な方向の直線を回動軸9cとして、走査ミラー部9aを回動軸9c回りに回動するアクチュエータ9bとを有している。一次元走査ミラー9は、アクチュエータ9bにより、走査ミラー部9aを走査方向に垂直な方向を回動軸9c回りに回動することで、輝点光10aを走査方向に走査することができる。
なお本実施の形態では、一次元方向に配列された複数の輝点光10aの列を複数本投光しているが、このような場合であっても、例えば投光された複数本の複数の輝点光10aの列の各列間を一次元走査ミラー9により走査できることで、検査対象2を高精度に検査できる。
また本実施の形態では、走査機構は上記の一次元走査ミラー9の場合で説明するが、これに限られず例えば、検査対象2が載置される台を前記所定の方向と交差する方向に移動させることで、検査対象を所定の方向と交差する方向に走査するものであってもよい。
結像レンズ6は、受光部40と偏光ビームスプリッタ32との間に配置され、受光部40に検査対象2から戻ってくる輝点光10aを結像するものである。
また、結像レンズ6と偏光ビームスプリッタ32との間には、コリメータレンズ33が、投光部20と偏光ビームスプリッタ32との間には、コリメータレンズ34が配置されている。さらに、対物レンズ5と一次元走査ミラー9との間には、対物レンズ5側からレンズ35、レンズ36が配置されている。
ここで図2を受光部40について説明する。(a)に示すように、受光部40は、典型的には複数の受光素子41を一次元に配列した一次元CCDアレイ(以下ラインセンサという)である。受光素子41の配列方向は、検査対象2上の各輝点光10aと対応した方向である。なお、ラインセンサ40は、複数の受光素子41(画素)が前記配列方向に密に配列されたものである。なおここでは、(b)に示すように、ラインセンサ40を互いに平行に複数配置することでラインセンサ群40aを形成している。各ラインセンサ40は、検査対象2上の所定の方向に一次元方向に配列された複数の輝点光10aの各列と対応するように配置される。なお、前述した通り、上記の一次元方向に配列された複数の輝点光10aが1本の場合には、ラインセンサ40も対応して1つとなる。またここでは、複数のラインセンサ40でラインセンサ群40aを形成する場合で説明するが、受光素子41を二次元に配列した二次元受光素子アレイを用いてもよい。この場合には、前記複数の輝点光10aの各列と対応する列のみの情報を取得するようにするとよい。
さらにここでは、一定の間隔をあけた受光素子41の情報を採用するようにする。この場合、情報を採用される受光素子41の広がりそのものが絞りとなる。受光素子41が絞りとなることで、検査対象2からの余分な散乱光やボケを排除し、三次元空間内の1点を正確に検査できる。また、高い分解能を実現できる。また、(c)に示すように、ラインセンサ40は、別の例として、各受光素子が所定の間隔をあけて配列され、点状の光の結像に比べて画素の大きさが小さいものを用いてもよい。この場合にも、受光素子の広がりそのものが絞りとなる。
また、ラインセンサ40への光を絞る絞り部を備えるようにしてもよい。この場合には、絞り部は、ラインセンサ40への光を絞るものであり、結像レンズ6とラインセンサ40との間に配置される。この場合絞り部は、ラインセンサ40に密着して配置される。さらにこの場合には、絞り部は、典型的には複数のピンホールが一定の間隔で、一次元方向に配列されたものである。ピンホールの配列方向はラインセンサ40の受光素子の配列方向と平行である。即ち、検査対象2上の各輝点光10aと対応した配列方向である。ラインセンサ40の前にこのようなピンホールが形成された絞り部を設置することで、検査対象2からの余分な散乱光やボケを排除し、三次元空間内の1点を正確に検査できる。また、高い分解能を実現できる。また上記では絞り部は、複数のピンホールの場合で説明したが、ラインセンサ40の受光素子の配列方向と平行方向に形成されたスリットであってもよい。
図1に戻ってさらに説明する。四分の一波長板31は、投光部20と検査対象2との間に配置され、入射した光を所定の偏光方向と交差する偏光方向に偏光するものである。偏光ビームスプリッタ32は、検査対象2から戻る光のうち、所定の偏光方向の光を透過させ、所定の偏光方向と交差する偏光方向の光をラインセンサ40方向に偏向するものである。言い換えれば、検査対象2から戻る光のうち、四分の一波長板31により偏光された偏光方向の光をラインセンサ40方向に偏向するものである。即ちここでは、所定の偏光方向は、四分の一波長板31により偏光された光の偏光方向と交差する偏光方向である。
さらに、共焦点走査顕微鏡1は、対物レンズ5と結像レンズ6の共焦点を調節する共焦点調節機構3を備える。本実施の形態では、共焦点調節機構3は可変焦点レンズである。共焦点走査顕微鏡1は、可変焦点レンズ3を用いることで、光学系を単純化することができる。また共焦点の調節を高精度で行なえる。
図3の断面図に示すように、可変焦点レンズ3は、例えば人間の眼球で水晶体の厚さを変化させて焦点調節を行っているのと同じ原理に基づいたものである。このような可変焦点レンズ3の構成の概略は、例えば次の通りである。可変焦点レンズ3は、可撓性に富む一対の透明板状体3aと、透明板状体3aの間に充填された変形可能な透明体3bと、透明板状体3aの両端に取り付けられ、透明板状体3aと透明体3bの形状を変化させるアクチュエータ3cを含んで構成される。
可変焦点レンズ3は、アクチュエータ3cにより、透明板状体3aと透明体3bの形状を変化させることで、一対の透明板状体3aを通過する光の屈折率を変化させることができる。即ち焦点を変化させることができる。なおこの透明体3bは、外部環境媒体(例えば空気)と異なる屈折率を持っている。透明体3bは、水などの液体やゼリー状の物質の流動体で、透明板状体3aが変形するとその変形に伴い形状が変化することができる。可変焦点レンズ3は、駆動信号を入力することによりその焦点を可変するものである。可変焦点レンズ3は、例えば、駆動信号の電圧により、その焦点距離を可変させるものである。このような可変焦点レンズ3は、小型軽量であり、さらに高速動作で焦点調節が可能である。
また、図4の模式的断面図に示すような液晶レンズ3’を可変焦点レンズとして用いてもよい。液晶レンズ3’は、ホモジニアス(ねじれのない)分子配列のネマティック液晶層301と、ネマティック液晶層301を挟む2枚の無反射コートされたガラス板302と、ガラス板の内側に形成された透明電極303a、303bとを含んで構成される。透明電極303a、303bは、例えばスズを添加した酸化インジウムのITO膜のような金属酸化物である。液晶レンズ3’は、例えば、ガラス板302の片方(例えば図中下側)には、電気的な接地面を形成するための一様な透明電極303aが全面にわたって形成されている。また、ガラス板302のもう一方(例えば図中上側)には、液晶層301に必要な電界分布を与えるための電極パターンで透明電極303bが形成される。
透明電極303a、303bに、駆動信号としての駆動交流電圧(例えば数kHzの矩形波)を印加すると、複屈折率(分子の長軸と短軸の屈折率差)を持つネマティック液晶分子301aは、電場に沿って傾く。即ちネマティック液晶分子301aの長軸の向きと平行な方向の直線偏光をもった単色光にとって、ネマティック液晶層301は、電圧分布に応じて局所的に異なった屈折率分布をもった媒質と等価となる。したがって、ネマティック液晶層301を通過した光の波面には、液晶の印加電圧の面内分布に応じた空間的な波面変調あるいは位相変調が加わることになる。なお同心円状の電極構造を用いた場合、球面単レンズの位相プロファイルが得られる。液晶レンズ3’の焦点距離は、印加電圧の振幅制御により可変できる。液晶レンズ3’は、駆動電圧が低く、システムの構成が簡単であることが特徴である。なお、可変焦点レンズとしては、上述したものに限られるものではなく、例えば非線形光学結晶を用いたものとしてもよい。以下可変焦点レンズ3を用いる場合で説明する。
可変焦点レンズ3は、典型的には、一次元走査ミラー9と四分の一波長板31との間に配置される。なお、可変焦点レンズ3は、比較的焦点距離の短いレンズを配置する必要がある箇所に配置することが好ましい。このようにすると、可変焦点レンズ3による共焦点の調整幅を大きく取りやすい。また、可変焦点レンズ3は、例えばレンズ35とレンズ36と対物レンズ5のうち、少なくともいずれか1つと置換えてもよい。なおこの場合には、一次元走査ミラー9と四分の一波長板31との間に配置された可変焦点レンズ3を固定のレンズと置換えてもよいし、一次元走査ミラー9と四分の一波長板31との間に配置された可変焦点レンズ3をそのまま配置した状態でもよい。後者の場合、共焦点走査顕微鏡1は、可変焦点レンズ3を少なくとも2つ備えることになる。このように、可変焦点レンズ3を複数配置することで、より高精度に共焦点を調節できる。即ち検査対象2を詳細に検査できる。また上記では、可変焦点レンズ3は、レンズ35とレンズ36と対物レンズ5のうち、少なくともいずれか1つと置換える場合で説明したが、例えば上記各レンズと組み合わせてもよい。
なおここでは、可変焦点レンズ3を用いる場合で説明するが、これに限られず、可変焦点レンズ3の代わとして、例えば可変焦点レンズ3と同様な位置に配置された結像レンズと、前記結像レンズをその光軸方向に移動させる共焦点調節機構としてのレンズ移動手段とを有するものであってもよい。または、共焦点調節機構は、前記結像レンズ又は対物レンズ5を光軸方向に移動させる機構であってもよい。さらにこのような共焦点調節機構と、可変焦点レンズ3とを組み合わせて用いてもよい。この場合には、前記共焦点調節機構により大まかに共焦点を調節し、さらに可変焦点レンズ3で高精度で共焦点を調節するとよい。このようにすることで、高速で高精度な共焦点走査顕微鏡1とすることができる。なお、前記共焦点調節機構は、対物レンズ5を光軸方向に移動させる機構とすると効果的に共焦点の調節を行なえる。
共焦点走査顕微鏡1は、可変焦点レンズ3に出力する駆動信号に対応する共焦点の移動距離を予め測定し、前記測定の結果に基づいて共焦点の調節を行なうように構成するとよい。具体的には、例えば駆動信号の電圧と、共焦点の移動距離を対応させてテーブルを生成しておくとよい。なお、テーブルは、電圧又は共焦点の移動距離が一定間隔になるように生成する。ここでは、共焦点の移動距離が一定間隔になるように生成した。可変焦点レンズ3は、電圧と焦点距離の変化(言い換えれば共焦点の移動距離)が線形でなく、一定間隔で共焦点の移動距離が一定間隔になるように制御することが難しい。このように、予め駆動信号の電圧に対応する共焦点の移動距離を予め測定して、テーブルを生成しておくことで、共焦点の調節が容易に行なえる。このため、検査の高速化が可能なだけでなく、検査の自動化が可能になる。テーブルは、共焦点走査顕微鏡1を制御する不図示の制御装置に記憶しておくとよい。また、共焦点の移動距離を共焦点の位置(例えば対物レンズ5からの距離)としてもよい。即ち、駆動信号の電圧と、共焦点の位置を対応させてテーブルを生成してもよい。
図5に生成したテーブルの例を示す。
図6の模式図を参照して、グレーティング10について説明する。(a)は斜視図、(b)は正面図である。グレーティング10は、複数の光ファイバー11を各光ファイバー11の軸線を第1の方向v1に向けて平行に且つ平面状に並べた第1のファイバーグレーティング素子12(以下第1FG素子12という)と、複数の光ファイバー11を各光ファイバー11の軸線を第1の方向v1と異なる第2の方向v2に向けて平行に且つ平面状に並べた第2のファイバーグレーティング素子13(以下第2FG素子13という)と、複数の光ファイバー11を各光ファイバー11の軸線を第1の方向v1、第2の方向v2と異なる第3の方向v3に向けて平行に且つ平面状に並べた第3のファイバーグレーティング素子14(以下第3FG素子14という)とを含んで構成される。本実施の形態では、各FG素子12、13、14の平面は、互いに平行である。ここでは、各FG素子を識別するために、第1FG素子、第2FG素子、第3FG素子と呼ぶ。本実施の形態では、第1FG素子、第2FG素子、第3FG素子の順序で重ね合わされている。しかしながら他の順序、例えば、第1FG素子、第3FG素子、第2FG素子の順に重ね合わせてもよい。以下、各FG素子12、13、14の平面を素子平面という。
また本実施の形態では、第1FG素子12と、第2FG13と、第3FG素子14とは、各光ファイバー11の軸線の間隔が等しく、且つその間隔は、第1FG素子12、第2FG素子13、第3FG素子14間で等しい。さらに本実施の形態では、第1FG素子12と、第2FG13と、第3FG素子14は、共に光ファイバー11の径を等しく、且つ光ファイバー11を接触させて並べて構成されている。
第1FG素子12、第2FG素子13、第3FG素子14は、それぞれ、例えば、直径が数十ミクロン、長さ10mm程度の光ファイバー11を数10〜数100本程度、平行にシート状に並べて構成したものである。また、各FG素子12、13、14は、それぞれ、例えばガラス板に貼り付けて構成するとよい。このようにすることで、各FG素子12、13、14の取り扱いが容易になる。また、グレーティング10を容易に組み立てることができるので、製造しやすい。
第1FG素子12と第2FG素子13と第3FG素子14は、重ね合わせてグレーティング10を構成する。なお、ここでの重ね合わせは、各FG素子12、13、14の各素子平面がほぼ平行になるように重ね合わされている。言い換えれば、本実施の形態では、グレーティング10は、第1FG素子12、第2FG素子13、第3FG素子14の順に、各々の素子平面が平行になるように重ね合わされている。即ち、第1FG素子12と第2FG素子13は隣接している。また、第2FG素子13と第3FG素子14は隣接している。また、グレーティング10は、光束発生部21により発生されるレーザー光束L1を透過させるように構成されている。ここでは、レーザー光束L1は、第1FG素子12側から入射させる。言い換えれば、レーザー光束L1は、第1FG素子12、第2FG素子13、第3FG素子14の順に透過させる。レーザー光束L1は、典型的には、グレーティング10(第1FG素子12)の素子平面に対して垂直に入射させる。
さらに、図6(b)に示すように、本実施の形態では、第1の方向v1と第2の方向v2がほぼ直交している。また、第3FG素子14は、第3の方向v3が、第1の方向v1から所定の角度θだけ素子平面と平行な面内で回転させて重ね合わされている。所定の角度θについては、図7を参照して後述する。
ここで、図7を参照して、所定の角度θについて説明する。まず所定の角度θを与えることによる、輝点光の変化について説明する。(a)では、(b)に示すように、所定の角度θがθ1の場合で説明する。なお(a)は、(b)の図中奥側から手前にレーザー光束L1を透過させた場合に投影されるパターンの一部を示した図である。図示では、参考として、θ1は、10°程度で示してある。まず、所定の角度θが0°であったときに投影されるパターンの一部である輝点光51、52、53、54、55に注目する。そして、第3FG素子14に所定の角度θ1を与えると、上記各輝点光は、各輝点光の生成方向である直線51aに対して、それぞれ角度θ1をなす直線51a’方向に回折して新たな輝点光を投影する。さらに説明するならば、輝点光51に注目すると、輝点光51は、直線51a’方向に、回折して新たな輝点光51’を投影する。
このように、所定の角度θによって輝点の回折方向が変わるので、θによっては、例えば平行で等間隔に配列される、一直線に配列された複数の輝点光の列を投影することができる。以下、所定の角度θを調整することで、一直線に配列された複数の輝点光の列を投影する場合について説明する。
図8に示すように、一直線に配列された複数の輝点光10aの列を投影する場合には、所定の角度θは、0.1〜10°、好ましくは1〜8°、最も好ましくは5°程度とするとよい(図示は5°の場合)。また、θ=85°の場合にも、同様なパターンとなる。但し、この場合には、投影されるパターンは、図示のパターンを90°回転させたパターンとなる。また、FG素子は、低次から高次の回折光に渡って回折効率が一定に近く、一直線に配列された複数の輝点光10aは、複数の輝点光10aが一直線に集合することで形成されているので、中央部にある輝点光10aの明るさが、中央部から端部方向にいっても変化しにくい。即ち、輝度を均一にすることができる。さらに、グレーティング10では、一直線に配列された複数の輝点光10aの列を複数本投光することが容易に行なえる。
なお図示のように、グレーティング10により、一直線に配列された複数の輝点光10aの列が複数本投光されるが、輝点光10aの列が1本でもよい場合には、他の列を例えば絞りによりマスキングすることで、1本の一直線に配列された複数の輝点光10aの列とするとよい。
図1に戻って、以上のような構成を有する共焦点走査顕微鏡1の作用を説明する。具体的には、まず可変焦点レンズ3により、およそ検査対象2の表面と一致する位置に焦点を調節する。さらに言えば、焦点の合った面(以下合焦面2aという)を調節する。そして、LD21aを発光させる。そして、図示されるように、LD21aにより発せられた直線偏光の光は、コリメータレンズ21bにより平行光となってグレーティング10に入射し、個々の光ファイバー11によりそのレンズ効果を持つ面内で集光したのち、発散波となる。そして偏光ビームスプリッタ32を透過し、四分の一波長板31で円偏光となり、可変焦点レンズ3にへ入射する。そして一次元走査ミラー9で反射され(偏向され)、対物レンズ5に入射し、合焦面2aで収束する。即ち結像する。なお、グレーティング10に入射して発散波となって広がった光は、干渉して、合焦面2aに複数の輝点光10aとして結象される。
そして、検査対象2で反射した光は、対物レンズ5から戻り、可変焦点レンズ3に入射したのち、四分の一波長板31で円偏光が直線偏光に偏光される。偏光された光は、LD21aからの光に対し、偏光面が90°回転するため、偏光ビームスプリッタ32でラインセンサ40方向に偏向される(図示では90度偏向)。そして偏向された光は、結像レンズ6を介してラインセンサ40で受光される。そして、ラインセンサ40は、受光した光の強度を検出する。
ここで、共焦点走査顕微鏡1は、共焦点光学系であるため、検査対象2に凹凸が存在すると、この凹凸のうち、z軸方向で合焦面2aと一致した部分に投影された輝点光10aは結像し、一致しない部分に投影された輝点光10aはラインセンサ40上でボケるため、ラインセンサ40の受光素子41に入射する光量は大きく減少する。これを利用して、検査対象2のz軸方向のうねり等の凹凸が一次元的に検査できる。
さらにこの状態で、一次元走査ミラー9により、y軸方向に一直線に配列された複数の輝点光10aで、検査対象2を、走査方向(x軸方向)に走査することで、検査対象2のz軸方向の凹凸がニ次元的(平面的)に検査できる。
さらに共焦点走査顕微鏡1は、上述のような検査対象2の凹凸の二次元的な検査が完了すると、可変焦点レンズ3により、合焦面2aをz軸方向へ移動させて(例えば図示の合焦面2a’の位置に移動させて)、同様な検査を行なう。このような検査をz軸の座標を変えて繰り返し行なう。これにより、z軸の各座標で検査した、各合焦面2aでの検査対象2の凹凸の二次元的な検査結果を積層していくことで、詳細な検査対象2のz軸方向の凹凸の検査、例えば凹凸の深浅とその値まで検査できる。言い換えれば検査対象2の三次元形状を検査できる。
以上のように、本発明の第1の実施の形態である共焦点走査顕微鏡1は、対物レンズ5と、所定の方向に一直線に配列された複数の輝点光10aを、対物レンズ5を介して検査対象2に投光する投光部20と、複数の輝点光10aで検査対象2を所定の方向と交差する方向である走査方向に一次元に走査する一次元走査ミラー9と、対物レンズ5を介して検査対象2から戻ってくる輝点光10aを結像する結像レンズ6と、検査対象2上の各輝点光10aと対応して一直線に配列して設けられたラインセンサ40とを備える。これにより、例えば一次元走査ミラー9で、検査対象2の検査対象領域を走査できるため、走査のためのミラーを減らすことができるので、光路長が短く、単純な光学系とすることができる。また、一次元に走査するだけで済むので検査の高速化が図れる。
また、共焦点走査顕微鏡1は、投光部20に複数の光ファイバーを平面状に並べたFG素子3枚から構成されるグレーティング10が備えられているので、単純でありながら、例えば輝度が均一である複数の輝点光10aを、所定の方向に一直線に配列して検査対象2に投光できる。
さらに、共焦点走査顕微鏡1は、投光部20と検査対象2との間に配置された四分の一波長板31と、四分の一波長板31と投光部20との間に配置され、検査対象2から戻る光のうち所定の偏光方向の光を透過させ、所定の偏光方向と交差する偏光方向の光をラインセンサ40方向に偏向する偏光ビームスプリッタ32とを備える。これにより、単純な光学系でありながら、投光部20より検査対象2に投光され、また検査対象2から戻る光をラインセンサ40が受光できるので、検査対象2の凹凸を正確に検査できる。
図9は、本発明による第2の実施の形態である共焦点型検査装置としての共焦点顕微鏡100の模式的斜視図である。共焦点顕微鏡100は、共焦点走査顕微鏡1と、基本的に同様な構成であるが、例えば投光部と受光部の構成が異なり、走査機構を備えていないものである。以下、共焦点顕微鏡100について説明する。共焦点顕微鏡100は、検査対象2に対向して配置された対物レンズ5と、複数の輝点光110aを、対物レンズ5を介して検査対象2に二次元的に投光する投光部120と、対物レンズ5を介して検査対象2から戻ってくる投光部120により投光された光を結像する結像レンズ6と、結像レンズ6により結像される光を受光する受光部であって、検査対象2上に投光される各輝点光110aと対応して設けられた受光部140と、受光部140への光を絞る孔の形成された絞り部141とを備えている。なお、第1の実施の形態と同様に、図示では検査対象2の表面の一部のみを示している。また、共焦点走査顕微鏡1と同様な構成については説明を省略する。
投光部120は、検査対象2に二次元的に配列された輝点光110aを、対物レンズ5を介して検査対象2に投光するものである。投光部120は、グレーティング110と、前述の光束発生部21とを備えている。
図10(a)に示すように、グレーティング110は、基本的に図6で説明したグレーティング10と同様なものであるが、第3FG素子14(図6参照)を有していない。即ち、グレーティング110は、第1FG素子12と第2FG素子13で構成され、第1FG素子12の第1の方向v1と、第2FG素子13の第2の方向v2がほぼ直交している。このようなグレーティング110に、レーザー光束L1を入射させると、検査対象2に二次元的に配列された輝点光110aを検査対象2に投光できる。なお、二次元的に配列された複数の輝点光110aは、本実施の形態では、例えば図10(b)に示すような、正方格子状に配列された複数の輝点光110aである。
受光部140は、典型的には複数の受光素子を二次元に配列したCCDセンサである。また、受光部140として、CCDの他にCMOS構造の素子が最近盛んに発表されており、それらも当然使用可能である。特にこれらの中には、素子自体にフレーム間差算や二値化の機能を備えたものがあり、これらの素子の使用は好適である。以下、受光部140はCCDセンサの場合で説明する。
絞り部141は、CCDセンサ140への光を絞るものであり、結像レンズ6とCCDセンサ140との間に配置される。この場合絞り部141は、CCDセンサ140に密着して配置される。絞り部141は、典型的には複数のピンホールが一定の間隔で、二次元方向に配列されたピンホールアレイである。ピンホールの配列パターンは、検査対象2上の各輝点光10aと対応した配列パターンである。CCDセンサ140の前にこのようなピンホールアレイが形成された絞り部141を設置することで、検査対象2からの余分な散乱光やボケを排除し、三次元空間内の1点を正確に検査できる。また、高い分解能を実現できる。上記では絞り部141は、ピンホールアレイの場合で説明したが、複数本のスリットであってもよい。この場合には、複数本のスリットは検査対象2上の正方格子状に配列された複数の輝点光10aが形成する各列と対応するように形成される。なお、スリットの方向は、CCDセンサ140のスキャン方向と垂直な方向(図9中のCCDセンサ140では上下方向)とすることが好ましい。このようにすることで、より高い分解能を実現できる。なお、図示ではピンホールアレイの場合で示してある。
なおCCDセンサ140は、典型的にはフルフレームの情報(全ての受光素子の情報)を採用するが、これに限られず、一定の間隔をあけた受光素子の情報を採用するようにしてもよい。この場合には、検査対象2上に投光された複数の輝点光110aのCCDセンサ140上での像に対応するように、採用する受光素子を決めるようにする。なおこの場合には、採用された受光素子の広がりそのものが絞りとなる。言い換えれば絞り部141を備える必要がない。またこのようにすることで、CCDセンサ140からの情報量が減るので高速処理が可能である。またここでは受光部はCCDセンサ140の場合で説明するが、これに限られず、一定の間隔をあけて二次元方向にPD(フォトディテクタ)を配列したPDアレイとしてもよい。この場合には、検査対象2上に投光された複数の輝点光110aの受光部上での像に対応するように、各PDを配置するようにする。なおこの場合にも、PDの広がりそのものが絞りとなる。言い換えれば絞り部141を備える必要がない。
なお共焦点顕微鏡100は、図示では、偏向ミラー109が、対物レンズ5と四分の一波長板31との間に配置されている場合を示してあるが、偏向ミラー109は備えなくてもよい。この場合には、投光部120、偏光ビームスプリッタ32、四分の一波長板31、可変焦点レンズ3、対物レンズ5が一直線上に配置される。これにより、光学系を単純化できる。また、例えば共焦点顕微鏡100の体積を小さくすることが可能である。
以上のように、本発明の第2の実施の形態である共焦点顕微鏡100は、対物レンズ5と、複数の輝点光110aを、対物レンズ5を介して検査対象2に二次元的に投光する投光部120と、結像レンズ6と、検査対象2上に投光される各輝点光110aと対応して設けられたCCDセンサ140とを備えている。これにより、例えば走査機構を必要としないため、単純な光学系とすることができる。
また、共焦点顕微鏡100は、投光部120に複数の光ファイバーを平面状に並べたFG素子2枚から構成されるグレーティング110が備えられているので、単純でありながら、例えば輝度が均一である複数の輝点光110aを、正方格子状に配列して検査対象2に投光できる。
さらに、第1の実施の形態の共焦点走査顕微鏡1と、第2の実施の形態の共焦点顕微鏡100は、共に、合焦面以外からの光を通さないため、通常の光学顕微鏡のように像がぼやけることがない。このため、検査対象の凹凸、言い換えれば三次元形状を高精度に得ることができる。また非接触かつ簡単に検査対象の三次元形状を検査できる。これは、例えば高密度化する半導体や一般材料等の測定、微細な三次元形状の観察に有利である。